JP2004086935A - 原盤露光装置及び原盤露光方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原盤露光装置は、電子銃1を制御する電子銃制御部37と、基体9に電子ビームを照射することによって発生する反射電子を検出する反射電子検出器8a,8bを有し、反射電子量に基づく照射電流量をモニタする照射電流量モニタ部38と、電子ビーム照射調整手段による電子ビームを直接入射させ照射電流量を検出する直接電子検出器10を有し、少なくとも反射電子量に基づく照射電流量と電子ビームの直接入射に基づく照射電流量の所定期間の変化情報により、電子ビームの発生を制御する照射電流量検出制御部38とを備え、露光中の電子ビームの照射電流量を制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスク原盤、例えば、光記録媒体、光磁気記録媒体、相変化記録媒体、磁気記録媒体等の製造用原盤作成において、原盤を作成する為の基体上に電子ビームを照射し、微細な露光パターンを形成する原盤露光方法および原盤露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば10Gbyteを超える大容量記録メディア等に代表される次世代のディスク状記録媒体は、その更なる高容量化を図る上で極めて微小なパターンを形成し、集積度を向上させる必要がある。しかし、それらの製造過程において、従来の可視光もしくはUV(Ultraviolet rays)等のレーザービームでの露光を利用した記録方法および記録装置は、要求されるサイズのパターンを形成する為の物理的な限界に来ている。そこで、より微細加工が可能な電子ビームでの露光を利用した原盤露光方法および露光装置が必要となる。
【0003】
上述したパターンの露光は、高精度な位置決め手段にて原盤となる基体を回転・平行移動或いはビーム自体を偏向させながら、基体に感光材料を塗布した所定の位置に所定の強度と形状のビームの照射を、露光パターンに従い高速でON/OFFすることで行われる。ディスク原盤作成用の電子ビーム露光装置は、よく知られる半導体製造用の電子ビーム露光装置とは露光方法に大きな違いがあり、前者の装置は電子ビームのスポットの位置を固定もしくは半固定した上で基体側を回転・平行移動させながら形成されるパターンが連なったスパイラル状になるように露光を行う。従って、一旦露光を開始すると一連のパターンが終了するまでビームスポットを基体上から外すという不連続動作が不可能な為に、電子検出器にビームを入射させる等の手段にて露光中の照射電流量を測定するのが困難であった。そのためパターンの露光が適正な照射電流量で行われていたか否かの判別は、最終的に原盤が完成してからその特性検査により行われていた。
【0004】
ところで、ディスク原盤の作成において、ピット或いはグルーブと呼ばれる露光パターンの形成寸法の正確さが要求される。ビーム露光ではそれに影響する大きな要因としてビームのフォーカススポット径、ドーズ量が上げられるが、電子ビーム露光の場合ではフォーカススポット径、ドーズ量を安定にさせるにはその照射電流量を安定させることが必要となってくる。ディスク原盤製作に必要な露光時間は長時間に及ぶため、その露光時間中における温度変化等が原因となり物理的な形而変化を引き起こすことで照射電流量がドリフトし、一定したパターンが露光できないという問題が発生する。そこで、ディスク原盤作成用の電子ビーム露光装置においても露光中の電子ビームの照射電流量を測定し、その制御を行う必要が生じてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の原盤露光方法および露光装置では、電子ビームを直接電子検出器に入射させ照射電流量を測定できない場合、間接的に照射電流量を測定する方法として、比較的高いエネルギーを持つ反射電子を利用することが一般的である。均一な状態の基体に一定の照射電流量の電子ビームを当てると、反射電子検出器で検出できる反射電子量も一定になることから、露光前に電子ビームを照射される基体の照射電流量と反射電流量との相関関係が分かっていれば、露光中であっても電子ビームの照射電流量は反射電子量を測定することによって求められることになる。
【0006】
しかしながら、ディスク原盤の製作において電子ビームの照射をブランキング等の手法を用いて十数から数十MHzで高速ON/OFF動作させる場合、反射電子検出器の反応動作保証速度である応答周波数が早いものでも数MHz程度であるため、正確に反射電子量を測定することは不可能である。従って、上述した方法を利用して電子ビームの照射電流量を簡単には求めることはできないという不都合があった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基体に照射する電子ビームの露光動作を中断させることなく照射電流量の測定を常時行い、その測定値により照射電流量の制御を行うことができる電子ビームを用いた原盤露光装置及び原盤露光方法を実現することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため本発明は、電子ビーム発生手段を制御する電子銃制御部と、基体に電子ビーム照射調整手段による電子ビームを照射することによって発生する反射電子を検出する反射電子検出手段とを有し、基体に照射された電子ビームの反射電子量を検出して反射電子量に基づく照射電流量をモニタする照射電流量モニタ部と、電子ビーム照射調整手段による電子ビームの照射をON/OFFさせる電子ビームブランキング手段に入力される露光パターン信号を検出して露光パターンに基づく電子ビームの照射量率検出手段と、電子ビーム照射調整手段による電子ビームを直接入射させ照射電流量を検出する照射電流量検出手段を有し、少なくとも電子ビームの直接入射に基づく照射電流量と露光パターンに基づく電子ビーム照射量率の所定期間の変化情報と反射電子量に基づく反射電子量の所定期間の変化情報により、電子ビームの発生を制御する照射電流量検出制御部とを備えたものである。
【0009】
