JP2004290146A - 苗移植機 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の田植機は、機体平面視で苗植付装置の回転ケースの一部のみがフロ−トと重複しているだけなので、回転ケ−スの回転により圃場の泥や水を跳ね上げるおそれがあり、これにより回転ケ−スひいては苗植付装置の作動部位に泥や水が付着しやすく、苗植付装置の円滑な作動を妨げたり、圃場の整地性を低下させたりするおそれがある。
【解決手段】田植機において、機体正面視又は背面視でフロ−ト24の左右幅内に苗植付装置の回転支持ケース63及び回転ケースを収めた構成としている。また、フロ−ト24の左右外端部106の上下幅を左右中央部105より大きくし、左右中央部105の上方に回転支持ケース63及び回転ケースを配置している。また、左右外端部106の上端より高い壁部108をフロ−ト24の回転ケースの外側に形成している。
【選択図】 図13
【解決手段】田植機において、機体正面視又は背面視でフロ−ト24の左右幅内に苗植付装置の回転支持ケース63及び回転ケースを収めた構成としている。また、フロ−ト24の左右外端部106の上下幅を左右中央部105より大きくし、左右中央部105の上方に回転支持ケース63及び回転ケースを配置している。また、左右外端部106の上端より高い壁部108をフロ−ト24の回転ケースの外側に形成している。
【選択図】 図13
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、左右方向の軸心回りに回転する回転ケースを備える苗植付装置を苗植付部に設け、該苗植付部の下部に圃場面を滑走するフロ−トを設けた苗移植機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、田植機等の苗移植機において、左右方向の駆動軸と一体回転する回転ケースを設け、該回転ケースの回転中心から偏位した位置に、回転ケ−スとは逆方向に回転する苗植付具を複数個設けた構成の苗植付装置が設けられている。この苗植付装置は、回転ケースの回転により苗植付具を上下往復移動させ、苗植付具により、苗載置台上の例えばマット状の苗から一株分の苗を掻き取って保持して圃場面まで移送し、苗を圃場に植え付ける構成となっている。尚、この苗植付装置は、各植付条毎に設けられている。
【0003】
また、前記苗植付装置を備える苗植付部を走行車体に対して昇降可能に設け、該苗植付部の下部に圃場面を滑走して整地するフロ−トが設けられている。このフロ−トは、左右方向に幅広にして整地性を向上させるべく、機体平面視で苗植付装置の回転ケースの一部と重複し、該回転ケースの下方に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の苗移植機におけるフロ−トは、合成樹脂製で、型成型される上面部と底面部とを外周の接合縁部で一体的に接合し、内部に空洞を有する構造であるため、外周の前記接合縁部では上下幅が狭く構成される(例えば、特許文献2参照)。従って、機体平面視でこの接合縁部と苗植付装置の回転ケースの一部とが重複するが、回転ケースの下方となる接合縁部の上端をフロ−ト全体に対して低位に位置させ、回転ケースとフロ−トとが干渉しないように構成している(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−269023号公報
【特許文献2】
特開平7−39217号公報(第4頁、図14、図16)
【特許文献3】
特開平6−153628号公報(図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の苗移植機は、機体平面視で苗植付装置の回転ケースの一部のみがフロ−トと重複しているだけなので、深水の圃場や土壌が軟らかい圃場等では、依然として回転ケ−スの回転により圃場の泥や水を跳ね上げるおそれがあり、これにより回転ケ−スひいては苗植付装置の作動部位に泥や水が付着しやすく、苗植付装置の円滑な作動を妨げたり、圃場の整地性を低下させたりするおそれがある。
【0007】
また、フロ−ト外周の接合縁部で上下幅が狭く、回転ケースとフロ−トとが干渉しないように前記接合縁部を低位に設けているので、外周の接合縁部が土壌に喰い込みやすくなり、フロ−トの滑走により圃場にフロ−ト跡が付きやすいものとなっていた。更には、フロ−ト外周の接合縁部で上下幅が狭いために、フロ−トの上面に泥が載りやすく、フロ−トの円滑な作動を妨げることにより圃場の整地性を低下させるおそれがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右方向の軸心回りに回転する回転ケース31を備える苗植付装置22を苗植付部3に設け、該苗植付部3の下部に圃場面を滑走するフロ−ト23,24を設けた苗移植機において、機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の幅内に前記回転ケース31を収めた構成としたことを特徴とする苗移植機とした。
【0009】
従って、請求項1に記載の苗移植機は、機体の進行に伴って、苗植付部3が苗植付装置22の回転ケース31を左右方向の軸心回りに回転させ、圃場に苗を植え付けていく。そして、苗植付部3の下部に設けたフロ−ト23,24が圃場面を滑走し、圃場を整地する。機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の幅内に前記回転ケース31を収めた構成としたので、回転ケース31と圃場の土壌との間をフロ−ト23,24が遮り、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケ−ス31の回転で圃場の泥や水を跳ね上げるようなことを防止する。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、フロ−ト23,24の端部106の上下幅を中央部105より大きくし、前記中央部105の上方に回転ケース31を配置したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とした。
従って、請求項2に記載の苗移植機は、請求項1に記載の苗移植機の作用に加えて、フロ−ト23,24の端部106の上下幅が大きいため、外端部106が土壌に喰い込みにくくなり、フロ−ト23、24の滑走により圃場にフロ−ト跡が付きにくくなる。また、フロ−ト23、24の外方から泥が流れてきても、前記端部106がしっかりと土壌を受けとめ、フロ−ト23、24の上面に泥が載りにくくなる。そして、端部106より上下幅の小さいフロ−ト23,24の中央部105の上方に回転ケース31を配置したので、回転ケース31とフロ−ト23、24とが干渉しにくくなり、フロ−ト23、24を円滑に作動させることができる。更には、前記中央部105の上下幅が小さい分、回転ケース31を土壌面に近づけて配置でき、苗の植付深さを深くすることができる。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、端部106の上端より高い壁部108をフロ−ト23,24の回転ケース31の外側に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の苗移植機とした。
従って、請求項3に記載の苗移植機は、請求項1又は2に記載の苗移植機の作用に加えて、壁部108により泥や水が回転ケース31側に移動するのを防止でき、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケース31の回転で泥や水を跳ね上げるようなことを防止する。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に記載の苗移植機によると、回転ケ−ス31の回転で圃場の泥や水を跳ね上げるようなことを防止でき、回転ケ−ス31ひいては苗植付装置22の作動部位に泥や水が付着しにくく、苗植付装置22を円滑に作動させて適正な苗の植付を行えると共に、圃場の整地性向上が図れる。
【0013】
また、請求項2に記載の苗移植機によると、請求項1に記載の苗移植機の効果に加えて、フロ−ト23、24の滑走により圃場にフロ−ト跡が付きにくく、圃場の整地性向上が図れる。また、フロ−ト23、24の上面に泥が載りにくく、フロ−ト23、24を円滑に作動させることができて、圃場の整地性向上が図れる。更には、苗の植付深さを深くすることができる。
【0014】
また、請求項3に記載の苗移植機によると、請求項1又は2に記載の苗移植機の効果に加えて、壁部108により回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケース31の回転で泥や水を跳ね上げるようなことを更に防止でき、回転ケ−ス31ひいては苗植付装置22の作動部位に泥や水が付着しにくく、苗植付装置22を円滑に作動させて適正な苗の植付を行えると共に、圃場の整地性向上が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2と6条植えの苗植付部3とから構成される。
【0016】
走行車体2の略中央に駆動源であるエンジン4が備えられ、該エンジン4の駆動により走行ミッションケ−ス5等を介して前輪6,6及び後輪7,7が駆動され、これらの前後輪6,6,7,7が駆動されて走行車体2が走行する。前記エンジン4の上方に操縦席8が備えられ、該操縦席8の前側にステアリングハンドル9が設けられている。この走行車体2の後部に昇降リンク機構10が設けられ、該昇降リンク機構10を介して前記苗植付部3が装着され、油圧昇降シリンダ11の伸縮により上下に昇降するように設けられている。尚、走行車体側からの動力が植付クラッチケ−ス12を介して前記苗植付部3に伝動されるようになっている。
【0017】
また、操縦席前側のステップ部には有段操作される株間変速レバ−13が設けられており、走行車体2の走行速度に対する苗植付部3の作動速度を変速できるようになっている。この株間変速レバ−13により、植付作業者が圃場に移植する苗の植付株間を設定できるようになっている。従って、前記株間変速レバ−13を操作しない限り、走行速度に比例した速度で前記苗植付部3が作動されるようになっている。
【0018】
苗植付部3は、苗載置台20と植付伝動部21及び各2条毎の苗植付装置22,…とを備えて構成される。苗植付部3の下部には、センタ−フロ−ト23及び両側部にサイドフロ−ト24,24が設けられており、該フロ−ト23,24,24が圃場面を滑走する構成である。
【0019】
また、苗植付部3は、植付伝動部21からの動力により前記苗植付装置22を作動する。前記苗載置台20は、上部を苗載置台支持ロ−ラ25,25、下部を左右移動ガイド板26により左右移動可能に支持されている。そして、苗植付部3は、植付伝動部21からの動力により苗載置台20が固着された苗載置台左右移動棒27を左右移動させて苗載置台20を左右移動させ、マット状の苗を苗植付装置22により一株づつ掻き取る構成となっている。尚、前記左右移動ガイド板26には、苗植付装置22,…の苗掻き取り口26a,…が設けられている。また、前記苗載置台20は、左右移動終端においてマット状の苗を各条の苗送りベルト28,…により苗載置台20に沿って苗植付装置側に順次移送する公知の構成である。
【0020】
苗植付装置22は、植付伝動部21の植付伝動フレ−ム29の後端部で機体の走行速度に比例して一定速度で回動する苗植付装置駆動軸30の駆動により作動するようになっている。尚、前記苗植付装置駆動軸30は、前側から巻きかけたチェ−ン37からの伝動により駆動する従動スプロケット38と安全クラッチ39とを介して伝動されて駆動する。前記安全クラッチ39は、該従動スプロケット38の端部に一体で設けた駆動クラッチ爪39a、該駆動クラッチ爪39aと噛み合う受動クラッチ爪を備える受動クラッチ爪体39b及び前記従動スプロケット38を前記受動クラッチ爪体39b側へ付勢する圧縮スプリング39cを備えて構成される。尚、前記従動スプロケット38すなわち前記駆動クラッチ爪39aは苗植付装置駆動軸30回りに回転するように設けられ、前記受動クラッチ爪体39bは前記苗植付装置駆動軸30と一体回転するようになっている。前記駆動クラッチ39a爪及び受動クラッチ爪体39bの爪部は傾斜面を備えており、苗植付装置22が異物等に干渉してメカロックを起こすと、前記傾斜面により圧縮スプリング39cに抗して駆動クラッチ爪39aすなわち従動スプロケット38が受動クラッチ爪体39bとは反対側に移動して、安全クラッチ39の伝動を断つようになっている。
【0021】
