JP2004085937A - 高分子基板型光導波路 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝送損失が小さく、安価な高分子基板型光導波路を提供する。
【解決手段】高分子基板型光導波路が、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなるコア3と、コア3の外面に接し、コア3をなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コア3をなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなるクラッド(下側クラッド2、上側クラッド4)とを有し、コア3とクラッド(下側クラッド2、上側クラッド4)との比屈折率差が0.2%以上にされている。
【選択図】 図1
【解決手段】高分子基板型光導波路が、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなるコア3と、コア3の外面に接し、コア3をなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コア3をなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなるクラッド(下側クラッド2、上側クラッド4)とを有し、コア3とクラッド(下側クラッド2、上側クラッド4)との比屈折率差が0.2%以上にされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に利用できる高分子基板型光導波路に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信用の部品として、高分子基板型光導波路が用いられることがある。図1に、高分子基板型光導波路の一例を示す。この高分子基板型光導波路は、シリコン基板などからなる基板1と、この基板1の上面に接する下側クラッド2と、この下側クラッド2に接するコア3と、下側クラッド2およびコア3に接する上側クラッド4とを有して概略構成されている。ここで、下側クラッド2の厚さは、通常15〜30μmにされており、コア3の断面寸法は縦4〜8μm×横4〜8μmにされており、上側クラッド4の厚さは15〜30μmにされている。また、この高分子基板型光導波路では、下側クラッド2、コア3、上側クラッド4がポリマーで形成されている。
さらに、コア3をなすポリマーの屈折率は、下側クラッド2および上側クラッド4をなすポリマーの屈折率よりも高くされており、具体的には、比屈折率差が0.3〜1.5%程度にされている。ここで、比屈折率差とは、(コアの屈折率−クラッドの屈折率)/(コアの屈折率)で算出される値のことである。
【0003】
ところで、このような高分子基板型光導波路のクラッドおよびコアには、光通信用波長域である1.31μm帯および1.55μm帯の吸収が小さいポリマーが使用される。このようなポリマーとしては、例えば、フッ素化ポリイミド、重水素化シリコーンなどが挙げられる。フッ素化ポリイミド、重水素化シリコーンにあっては、ポリマー中のC−H結合がC−F結合、C−D結合に置き換わっているため、C−H結合に基づく光吸収波長域が長波長側にシフトしており、光通信用波長域の吸収が小さくなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フッ素化あるいは重水素化された前駆体を合成し、この前駆体を重合するといった従来の方法により、フッ素化ポリイミドや重水素化シリコーンを得ることは比較的困難であった。しかも、この合成方法では、フッ素化率を高くしようとするほど合成が困難になる上に、合成方法が複雑であり、製造工程数が多くなるため、得られるフッ素化ポリイミドや重水素化シリコーンは極めて高価であった。
従来の高分子基板型光導波路では、光吸収をできるだけ小さくし、伝送損失を小さくするために、高分子基板型光導波路のクラッドおよびコアの両方に、上述した高価なフッ素化率あるいは重水素化率の高いポリマーを用いていた。その結果、高分子基板型光導波路は高価であった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、伝送損失が小さく、安価な高分子基板型光導波路を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の高分子基板型光導波路は、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなるコアと、
コアの外面に接し、コアをなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コアをなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなるクラッドとを有し、
コアとクラッドとの比屈折率差が0.2%以上にされていることを特徴としている。
本発明の高分子基板型光導波路においては、前記フッ素化ポリマーはフッ素化ポリイミドであることが好ましい。前記重水素化ポリマーとしては、重水素化シリコーンが例示できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高分子基板型光導波路について説明する。本発明の高分子基板型光導波路は、図1に示した従来の高分子基板型光導波路と同じ構造を有している。すなわち、シリコン基板などからなる基板1と、この基板1の上面に接する下側クラッド2と、この下側クラッド2に接するコア3と、下側クラッド2およびコア3に接する上側クラッド4とを有して概略構成されている。
【0007】
ここで、コア3は、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなり、下側クラッド2および上側クラッド4は、コア3をなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コア3をなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなっている。