また、本願発明は、調整動作中の電子ビーム照射調整手段による電子ビームを直接入射させ照射電流量を照射電流量検出手段により検出して測定し、基体に電子ビーム照射調整手段による電子ビームを照射することによって発生する反射電子を反射電子検出手段により検出して測定する調整測定ステップと、直接測定の照射電流量の変化に対する反射電子測定の照射電流量の変化情報とを記録したデータテーブルを生成するテーブル生成ステップと、露光動作を開始する露光開始ステップと、露光動作中において基体に電子ビーム照射調整手段による電子ビームを照射することによって発生する反射電子を反射電子検出手段により検出して測定する露光測定ステップと、露光動作中において基体に電子ビーム照射調整手段による電子ビーム照射をON/OFFさせる電子ビームブランキング手段に入力される露光パターン信号を検出して露光パターンに基づく電子ビームの照射量率検出手段により検出した照射量率とデータテーブルの変化情報に基づき予測値を補間計算処理による推測する露光推測ステップと、データテーブルの変化情報に基づく予測値と測定値とにずれが生じたか否かを判定するずれ判定ステップと、予測値と測定値とにずれが生じたときに照射電流量の制御補正値を計算処理する補正計算ステップと、補正計算後の制御値により電子ビーム発生手段の電子銃に対する引加電流を制御する制御ステップとを備えたものである。
【0010】
従って本発明によれば、以下の作用をする。
まず、電子ビームを基体に照射する前に、電子ビーム経路に挿入された直接電子検出手段を用いて検出された検出信号が電流信号から電圧信号に変換され照射電流量検出制御部において増幅した後に平均化処理される。平均化処理された信号は量子化され量子化された直接照射電流量情報を記憶手段へ記憶する。照射電流量検出制御部は、直接照射電流量情報を単位変換処理した後、表示手段に調整値が視覚化される。この調整値を表示手段で確認しながら、目的の値になるように電子ビーム照射調整手段を調整する。照射電流量検出制御部は、調整後の直接照射電流量情報に基づき電子銃制御部からの制御により電子銃からの電子ビームの照射電流量を制御する。これにより、照射電流量を直接測定することにより、基体に照射したい所定の照射電流量に合わせることができる。
【0011】
電子ビーム経路に挿入された直接電子検出手段を電子ビーム経路から引き出し、電子ビームの照射されるポイントが基体の本来の情報を記録するための露光対象範囲の外の範囲になるように、移動機構部の回転駆動機構と平行移動機構によって回転動作と平行移動動作をすることにより基体を移動させ、電子ビームを基体に照射させる。そして、照射電流量検出制御部の指令に基づいて、露光パターン信号発生器より100%照射状態の入力波形の信号を電子ビームブランキング手段に供給し、電子ビームが基体に100%照射される状態にする。
【0012】
反射電子検出手段により検出された電子ビームの反射電子に基づく反射電子量の検出信号は照射電流モニタ制御部に供給される。照射電流モニタ制御部で分配された信号は、加算処理を施された後に、照射電流量検出制御部において平均化処理される。平均化処理された信号は量子化データに変換される。量子化データに変換された反射電子情報を、基体の情報、電子ビームの直接照射電流量情報と、基体への照射量率100%情報と併せて、記憶手段に記憶する。
【0013】
露光パターン信号発生器よりデータテーブル作成中の照射量率αの入力波形の信号を発生させて、この照射量率αの入力波形の信号を電子ビームブランキング装置に供給し、電子ビームを基体に照射させる。データテーブル作成中の照射量率αの反射電子測定の出力波形の平均化処理された信号は量子化データに変換される。量子化データに変換された照射量率αの反射電子情報を、電子ビームの照射電流量と、基体への照射量率α%情報と併せて、データテーブルを作成して記憶する。
【0014】
データテーブルの作成が終了したら、電子ビームの照射されるポイントが基体の本来の情報を記録するための露光対象範囲になるように、回転駆動機構と平行移動機構によって回転動作と平行移動動作をすることにより基体を移動させ、電子ビームを基体に照射させる。そして、露光パターン信号発生手段より露光動作のための入力波形を電子ビームブランキング手段に供給し、照射された電子ビームにより基体の露光を開始する。
【0015】
露光動作中に、照射電流量検出制御部において露光パターン信号発生手段より露光動作中の照射量率の変化するパルス状の入力波形の信号を発生させて、この照射量率の変化するパルス状の入力波形の信号を電子ビームブランキング手段に供給する。この照射量率の変化するパルス状の入力波形の信号は平均化処理される。平均化処理された信号は量子化データに変換される。量子化データは露光動作中における電子ビームの所定時間の照射量率βとして記憶手段へ記憶する。
【0016】
上述した照射量率βを求める処理と並行して、露光中の反射電子検出手段により検出された電子ビームの反射電子に基づく反射電子量の検出信号は平均化処理される。平均化処理された信号は量子化データに変換される。この測定した反射電子の反射電子情報を記憶手段へ記憶する。
【0017】
照射電流量検出制御部により記憶手段に記憶されているデータテーブルにおいて照射量率βのときの予想される反射電子の反射電子量の出力値が補間計算処理により求められる。本来の電子ビームの照射量率βの予想される出力値に対して、測定した反射電子の反射電子量の出力値との間にずれが生じていることを照射電流量検出制御部が検出すると、露光動作中に電子ビームの照射電流量率100%の場合の照射電流量が変化していると予測する。
【0018】
照射電流量検出制御部は、露光中の測定した反射電子の反射電子量の出力値を記憶手段へ記憶する。照射電流量検出制御部により記憶手段に記憶されているデータテーブルの情報において測定した反射電子の反射電子量の出力値から逆補間計算処理等の演算処理を用いて、出力値のずれを補正するための実際の照射電流量率κを求める。
【0019】
算出された実際の照射電流量の値を元に、照射電流量検出制御部は、電子ビームの照射電流量とエミッション電流の相関式よりエミッション電流の制御値を求める。照射電流量検出制御部は、エミッション電流の制御値を電子銃制御部のエミッション電流量制御手段に供給する。エミッション電流量制御手段からの制御に基づいて、フィラメント電流制御手段により電子銃のフィラメントを加熱させることで熱電子を放出させ、加速電圧制御手段で電子銃のアノード間に電圧を印加することで電子ビームを放出する。
【0020】
或いは算出された実際の照射電流量の値を元に、照射電流量検出制御部は、電子ビームの照射電流量とコンデンサレンズの開口率との相関式よりコンデンサレンズの励磁電流の制御値を求める。照射電流量検出制御部は、コンデンサレンズの励磁電流の制御値を励磁電流量制御手段に供給する。励磁電流量制御手段からの制御に基づいて、コンデンサレンズの開口率を変化させることで電子ビーム絞り機構を通過する電子ビームの照射電流密度を変化させ照射電流量を変化する。