そして、前記受動クラッチ爪体39bと一体回転する入力ギヤ60が設けられ、該入力ギヤ60の後側で噛み合う駆動ギヤ61へ伝動され、苗植付装置22の回転ケ−ス31が駆動ギヤ61と一体回転する構成となっている。尚、該駆動ギヤ61は、左右方向において回転ケ−ス31及び該回転ケ−ス31に装着した左右の苗植付具32間の略中央位置に設けられている。尚、入力ギヤ60又は駆動ギヤ61が、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部となる。
【0022】
苗植付装置22は、前記回転ケ−ス31と該回転ケ−ス31の左右それぞれに装着した一対の苗植付具32とを備えて構成され、該苗植付具32が前記苗掻き取り口26a上の苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付けていくようになっている。前記回転ケ−ス31は、植付伝動フレ−ム29の後端に上下左右計4本の締付ボルト62で固着された支持部となる回転支持ケース63に左右の回転ケ−ス軸受(ベアリング)64を介して回転可能に支持され、外周が回転支持ケース63に覆われている。従って、回転支持ケース63は、回転ケ−ス31の回転により該ケ−ス31に圃場の泥や水等がかかるのを防止するガード体となっている。更には、回転ケ−ス31が作業者や他の構造物に接触しにくく、安全性の向上を図ると共に、回転ケ−ス31が破損するようなことを防止している。また、前記4本の締付ボルト62を外すことにより、回転ケ−ス31ごと回転支持ケース63を植付伝動フレ−ム29から取り外すことができる。回転支持ケース63内には、前記左右の軸受64の間に位置する内歯の固定ギヤ65が4か所の締付ボルト66で固着されている。この固定ギヤ65が、機体側に回転しないように固定したリングギヤとなる。この固定ギヤ65と噛み合う回転ギヤ67が、回転ケ−ス31内に設けた左右方向の回転ギヤ軸68に軸支され、該軸68回りに回転するように駆動ギヤ61の右側に設けられている。尚、前記回転ギヤ軸68は、回転ケ−ス31の回転中心に対して偏位して設けられている。従って、回転ケ−ス31の回転に伴って回転ギヤ67が固定ギヤ65に沿って公転しながら自転し、これらの回転ギヤ67、固定ギヤ65及び回転ケ−ス31等により遊星ギヤ機構を構成している。また、駆動ギヤ61の左側には回転ギヤ67と一体回転する中間ギヤ69が設けられ、該中間ギヤ69と噛み合う複数個(2個)の遊星駆動ギヤ70が、回転ケ−ス31内に設けたそれぞれの左右方向の遊星駆動ギヤ軸71回りに回転するように設けられている。そして、遊星駆動ギヤ70と一体回転する第一偏心ギヤ72がそれぞれ最終ギヤとなる第二偏心ギヤ73と噛み合う。尚、前記遊星駆動ギヤ70及び第一偏心ギヤ72により、カウンタギヤを構成している。この一対の第二偏心ギヤ73は、回転ケ−ス31内に設けたそれぞれの左右方向の最終回動軸36と一体回転するように設けられている。尚、前記第一偏心ギヤ72及び第二偏心ギヤ73は、偏心しているばかりでなく外形が不規則な非円形に構成されており、回転角速度を変化させながら最終回動軸36へ伝動する。また、一対の前記遊星駆動ギヤ70、第一偏心ギヤ72、第二偏心ギヤ73、遊星駆動ギヤ軸71及び最終回動軸36は、それぞれ回転ケ−ス31の回転中心に対して互いに対称な位置に配置されていると共に、回転ケ−ス31の回転により公転しながら自転する遊星ギヤとなっている。
【0023】
ところで、固定ギヤ65から回転ギヤ67への回転伝達比(すなわち、回転ケ−ス31の回転に対する回転ギヤ67の回転数の比)と中間ギヤ69から遊星駆動ギヤ70への回転伝達比とが互いに逆数の関係にあり、固定ギヤ65から遊星駆動ギヤ70への回転伝達比が1となるため、回転ケ−ス31の1回転につき遊星駆動ギヤ70が同じ方向へ1回転する構成となっている。また、第一偏心ギヤ72と第二偏心ギヤ73とは同じ歯数で回転伝達比が1であり、回転ケ−ス31の1回転につき最終回動軸36が回動角速度を変えながらそれぞれ逆方向に1回転する。
【0024】
最終回動軸36は、それぞれ左右の最終回動軸軸受(ベアリング)74により回転ケ−ス31に対して回転可能に両持ち支持されている。そして、最終回動軸36の両端の方形軸部が苗植付具32の苗植付具固定部材32cの方形穴部に嵌合しており、前記最終回動軸36と前記苗植付具32を一体回転させ、回転ケ−ス31の回動位置に対して苗植付具32の前後傾斜姿勢が決定される。すなわち、左右一対の苗植付具32が第二偏心ギヤ73と一体回転するようになっている。従って、回転ケ−ス31が1回転する間に、苗植付具32が前後傾斜姿勢を変化させながら回転ケ−ス31の回動とは逆方向に該回転ケ−ス31に対して1回転するようになっている。尚、苗植付具32には苗植付具ケ−ス32aを備えており、該苗植付具ケ−ス32aを2本の取付ボルト32bにより前記苗植付具固定部材32cに固着している。
【0025】
また、回転ケ−ス31内のギヤの噛み合いにおけるバックラッシにより発生するガタを吸収すべく、ガタ止め機構40を回転ケ−ス31内に設けている。該ガタ止め機構40は、駆動ギヤ61の右側に設けられ、最終回動軸36と一体回転するガタ止めカム40aと該カム40aに当接するガタ止めア−ム40bと該ア−ム40bを前記ガタ止めカム40a側に付勢するガタ止めスプリング40cとを備えて構成される。尚、該ガタ止めスプリング40cは、引っ張りスプリングである。従って、ガタ止めカム40aと第二偏心ギヤ73とを駆動ギヤ61の左右に振り分けているので、両者40a、73が左右に離れて配置され、この両者40a、73が作用する最終回動軸36の撓みを防止でき、植付精度の向上を図っている。尚、該ガタ止めスプリング40cの両端を一対のガタ止めア−ム40bに連結して、複数個(2個)のガタ止めア−ム40bでガタ止めスプリング40cを共用している。従って、該ガタ止めスプリング40cは、共通の弾性部材となる。このガタ止め機構40cにより、苗植付装置22が苗掻き取り口26aから苗を掻き取るとき及び掻き取った苗を圃場に植え付けるときに前記バックラッシによる第二偏心ギヤ73のガタを止めて苗植付具32の前後傾斜姿勢のガタを抑え、該苗植付具32により適確に苗を掻き取り適確に圃場に苗を植え付けるようにしている。尚、前記ガタ止めア−ム40bは駆動ギヤ61に設けた支点軸40d回りに回動するように設けられ、ガタ止めスプリング40cは駆動ギヤ61の内部に設けた空間部となる左右に連通する空洞孔部61aのスペ−スに重複して配置されている。
【0026】
前記苗植付具32は、マット状の苗を一株分掻き取って保持する植付爪41と該植付爪41で分離して保持した苗を圃場面へ向けて押し出す苗押出体の一例である苗押出フォ−ク42とを備えて構成される。回転ケ−ス31の回動により苗植付具32が上下に長いル−プ軌跡Tを描いて苗掻き取り口26aを通過することにより、取付ボルト43により苗植付具ケ−ス32aに固着された植付爪41が苗掻き取り口26aにある苗を掻き取り保持するようになっている。
【0027】
苗押出フォ−ク42は、押出作動により前記苗植付具ケ−ス32aに対して摺動する丸軸部42aと該丸軸部42aの先端に固着された苗押出部42bとを備えて構成される。この苗押出部42bの前端部が植付爪41が保持した苗の苗床に当接して植付爪41が保持した苗を押し出すようになっている。
【0028】
前記苗押出フォ−ク42の上部すなわち丸軸部42aの一部は、苗植付具ケ−ス32a内に挿入されている。前記苗植付具ケ−ス32a内には、前記苗押出フォ−ク42の上端部に下部支軸44aを介して連結された連結リンク44と、該連結リンク44に上部支軸44bを介して連結した苗押出ア−ム45と、苗押出ア−ム45と一体的に設けたカム側ア−ム46と、該カム側ア−ム46と当接する苗押出カム47とを備えている。尚、前記苗押出ア−ム45及び前記カム側ア−ム46は、苗植付具ケ−ス32aに取り付けた揺動軸48回りに一体で揺動するようになっている。尚、前記連結リンク44は、前記下部支軸44aを介して前記苗押出フォ−ク42に連結されているが、苗押出フォ−ク42と当接することにより該苗押出フォ−ク42に対してほとんど回動しないように設けられている。また、前記苗押出カム47は、回転ケ−ス31の最終回動軸36回りに回動可能に設けられると共に、回転ケ−ス31と一体で該回転ケ−ス31に対して回動しないように設けられている。従って、回転ケ−ス31の一回転につき、苗押出カム47が苗植付具32に対して一回転する構成となっている。そして、苗植付具32に対する苗押出カム47の一回転につき、カム側ア−ム46を介して苗押出ア−ム45が1往復分揺動し、苗押出フォ−ク42が1往復分摺動する構成となっている。尚、苗植付具ケ−ス32aにおける苗押出フォ−ク42が摺動する部分にはゴム製のシ−ル材50を設けており、該シ−ル材50により苗押出フォ−ク42の摺動により苗植付具ケ−ス32a内に供給されたグリス(潤滑剤)が苗植付具ケ−ス32a外へ連れ出されないようにしている。
【0029】
連結リンク44の上端部には、圧縮スプリングである苗押出スプリング51を当接させて設けている。尚、苗押出スプリング51の他端は、苗植付具ケ−ス32aの内面に当接している。また、前記連結リンク44の上端部には、前記苗押出スプリング51の下端部が当接するための当接面を構成している。そして、苗押出フォ−ク42は、前記苗押出スプリング51により苗の押出作用側へ付勢されており、前記苗押出カム47により苗の押出作用側への摺動が規制され、カム側ア−ム46が苗押出カム47の小径部47bに当接する状態で苗押出スプリング51により摺動して押出作動するようになっている。尚、苗植付具32のル−プ軌跡Tの下死点Aの位置にきたとき、前記苗押出フォ−ク42が押出作動するようになっている。そして、苗植付具32が前記下死点Aの位置から上昇して苗掻き取り口26aの位置に来るまでに押出作動した苗押出フォーク42が戻り作動して、植付爪41が苗を掻き取るまでに苗押出フォーク42が戻り作動するようになっている。尚、苗押出フォ−ク42が押出作動したときに苗押出ア−ム45と当接するクッションゴム52を苗植付具ケ−ス32a内に設けており、該クッションゴム52により苗押出スプリング51による苗押出フォ−ク42の押出作動の衝撃を緩和する構成となっている。
【0030】
次に、回転ケ−ス31について説明する。
回転ケ−ス31は、左右のケ−ス体31aにより構成されている。尚、このケ−ス体31aは、左右で同じものを使用して共用部品となっている。左右のケ−ス体31aは、左側及び右側から挿入されるそれぞれ2本づつのケ−ス結合用ボルト75(計4本)により結合される。このケ−ス結合用ボルト75は、それぞれの最終回動軸36の近くで該軸36と略対称位置に配置されており、左右の互いのケ−ス体31aあるいは回転ケ−ス31全体における最終回動軸軸受74を受ける部分の位置ずれが起こりにくいようにしており、回転ケ−ス31に対して最終回動軸36の位置が適正な位置へ精度良く固定されるようにしている。尚、最終回動軸36及びケ−ス結合用ボルト75は、その中途部で駆動ギヤ61に設けたそれぞれに対応する孔61bを貫通し、回転ケ−ス31に対する駆動ギヤ61の位置精度を向上させると共に、回転ケ−ス31及び駆動ギヤ61に対する最終回動軸36の位置精度の向上を図っている。
【0031】
また、図7に基づいて説明すると、左側のケ−ス体31a内部に備える雌ねじ孔部31bに回転ギヤ軸68の一端(左端)に設けた雄ねじ部68aを螺合すると共に、回転ギヤ軸68の他端(右端)に設けた雄ねじ部68bをケ−ス外へ突出させ、該雄ねじ部68bに締付ナット76をケ−ス外側から螺合している。従って、回転ギヤ67及び中間ギヤ69の回転軸心となる回転ギヤ軸68は、その両端部を左右のケ−ス体31aにより支持固定されると共に、前記ケ−ス結合用ボルト75と同様に左右のケ−ス体31aを結合する結合部材となっている。尚、回転ギヤ軸68の外周に設けたボス部77により、回転ギヤ67及び中間ギヤ69が一体で構成されている。また、回転ギヤ軸68及びボス部77は駆動ギヤ61内部の空洞孔部61aを貫通しており、この空洞孔部61aで回転ギヤ67側(図7では右側)から中間ギヤ69を通し、該中間ギヤ69を駆動ギヤ61の回転ギヤ67とは反対側(図7では左側)に位置させて回転ギヤ67及び中間ギヤ69を装着するようになっている。尚、左右のケ−ス体31aが共用部品のため、回転ギヤ軸68の雄ねじ部68bをケ−ス外へ突出させるための孔31cは他方(図7では左側)のケ−ス体31aにも設けられているが、この孔31cにはキャップ78を挿入して回転ケ−ス31内の潤滑油が該孔31cから抜け出ないようにしている。
【0032】
