図1は本発明の苗植機の1実施例としての田植機の全体側面図である。この田植機(苗植機)1は、四輪走行車両である本機2に6条植えの植付部3と施肥装置4が装着されており、全体で乗用型施肥田植機として構成されている。
植付部3は本機2の後部に設けたリンク装置5に取り付けられ、本機2に対して昇降自在となっている。なお、リンク装置5は油圧シリンダ6によって上下動させられる。
図2および図3に示すように、植付部3は伝動ケース10と横パイプ9でフレームを構成し、該フレームに、苗を1株づつ所定の苗取り位置に供給する苗供給装置11と、前記苗取り位置に供給された苗を圃場面に植え付ける植付装置12とが植付条数分組み付けられている。植付用の苗としてはポット式の苗箱で育成されたポット苗を用いる。
苗箱は可撓性を有する合成樹脂材料で一体成形したもので、図4乃至図6に示す構造となっている。すなわち、苗箱300は、上部に開口する育苗ポット301,…が縦横に整列状態で並んでおり、各ポットの底部に3本の放射状スリット302を有する苗押出し孔303が形成されている。この苗押出し孔303は水抜きも兼ねている。長手方向を縦、それと直交する方向を横とすると、縦方向についてはポット間隔が一定ピッチpであり、横方向については中央部にポットとポットの間隔が広くなった境界部306が設けられ、その両側に横1列当たり同数づつ(例えば7個づつ)ポットが等間隔で配置されている。したがって、帯状の境界部306を挟んで育苗ポットが左右2群に分けられた状態となっている。苗箱の左右縁部は案内用の耳部307となっており、該耳部にポットの縦方向のピッチpと同ピッチで平面視四角形の爪穴308が形成されている。耳部307の先端部309はほぼ直角に下向きに屈曲している。苗箱300は全体に薄肉に形成されており、前後および左右方向の可撓性を有する。ポット301,…内に床土を入れて播種し、一定大きさの成苗310になるまで育成する。
この田植機1は苗箱ごと苗供給装置11に装填する構成となっており、該苗供給装置は、苗箱搬送経路を含む苗箱送り台14、該苗箱送り台に設けた苗箱自動送り装置15、苗箱送り台14の苗押出し位置で苗箱から苗を押し出す苗押出し装置16、該苗押出し装置によって押し出された苗を後記苗搬送ベルト18に受け渡す苗受渡し装置17、該苗受渡し装置から受け取った苗を植付装置12の苗取り位置へ搬送する苗搬送ベルト18等からなる。
苗箱送り台14は、苗箱載せ部21と、苗箱搬送経路を構成する苗箱搬送部22と、空箱収納部23とからなる。苗箱載せ部21は上下2段になっており、いずれも前部が上位となるよう傾斜させられている。上段の苗箱載せ部21(A)の後部は下方に湾曲した導入部25となっており、該導入部の下端で下段の苗箱載せ部21(B)の後端部に合流している。そして、この合流部26で苗箱搬送部22の始端に接続している。苗箱搬送部22は側面視で略U字状を呈し、そのU字の後側の端部が始端で、U字の前側の端部が終端となっている。すなわち、苗箱搬送部22の終端部は、前記始端部側に向けて設けられ、空箱が始端部側に向けて搬送される。空箱収納部23は苗箱搬送部22の終端部の前方であって、前記搬送始端部側の下方位置に設けられ、空の苗箱を複数枚積み重ねて保持することのできるスペースを有する。
苗箱の流れについて述べると、苗箱載せ部21に載置されている苗箱300が苗箱搬送部22を始端側から終端側に送られ、苗箱搬送部22の終端部から放出された苗箱が空箱収納部23に回収される。この苗箱の搬送は苗箱自動送り装置15によって行われ、苗箱は前記1ピッチpづつ間欠的に移動する。搬送途中、苗箱搬送部22の下部に設けた苗押出し位置27で苗箱内のポット苗が苗押出し装置16によって後方に押し出される。苗箱300は可撓性を有するので、曲線状の搬送経路に沿って搬送することが可能である。なお、上下苗箱載せ部の合流部26には後述する分流機構が設けられており、始めは下段の苗箱載せ部21(B)の苗箱を苗箱搬送部22に送り込み、下段の苗箱載せ部21(B)の苗箱が無くなったならば上段の苗箱載せ部21(A)の苗箱を苗箱搬送部22に送り込むようになっている。
苗箱載せ部21の前端から苗箱搬送部22の苗押出し位置(苗を取出す位置)27に至るまでの部分が苗箱の供給側であり、苗押出し位置27から苗箱搬送部22の終端までの部分が苗箱(空箱)の戻り側である。供給側の前半部分、換言すれば苗箱載せ部21の部分は、振動等によって下位の苗箱に必要以上の荷重がかかるのを防止するために傾斜度が比較的緩やかであるが、供給側の後半部分、換言すれば苗箱搬送部22の部分は傾斜度が急になっている。また、苗箱搬送部22における供給側部分の傾斜角度θ1 と戻り側部分の傾斜角度θ2 を比較した場合、供給側部分よりも戻り側部分の方が斜度が急になっている(θ1 >θ2 )。これは次の理由による。すなわち、供給側部分は苗が入った苗箱を搬送するので苗が抜け落ちないように傾斜度に制限があるが、これに対して、戻り側部分は空箱を搬送するので垂直に近くすることができるからである。そして、空箱収納部23は苗箱載せ部21の直下に位置し、本機2の後輪2aを回避するように苗箱載せ部21とほぼ平行に設けられている。以上の構成は、機体の全長を短縮化するのに有効で、図1から明らかなように本機2と植付部3の間に無駄なデッドスペースが生じない配置となっている。