【0021】
また、露光条件が変更されたときは、変更後の露光条件に基いてデータテーブルの構成を増やす処理をして、露光条件が変更されないときは、前の処理で作成されたデータテーブルを用いて、露光動作を行う。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、上述した課題を達成するための実施の形態を図面を参照しながら説明する。
本実施の形態の原盤露光装置は、電子ビームを照射し情報パターンを記録する露光装置に関し、露光対象に照射される電子ビームの照射電流量を検出し、露光動作を中断することなく測定可能な照射電流量の検出量を出射される電子ビームの照射するための電流量の制御信号として用いることにより、より安定した電子ビームによる原盤露光を可能とするものである。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態に適用される電子ビームを用いた原盤露光装置を示している。図2は、図1における照射電流モニタ部、照射電流量検出制御部、電子銃制御部の構成を示す内部ブロック図である。
【0024】
電子銃制御部38は、電子銃1により電子ビームを発生する電子ビーム発生手段を制御する。電子銃制御部38において、電子銃1は、例えばエミッション電流量制御装置30からの制御に基づいて、フィラメント電流制御回路31により電子銃1のフィラメントを加熱させることで熱電子を放出させ、加速電圧制御回路32で電子銃1のアノード間に電圧を印加することで電子ビームを放出する。電子銃1から放出された電子ビームは、電子ビーム照射調整手段において、軸合わせコイル2、コンデンサレンズ3、対物レンズ絞り5、対物レンズ7を用い電子ビームの照射電流量調整、光軸調整がなされることで電子ビームが集束されて露光対象である基体9に照射される。
【0025】
また、照射電流量モニタ部40は、基体9に電子ビーム照射調整手段による電子ビームを照射することによって発生する反射電子を検出する反射電子検出器8a,8bとを有し、基体9に照射された電子ビームの反射電子量を検出して反射電子量に基づく照射電流量をモニタする。照射電流量モニタ部40において、電子ビームが基体9に照射されたときに発生する反射電子の電子量が反射電子検出器8a,8bによって検出されて電流信号となりプリアンプ回路11a,11bに供給される。反射電子の電流信号は、プリアンプ回路11a,11bで電流信号から電圧信号に変換され増幅されて照射電流モニタ回路12に供給される。照射電流モニタ回路12において電圧信号は微小信号であるため、分配される前段階で一旦増幅し、分配された後にメインアンプ回路13a、13b、14に供給される。分配された電圧信号は、メインアンプ回路13a、13b、14において、アンプ13a、13bにより増幅され、加減算器14により加算処理または減算処理を施された後に2次元視覚化処理装置34に供給される。
【0026】
図3は、照射電流モニタ回路12の回路例を示す図である。図3において、端子P1および端子P2に供給された信号は、アンプ12a(アンプ12a−1、アンプ12a−2)およびアンプ12b(アンプ12b−1、アンプ12b−2)により増幅され、端子P1−1、単位P1−2および端子P2−1、単位P2−2により分配される。加算回路12cは抵抗器R1、R2、R3およびオペアンプOP1からなり、端子P1−2および端子P2−1の電圧を加算して−5〜−10倍に反転出力し、アンプ12dにより2倍〜10倍に増幅して端子P3に出力する。加算回路12eは抵抗器R4、R5およびオペアンプOP2からなり、端子P2−1または端子P2−2の電圧を−1倍に反転出力し、端子P4に出力する。
【0027】
図4は、メインアンプ回路13a、13b、14の回路例を示す図である。図4において、端子P5および端子P6に供給された信号は、アンプ13a(アンプ13a−1、アンプ13a−2、アンプ13a−3)およびアンプ13b(アンプ13b−1、アンプ13b−2、アンプ13b−3)により増幅される。なお、スイッチSW1およびSW2、SW3およびSW4、SW5およびSW6、スイッチSW7およびSW8、SW9およびSW10、SW11およびSW20は連動して切り替えられる。また、アンプ13a−3およびアンプ13b−3は抵抗器R18、R19およびR20、R21の分圧により倍率が付加される。減算回路14aは、抵抗器R11、R12、R13およびオペアンプOP3からなり、アンプ13a−3およびアンプ13b−3の電圧を減算して10倍に出力し、端子P7に出力する。加算回路14bは、抵抗器R15、R16、R17およびオペアンプOP4からなり、アンプ13a−3およびアンプ13b−3の電圧を加算して−10倍に反転出力し、端子P8に出力する。
【0028】
基体9上に照射される電子ビームは、走査信号発生器33からの走査信号を供給された電子ビーム走査コイル6によって2次元偏向され、基体9上を走査する。2次元視覚化処理装置34において、電子ビームを走査してメインアンプ回路13a、13b、14から得られる信号を、走査信号発生器33から供給される走査信号に従って同期処理することにより、フォーカス調整用のモニタリング信号を生成して、このフォーカス調整用のモニタリング信号は2次元表示装置35により視覚化される。
【0029】
このようにして、電子銃1から出射して加速された電子ビームは、軸合わせコイル2、コンデンサレンズ3、対物レンズ絞り5、対物レンズ7を用いて電子ビームの照射電流量調整、光軸調整がなされることで電子ビームの照射対象である基体9に集束される。電子ビームは走査コイル6によって走査信号発生器33からのスキャニング信号に従い2次元的に偏向され、基体9の表面をスキャンする。スキャンされたときの反射電子量が反射電子検出器8a、8bによって検出され、検出された信号はスキャニング信号と共に2次元視覚化処理装置34に入力され、2次元表示装置35にて視覚化される。
【0030】
また、照射電流量検出制御部39は、電子ビーム照射調整手段による電子ビームを直接入射させ照射電流量を検出する直接電子検出器10を有し、少なくとも反射電子量に基づく照射電流量と電子ビームの直接入射に基づく照射電流量の所定期間の変化情報により、電子ビームの発生を制御する。
【0031】
