JP2004089065A - 苗植付具 - Google Patents
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Abstract
【課題】苗載置台上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪と該植付爪が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体とを備え、前記苗押出体の一部と該苗押出体を摺動させるための苗押出スプリングとをケ−ス内に設けた苗植付具において、径が大きい苗押出スプリングの内径部に径が小さい苗押出スプリングを挿入して複数の苗押出スプリングが同軸上で作用する構成としたとき、複数の苗押出スプリングが互いに接触して干渉しやすくなり、苗押出スプリングが適正に作用しなくなって苗押出体の摺動が適正に且つスム−ズに行われなくなるおそれがある。
【解決手段】上記構成の苗植付具32において、径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して複数の苗押出スプリング51a,51bが同軸上で作用する構成とし、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きい構成とした。
【選択図】 図8
【解決手段】上記構成の苗植付具32において、径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して複数の苗押出スプリング51a,51bが同軸上で作用する構成とし、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きい構成とした。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、苗載置台上のマット状の苗から掻き取った苗を苗押出体により押し出して圃場に植え付ける苗植付具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開2001−269023号公報に示すように、田植機等の苗移植機において、苗載置台上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪と該植付爪が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体とを備え、前記苗押出体の一部と該苗押出体を摺動させるための苗押出スプリングとをケ−ス内に設けた構成の苗植付具がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の構成によると、前記ケ−スの小型化を図ることにより、苗植付具全体の重量を軽減して該苗植付具による苗の植付姿勢や植付作業能率等の植付性能の向上を図ることができる。ところが、前記ケ−スの小型化に伴って該ケース内のスペ−スが小さくなるため、ケ−ス内に設ける苗押出スプリングのスプリング長が制限され、単一の苗押出スプリングでは所望の付勢力が得られないことがある。そこで、径が大きい苗押出スプリングの内径部に径が小さい苗押出スプリングを挿入して複数の苗押出スプリングが同軸上で作用する構成とすることが考えられる。
【0004】
このとき、前記複数の苗押出スプリングのスペースを小さくしながら付勢力を十分に得るには、該複数の苗押出スプリングの互いの径をできるだけ近づけて互いの苗押出スプリングの付勢力の均等化を図ることが考えられるが、複数の苗押出スプリングの互いの径を近づけると、両者が互いに接触して干渉しやすくなり、苗押出スプリングが適正に作用しなくなって苗押出体の摺動が適正に且つスム−ズに行われなくなるおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、この発明は、苗載置台20上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪41と該植付爪41が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体42とを備え、前記苗押出体42の一部と該苗押出体42を摺動させるための苗押出スプリング51a,51bとをケ−ス32a内に設ける苗植付具において、径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して複数の苗押出スプリング51a,51bが同軸上で作用する構成とし、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きい構成としたことを特徴とする苗植付具とした。
【0006】
従って、この苗植付具は、植付爪41により苗載置台20上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取り、苗押出体42の摺動によりその掻き取った苗を押し出して圃場へ植え付ける。苗押出体42は、ケ−ス32a内に設けた径が大きい苗押出スプリング51aと径が小さい苗押出スプリング51bとの複数の苗押出スプリング51a,51bにより摺動する。前記径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入し、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きいので、前記作用方向における端部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを近づけて、両者の付勢力が適確に同軸上で作用するようにして苗押出体42を適確に摺動させるようにしながら、前記中央部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを大きく相違させて、両者51a,51bの間隔を空けることができる。
【0007】
【発明の効果】
よって、複数の苗押出スプリング51a,51bの付勢力が適確に同軸上で作用するようにして苗押出体42を適確に摺動させるようにしながら、苗押出スプリング51a,51bの中央部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを大きく相違させて、両者51a,51bの間隔を空けることができるので、両者51a,51bが互いに接触して干渉するようなことを抑えることができ、苗押出スプリング51a,51bを適正に作用させて苗押出体42の摺動を適正に且つスム−ズに行わせることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2と6条植えの苗植付部3とから構成される。
【0009】
走行車体2の略中央に駆動源であるエンジン4が備えられ、該エンジン4の駆動により走行ミッションケ−ス5等を介して前輪6,6及び後輪7,7が駆動され、これらの前後輪6,6,7,7が駆動されて走行車体2が走行する。前記エンジン4の上方に操縦席8が備えられ、該操縦席8の前側にステアリングハンドル9が設けられている。この走行車体2の後部に昇降リンク機構10が設けられ、該昇降リンク機構10を介して前記苗植付部3が装着され、油圧昇降シリンダ11の伸縮により上下に昇降するように設けられている。尚、走行車体側からの動力が植付クラッチケ−ス12を介して前記苗植付部3に伝動されるようになっている。
【0010】
また、操縦席前側のステップ部には有段操作される株間変速レバ−13が設けられており、走行ミッションケ−ス5のギヤの噛み合いを変更して走行車体2の走行速度に対する苗植付部3の作動速度を変速できるようになっている。この株間変速レバ−13により、植付作業者が圃場に移植する苗の植付株間を設定できるようになっている。従って、前記株間変速レバ−13を操作しない限り、走行速度に比例した速度で前記苗植付部3が作動されるようになっている。
【0011】
苗植付部3は、苗載置台20と植付伝動部21及び各条の苗植付装置22,…とを備えて構成される。苗植付部3の下部には、センタ−フロ−ト23及び両側部にサイドフロ−ト24,24が設けられており、該フロ−ト23,24,24が圃場面を滑走する構成である。
【0012】
また、苗植付部3は、植付伝動部21からの動力により前記苗植付装置22を作動する。前記苗載置台20は、上部を苗載置台支持ロ−ラ25,25、下部を左右移動ガイド板26により左右移動可能に支持され、機体側面視で苗載置面が上側へ凸状となる緩やかな曲面となっている。従って、苗植付部3は、苗載置台20が固着された苗載置台左右移動棒27を左右移動させて苗載置台20を左右移動させ、マット状の苗を苗植付装置22により一株づつ掻き取る構成となっている。尚、前記左右移動ガイド板26には、苗植付装置22,…の苗掻き取り口26a,…が設けられている。また、前記苗載置台20には、各条に苗送りベルト28…が設けられている。各条の前記苗送りベルト28…は、下側の駆動ロ−ラ28a…と上側の従動ロ−ラ28b…とに巻回されている。苗載置台20の左右移動終端において、植付伝動部21からの動力により作動する左右それぞれのラチェットアーム88を介して前記駆動ロ−ラ28a…が所定量回転して苗送りベルト28…がマット状の苗を苗植付装置22…側に所定量づつ順次移送する構成となっている。
【0013】
苗載置台20の上端部には、該苗載置台20の苗載置面の延長面上に前後方向にスリット60を有する延長苗載置台61を固着している。作業者が、この延長苗載置台61に苗を載せてから苗載置台20へ供給することにより、苗載置台20への苗供給作業を容易に行える。苗載置台20の上端部の適宜の位置には前記ラチェットアーム88へ潤滑油を給油するための給油口89を左右それぞれ設けており、給油口89から給油ホース90を介してラチェットアーム88へ給油される構成となっている。給油口89は延長苗載置台61のスリット60の空間部に配置され、給油口89には苗の床土や塵等の異物が入らないように給油キャップ89aを設けている。この給油キャップ89aは、前下側の端部に設けた回動軸89b回りに上側に開くようになっている。従って、作業者は、延長苗載置台61の上側から給油キャップ89aを容易に開閉することができ、且つ延長苗載置台61の上側から給油口89へ容易に給油することができる。また、給油キャップ89aの回動軸89bは、給油口89の前下側に設けたので、延長苗載置台61の苗載置面から離れた位置に配置され、延長苗載置台61上の苗の床部に干渉することが防止される。従って、苗の床部でこの回動軸89b部を傷めることを防止できる。従来は、給油キャップの回動軸を給油口の後上側に設けていたので、給油キャップを上側から開閉しにくく、給油キャップが邪魔になって給油口へ上側から給油しにくく、給油キャップの回動軸部が延長苗載置台の苗載置面に接近して配置されるため、前記回動軸部が延長苗載置台上の苗の床部に接触して破損したりあるいは苗の床土がかかりやすくその床土で摩耗しやすくなるという危惧がある。
【0014】