図7は図2におけるB−B断面図である。苗箱載せ部21は、前後に長い複数本の苗箱支持部材30,…を平行に配し、これらを連結桟31,…によって下面側で連結したもので、その左右中央部には苗箱支持部材30よりも1段高くなった凸条32が形成されている。苗箱供給に際しては、苗箱300の左右中心をプ苗箱載せ部21の左右中心に合わせて載せるようにする。苗箱支持部材30,…によって育苗ポット301,…の底面を支持するとともに、凸条32が境界部306の裏面側の溝状部分に係合することにより苗箱300が左右にずれないようになっている。
図8は図2におけるC−C断面図である。導入部25は湾曲しているので、苗箱載せ部の直線状部分とは異なる構造となっている。すなわち、苗箱を支持する底板35は断面波形のプレートで、その左右縁部35a,35aは他の部分よりも高くなっている。また、各条を仕切る仕切板36が設けられており、該仕切板の内面部に押え金具37が取り付けられている。縁部35aと押え金具37の隙間部を苗箱の耳部307が通るようになる。このように縁部35と押え金具37で耳部307を案内することにより、苗箱300が導入部25の湾曲ラインに沿って円滑に送られるとともに、縁部36によって苗箱300の左右方向の動きが拘束されるため苗箱300が左右にずれない。さらに、仕切板36の適所に一体形成した取付板39,39で上下一対の支持棒40,40を支架し、これら支持棒に取り付けた支持板41,41の先端部に押え棒42が固着されている。この押え棒42は、苗箱の境界部306を上から押えるようになっており、急角度に湾曲している導入部25を通過する苗箱300の左右中央部が外方に飛び出すのを防止する作用をしている。
図9は図2におけるD矢視図である。苗箱搬送部22の供給側部分は、導入部25の底板35と同様の底板44を備え、底板の縁部44aと押え金具45で苗箱の耳部307を案内するようになっている。押え金具45の下部には、上下に長い長方形の開口部45aが形成されている。苗箱の縦方向の長さmよりも長い範囲lで押え金具45を着脱可能としておけば、押え金具45を取り外すことにより、作業終了時やトラブル発生時に苗箱送り台14から苗箱300を容易に抜き取ることができる。
苗箱搬送部22の下部の円弧状部分は、苗箱の左右両端部を受ける左右一対のレール46,46と、苗箱の左右境界部306を支えるガイド金具47とを有する。
図10は図2におけるE矢視図である。苗箱搬送部22の戻し側部分は、苗箱の上面を沿わせる左右一対の受けパイプ48,48と、苗箱の境界部306の裏面側に嵌合する案内パイプ49とを備え、両パイプ48,48,49で苗箱を挟んだ状態となる。図示の如く、左右一対の受けパイプ48,48はその終端部で連結しており、その連結部48aは中央部が下方にくびれた形状となり、また、この連結部48aのくびれに対応して、案内パイプ49の終端部付近49aは受けパイプ寄りに屈曲している。このため、苗箱搬送部22の終端から放出される直前の苗箱300(X)が、図示の如く、下に凸となるよう送り方向と交差する方向に曲げられる。このようにすると苗箱300(X)の前後方向の剛性が高くなるので、図11に示すように、放出時に苗箱が送り方向(前後方向)に必要以上に折れ曲がらなくなり、空箱収納部23にうまく回収できるのである。
苗箱自動送り装置15は図12および図13に示す如く構成されている。50は自動送り杆で、押え金具45の開口部45aに挿入され苗箱の爪穴308の下部壁面に係合する自動送り爪51を有する。この自動送り杆50は、揺動アーム53の先端部に設けたローラ軸54にトルクばね55を介して苗箱経路側に付勢された状態で取り付けられており、揺動アーム53が支軸57を中心として揺動するのにともない上下動するようになっている。自動送り杆50が下限位置にあるとき、自動送り爪51が苗押出し位置27に位置するよう設定されている。揺動アーム53は苗送りロッド58を介して駆動される。60は制止杆で、前記開口部45aに挿入され苗箱の爪穴308の上部壁面に係合する制止爪61を有する。この制止杆60は、支軸62に回動自在に軸支されており、下端部は前記ローラ軸54に摺動自在に当接している。このため、揺動アーム53が上動すると、制止杆60の下部が右方へ押され制止爪61が爪穴308から外れるようになっている。さらに、制止杆60が一定以上押されると、これが自動送り杆50の係合片50aに係合して自動送り爪51も爪穴308から外れる。また、65は板ばねブレーキで、フック部65aが爪穴308に係合することにより、苗箱が自重で落下するのを防止する作用をしている。次に、図14〜図16に基づいて苗送り動作を説明する。