照射電流量検出制御部39において、露光パターン信号発生器21からの露光パターン信号を積分器22により平均化処理してA/D変換器23により量子化し、直接電子検出器10により検出された電子ビームの直接入射に基づく照射電流量の検出信号をアンプ17、18により増幅した後に積分器19により平均化処理してA/D変換器20により量子化し、反射電子検出器8a,8bにより検出された電子ビームの反射電子に基づく照射電流量の検出信号を積分器15により平均化処理してA/D変換器16により量子化する。各々量子化された露光パターン情報、反射電子情報および直接照射電流量情報をディジタルプロセッシングユニット(以下、DSP(Digital Signal Processor))26がリードライト回路25により記憶装置24へ記憶する。DSP26は、露光パターン情報、反射電子情報および直接照射電流量情報の各々を比較処理し、比較処理された比較情報を出力し、出力された情報に基づき電子ビームの照射電流量を制御する。なお、照射電流量検出制御部39の詳細は後述する。
【0032】
基体9は回転駆動機構28と平行移動機構29によって回転動作と平行移動動作が可能であり、上述した構成により調整されて基体9上の所定の位置に集光された電子ビームは、照射電流量検出制御部39における露光パターン信号発生器21から供給される露光パターン信号に従って電子ビームブランキング装置4でON/OFFされながら、回転駆動機構28と平行移動機構29によって回転動作および平行移動動作する基体9上に照射され露光パターンを形成する。
【0033】
以下に、本実施の形態に適用される電子ビームを用いた原盤露光装置の具体的な動作説明をする。本実施の形態における目的は、安定した露光結果を得るために、電子ビームの照射電流量を一定に制御することである。そこで、本実施の形態では、電子ビームの照射電流量の変化を検出してこれをフィードバックして制御値を得て、この制御値を用いて電子銃のエミッション電流量を制御することにより、照射電流量を安定に制御する。このために必要な露光動作中の照射電流量の測定に特有の構成および動作がある。以下、このための手段を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0034】
図5は、電子ビーム露光装置の動作を示すフローチャートである。
図5において、ステップS1で、照射電流量を直接測定して調整する。具体的には、まず、電子ビームを基体9に照射する前に、電子ビームの通過経路に直接電子検出器10を挿入し、DSP26の指令に基づいて、露光パターン信号発生器21より図7に示す電子ビーム100%照射状態にするのと同じくDC信号の入力波形の信号を電子ビームブランキング装置4に供給し、直接電子検出器10に対し電子ビーム照射を行う。検出信号が電流信号から電圧信号に変換され照射電流量検出制御部38においてアンプ17、18により増幅した後に積分器19により平均化処理される。平均化処理された信号はA/D変換器20により量子化され量子化された直接照射電流量情報をDSP26がリードライト回路25により記憶装置24へ記憶する。DSP26は、直接照射電流量情報を単位変換処理した後、表示装置36に調整値が視覚化される。この調整値を表示装置36で確認しながら、目的の値になるようにコンデンサレンズ3等を用いて調整する。DSP26は、調整後の直接照射電流量情報に基づき電子銃制御部37からの制御により電子銃1からの電子ビームの照射電流量を制御する。照射電流量を直接測定することにより、基体9に照射したい所定の照射電流量に合わせることができる。
【0035】
ステップS2で、電子ビームを100%照射状態にする。具体的には、電子ビームの照射されるポイントが基体9の本来の情報を記録するための露光対象範囲の外の範囲になるように、回転駆動機構28と平行移動機構29によって回転動作と平行移動動作をすることにより基体9を移動させ、電子ビーム経路に挿入された直接電子検出器10を電子ビーム経路から引き出し、電子ビームを基体9に照射させる。そして、DSP26の指令に基づいて、露光パターン信号発生器21より図7に示す電子ビーム100%照射状態のDC信号の入力波形の信号を電子ビームブランキング装置4に供給し、電子ビームが基体9に100%照射される状態にする。図7において、DC信号はビームオフのとき0[V]、ビームオンのとき1[V]である。
【0036】
ステップS3で、基体情報、反射電子測定の反射電子量および照射量率100%情報を保存する。具体的には、反射電子検出器8a,8bにより検出された電子ビームの反射電子に基づく反射電子量の検出信号は照射電流モニタ回路12に供給される。照射電流モニタ回路12で分配された信号のうち、メインアンプ13a,13b,14に入力されない方の信号は、加算回路12cで加算処理を施された後に、積分器15により平均化処理される。平均化処理された信号はA/D変換器16により量子化データに変換される。例えば、図8は、図7に示す電子ビーム100%照射状態のDC信号の入力波形の信号を、電子ビームブランキング装置4に入力したときの、電子ビーム100%照射状態の反射電子測定の積分器15後の出力波形を示す図である。図8において、積分器15後の出力波形はビームオフ82のとき0[mV]、ビームオン81のとき200[mV]である。A/D変換器16により量子化データに変換された反射電子情報を、図6においてデータテーブルに示すように、ステップS1で求めた調整後の直接照射電流量情報、基体9の情報、例えばウエハに塗布したレジスト種類および膜厚等と、電子ビームの反射電子量と、基体9への照射量率100%情報と併せて、DSP26がリードライト回路25により記憶装置24へ記憶する。
【0037】
ステップS4で、反射電子測定の照射電流量と照射量率αのデータテーブルを作成する。具体的には、DSP26の指令に基づいて、露光パターン信号発生器21より図9に示すデータテーブル作成中の照射量率αの入力波形の信号を発生させて、この照射量率αの入力波形の信号を電子ビームブランキング装置4に供給し、電子ビームを基体9に照射させる。図9において、照射量率αの入力波形は、照射量率100%のうち、照射量率α%のとき1[V]、照射量率(100−α)%のとき0[V]のパルス状の波形である。上述した図9に示した照射量率αの入力波形の信号を電子ビームブランキング装置4に入力した場合に得られる、データテーブル作成中の照射量率αの反射電子測定の出力波形を図10に示す。図10において、積分器15の入力波形101がノコギリ波状であるのに対して積分器15の出力波形102は平均化処理が施されて一定レベルとして出力される。
【0038】