また、回転ケ−ス31の回転中心に対して回転ギヤ軸68とは反対側に、左右のケ−ス体31aを結合する結合部材となるケ−ス結合軸79が設けられている。このケ−ス結合軸79は、その一端(図7では左端)に設けた雄ねじ部79aを一方の(図7では左側)のケ−ス体31a内部に備える雌ねじ孔部31dに螺合すると共に、他端(図7では右端)に設けた雄ねじ部79bをケ−ス体31a(図7では右側)に備える軸孔31eからケ−ス外へ突出させ、該雄ねじ部79bに締付ナット80をケ−ス外側から螺合している。尚、このケ−ス結合軸79は、駆動ギヤ61内部に設けた孔61cを貫通しており、回転ケ−ス31に対する駆動ギヤ61の位置精度の向上を図っている。
【0033】
また、回転ケ−ス31の回転中心に対して前記ケ−ス結合軸79と対称な位置に、一方(図7では左側)のケ−ス体31a内部に支持され駆動ギヤ61を固定するための締付用軸81が設けられている。該締付用軸81は、駆動ギヤ61内部に設けた孔61dを貫通し、その一端(図7では左端)に設けた雄ねじ部81aをケ−ス体31a(図7では左側)に備える軸孔31eからケ−ス外へ突出させ、該雄ねじ部81aに締付ナット82をケ−ス外側から螺合してケ−ス体31aに固着すると共に、他端(図7では右端)に設けた雌ねじ孔部81bに締付ボルト83を螺合し、一方(図7では左側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着している。更には、遊星駆動ギヤ軸71も、駆動ギヤ61内部に設けた孔61eを貫通し、その一端(図7では左端、図6では下端)に設けた雄ねじ部71aをケ−ス体31a(図7では左側、図6では下側)内部に備える雌ねじ孔部31fに螺合すると共に、他端(図7では右端、図6では上端)に設けた雄ねじ部71bに締付ナット84を螺合し、一方(図7では左側、図6では下側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着している。従って、締付用軸81及び遊星駆動ギヤ軸71により、一方(図7では左側、図6では下側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着し、該駆動ギヤ61の位置を確実に固定している。尚、一方(図7では左側、図6では下側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着したので、左右のケ−ス体31aを離して回転ケ−ス31を分割するとき、4本のケ−ス結合用ボルト75及び締付ナット76,80を外すだけで回転ケ−ス31を分割することができる。
【0034】
回転ケ−ス31と回転ケ−ス軸受(ベアリング)64との間には、図6乃至図8及び図11に示すような回転体31と支持部63との間に介在する介在部材となるブッシュ85が介在している。このブッシュ85は、左右のケ−ス体31aにそれぞれ対応して設けられ、回転ケ−ス31の左右外側となる端部の適宜箇所(2か所)に回転ケ−ス31の回転中心側に折り曲げて構成される突起85aを備えている。一方、左右のケ−ス体31aには、図11に示すように、回転ケ−ス31の左右外側となる端部の前記突起85aと対応する位置に溝31gを備えている。従って、回転ケ−ス31にブッシュ85を装着すると、前記突起85aが前記溝31gに係合して回転ケ−ス31とブッシュ85との係合部となり、回転ケ−ス31に対してブッシュ85が回転するのを阻止する回り止めとなる。尚、回転ケ−ス軸受(ベアリング)64の左右外側には、回転ケ−ス31内の潤滑油が外へ放出されないように、回転ケ−ス31と回転支持ケース63との間を塞ぐオイルシ−ル86が設けられている。
【0035】
尚、回転ケ−ス31を受ける前記ブッシュ85及び最終回動軸軸受74を受ける苗押出カム47は、鉄製で強度を持たせてあり、回転ケ−ス31あるいは最終回動軸36をしっかりと確実に支持できるようにしている。そして、回転ケ−ス31や回転支持ケース63等の他の構造物は、アルミ鋳物で構成され、軽量化が図られている。尚、前記他の構造物を、アルミ鋳物で構成する代わりに樹脂製としてもよい。
【0036】
また、固定ギヤ65は、適宜の位置で回転支持ケース63内部に固着されている。尚、この固定ギヤ65は、図5に示すように、外周の複数箇所(4か所)に凸部65aで構成される係合部を備えており、この凸部65aが回転支持ケース63側に設けた凹部(図示せず)と係合して、回転支持ケース63に対して回転しないように設けられている。
【0037】
苗植付具32の苗植付具ケ−ス32aと苗押出カム47との間には、左右方向で両者のボス部32d,47cの外面にわたるように伸縮可能なゴム製のブ−ツ87が設けられている。このブ−ツ87が、カバ−となる。該ブ−ツ87は、端部が苗押出カム47の外面に設けたブ−ツ用溝47dに回転しやすいように係合し、苗植付装置22の作動抵抗になりにくいように装着され、回転ケ−ス31あるいは苗植付具ケ−ス32a内の潤滑油が外へ洩れ出るのを防止している。尚、苗植付具ケ−ス32aのボス部32d内面と苗押出カム47の外面との間、及び苗押出カム47のボス部47c内面と最終回動軸36との間には、従来と同様に苗植付具ケ−ス32aあるいは回転ケ−ス31の潤滑油洩れを防ぐためのそれぞれオイルシ−ル88,89が設けられている。
【0038】
また、図3等から判るように、回転支持ケース63の内部空間内に回転ケ−ス31が収容され、機体側面視で回転支持ケース63と回転ケ−ス31とが重複しないように配置されている。従って、回転ケ−ス31の左右一側の一対の苗植付具32を最終回動軸36から取り外し、苗植付具32が残る他側へ回転ケ−ス31をスライドさせて取り外すことができる。尚、苗押出カム47のボス部47cは、側面視で、回転ケ−ス31の外周より該ケ−ス31の回動中心側に位置しているので、回転ケ−ス31の取り外しの支障にならない。
【0039】
よって、この苗植付具32は、回転ケ−ス31の回転により、上下方向のル−プ軌跡Tで旋回し植付爪41により苗載置台20の下部の苗掻き取り口26aから一株分の苗を掻き取ってその掻き取った苗を圃場面に移送し、苗押出フォ−ク42が摺動して圃場に苗を押し出して植え付ける。尚、図10には、機体の走行を加味した苗植付具32の動軌跡Uを示している。
【0040】
次に、上述の苗植付装置22が有する各々の特徴を順に説明する。まず、この苗植付装置22は、左右方向の軸心回りに回転する回転体となる回転ケース31の左右に苗植付具32を取り付けている。従って、回転ケース31の左右方向の軸心回りの回転により、回転ケース31の左右に取り付けた苗植付具32により圃場に複数条に苗を植え付けていくことができ、部品点数が少なくなって軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0041】
また、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部となる入力ギヤ60及び駆動ギヤ61が左右方向において左右の苗植付具32の中間に位置する。従って、左右の苗植付具32を設けて回転ケース31の回転負荷が大きくなっても、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部60,61が左右方向において左右の苗植付具32の中間に位置するので、回転ケース31を円滑に回転させることができ、適正に複数条に苗を植え付けることができる。
【0042】
また、左右方向の軸心回りに回転する回転ケース31内で中間ギヤ69からカウンタギヤ70,72を介して最終ギヤ73へ伝達して、該最終ギヤ73を回転ケース31に対して逆方向へ回転させると共に、該最終ギヤ73と一体回転するように苗植付具32を設け、側面視で中間ギヤ69、カウンタギヤ70,72及び最終ギヤ73の軸心68,71,36が互いに一直線上に位置しない構成としている。
【0043】
従って、回転ケース31の左右方向の軸心回りの回転により、中間ギヤ69からカウンタギヤ70,72を介して伝達して最終ギヤ73を回転ケース31に対して逆方向へ回転させ、苗植付具32の姿勢を制御し、該苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、側面視で中間ギヤ69、カウンタギヤ70,72及び最終ギヤ73の軸心68,71,36が互いに一直線上に位置しない構成としたので、回転ケース31の小型化を図りつつ、伝達する互いのギヤの軸間を広くとることができ、最終ギヤ73ヘの回転伝達精度の向上やギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタの低減を図ることができ、苗植付具32により適正な苗の植付が行えると共に、回転ケース31の小型化が図れ、回転ケース31の回転負荷の低減、軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0044】
また、機体側に回転しないように固定した内歯の固定ギヤ65に噛み合う回転ギヤ67を回転ケース31内に設け、回転ケ−ス31の回転に伴って回転ギヤ67が公転しながら自転し、該回転ギヤ67から前記最終ギヤ73へ伝達する構成とし、固定ギヤ65から回転ギヤ67への回転伝達比と回転ギヤ67から最終ギヤ73への回転伝達比とを互いに逆数に設定している。
【0045】
従って、回転ケース31の左右方向の軸心回りの回転により、固定ギヤ65と噛み合う回転ギヤ67が公転しながら自転し、該回転ギヤ67から伝達して最終ギヤ73を回転ケース31に対して逆方向へ回転させる。このとき、固定ギヤ65から回転ギヤ67への回転伝達比と回転ギヤ67から最終ギヤ73への回転伝達比とを互いに逆数に設定しているので、回転ケ−ス31の1回転につき最終ギヤ73が逆方向に1回転することとなり、回転ケ−ス31の回転位置に対応して苗植付具32の姿勢が制御され、該苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、回転ギヤ67の軸心68を回転ケース31の回転中心から偏位して配置でき、この回転ギヤ67と同じ軸心位置に中間ギヤ69を設けるか又は回転ギヤを中間ギヤに兼用することにより、側面視で中間ギヤ69、カウンタギヤ70,72及び最終ギヤ73の軸心68,71,36が互いに一直線上に位置しないように構成しやすく、回転ケース31の小型化を図りつつ、伝達する互いのギヤの軸間を広くとることができ、最終ギヤ73ヘの回転伝達精度の向上やギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタの低減を図ることができ、苗植付具32により適正な苗の植付が行えると共に、回転ケース31の小型化が図れ、回転ケース31の回転負荷の低減、軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0046】
また、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部となる入力ギヤ60及び駆動ギヤ61に対して回転ギヤ67と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置した。従って、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部60,61に対して回転ギヤ67と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置したので、入力部60,61に対する回転ケース31の左右の重量バランスひいては左右の苗植付具32を含む苗植付装置全体の左右の重量バランスの均一化が図れ、回転ケース31を円滑に回転させることができ、適正に苗の植付が行える。
【0047】
また、ギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタを吸収するガタ止め機構40を設け、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部60,61に対してガタ止め機構40と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置した。従って、ガタ止め機構40によりギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタを吸収して苗植付具32の姿勢を精度良く適正に制御し、該苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、入力部60,61に対してガタ止め機構40と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置したので、入力部60,61に対する回転ケース31の左右の重量バランスひいては左右の苗植付具32を含む苗植付装置全体の左右の重量バランスの均一化が図れ、回転ケース31を円滑に回転させることができ、適正に苗の植付が行える。
