JP2004311809A - 可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子ビームのブランキング動作における電子ビームを被描画材料に照射する時間の誤差を補正することが可能で、より正確なパターンを描画できる可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法を実現する。
【解決手段】制御コンピュータ14から第2のスイッチ19をON側に切り換え、電子ビームを継続的に照射している状態で電流I0を測定する。また、照射時間T1と周期T2(>T1)の矩形波によってブランキング信号を作成し、このブランキングに基づく電流を検出し、平準化した信号Voutを得る。次に、I0 ,Vout ,T2等から算出したT1と、照射時間発生回路16にあらかじめ設定した照射時間T1との誤差ΔTを求め、その誤差を照射時間発生回路16に設定された設定時間T1に加算することで、照射時間の補正が可能となる。
【選択図】 図2
【解決手段】制御コンピュータ14から第2のスイッチ19をON側に切り換え、電子ビームを継続的に照射している状態で電流I0を測定する。また、照射時間T1と周期T2(>T1)の矩形波によってブランキング信号を作成し、このブランキングに基づく電流を検出し、平準化した信号Voutを得る。次に、I0 ,Vout ,T2等から算出したT1と、照射時間発生回路16にあらかじめ設定した照射時間T1との誤差ΔTを求め、その誤差を照射時間発生回路16に設定された設定時間T1に加算することで、照射時間の補正が可能となる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、LSI製作のためのマスクパターン等を描画する可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来の可変面積型電子ビーム描画装置の一例を示している。1は電子ビームEBを発生する電子銃であり、該電子銃1から発生した電子ビームEBは、照射レンズ(図示せず)を介して第1成形スリット2上に照射される。なお、電子銃1と第1成形スリット2との間には、ブランキング電極3が配置されている。
【0003】
第1成形スリット2の開口像は、成形レンズ(図示せず)により、第2成形スリット4上に結像されるが、その結像の位置は、成形偏向器5により変えることができる。第2成形スリット4により成形された像は、図示していない縮小レンズ、対物レンズを経て描画材料6上に照射される。描画材料6への照射位置は、位置決め偏向器7により変えることができる。なお、成形偏向器5および位置決め偏向器7は、図面上1組しか描かれていないが、実際には、図示されている各偏向器に直交する方向にもう1組設けられる。
【0004】
このような構成において、図示していない制御コンピュータは描画データメモリーからのパターンデータを照射制御回路(図示せず)に転送する。照射制御回路によって作成されたブランキング信号は、増幅器8を介してブランキング電極3に供給される。また、照射制御回路で作成された電子ビームの形状成形信号は、DA変換増幅器9を介して成形偏向器5に供給される。更に、照射制御回路で作成された材料6上の電子ビームの照射位置信号は、DA変換増幅器10を介して位置決め偏向器7に供給される。なお、制御コンピュータは、材料6のフィールド毎の移動のために、材料6が載せられたステージ(図示せず)を制御する。このような構成の動作を次に説明する。
【0005】
まず、基本的な描画動作について説明する。描画データメモリーに格納されたパターンデータは、逐次読み出され、照射制御回路に供給される。この照射制御回路からのデータに基づき、成形偏向器6、位置決め偏向器7は制御される。
【0006】
この結果、各描画パターンデータに基づき、成形偏向器5により電子ビームの断面が単位パターン形状に成形され、その単位パターンが順々に材料6上にショットされ、所望の形状のパターン描画が行われる。なお、この時、ブランキング電極3へのブランキング信号により、材料6への電子ビームのショットに同期して電子ビームのブランキングが実行される。また、材料6上の異なったフィールドへの描画の際には、制御コンピュータの制御により、材料6が載せられたステージは所定の距離移動させられる。なお、ステージの移動距離は、図示していないが、レーザー測長器により監視されており、測長器からの測長結果に基づき、ステージの位置は正確に制御される。
【0007】
上記したような電子ビーム描画装置では、被描画材料6は、例えば光学的描画装置において使用されるマスク(レチクル)であり、ガラス基板の表面に導電性物質が蒸着され、更にその上に電子ビームの感光材料(レジスト)が塗布されている。
【0008】
電子ビームはこのレジスト上に照射され、所定の形状のパターンを描画し、電子ビームの照射された部分のレジストを感光する。すなわち、電子ビームの断面の形状を制御しながら矩形や三角形、もしくは台形などの形状の描画を行い、それらの形状の組み合わせでマスク乾板上のレジストに所望のパターンを描画して感光させる。
【0009】
さて、上記したような描画を行う場合、マスク乾板上のレジストの感度に合わせて所定の時間電子ビームを乾板上に照射することによって、レジストを適性に感光させることができる。この際、描画したパターンの精度を向上させるためには、成形された電子ビームの材料上の面積あたりに照射される電子ビームの電荷量を一定に制御することが必要となる。面積あたりの電荷量は、電子ビームの照射時間×電流密度で決まるため、あらかじめ電子ビームの電流を正確に測定しておく必要がある。
【0010】