平均化処理された信号はA/D変換器16により量子化データに変換される。A/D変換器16により量子化データに変換された照射量率αの反射電子情報を、図6においてデータテーブルに示すように、電子ビームの反射電子量と、基体9への照射量率α%情報と併せて、DSP26がリードライト回路25により記憶装置24へ記憶する。このとき、図6においてデータテーブルに示すように、例えば照射量率α[%]を0、10、20、・・・80、90、100と10%ずつ変化させて、このときの上述したように反射電子情報として測定される反射電子量[mA]をI0 ,I10,I20,・・・I80,I90,I100 としたデータテーブルを作成する。
【0039】
ステップS5で、露光動作を開始する。具体的には、上述したステップS4の処理によりデータテーブルの作成が終了したら、電子ビームの照射されるポイントが基体9の本来の情報を記録するための露光対象範囲になるように、回転駆動機構28と平行移動機構29によって回転動作と平行移動動作をすることにより基体9を移動させ、電子ビームを基体9に照射させる。そして、DSP26の指令に基づいて、露光パターン信号発生器21より露光動作のための入力波形を電子ビームブランキング装置4に供給し、照射された電子ビームにより基体9への露光を開始する。
【0040】
ステップS6で、露光動作中の照射量率βと反射電子測定の反射電子量を検出する。具体的には、露光動作中に、露光パターン信号発生器21より図11に示す露光動作中のパルス状の入力波形の信号を発生させて、このパルス状の入力波形の信号を電子ビームブランキング装置4に供給する。このパルス状の入力波形の信号は積分器22により平均化処理される。図12は、露光動作中の電子ビームブランキング装置4に供給されたパルス状の入力波形の信号の積分器後の平均化処理されて一定レベルの入力波形を示す図である。図12において、照射量率βの積分器後の入力波形は、1[V]を点線で示す100%として、比率に応じて0〜1の中間のレベル[V]の実線で示すβ%となる。平均化処理された信号はA/D変換器23により量子化され量子化された照射量率βの照射電流量情報をDSP26がリードライト回路25により記憶装置24へ記憶する。このDSP26により読み込まれた照射量率βの照射電流量情報の値により、図12に示すように、露光動作中の電子ビームの照射量率βが分かる。
【0041】
上述した照射量率βを求める処理と並行して、露光中の反射電子検出器8a,8bにより検出された電子ビームの反射電子に基づく反射電子量の検出信号は図13に示すように露光動作中の照射量率βの反射電子測定の積分器前のノコギリ波状の出力波形の信号である。この照射量率βの反射電子測定の積分器前のノコギリ波状の出力波形の信号は、積分器15により平均化処理される。図14は、露光動作中の照射量率βの反射電子測定の積分器後の平均化処理されて一定レベルの出力波形を示す図である。図14において、点線で示す予想される出力電圧値141に対して、実線で示す測定した出力電圧値142となる場合を示している。平均化処理された信号はA/D変換器16により量子化データに変換される。この照射量率βの反射電子測定の反射電子量情報をDSP26がリードライト回路25により記憶装置24へ記憶する。
【0042】
ステップS7で、予測値と測定値にずれが生じているか否かを判断する。具体的には、DSP26は、記憶装置24に記憶されているデータテーブルにおいて補間計算処理により照射量率βのときの予想される反射電子量の出力電圧値が求められる。なお、図6に示すデータテーブルにおいては反射電子量[mA]を示しているが、電圧値[mV]に変換した値を記憶しておくとよい。図14で示すように、本来の電子ビームの照射量率βの予想される出力電圧値141に対して、測定した出力電圧値142との間にずれが生じていることをDSP26が検出すると、DSP26は露光動作中に電子ビームの照射電流量率100%の場合の照射電流量が変化していると予測する。
【0043】
照射電流量検出制御部は、露光中の測定した反射電子の反射電子量の出力値を記憶手段へ記憶する。照射電流量検出制御部により記憶手段に記憶されているデータテーブルの情報において測定した反射電子の反射電子量の出力値から逆補間計算処理等の演算処理を用いて、出力値のずれを補正するための実際の照射電流量率κを求める。
ステップS8で、補正計算処理により実際の照射電流量を求める。具体的には、DSP26は、ステップS6の処理で得られた露光中の測定した反射電子の反射電子量の出力値をリードライト回路25により記憶装置24へ記憶する。DSP26は、ステップS4の処理で作成したデータテーブルの情報をリードライト回路25により記憶装置24から読み出す。DSP26は、読み出したデータテーブルの情報において測定した反射電子の反射電子量の出力値から逆補間処理等の演算処理を用いて、上述した図14に示した出力電圧値のずれを補正するための実際の照射電流量率κを求める。このとき、実際の照射電流量率κとすると、実際の照射電流量は以下の数1式で算出される。
【0044】
【数1】
実際の照射電流量=目的の照射電流量×(κ/β)
【0045】
ステップS9で、補正計算後の制御値によりエミッション電流を制御する。具体的には、上述した数1式で算出された実際の照射電流量の値を元に、DSP26は、図示しない電子ビームの照射電流量とエミッション電流の相関式よりエミッション電流の制御値を求める。DSP26は、エミッション電流の制御値を電子銃制御部38のエミッション電流量制御装置30に供給する。エミッション電流量制御装置30からの制御に基づいて、フィラメント電流制御回路31により電子銃1のフィラメントを加熱させることで熱電子を放出させ、加速電圧制御回路32で電子銃1のアノード間に電圧を印加することで電子ビームを放出する。
【0046】
ステップS10で、露光動作が終了か否かを判断する。ステップS10で露光動作が終了していないときはステップ6へ戻る。ステップ10で露光動作が終了したときはステップ11へ進み、ステップ11でプロセスの終了か否かを判断する。プロセスが終了でないときはステップS12へ進み、ステップS12で、露光条件が変更されたか否かを判断する。ステップS12で露光条件が変更されたときは、ステップS1へ戻って、変更後の露光条件に基いてデータテーブルの構成を増やす処理をして、ステップS1〜ステップS12までの判断および処理を繰り返す。ステップS12で露光条件が変更されないときは、ステップS5へ戻って、ステップS4で作成されたデータテーブルを用いて、ステップS5〜ステップS12までの判断および処理を繰り返す。なお、ステップS7で予測値と測定値にずれが生じていないときは、直ちにステップS10に進む。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれは、従来困難であるとされていた電子ビームを使ったディスク原盤露光装置における露光動作中での電子ビームの照射電流量の測定が可能となり、それによって正確な露光パターンを形成するために問題とされていた照射電流量の安定性を保証することができる。