苗載置台20には、苗載置台20での苗の滑りを円滑にしマット状の苗が苗植付装置22側に円滑に移送されるようにするための滑りガイド62を装着できる。この滑りガイド62は、弾性のある幅の狭い帯状のプレ−トの先端部をフック状に屈曲させた構成となっており、この屈曲させたフック部分62aを除く主要部62bは機体側面視で苗載置台20の苗載置面が形成する曲線よりも曲率が大きい曲線状に構成されている。滑りガイド62を装着するには、延長苗載置台61の上端に前記フック部分62aをひっかけて前記主要部62bが苗載置台20の上部で該苗載置台20の苗載置面より上側に位置するように装着する。図13及び図14に示すように、主要部62bの上部には下側に延びる左右2枚の外れ止め用プレート62cを固着しており、該左右2枚の外れ止め用プレート62cが延長苗載置台61の隣接するスリット60を通るように装着し、延長苗載置台61の下側で該外れ止め用プレート62cに設けた外れ止め用孔62dにピン63を挿入して滑りガイド62が苗載置台20から外れないようにしている。滑りガイド62は苗載置台20の各条の苗載置面に複数本装着するが、図14に示すように2本装着するのが一般的である。尚、滑りガイド62を装着した状態で、該滑りガイド62の下端が苗載置台20の苗送りベルト28の近くに位置し、滑りガイド62によりマット状の苗が苗送りベルト28上に円滑に供給されるようにしている。
【0015】
外れ止め用プレート62cには外れ止め用孔62dより主要部62b側の位置に収納用孔62eを設けており、図15に示すように、滑りガイド62を下側に撓ませて該収納用孔62eを延長苗載置台61の下側に位置させて該収納用孔62eにピン63を挿し替えて挿入し、滑りガイド62を苗載置台20の苗載置面に沿わせて苗載置台20に収納するようになっている。尚、苗載置台20の苗載置面に溝を設け、この溝内に滑りガイド62を収納する構成としてもよい。滑りガイド62を苗載置台20の苗載置面に沿わせることにより、前記苗載置面で苗を受けて滑りガイド62を装着しない状態と同様に苗を供給することができる。従って、軽量で滑りにくい苗、特に床部に籾殻を使用した籾殻マット苗やロックウールマットの乳苗等を移植するときは、滑りガイド62を突出させて該滑りガイド62にマット状の苗の底面が接触するようにし、苗の接触面積を小さくして苗の苗植付装置22側への移送抵抗を小さくして苗の移送の円滑化を図る。一方、円滑に移送される苗を移植するときは、滑りガイド62を苗載置台20に収納して苗載置台20でマット状の苗の底面の全面を受けるようにし、マット状の苗が崩れたりするのを防止できる。そして、その滑りガイド62の切替は、ピン63の外れ止め用孔62dと収納用孔62eとの挿し替えにより行うので、ワンタッチで簡単である。従来は、滑りガイド62が不要なときは該滑りガイド62を取り外していたので、その取り外しの手間がかかったり取り外した滑りガイド62を格別に収納する必要があり、作業性の悪いものであった。
【0016】
尚、図16に示すように、滑りガイド62の切替を外れ止め用プレート62cに連結した切替レバー91の操作により行えるようにしてもよい。これにより、滑りガイド62の切替操作の容易化を図ることができる。このとき、全条分の滑りガイド62を連結し該滑りガイド62の切替を単一の切替レバー91により行えるようにすると、更なる切替操作の容易化を図ることができる。また、図17に示すように、延長苗載置台61をその下端の左右方向の軸64回りに回動可能に設け、延長苗載置台61の回動により滑りガイド62の切替を行えるようにしてもよい。
【0017】
苗植付装置22は、植付伝動部21の植付伝動フレ−ム29の端部から出力され機体の走行速度に比例して一定速度で回動する苗植付装置駆動軸30の駆動により作動するようになっている。尚、前記苗植付装置駆動軸30は、前側から巻きかけたチェ−ン37からの伝動により駆動する従動スプロケット38と安全クラッチ39とを介して伝動されて駆動する。前記安全クラッチ39は、該従動スプロケット38の端部に一体で設けた駆動クラッチ爪39a、該駆動クラッチ爪39aと噛み合う受動クラッチ爪を備える受動クラッチ爪体39b及び前記従動スプロケット38を前記受動クラッチ爪体39b側へ付勢する圧縮スプリング39cを備えて構成される。尚、前記従動スプロケット38すなわち前記駆動クラッチ爪39aは苗植付装置駆動軸30回りに回転するように設けられ、前記受動クラッチ爪体39bは前記苗植付装置駆動軸30と一体回転するようになっている。前記駆動クラッチ39a爪及び受動クラッチ爪体39bの爪部は傾斜面を備えており、苗植付装置22が異物等に干渉してメカロックを起こすと、前記傾斜面により圧縮スプリング39cに抗して駆動クラッチ爪39aすなわち従動スプロケット38が受動クラッチ爪体39bとは反対側に移動して、安全クラッチ39の伝動を断つようになっている。
【0018】
前記苗植付装置22は、苗植付装置駆動軸30と一体回転する回転ケ−ス31と該回転ケ−ス31の両端部にそれぞれ装着された苗植付具32,32とを備えて構成され、該苗植付具32,32が前記苗掻き取り口26a上の苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付けていくようになっている。前記回転ケ−ス31が該苗植付装置駆動軸30と一体回転するように取り付けられると共に、回転ケ−ス31内の太陽ギヤ33が前記植付伝動フレ−ム29に対して回転しないように設けられ、回転ケ−ス31の回動により該太陽ギヤ33と噛み合う中間ギヤ34,34を前記太陽ギヤ33回りに回動させ、前記中間ギヤ34,34の駆動により該中間ギヤ34,34と噛み合う最終ギヤ35,35を回動させる。そして、該最終ギヤ35,35と一体回転する最終ギヤ回動軸36,36の端部の方形軸部が苗植付具32の苗植付具固定部材32cの方形穴部に嵌合しており、前記最終ギヤ回動軸と前記苗植付具32,32を一体回転させ、前記回転ケ−ス31の回動位置に対して前記苗植付具32,32の前後傾斜姿勢が決定される。すなわち、前記苗植付具32が最終ギヤ35と一体回転するようになっている。また、前記中間ギヤ34,34及び前記最終ギヤ35,35は、前記太陽ギヤ33に対して対称位置に設けられてそれぞれの苗植付具32,32の前後傾斜姿勢を決定するようになっている。尚、苗植付具32,32には苗植付具ケ−ス32a,32aを備えており、該苗植付具ケ−ス32aを2本の取付ボルト32b,32bにより前記苗植付具固定部材32cに固着している。
【0019】
また、前記太陽ギヤ33と前記中間ギヤ34,34と前記最終ギヤ35,35とは非円形の偏心ギヤであると共にそれぞれ同歯数であり、回転ケ−ス31の一回転につき前記中間ギヤ34,34及び前記最終ギヤ35,35が回動角速度を変えながらそれぞれ一回転する。従って、回転ケ−ス31が一回転する間に、苗植付具32,32が回転ケ−ス31の回動とは逆方向に該回転ケ−ス31に対して一回転するようになっている。
【0020】
また、回転ケ−ス31内の太陽ギヤ33、中間ギヤ34及び最終ギヤ35の噛み合いにおけるバックラッシにより発生するガタを吸収すべく、ガタ止め機構40を回転ケ−ス31内に設けている。前記ガタ止め機構40は、最終ギヤ35と一体回転するガタ止めカム40aと該カム40aに当接するガタ止めア−ム40bと該ア−ム40bを前記ガタ止めカム40a側に付勢するガタ止めスプリング40cとを備えて構成される。このガタ止め機構40cにより、苗植付装置22が苗掻き取り口26aから苗を掻き取るとき及び掻き取った苗を圃場に植え付けるときに前記バックラッシによる最終ギヤ35のガタを止めて苗植付具32の前後傾斜姿勢のガタを抑え、該苗植付具32により適確に苗を掻き取り適確に圃場に苗を植え付けるようにしている。
【0021】
前記苗植付具32は、マット状の苗を一株分掻き取って保持する植付爪41と該植付爪41で分離して保持した苗を圃場面へ向けて押し出す苗押出体の一例である苗押出フォ−ク42とを備えて構成される。前記回転ケ−ス31の回動により苗植付具32がル−プ軌跡Tを描いて前記苗掻き取り口26aを通過することにより、前記植付爪41が苗掻き取り口26aにある苗を掻き取り保持するようになっている。
【0022】
前記植付爪41は、取付ボルト43により苗植付具ケ−ス32aに固着されており、上壁部41aと該上壁部41aの先端側の左右両端部から下方へ突出して設けられた左右の側壁部41c,41cとを備えて構成される。また、前記上壁部41aの左右中央には、植付爪41の先端部から基部側に向かって切欠き部41dを設けている。尚、前記切欠き部41dは、前記左右の側壁部41c,41cより植付爪41の基部側にまで延設されると共に、植付爪41の先端において前記上壁部41aの左右幅と略同一に構成され、植付爪41の先端から基部側に向かうに従って左右幅が縮小され、所定の位置から基部側は一定の左右幅となっている。従って、植付爪41の先端部において、上壁部41a及び左右の側壁部41c,41cにより横断面が左右一対のL字型で構成される苗保持部を構成している。
【0023】
苗押出フォ−ク42は、押出作動により前記苗植付具ケ−ス32aに対して摺動する丸軸部42aと該丸軸部42aの先端に固着された苗押出部42bとを備えて構成される。前記苗押出部42bには苗押出基部42cと左右の苗押出プレ−ト42d,42dとを設け、該苗押出プレ−ト42d,42dの前端部が植付爪41が保持した苗の苗床に当接して植付爪41が保持した苗を押し出すようになっている。左右の前記苗押出プレ−ト42d,42dは、植付爪41の側壁部41c,41cより左右内側の該側壁部41c,41cの近傍に設けられ、該プレ−ト42d,42dの上部が側面視で植付爪41の前記側壁部41c,41cと重複するように設けられている。
【0024】
前記苗押出フォ−ク42の上部すなわち丸軸部42aの一部は、苗植付具ケ−ス32a内に挿入されている。前記苗植付具ケ−ス32a内には、前記苗押出フォ−ク42の上端部に下部支軸44aを介して連結された連結リンク44と、該連結リンク44に上部支軸44bを介して連結した苗押出ア−ム45と、苗押出ア−ム45と一体的に設けたカム側ア−ム46と、該カム側ア−ム46と当接する苗押出カム47とを備えている。尚、前記苗押出ア−ム45及び前記カム側ア−ム46は、苗植付具ケ−ス32aに取り付けた揺動軸48回りに一体で揺動するようになっている。尚、前記連結リンク44は、前記下部支軸44aを介して前記苗押出フォ−ク42に連結されているが、苗押出フォ−ク42と当接することにより該苗押出フォ−ク42に対してほとんど回動しないように設けられている。また、前記苗押出カム47は、回転ケ−ス31の最終ギヤ回動軸36,36回りに回動可能に設けられると共に、該苗押出カム47の回転ケ−ス31側の端部47aの外形が側面視で方形に構成されて回転ケ−ス31の方形穴部49に挿入されており、前記回転ケ−ス31に対して回動しないように設けられている。従って、回転ケ−ス31の一回転につき、苗押出カム47が苗植付具32に対して一回転する構成となっている。そして、苗植付具32に対する苗押出カム47の一回転につき、カム側ア−ム46を介して苗押出ア−ム45が1往復分揺動し、苗押出フォ−ク42が1往復分摺動する構成となっている。尚、苗植付具ケ−ス32aにおける苗押出フォ−ク42が摺動する部分にはゴム製のシ−ル材50を設けており、該シ−ル材50により苗押出フォ−ク42の摺動により苗植付具ケ−ス32a内に供給された後述するグリス(潤滑剤)が苗植付具ケ−ス32a外へ連れ出されないようにしている。
【0025】