【0048】
また、回転体となる回転ケ−ス31の回転中心から偏位した位置で該回転体31から左右にそれぞれ伝達軸となる最終回動軸36を設け、該伝達軸36の駆動が苗植付具32に伝達される構成とした。従って、伝達軸36により左右の苗植付具32の姿勢が制御されながら、回転体31の回転に伴って左右の苗植付具32が上下往復移動し、圃場に複数条に苗を植え付けていき、苗植付姿勢の適正化を図ることができる。
【0049】
また、回転体となる回転ケ−ス31の外周を受けて該回転体31を支持する支持部となる回転支持ケース63を設け、該支持部63に対して回転体31を回転可能に設けた。従って、支持部63により回転体31の外周を受ける構成としたので、左右の苗植付具32が回転体の駆動軸や該駆動軸への伝動部等に干渉しないように構成でき、ひいては回転体31の小型化が図れる。
【0050】
また、回転支持ケース63は、回転体31の少なくとも下側に設けたガ−ド体となり、このガ−ド体63により回転体に泥や水等がかかるのを防止でき、回転体31の作動を良好に維持できると共に、回転体31の摩耗を防止して耐久性の向上を図ることができる。
【0051】
また、固定具となる4本の締付ボルト62により、回転体31と支持部63とを一体で機体に対して着脱可能に設けた。従って、機体に対して回転体31と支持部63とを一体で着脱することができるので、修理や調整等のメンテナンスを容易に行える。
【0052】
また、側面視で回転体31を支持部63と重複しない位置に設けているので、側方から回転体31を取り外したり回転体31へのメンテナンスを行うとき、支持部63が邪魔にならずに容易に行える。
また、回転体31と支持部63との間に介在する介在部材となるブッシュ85を他の構成部材より強度のある素材で構成した。従って、回転体31の回転により介在部材85が摩耗したり変形したりするようなことを防止できる一方、他の構成部材の素材は軽量なものにしたり安価なものにすることができ、軽量化又はコストダウンを図ることができる。
【0053】
また、前記介在部材となるブッシュ85を回転体31に接触させて設け、回転体31に対して前記介在部材85が移動しないように回転体31と介在部材85とを係合する係合部となるブッシュ85側の突起85a及び回転体31側の溝31gを設けた。従って、係合部85a,31gにより回転体31に対して介在部材85が移動しないようにできるので、回転体31の回転による該回転体31又は介在部材85の摩耗を防止することができ、耐久性が向上する。また、回転体31を内部に伝達機構を備えるケースで構成し、該ケース内に潤滑油を供給した場合には、この潤滑油がケース外へ漏れ出るのを防止できる。
【0054】
上述の特徴を有する苗植付装置22に対して、従来の苗植付装置は、各植付条毎に回転ケースが設けられているので、複数条植えの苗移植機において、回転ケースの個数が多くなり、また回転ケースの個数に付随して中間ギヤ、カウンタギヤ及び最終ギヤ等のギヤを含む部品点数が多くなり、重量が大きくなり、コストアップの要因となる。また、回転ケースの左右一側に最終ギヤと一体回転する最終回動軸(伝達軸)を延ばして、この最終回動軸に複数の苗植付具を取り付けて左右に並べ、単一の回転ケースにより複数条分の苗植付具を作動させることが考えられるが、植付条間にわたるべく伝達軸が左右に長くなる分、苗植付具の作動が不安定になったり、伝達軸が周囲の構造物と干渉しないようにするために他の構造物の配置等の設計の自由度が低下したり、コストアップを招くおそれがある。
【0055】
また、従来の苗植付装置は、側面視で中間ギヤ、カウンタギヤ及び最終ギヤの軸心が互いに一直線上に位置しているので、回転ケース内のギヤによる最終ギヤヘの回転伝達精度の向上やギヤのバックラッシによる最終ギヤのガタの低減を考慮すると、伝達する互いのギヤの軸間をある程度必要とするが、側面視で中間ギヤ、カウンタギヤ及び最終ギヤの軸心が互いに一直線上に位置しているので、この軸心の配列方向に回転ケースが長くなり、回転ケースの小型化に限界がある。
【0056】
ところで、フロ−ト23,24,24は、前部101が左右幅広で後部102が左右幅狭となる機体平面視しゃもじ型で左右対称な形状となっており、前部101が前へいくにつれて反り上がっており、機体の前進により前部101で土壌を受けとめて圃場面を均平に整地する。前記前部101の後方で前記後部102の左右両側方には各条の苗植付位置があり、フロ−ト23,24,24の前部101で整地した位置に苗植付装置22が苗を植え付けるようになっている。該フロ−ト23,24,24は、それぞれのフロート支持アーム103の先端に設けたそれぞれの左右方向の回動軸104回りに上下回動自在に設けられ、圃場面の凹凸に追従して前記回動軸104回りに上下回動しながら整地する。各フロ−ト23,24,24の回動軸104は、機体側面視で常に同じ位置に設けられ、それぞれのフロート支持アーム103が一体的に上下回動して苗植付装置22に対する高さが変更される。従って、フロート支持アーム103の回動によりフロ−ト23,24,24の底面に対する苗植付装置22の高さを変更し、フロート支持アーム103が苗植付装置22による苗の植付深さを変更調節する植付深さ調節手段となる。
【0057】
左右両側のサイドフロ−ト24,24は、同じ形状であり、左右幅狭の後部102の前後長が前部101の前後長より長く構成されている。左右中央のセンタ−フロ−ト23は、サイドフロ−ト24,24より若干前寄りに配置され、左右幅狭の前部の前後長が後部の前後長より長く構成されている。そして、図12及び図13に示すように、サイドフロ−ト24,24の後部102には、その左右中央部105は左右端部106より上下幅が薄く、そのフロ−ト底面は左右中央部105と左右端部106とで同じ高さであるが、左右中央部105の上面が低くフロ−ト上面に凹部が形成されている。フロ−ト上面の凹部を形成する前記左右中央部105は、前後方向においてフロートの中途位置から後端位置にわたって設けられ、その前端から後へいくにつれて幅広となり所定位置から後側は同じ幅に構成されている。前記左右端部106の下側角部107は、曲面状に形成されている。フロ−ト上面の前記左右中央部105と左右端部106との境界位置には、上方に立ち上がる壁部108が設けられている。センタ−フロ−ト23については図示を省略するが、センタ−フロ−ト23にも上述のサイドフロ−ト24,24と同様にフロ−ト上面の凹部を形成する左右中央部及び壁部を形成している。尚、センタ−フロ−ト23がサイドフロ−ト24,24より若干前寄りに配置される分、センタ−フロ−ト23の左右中央部及び壁部は、該フロート23に対して後寄りで、サイドフロ−ト24,24の左右中央部105及び壁部106と同じ前後位置に配置される。
【0058】
フロ−ト23,24,24の左右中央部105の上方には、この左右中央部105の左右幅内に苗植付装置22の回転支持ケース63及び回転ケース31が配置される。従って、左右中央部105の左右幅は、回転支持ケース63及び回転ケース31の左右幅より広く構成されている。
【0059】
以上により、この乗用型の田植機1は、左右方向の軸心回りに回転する回転ケース31を備える苗植付装置22を苗植付部3に設け、該苗植付部3の下部に圃場面を滑走するフロ−ト23,24を設け、機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の左右幅内に前記回転ケース31を収めた構成となる。また、フロ−ト23,24の左右外端部106の上下幅を左右中央部105より大きくし、左右中央部105の上方に回転ケース31を配置している。また、左右外端部106の上端より高い壁部108をフロ−ト23,24の回転ケース31の外側に形成している。
【0060】
従って、この乗用型の田植機1は、走行車体2を走行させながら、苗植付装置22の回転ケース31を左右方向の軸心回りに回転させ、苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、苗植付部3の下部に設けたフロ−ト23,24が圃場面を滑走し、圃場を整地する。機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の幅内に前記回転ケース31を収めた構成としたので、回転ケース31と圃場の土壌との間をフロ−ト23,24が遮り、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケ−ス31の回転で圃場の泥や水を跳ね上げるようなことを防止でき、回転ケ−ス31ひいては苗植付装置22の作動部位に泥や水が付着しにくく、苗植付装置22を円滑に作動させて適正な苗の植付を行えると共に、回転ケ−ス31が圃場の泥や水をかき乱さないので圃場の整地性向上が図れる。尚、回転ケ−ス31の外周が回転支持ケース63で覆われているので、回転ケース31に泥や水が付着するのを防止できる。
【0061】
また、フロ−ト23,24の左右外端部の上下幅が大きいため、左右外端部106が土壌に喰い込みにくくなり、フロ−ト23、24の滑走により圃場にフロ−ト跡が付きにくく、圃場の整地性向上が図れる。尚、左右外端部106の下側角部107が曲面状であるので、左右外端部106がより土壌に喰い込みにくい。また、フロ−ト23、24の左右外方から泥が流れてきても、前記左右外端部106がしっかりと土壌を受けとめ、フロ−ト23、24の上面に泥が載りにくく、フロ−ト23、24を圃場面に追従させて回動軸104回りに円滑に回動させることができて圃場にフロ−ト跡が付くのを防止できるので、圃場の整地性向上が図れる。そして、左右外端部106より上面が低いフロ−ト23,24の左右中央部105の上方に回転支持ケース63及び回転ケース31を配置したので、回転支持ケース63及び回転ケース31とフロ−ト23、24とが干渉しにくくなり、フロ−ト23、24を円滑に上下回動させることができる。更には、前記左右中央部105の上面が低い分、回転ケース31を土壌面に近づけて配置でき、フロート支持アーム103を回動させてフロ−ト23、24を回転ケース31側に近づけることができるので、苗の植付深さを深くすることができる。
【0062】
また、壁部108により泥や水が前方又は左右側方からフロート23、24の左右中央部105すなわち回転ケース31側に流れ込むのを防止でき、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケース31の回転で泥や水を跳ね上げるようなことを防止する。尚、壁部108は左右中央部105の後方にはなく、左右中央部105が後側で開放されているので、仮に左右中央部105に泥や水が載っても機体の前進で後方に排出されやすく、フロ−ト23、24を圃場面に追従させて回動軸104回りに円滑に回動させることができる。
【0063】
尚、壁部108の上端より回転支持ケース63が上位となるように構成したが、回転支持ケース63の下端の一部が壁部108の上端より下位となるように配置してもよい。尚、フロ−ト23、24の製造方法として、ブロー成型で内部の空洞を形成する方法があるが、左右外端部の上側部分で成型した上下の部位を接合して形成するようにしてもよい。
【0064】
尚、以上の発明の実施の形態は乗用型の田植機1について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型の田植機を示す側面図
【図2】乗用型の田植機を示す平面図
【図3】苗植付装置を示す側面図
【図4】入力ギヤ及び駆動ギヤを示す側面図
【図5】回転ケ−ス内の一部のギヤを示す側面図
【図6】図5のS1−S1断面における苗植付装置の展開断面図
【図7】図5のS2−S2断面における苗植付装置の断面図
【図8】図4のS3−S3断面における苗植付装置の断面図
【図9】苗植付具を示す側面断面図
【図10】苗植付具の作動軌跡を示す側面図
【図11】回転ケ−スのケ−ス体とブッシュとの関係を判り易く示した斜視図
【図12】サイドフロートを示す平面図
【図13】図13のS4−S4断面図
【図14】苗植付装置の動作を判り易く示した側面図
【図15】図14の「1」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図16】図14の「2」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図17】図14の「3」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図18】図14の「4」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図19】図14の「5」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図20】図14の「6」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【符号の説明】