【0048】
【発明の効果】
この発明の原盤露光装置は、電子銃により電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、上記電子ビーム発生手段から射出された上記電子ビームを上記電子ビームの照射対象である基体に集束させるための電子ビーム照射調整手段と、上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームの照射を入力される露光パターン信号に従い高速でON/OFFさせる電子ビームブランキング手段とを有し、移動機構部により露光動作に伴って上記基体を回転駆動すると共に平行移動をさせながらディスク原盤となる基体表面に塗布された感光材料に電子ビームを照射し、露光パターンを形成するディスク原盤作成用の原盤露光装置において、上記電子ビーム発生手段を制御する電子銃制御部と、上記基体に上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを照射することによって発生する反射電子を検出する反射電子検出手段とを有し、上記基体に照射された電子ビームの反射電子量を検出して上記反射電子量に基づく照射電流量をモニタする照射電流量モニタ部と、上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを直接入射させ照射電流量を検出する照射電流量検出手段を有し、少なくとも上記電子ビームの直接入射に基づく照射電流量と上記露光パターンに基づく電子ビーム照射量率の所定期間の変化情報と上記反射電子量に基づく反射電子量の所定期間の変化情報により、上記電子ビームの発生を制御する照射電流量検出制御部とを備え、露光中の上記電子ビームの照射電流量を制御するようにしたので、従来困難であるとされていた電子ビームを使ったディスク原盤露光装置における露光動作中での電子ビームの照射電流量の測定が可能となり、露光動作中に照射電流量が変化した場合に変化情報に応じて照射電流量を制御するので、それによって正確な露光パターンを形成するために問題とされていた照射電流量の安定性を保証することができるという効果を奏する。
【0049】
また、この発明の原盤露光装置は、上述において、上記照射電流量検出制御部は、上記反射電子に基づく照射電流量の信号と上記電子ビームブランキング手段に入力される上記露光パターン信号をそれぞれ平均化処理するようにしたので、上記検出信号のノイズに強く、また高周波でON/OFFするような信号に対して検出器の応答性能が悪く検出信号が歪んでも露光動作における照射電流量の変化を安定して検出することができるという効果を奏する。
【0050】
また、この発明の原盤露光装置は、上述において、上記反射電子に基づく照射電流量の信号と上記電子ビームブランキング手段に入力される上記露光パターン信号をそれぞれ平均化処理した各情報を上記制御手段に対する制御帰還値とするようにしたので、露光動作における照射電流量の変化情報に応じて照射電流量を制御することができるという効果を奏する。
【0051】
また、この発明の原盤露光装置は、上述において、上記照射電流量検出制御部は、入力される上記露光パターン信号を信号処理のあと量子化する露光パターン量子化手段と、上記反射電子検出手段により検出された反射電子の信号を信号処理のあと量子化する反射電子量子化手段と、上記照射電流量検出手段により検出された照射電流量の信号を信号処理のあと量子化する照射電流量量子化手段と、上記露光パターン量子化手段、上記反射電子量子化手段および上記照射電流量量子化手段により各々量子化された上記露光パターン情報、反射電子情報および照射電流量情報を記憶する記憶手段とを有するので、露光パターン信号発生手段からの露光パターン信号を平均化処理して量子化し、反射電子検出手段により検出された電子ビームの反射電子に基づく照射電流量の検出信号を平均化処理して量子化し、直接電子検出手段により検出された電子ビームの直接入射に基づく照射電流量の検出信号を増幅した後に平均化処理して量子化し、各々量子化された露光パターン情報、反射電子情報および直接照射電流量情報を記憶手段へ記憶することができるという効果を奏する。
【0052】
また、この発明の原盤露光装置は、上述において、上記照射電流量検出制御部は、上記露光パターン量子化手段、上記反射電子量子化手段および上記照射電流量量子化手段により各々量子化された上記露光パターン情報、反射電子情報および照射電流量情報の各々を比較処理する比較手段と、上記比較手段により比較処理された比較情報を出力する比較情報出力手段と、上記比較情報出力手段により出力された情報に基づき上記電子ビームの照射電流量を制御する制御手段とを有するので、露光パターン情報、反射電子情報および直接照射電流量情報の各々を比較処理し、比較処理された比較情報を出力し、出力された情報に基づき電子ビームの照射電流量を制御することができるという効果を奏する。
【0053】
また、この発明の原盤露光方法は、電子ビーム発生手段により電子銃から電子ビームを発生し、電子ビーム照射調整手段により上記電子ビーム発生手段から射出された上記電子ビームを上記電子ビームの照射対象である基体に集束させ、上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームの照射を電子ビームブランキング手段により入力される露光パターン信号に従い高速でON/OFFさせ、移動機構部により露光動作に伴って上記基体を回転駆動すると共に平行移動をさせながらディスク原盤となる基体表面に塗布された感光材料に電子ビームを照射し、露光パターンを形成するディスク原盤作成用の原盤露光方法において、調整動作中の上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを直接入射させ照射電流量を照射電流量検出手段により検出して測定し、上記基体に上