連結リンク44の上端部には、圧縮スプリングである苗押出スプリング51a,51bを複数(2個)当接させて設けている。2個の苗押出スプリング51a,51bは、径が異なっており、径の大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して苗押出フォ−ク42の丸軸部42a上となる同軸上で作用する。苗押出スプリング51a,51bの他端は苗植付具ケ−ス32aの内面に当接しており、径の大きい苗押出スプリング51aはその上端の外径部が苗植付具ケ−ス32aの内面の角部に当接し、径が小さい苗押出スプリング51はその上端の内径部が苗植付具ケ−ス32aの上端に設けた供給口キャップ57に当接し、それぞれの苗押出スプリング51a,51bがその作用方向(苗押出フォ−ク42の軸方向)と交差する方向へ位置ずれしないように位置決めされている。また、前記連結リンク44の上端部には、前記苗押出スプリング51a,51bの下端部が当接するための当接面を構成している。そして、図9に示すように、径が小さい苗押出スプリング51bは、その作用方向における両端部の径が中央部より大きくラッパ状に構成されている。
【0026】
そして、苗押出フォ−ク42は、前記苗押出スプリング51により苗の押出作用側へ付勢されており、前記苗押出カム47により苗の押出作用側への摺動を規制され、カム側ア−ム46が苗押出カム47の小径部47bに当接する状態で苗押出スプリング51a,51bにより摺動して押出作動するようになっている。尚、苗植付具32のル−プ軌跡Tの下死点Aの位置にきたとき、前記苗押出フォ−ク42が押出作動するようになっている。そして、苗植付具32が前記下死点Aの位置から上昇して苗掻き取り口26aの位置に来るまでに押出作動した苗押出フォーク42が戻り作動して、植付爪41が苗を掻き取るまでに苗押出フォーク42が戻り作動するようになっている。尚、苗押出フォ−ク42が押出作動したときに苗押出ア−ム45と当接するクッションゴム52を苗植付具ケ−ス32a内に設けており、該クッションゴム52により苗押出スプリング51a,51bによる苗押出フォ−ク42の押出作動の衝撃を緩和する構成となっている。
【0027】
そして、苗押出スプリング51a,51bの圧縮方向と苗押出フォ−ク42の摺動方向とは同じ方向であり、苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの軸心の延長線が苗押出スプリング51a,51bの内径部53を通過する位置関係になっている。従って、苗押出スプリング51のスプリング力が苗押出フォ−ク42に対して該フォ−ク42の摺動方向と交差する方向に作用しないようにでき、苗押出フォ−ク42をスム−ズに摺動させることができ、苗押出フォ−ク42の摺動部に設けたシ−ル材50や苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの摺動部等の摩耗を抑えることができる。
【0028】
ところで、前記苗押出スプリング51a,51bの上側の苗植付具ケ−ス32aの上端部には、潤滑剤供給口56を設けている。この潤滑剤供給口56より苗植付具ケ−ス32a内へ潤滑剤であるグリスを吐出する吐出口を挿入する等して、前記グリスを苗植付具ケ−ス32a内に供給するようになっている。苗植付具ケ−ス32a内に供給されたグリスにより、苗押出フォ−ク42、苗押出スプリング51a,51b、連結リンク44、苗押出ア−ム45、カム側ア−ム46及び苗押出カム47といった苗植付具ケ−ス32a内の苗押出フォ−ク42を摺動させる構成部材を潤滑し、これらの構成部材をスム−ズに作動させると共にこれらの構成部材の摩耗を抑制するようになっている。尚、前記潤滑剤供給口56は、径の小さい苗押出スプリング51bの内径より小さい径で構成されている。
【0029】
そして、前記潤滑剤供給口56には、苗植付具ケ−ス32a内のグリスが潤滑剤供給口56から飛び出さないように該供給口56を閉塞するための供給口キャップ57を設けている。この供給口キャップ57は、ゴム製であり、潤滑剤供給口56より径が大きい大径部57aと前記潤滑剤供給口56と外形が略同径の小径部57bとを備え、前記小径部57bが潤滑剤供給口56に嵌入して該潤滑剤供給口56を閉塞する構成となっている。前記小径部57bは、内側に空洞が設けられており、径方向に撓みやすく、潤滑剤供給口56へ嵌入しやすく構成されている。尚、前記小径部57bは、径小の苗押出スプリング51bの内径より若干径が小さく、図5に示すように、供給口キャップ57を装着したとき前記径小の苗押出スプリング51bの内径部53に挿入された状態となる。
【0030】
従って、この苗植付具32は、回転ケ−ス31の回転により、上下方向のル−プ軌跡Tで旋回し植付爪41により苗載置台20の下部の苗掻き取り口26aから一株分の苗を掻き取ってその掻き取った苗を圃場面に移送し、苗押出フォ−ク42が摺動して圃場に苗を押し出して植え付ける。一株分の苗を掻き取るとき、苗床から上方に延びる苗の葉が植付爪41の切欠き部41dに入ると共に植付爪41の先端部の上壁部41aと左右の側壁部41c,41cとにより苗植付具32に一株分の苗床が保持され、圃場面に移送する苗の苗床が分離しないように確実に苗床を保持する。また、苗植付具32に保持された苗は、前記左右の側壁部41c,41cの左右内側近傍にある苗押出フォ−ク42の苗押出プレ−ト42d,42dの押出作動により確実に圃場に植え付けられる。
【0031】
そして、この苗植付具32は、苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの一部を苗植付具ケ−ス32a内に設けた構成となっており、前記苗押出フォ−ク42より上位の苗植付具ケ−ス32aの上端部に前記ケ−ス32a内に潤滑剤であるグリスを供給するための潤滑剤供給口56を設けている。
【0032】
また、この苗植付具32は、苗載置台20上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪41と該植付爪41が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体となる苗押出フォ−ク42とを備え、前記苗押出フォ−ク42の一部と該苗押出フォ−ク42を摺動させるための苗押出スプリング51a,51bとを苗植付具ケ−ス32a内に設け、径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して複数の苗押出スプリング51a,51bが同軸上で作用する構成とし、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きい構成となっている。
【0033】
従って、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きいので、前記作用方向における端部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを近づけて、両者の付勢力が適確に同軸上で作用するようにして苗押出フォ−ク42を適確に摺動させるようにしながら、前記中央部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを大きく相違させて、両者の間隔を空けることができ、両者51a,51bが互いに接触して干渉するようなことを抑えることができ、苗押出スプリング51a,51bを適正に作用させて苗押出フォ−ク42の摺動を適正に且つスム−ズに行わせることができ、苗の植付を適正に安定して行える。
【0034】
また、苗押出フォ−ク42より上位に潤滑剤供給口56を設けているので、潤滑剤供給口56からグリスを苗植付具ケ−ス32a内の苗押出フォ−ク42付近に供給することができ、摺動する苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの摺動部の摩耗を抑制できるばかりでなく、苗押出フォ−ク42の摺動によりグリスが苗植付具ケ−ス32a全体に行きわたらせることができ、長期にわたって苗押出フォ−ク42の摺動を適正に且つスム−ズに行わせることができる。
【0035】
また、この苗植付具32は、前記苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの一部と該苗押出フォ−ク42を摺動させるための苗押出スプリング51a、51bを苗植付具ケ−ス32a内に設けた構成となっており、前記苗押出スプリング51a、51bの上端近くの苗植付具ケ−ス32aの上端部に前記ケ−ス32a内に潤滑剤であるグリスを供給するための潤滑剤供給口56を設けている。
【0036】
よって、苗押出スプリング51a、51bの近くに潤滑剤供給口56を設けているので、苗押出フォ−ク42の摺動により撓んで変形を繰り返すために損傷や摩耗が生じやすい苗押出スプリング51a、51bにグリスを供給することができ、前記苗押出スプリング51a、51bの損傷や摩耗を抑制することができ、苗植付具32の耐用性すなわち寿命を向上させることができる。
【0037】
また、この苗植付具32は、潤滑剤供給口56を閉塞するための供給口キャップ57を設けると共に、該供給口キャップ57を前記潤滑剤供給口56に装着したとき、前記供給口キャップ57の小径部57bが苗押出スプリング51の内径部53に挿入される構成としている。
【0038】
よって、潤滑剤供給口56に装着した供給口キャップ57の少なくとも一部57bが苗押出スプリング51a、51bの内径部53に挿入される構成としたので、潤滑剤供給口56を苗押出スプリング51a、51bに近接した配置とすることができ苗押出スプリング51a、51bに的確にグリスを供給することができ、前記苗押出スプリング51a、51bの損傷や摩耗を抑制することができ、苗植付具32の耐用性すなわち寿命を向上させることができる。また、前記供給口キャップ57を苗押出スプリング51a、51bの苗押出フォ−ク42の摺動方向と交差する方向の位置決め部材と兼用することができる。
【0039】
ところで、植付作業能率を向上させるべく機体の走行速度を高速にすると、苗植付具32により苗を植え付けた直後に該苗を苗植付具32が前側へ押しながら上昇するようになり、植え付けた苗の植付姿勢が前傾姿勢となるおそれがある。ところが、図7に示すように、苗植付具32が下死点Aで苗を植え付けるべく押出作動した苗押出フォ−ク42の苗押出面となる苗押出プレ−ト42d,42dの端面は、水平面に対して前上がりに傾斜した状態となる。これにより、苗植付具32の作動軌跡Tの下死点Aで苗押出フォ−ク42が押出作動して苗を植え付けると、苗は若干後傾姿勢で植え付けられるので、植え付けた後に苗植付具32が苗を前側へ押すことで該苗が鉛直な姿勢となるように修正されることになり、圃場に適正な姿勢で苗を植え付けることができる。また、苗植付具32が苗掻き取り口26aで苗を掻き取るとき、前記苗押出フォ−ク42の苗押出面となる苗押出プレ−ト42d,42dの端面は苗掻き取り口26a上の苗の床部すなわち左右移動ガイド板26の前後傾斜に対して平行かそれより苗押出プレ−ト42d,42dの端面の下側が上側より先に苗床に接触するように傾斜しているので、苗掻き取り時に苗が後傾姿勢で苗植付具32に保持されることとなり、作動軌跡Tの下死点Aで苗を後傾姿勢で植え付けることができる。従って、後傾姿勢で植え付けられた苗を直後に苗植付具32が前側へ押すことで該苗が鉛直な姿勢となるように修正されることになり、圃場に適正な姿勢で苗を植え付けることができる。