3…苗植付部、22…苗植付装置、23…センターフロート、24…サイドフロート、31…回転ケ−ス、105…左右中央部、106…左右外端部、108…壁部
【発明の属する技術分野】
この発明は、左右方向の軸心回りに回転する回転ケースを備える苗植付装置を苗植付部に設け、該苗植付部の下部に圃場面を滑走するフロ−トを設けた苗移植機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、田植機等の苗移植機において、左右方向の駆動軸と一体回転する回転ケースを設け、該回転ケースの回転中心から偏位した位置に、回転ケ−スとは逆方向に回転する苗植付具を複数個設けた構成の苗植付装置が設けられている。この苗植付装置は、回転ケースの回転により苗植付具を上下往復移動させ、苗植付具により、苗載置台上の例えばマット状の苗から一株分の苗を掻き取って保持して圃場面まで移送し、苗を圃場に植え付ける構成となっている。尚、この苗植付装置は、各植付条毎に設けられている。
【0003】
また、前記苗植付装置を備える苗植付部を走行車体に対して昇降可能に設け、該苗植付部の下部に圃場面を滑走して整地するフロ−トが設けられている。このフロ−トは、左右方向に幅広にして整地性を向上させるべく、機体平面視で苗植付装置の回転ケースの一部と重複し、該回転ケースの下方に配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の苗移植機におけるフロ−トは、合成樹脂製で、型成型される上面部と底面部とを外周の接合縁部で一体的に接合し、内部に空洞を有する構造であるため、外周の前記接合縁部では上下幅が狭く構成される(例えば、特許文献2参照)。従って、機体平面視でこの接合縁部と苗植付装置の回転ケースの一部とが重複するが、回転ケースの下方となる接合縁部の上端をフロ−ト全体に対して低位に位置させ、回転ケースとフロ−トとが干渉しないように構成している(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−269023号公報
【特許文献2】
特開平7−39217号公報(第4頁、図14、図16)
【特許文献3】
特開平6−153628号公報(図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の苗移植機は、機体平面視で苗植付装置の回転ケースの一部のみがフロ−トと重複しているだけなので、深水の圃場や土壌が軟らかい圃場等では、依然として回転ケ−スの回転により圃場の泥や水を跳ね上げるおそれがあり、これにより回転ケ−スひいては苗植付装置の作動部位に泥や水が付着しやすく、苗植付装置の円滑な作動を妨げたり、圃場の整地性を低下させたりするおそれがある。
【0007】
また、フロ−ト外周の接合縁部で上下幅が狭く、回転ケースとフロ−トとが干渉しないように前記接合縁部を低位に設けているので、外周の接合縁部が土壌に喰い込みやすくなり、フロ−トの滑走により圃場にフロ−ト跡が付きやすいものとなっていた。更には、フロ−ト外周の接合縁部で上下幅が狭いために、フロ−トの上面に泥が載りやすく、フロ−トの円滑な作動を妨げることにより圃場の整地性を低下させるおそれがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右方向の軸心回りに回転する回転ケース31を備える苗植付装置22を苗植付部3に設け、該苗植付部3の下部に圃場面を滑走するフロ−ト23,24を設けた苗移植機において、機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の幅内に前記回転ケース31を収めた構成としたことを特徴とする苗移植機とした。
【0009】
従って、請求項1に記載の苗移植機は、機体の進行に伴って、苗植付部3が苗植付装置22の回転ケース31を左右方向の軸心回りに回転させ、圃場に苗を植え付けていく。そして、苗植付部3の下部に設けたフロ−ト23,24が圃場面を滑走し、圃場を整地する。機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の幅内に前記回転ケース31を収めた構成としたので、回転ケース31と圃場の土壌との間をフロ−ト23,24が遮り、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケ−ス31の回転で圃場の泥や水を跳ね上げるようなことを防止する。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、フロ−ト23,24の端部106の上下幅を中央部105より大きくし、前記中央部105の上方に回転ケース31を配置したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とした。
従って、請求項2に記載の苗移植機は、請求項1に記載の苗移植機の作用に加えて、フロ−ト23,24の端部106の上下幅が大きいため、外端部106が土壌に喰い込みにくくなり、フロ−ト23、24の滑走により圃場にフロ−ト跡が付きにくくなる。また、フロ−ト23、24の外方から泥が流れてきても、前記端部106がしっかりと土壌を受けとめ、フロ−ト23、24の上面に泥が載りにくくなる。そして、端部106より上下幅の小さいフロ−ト23,24の中央部105の上方に回転ケース31を配置したので、回転ケース31とフロ−ト23、24とが干渉しにくくなり、フロ−ト23、24を円滑に作動させることができる。更には、前記中央部105の上下幅が小さい分、回転ケース31を土壌面に近づけて配置でき、苗の植付深さを深くすることができる。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、端部106の上端より高い壁部108をフロ−ト23,24の回転ケース31の外側に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の苗移植機とした。
従って、請求項3に記載の苗移植機は、請求項1又は2に記載の苗移植機の作用に加えて、壁部108により泥や水が回転ケース31側に移動するのを防止でき、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケース31の回転で泥や水を跳ね上げるようなことを防止する。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に記載の苗移植機によると、回転ケ−ス31の回転で圃場の泥や水を跳ね上げるようなことを防止でき、回転ケ−ス31ひいては苗植付装置22の作動部位に泥や水が付着しにくく、苗植付装置22を円滑に作動させて適正な苗の植付を行えると共に、圃場の整地性向上が図れる。
【0013】
また、請求項2に記載の苗移植機によると、請求項1に記載の苗移植機の効果に加えて、フロ−ト23、24の滑走により圃場にフロ−ト跡が付きにくく、圃場の整地性向上が図れる。また、フロ−ト23、24の上面に泥が載りにくく、フロ−ト23、24を円滑に作動させることができて、圃場の整地性向上が図れる。更には、苗の植付深さを深くすることができる。
【0014】
また、請求項3に記載の苗移植機によると、請求項1又は2に記載の苗移植機の効果に加えて、壁部108により回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケース31の回転で泥や水を跳ね上げるようなことを更に防止でき、回転ケ−ス31ひいては苗植付装置22の作動部位に泥や水が付着しにくく、苗植付装置22を円滑に作動させて適正な苗の植付を行えると共に、圃場の整地性向上が図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2と6条植えの苗植付部3とから構成される。
【0016】
走行車体2の略中央に駆動源であるエンジン4が備えられ、該エンジン4の駆動により走行ミッションケ−ス5等を介して前輪6,6及び後輪7,7が駆動され、これらの前後輪6,6,7,7が駆動されて走行車体2が走行する。前記エンジン4の上方に操縦席8が備えられ、該操縦席8の前側にステアリングハンドル9が設けられている。この走行車体2の後部に昇降リンク機構10が設けられ、該昇降リンク機構10を介して前記苗植付部3が装着され、油圧昇降シリンダ11の伸縮により上下に昇降するように設けられている。尚、走行車体側からの動力が植付クラッチケ−ス12を介して前記苗植付部3に伝動されるようになっている。
【0017】
また、操縦席前側のステップ部には有段操作される株間変速レバ−13が設けられており、走行車体2の走行速度に対する苗植付部3の作動速度を変速できるようになっている。この株間変速レバ−13により、植付作業者が圃場に移植する苗の植付株間を設定できるようになっている。従って、前記株間変速レバ−13を操作しない限り、走行速度に比例した速度で前記苗植付部3が作動されるようになっている。
【0018】
苗植付部3は、苗載置台20と植付伝動部21及び各2条毎の苗植付装置22,…とを備えて構成される。苗植付部3の下部には、センタ−フロ−ト23及び両側部にサイドフロ−ト24,24が設けられており、該フロ−ト23,24,24が圃場面を滑走する構成である。
【0019】
また、苗植付部3は、植付伝動部21からの動力により前記苗植付装置22を作動する。前記苗載置台20は、上部を苗載置台支持ロ−ラ25,25、下部を左右移動ガイド板26により左右移動可能に支持されている。そして、苗植付部3は、植付伝動部21からの動力により苗載置台20が固着された苗載置台左右移動棒27を左右移動させて苗載置台20を左右移動させ、マット状の苗を苗植付装置22により一株づつ掻き取る構成となっている。尚、前記左右移動ガイド板26には、苗植付装置22,…の苗掻き取り口26a,…が設けられている。また、前記苗載置台20は、左右移動終端においてマット状の苗を各条の苗送りベルト28,…により苗載置台20に沿って苗植付装置側に順次移送する公知の構成である。
【0020】
苗植付装置22は、植付伝動部21の植付伝動フレ−ム29の後端部で機体の走行速度に比例して一定速度で回動する苗植付装置駆動軸30の駆動により作動するようになっている。尚、前記苗植付装置駆動軸30は、前側から巻きかけたチェ−ン37からの伝動により駆動する従動スプロケット38と安全クラッチ39とを介して伝動されて駆動する。前記安全クラッチ39は、該従動スプロケット38の端部に一体で設けた駆動クラッチ爪39a、該駆動クラッチ爪39aと噛み合う受動クラッチ爪を備える受動クラッチ爪体39b及び前記従動スプロケット38を前記受動クラッチ爪体39b側へ付勢する圧縮スプリング39cを備えて構成される。尚、前記従動スプロケット38すなわち前記駆動クラッチ爪39aは苗植付装置駆動軸30回りに回転するように設けられ、前記受動クラッチ爪体39bは前記苗植付装置駆動軸30と一体回転するようになっている。前記駆動クラッチ39a爪及び受動クラッチ爪体39bの爪部は傾斜面を備えており、苗植付装置22が異物等に干渉してメカロックを起こすと、前記傾斜面により圧縮スプリング39cに抗して駆動クラッチ爪39aすなわち従動スプロケット38が受動クラッチ爪体39bとは反対側に移動して、安全クラッチ39の伝動を断つようになっている。
【0021】
そして、前記受動クラッチ爪体39bと一体回転する入力ギヤ60が設けられ、該入力ギヤ60の後側で噛み合う駆動ギヤ61へ伝動され、苗植付装置22の回転ケ−ス31が駆動ギヤ61と一体回転する構成となっている。尚、該駆動ギヤ61は、左右方向において回転ケ−ス31及び該回転ケ−ス31に装着した左右の苗植付具32間の略中央位置に設けられている。尚、入力ギヤ60又は駆動ギヤ61が、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部となる。
【0022】