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを照射することによって発生する反射電子を反射電子検出手段により検出して測定する調整測定ステップと、上記直接測定の照射電流量の変化に対する上記反射電子測定の反射電子量の変化情報とを記録したデータテーブルを生成するテーブル生成ステップと、露光動作を開始する露光開始ステップと、上記露光動作中の上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを直接入射させ照射電流量を照射電流量検出手段により検出して測定し、上記基体に上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを照射することによって発生する反射電子を反射電子検出手段により検出して測定する露光測定ステップと、露光動作中において基体に電子ビーム照射調整手段による電子ビーム照射をON/OFFさせる電子ビームブランキング手段に入力される露光パターン信号を検出して露光パターンに基づく電子ビームの照射量率検出手段により検出した照射量率とデータテーブルの変化情報に基づき予測値を補間計算処理により推測する露光推測ステップと、データテーブルの変化情報に基づく予測値と測定値とにずれが生じたか否かを判定するずれ判定ステップと、予測値と測定値とにずれが生じたときに照射電流量の制御補正値を計算処理する補正計算ステップと、補正計算後の制御値により上記電子ビーム発生手段の電子銃に対するエミッション電流を制御する制御ステップとを備え、露光中の上記電子ビームの照射電流量を制御するようにしたので、測定値からデータテーブルを生成し、従来困難であるとされていた電子ビームを使ったディスク原盤露光装置における露光動作中での電子ビームの照射電流量の測定が可能となり、露光動作中に照射電流量が変化した場合に変化情報に応じてデータテーブルから得られる目的の照射電流量に基づいて補間した実際の照射電流量を求めて、補間後の照射電流量により電子ビームの照射電流量を制御するので、それによって正確な露光パターンを形成するために問題とされていた照射電流量の安定性を保証することができるという効果を奏する。
【0054】
また、この発明の原盤露光プロセスは、上述において、上記露光動作の条件が変更されたか否かを判断するステップを有し、上記露光動作の条件が変更されたとき、上記テーブル生成ステップにより変更後のデータテーブルを生成した後に調整測定ステップより露光プロセスを開始し、上記露光動作の条件が変更されないとき、同じデータテーブルを用いて露光開始ステップより露光プロセスを開始するようにしたので、露光条件が変更されたときは、変更後の露光条件に基いてデータテーブルの構成を増やす処理をして、露光条件が変更されないときは、前の処理で作成されたデータテーブルを用いて、露光動作を行うことができるという効果を奏する。
【0055】
また、この発明の原盤露光方法は、上述において、上記データテーブルに露光動作に用いた基体情報を記録するので、基体固有の情報によって発生する入力された照射量率に対して反射電子測定される出力値の変化をデータテーブルに記録したデータベースを構築することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に適用される電子ビーム露光装置の構成を示す図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】照射電流モニタ回路の回路例を示す図である。
【図4】メインアンプ回路の回路例を示す図である。
【図5】電子ビーム露光装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】データテーブルを示す図である。
【図7】電子ビーム100%照射状態のDC信号の入力波形を示す図である。
【図8】電子ビーム100%照射状態の反射電子測定の積分器15後の出力波形を示す図である。
【図9】データテーブル作成中の照射量率αの入力波形を示す図である。
【図10】データテーブル作成中の照射量率αの反射電子測定の出力波形を示す図である。
【図11】露光動作中の照射量率βの積分器前の入力波形を示す図である。
【図12】露光動作中の照射量率βの積分器後の入力波形を示す図である。
【図13】露光動作中の照射量率βの反射電子測定の積分器前の出力波形を示す図である。
【図14】露光動作中の照射量率βの反射電子測定の積分器後の出力波形を示す図である。
【符号の説明】
1……電子銃、2……軸合わせコイル、3……コンデンサレンズ、4……電子ビームブランキング装置、5……対物レンズ絞り、6……電子ビーム走査コイル、7……対物レンズ、8a,8b……反射電子検出器、9……基体、10……直接電子検出器、11a,11b……プリアンプ回路、12……照射電流モニタ回路、13a,13b……アンプ、14……加減算回路、15……積分器、16……A/D変換器、17、18……アンプ、19……積分器、20……A/D変換器、21……露光パターン信号発生器、22……積分器、23……A/D変換器、24……記憶装置、25……メモリリードライト回路、26……DSP、27……駆動制御装置、30……エミッション電流量制御装置、31……フィラメント電流制御回路、32……加速電圧制御回路、33……走査信号発生器、34……2次元視覚化処理装置、35……2次元表示装置、36……表示装置、37……励磁電流制御装置、38……電子銃制御部、39……照射電流量検出制御部、40……照射電流モニタ部、41……コンデンサレンズ制御部、42……駆動制御部
Claims (9)
- 電子銃により電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、上記電子ビーム発生手段から射出された上記電子ビームを上記電子ビームの照射対象である基体に集束させるための電子ビーム照射調整手段と、上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームの照射を入力される露光パターン信号に従い高速でON/OFFさせる電子ビームブランキング手段とを有し、移動機構部により露光動作に伴って上記基体を回転駆動すると共に平行移動をさせながらディスク原盤となる基体表面に塗布された感光材料に電子ビームを照射し、露光パターンを形成するディスク原盤作成用の原盤露光装置において、
上記電子ビーム発生手段を制御する電子銃制御部と、