さらに、コア3と、下側クラッド2ならびに上側クラッド4との比屈折率差が0.2%以上になるように、上述したフッ素含有量あるいは重水素含有量の範囲で、コア3をなすポリマー、下側クラッド2および上側クラッド4をなすポリマーを選択する。比屈折率差が0.2%以上であることにより、実用的な光導波路を形成できる。
なお、ポリマーのフッ素含有量あるいは重水素含有量によって屈折率は変化し、通常は、フッ素含有量あるいは重水素含有量が増加するに従って屈折率は低下する。
【0008】
フッ素化ポリマーとしては、フッ素化ポリイミドが好ましい。また、重水素化ポリマーとしては、重水素化シリコーンが好ましい。フッ素化ポリイミドおよび重水素化シリコーンは耐熱性が高く、はんだ耐熱性を有しており、得られた高分子基板型光導波路を光通信用の部品に容易に実装できる。
【0009】
ここで、フッ素化ポリイミドとは、酸二無水物とジアミンとから合成されるものであって、酸二無水物およびジアミンの少なくとも一方がフッ素化されたものである。
酸二無水物としては、例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物(10FEDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1−トリフルオロメチル−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(P3FDA)、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物(3FPMDA)などが挙げられる。
【0010】
また、ジアミンとしては、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFDB)、テトラフルオロ−m−フェニレンジアミン(4FMPD)、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル(8FODA)、4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)、3,4’−オキシジアニリン(3,4’−ODA)、2,4’−オキシジアニリン(2,4’−ODA)、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン(3FDAM)、〔1,1−ビス〔4−(4アミノフェノキシ)フェニル〕−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン〕(3FEDAM)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDSO2)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDSO2)、4,4’−メチレンジアニリン(4,4’−MDA)、2,2−ビス〔4−(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(4−BDAF)、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(APHF33)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(4,4’−6F)などが挙げられる。
【0011】
また、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーとしては、フッ素化あるいは重水素化されていない酸二無水物とジアミンとから合成される透明ポリイミドが好ましい。
【0012】
下側クラッド2とコア3と上側クラッド4とからなる光導波路の厚さは30〜60μmであり、そのうちコア3の厚さは4〜8μmである。すなわち、光導波路の80%以上は下側クラッド2および上側クラッド4からなっている。このように、クラッドが光導波路の大部分を占めており、さらにクラッドはフッ素含有量あるいは重水素含有量が少なく安価なポリマーからなっているので、本発明の高分子基板型光導波路は安価である。
【0013】
一方、下側クラッド2および上側クラッド4に、フッ素含有量あるいは重水素含有量の少ないポリマーを用いると、クラッドで光を吸収しやすくなり、光導波路にしたときの伝送損失が大きくなると予想される。しかしながら、実際には光の大部分はコアの領域を伝搬するので、伝送損失は予想ほど大きくない。表1に、いくつかの光導波路において、伝搬光のコア領域内強度比率を算出した結果を示す。表1に示したように、比屈折率差が大きくなれば、伝搬光のコア領域内の強度比率が高くなり、伝送損失の低下が抑えられる。つまり、本発明の高分子基板型光導波路は、コアの光吸収が小さく、光透過性が高いので、クラッドの光吸収が大きくても、十分に実用性を有している。
【0014】
【表1】
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明の高分子基板型光導波路をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFDB)とをN−ジメチルアセトアミド中で攪拌混合して、(6FDA/TFDB)からなるフッ素化ポリマー(これをクラッド用フッ素化ポリマーという)を得た。ここで、クラッド用フッ素化ポリマーのフッ素含有量は、後述するコア用フッ素化ポリマーのフッ素含有量より少ない。また、得られたクラッド用フッ素化ポリマーの屈折率を、TEモードで波長1.31μmの光により測定したところ、1.523であった。
このクラッド用フッ素化ポリマーのN−ジメチルアセトアミド溶液を、図2(a)に示すようにスピンコート法により基板1上に塗布し、その後、窒素雰囲気中、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間加熱し、硬化させて下側クラッド2を形成させた。
次いで、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物(10FEDA)と、テトラフルオロ−m−フェニレンジアミン(4FMPD)とをN−ジメチルアセトアミド中で攪拌混合して、(10FEDA/4FMPD)からなるフッ素化ポリマー(これをコア用フッ素化ポリマーという)を得た。得られたコア用フッ素化ポリマーの屈折率を、TEモードで波長1.31μmの光により測定したところ、1.527であった。