すなわち、電子ビームが均一な電流密度で広がりを有したビームであれば、電流密度は一定であるが、実際には電子ビームの電流密度は一定でないため、成形されたビーム形状により、電流密度が異なってくる。この電流密度の違いは、電子ビームによる描画動作の前あるいはその途中で電流測定を実行し、その電流値に応じてレジストに照射される電子ビームの照射時間を変化させることによって補正している。
【0011】
このような状態で、電子ビームの電流密度は、その形状によって異なるため、電子ビームの形状の設定をDA変換増幅器9の設定電流を変化させることによって行ない、その都度微小電流の測定動作を繰り返し行う。例えば、縦長の形状、横長の形状、正方形などのいくつかの種類の形状ごとに電子ビーム電流を測定し、その際の電子ビームの照射面積と測定した電子ビーム電流とによって電流密度を求める。なお、実際に設定した形状の中間的な形状の場合は、補間法による計算によって電流密度を求める。このようにして求められた電流密度に応じて、ブランキング時間が補正され、面積あたりの電荷量を一定とすることができる。この電子ビームの電流を測定する技術については、特許文献1に記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平4−63420号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、電流密度を求めるために検出した微小電流を、微小電流測定器によって測定するようにしている。しかながら、照射時間については正確に測定することが行われておらず、装置の使用状態における照射時間の変化の校正は行われていない。装置の使用状態での照射時間を測定する代わりに、照射時間の発生回路の調整時に、ブランキング増幅器に入力する制御信号もしくはブランキング増幅器の出力電圧をオシロスコープなどの測定器で観測し、照射時間の発生回路を調整していた。
【0014】
このため、装置の使用状況で何らかの要因によって電子ビームの照射時間が変動したとしても、この変動分を補正する機構はなく、描画精度を悪化させてる要因の一つとなっていた。照射時間を変動させる要因としては、照射時間発生回路の経時変化や、増幅器の特性の経時変化、電子光学系の機構部品交換によってブランキング電極の感度や絞りの位置関係が変化することなどが考えられる。
【0015】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、その目的は電子ビームのブランキング動作における電子ビームを被描画材料に照射する時間の誤差を補正することが可能で、より正確なパターンを描画できる可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法を実現するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間制御方法は、第2の成形スリットを通過して被描画材料に照射される電子ビームの光軸近傍に電子ビームの検出器を配置し、電子ビームのブランキングを行なわない状態で電子ビーム検出器によって検出された電子ビーム電流I0を測定し、次に、電子ビームのブランキングを電子ビームの照射時間がT1と、T1より長い時間T2とを合成したブランキング信号によって行ない、検出器から得られた電流を、増幅器、低域通過フィルタを通して検出された電流に相当する電圧信号Voutを得、電子ビーム電流I0、電子ビームの照射時間T1,T2と測定された電圧信号Voutから照射時間T1の誤差ΔTを求め、その後の描画時におけるブランキング信号の電子ビームの照射時間をT1にΔTを加算した時間とするようにしたことを特徴としている。
【0017】
すなわち、本発明では、装置の使用状況で何らかの要因によって照射時間が変動したとしても、描画の途中でビームを常に照射した状態と、実際にパターンデータを処理する際の周期で電子ビームをON・OFFさせた状態の2種類の状態で電子ビームの電流を測定し、測定した2種類の電流からブランキング機能を使って電子ビームの照射時間の誤差を検出し、この誤差に基づいて電子ビームの小視野時間の補正を行うようにしたので、結果的により正確なパターを描画することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図2は本発明に基づく電子ビーム照射時間の校正方法を実施するための構成の一例を示しており、図1と同一ないしは類似の構成要素には同一番号が付されている。1は電子ビームEBを発生する電子銃であり、該電子銃1から発生した電子ビームEBは、照射レンズ(図示せず)を介して第1成形スリット2上に照射される。なお、電子銃1と第1成形スリット2との間には、ブランキング電極3が配置されている。
【0019】
第1成形スリット2の開口像は、成形レンズ(図示せず)により、第2成形スリット4上に結像されるが、その結像の位置は、成形偏向器5により変えることができる。第2成形スリット4により成形された像は、図示していない縮小レンズ、対物レンズを経て描画材料6上に照射される。描画材料6への照射位置は、位置決め偏向器7により変えることができる。なお、成形偏向器5および位置決め偏向器7は、図面上1組しか描かれていないが、実際には、図示されている各偏向器に直交する方向にもう1組設けられる。
【0020】
被描画材料6は移動ステージ11上に載置されている。移動ステージ11の端部には、ファラデーカップ12が設けられており、電子ビーム電流の測定の際には、移動ステージ11が移動され、ファラデーカップ12が電子ビームEBのほぼ光軸上に配置される。ファラデーカップ12から得られた電流は、微小電流測定器13に供給されて電子ビームの照射電流が測定される。