【0040】
尚、苗植付具32が下死点Aで苗を植え付けるべく苗押出フォ−ク42が押出作動する直前において、植付爪41の切欠き部41dの後端が苗押出フォ−ク42の前端より後位にあるので、植付爪41に保持された苗を植え付ける直前において後傾姿勢とすることができる。そして、苗押出フォ−ク42が押出作動すると、該苗押出フォ−ク42が若干前側に傾く下方に向けて押出作動するので、苗床が若干前側に押し出され、苗を後傾姿勢で植え付けることができる。従って、後傾姿勢で植え付けられた苗を直後に苗植付具32が前側へ押すことで該苗が鉛直な姿勢となるように修正されることになり、圃場に適正な姿勢で苗を植え付けることができる。
【0041】
また、苗掻き取り口26aに異物等があって苗植付具32と干渉すると、苗植付装置22の駆動においてメカロックを起こさないために、苗植付装置駆動軸30に設けた安全クラッチ39が作動して苗植付装置22の伝動を断つ。このとき、回転ケ−ス31の回転により連続的に作動していた苗植付装置22の駆動が突然停止するので、回転ケ−ス31内のガタ止め機構40が作用しているのも相俟って苗植付装置22の駆動の停止の衝撃が苗植付具32に伝わり、苗植付具ケ−ス32aを苗植付具固定部材32cに固着するための取付ボルト32b,32bが弛み、それに伴って苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるおそれがある。ところが、図7に示すように、苗植付具32の先端が苗掻き取り口26aの位置にあるとき、苗植付具ケ−ス32aを苗植付具固定部材32cに固着するための2本の取付ボルト32b,32bが共に最終ギヤ回動軸36より前側に位置するので、安全クラッチ39の作動により苗植付装置22が突然停止しても、図7視で苗植付具32が回転ケ−ス31に対して右回りに回動するため、回転ケ−ス31内の伝動により前記2本の取付ボルト32b,32bが最終ギヤ回動軸36回りに上側に回動しようとするときに停止することとなる。従って、安全クラッチ39の作動により苗植付具32の先端が苗掻き取り口26aの位置にあるときに停止しても、前記2本の取付ボルト32b,32b共に苗植付具32の自重とは相反する方向に苗植付装置22の駆動力が伝えられるので、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に弛みにくくなる。よって、苗の植付を再開したときに、苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるのを抑えることができる。
【0042】
尚、一方の苗植付具32が苗掻き取り口26aの位置にあるとき、回転ケ−ス31の反対側に設けた他方の苗植付具32は苗を植え付ける作動軌跡Tの下死点A付近に位置する。このとき、前記他方の苗植付具32においても、苗植付具ケ−ス32aを苗植付具固定部材32cに固着するための2本の取付ボルト32b,32bが共に最終ギヤ回動軸36より前側に位置するので、安全クラッチ39の作動により苗植付装置22が突然停止しても、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に弛みにくく、苗の植付を再開したときに苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるのを抑えることができる。また、苗植付具32が作動軌跡Tの下死点A付近で苗を植え付けるとき、圃場に石等の異物があって苗植付具32と干渉することにより安全クラッチ39が作動して苗植付装置22が突然停止しても、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に最終ギヤ回動軸36より前側に位置するので、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に弛みにくく、苗の植付を再開したときに苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるのを抑えることができる。
【0043】
ところで、植付クラッチケ−ス12内の伝動構成について説明すると、入力軸65から入力ギヤ75を介して出力軸70と同軸上で回転する株間切替用軸76へ伝動する。駆動クラッチ爪77と一体回転するクラッチ入力軸78と前記株間切替用軸76との間には伝動比の異なる5組の株間切替ギヤ79〜83を設けており、駆動側の株間切替ギヤ79〜83と株間切替用軸76との間に設けた株間切替スライドキー84により伝動するギヤを択一的に選択できるようになっており、植付クラッチケース12外の株間切替レバー(図示せず)により前記株間切替スライドキー84を移動させる株間切替シフター85を操作する構成となっている。また、駆動クラッチ爪77と噛み合う受動クラッチ爪体66を設け、該受動クラッチ爪体66と一体回転するカウンタ軸67に伝動する。尚、前記受動クラッチ爪体66がスプリング68により駆動クラッチ爪65a側に付勢され、植付クラッチピン69の出退により受動クラッチ爪体66を前記カウンタ軸67に沿って移動させて伝動の入切を行えるようになっている。出力軸70と前記カウンタ軸67との間には伝動角速度が変化する偏心ギヤ71と等速で伝動する真円ギヤ72との2組のギヤを設けており、該偏心ギヤ71又は真円ギヤ72を介して前記出力軸70を不等速回転させるようになっている。従って、前記偏心ギヤ71により、苗植付具32を不等速に作動させることができる。尚、前記偏心ギヤ71によりカウンタ軸67の回転に対して出力軸70の回転が最も速くなるときに苗植付装置22の苗植付具32がループ状の作動軌跡Tの下死点付近を通過するように、前記出力軸70の2回転につき苗植付装置22の回転ケース31が1回転するように伝動されている。尚、互いに噛み合う偏心ギヤ71は同歯数に設けられ、前記カウンタ軸67の一回転につき前記出力軸70が一回転する。また、駆動側の偏心ギヤ71及び真円ギヤ72とカウンタ軸67との間に設けた不等速切替スライドキー73により等速伝動するか不等速伝動するかを択一的に選択できるようになっており、植付クラッチケース12外の株間切替レバー(図示せず)により前記不等速切替スライドキー73を移動させる不等速切替シフター74を操作する構成となっている。尚、株間切替シフター85及び不等速切替シフター74は、同一のシフター軸86に取り付けられている。
【0044】
従って、この乗用型の田植機1は、前輪6及び後輪7を駆動して走行車体2を走行させながら苗植付部3を駆動することにより苗植付装置22の苗植付具32が作動し、圃場に所定の植付株間で苗を植え付けていく。そして、株間切替レバー(図示せず)により、株間切替シフター85を操作して苗植付部3の作動速度を変速して植付株間を変更することができると共に、不等速切替シフター74を操作して苗植付具32の植付周期と同じ周期で不等速に変速させるか又は等速で苗植付部3へ伝動することができる。尚、5組の株間切替ギヤ79〜83のうち低速で伝動する2組の株間切替ギヤ79、80を介して伝動するときに偏心ギヤ71が伝動状態となり、苗植付具32…の作動軌跡Tの下死点付近で苗植付部3の作動速度が速くなる。一方、残りの3組の株間切替ギヤ81〜83を介して伝動するときには真円ギヤ72が伝動状態となる。従って、株間が広くなるように低速で苗植付具32を作動させるときに偏心ギヤ71により不等速で伝動され、苗植付具32の土壌内でのひきずり量すなわち圃場面の植付跡が無闇に大きくならないようにし、植付苗が倒れたり浮苗になったりするのを抑止し、適正に苗を植え付けることができる。
【0045】
また、株間切替ギヤ79〜83と偏心ギヤ71並びに真円ギヤ72とを植付クラッチケース12内に設け、それぞれの伝動切替方向を同じ前後方向にすると共に、低速で伝動する株間切替ギヤ79、80に切り替える側(前側)と苗植付具32の作動軌跡Tの下死点付近で苗植付部3の作動速度が速くなるように伝動する偏心ギヤ71に切り替える側(前側)とを同じ側にしたので、同一のシフター軸86により株間切替ギヤ79〜83と偏心ギヤ71並びに真円ギヤ72とを連動して切り替えることができ、この切替構成を簡単にできると共に、株間切替レバー(図示せず)を操作するだけで自動的に苗植付具32の作動周期における変速操作が行われるため、操作性が向上する。従来は、株間切替レバーとは別に苗植付具32の作動周期における変速操作を行う不等速変速用レバーを設けていたので、株間切替レバーと不等速変速用レバーとを操作しなければならず、株間変速レバ−により植付株間を変更する際に前記不等速変速用レバーによる不等速伝動部の変速操作を忘れることがあり、苗植付具の土壌内でのひきずり量が不適正となって苗の植付が不適正となるおそれがある。
【0046】
尚、以上の発明の実施の形態は乗用型の田植機1について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
同様に、以上の発明の実施の形態は回転ケ−ス31を備える苗植付装置22について記述したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型の田植機を示す側面図
【図2】乗用型の田植機を示す平面図
【図3】苗植付装置駆動軸への伝動構成を示す平面断面図
【図4】苗植付装置を示す平面一部断面図
【図5】苗植付装置を示す側面一部断面図
【図6】回転ケ−スの側面断面図
【図7】苗掻き取り時及び苗植付時の苗植付具を示す側面図
【図8】苗植付具を示す側面断面図
【図9】径が小さい苗押出スプリングを示す図
【図10】苗載置台の一部を示す背面図
【図11】延長苗載置台の一部を示す正面図
【図12】苗載置台の上端部を示す側面図
【図13】滑りガイドを示す苗載置台の側面断面図
【図14】滑りガイドを示す苗載置台の一部破断する背面図
【図15】滑りガイドを収納した状態を示す苗載置台の側面断面図
【図16】滑りガイドを示す苗載置台の側面断面図
【図17】滑りガイドを示す苗載置台の側面断面図
【図18】植付クラッチケース内部を示す側面断面図
【符号の説明】
20…苗載置台、32…苗植付具、32a…苗植付具ケ−ス、41…植付爪、42…苗押出フォ−ク、51a…径が大きい苗押出スプリング、51b…径が小さい苗押出スプリング
【発明の属する技術分野】
この発明は、苗載置台上のマット状の苗から掻き取った苗を苗押出体により押し出して圃場に植え付ける苗植付具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開2001−269023号公報に示すように、田植機等の苗移植機において、苗載置台上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪と該植付爪が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体とを備え、前記苗押出体の一部と該苗押出体を摺動させるための苗押出スプリングとをケ−ス内に設けた構成の苗植付具がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の構成によると、前記ケ−スの小型化を図ることにより、苗植付具全体の重量を軽減して該苗植付具による苗の植付姿勢や植付作業能率等の植付性能の向上を図ることができる。ところが、前記ケ−スの小型化に伴って該ケース内のスペ−スが小さくなるため、ケ−ス内に設ける苗押出スプリングのスプリング長が制限され、単一の苗押出スプリングでは所望の付勢力が得られないことがある。そこで、径が大きい苗押出スプリングの内径部に径が小さい苗押出スプリングを挿入して複数の苗押出スプリングが同軸上で作用する構成とすることが考えられる。