図14は揺動アーム53が下に揺動した状態をあらわし、自動送り杆50の自動送り爪51および制止杆60の制止爪61が開口部45aに嵌合しており、制止爪61によって苗箱の爪穴308の上部壁面(初期状態の場合は苗箱の下端面)が受け止められて苗箱300が静止状態に保持されている。
図15は揺動アーム53が上に揺動した状態をあらわし、自動送り杆50が上動することにより自動送り爪51が爪穴308の上部壁面に沿って摺動し自動送り爪51が爪穴308から押し出されるとともに、ローラ軸54に押されて制止杆60の下部が後方に回動して制止爪61も爪穴308から外れる。板ばねブレーキ65の作用によって、苗箱300はそのままの位置に保持される。
図15の状態から揺動アーム53が下向きに回動すると、図16に示すように自動送り杆50の自動送り爪51が爪穴308に嵌合する。この時点ではまだ制止杆60の制止爪61は爪穴308から外れている。この状態でさらに揺動アーム53が回動することにより、自動送り爪51が爪穴308の下部壁面を押し下げて苗箱300を1ピッチp分だけ搬送する。なお、上部の苗箱は自重で落下する。揺動アーム53が下死点まで回動すると、ローラ軸54による規制が解除されて制止爪61が爪穴308に嵌合し、図14の状態に戻る。
苗箱送り台14は上記苗箱自動送り装置15とは別に苗箱手動送り装置69を備えている。図12および図13における70は手動送り杆で、前記自動送り爪51と同様の手動送り爪71を有し、手動レバー73の中間部に設けたローラ軸74にトルクばね75を介して苗箱搬送経路側に付勢された状態で取り付けられている。常時は手動送り杆70が図12であらわされている定位置にあり、苗箱が1ピッチp移動する周期で、手動送り爪71が苗箱の爪穴308に嵌合する状態と手動送り爪71が爪穴308から押し出される状態に揺動している。手動レバー73を図17で示す範囲内で往復動させると、手動レバー73が下向きに回動するときに手動送り爪71が爪穴308の下部壁面を押し下げて苗箱300を1ピッチpづつ送り方向に搬送する。なお、手動レバー73を定位置よりも少し上動させると、ローラ軸74が制止杆60の上部60aを押えることにより制止杆60が左回りに回動して制止爪61が爪穴308から外れるので、手動苗箱送り装置69による苗箱の搬送が可能となるのである。
さらに、手動レバーを図18に示す位置まで上動させ、手動送り爪71を係止片76に係合させると、制止杆60が自動送り杆50の係合部50aに係合して自動送り杆50を後方に回動させるので、自動送り杆50の自動送り爪51も爪穴308から外れた状態となり、苗箱が自由落下するようになる。
前記手動送り杆70は苗箱装填時における苗箱の落下防止ストッパを兼ねている。76は支軸77に回動自在に支持されたストッパアームで、その先端屈曲部76aが手動送り杆70の側面部に形成された突起70aに係合するようになっている。ストッパアーム76は、苗箱の耳部307が通る経路上に設けられており、スプリング78によって苗箱の送り方向と逆向きに付勢されている。搬送経路上に苗箱300が存在するときは、苗箱300に押されてストッパアーム76が図19において鎖線で示す位置にあり、手動送り杆70はフリーである。しかしながら、搬送経路上に苗箱が無くなると、スプリング78力によってストッパアーム76が図19において実線で示す位置まで回動し、先端屈曲部76aと突起70aが係合するので、手動送り杆70の動作が拘束される。このため、苗箱送り台14の苗箱が空のときに苗箱300を装填すると、苗箱300は手動送り杆70の手動送り爪71に一旦受け止め保持される。このようにしておくと、苗箱装填時に苗箱が苗箱搬送部22の下部まで急激に落下して苗や苗箱自動送り装置15にトラブルが発生するのを防止できる。手動レバー73を操作して手動送り杆70を少し持ち上げれば、ストッパアームの先端屈曲部76aと突起70aが係合が外れ手動送り杆70がフリーとなるので、保持されていた苗箱が落下可能となる。苗箱が落下することにより、ストッパアーム76は押されて鎖線で示す位置になる。
前記スプリング78が遊嵌されているロッド80は連結部材81によって揺動アーム53と連動するようになっており、揺動アーム53が上に揺動したとき、すなわち自動送り爪51および制止爪61が爪穴308から外れたときに、スプリング78が押し縮められてストッパアーム76の付勢力が増大するようになっている。前述の如く、苗送りの直前に自動送り爪51および制止爪61が爪穴308から外れたとき苗箱300は板ばねブレーキ65によって保持されるようになっているが、上方の苗箱の重量がかかると板ばねブレーキ65だけでは支えきれなくなる。そこで、このときにストッパアーム76が上方の苗箱が下動しようとするのを防止するブレーキとして作用し、板ばねブレーキ65を補佐するのである。