苗植付装置22は、前記回転ケ−ス31と該回転ケ−ス31の左右それぞれに装着した一対の苗植付具32とを備えて構成され、該苗植付具32が前記苗掻き取り口26a上の苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場に植え付けていくようになっている。前記回転ケ−ス31は、植付伝動フレ−ム29の後端に上下左右計4本の締付ボルト62で固着された支持部となる回転支持ケース63に左右の回転ケ−ス軸受(ベアリング)64を介して回転可能に支持され、外周が回転支持ケース63に覆われている。従って、回転支持ケース63は、回転ケ−ス31の回転により該ケ−ス31に圃場の泥や水等がかかるのを防止するガード体となっている。更には、回転ケ−ス31が作業者や他の構造物に接触しにくく、安全性の向上を図ると共に、回転ケ−ス31が破損するようなことを防止している。また、前記4本の締付ボルト62を外すことにより、回転ケ−ス31ごと回転支持ケース63を植付伝動フレ−ム29から取り外すことができる。回転支持ケース63内には、前記左右の軸受64の間に位置する内歯の固定ギヤ65が4か所の締付ボルト66で固着されている。この固定ギヤ65が、機体側に回転しないように固定したリングギヤとなる。この固定ギヤ65と噛み合う回転ギヤ67が、回転ケ−ス31内に設けた左右方向の回転ギヤ軸68に軸支され、該軸68回りに回転するように駆動ギヤ61の右側に設けられている。尚、前記回転ギヤ軸68は、回転ケ−ス31の回転中心に対して偏位して設けられている。従って、回転ケ−ス31の回転に伴って回転ギヤ67が固定ギヤ65に沿って公転しながら自転し、これらの回転ギヤ67、固定ギヤ65及び回転ケ−ス31等により遊星ギヤ機構を構成している。また、駆動ギヤ61の左側には回転ギヤ67と一体回転する中間ギヤ69が設けられ、該中間ギヤ69と噛み合う複数個(2個)の遊星駆動ギヤ70が、回転ケ−ス31内に設けたそれぞれの左右方向の遊星駆動ギヤ軸71回りに回転するように設けられている。そして、遊星駆動ギヤ70と一体回転する第一偏心ギヤ72がそれぞれ最終ギヤとなる第二偏心ギヤ73と噛み合う。尚、前記遊星駆動ギヤ70及び第一偏心ギヤ72により、カウンタギヤを構成している。この一対の第二偏心ギヤ73は、回転ケ−ス31内に設けたそれぞれの左右方向の最終回動軸36と一体回転するように設けられている。尚、前記第一偏心ギヤ72及び第二偏心ギヤ73は、偏心しているばかりでなく外形が不規則な非円形に構成されており、回転角速度を変化させながら最終回動軸36へ伝動する。また、一対の前記遊星駆動ギヤ70、第一偏心ギヤ72、第二偏心ギヤ73、遊星駆動ギヤ軸71及び最終回動軸36は、それぞれ回転ケ−ス31の回転中心に対して互いに対称な位置に配置されていると共に、回転ケ−ス31の回転により公転しながら自転する遊星ギヤとなっている。
【0023】
ところで、固定ギヤ65から回転ギヤ67への回転伝達比(すなわち、回転ケ−ス31の回転に対する回転ギヤ67の回転数の比)と中間ギヤ69から遊星駆動ギヤ70への回転伝達比とが互いに逆数の関係にあり、固定ギヤ65から遊星駆動ギヤ70への回転伝達比が1となるため、回転ケ−ス31の1回転につき遊星駆動ギヤ70が同じ方向へ1回転する構成となっている。また、第一偏心ギヤ72と第二偏心ギヤ73とは同じ歯数で回転伝達比が1であり、回転ケ−ス31の1回転につき最終回動軸36が回動角速度を変えながらそれぞれ逆方向に1回転する。
【0024】
最終回動軸36は、それぞれ左右の最終回動軸軸受(ベアリング)74により回転ケ−ス31に対して回転可能に両持ち支持されている。そして、最終回動軸36の両端の方形軸部が苗植付具32の苗植付具固定部材32cの方形穴部に嵌合しており、前記最終回動軸36と前記苗植付具32を一体回転させ、回転ケ−ス31の回動位置に対して苗植付具32の前後傾斜姿勢が決定される。すなわち、左右一対の苗植付具32が第二偏心ギヤ73と一体回転するようになっている。従って、回転ケ−ス31が1回転する間に、苗植付具32が前後傾斜姿勢を変化させながら回転ケ−ス31の回動とは逆方向に該回転ケ−ス31に対して1回転するようになっている。尚、苗植付具32には苗植付具ケ−ス32aを備えており、該苗植付具ケ−ス32aを2本の取付ボルト32bにより前記苗植付具固定部材32cに固着している。
【0025】
また、回転ケ−ス31内のギヤの噛み合いにおけるバックラッシにより発生するガタを吸収すべく、ガタ止め機構40を回転ケ−ス31内に設けている。該ガタ止め機構40は、駆動ギヤ61の右側に設けられ、最終回動軸36と一体回転するガタ止めカム40aと該カム40aに当接するガタ止めア−ム40bと該ア−ム40bを前記ガタ止めカム40a側に付勢するガタ止めスプリング40cとを備えて構成される。尚、該ガタ止めスプリング40cは、引っ張りスプリングである。従って、ガタ止めカム40aと第二偏心ギヤ73とを駆動ギヤ61の左右に振り分けているので、両者40a、73が左右に離れて配置され、この両者40a、73が作用する最終回動軸36の撓みを防止でき、植付精度の向上を図っている。尚、該ガタ止めスプリング40cの両端を一対のガタ止めア−ム40bに連結して、複数個(2個)のガタ止めア−ム40bでガタ止めスプリング40cを共用している。従って、該ガタ止めスプリング40cは、共通の弾性部材となる。このガタ止め機構40cにより、苗植付装置22が苗掻き取り口26aから苗を掻き取るとき及び掻き取った苗を圃場に植え付けるときに前記バックラッシによる第二偏心ギヤ73のガタを止めて苗植付具32の前後傾斜姿勢のガタを抑え、該苗植付具32により適確に苗を掻き取り適確に圃場に苗を植え付けるようにしている。尚、前記ガタ止めア−ム40bは駆動ギヤ61に設けた支点軸40d回りに回動するように設けられ、ガタ止めスプリング40cは駆動ギヤ61の内部に設けた空間部となる左右に連通する空洞孔部61aのスペ−スに重複して配置されている。
【0026】
前記苗植付具32は、マット状の苗を一株分掻き取って保持する植付爪41と該植付爪41で分離して保持した苗を圃場面へ向けて押し出す苗押出体の一例である苗押出フォ−ク42とを備えて構成される。回転ケ−ス31の回動により苗植付具32が上下に長いル−プ軌跡Tを描いて苗掻き取り口26aを通過することにより、取付ボルト43により苗植付具ケ−ス32aに固着された植付爪41が苗掻き取り口26aにある苗を掻き取り保持するようになっている。
【0027】
苗押出フォ−ク42は、押出作動により前記苗植付具ケ−ス32aに対して摺動する丸軸部42aと該丸軸部42aの先端に固着された苗押出部42bとを備えて構成される。この苗押出部42bの前端部が植付爪41が保持した苗の苗床に当接して植付爪41が保持した苗を押し出すようになっている。
【0028】
前記苗押出フォ−ク42の上部すなわち丸軸部42aの一部は、苗植付具ケ−ス32a内に挿入されている。前記苗植付具ケ−ス32a内には、前記苗押出フォ−ク42の上端部に下部支軸44aを介して連結された連結リンク44と、該連結リンク44に上部支軸44bを介して連結した苗押出ア−ム45と、苗押出ア−ム45と一体的に設けたカム側ア−ム46と、該カム側ア−ム46と当接する苗押出カム47とを備えている。尚、前記苗押出ア−ム45及び前記カム側ア−ム46は、苗植付具ケ−ス32aに取り付けた揺動軸48回りに一体で揺動するようになっている。尚、前記連結リンク44は、前記下部支軸44aを介して前記苗押出フォ−ク42に連結されているが、苗押出フォ−ク42と当接することにより該苗押出フォ−ク42に対してほとんど回動しないように設けられている。また、前記苗押出カム47は、回転ケ−ス31の最終回動軸36回りに回動可能に設けられると共に、回転ケ−ス31と一体で該回転ケ−ス31に対して回動しないように設けられている。従って、回転ケ−ス31の一回転につき、苗押出カム47が苗植付具32に対して一回転する構成となっている。そして、苗植付具32に対する苗押出カム47の一回転につき、カム側ア−ム46を介して苗押出ア−ム45が1往復分揺動し、苗押出フォ−ク42が1往復分摺動する構成となっている。尚、苗植付具ケ−ス32aにおける苗押出フォ−ク42が摺動する部分にはゴム製のシ−ル材50を設けており、該シ−ル材50により苗押出フォ−ク42の摺動により苗植付具ケ−ス32a内に供給されたグリス(潤滑剤)が苗植付具ケ−ス32a外へ連れ出されないようにしている。
【0029】
連結リンク44の上端部には、圧縮スプリングである苗押出スプリング51を当接させて設けている。尚、苗押出スプリング51の他端は、苗植付具ケ−ス32aの内面に当接している。また、前記連結リンク44の上端部には、前記苗押出スプリング51の下端部が当接するための当接面を構成している。そして、苗押出フォ−ク42は、前記苗押出スプリング51により苗の押出作用側へ付勢されており、前記苗押出カム47により苗の押出作用側への摺動が規制され、カム側ア−ム46が苗押出カム47の小径部47bに当接する状態で苗押出スプリング51により摺動して押出作動するようになっている。尚、苗植付具32のル−プ軌跡Tの下死点Aの位置にきたとき、前記苗押出フォ−ク42が押出作動するようになっている。そして、苗植付具32が前記下死点Aの位置から上昇して苗掻き取り口26aの位置に来るまでに押出作動した苗押出フォーク42が戻り作動して、植付爪41が苗を掻き取るまでに苗押出フォーク42が戻り作動するようになっている。尚、苗押出フォ−ク42が押出作動したときに苗押出ア−ム45と当接するクッションゴム52を苗植付具ケ−ス32a内に設けており、該クッションゴム52により苗押出スプリング51による苗押出フォ−ク42の押出作動の衝撃を緩和する構成となっている。
【0030】
次に、回転ケ−ス31について説明する。
回転ケ−ス31は、左右のケ−ス体31aにより構成されている。尚、このケ−ス体31aは、左右で同じものを使用して共用部品となっている。左右のケ−ス体31aは、左側及び右側から挿入されるそれぞれ2本づつのケ−ス結合用ボルト75(計4本)により結合される。このケ−ス結合用ボルト75は、それぞれの最終回動軸36の近くで該軸36と略対称位置に配置されており、左右の互いのケ−ス体31aあるいは回転ケ−ス31全体における最終回動軸軸受74を受ける部分の位置ずれが起こりにくいようにしており、回転ケ−ス31に対して最終回動軸36の位置が適正な位置へ精度良く固定されるようにしている。尚、最終回動軸36及びケ−ス結合用ボルト75は、その中途部で駆動ギヤ61に設けたそれぞれに対応する孔61bを貫通し、回転ケ−ス31に対する駆動ギヤ61の位置精度を向上させると共に、回転ケ−ス31及び駆動ギヤ61に対する最終回動軸36の位置精度の向上を図っている。
【0031】
また、図7に基づいて説明すると、左側のケ−ス体31a内部に備える雌ねじ孔部31bに回転ギヤ軸68の一端(左端)に設けた雄ねじ部68aを螺合すると共に、回転ギヤ軸68の他端(右端)に設けた雄ねじ部68bをケ−ス外へ突出させ、該雄ねじ部68bに締付ナット76をケ−ス外側から螺合している。従って、回転ギヤ67及び中間ギヤ69の回転軸心となる回転ギヤ軸68は、その両端部を左右のケ−ス体31aにより支持固定されると共に、前記ケ−ス結合用ボルト75と同様に左右のケ−ス体31aを結合する結合部材となっている。尚、回転ギヤ軸68の外周に設けたボス部77により、回転ギヤ67及び中間ギヤ69が一体で構成されている。また、回転ギヤ軸68及びボス部77は駆動ギヤ61内部の空洞孔部61aを貫通しており、この空洞孔部61aで回転ギヤ67側(図7では右側)から中間ギヤ69を通し、該中間ギヤ69を駆動ギヤ61の回転ギヤ67とは反対側(図7では左側)に位置させて回転ギヤ67及び中間ギヤ69を装着するようになっている。尚、左右のケ−ス体31aが共用部品のため、回転ギヤ軸68の雄ねじ部68bをケ−ス外へ突出させるための孔31cは他方(図7では左側)のケ−ス体31aにも設けられているが、この孔31cにはキャップ78を挿入して回転ケ−ス31内の潤滑油が該孔31cから抜け出ないようにしている。
【0032】
また、回転ケ−ス31の回転中心に対して回転ギヤ軸68とは反対側に、左右のケ−ス体31aを結合する結合部材となるケ−ス結合軸79が設けられている。このケ−ス結合軸79は、その一端(図7では左端)に設けた雄ねじ部79aを一方の(図7では左側)のケ−ス体31a内部に備える雌ねじ孔部31dに螺合すると共に、他端(図7では右端)に設けた雄ねじ部79bをケ−ス体31a(図7では右側)に備える軸孔31eからケ−ス外へ突出させ、該雄ねじ部79bに締付ナット80をケ−ス外側から螺合している。尚、このケ−ス結合軸79は、駆動ギヤ61内部に設けた孔61cを貫通しており、回転ケ−ス31に対する駆動ギヤ61の位置精度の向上を図っている。
【0033】