【0021】
このような電子光学系に対して、制御コンピュータ14は、図示していない描画データメモリーからのパターンデータに所定の処理を施した後、描画データ処理回路15に転送する。また、制御コンピュータ14から照射時間発生回路16には、照射時間の情報があらかじめ転送されており、描画データ処理回路15からのトリガで動作する。なお、図2に示した装置では、第1のスイッチ17を切り換えることによって周期信号発生回路18からのトリガにより、照射時間発生回路18が動作するように構成されている。
【0022】
照射時間発生回路16から発生したブランキング信号は、第2のスイッチ19を介して増幅器8に供給され、この増幅器8で作成されたブランキング信号は、ブランキング電極3に供給される。また、描画データ処理回路15で作成された電子ビームの形状成形信号は、DA変換増幅器9を介して成形偏向器5に供給される。更に、描画データ処理回路15で作成された材料6上の電子ビームの照射位置信号は、DA変換増幅器10を介して位置決め偏向器7に供給される。なお、制御コンピュータ14は、材料6のフィールド毎の移動のために、材料6が載せられたステージ11を制御する。
【0023】
前記ファラデーカップ12によって検出された電流は、微小電流測定器13に供給されるが、微小電流測定器13は、電流信号を電圧信号に切り換えて増幅する演算増幅器20と、演算増幅器20からの信号の低域のみ通過させる低域通過フィルタ(LPF)21と、アナログ電圧信号をディジタル化して出力するDA変換器22より構成されており、DA変換器22の出力信号を電子ビームの電流値として測定を行なう。このような構成の動作を次に説明する。
【0024】
まず、基本的な描画動作について説明する。描画データメモリーに格納されたパターンデータは、制御コンピュー14タによって逐次読み出され、描画データ処理回路15に供給される。この描画データ処理回路15からのデータに基づき、DA変換増幅器9を介して成形偏向器6が、DA変換増幅器10を介して位置決め偏向器7が制御される。
【0025】
この結果、各描画パターンデータに基づき、成形偏向器5により電子ビームの断面が単位パターン形状や所望の矩形パターン形状に成形され、パターンが順々に材料6上にショットされ、所望の形状のパターン描画が行われる。なお、この時、ブランキング電極3へのブランキング信号により、材料6への電子ビームのショットに同期して電子ビームのブランキングが実行される。また、材料6上の異なったフィールドへの描画の際には、制御コンピュータ14の制御により、材料6が載せられたステージ11は所定の距離移動させられる。なお、ステージ11の移動距離は、図示していないが、レーザー測長器により監視されており、測長器からの測長結果に基づき、ステージの位置は正確に制御される。
【0026】
上記したような電子ビーム描画装置では、被描画材料6は、例えば光学的描画装置において使用されるマスク(レチクル)であり、ガラス基板の表面に導電性物質が蒸着され、更にその上に電子ビームの感光材料(レジスト)が塗布されている。
【0027】
電子ビームはこのレジスト上に照射され、所定の形状のパターンを描画し、電子ビームの照射された部分のレジストを感光する。すなわち、電子ビームの断面の形状を制御しながら矩形や三角形、もしくは台形などの形状の描画を行い、それらの形状の組み合わせでマスク乾板上のレジストに所望のパターンを描画して感光させる。
【0028】
被描画材料6は移動ステージ11上に載置されている。移動ステージ11の端部には、ファラデーカップ12が設けられており、電子ビーム電流の測定の際には、移動ステージ11が移動され、ファラデーカップ12が電子ビームEBのほぼ光軸上に配置される。
【0029】
この状態で制御コンピュータ14は、電子ビームの照射形状を設定し、微小電流測定器(ピコアンペアメータ)13に測定命令を送る。この際、電子ビームのON・OFFを制御するブランキング電極3には、増幅器8によりブランキングがOFFの時には偏向電圧が印加される。ブランキング電極3に電圧が印加されると、図示していないが。ブランキング電極3の下方に設けられ、中心に電子ビーム通過開口が穿たれたアパーチャに電子ビームが偏向され、電子ビームの照射が遮蔽される。このブランキング用増幅器8は、第2のスイッチ19を介して照射時間発生回路16により駆動される。
【0030】
第2のスイッチ19は常時電子ビームのブランキングをONに維持するためのモードに切り換えるスイッチであり、ON側に接続された場合には、電子ビームはブランキング電極3による偏向を受けず、ファラデーカップ12に継続的に入射される。第2のスイッチ19によるON側と照射時間発生回路16側との切り換えの制御は、制御コンピュータ14によって行なわれる。
【0031】
照射時間発生回路16は、制御コンピュータ14から照射時間の情報をあらかじめ受け取り、描画データ処理回路17からのトリガで動作する。なお、照射時間発生回路16は第1のスイッチ17を介して、描画データ処理回路18と周期信号発生回路19に接続されている。
【0032】
また、図には描かれていないが、成形偏向器用DA変換増幅器9には、描画データ処理回路19から電子ビームEBの形状が設定形状となるような電圧が供給される。更に、位置決め偏向器7用のDA変換増幅器10には、特定形状に成形された電子ビームが所定の位置に偏向されて照射されるように、位置決めのための電圧が供給される。なお電子ビームの電流を測定する際には、中立(0V)に設定される。
【0033】