また、ストッパアーム76は前記分流機構の一部を構成している。すなわち、上下苗箱載せ部の合流部26に切替ストッパ90が回動自在に設けられており、該切替ストッパ90とストッパアーム76が連結ロッド91で連結されている。ストッパアーム76が図19における鎖線の位置にあるときは、切替ストッパ90も鎖線の位置にあり、上段の苗箱載せ部21(A)の苗箱搬送経路が閉じた状態となっている。このため、始めは下段の苗箱載せ部21(B)に載置されている苗箱300が苗箱搬送部22に供給される。下段の苗箱載せ部21(B)の苗箱が供給し終わり、苗箱300の最後尾がストッパアーム76を通過すると、ストッパアーム76に連動して切替ストッパ90が実線の位置まで回動し、前記苗箱搬送経路が開放されるので、上段の苗箱載せ部21(A)に載置されている苗箱が苗箱搬送部22に供給されるようになる。
落下防止ストッパである手動送り杆70と苗押出し位置27の間に苗箱の有無を感知する感知スイッチ93が設けられており、その検出結果は例えばセンターマスコットの苗減少ランプ94等に表示されるようになっている。苗減少ランプ94が点灯したならば、作業を停止して苗箱載せ部21に新たな苗箱を補給するとともに、空箱収納部23に積載されている空箱を取り除く。本実施例の位置に感知スイッチ93を設けておくと、苗が完全に無くなる前に苗を補給することができるので植付けの欠株が防止されるとともに、手動送り杆70がストッパとして機能しているときに感知スイッチ93が苗減少を感知するので、補給した苗箱が手動送り杆70に一旦受け止められるようになり、衝撃等による苗箱の位置ずれを防止できる。なお、本発明では、苗箱の搬送経路の始端部の下方位置に空箱収納部が配置されているので、苗箱の供給作業と空箱回収作業を共に能率よく行うことができる。
苗押出し装置16は、図20および図21に示すように、前記苗押出し位置27を通る線上に位置する苗押出しピン100,…を備え、該苗押出しピンを取り付けたスライド部材101がガイド棒102に沿って苗押出しピン100の軸心方向に摺動可能に構成されている。スライド部材101の上方に設けた回動軸104に揺動アーム105が軸支されており、該揺動アームの下端部に形成された係合溝106にスライド部材101の側面に突出する係合凸部107が係合している。回動軸104にはまた駆動アーム108が一体に設けられており、該駆動アームに連結した苗押出しロッド109を往復動させることにより揺動アーム105が揺動する。揺動アーム105が揺動するとスライド部材101がガイド棒102に沿って往復動し、後方に移動するときに、苗押出しピン100が苗箱の苗押出し孔303に挿入され、ポット301内の苗を後方に押し出す。ガイド棒102の後端部には、苗押出しピンガイド孔110を穿設したガイド板111が止着されている。このガイド板111は、苗押出し位置27に待機している苗箱300が前方(ポット側)に撓むのを防止する役割も有する。
各条における左半分の苗を押し出す苗押出しピン100(図示例では7本)と右半分の苗を押し出す苗押出しピン100(図示例では7本)はそれぞれ別のスライド部材101(L),101(R)に取り付けられており、両群の苗押出しピン100,…は互いに180度の位相を保って交互に動作するようになっている。また、2条で1単位となっており、これら2条において、内側の苗押出しピン100,…同士が同時に動作し、外側の苗押出しピン100,…同士が同時に動作する。内側の苗押出しピン用の回動軸104(I)と外側の苗押出しピン用の回動軸104(O)が互いに干渉するのを避けるため、回動軸104(I)は筒軸に形成し、その内側に中実の回動軸104(O)が嵌合されている。
図22および図23は苗受渡し装置の側面図と展開平面図である。苗受渡し装置17は、先端部に苗ホルダ110を有する苗受渡しアーム111を備えている。苗ホルダ110は、図24に示すように、1条分の苗押出しピン100,…に対応させて苗310の床土部分310aが嵌合し得るよう底部が半円状になった凹部112,…が形成されている。苗受渡しアーム111は、回動軸114回りに回動する回動枠115に前後に進退自在に取り付けられており、回動枠115ごと図22におけるJ−Kの範囲内で上下に揺動するとともに、下動位置Kにおいて回動枠115に対して前進位置Lまで前進するようになっている。
苗ホルダ110の材質をアルミニウムとし、その表面をコーティングすると、泥等の付着が少なく好ましいものとなる。苗受渡しアーム111は左右の部材111a,111aの先端部を連結部材111bで連結し、該連結部材の上に苗ホルダ110を取り付けた構造となっている。このような構造を採用することにより、苗受渡しアーム111自体の剛性が向上するとともに苗ホルダ110の補強となる。
図25に示す如く、苗ホルダ110の左右中央部には上面部から前面部に至る側面視L形のガイド溝116が形成されており、また、苗箱送り台14の前記ガイド金具47の後部に、苗ホルダ110の移動経路に沿う形状になった張出し部47aが形成されている。苗ホルダ110がJ−K間を移動する時はガイド金具の張出し部47aがガイド溝の前部116aに係合し、かつ苗ホルダ110がK−L間を移動する時はガイド金具の張出し部47aがガイド溝の上部116aに係合し、苗受渡しアーム111が動作時に左右にずれないようになっている。
