JP2004087352A - 同軸ケーブルのアース接続用端子及びそれを用いた同軸ケーブルのアース接続部 - Google Patents

同軸ケーブルのアース接続用端子及びそれを用いた同軸ケーブルのアース接続部 Download PDF

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長屋 秀明
Katsutoshi Makuuchi
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Abstract

【課題】取付けの際に取付作業者による締付けのばらつきがなく、電圧定在波比の劣化が少ない同軸ケーブルのアース接続用端子及びそれを用いた同軸ケーブルのアース接続部を提供するものである。
【解決手段】本発明に係る同軸ケーブルのアース接続用端子11は、同軸ケーブル50の外部導体露出部40に取付けられるものであって、それぞれが横断面略半円弧状の薄板部材からなり、上記外部導体露出部40を挟持すべく外部導体露出部40を取り囲むように内周側を対向させて配置される一対の金属端子22a,22bと、それらの金属端子22a,22bを包み込むようにクランプし、周面に長軸方向に沿って開口溝33を有する管状部材からなるクランプスプリング部材31とで構成したものである。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同軸ケーブルのアース接続用端子及びそれを用いた同軸ケーブルのアース接続部に係り、特に、高周波で用いられる同軸ケーブルのアース接続用端子及びそれを用いた同軸ケーブルのアース接続部に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、同軸ケーブルコネクタには、電磁ノイズ対策やグランド電位確保のため、グランド強化手段が設けられている。グランド強化方法として、図4〜図6に示すように、同軸ケーブル50の外部導体露出部分40に、アース接続用端子61を取付ける方法がある。
【0003】
例えば、同軸ケーブル50は、中心側から中心導体51、絶縁体層52、外部導体(編組シールド)53、及び外皮54の構造を有している。また、アース接続用端子61は、同軸ケーブル50の直径と略同じ内径を有し、周面に長軸方向に沿って開口溝62aを有する管状の本体部62と、その開口溝62aに臨む周方向両端に形成されるフランジ部63a,63bとで構成され、フランジ部63a,63bは貫通穴64(図6中では2個の貫通穴を図示)を有している。開口溝62aの開口幅は、フランジ部63a,63bの離間距離を調節することで、0〜同軸ケーブル50の外部導体径よりやや大きい幅の範囲で調節可能である。
【0004】
アース接続用端子61の開口溝62aを開き、同軸ケーブル50の最外層の外皮54から露出した外部導体露出部分40を取り囲むように、アース接続用端子61を設ける。その後、フランジ部63a,63bと、アース線41に接続され、貫通穴(図4中では2個の貫通穴を図示)43を有する取付け部材42とを、貫通穴43,43及び貫通穴64,64を介してボルト部材65及びナット部材44により締結する。これによって、アース接続用端子61の本体部62が外部導体53を締め付け、アース接続用端子61と外部導体53とが固定される。その結果、アース線41と外部導体53との接地がなされ、グランドの強化を図ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のアース接続用端子61は、その本体部62で外部導体53を締め付ることで取付けを行うものであり、その締付け力の調節は、ボルト部材65及びナット部材44の締付け具合に左右されるものであった。このため、取付け作業者によって締付け力にばらつきが生じてしまう。この取付けの際、締付け力が強すぎると、外部導体53の圧縮強度が弱い同軸ケーブル50においては外部導体53に圧縮変形が生じ、電圧定在波比(VSWR)が劣化するという問題があった。
【0006】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、取付けの際に取付作業者による締付けのばらつきがなく、電圧定在波比の劣化が少ない同軸ケーブルのアース接続用端子及びそれを用いた同軸ケーブルのアース接続部を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る同軸ケーブルのアース接続用端子は、同軸ケーブルの外部導体露出部に取付けられるアース接続用端子において、それぞれが横断面略半円弧状の薄板部材からなり、上記外部導体露出部を挟持すべく外部導体露出部を取り囲むように内周側を対向させて配置される一対の金属端子と、それらの金属端子を包み込むようにクランプし、周面に長軸方向に沿って開口溝を有する管状部材からなるクランプスプリング部材とで構成したものである。