【0004】
このとき、前記複数の苗押出スプリングのスペースを小さくしながら付勢力を十分に得るには、該複数の苗押出スプリングの互いの径をできるだけ近づけて互いの苗押出スプリングの付勢力の均等化を図ることが考えられるが、複数の苗押出スプリングの互いの径を近づけると、両者が互いに接触して干渉しやすくなり、苗押出スプリングが適正に作用しなくなって苗押出体の摺動が適正に且つスム−ズに行われなくなるおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、この発明は、苗載置台20上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪41と該植付爪41が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体42とを備え、前記苗押出体42の一部と該苗押出体42を摺動させるための苗押出スプリング51a,51bとをケ−ス32a内に設ける苗植付具において、径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して複数の苗押出スプリング51a,51bが同軸上で作用する構成とし、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きい構成としたことを特徴とする苗植付具とした。
【0006】
従って、この苗植付具は、植付爪41により苗載置台20上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取り、苗押出体42の摺動によりその掻き取った苗を押し出して圃場へ植え付ける。苗押出体42は、ケ−ス32a内に設けた径が大きい苗押出スプリング51aと径が小さい苗押出スプリング51bとの複数の苗押出スプリング51a,51bにより摺動する。前記径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入し、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きいので、前記作用方向における端部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを近づけて、両者の付勢力が適確に同軸上で作用するようにして苗押出体42を適確に摺動させるようにしながら、前記中央部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを大きく相違させて、両者51a,51bの間隔を空けることができる。
【0007】
【発明の効果】
よって、複数の苗押出スプリング51a,51bの付勢力が適確に同軸上で作用するようにして苗押出体42を適確に摺動させるようにしながら、苗押出スプリング51a,51bの中央部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを大きく相違させて、両者51a,51bの間隔を空けることができるので、両者51a,51bが互いに接触して干渉するようなことを抑えることができ、苗押出スプリング51a,51bを適正に作用させて苗押出体42の摺動を適正に且つスム−ズに行わせることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2と6条植えの苗植付部3とから構成される。
【0009】
走行車体2の略中央に駆動源であるエンジン4が備えられ、該エンジン4の駆動により走行ミッションケ−ス5等を介して前輪6,6及び後輪7,7が駆動され、これらの前後輪6,6,7,7が駆動されて走行車体2が走行する。前記エンジン4の上方に操縦席8が備えられ、該操縦席8の前側にステアリングハンドル9が設けられている。この走行車体2の後部に昇降リンク機構10が設けられ、該昇降リンク機構10を介して前記苗植付部3が装着され、油圧昇降シリンダ11の伸縮により上下に昇降するように設けられている。尚、走行車体側からの動力が植付クラッチケ−ス12を介して前記苗植付部3に伝動されるようになっている。
【0010】
また、操縦席前側のステップ部には有段操作される株間変速レバ−13が設けられており、走行ミッションケ−ス5のギヤの噛み合いを変更して走行車体2の走行速度に対する苗植付部3の作動速度を変速できるようになっている。この株間変速レバ−13により、植付作業者が圃場に移植する苗の植付株間を設定できるようになっている。従って、前記株間変速レバ−13を操作しない限り、走行速度に比例した速度で前記苗植付部3が作動されるようになっている。
【0011】
苗植付部3は、苗載置台20と植付伝動部21及び各条の苗植付装置22,…とを備えて構成される。苗植付部3の下部には、センタ−フロ−ト23及び両側部にサイドフロ−ト24,24が設けられており、該フロ−ト23,24,24が圃場面を滑走する構成である。
【0012】
また、苗植付部3は、植付伝動部21からの動力により前記苗植付装置22を作動する。前記苗載置台20は、上部を苗載置台支持ロ−ラ25,25、下部を左右移動ガイド板26により左右移動可能に支持され、機体側面視で苗載置面が上側へ凸状となる緩やかな曲面となっている。従って、苗植付部3は、苗載置台20が固着された苗載置台左右移動棒27を左右移動させて苗載置台20を左右移動させ、マット状の苗を苗植付装置22により一株づつ掻き取る構成となっている。尚、前記左右移動ガイド板26には、苗植付装置22,…の苗掻き取り口26a,…が設けられている。また、前記苗載置台20には、各条に苗送りベルト28…が設けられている。各条の前記苗送りベルト28…は、下側の駆動ロ−ラ28a…と上側の従動ロ−ラ28b…とに巻回されている。苗載置台20の左右移動終端において、植付伝動部21からの動力により作動する左右それぞれのラチェットアーム88を介して前記駆動ロ−ラ28a…が所定量回転して苗送りベルト28…がマット状の苗を苗植付装置22…側に所定量づつ順次移送する構成となっている。
【0013】
苗載置台20の上端部には、該苗載置台20の苗載置面の延長面上に前後方向にスリット60を有する延長苗載置台61を固着している。作業者が、この延長苗載置台61に苗を載せてから苗載置台20へ供給することにより、苗載置台20への苗供給作業を容易に行える。苗載置台20の上端部の適宜の位置には前記ラチェットアーム88へ潤滑油を給油するための給油口89を左右それぞれ設けており、給油口89から給油ホース90を介してラチェットアーム88へ給油される構成となっている。給油口89は延長苗載置台61のスリット60の空間部に配置され、給油口89には苗の床土や塵等の異物が入らないように給油キャップ89aを設けている。この給油キャップ89aは、前下側の端部に設けた回動軸89b回りに上側に開くようになっている。従って、作業者は、延長苗載置台61の上側から給油キャップ89aを容易に開閉することができ、且つ延長苗載置台61の上側から給油口89へ容易に給油することができる。また、給油キャップ89aの回動軸89bは、給油口89の前下側に設けたので、延長苗載置台61の苗載置面から離れた位置に配置され、延長苗載置台61上の苗の床部に干渉することが防止される。従って、苗の床部でこの回動軸89b部を傷めることを防止できる。従来は、給油キャップの回動軸を給油口の後上側に設けていたので、給油キャップを上側から開閉しにくく、給油キャップが邪魔になって給油口へ上側から給油しにくく、給油キャップの回動軸部が延長苗載置台の苗載置面に接近して配置されるため、前記回動軸部が延長苗載置台上の苗の床部に接触して破損したりあるいは苗の床土がかかりやすくその床土で摩耗しやすくなるという危惧がある。
【0014】
苗載置台20には、苗載置台20での苗の滑りを円滑にしマット状の苗が苗植付装置22側に円滑に移送されるようにするための滑りガイド62を装着できる。この滑りガイド62は、弾性のある幅の狭い帯状のプレ−トの先端部をフック状に屈曲させた構成となっており、この屈曲させたフック部分62aを除く主要部62bは機体側面視で苗載置台20の苗載置面が形成する曲線よりも曲率が大きい曲線状に構成されている。滑りガイド62を装着するには、延長苗載置台61の上端に前記フック部分62aをひっかけて前記主要部62bが苗載置台20の上部で該苗載置台20の苗載置面より上側に位置するように装着する。図13及び図14に示すように、主要部62bの上部には下側に延びる左右2枚の外れ止め用プレート62cを固着しており、該左右2枚の外れ止め用プレート62cが延長苗載置台61の隣接するスリット60を通るように装着し、延長苗載置台61の下側で該外れ止め用プレート62cに設けた外れ止め用孔62dにピン63を挿入して滑りガイド62が苗載置台20から外れないようにしている。滑りガイド62は苗載置台20の各条の苗載置面に複数本装着するが、図14に示すように2本装着するのが一般的である。尚、滑りガイド62を装着した状態で、該滑りガイド62の下端が苗載置台20の苗送りベルト28の近くに位置し、滑りガイド62によりマット状の苗が苗送りベルト28上に円滑に供給されるようにしている。
【0015】
外れ止め用プレート62cには外れ止め用孔62dより主要部62b側の位置に収納用孔62eを設けており、図15に示すように、滑りガイド62を下側に撓ませて該収納用孔62eを延長苗載置台61の下側に位置させて該収納用孔62eにピン63を挿し替えて挿入し、滑りガイド62を苗載置台20の苗載置面に沿わせて苗載置台20に収納するようになっている。尚、苗載置台20の苗載置面に溝を設け、この溝内に滑りガイド62を収納する構成としてもよい。滑りガイド62を苗載置台20の苗載置面に沿わせることにより、前記苗載置面で苗を受けて滑りガイド62を装着しない状態と同様に苗を供給することができる。従って、軽量で滑りにくい苗、特に床部に籾殻を使用した籾殻マット苗やロックウールマットの乳苗等を移植するときは、滑りガイド62を突出させて該滑りガイド62にマット状の苗の底面が接触するようにし、苗の接触面積を小さくして苗の苗植付装置22側への移送抵抗を小さくして苗の移送の円滑化を図る。一方、円滑に移送される苗を移植するときは、滑りガイド62を苗載置台20に収納して苗載置台20でマット状の苗の底面の全面を受けるようにし、マット状の苗が崩れたりするのを防止できる。そして、その滑りガイド62の切替は、ピン63の外れ止め用孔62dと収納用孔62eとの挿し替えにより行うので、ワンタッチで簡単である。従来は、滑りガイド62が不要なときは該滑りガイド62を取り外していたので、その取り外しの手間がかかったり取り外した滑りガイド62を格別に収納する必要があり、作業性の悪いものであった。
【0016】