本発明では、上記した構成を使用して、実際の照射時間を考慮した電流測定を行ない、照射時間を含めた電流補正を行う。まず、制御コンピュータ14から第2のスイッチ19をON側に切り換え、電子ビームを継続的に照射している状態で電流を測定し、このときの電流をI0とする。次に、第2のスイッチ19を照射時間発生回路16側に切り換え、照射時間T1を設定する。
【0034】
このような状態で、第1のスイッチ17を「校正」側に接続し、周期信号発生回路18からの信号がスイッチ17を介して照射時間発生回路16に供給されるようにする。その結果、周期信号発生回路18から周期T2(>T1)の矩形波が発生される。このタイミング図を図3(a)に示す。また、図3(a)に示した電子ビームのON,OFFのタイミングに対応した微小電流の測定値を図3(b)に示す。
【0035】
このような状態とすると、ブランキング用DA変換増幅器8は、図3(a)に示したように駆動され、ファラデーカップ12にも同様の電流が到達することになる。ファラデーカップ12から微小電流測定器13に入った電流は、まず演算増幅器20によって電圧に変換され、低域通過フィルタ21を通るが、低域通過フィルタ21の通過周波数をT2の周期で定まる周波数より充分に低く設定しておく。低域通過フィルタ21を通過した信号は、電流がONの期間とOFFの期間の長さに応じて変換され、通過後の信号Voutは、次のように表すことができる。
【0036】
Vout=(T1/T2)×(R×I0)
上式からT1を逆算すると、次のように表すことができる。
【0037】
T1=Vout×{T2/(R×I0)}
ここで、実際に測定した電流値から逆算して求められたT1と、照射時間発生回路16にあらかじめ設定した照射時間T1との誤差ΔTを求め、その誤差を照射時間発生回路16に設定された設定時間T1に加算することで、照射時間の補正が可能となる。実際の使用状況では、照射時間は電子ビームの設定電流値、レジストの感度、パターンデータの種類などに応じて任意に設定されるため、いくつかの異なった値の照射時間T1について上記した計算を行ない、補正テーブルを作成する。飛び飛びで求めた照射時間の中間の照射時間の補正値は補間によって求める。
【0038】
上記した補正テーブルの作成は、制御コンピュータ14によって行なわれ、補正テーブルは制御コンピュータ14内のメモリーに記憶される。その後のパターンデータに基づいて照射時間発生回路16に供給されるブランキングデータは、補正されたものとなる。
【0039】
上記した図2に基づく本発明の実施の形態では、第1のスイッチ17と周期信号発生回路18を設け、照射時間の校正時には、周期信号発生回路18から照射時間発生回路16にトリガを供給するようにしたが、この機能を制御コンピュータで行わせることも可能である。この場合は、描画データとして、同じ描画図形の繰り返しを制御コンピュータ14から入力する。たとえば、位置決め偏向器7による電子ビームの描画位置が同じ位置になるような、矩形の描画データを非常に多数処理させれば、周期信号を発生させるのと同様のトリガが発生することになるので、ハードウェアを簡略化することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に基づく可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法は、第2の成形スリットを通過して被描画材料に照射される電子ビームの光軸近傍に電子ビームの検出器を配置し、電子ビームのブランキングを行なわない状態で電子ビーム検出器によって検出された電子ビーム電流I0を測定し、次に、電子ビームのブランキングを電子ビームの照射時間がT1と、T1より長い時間T2とを合成したブランキング信号によって行ない、検出器から得られた電流を、増幅器、低域通過フィルタを通して検出された電流に相当する電圧信号Voutを得、電子ビーム電流I0,電子ビームの照射時間T1,T2と測定された電圧信号Voutから照射時間T1の誤差ΔTを求め、その後の描画時におけるブランキング信号の電子ビームの照射時間をT1にΔTを加算した時間とするようにしたことを特徴としている。
【0041】
すなわち、本発明では、装置の使用状況で何らかの要因によって照射時間が変動したとしても、描画の途中でビームを常に照射した状態と、実際にパターンデータを処理する際の周期で電子ビームをON・OFFさせた状態の2種類の状態で電子ビームの電流を測定し、測定した2種類の電流からブランキング機能を使って電子ビームの照射時間の誤差を検出し、この誤差に基づいて電子ビームの小視野時間の補正を行うようにしたので、結果的により正確なパターを描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の可変面積型電子ビーム描画装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に基づく電子ビームの照射時間の校正方法を実施するための電子ビーム描画装置の一例を示す図である。
【図3】ブランキング信号と平準化された検出信号を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1 電子銃
2 第1スリット
3 ブランキング電極
4 第2スリット
5 成形偏向器
6 被描画材料
7 位置決め偏向器
8 増幅器
9〜10 DA変換増幅器
11 ステージ
12 ファラデーカップ
13 微小電流測定器
14 制御コンピュータ
15 描画データ処理回路
16 照射時間発生回路
17,19 スイッチ
18 周期信号発生回路
20 演算増幅器
21 低域通過フィルタ
22 AD変換器
【発明の属する分野】