【0008】
具体的には、請求項2に示すように、一対の金属端子の一方の対向部をヒンジで結合させて開閉自在に設けることが好ましい。
【0009】
また、請求項3に示すように、少なくとも一方の金属端子が、金属端子の本体部と一体に設けられたアース線接続部を有することが好ましい。
【0010】
また、請求項4に示すように、少なくとも一方の金属端子の周方向長さを調節し、一対の金属端子の他方の対向部間に、長軸方向に沿った端子開口溝を形成することが好ましい。
【0011】
以上の構成によれば、同軸ケーブルの外部導体露出部に対するアース接続用端子の取付は、クランプスプリング部材のクランプ力によって行うため、取付けの際に取付作業者による締付けのばらつきが生じることはない。
【0012】
一方、本発明に係る同軸ケーブルのアース接続部は、上述した同軸ケーブルのアース接続用端子を、同軸ケーブルの外部導体露出部に取付けてなるものである。
【0013】
以上の構成によれば、上述した本発明に係るアース接続用端子を、同軸ケーブルの外部導体露出部に取付けることで、外部導体露出部の外部導体に必要以上の強い圧縮力が作用することがなくなるため、電圧定在波比の劣化が少ないアース接続部を有した同軸ケーブルを得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0015】
本発明の好適一実施の形態であるアース接続用端子を、同軸ケーブルのアース接続部に取付けた状態を示す側面図を図1に、図1におけるアース接続用端子の、一対の金属端子の斜視図を図2に、図1におけるアース接続用端子の、クランプスプリング部材の斜視図を図3に示す。ここで、図2(a)は一対の金属端子を閉じた状態、図2(b)は一対の金属端子を開いた状態を示している。尚、図4,図5と同様の部材については同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0016】
図1〜図3に示すように、本実施の形態のアース接続用端子11は、同軸ケーブル50の外部導体露出部40に取付けられるものであって、それぞれが横断面略半円弧状の薄板部材からなり、外部導体露出部40を挟持すべく外部導体露出部40を取り囲むように内周側を対向させて配置される一対の金属端子22a,22bと、それらの金属端子22a,22bを包み込むようにクランプし、周面に長軸方向(図3中では矢印Bの方向)に沿って開口溝33を有する管状部材32からなるクランプスプリング部材31とで構成されるものである。
【0017】
一対の金属端子22a,22bの、一方の対向部35a,36aはヒンジ(蝶番)28,28によって結合されており、これによって、他方の対向部35b,36bが開閉自在となっている。ここで、金属端子22a,22bの内の少なくとも一方(図1,図2中では両金属端子22a,22b)の周方向長さ(円弧長さ)を予め調節しておくことで、開閉自在な一対の金属端子22a,22bの他方の対向部35b,36b間に、長軸方向(図2中では矢印Aの方向)に沿った微小な端子開口溝26が形成される。
【0018】
また、金属端子22a,22bの内の少なくとも一方(図1,図2中では金属端子22a)は、横断面略半円弧状の薄板部材からなる本体部23と、その本体部23と一体的に設けられる薄板状のアース線接続部24とで構成される。アース線接続部24には、貫通穴27が形成されている。このアース線接続部24に、リベットなどの固定部材19を用いて、後述する取付け部材17を固定・接続する。
【0019】
また、管状部材32の周方向両端部32a,32bには、フランジ状のつまみ部34が一体に形成されており、このつまみ部34により、クランプスプリング部材31における開口溝33の押し拡げが容易となる。
【0020】
端子開口溝26の開口幅は、外部導体53の圧縮強度の高低、金属端子22a,22bのサイズ等に応じて適宜選択されるものであり、特に限定するものではないが、例えば、0.5〜2mm、好ましくは1mm前後とする。
【0021】