尚、図16に示すように、滑りガイド62の切替を外れ止め用プレート62cに連結した切替レバー91の操作により行えるようにしてもよい。これにより、滑りガイド62の切替操作の容易化を図ることができる。このとき、全条分の滑りガイド62を連結し該滑りガイド62の切替を単一の切替レバー91により行えるようにすると、更なる切替操作の容易化を図ることができる。また、図17に示すように、延長苗載置台61をその下端の左右方向の軸64回りに回動可能に設け、延長苗載置台61の回動により滑りガイド62の切替を行えるようにしてもよい。
【0017】
苗植付装置22は、植付伝動部21の植付伝動フレ−ム29の端部から出力され機体の走行速度に比例して一定速度で回動する苗植付装置駆動軸30の駆動により作動するようになっている。尚、前記苗植付装置駆動軸30は、前側から巻きかけたチェ−ン37からの伝動により駆動する従動スプロケット38と安全クラッチ39とを介して伝動されて駆動する。前記安全クラッチ39は、該従動スプロケット38の端部に一体で設けた駆動クラッチ爪39a、該駆動クラッチ爪39aと噛み合う受動クラッチ爪を備える受動クラッチ爪体39b及び前記従動スプロケット38を前記受動クラッチ爪体39b側へ付勢する圧縮スプリング39cを備えて構成される。尚、前記従動スプロケット38すなわち前記駆動クラッチ爪39aは苗植付装置駆動軸30回りに回転するように設けられ、前記受動クラッチ爪体39bは前記苗植付装置駆動軸30と一体回転するようになっている。前記駆動クラッチ39a爪及び受動クラッチ爪体39bの爪部は傾斜面を備えており、苗植付装置22が異物等に干渉してメカロックを起こすと、前記傾斜面により圧縮スプリング39cに抗して駆動クラッチ爪39aすなわち従動スプロケット38が受動クラッチ爪体39bとは反対側に移動して、安全クラッチ39の伝動を断つようになっている。
【0018】
前記苗植付装置22は、苗植付装置駆動軸30と一体回転する回転ケ−ス31と該回転ケ−ス31の両端部にそれぞれ装着された苗植付具32,32とを備えて構成され、該苗植付具32,32が前記苗掻き取り口26a上の苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付けていくようになっている。前記回転ケ−ス31が該苗植付装置駆動軸30と一体回転するように取り付けられると共に、回転ケ−ス31内の太陽ギヤ33が前記植付伝動フレ−ム29に対して回転しないように設けられ、回転ケ−ス31の回動により該太陽ギヤ33と噛み合う中間ギヤ34,34を前記太陽ギヤ33回りに回動させ、前記中間ギヤ34,34の駆動により該中間ギヤ34,34と噛み合う最終ギヤ35,35を回動させる。そして、該最終ギヤ35,35と一体回転する最終ギヤ回動軸36,36の端部の方形軸部が苗植付具32の苗植付具固定部材32cの方形穴部に嵌合しており、前記最終ギヤ回動軸と前記苗植付具32,32を一体回転させ、前記回転ケ−ス31の回動位置に対して前記苗植付具32,32の前後傾斜姿勢が決定される。すなわち、前記苗植付具32が最終ギヤ35と一体回転するようになっている。また、前記中間ギヤ34,34及び前記最終ギヤ35,35は、前記太陽ギヤ33に対して対称位置に設けられてそれぞれの苗植付具32,32の前後傾斜姿勢を決定するようになっている。尚、苗植付具32,32には苗植付具ケ−ス32a,32aを備えており、該苗植付具ケ−ス32aを2本の取付ボルト32b,32bにより前記苗植付具固定部材32cに固着している。
【0019】
また、前記太陽ギヤ33と前記中間ギヤ34,34と前記最終ギヤ35,35とは非円形の偏心ギヤであると共にそれぞれ同歯数であり、回転ケ−ス31の一回転につき前記中間ギヤ34,34及び前記最終ギヤ35,35が回動角速度を変えながらそれぞれ一回転する。従って、回転ケ−ス31が一回転する間に、苗植付具32,32が回転ケ−ス31の回動とは逆方向に該回転ケ−ス31に対して一回転するようになっている。
【0020】
また、回転ケ−ス31内の太陽ギヤ33、中間ギヤ34及び最終ギヤ35の噛み合いにおけるバックラッシにより発生するガタを吸収すべく、ガタ止め機構40を回転ケ−ス31内に設けている。前記ガタ止め機構40は、最終ギヤ35と一体回転するガタ止めカム40aと該カム40aに当接するガタ止めア−ム40bと該ア−ム40bを前記ガタ止めカム40a側に付勢するガタ止めスプリング40cとを備えて構成される。このガタ止め機構40cにより、苗植付装置22が苗掻き取り口26aから苗を掻き取るとき及び掻き取った苗を圃場に植え付けるときに前記バックラッシによる最終ギヤ35のガタを止めて苗植付具32の前後傾斜姿勢のガタを抑え、該苗植付具32により適確に苗を掻き取り適確に圃場に苗を植え付けるようにしている。
【0021】
前記苗植付具32は、マット状の苗を一株分掻き取って保持する植付爪41と該植付爪41で分離して保持した苗を圃場面へ向けて押し出す苗押出体の一例である苗押出フォ−ク42とを備えて構成される。前記回転ケ−ス31の回動により苗植付具32がル−プ軌跡Tを描いて前記苗掻き取り口26aを通過することにより、前記植付爪41が苗掻き取り口26aにある苗を掻き取り保持するようになっている。
【0022】
前記植付爪41は、取付ボルト43により苗植付具ケ−ス32aに固着されており、上壁部41aと該上壁部41aの先端側の左右両端部から下方へ突出して設けられた左右の側壁部41c,41cとを備えて構成される。また、前記上壁部41aの左右中央には、植付爪41の先端部から基部側に向かって切欠き部41dを設けている。尚、前記切欠き部41dは、前記左右の側壁部41c,41cより植付爪41の基部側にまで延設されると共に、植付爪41の先端において前記上壁部41aの左右幅と略同一に構成され、植付爪41の先端から基部側に向かうに従って左右幅が縮小され、所定の位置から基部側は一定の左右幅となっている。従って、植付爪41の先端部において、上壁部41a及び左右の側壁部41c,41cにより横断面が左右一対のL字型で構成される苗保持部を構成している。
【0023】
苗押出フォ−ク42は、押出作動により前記苗植付具ケ−ス32aに対して摺動する丸軸部42aと該丸軸部42aの先端に固着された苗押出部42bとを備えて構成される。前記苗押出部42bには苗押出基部42cと左右の苗押出プレ−ト42d,42dとを設け、該苗押出プレ−ト42d,42dの前端部が植付爪41が保持した苗の苗床に当接して植付爪41が保持した苗を押し出すようになっている。左右の前記苗押出プレ−ト42d,42dは、植付爪41の側壁部41c,41cより左右内側の該側壁部41c,41cの近傍に設けられ、該プレ−ト42d,42dの上部が側面視で植付爪41の前記側壁部41c,41cと重複するように設けられている。
【0024】
前記苗押出フォ−ク42の上部すなわち丸軸部42aの一部は、苗植付具ケ−ス32a内に挿入されている。前記苗植付具ケ−ス32a内には、前記苗押出フォ−ク42の上端部に下部支軸44aを介して連結された連結リンク44と、該連結リンク44に上部支軸44bを介して連結した苗押出ア−ム45と、苗押出ア−ム45と一体的に設けたカム側ア−ム46と、該カム側ア−ム46と当接する苗押出カム47とを備えている。尚、前記苗押出ア−ム45及び前記カム側ア−ム46は、苗植付具ケ−ス32aに取り付けた揺動軸48回りに一体で揺動するようになっている。尚、前記連結リンク44は、前記下部支軸44aを介して前記苗押出フォ−ク42に連結されているが、苗押出フォ−ク42と当接することにより該苗押出フォ−ク42に対してほとんど回動しないように設けられている。また、前記苗押出カム47は、回転ケ−ス31の最終ギヤ回動軸36,36回りに回動可能に設けられると共に、該苗押出カム47の回転ケ−ス31側の端部47aの外形が側面視で方形に構成されて回転ケ−ス31の方形穴部49に挿入されており、前記回転ケ−ス31に対して回動しないように設けられている。従って、回転ケ−ス31の一回転につき、苗押出カム47が苗植付具32に対して一回転する構成となっている。そして、苗植付具32に対する苗押出カム47の一回転につき、カム側ア−ム46を介して苗押出ア−ム45が1往復分揺動し、苗押出フォ−ク42が1往復分摺動する構成となっている。尚、苗植付具ケ−ス32aにおける苗押出フォ−ク42が摺動する部分にはゴム製のシ−ル材50を設けており、該シ−ル材50により苗押出フォ−ク42の摺動により苗植付具ケ−ス32a内に供給された後述するグリス(潤滑剤)が苗植付具ケ−ス32a外へ連れ出されないようにしている。
【0025】
連結リンク44の上端部には、圧縮スプリングである苗押出スプリング51a,51bを複数(2個)当接させて設けている。2個の苗押出スプリング51a,51bは、径が異なっており、径の大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して苗押出フォ−ク42の丸軸部42a上となる同軸上で作用する。苗押出スプリング51a,51bの他端は苗植付具ケ−ス32aの内面に当接しており、径の大きい苗押出スプリング51aはその上端の外径部が苗植付具ケ−ス32aの内面の角部に当接し、径が小さい苗押出スプリング51はその上端の内径部が苗植付具ケ−ス32aの上端に設けた供給口キャップ57に当接し、それぞれの苗押出スプリング51a,51bがその作用方向(苗押出フォ−ク42の軸方向)と交差する方向へ位置ずれしないように位置決めされている。また、前記連結リンク44の上端部には、前記苗押出スプリング51a,51bの下端部が当接するための当接面を構成している。そして、図9に示すように、径が小さい苗押出スプリング51bは、その作用方向における両端部の径が中央部より大きくラッパ状に構成されている。
【0026】
そして、苗押出フォ−ク42は、前記苗押出スプリング51により苗の押出作用側へ付勢されており、前記苗押出カム47により苗の押出作用側への摺動を規制され、カム側ア−ム46が苗押出カム47の小径部47bに当接する状態で苗押出スプリング51a,51bにより摺動して押出作動するようになっている。尚、苗植付具32のル−プ軌跡Tの下死点Aの位置にきたとき、前記苗押出フォ−ク42が押出作動するようになっている。そして、苗植付具32が前記下死点Aの位置から上昇して苗掻き取り口26aの位置に来るまでに押出作動した苗押出フォーク42が戻り作動して、植付爪41が苗を掻き取るまでに苗押出フォーク42が戻り作動するようになっている。尚、苗押出フォ−ク42が押出作動したときに苗押出ア−ム45と当接するクッションゴム52を苗植付具ケ−ス32a内に設けており、該クッションゴム52により苗押出スプリング51a,51bによる苗押出フォ−ク42の押出作動の衝撃を緩和する構成となっている。
【0027】
そして、苗押出スプリング51a,51bの圧縮方向と苗押出フォ−ク42の摺動方向とは同じ方向であり、苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの軸心の延長線が苗押出スプリング51a,51bの内径部53を通過する位置関係になっている。従って、苗押出スプリング51のスプリング力が苗押出フォ−ク42に対して該フォ−ク42の摺動方向と交差する方向に作用しないようにでき、苗押出フォ−ク42をスム−ズに摺動させることができ、苗押出フォ−ク42の摺動部に設けたシ−ル材50や苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの摺動部等の摩耗を抑えることができる。