本発明は、LSI製作のためのマスクパターン等を描画する可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来の可変面積型電子ビーム描画装置の一例を示している。1は電子ビームEBを発生する電子銃であり、該電子銃1から発生した電子ビームEBは、照射レンズ(図示せず)を介して第1成形スリット2上に照射される。なお、電子銃1と第1成形スリット2との間には、ブランキング電極3が配置されている。
【0003】
第1成形スリット2の開口像は、成形レンズ(図示せず)により、第2成形スリット4上に結像されるが、その結像の位置は、成形偏向器5により変えることができる。第2成形スリット4により成形された像は、図示していない縮小レンズ、対物レンズを経て描画材料6上に照射される。描画材料6への照射位置は、位置決め偏向器7により変えることができる。なお、成形偏向器5および位置決め偏向器7は、図面上1組しか描かれていないが、実際には、図示されている各偏向器に直交する方向にもう1組設けられる。
【0004】
このような構成において、図示していない制御コンピュータは描画データメモリーからのパターンデータを照射制御回路(図示せず)に転送する。照射制御回路によって作成されたブランキング信号は、増幅器8を介してブランキング電極3に供給される。また、照射制御回路で作成された電子ビームの形状成形信号は、DA変換増幅器9を介して成形偏向器5に供給される。更に、照射制御回路で作成された材料6上の電子ビームの照射位置信号は、DA変換増幅器10を介して位置決め偏向器7に供給される。なお、制御コンピュータは、材料6のフィールド毎の移動のために、材料6が載せられたステージ(図示せず)を制御する。このような構成の動作を次に説明する。
【0005】
まず、基本的な描画動作について説明する。描画データメモリーに格納されたパターンデータは、逐次読み出され、照射制御回路に供給される。この照射制御回路からのデータに基づき、成形偏向器6、位置決め偏向器7は制御される。
【0006】
この結果、各描画パターンデータに基づき、成形偏向器5により電子ビームの断面が単位パターン形状に成形され、その単位パターンが順々に材料6上にショットされ、所望の形状のパターン描画が行われる。なお、この時、ブランキング電極3へのブランキング信号により、材料6への電子ビームのショットに同期して電子ビームのブランキングが実行される。また、材料6上の異なったフィールドへの描画の際には、制御コンピュータの制御により、材料6が載せられたステージは所定の距離移動させられる。なお、ステージの移動距離は、図示していないが、レーザー測長器により監視されており、測長器からの測長結果に基づき、ステージの位置は正確に制御される。
【0007】
上記したような電子ビーム描画装置では、被描画材料6は、例えば光学的描画装置において使用されるマスク(レチクル)であり、ガラス基板の表面に導電性物質が蒸着され、更にその上に電子ビームの感光材料(レジスト)が塗布されている。
【0008】
電子ビームはこのレジスト上に照射され、所定の形状のパターンを描画し、電子ビームの照射された部分のレジストを感光する。すなわち、電子ビームの断面の形状を制御しながら矩形や三角形、もしくは台形などの形状の描画を行い、それらの形状の組み合わせでマスク乾板上のレジストに所望のパターンを描画して感光させる。
【0009】
さて、上記したような描画を行う場合、マスク乾板上のレジストの感度に合わせて所定の時間電子ビームを乾板上に照射することによって、レジストを適性に感光させることができる。この際、描画したパターンの精度を向上させるためには、成形された電子ビームの材料上の面積あたりに照射される電子ビームの電荷量を一定に制御することが必要となる。面積あたりの電荷量は、電子ビームの照射時間×電流密度で決まるため、あらかじめ電子ビームの電流を正確に測定しておく必要がある。
【0010】
すなわち、電子ビームが均一な電流密度で広がりを有したビームであれば、電流密度は一定であるが、実際には電子ビームの電流密度は一定でないため、成形されたビーム形状により、電流密度が異なってくる。この電流密度の違いは、電子ビームによる描画動作の前あるいはその途中で電流測定を実行し、その電流値に応じてレジストに照射される電子ビームの照射時間を変化させることによって補正している。
【0011】
このような状態で、電子ビームの電流密度は、その形状によって異なるため、電子ビームの形状の設定をDA変換増幅器9の設定電流を変化させることによって行ない、その都度微小電流の測定動作を繰り返し行う。例えば、縦長の形状、横長の形状、正方形などのいくつかの種類の形状ごとに電子ビーム電流を測定し、その際の電子ビームの照射面積と測定した電子ビーム電流とによって電流密度を求める。なお、実際に設定した形状の中間的な形状の場合は、補間法による計算によって電流密度を求める。このようにして求められた電流密度に応じて、ブランキング時間が補正され、面積あたりの電荷量を一定とすることができる。この電子ビームの電流を測定する技術については、特許文献1に記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平4−63420号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、電流密度を求めるために検出した微小電流を、微小電流測定器によって測定するようにしている。しかながら、照射時間については正確に測定することが行われておらず、装置の使用状態における照射時間の変化の校正は行われていない。装置の使用状態での照射時間を測定する代わりに、照射時間の発生回路の調整時に、ブランキング増幅器に入力する制御信号もしくはブランキング増幅器の出力電圧をオシロスコープなどの測定器で観測し、照射時間の発生回路を調整していた。