また、回転ケ−ス31の回転中心に対して前記ケ−ス結合軸79と対称な位置に、一方(図7では左側)のケ−ス体31a内部に支持され駆動ギヤ61を固定するための締付用軸81が設けられている。該締付用軸81は、駆動ギヤ61内部に設けた孔61dを貫通し、その一端(図7では左端)に設けた雄ねじ部81aをケ−ス体31a(図7では左側)に備える軸孔31eからケ−ス外へ突出させ、該雄ねじ部81aに締付ナット82をケ−ス外側から螺合してケ−ス体31aに固着すると共に、他端(図7では右端)に設けた雌ねじ孔部81bに締付ボルト83を螺合し、一方(図7では左側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着している。更には、遊星駆動ギヤ軸71も、駆動ギヤ61内部に設けた孔61eを貫通し、その一端(図7では左端、図6では下端)に設けた雄ねじ部71aをケ−ス体31a(図7では左側、図6では下側)内部に備える雌ねじ孔部31fに螺合すると共に、他端(図7では右端、図6では上端)に設けた雄ねじ部71bに締付ナット84を螺合し、一方(図7では左側、図6では下側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着している。従って、締付用軸81及び遊星駆動ギヤ軸71により、一方(図7では左側、図6では下側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着し、該駆動ギヤ61の位置を確実に固定している。尚、一方(図7では左側、図6では下側)のケ−ス体31aに駆動ギヤ61を固着したので、左右のケ−ス体31aを離して回転ケ−ス31を分割するとき、4本のケ−ス結合用ボルト75及び締付ナット76,80を外すだけで回転ケ−ス31を分割することができる。
【0034】
回転ケ−ス31と回転ケ−ス軸受(ベアリング)64との間には、図6乃至図8及び図11に示すような回転体31と支持部63との間に介在する介在部材となるブッシュ85が介在している。このブッシュ85は、左右のケ−ス体31aにそれぞれ対応して設けられ、回転ケ−ス31の左右外側となる端部の適宜箇所(2か所)に回転ケ−ス31の回転中心側に折り曲げて構成される突起85aを備えている。一方、左右のケ−ス体31aには、図11に示すように、回転ケ−ス31の左右外側となる端部の前記突起85aと対応する位置に溝31gを備えている。従って、回転ケ−ス31にブッシュ85を装着すると、前記突起85aが前記溝31gに係合して回転ケ−ス31とブッシュ85との係合部となり、回転ケ−ス31に対してブッシュ85が回転するのを阻止する回り止めとなる。尚、回転ケ−ス軸受(ベアリング)64の左右外側には、回転ケ−ス31内の潤滑油が外へ放出されないように、回転ケ−ス31と回転支持ケース63との間を塞ぐオイルシ−ル86が設けられている。
【0035】
尚、回転ケ−ス31を受ける前記ブッシュ85及び最終回動軸軸受74を受ける苗押出カム47は、鉄製で強度を持たせてあり、回転ケ−ス31あるいは最終回動軸36をしっかりと確実に支持できるようにしている。そして、回転ケ−ス31や回転支持ケース63等の他の構造物は、アルミ鋳物で構成され、軽量化が図られている。尚、前記他の構造物を、アルミ鋳物で構成する代わりに樹脂製としてもよい。
【0036】
また、固定ギヤ65は、適宜の位置で回転支持ケース63内部に固着されている。尚、この固定ギヤ65は、図5に示すように、外周の複数箇所(4か所)に凸部65aで構成される係合部を備えており、この凸部65aが回転支持ケース63側に設けた凹部(図示せず)と係合して、回転支持ケース63に対して回転しないように設けられている。
【0037】
苗植付具32の苗植付具ケ−ス32aと苗押出カム47との間には、左右方向で両者のボス部32d,47cの外面にわたるように伸縮可能なゴム製のブ−ツ87が設けられている。このブ−ツ87が、カバ−となる。該ブ−ツ87は、端部が苗押出カム47の外面に設けたブ−ツ用溝47dに回転しやすいように係合し、苗植付装置22の作動抵抗になりにくいように装着され、回転ケ−ス31あるいは苗植付具ケ−ス32a内の潤滑油が外へ洩れ出るのを防止している。尚、苗植付具ケ−ス32aのボス部32d内面と苗押出カム47の外面との間、及び苗押出カム47のボス部47c内面と最終回動軸36との間には、従来と同様に苗植付具ケ−ス32aあるいは回転ケ−ス31の潤滑油洩れを防ぐためのそれぞれオイルシ−ル88,89が設けられている。
【0038】
また、図3等から判るように、回転支持ケース63の内部空間内に回転ケ−ス31が収容され、機体側面視で回転支持ケース63と回転ケ−ス31とが重複しないように配置されている。従って、回転ケ−ス31の左右一側の一対の苗植付具32を最終回動軸36から取り外し、苗植付具32が残る他側へ回転ケ−ス31をスライドさせて取り外すことができる。尚、苗押出カム47のボス部47cは、側面視で、回転ケ−ス31の外周より該ケ−ス31の回動中心側に位置しているので、回転ケ−ス31の取り外しの支障にならない。
【0039】
よって、この苗植付具32は、回転ケ−ス31の回転により、上下方向のル−プ軌跡Tで旋回し植付爪41により苗載置台20の下部の苗掻き取り口26aから一株分の苗を掻き取ってその掻き取った苗を圃場面に移送し、苗押出フォ−ク42が摺動して圃場に苗を押し出して植え付ける。尚、図10には、機体の走行を加味した苗植付具32の動軌跡Uを示している。
【0040】
次に、上述の苗植付装置22が有する各々の特徴を順に説明する。まず、この苗植付装置22は、左右方向の軸心回りに回転する回転体となる回転ケース31の左右に苗植付具32を取り付けている。従って、回転ケース31の左右方向の軸心回りの回転により、回転ケース31の左右に取り付けた苗植付具32により圃場に複数条に苗を植え付けていくことができ、部品点数が少なくなって軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0041】
また、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部となる入力ギヤ60及び駆動ギヤ61が左右方向において左右の苗植付具32の中間に位置する。従って、左右の苗植付具32を設けて回転ケース31の回転負荷が大きくなっても、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部60,61が左右方向において左右の苗植付具32の中間に位置するので、回転ケース31を円滑に回転させることができ、適正に複数条に苗を植え付けることができる。
【0042】
また、左右方向の軸心回りに回転する回転ケース31内で中間ギヤ69からカウンタギヤ70,72を介して最終ギヤ73へ伝達して、該最終ギヤ73を回転ケース31に対して逆方向へ回転させると共に、該最終ギヤ73と一体回転するように苗植付具32を設け、側面視で中間ギヤ69、カウンタギヤ70,72及び最終ギヤ73の軸心68,71,36が互いに一直線上に位置しない構成としている。
【0043】
従って、回転ケース31の左右方向の軸心回りの回転により、中間ギヤ69からカウンタギヤ70,72を介して伝達して最終ギヤ73を回転ケース31に対して逆方向へ回転させ、苗植付具32の姿勢を制御し、該苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、側面視で中間ギヤ69、カウンタギヤ70,72及び最終ギヤ73の軸心68,71,36が互いに一直線上に位置しない構成としたので、回転ケース31の小型化を図りつつ、伝達する互いのギヤの軸間を広くとることができ、最終ギヤ73ヘの回転伝達精度の向上やギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタの低減を図ることができ、苗植付具32により適正な苗の植付が行えると共に、回転ケース31の小型化が図れ、回転ケース31の回転負荷の低減、軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0044】
また、機体側に回転しないように固定した内歯の固定ギヤ65に噛み合う回転ギヤ67を回転ケース31内に設け、回転ケ−ス31の回転に伴って回転ギヤ67が公転しながら自転し、該回転ギヤ67から前記最終ギヤ73へ伝達する構成とし、固定ギヤ65から回転ギヤ67への回転伝達比と回転ギヤ67から最終ギヤ73への回転伝達比とを互いに逆数に設定している。
【0045】
従って、回転ケース31の左右方向の軸心回りの回転により、固定ギヤ65と噛み合う回転ギヤ67が公転しながら自転し、該回転ギヤ67から伝達して最終ギヤ73を回転ケース31に対して逆方向へ回転させる。このとき、固定ギヤ65から回転ギヤ67への回転伝達比と回転ギヤ67から最終ギヤ73への回転伝達比とを互いに逆数に設定しているので、回転ケ−ス31の1回転につき最終ギヤ73が逆方向に1回転することとなり、回転ケ−ス31の回転位置に対応して苗植付具32の姿勢が制御され、該苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、回転ギヤ67の軸心68を回転ケース31の回転中心から偏位して配置でき、この回転ギヤ67と同じ軸心位置に中間ギヤ69を設けるか又は回転ギヤを中間ギヤに兼用することにより、側面視で中間ギヤ69、カウンタギヤ70,72及び最終ギヤ73の軸心68,71,36が互いに一直線上に位置しないように構成しやすく、回転ケース31の小型化を図りつつ、伝達する互いのギヤの軸間を広くとることができ、最終ギヤ73ヘの回転伝達精度の向上やギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタの低減を図ることができ、苗植付具32により適正な苗の植付が行えると共に、回転ケース31の小型化が図れ、回転ケース31の回転負荷の低減、軽量化、コストダウンを図ることができる。
【0046】
また、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部となる入力ギヤ60及び駆動ギヤ61に対して回転ギヤ67と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置した。従って、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部60,61に対して回転ギヤ67と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置したので、入力部60,61に対する回転ケース31の左右の重量バランスひいては左右の苗植付具32を含む苗植付装置全体の左右の重量バランスの均一化が図れ、回転ケース31を円滑に回転させることができ、適正に苗の植付が行える。
【0047】
また、ギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタを吸収するガタ止め機構40を設け、回転ケース31へ回転動力を入力する入力部60,61に対してガタ止め機構40と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置した。従って、ガタ止め機構40によりギヤのバックラッシによる最終ギヤ73のガタを吸収して苗植付具32の姿勢を精度良く適正に制御し、該苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、入力部60,61に対してガタ止め機構40と最終ギヤ73とを左右に振り分けて配置したので、入力部60,61に対する回転ケース31の左右の重量バランスひいては左右の苗植付具32を含む苗植付装置全体の左右の重量バランスの均一化が図れ、回転ケース31を円滑に回転させることができ、適正に苗の植付が行える。
【0048】
また、回転体となる回転ケ−ス31の回転中心から偏位した位置で該回転体31から左右にそれぞれ伝達軸となる最終回動軸36を設け、該伝達軸36の駆動が苗植付具32に伝達される構成とした。従って、伝達軸36により左右の苗植付具32の姿勢が制御されながら、回転体31の回転に伴って左右の苗植付具32が上下往復移動し、圃場に複数条に苗を植え付けていき、苗植付姿勢の適正化を図ることができる。
【0049】
また、回転体となる回転ケ−ス31の外周を受けて該回転体31を支持する支持部となる回転支持ケース63を設け、該支持部63に対して回転体31を回転可能に設けた。従って、支持部63により回転体31の外周を受ける構成としたので、左右の苗植付具32が回転体の駆動軸や該駆動軸への伝動部等に干渉しないように構成でき、ひいては回転体31の小型化が図れる。
【0050】
また、回転支持ケース63は、回転体31の少なくとも下側に設けたガ−ド体となり、このガ−ド体63により回転体に泥や水等がかかるのを防止でき、回転体31の作動を良好に維持できると共に、回転体31の摩耗を防止して耐久性の向上を図ることができる。
【0051】