【0028】
ところで、前記苗押出スプリング51a,51bの上側の苗植付具ケ−ス32aの上端部には、潤滑剤供給口56を設けている。この潤滑剤供給口56より苗植付具ケ−ス32a内へ潤滑剤であるグリスを吐出する吐出口を挿入する等して、前記グリスを苗植付具ケ−ス32a内に供給するようになっている。苗植付具ケ−ス32a内に供給されたグリスにより、苗押出フォ−ク42、苗押出スプリング51a,51b、連結リンク44、苗押出ア−ム45、カム側ア−ム46及び苗押出カム47といった苗植付具ケ−ス32a内の苗押出フォ−ク42を摺動させる構成部材を潤滑し、これらの構成部材をスム−ズに作動させると共にこれらの構成部材の摩耗を抑制するようになっている。尚、前記潤滑剤供給口56は、径の小さい苗押出スプリング51bの内径より小さい径で構成されている。
【0029】
そして、前記潤滑剤供給口56には、苗植付具ケ−ス32a内のグリスが潤滑剤供給口56から飛び出さないように該供給口56を閉塞するための供給口キャップ57を設けている。この供給口キャップ57は、ゴム製であり、潤滑剤供給口56より径が大きい大径部57aと前記潤滑剤供給口56と外形が略同径の小径部57bとを備え、前記小径部57bが潤滑剤供給口56に嵌入して該潤滑剤供給口56を閉塞する構成となっている。前記小径部57bは、内側に空洞が設けられており、径方向に撓みやすく、潤滑剤供給口56へ嵌入しやすく構成されている。尚、前記小径部57bは、径小の苗押出スプリング51bの内径より若干径が小さく、図5に示すように、供給口キャップ57を装着したとき前記径小の苗押出スプリング51bの内径部53に挿入された状態となる。
【0030】
従って、この苗植付具32は、回転ケ−ス31の回転により、上下方向のル−プ軌跡Tで旋回し植付爪41により苗載置台20の下部の苗掻き取り口26aから一株分の苗を掻き取ってその掻き取った苗を圃場面に移送し、苗押出フォ−ク42が摺動して圃場に苗を押し出して植え付ける。一株分の苗を掻き取るとき、苗床から上方に延びる苗の葉が植付爪41の切欠き部41dに入ると共に植付爪41の先端部の上壁部41aと左右の側壁部41c,41cとにより苗植付具32に一株分の苗床が保持され、圃場面に移送する苗の苗床が分離しないように確実に苗床を保持する。また、苗植付具32に保持された苗は、前記左右の側壁部41c,41cの左右内側近傍にある苗押出フォ−ク42の苗押出プレ−ト42d,42dの押出作動により確実に圃場に植え付けられる。
【0031】
そして、この苗植付具32は、苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの一部を苗植付具ケ−ス32a内に設けた構成となっており、前記苗押出フォ−ク42より上位の苗植付具ケ−ス32aの上端部に前記ケ−ス32a内に潤滑剤であるグリスを供給するための潤滑剤供給口56を設けている。
【0032】
また、この苗植付具32は、苗載置台20上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪41と該植付爪41が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体となる苗押出フォ−ク42とを備え、前記苗押出フォ−ク42の一部と該苗押出フォ−ク42を摺動させるための苗押出スプリング51a,51bとを苗植付具ケ−ス32a内に設け、径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して複数の苗押出スプリング51a,51bが同軸上で作用する構成とし、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きい構成となっている。
【0033】
従って、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きいので、前記作用方向における端部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを近づけて、両者の付勢力が適確に同軸上で作用するようにして苗押出フォ−ク42を適確に摺動させるようにしながら、前記中央部で径が大きい苗押出スプリング51aの内径と径が小さい苗押出スプリング51bの外径とを大きく相違させて、両者の間隔を空けることができ、両者51a,51bが互いに接触して干渉するようなことを抑えることができ、苗押出スプリング51a,51bを適正に作用させて苗押出フォ−ク42の摺動を適正に且つスム−ズに行わせることができ、苗の植付を適正に安定して行える。
【0034】
また、苗押出フォ−ク42より上位に潤滑剤供給口56を設けているので、潤滑剤供給口56からグリスを苗植付具ケ−ス32a内の苗押出フォ−ク42付近に供給することができ、摺動する苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの摺動部の摩耗を抑制できるばかりでなく、苗押出フォ−ク42の摺動によりグリスが苗植付具ケ−ス32a全体に行きわたらせることができ、長期にわたって苗押出フォ−ク42の摺動を適正に且つスム−ズに行わせることができる。
【0035】
また、この苗植付具32は、前記苗押出フォ−ク42の丸軸部42aの一部と該苗押出フォ−ク42を摺動させるための苗押出スプリング51a、51bを苗植付具ケ−ス32a内に設けた構成となっており、前記苗押出スプリング51a、51bの上端近くの苗植付具ケ−ス32aの上端部に前記ケ−ス32a内に潤滑剤であるグリスを供給するための潤滑剤供給口56を設けている。
【0036】
よって、苗押出スプリング51a、51bの近くに潤滑剤供給口56を設けているので、苗押出フォ−ク42の摺動により撓んで変形を繰り返すために損傷や摩耗が生じやすい苗押出スプリング51a、51bにグリスを供給することができ、前記苗押出スプリング51a、51bの損傷や摩耗を抑制することができ、苗植付具32の耐用性すなわち寿命を向上させることができる。
【0037】
また、この苗植付具32は、潤滑剤供給口56を閉塞するための供給口キャップ57を設けると共に、該供給口キャップ57を前記潤滑剤供給口56に装着したとき、前記供給口キャップ57の小径部57bが苗押出スプリング51の内径部53に挿入される構成としている。
【0038】
よって、潤滑剤供給口56に装着した供給口キャップ57の少なくとも一部57bが苗押出スプリング51a、51bの内径部53に挿入される構成としたので、潤滑剤供給口56を苗押出スプリング51a、51bに近接した配置とすることができ苗押出スプリング51a、51bに的確にグリスを供給することができ、前記苗押出スプリング51a、51bの損傷や摩耗を抑制することができ、苗植付具32の耐用性すなわち寿命を向上させることができる。また、前記供給口キャップ57を苗押出スプリング51a、51bの苗押出フォ−ク42の摺動方向と交差する方向の位置決め部材と兼用することができる。
【0039】
ところで、植付作業能率を向上させるべく機体の走行速度を高速にすると、苗植付具32により苗を植え付けた直後に該苗を苗植付具32が前側へ押しながら上昇するようになり、植え付けた苗の植付姿勢が前傾姿勢となるおそれがある。ところが、図7に示すように、苗植付具32が下死点Aで苗を植え付けるべく押出作動した苗押出フォ−ク42の苗押出面となる苗押出プレ−ト42d,42dの端面は、水平面に対して前上がりに傾斜した状態となる。これにより、苗植付具32の作動軌跡Tの下死点Aで苗押出フォ−ク42が押出作動して苗を植え付けると、苗は若干後傾姿勢で植え付けられるので、植え付けた後に苗植付具32が苗を前側へ押すことで該苗が鉛直な姿勢となるように修正されることになり、圃場に適正な姿勢で苗を植え付けることができる。また、苗植付具32が苗掻き取り口26aで苗を掻き取るとき、前記苗押出フォ−ク42の苗押出面となる苗押出プレ−ト42d,42dの端面は苗掻き取り口26a上の苗の床部すなわち左右移動ガイド板26の前後傾斜に対して平行かそれより苗押出プレ−ト42d,42dの端面の下側が上側より先に苗床に接触するように傾斜しているので、苗掻き取り時に苗が後傾姿勢で苗植付具32に保持されることとなり、作動軌跡Tの下死点Aで苗を後傾姿勢で植え付けることができる。従って、後傾姿勢で植え付けられた苗を直後に苗植付具32が前側へ押すことで該苗が鉛直な姿勢となるように修正されることになり、圃場に適正な姿勢で苗を植え付けることができる。
【0040】
尚、苗植付具32が下死点Aで苗を植え付けるべく苗押出フォ−ク42が押出作動する直前において、植付爪41の切欠き部41dの後端が苗押出フォ−ク42の前端より後位にあるので、植付爪41に保持された苗を植え付ける直前において後傾姿勢とすることができる。そして、苗押出フォ−ク42が押出作動すると、該苗押出フォ−ク42が若干前側に傾く下方に向けて押出作動するので、苗床が若干前側に押し出され、苗を後傾姿勢で植え付けることができる。従って、後傾姿勢で植え付けられた苗を直後に苗植付具32が前側へ押すことで該苗が鉛直な姿勢となるように修正されることになり、圃場に適正な姿勢で苗を植え付けることができる。
【0041】
また、苗掻き取り口26aに異物等があって苗植付具32と干渉すると、苗植付装置22の駆動においてメカロックを起こさないために、苗植付装置駆動軸30に設けた安全クラッチ39が作動して苗植付装置22の伝動を断つ。このとき、回転ケ−ス31の回転により連続的に作動していた苗植付装置22の駆動が突然停止するので、回転ケ−ス31内のガタ止め機構40が作用しているのも相俟って苗植付装置22の駆動の停止の衝撃が苗植付具32に伝わり、苗植付具ケ−ス32aを苗植付具固定部材32cに固着するための取付ボルト32b,32bが弛み、それに伴って苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるおそれがある。ところが、図7に示すように、苗植付具32の先端が苗掻き取り口26aの位置にあるとき、苗植付具ケ−ス32aを苗植付具固定部材32cに固着するための2本の取付ボルト32b,32bが共に最終ギヤ回動軸36より前側に位置するので、安全クラッチ39の作動により苗植付装置22が突然停止しても、図7視で苗植付具32が回転ケ−ス31に対して右回りに回動するため、回転ケ−ス31内の伝動により前記2本の取付ボルト32b,32bが最終ギヤ回動軸36回りに上側に回動しようとするときに停止することとなる。従って、安全クラッチ39の作動により苗植付具32の先端が苗掻き取り口26aの位置にあるときに停止しても、前記2本の取付ボルト32b,32b共に苗植付具32の自重とは相反する方向に苗植付装置22の駆動力が伝えられるので、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に弛みにくくなる。よって、苗の植付を再開したときに、苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるのを抑えることができる。
【0042】