【0014】
このため、装置の使用状況で何らかの要因によって電子ビームの照射時間が変動したとしても、この変動分を補正する機構はなく、描画精度を悪化させてる要因の一つとなっていた。照射時間を変動させる要因としては、照射時間発生回路の経時変化や、増幅器の特性の経時変化、電子光学系の機構部品交換によってブランキング電極の感度や絞りの位置関係が変化することなどが考えられる。
【0015】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、その目的は電子ビームのブランキング動作における電子ビームを被描画材料に照射する時間の誤差を補正することが可能で、より正確なパターンを描画できる可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法を実現するにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に基づく可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間制御方法は、第2の成形スリットを通過して被描画材料に照射される電子ビームの光軸近傍に電子ビームの検出器を配置し、電子ビームのブランキングを行なわない状態で電子ビーム検出器によって検出された電子ビーム電流I0を測定し、次に、電子ビームのブランキングを電子ビームの照射時間がT1と、T1より長い時間T2とを合成したブランキング信号によって行ない、検出器から得られた電流を、増幅器、低域通過フィルタを通して検出された電流に相当する電圧信号Voutを得、電子ビーム電流I0、電子ビームの照射時間T1,T2と測定された電圧信号Voutから照射時間T1の誤差ΔTを求め、その後の描画時におけるブランキング信号の電子ビームの照射時間をT1にΔTを加算した時間とするようにしたことを特徴としている。
【0017】
すなわち、本発明では、装置の使用状況で何らかの要因によって照射時間が変動したとしても、描画の途中でビームを常に照射した状態と、実際にパターンデータを処理する際の周期で電子ビームをON・OFFさせた状態の2種類の状態で電子ビームの電流を測定し、測定した2種類の電流からブランキング機能を使って電子ビームの照射時間の誤差を検出し、この誤差に基づいて電子ビームの小視野時間の補正を行うようにしたので、結果的により正確なパターを描画することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図2は本発明に基づく電子ビーム照射時間の校正方法を実施するための構成の一例を示しており、図1と同一ないしは類似の構成要素には同一番号が付されている。1は電子ビームEBを発生する電子銃であり、該電子銃1から発生した電子ビームEBは、照射レンズ(図示せず)を介して第1成形スリット2上に照射される。なお、電子銃1と第1成形スリット2との間には、ブランキング電極3が配置されている。
【0019】
第1成形スリット2の開口像は、成形レンズ(図示せず)により、第2成形スリット4上に結像されるが、その結像の位置は、成形偏向器5により変えることができる。第2成形スリット4により成形された像は、図示していない縮小レンズ、対物レンズを経て描画材料6上に照射される。描画材料6への照射位置は、位置決め偏向器7により変えることができる。なお、成形偏向器5および位置決め偏向器7は、図面上1組しか描かれていないが、実際には、図示されている各偏向器に直交する方向にもう1組設けられる。
【0020】
被描画材料6は移動ステージ11上に載置されている。移動ステージ11の端部には、ファラデーカップ12が設けられており、電子ビーム電流の測定の際には、移動ステージ11が移動され、ファラデーカップ12が電子ビームEBのほぼ光軸上に配置される。ファラデーカップ12から得られた電流は、微小電流測定器13に供給されて電子ビームの照射電流が測定される。
【0021】
このような電子光学系に対して、制御コンピュータ14は、図示していない描画データメモリーからのパターンデータに所定の処理を施した後、描画データ処理回路15に転送する。また、制御コンピュータ14から照射時間発生回路16には、照射時間の情報があらかじめ転送されており、描画データ処理回路15からのトリガで動作する。なお、図2に示した装置では、第1のスイッチ17を切り換えることによって周期信号発生回路18からのトリガにより、照射時間発生回路18が動作するように構成されている。
【0022】
照射時間発生回路16から発生したブランキング信号は、第2のスイッチ19を介して増幅器8に供給され、この増幅器8で作成されたブランキング信号は、ブランキング電極3に供給される。また、描画データ処理回路15で作成された電子ビームの形状成形信号は、DA変換増幅器9を介して成形偏向器5に供給される。更に、描画データ処理回路15で作成された材料6上の電子ビームの照射位置信号は、DA変換増幅器10を介して位置決め偏向器7に供給される。なお、制御コンピュータ14は、材料6のフィールド毎の移動のために、材料6が載せられたステージ11を制御する。
【0023】
前記ファラデーカップ12によって検出された電流は、微小電流測定器13に供給されるが、微小電流測定器13は、電流信号を電圧信号に切り換えて増幅する演算増幅器20と、演算増幅器20からの信号の低域のみ通過させる低域通過フィルタ(LPF)21と、アナログ電圧信号をディジタル化して出力するDA変換器22より構成されており、DA変換器22の出力信号を電子ビームの電流値として測定を行なう。このような構成の動作を次に説明する。