尚、本実施の形態においては、一対の金属端子22a,22bの、一方の対向部35a,36aをヒンジ28,28によって結合した場合について説明を行ったが、ヒンジ28,28による金属端子22a,22bの結合は任意であり、両方の対向部35a,36a及び35b,36bをフリーの状態のまま、外部導体露出部40を取り囲むように内周側を対向させて配置し、クランプスプリング部材31でクランプするようにしてもよい。この場合においても、少なくとも一方の対向部(例えば、35a,36a又は35b,36b)間に、微小な隙間を形成しておくことが好ましい。
【0022】
次に、上述したアース接続用端子11を用いた同軸ケーブル50のアース接続部について説明する。
【0023】
先ず、ヒンジ28,28によって結合した一対の金属端子22a,22bの、端子開口溝26を大きく開いて(図2(b)参照)、金属端子22a,22bを同軸ケーブル50の外部導体露出部40に取付ける。この時、金属端子22a,22bの対向部35b,36b間には端子開口溝26が存在するため、後述するクランプ力がかかっていない状態で、対向部35b,36b間が完全に閉じるということはない(図2(a)参照)。
【0024】
次に、クランプスプリング部材31の開口溝33を大きく押し拡げて、外部導体露出部40に取付けられた一対の金属端子22a,22bを包み込むように被せる。これによって、アース接続用端子11と外部導体53とが固定される。
【0025】
次に、金属端子22aのアース線接続部24に、取付け部材17を取付ける。取付け部材17は、貫通穴(図1中では1個の貫通穴を図示)18を有しており、貫通穴27及び貫通穴18を介してリベットなどの固定部材19により固定・接続される。また、取付け部材17にアース線41を接続する。これによって、アース線41と外部導体53とが接地されたアース接続部を形成することができ、グランドの強化を図ることができる。
【0026】
次に、本実施の形態のアース接続用端子11の作用を説明する。
【0027】
クランプスプリング部材31を、一対の金属端子22a,22bを包み込むように被せる際、クランプスプリング部材31は、弾性復元力によって金属端子22a,22bをクランプするため、取付け作業者によってクランプ力にばらつきが生じるということはない。
【0028】
また、外部導体53の圧縮強度が弱い同軸ケーブル50において、クランプスプリング部材31のクランプ力が強すぎて、金属端子22a,22bが径方向(図1中では上下方向)に圧縮変形したとしても、その圧縮変形の変形幅は端子開口溝26の開口幅の分だけである。つまり、金属端子22a,22bが圧縮変形して、対向部35b,36b間が完全に閉じた時点で、金属端子22a,22bの圧縮変形は終了し、必要以上の強い圧縮力が外部導体53に作用することはないため、外部導体53に大きな圧縮変形が生じることはない。その結果、このアース接続用端子11を外部導体露出部40に取付けることで、VSWRの増大が少ない(すなわち、VSWRの劣化が少ない)アース接続部を有した同軸ケーブルを得ることができる。
【0029】
また、クランプスプリング部材31を金属端子22a,22bに被せる際、クランプスプリング部材31の開口溝33の位置と金属端子22a,22bの端子開口溝26の位置とを合わせる(図1中では図面の手前側で位置合わせを行っている)ことが好ましい。これによって、クランプスプリング部材31によるクランプ力の作用方向(図1中では上下方向)と、金属端子22a,22bの圧縮変形方向(図1中では上下方向)とが一致(又は略一致)するため、金属端子22a,22bの圧縮変形を最小に抑えることができ、その結果、外部導体53に作用する圧縮力を更に抑えることができる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0031】
【実施例】
次に、本発明について、実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
長さ20mの同軸ケーブルの外皮の一部を除去して外部導体露出部を形成し、その外部導体露出部に本発明に係るアース接続用端子を取付け、図1に示したアース接続部を形成した。
【0033】
(比較例1)
実施例1と同じ同軸ケーブルを使用し、図4に示したアース接続部を形成した。
【0034】
実施例1及び比較例1の各同軸ケーブルにヒートサイクル試験を施し、試験前後のVSWR、挿入損失(dB)、及び直流抵抗(Ω)の評価を行った。ヒートサイクル試験の試験条件は、−30℃〜60℃の熱履歴を10サイクル繰り返すものとした。