また、下動した苗受渡しアームに対向する位置に苗叩き具117が設けられている。この苗叩き具117は、先端が苗ホルダ110の凹部112,…に挿入し得るように分離しており、各先端分離部118は側面視で図22であらわされるよう屈曲し、苗床310aの底部を受ける部分118aと苗床310aの上側側面に当接する部分118bが形成されている。苗叩き具117は苗叩き取付アーム120に取り付けられ、苗叩き取付アーム120が揺動することにより図22において実線および鎖線で示す範囲を間欠的に上下動する。苗叩き取付アーム120は苗叩きロッド121を介して作動させられる。122は戻しスプリングである。
苗受渡しアーム111がJ位置にあるときに前記苗押出しピン100,…によって苗箱300から押し出された苗310,…が苗ホルダ110の凹部112,…に押し込まれる。苗受渡しアーム111はK位置まで回動し、そこでL位置まで前進する。苗310,…は苗叩き具の部分118aに受け止められるので、苗310,…が苗ホルダ110から外れる。それと時期をほぼ同じにして苗叩き具117が下動し、苗ホルダ110から外れた苗310,…を苗搬送ベルト18の上に叩き落とす。苗受渡し装置17は前記苗押出し装置16の1/2の周期で作動するので、内側の苗押出しピン100で押し出された苗と外側の苗押出しピン100で押し出された苗を交互に苗搬送ベルト18へ受け渡しすることとなる。
図26は苗搬送ベルトの側面図、図27はそのM矢視図である。苗搬送ベルト18は直角三角形状に張架した左右対称な一対のタイミングベルト130(L),130(R)で1組となっている。タイミングベルト130を張架する3本のローラ軸131(1,2,3)は前部が下位となるよう斜めなっており、苗搬送ベルト18は側面視で前下がりの状態に支持されている。苗310の床土部310aから葉310bの先端までをカバーできる比較的広めのベルト幅を有し、タイミングベルト130の外周面の下部すなわち苗の床土部310aが当たる部分に苗を1株づつ区分けする区分け突起133,…が周方向に等間隔qで設けられているとともに、該区分け突起133,…から周方向に前記間隔qの1/2ずれた位置におけるタイミングベルトの下端縁部に床土部310aの底部を受ける受け突起134,…が設けられている。中央側下部のローラ軸131(1)が駆動軸で、両タイミングベルト130(L),130(R)は図26における矢印方向に常時移動する。左右のタイミングベルト130(L),130(R)は苗が1個通ることのできる間隔部136で隔てられており、該間隔部136の下端部が苗取り口137となっている。この苗取り口137には、苗を一旦保持するとともに後記植込杆141が苗を挟持する際の案内具となる左右一対のゴムガイド138,138が取り付けられている。
苗受渡し装置17によって受け渡される苗箱の左半分の苗群(7個)は左側のタイミングベルト130(L)の上辺部に載せられ、右半分の苗群(7個)は右側のタイミングベルト130(R)の上辺部に載せられる。この苗の受渡しは左右交互に行われる。左右いずれかのタイミングベルト130の上辺部に載せられた苗310,…は、タイミングベルト130の移動にともない内側に搬送されたのち左右タイミングベルトの間隔部136を通って下方に搬送され、苗取り口137に1株づつ供給される(図28参照)。このうちの最後尾の苗が間隔部136まで搬送されてくると、他方のタイミングベルト130の上に苗310,…が載せられる(図29参照)。このように、左右のタイミングベルトを常時移動させながら、苗の受け渡しを左右交互に行わせることにより、苗取り口137に苗を連続して供給させるのである。なお、3本のローラ軸のうち苗取り口137の近傍に位置するローラ軸131(1)を駆動させるので、苗供給タイミングの狂いが少ない。
植付装置12は、後記植付装置取付軸158を中心として回転するロータリケース140に一対の植込杆141,141が取り付けられている。植込杆141は苗保持爪142と苗押出し具143を備え、該植込杆が所定の軌跡144を描きながら上下動しつつ、軌跡の上部で苗保持爪142が苗取り位置である前記苗取り口137に供給された苗を挟持するとともに、軌跡の下部で苗押出し具143が突出して保持されている苗を押し出すことにより、苗を1株づつ圃場面に植え付けてゆくように構成されている。
前記ゴムガイド138は、図30および図31に示すように、基部側で苗搬送ベルトの支持枠18に取り付けられ、自由端部側が苗保持爪の軌跡144に沿って前方下方に延びている。ゴムガイド138の内面部には、軌跡144と交差する方向に溝状のスリット146と襞状のリブ147が前後に形成されている。苗搬送ベルト18から落とされた苗はリブ147,147によって支持された状態となり、そこに苗保持爪142が進入してきて苗を挟持し、苗を挟持した苗保持爪142はゴムガイド138,138の先端部を押し広げながら移動する。苗を一旦リブ147,147で支持するので、ゴムガイド138,138の基部の間隔rを広く取ることができ、苗の落とし込みが確実である。苗保持爪142の先端が薄肉で柔らかいリブ147に接触するのでゴムガイド138が破損しにくい。また、スリット146を設けておくことにより、ゴムガイド138,138の先端部を押し広げても基部に影響がなく、苗取り口137にある苗が落下したりすることを防止することができる。植込杆141がゴムガイド138,138を通過した時点で次の苗が苗取り口137に落とされるようタイミングが設定されている。