【0024】
まず、基本的な描画動作について説明する。描画データメモリーに格納されたパターンデータは、制御コンピュー14タによって逐次読み出され、描画データ処理回路15に供給される。この描画データ処理回路15からのデータに基づき、DA変換増幅器9を介して成形偏向器6が、DA変換増幅器10を介して位置決め偏向器7が制御される。
【0025】
この結果、各描画パターンデータに基づき、成形偏向器5により電子ビームの断面が単位パターン形状や所望の矩形パターン形状に成形され、パターンが順々に材料6上にショットされ、所望の形状のパターン描画が行われる。なお、この時、ブランキング電極3へのブランキング信号により、材料6への電子ビームのショットに同期して電子ビームのブランキングが実行される。また、材料6上の異なったフィールドへの描画の際には、制御コンピュータ14の制御により、材料6が載せられたステージ11は所定の距離移動させられる。なお、ステージ11の移動距離は、図示していないが、レーザー測長器により監視されており、測長器からの測長結果に基づき、ステージの位置は正確に制御される。
【0026】
上記したような電子ビーム描画装置では、被描画材料6は、例えば光学的描画装置において使用されるマスク(レチクル)であり、ガラス基板の表面に導電性物質が蒸着され、更にその上に電子ビームの感光材料(レジスト)が塗布されている。
【0027】
電子ビームはこのレジスト上に照射され、所定の形状のパターンを描画し、電子ビームの照射された部分のレジストを感光する。すなわち、電子ビームの断面の形状を制御しながら矩形や三角形、もしくは台形などの形状の描画を行い、それらの形状の組み合わせでマスク乾板上のレジストに所望のパターンを描画して感光させる。
【0028】
被描画材料6は移動ステージ11上に載置されている。移動ステージ11の端部には、ファラデーカップ12が設けられており、電子ビーム電流の測定の際には、移動ステージ11が移動され、ファラデーカップ12が電子ビームEBのほぼ光軸上に配置される。
【0029】
この状態で制御コンピュータ14は、電子ビームの照射形状を設定し、微小電流測定器(ピコアンペアメータ)13に測定命令を送る。この際、電子ビームのON・OFFを制御するブランキング電極3には、増幅器8によりブランキングがOFFの時には偏向電圧が印加される。ブランキング電極3に電圧が印加されると、図示していないが。ブランキング電極3の下方に設けられ、中心に電子ビーム通過開口が穿たれたアパーチャに電子ビームが偏向され、電子ビームの照射が遮蔽される。このブランキング用増幅器8は、第2のスイッチ19を介して照射時間発生回路16により駆動される。
【0030】
第2のスイッチ19は常時電子ビームのブランキングをONに維持するためのモードに切り換えるスイッチであり、ON側に接続された場合には、電子ビームはブランキング電極3による偏向を受けず、ファラデーカップ12に継続的に入射される。第2のスイッチ19によるON側と照射時間発生回路16側との切り換えの制御は、制御コンピュータ14によって行なわれる。
【0031】
照射時間発生回路16は、制御コンピュータ14から照射時間の情報をあらかじめ受け取り、描画データ処理回路17からのトリガで動作する。なお、照射時間発生回路16は第1のスイッチ17を介して、描画データ処理回路18と周期信号発生回路19に接続されている。
【0032】
また、図には描かれていないが、成形偏向器用DA変換増幅器9には、描画データ処理回路19から電子ビームEBの形状が設定形状となるような電圧が供給される。更に、位置決め偏向器7用のDA変換増幅器10には、特定形状に成形された電子ビームが所定の位置に偏向されて照射されるように、位置決めのための電圧が供給される。なお電子ビームの電流を測定する際には、中立(0V)に設定される。
【0033】
本発明では、上記した構成を使用して、実際の照射時間を考慮した電流測定を行ない、照射時間を含めた電流補正を行う。まず、制御コンピュータ14から第2のスイッチ19をON側に切り換え、電子ビームを継続的に照射している状態で電流を測定し、このときの電流をI0とする。次に、第2のスイッチ19を照射時間発生回路16側に切り換え、照射時間T1を設定する。
【0034】
このような状態で、第1のスイッチ17を「校正」側に接続し、周期信号発生回路18からの信号がスイッチ17を介して照射時間発生回路16に供給されるようにする。その結果、周期信号発生回路18から周期T2(>T1)の矩形波が発生される。このタイミング図を図3(a)に示す。また、図3(a)に示した電子ビームのON,OFFのタイミングに対応した微小電流の測定値を図3(b)に示す。
【0035】
このような状態とすると、ブランキング用DA変換増幅器8は、図3(a)に示したように駆動され、ファラデーカップ12にも同様の電流が到達することになる。ファラデーカップ12から微小電流測定器13に入った電流は、まず演算増幅器20によって電圧に変換され、低域通過フィルタ21を通るが、低域通過フィルタ21の通過周波数をT2の周期で定まる周波数より充分に低く設定しておく。低域通過フィルタ21を通過した信号は、電流がONの期間とOFFの期間の長さに応じて変換され、通過後の信号Voutは、次のように表すことができる。
【0036】
Vout=(T1/T2)×(R×I0)
上式からT1を逆算すると、次のように表すことができる。
【0037】
T1=Vout×{T2/(R×I0)}