また、固定具となる4本の締付ボルト62により、回転体31と支持部63とを一体で機体に対して着脱可能に設けた。従って、機体に対して回転体31と支持部63とを一体で着脱することができるので、修理や調整等のメンテナンスを容易に行える。
【0052】
また、側面視で回転体31を支持部63と重複しない位置に設けているので、側方から回転体31を取り外したり回転体31へのメンテナンスを行うとき、支持部63が邪魔にならずに容易に行える。
また、回転体31と支持部63との間に介在する介在部材となるブッシュ85を他の構成部材より強度のある素材で構成した。従って、回転体31の回転により介在部材85が摩耗したり変形したりするようなことを防止できる一方、他の構成部材の素材は軽量なものにしたり安価なものにすることができ、軽量化又はコストダウンを図ることができる。
【0053】
また、前記介在部材となるブッシュ85を回転体31に接触させて設け、回転体31に対して前記介在部材85が移動しないように回転体31と介在部材85とを係合する係合部となるブッシュ85側の突起85a及び回転体31側の溝31gを設けた。従って、係合部85a,31gにより回転体31に対して介在部材85が移動しないようにできるので、回転体31の回転による該回転体31又は介在部材85の摩耗を防止することができ、耐久性が向上する。また、回転体31を内部に伝達機構を備えるケースで構成し、該ケース内に潤滑油を供給した場合には、この潤滑油がケース外へ漏れ出るのを防止できる。
【0054】
上述の特徴を有する苗植付装置22に対して、従来の苗植付装置は、各植付条毎に回転ケースが設けられているので、複数条植えの苗移植機において、回転ケースの個数が多くなり、また回転ケースの個数に付随して中間ギヤ、カウンタギヤ及び最終ギヤ等のギヤを含む部品点数が多くなり、重量が大きくなり、コストアップの要因となる。また、回転ケースの左右一側に最終ギヤと一体回転する最終回動軸(伝達軸)を延ばして、この最終回動軸に複数の苗植付具を取り付けて左右に並べ、単一の回転ケースにより複数条分の苗植付具を作動させることが考えられるが、植付条間にわたるべく伝達軸が左右に長くなる分、苗植付具の作動が不安定になったり、伝達軸が周囲の構造物と干渉しないようにするために他の構造物の配置等の設計の自由度が低下したり、コストアップを招くおそれがある。
【0055】
また、従来の苗植付装置は、側面視で中間ギヤ、カウンタギヤ及び最終ギヤの軸心が互いに一直線上に位置しているので、回転ケース内のギヤによる最終ギヤヘの回転伝達精度の向上やギヤのバックラッシによる最終ギヤのガタの低減を考慮すると、伝達する互いのギヤの軸間をある程度必要とするが、側面視で中間ギヤ、カウンタギヤ及び最終ギヤの軸心が互いに一直線上に位置しているので、この軸心の配列方向に回転ケースが長くなり、回転ケースの小型化に限界がある。
【0056】
ところで、フロ−ト23,24,24は、前部101が左右幅広で後部102が左右幅狭となる機体平面視しゃもじ型で左右対称な形状となっており、前部101が前へいくにつれて反り上がっており、機体の前進により前部101で土壌を受けとめて圃場面を均平に整地する。前記前部101の後方で前記後部102の左右両側方には各条の苗植付位置があり、フロ−ト23,24,24の前部101で整地した位置に苗植付装置22が苗を植え付けるようになっている。該フロ−ト23,24,24は、それぞれのフロート支持アーム103の先端に設けたそれぞれの左右方向の回動軸104回りに上下回動自在に設けられ、圃場面の凹凸に追従して前記回動軸104回りに上下回動しながら整地する。各フロ−ト23,24,24の回動軸104は、機体側面視で常に同じ位置に設けられ、それぞれのフロート支持アーム103が一体的に上下回動して苗植付装置22に対する高さが変更される。従って、フロート支持アーム103の回動によりフロ−ト23,24,24の底面に対する苗植付装置22の高さを変更し、フロート支持アーム103が苗植付装置22による苗の植付深さを変更調節する植付深さ調節手段となる。
【0057】
左右両側のサイドフロ−ト24,24は、同じ形状であり、左右幅狭の後部102の前後長が前部101の前後長より長く構成されている。左右中央のセンタ−フロ−ト23は、サイドフロ−ト24,24より若干前寄りに配置され、左右幅狭の前部の前後長が後部の前後長より長く構成されている。そして、図12及び図13に示すように、サイドフロ−ト24,24の後部102には、その左右中央部105は左右端部106より上下幅が薄く、そのフロ−ト底面は左右中央部105と左右端部106とで同じ高さであるが、左右中央部105の上面が低くフロ−ト上面に凹部が形成されている。フロ−ト上面の凹部を形成する前記左右中央部105は、前後方向においてフロートの中途位置から後端位置にわたって設けられ、その前端から後へいくにつれて幅広となり所定位置から後側は同じ幅に構成されている。前記左右端部106の下側角部107は、曲面状に形成されている。フロ−ト上面の前記左右中央部105と左右端部106との境界位置には、上方に立ち上がる壁部108が設けられている。センタ−フロ−ト23については図示を省略するが、センタ−フロ−ト23にも上述のサイドフロ−ト24,24と同様にフロ−ト上面の凹部を形成する左右中央部及び壁部を形成している。尚、センタ−フロ−ト23がサイドフロ−ト24,24より若干前寄りに配置される分、センタ−フロ−ト23の左右中央部及び壁部は、該フロート23に対して後寄りで、サイドフロ−ト24,24の左右中央部105及び壁部106と同じ前後位置に配置される。
【0058】
フロ−ト23,24,24の左右中央部105の上方には、この左右中央部105の左右幅内に苗植付装置22の回転支持ケース63及び回転ケース31が配置される。従って、左右中央部105の左右幅は、回転支持ケース63及び回転ケース31の左右幅より広く構成されている。
【0059】
以上により、この乗用型の田植機1は、左右方向の軸心回りに回転する回転ケース31を備える苗植付装置22を苗植付部3に設け、該苗植付部3の下部に圃場面を滑走するフロ−ト23,24を設け、機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の左右幅内に前記回転ケース31を収めた構成となる。また、フロ−ト23,24の左右外端部106の上下幅を左右中央部105より大きくし、左右中央部105の上方に回転ケース31を配置している。また、左右外端部106の上端より高い壁部108をフロ−ト23,24の回転ケース31の外側に形成している。
【0060】
従って、この乗用型の田植機1は、走行車体2を走行させながら、苗植付装置22の回転ケース31を左右方向の軸心回りに回転させ、苗植付具32により圃場に苗を植え付けていく。そして、苗植付部3の下部に設けたフロ−ト23,24が圃場面を滑走し、圃場を整地する。機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の幅内に前記回転ケース31を収めた構成としたので、回転ケース31と圃場の土壌との間をフロ−ト23,24が遮り、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケ−ス31の回転で圃場の泥や水を跳ね上げるようなことを防止でき、回転ケ−ス31ひいては苗植付装置22の作動部位に泥や水が付着しにくく、苗植付装置22を円滑に作動させて適正な苗の植付を行えると共に、回転ケ−ス31が圃場の泥や水をかき乱さないので圃場の整地性向上が図れる。尚、回転ケ−ス31の外周が回転支持ケース63で覆われているので、回転ケース31に泥や水が付着するのを防止できる。
【0061】
また、フロ−ト23,24の左右外端部の上下幅が大きいため、左右外端部106が土壌に喰い込みにくくなり、フロ−ト23、24の滑走により圃場にフロ−ト跡が付きにくく、圃場の整地性向上が図れる。尚、左右外端部106の下側角部107が曲面状であるので、左右外端部106がより土壌に喰い込みにくい。また、フロ−ト23、24の左右外方から泥が流れてきても、前記左右外端部106がしっかりと土壌を受けとめ、フロ−ト23、24の上面に泥が載りにくく、フロ−ト23、24を圃場面に追従させて回動軸104回りに円滑に回動させることができて圃場にフロ−ト跡が付くのを防止できるので、圃場の整地性向上が図れる。そして、左右外端部106より上面が低いフロ−ト23,24の左右中央部105の上方に回転支持ケース63及び回転ケース31を配置したので、回転支持ケース63及び回転ケース31とフロ−ト23、24とが干渉しにくくなり、フロ−ト23、24を円滑に上下回動させることができる。更には、前記左右中央部105の上面が低い分、回転ケース31を土壌面に近づけて配置でき、フロート支持アーム103を回動させてフロ−ト23、24を回転ケース31側に近づけることができるので、苗の植付深さを深くすることができる。
【0062】
また、壁部108により泥や水が前方又は左右側方からフロート23、24の左右中央部105すなわち回転ケース31側に流れ込むのを防止でき、回転ケース31に泥や水が付着したり回転ケース31の近くに泥や水が供給されたりしにくく、回転ケース31の回転で泥や水を跳ね上げるようなことを防止する。尚、壁部108は左右中央部105の後方にはなく、左右中央部105が後側で開放されているので、仮に左右中央部105に泥や水が載っても機体の前進で後方に排出されやすく、フロ−ト23、24を圃場面に追従させて回動軸104回りに円滑に回動させることができる。
【0063】
尚、壁部108の上端より回転支持ケース63が上位となるように構成したが、回転支持ケース63の下端の一部が壁部108の上端より下位となるように配置してもよい。尚、フロ−ト23、24の製造方法として、ブロー成型で内部の空洞を形成する方法があるが、左右外端部の上側部分で成型した上下の部位を接合して形成するようにしてもよい。
【0064】
尚、以上の発明の実施の形態は乗用型の田植機1について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型の田植機を示す側面図
【図2】乗用型の田植機を示す平面図
【図3】苗植付装置を示す側面図
【図4】入力ギヤ及び駆動ギヤを示す側面図
【図5】回転ケ−ス内の一部のギヤを示す側面図
【図6】図5のS1−S1断面における苗植付装置の展開断面図
【図7】図5のS2−S2断面における苗植付装置の断面図
【図8】図4のS3−S3断面における苗植付装置の断面図
【図9】苗植付具を示す側面断面図
【図10】苗植付具の作動軌跡を示す側面図
【図11】回転ケ−スのケ−ス体とブッシュとの関係を判り易く示した斜視図
【図12】サイドフロートを示す平面図
【図13】図13のS4−S4断面図
【図14】苗植付装置の動作を判り易く示した側面図
【図15】図14の「1」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図16】図14の「2」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図17】図14の「3」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図18】図14の「4」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図19】図14の「5」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【図20】図14の「6」の状態における回転ケ−ス内のギヤの様子を判り易く示した側面図
【符号の説明】
3…苗植付部、22…苗植付装置、23…センターフロート、24…サイドフロート、31…回転ケ−ス、105…左右中央部、106…左右外端部、108…壁部
Claims (3)
- 左右方向の軸心回りに回転する回転ケース31を備える苗植付装置22を苗植付部3に設け、該苗植付部3の下部に圃場面を滑走するフロ−ト23,24を設けた苗移植機において、機体正面視又は背面視でフロ−ト23,24の幅内に前記回転ケース31を収めた構成としたことを特徴とする苗移植機。
- フロ−ト23,24の端部106の上下幅を中央部105より大きくし、前記中央部105の上方に回転ケース31を配置したことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
- 端部106の上端より高い壁部108をフロ−ト23,24の回転ケース31の外側に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の苗移植機。
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