伝動ケース10は、図32および図33に示すように、リンク装置5の後部枠5aにローリング軸150によってローリング自在に取り付けられる入力ケース151と、該入力ケースの両側面部に突設した伝動パイプ152,152と、入力ケース151の中央部および伝動パイプ152,152の先端部から後方に延設した計3個のL形ケース153,…とで構成されている。L形ケース153は水平に伸びる水平部153aと該水平部の後端部から垂直に立ち上がる立上り部153bとからなり、水平部153aの後部両側に植付装置12,12が設けられるとともに、立上り部153bの上端部に2条分の苗供給装置11,11の各部に伝動するための伝動ボックス153cが設けられている。
入力ケース151および伝動パイプ152,152内に支承された主軸155にユニバーサルジョイント156を介して本機2より動力が入力され、該主軸から各L形ケース水平部153aの後部に支承された植付装置取付軸158へチエン159を介して伝動される。植付装置取付軸158からその後部に設けたカウンタ軸160へギヤ162,163を介して伝動され、さらにチエン164を介してカウンタ軸160より伝動ボックス153c内の各軸へ伝動するようになっている。
図34は伝動ボックスの展開断面図であり、伝動ボックス153c内には、常時一定方向に回転する苗搬送ベルト駆動軸170、苗受渡し装置駆動軸171および苗箱送り駆動軸172と、上記各軸よりカム駆動されて間欠的に反復回転する苗受渡しアームスライド軸174、苗押出しピン作動軸175および苗送り作動軸176とが支承されている。178,179,180,181は伝動ギヤで、苗搬送ベルト駆動軸170、苗受渡し装置駆動軸171、苗箱送り駆動軸172の順に伝動するようになっており、苗搬送ベルト駆動軸170と苗受渡し装置駆動軸171の回転速度は等しく、かつ苗受渡し装置駆動軸171の回転速度は苗箱送り駆動軸172の回転速度の2倍に設定されている。
苗搬送ベルト駆動軸170は、これと直交する方向に設けた2条分、計4本のローラ軸131(1)をベベルギヤ186,187を介して駆動する。各条の一対のローラ軸131(1),131(1)は互いに逆向きに回転するようになっている。
苗受渡し装置駆動軸171の一方の端部はケース外に突出し、そこに苗受渡しアーム回動用クランク190が取り付けられている。図22を参照にして苗受渡しアームの揺動機構について説明する。前記回動軸114には揺動アーム191が一体に設けられ、該揺動アームにガイド穴192を有するピン193が回転自在に支承されている。そして、一端部がクランク190に回動自在に連結された伝動ロッド195が上記ガイド穴192に摺動自在に挿通されている。伝動ロッド195にはピン193を挟んで両側にスプリング196,197が遊嵌されており、伝動ロッド195とピン193の位置関係が弾性的に変動可能となっている。また、伝動ロッド195と並んで、所定間隔でストッパゴム199,200を嵌着したストッパロッド201が支点202を中心として回動自在に設けられている。クランク190が回転することにより、揺動アーム191が揺動させられ苗受渡しアーム111が上下動するが、揺動アーム191の揺動範囲はストッパゴム199,200によって規制されているため、苗受渡しアーム111の上限位置はJ、下限位置はKとなる。クランク動作の超過分はスプリング196,197に吸収されるのである。したがって、苗の受取位置であるJおよび苗の放出位置であるKで苗受渡しアーム111の上下回動が一定時間づつ静止することとなり、苗の受渡しを確実に行うことができるのである。
苗受渡しアームスライド軸174は、スライドカム210とカムフォロア211によって苗受渡し装置駆動軸171の回転が伝えられて反復回転する。そして、苗受渡しアームスライド軸174の突出部に設けたスライドアーム213の反復動作を苗受渡しアーム支持軸111aに軸支したローラ214,214に伝え、苗受渡しアーム支持軸111aを回動枠115に対して摺動させる。スライドカム210とカムフォロア211は苗受渡しアームスライド軸174を押出し方向に回転させるよう作用し、戻し方向へはスプリング215で回転させるようになっている。なお、スライドアーム213は苗受渡しアームスライド軸174に固定された押出しアーム213aと該押出しアームにコイルスプリング217で取り付けられた戻しアーム213bとからなり、戻しアーム213b側にローラ214,214の逃げが設けられている。
また、前記クランク190と一体に苗叩きカム220が設けられており、このカム220とカムフォロアローラ221で苗叩きアーム222を揺動させ、苗叩きロッド121を駆動する。この場合も、苗叩き具117を作用側に駆動させるのはスプリング225で行い、苗叩きカム220とカムフォロア221で苗叩き具117を元の位置に戻すようにしている。