尚、一方の苗植付具32が苗掻き取り口26aの位置にあるとき、回転ケ−ス31の反対側に設けた他方の苗植付具32は苗を植え付ける作動軌跡Tの下死点A付近に位置する。このとき、前記他方の苗植付具32においても、苗植付具ケ−ス32aを苗植付具固定部材32cに固着するための2本の取付ボルト32b,32bが共に最終ギヤ回動軸36より前側に位置するので、安全クラッチ39の作動により苗植付装置22が突然停止しても、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に弛みにくく、苗の植付を再開したときに苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるのを抑えることができる。また、苗植付具32が作動軌跡Tの下死点A付近で苗を植え付けるとき、圃場に石等の異物があって苗植付具32と干渉することにより安全クラッチ39が作動して苗植付装置22が突然停止しても、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に最終ギヤ回動軸36より前側に位置するので、前記2本の取付ボルト32b,32bが共に弛みにくく、苗の植付を再開したときに苗植付具32の作動が不安定になり苗を適正に植え付けられなくなるのを抑えることができる。
【0043】
ところで、植付クラッチケ−ス12内の伝動構成について説明すると、入力軸65から入力ギヤ75を介して出力軸70と同軸上で回転する株間切替用軸76へ伝動する。駆動クラッチ爪77と一体回転するクラッチ入力軸78と前記株間切替用軸76との間には伝動比の異なる5組の株間切替ギヤ79〜83を設けており、駆動側の株間切替ギヤ79〜83と株間切替用軸76との間に設けた株間切替スライドキー84により伝動するギヤを択一的に選択できるようになっており、植付クラッチケース12外の株間切替レバー(図示せず)により前記株間切替スライドキー84を移動させる株間切替シフター85を操作する構成となっている。また、駆動クラッチ爪77と噛み合う受動クラッチ爪体66を設け、該受動クラッチ爪体66と一体回転するカウンタ軸67に伝動する。尚、前記受動クラッチ爪体66がスプリング68により駆動クラッチ爪65a側に付勢され、植付クラッチピン69の出退により受動クラッチ爪体66を前記カウンタ軸67に沿って移動させて伝動の入切を行えるようになっている。出力軸70と前記カウンタ軸67との間には伝動角速度が変化する偏心ギヤ71と等速で伝動する真円ギヤ72との2組のギヤを設けており、該偏心ギヤ71又は真円ギヤ72を介して前記出力軸70を不等速回転させるようになっている。従って、前記偏心ギヤ71により、苗植付具32を不等速に作動させることができる。尚、前記偏心ギヤ71によりカウンタ軸67の回転に対して出力軸70の回転が最も速くなるときに苗植付装置22の苗植付具32がループ状の作動軌跡Tの下死点付近を通過するように、前記出力軸70の2回転につき苗植付装置22の回転ケース31が1回転するように伝動されている。尚、互いに噛み合う偏心ギヤ71は同歯数に設けられ、前記カウンタ軸67の一回転につき前記出力軸70が一回転する。また、駆動側の偏心ギヤ71及び真円ギヤ72とカウンタ軸67との間に設けた不等速切替スライドキー73により等速伝動するか不等速伝動するかを択一的に選択できるようになっており、植付クラッチケース12外の株間切替レバー(図示せず)により前記不等速切替スライドキー73を移動させる不等速切替シフター74を操作する構成となっている。尚、株間切替シフター85及び不等速切替シフター74は、同一のシフター軸86に取り付けられている。
【0044】
従って、この乗用型の田植機1は、前輪6及び後輪7を駆動して走行車体2を走行させながら苗植付部3を駆動することにより苗植付装置22の苗植付具32が作動し、圃場に所定の植付株間で苗を植え付けていく。そして、株間切替レバー(図示せず)により、株間切替シフター85を操作して苗植付部3の作動速度を変速して植付株間を変更することができると共に、不等速切替シフター74を操作して苗植付具32の植付周期と同じ周期で不等速に変速させるか又は等速で苗植付部3へ伝動することができる。尚、5組の株間切替ギヤ79〜83のうち低速で伝動する2組の株間切替ギヤ79、80を介して伝動するときに偏心ギヤ71が伝動状態となり、苗植付具32…の作動軌跡Tの下死点付近で苗植付部3の作動速度が速くなる。一方、残りの3組の株間切替ギヤ81〜83を介して伝動するときには真円ギヤ72が伝動状態となる。従って、株間が広くなるように低速で苗植付具32を作動させるときに偏心ギヤ71により不等速で伝動され、苗植付具32の土壌内でのひきずり量すなわち圃場面の植付跡が無闇に大きくならないようにし、植付苗が倒れたり浮苗になったりするのを抑止し、適正に苗を植え付けることができる。
【0045】
また、株間切替ギヤ79〜83と偏心ギヤ71並びに真円ギヤ72とを植付クラッチケース12内に設け、それぞれの伝動切替方向を同じ前後方向にすると共に、低速で伝動する株間切替ギヤ79、80に切り替える側(前側)と苗植付具32の作動軌跡Tの下死点付近で苗植付部3の作動速度が速くなるように伝動する偏心ギヤ71に切り替える側(前側)とを同じ側にしたので、同一のシフター軸86により株間切替ギヤ79〜83と偏心ギヤ71並びに真円ギヤ72とを連動して切り替えることができ、この切替構成を簡単にできると共に、株間切替レバー(図示せず)を操作するだけで自動的に苗植付具32の作動周期における変速操作が行われるため、操作性が向上する。従来は、株間切替レバーとは別に苗植付具32の作動周期における変速操作を行う不等速変速用レバーを設けていたので、株間切替レバーと不等速変速用レバーとを操作しなければならず、株間変速レバ−により植付株間を変更する際に前記不等速変速用レバーによる不等速伝動部の変速操作を忘れることがあり、苗植付具の土壌内でのひきずり量が不適正となって苗の植付が不適正となるおそれがある。
【0046】
尚、以上の発明の実施の形態は乗用型の田植機1について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
同様に、以上の発明の実施の形態は回転ケ−ス31を備える苗植付装置22について記述したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型の田植機を示す側面図
【図2】乗用型の田植機を示す平面図
【図3】苗植付装置駆動軸への伝動構成を示す平面断面図
【図4】苗植付装置を示す平面一部断面図
【図5】苗植付装置を示す側面一部断面図
【図6】回転ケ−スの側面断面図
【図7】苗掻き取り時及び苗植付時の苗植付具を示す側面図
【図8】苗植付具を示す側面断面図
【図9】径が小さい苗押出スプリングを示す図
【図10】苗載置台の一部を示す背面図
【図11】延長苗載置台の一部を示す正面図
【図12】苗載置台の上端部を示す側面図
【図13】滑りガイドを示す苗載置台の側面断面図
【図14】滑りガイドを示す苗載置台の一部破断する背面図
【図15】滑りガイドを収納した状態を示す苗載置台の側面断面図
【図16】滑りガイドを示す苗載置台の側面断面図
【図17】滑りガイドを示す苗載置台の側面断面図
【図18】植付クラッチケース内部を示す側面断面図
【符号の説明】
20…苗載置台、32…苗植付具、32a…苗植付具ケ−ス、41…植付爪、42…苗押出フォ−ク、51a…径が大きい苗押出スプリング、51b…径が小さい苗押出スプリング
Claims (1)
- 苗載置台20上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る植付爪41と該植付爪41が掻き取った苗を押し出すべく摺動する苗押出体42とを備え、前記苗押出体42の一部と該苗押出体42を摺動させるための苗押出スプリング51a,51bとをケ−ス32a内に設ける苗植付具において、径が大きい苗押出スプリング51aの内径部に径が小さい苗押出スプリング51bを挿入して複数の苗押出スプリング51a,51bが同軸上で作用する構成とし、径が小さい苗押出スプリング51bはその作用方向における端部の径が中央部より大きい構成としたことを特徴とする苗植付具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002254551A JP2004089065A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 苗植付具 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002254551A JP2004089065A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 苗植付具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004089065A true JP2004089065A (ja) | 2004-03-25 |
Family
ID=32060296
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002254551A Withdrawn JP2004089065A (ja) | 2002-08-30 | 2002-08-30 | 苗植付具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004089065A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006180848A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-13 | Yanmar Co Ltd | 田植機の植付装置 |
JP2016158597A (ja) * | 2015-03-04 | 2016-09-05 | 株式会社クボタ | 植付アーム |
CN105993329A (zh) * | 2016-05-24 | 2016-10-12 | 范志豪 | 一种苗木移取装置 |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002254551A patent/JP2004089065A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006180848A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-13 | Yanmar Co Ltd | 田植機の植付装置 |
JP4643252B2 (ja) * | 2004-12-28 | 2011-03-02 | ヤンマー株式会社 | 田植機の植付装置 |
JP2016158597A (ja) * | 2015-03-04 | 2016-09-05 | 株式会社クボタ | 植付アーム |
CN105993329A (zh) * | 2016-05-24 | 2016-10-12 | 范志豪 | 一种苗木移取装置 |
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A621 | Written request for application examination |
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