上記基体に上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを照射することによって発生する反射電子を検出する反射電子検出手段とを有し、上記基体に照射された電子ビームの反射電子量を検出して上記反射電子量に基づく照射電流量をモニタする照射電流量モニタ部と、
上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームの照射をON/OFFさせる上記電子ビームブランキング手段に入力される露光パターン信号を検出して上記露光パターンに基づく電子ビームの照射量率検出手段と、
上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを直接入射させ照射電流量を検出する照射電流量検出手段を有し、少なくとも上記電子ビームの直接入射に基づく照射電流量と上記露光パターンに基づく電子ビーム照射量率の所定期間の変化情報と上記反射電子量に基づく反射電子量の所定期間の変化情報とにより、上記電子ビームの発生を制御する照射電流量検出制御部とを備え、
露光中の上記電子ビームの照射電流量を制御するようにしたことを特徴とする原盤露光装置。 - 請求項1記載の原盤露光装置において、
上記照射電流量検出制御部から得られる制御情報により露光中の上記電子ビームの照射電流量を制御する手段において、上記電子ビーム発生手段を制御する電子銃制御部もしくは上記電子ビーム照射調整手段であるコンデンサレンズ部の制御により照射電流量を制御するようにしたことを特徴とする原盤露光装置。 - 請求項1記載の原盤露光装置において、
上記照射電流量検出制御部は、上記反射電子に基づく照射電流量の信号と上記電子ビームブランキング手段に入力される露光パターン信号をそれぞれ平均化処理するようにしたことを特徴とする原盤露光装置。 - 請求項2記載の原盤露光装置において、
上記反射電子に基づく照射電流量の信号と上記電子ビームブランキング手段に入力される露光パターン信号をそれぞれ平均化処理した各情報より上記制御手段に対する制御帰還値を求めるようにしたことを特徴とする原盤露光装置。 - 請求項1記載の原盤露光装置において、
上記照射電流量検出制御部は、
入力される上記露光パターン信号を信号処理のあと量子化する露光パターン量子化手段と、上記反射電子検出手段により検出された反射電子の信号を信号処理のあと量子化する反射電子量子化手段と、上記電子ビームを直接入射させ照射電流量を検出する直接照射電流量検出手段により検出された照射電流量の信号を信号処理のあと量子化する照射電流量量子化手段と、上記露光パターン量子化手段、上記反射電子量子化手段および上記照射電流量量子化手段により各々量子化された上記露光パターン情報、反射電子情報および直接照射電流量情報を記憶する記憶手段とを有することを特徴とする原盤露光装置。 - 請求項1記載の原盤露光装置において、
上記照射電流量検出制御部は、
上記露光パターン量子化手段、上記反射電子量子化手段および上記直接照射電流量量子化手段により各々量子化された上記露光パターン情報、反射電子情報および直接照射電流量情報の各々を比較処理する比較手段と、上記比較手段により比較処理された比較情報を出力する比較情報出力手段と、上記比較情報出力手段により出力された情報に基づき上記電子ビームの照射電流量を制御する制御手段とを有することを特徴とする原盤露光装置。 - 電子ビーム発生手段により電子銃から電子ビームを発生し、電子ビーム照射調整手段により上記電子ビーム発生手段から射出された上記電子ビームを上記電子ビームの照射対象である基体に集束させ、上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームの照射を電子ビームブランキング手段により入力される露光パターン信号に従い高速でON/OFFさせ、移動機構部により露光動作に伴って上記基体を回転駆動すると共に平行移動をさせながらディスク原盤となる基体表面に塗布された感光材料に電子ビームを照射し、露光パターンを形成するディスク原盤作成用の原盤露光方法において、
調整動作中の上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを直接入射させ照射電流量を照射電流量検出手段により検出して測定し、上記基体に上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを照射することによって発生する反射電子を反射電子検出手段により検出して測定する調整測定ステップと、
上記直接測定の照射電流量の変化に対する上記反射電子測定の反射電子量の変化情報を記録したデータテーブルを生成するテーブル生成ステップと、
露光動作を開始する露光開始ステップと、
上記露光動作中において上記基体に上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビームを照射することによって発生する反射電子を反射電子検出手段により検出して測定する露光測定ステップと、
上記露光動作中において上記基体に上記電子ビーム照射調整手段による上記電子ビーム照射をON/OFFさせる上記電子ビームブランキング手段に入力される露光パターン信号を検出して上記露光パターンに基づく電子ビームの照射量率検出手段により検出した照射量率と上記データテーブルの変化情報に基づき予測値を補間計算処理により推測する露光推測ステップと、
上記データテーブルの変化情報に基づく予測値と上記測定値とにずれが生じたか否かを判定するずれ判定ステップと、
上記予測値と上記測定値とにずれが生じたときに照射電流量の制御補正値を計算処理する補正計算ステップと、
補正計算後の制御値により上記電子ビーム発生手段の電子銃に対するエミッション電流を制御する制御ステップとを備え、
露光中の上記電子ビームの照射電流量を制御するようにしたことを特徴とする原盤露光方法。 - 請求項7記載の原盤露光方法において、
上記露光動作の条件が変更されたか否かを判断するステップを有し、
上記露光動作の条件が変更されたとき、上記テーブル生成ステップにより変更後のデータテーブルを生成した後に露光開始ステップにより露光動作を開始し、上記露光動作の条件が変更されないとき、同じデータテーブルを用いて露光開始ステップにより露光動作を開始するようにしたことを特徴とする原盤露光方法。 - 請求項7記載の原盤露光方法において、
上記データテーブルに露光動作に用いた基体情報を記録することを特徴とする原盤露光方法。
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