ところで、苗叩き具117の動作は瞬間的に行わせなければならないという必然性があり、そのために駆動機構は図35に示す構成となっている。すなわち、カム220は山部220aと谷部220bとからなり、ローラ221が山部220aから谷部220bに落ち込む時にスプリング225の作用で苗叩きアーム222が矢印方向に回動する。苗叩きに必要な苗叩きアーム222の動作量はα1であり、それに要するカム220の回転角はβ1 である。しかしながら、ローラ221がコーナ部220cを通過する際にはカム220の回転量に対して苗叩きアーム222の十分な動作量が得られないので、この部分は遊びとなっており、苗叩きアーム222の動作範囲α2 (カム220の回転範囲β2 )は苗叩き具117が動作しないようになっている。
苗押出しピン作動軸175は内側用(I)と外側用(O)とがあり、両軸は同心上で互いに回転自在に支承されている。そして、内側用の苗押出しピン作動軸175(I)の苗押出しアーム230(I)に前記苗押出しロッド109(I)が取り付けられ、外側用の苗押出しピン作動軸175(O)の苗押出しアームに苗押出しロッド109(O)が取り付けられている。
苗押出しピン作動軸175の駆動機構は図36の如く構成されている。232は苗受渡し装置駆動軸171に取り付けた押出しカムで、内側用(I)と外側用(O)は同位相となっている。233は苗箱送り駆動軸172に取り付けた押出しストッパで、内側用(I)と外側用(O)の位相が180度ずらせてある。また、234(I),234(O)は内側用および外側用の苗押出しピン作動軸175にそれぞれ同位相で設けたローラ支持アームで、押出しカム232に対応するローラ236と押出しストッパ233に対応するローラ237がそれぞれ回転自在に支持されている。ローラ支持アーム234はローラがカムと係合する側にスプリング238によって付勢されており、該スプリングによってローラ支持アーム234が苗受渡し装置駆動軸171側へ引き寄せられた時に苗押出しピン100が突出するようになっている。
押出しカムの山部232aがローラ236と係合する場合もしくは押出しストッパの山部233aがローラ237と係合する場合は、ローラ支持アーム234が図において外側用234(O)が示されている位置にあるので苗押出しピン100は突出せず、押出しカムの谷部232bがローラ236と係合し、かつ押出しストッパの谷部233bがローラ237と対向する場合に苗押出しピン100が突出するようになる。ところで、苗受渡し装置駆動軸171の回転速度は苗箱送り駆動軸172の回転速度の2倍であるので、押出しカム232が2回転する間に押出しストッパ233が1回転する。したがって、苗箱送り駆動軸172が1回転するごとに1度の割合で苗押出ししピン100が突出する。また、内側用と外側用の両押出しストッパ233(I),233(O)は位相が180度ずれているので、内側用の苗押出しピンと外側用の苗押出しピンは180度位相がずれた状態で交互に突出する。押出しストッパ233(I,O)の山部233aおよび谷部233bがローラ237と対向するタイミングは図37のタイミングに示されている。
苗箱送り駆動軸172から苗送り作動軸176へは、苗送りカム240とカムフォロア241を介して回転が伝えられる。苗送り作動軸176の左右両突出部に枠状の苗送り作動アーム242が取り付けられ、該苗送り作動アーム242の一端部に苗送りロッド58の後端部が回動自在に連結されているとともに、他端部に苗送りロッド58を前方に押し出す方向に作用するスプリング243が繋着されている。(図2に図示)前記苗送り揺動アーム53を苗送り方向に回動させるのはスプリング243で行い、戻し方向に回動させるのは苗送りカム240とカムフォロア241で行う。
苗供給装置11の駆動機構は以上のように構成され、苗箱自動送り装置15、苗押出し装置16、苗受渡し装置17および苗搬送ベルト18の各部が互いに同期して作動するようになっている。これら各部は伝動ケース10の末端部分に設けた共通の軸(苗搬送ベルト駆動軸170)より伝動されるようになっているので、位相がずれることがなく、常に正確な苗供給動作を行うことができる。また、これら各部は作用側の動作をスプリングで行わせ、戻し側の動作をカムとカムフォロアで行わせるようになっているので、作用動作が迅速で的確なものとなり、しかもカムが小型化されている。
苗供給装置11と植付装置12の動作タイミングをタイムチャートで示すと図37のようになる。この図は以下のことを意味している。
(1)「苗取り位置」a1 〜a14は、植込杆141の苗保持142爪が苗取りロ137を通過するタイミングを示す。
(2)「植込杆停止位置」b1 〜b14は、植付クラッチを切った時に植付装置12が停止するタイミングであり、植込杆141は苗取り口137を少し過ぎた位置で停止する。
(3)「苗箱送り」は自動送り爪51の動作を示し、c1 で上動を開始し、c2で下動に切り換わり、c3 で動作が停止する。自動送り爪51が下動する際に苗箱を1ピッチ移動させる。