ここで、実際に測定した電流値から逆算して求められたT1と、照射時間発生回路16にあらかじめ設定した照射時間T1との誤差ΔTを求め、その誤差を照射時間発生回路16に設定された設定時間T1に加算することで、照射時間の補正が可能となる。実際の使用状況では、照射時間は電子ビームの設定電流値、レジストの感度、パターンデータの種類などに応じて任意に設定されるため、いくつかの異なった値の照射時間T1について上記した計算を行ない、補正テーブルを作成する。飛び飛びで求めた照射時間の中間の照射時間の補正値は補間によって求める。
【0038】
上記した補正テーブルの作成は、制御コンピュータ14によって行なわれ、補正テーブルは制御コンピュータ14内のメモリーに記憶される。その後のパターンデータに基づいて照射時間発生回路16に供給されるブランキングデータは、補正されたものとなる。
【0039】
上記した図2に基づく本発明の実施の形態では、第1のスイッチ17と周期信号発生回路18を設け、照射時間の校正時には、周期信号発生回路18から照射時間発生回路16にトリガを供給するようにしたが、この機能を制御コンピュータで行わせることも可能である。この場合は、描画データとして、同じ描画図形の繰り返しを制御コンピュータ14から入力する。たとえば、位置決め偏向器7による電子ビームの描画位置が同じ位置になるような、矩形の描画データを非常に多数処理させれば、周期信号を発生させるのと同様のトリガが発生することになるので、ハードウェアを簡略化することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に基づく可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法は、第2の成形スリットを通過して被描画材料に照射される電子ビームの光軸近傍に電子ビームの検出器を配置し、電子ビームのブランキングを行なわない状態で電子ビーム検出器によって検出された電子ビーム電流I0を測定し、次に、電子ビームのブランキングを電子ビームの照射時間がT1と、T1より長い時間T2とを合成したブランキング信号によって行ない、検出器から得られた電流を、増幅器、低域通過フィルタを通して検出された電流に相当する電圧信号Voutを得、電子ビーム電流I0,電子ビームの照射時間T1,T2と測定された電圧信号Voutから照射時間T1の誤差ΔTを求め、その後の描画時におけるブランキング信号の電子ビームの照射時間をT1にΔTを加算した時間とするようにしたことを特徴としている。
【0041】
すなわち、本発明では、装置の使用状況で何らかの要因によって照射時間が変動したとしても、描画の途中でビームを常に照射した状態と、実際にパターンデータを処理する際の周期で電子ビームをON・OFFさせた状態の2種類の状態で電子ビームの電流を測定し、測定した2種類の電流からブランキング機能を使って電子ビームの照射時間の誤差を検出し、この誤差に基づいて電子ビームの小視野時間の補正を行うようにしたので、結果的により正確なパターを描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の可変面積型電子ビーム描画装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に基づく電子ビームの照射時間の校正方法を実施するための電子ビーム描画装置の一例を示す図である。
【図3】ブランキング信号と平準化された検出信号を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1 電子銃
2 第1スリット
3 ブランキング電極
4 第2スリット
5 成形偏向器
6 被描画材料
7 位置決め偏向器
8 増幅器
9〜10 DA変換増幅器
11 ステージ
12 ファラデーカップ
13 微小電流測定器
14 制御コンピュータ
15 描画データ処理回路
16 照射時間発生回路
17,19 スイッチ
18 周期信号発生回路
20 演算増幅器
21 低域通過フィルタ
22 AD変換器
Claims (2)
- 電子ビームを第1の成形スリットを通過させ、第1のスリットを通過した電子ビームを第2の成形スリット上に照射し、第2のスリットを通過した電子ビームを被描画材料に照射すると共に、第1と第2のスリットの間に電子ビームの成形偏向器を設け、成形偏向器によって第1の成形スリットを通過した電子ビームを偏向し、第2の成形スリットを通過する電子ビームの面積を変化させ、この可変面積の電子ビームの被描画材料への照射をブランキングしながら行って、被描画材料に塗布されたレジストを感光させるようにした可変面積型電子ビーム描画装置において、第2の成形スリットを通過して被描画材料に照射される電子ビームの光軸近傍に電子ビームの検出器を配置し、電子ビームのブランキングを行なわない状態で電子ビーム検出器によって検出された電子ビーム電流I0を測定し、次に、電子ビームのブランキングを電子ビームの照射時間がT1と、T1より長い時間T2とを合成したブランキング信号によって行ない、検出器から得られた電流を、増幅器、低域通過フィルタを通して検出された電流に相当する電圧信号Voutを得、電子ビーム電流I0、電子ビームの照射時間T1,T2と測定された電圧信号Voutから照射時間T1の誤差ΔTを求め、その後の描画時におけるブランキング信号の電子ビームの照射時間をT1にΔTを加算した時間とするようにした可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法。
- 電子ビームの検出器は、被描画材料が載置されたステージの端部に配置される請求項1記載の可変面積型電子ビーム描画装置における電子ビームの照射時間校正方法。
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