【0035】
実施例における試験前後のVSWR、挿入損失(dB)、及び直流抵抗(Ω)の変化を図7〜図9に示す。
【0036】
図7に示すように、VSWRについては、試験前において実施例1及び比較例1の各同軸ケーブルのVSWR値に僅かな差異がある。具体的には、比較例1の同軸ケーブルのVSWR値は約1.03であるが、実施例1の同軸ケーブルのVSWR値は約1.06となっており、外部導体露出部にアース接続用端子を取付けることで、VSWRが約3%増大している。
【0037】
しかしながら、試験前後における同軸ケーブルのVSWR値を比べてみると、比較例1では変化がなかったのに対し、実施例1では試験前よりも試験後の方が小さくなっており、試験後の方がVSWRが良好であった。
【0038】
図8,図9に示すように、挿入損失及び直流抵抗については、試験前において実施例1及び比較例1の各同軸ケーブルの挿入損失値及び直流抵抗値に差異はなかった。また、試験前後において、各同軸ケーブル共に、挿入損失値及び直流抵抗値に変化はなかった(又は殆どなかった)。
【0039】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
【0040】
(1) 同軸ケーブルの外部導体露出部に対するアース接続用端子の取付は、クランプスプリング部材のクランプ力によって行うため、取付けの際に取付作業者による締付けのばらつきが生じることはない。
【0041】
(2) (1)のアース接続用端子を、同軸ケーブルの外部導体露出部に取付けることで、外部導体露出部の外部導体に必要以上の強い圧縮力が作用することがなくなるため、電圧定在波比の劣化が少ないアース接続部を有した同軸ケーブルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適一実施の形態であるアース接続用端子を、同軸ケーブルのアース接続部に取付けた状態を示す側面図である。
【図2】図1におけるアース接続用端子の、一対の金属端子の斜視図である。
【図3】図1におけるアース接続用端子の、クランプスプリング部材の斜視図である。
【図4】従来のアース接続用端子を同軸ケーブルのアース接続部に取付けた状態を示す側面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】従来のアース接続用端子の斜視図である。
【図7】実施例における試験前後のVSWRの変化を示す図である。
【図8】実施例における試験前後の挿入損失の変化を示す図である。
【図9】実施例における試験前後の直流抵抗の変化を示す図である。
【符号の説明】
11 アース接続用端子
22a,22b 金属端子
23 本体部(金属端子)
24 アース線接続部(金属端子)
26 端子開口溝
28 ヒンジ
31 クランプスプリング部材
33 開口溝
35a,36a 一方の対向部
35b,36b 他方の対向部
40 外部導体露出部
50 同軸ケーブル

Claims (5)

  1. 同軸ケーブルの外部導体露出部に取付けられるアース接続用端子において、それぞれが横断面略半円弧状の薄板部材からなり、上記外部導体露出部を挟持すべく外部導体露出部を取り囲むように内周側を対向させて配置される一対の金属端子と、それらの金属端子を包み込むようにクランプし、周面に長軸方向に沿って開口溝を有する管状部材からなるクランプスプリング部材とで構成したことを特徴とする同軸ケーブルのアース接続用端子。
  2. 一対の金属端子の一方の対向部をヒンジで結合させて開閉自在に設けた請求項1記載の同軸ケーブルのアース接続用端子。
  3. 少なくとも一方の金属端子が、金属端子の本体部と一体に設けられたアース線接続部を有する請求項1又は2記載の同軸ケーブルのアース接続用端子。
  4. 少なくとも一方の金属端子の周方向長さを調節し、一対の金属端子の他方の対向部間に、長軸方向に沿った端子開口溝を形成した請求項2記載の同軸ケーブルのアース接続用端子。
  5. 請求項1から4いずれかに記載の同軸ケーブルのアース接続用端子を、同軸ケーブルの外部導体露出部に取付けてなることを特徴とする同軸ケーブルのアース接続部。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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