(4)「苗押出し」に関しては、d1 −d2 間で苗押出しピン100が突出し、d3 −d4 間で苗押出しピン100が後退する。内側の苗押出しピン100(I)と外側の苗押出しピン100(O)の動作位相は180度ずれている。苗箱送りを開始する直前に内側の苗押出しピン100(I)の動作が完了する。
(5)「苗受渡しアーム回動」に関しては、e1 −e2 間で苗受渡しアーム111が下動し、e3 −e4 間で苗受渡しアーム111が上動する。図のタイミングチャートからは明確に識別できないが、下動する時の方が上動する時よりもその動作速度が若干遅くなっている。この理由は、苗ホルダ110に保持されている苗が放出されたり、位置ずれしたりするのを防止するためである。
(6)「苗受渡しアームスライド」に関しては、f1 −f2 間で苗受渡しアーム111が前進し、f3 −f4 間で苗受渡しアーム111が後退する。苗ホルダ110からの苗抜き出しを確実なものとするために、前進速度の方が後退速度よりも遅くなっている。このスライド動作は、苗受渡しアーム111が下動位置にある間に行われる。
(7)「苗叩き」に関しては、g1 − g2 間で苗叩き具117が下動し、g3−g4 間で苗叩き具117が上動する。この苗叩き動作は、苗受渡しアーム111が前進位置で停止している間に行われる。
(8)苗受渡しアーム回動動作、苗受渡しアームスライド動作および苗叩き動作は1周期に2回行われ、両動作の位相は180度ずれている。1回目の動作で外側の苗押出しピン100(O)によって押し出された苗を苗搬送ベルト18に受け渡し、2回目の動作で内側の苗押出しピン(I)によって押し出された苗を苗搬送ベルト18に受け渡す。
(9)作業停止時には植込杆141が前記植込杆停止位置b1 〜b14のいずれかで停止するが、苗押出しピン100が苗箱のポットに挿入されているときは苗箱送り台14から苗箱を抜き出すことができない。そこで、苗押出し装置16が非作動状態であり、苗箱の抜き出しが可能であることを示す苗箱抜き出しOKランプ245を操縦席に設けておくと好都合である。この苗箱抜き出しOKランプ245は、例えば苗押出しアーム230が動作していない時にONになる苗押出し作動表示スイッチ246(図34に図示)によって切り替わるようにし、d4 −d1 間のとき点灯し、それ以外のときは消灯するようになっている。
(10)苗箱送りと苗押出し(内側)の作動開始時期をほぼ同じにすることにより、苗押出しピン100の先端が苗押出し孔303に完全に挿入(d5 )されてから制止爪61が苗箱の爪穴308から外れる(c4 )までに若干の時間差(18度30分程度)が生じ、苗箱が下方に落下するのを防止している。
(11)自動送り爪51が上動を行っている間(c1 −c2 )に内外いずれか(図示例では内側)の苗押出しピン100が進退動作を行う。自動送り爪51が上動を開始すると、制止爪61が外れ、苗箱は板ばねブレーキ65のみで静止された状態となっている。このとき、苗押出しピン100が苗箱の苗押出し孔303に挿入されているならば、急激な外力や振動がかかっても苗箱がずれ落ちることがない。
植付部3の下側には、整地用のフロートとして、左右中心部に位置するセンターフロート250(C)と、本機2の後輪の後方に位置するサイドフロート250(L,R)とが設けられている。各フロート250(L,C,R)は前部が広く後部は狭い形状をしており、後部の左右両側部に苗移植用の溝を成形する作溝器251,…が取り付けられている。フロート250(L,C,R)は、伝動ケース10に上下に回動自在に設けたフロート支持杆252の後端部に支持ピン254で枢着されているとともに、前部が拡縮リンク255によって吊られており、水田面の凹凸に応じて前部が上下動するようになっている。
センターフロート250(C)は水田面高さを検出するセンサであり、該センターフロートの上下動に基づいて前記油圧シリンダ6制御用の油圧バルブ257のスプールが切り替わり、植付部3が水田面に対して一定高さになるよう制御する。このため、苗の植付深さを常に一定に保たれる。前記フロート支持杆252を回動させて各フロートの支持高さを変えることにより、苗の植付深さを調節することができる。
施肥装置4は、肥料を貯蔵するホッパ260と、該ホッパ内の肥料を下方に繰り出す繰出器261と、該繰出器から繰り出された肥料を苗植付用の溝に導く施肥パイプ262とを備えている。施肥パイプ262は、繰出器から空箱回収部の下面部および苗箱送り台14の前面部に沿って下方に伸び、さらに苗箱送り台14の下端部と伝動ケース10の入力ケース151または伝動パイプ152,152の間を通して後方に伸び、その肥料吐出口263が前記作溝器251の内側で圃場面に臨んでいる。
植付作業に際し、植付部3を図1に示す作業位置まで下降させ、本機2を発進させると、植付部3および施肥装置4が駆動され、進行にともなって圃場面に形成される苗植付用の溝に肥料が供給されるとともに、その直後に苗が植え付けられる。