【0016】
次いで、図2(b)に示すように、このコア用フッ素化ポリマーのN−ジメチルアセトアミド溶液を、スピンコート法により下側クラッド2上に塗布し、その後、窒素雰囲気中、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間加熱し、硬化させてコア用フッ素化ポリマーからなる層5を形成させた。
次いで、図2(c)に示すように、コア用フッ素化ポリマーからなる層5の上にシリコン層6を形成させ、さらにシリコン層6の上にレジスト層7を形成させ、レジスト層7上にフォトマスクを配置させた後に、紫外線を照射し、現像液で現像して露光した部分のレジスト層を除去した。次いで、図2(d)に示すように、リアクティブイオンエッチング装置(以下、RIEと称する)によりレジスト層で被覆されていない露出したシリコン層をエッチングして除去した。次いで、図2(e)に示すように、露出したコア用フッ素化ポリマーからなる層5をRIEによりエッチングしてコア3を形成させた。
次いで、残存したシリコン層をRIEによりエッチング除去し、下側クラッド2およびコア3の上に、下側クラッド2に用いたクラッド用フッ素化ポリマーのN−ジメチルアセトアミド溶液を、スピンコート法により塗布し、その後、窒素雰囲気中、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間加熱し、硬化させて、図2(f)に示すように、上側クラッド4を形成させて高分子基板型光導波路を得た。
この高分子基板型光導波路では、クラッド用フッ素化ポリマーのフッ素含有量が、コア用フッ素化ポリマーのフッ素含有量より少なく、比屈折率差が0.26%であるので、伝送損失が小さく、かつ、安価であった。
【0017】
(実施例2)
クラッド用フッ素化ポリマーにおいて、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)の代わりに、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物(3FPMDA)を用いたこと以外は実施例1と同様にして高分子基板型光導波路を得た。この高分子基板型光導波路においても、クラッド用フッ素化ポリマーのフッ素含有量が、コア用フッ素化ポリマーのフッ素含有量より少なく、比屈折率差が1.5%であるので、伝送損失が小さく、かつ、安価であった。
【0018】
【発明の効果】
本発明の高分子基板型光導波路は、コアとクラッドとの比屈折率差が0.2%以上にされているので、実用的な光導波路を形成できる。
また、光の大部分が伝搬するコアは、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなり、これらポリマーはC−H結合による光吸収が抑制されているので、伝送損失が小さい。
一方、光導波路の大部分を占めるクラッドは、コアをなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コアをなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなっている。すなわち、クラッドには、安価なポリマーが使用されているので、高分子基板型光導波路が安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子基板型光導波路の一例を示す斜視図である。
【図2】高分子基板型光導波路の製造方法の一例を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
2・・・下側クラッド(クラッド)、3・・・コア、4・・・上側クラッド(クラッド)
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に利用できる高分子基板型光導波路に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信用の部品として、高分子基板型光導波路が用いられることがある。図1に、高分子基板型光導波路の一例を示す。この高分子基板型光導波路は、シリコン基板などからなる基板1と、この基板1の上面に接する下側クラッド2と、この下側クラッド2に接するコア3と、下側クラッド2およびコア3に接する上側クラッド4とを有して概略構成されている。ここで、下側クラッド2の厚さは、通常15〜30μmにされており、コア3の断面寸法は縦4〜8μm×横4〜8μmにされており、上側クラッド4の厚さは15〜30μmにされている。また、この高分子基板型光導波路では、下側クラッド2、コア3、上側クラッド4がポリマーで形成されている。
さらに、コア3をなすポリマーの屈折率は、下側クラッド2および上側クラッド4をなすポリマーの屈折率よりも高くされており、具体的には、比屈折率差が0.3〜1.5%程度にされている。ここで、比屈折率差とは、(コアの屈折率−クラッドの屈折率)/(コアの屈折率)で算出される値のことである。
【0003】
ところで、このような高分子基板型光導波路のクラッドおよびコアには、光通信用波長域である1.31μm帯および1.55μm帯の吸収が小さいポリマーが使用される。このようなポリマーとしては、例えば、フッ素化ポリイミド、重水素化シリコーンなどが挙げられる。フッ素化ポリイミド、重水素化シリコーンにあっては、ポリマー中のC−H結合がC−F結合、C−D結合に置き換わっているため、C−H結合に基づく光吸収波長域が長波長側にシフトしており、光通信用波長域の吸収が小さくなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フッ素化あるいは重水素化された前駆体を合成し、この前駆体を重合するといった従来の方法により、フッ素化ポリイミドや重水素化シリコーンを得ることは比較的困難であった。しかも、この合成方法では、フッ素化率を高くしようとするほど合成が困難になる上に、合成方法が複雑であり、製造工程数が多くなるため、得られるフッ素化ポリイミドや重水素化シリコーンは極めて高価であった。
従来の高分子基板型光導波路では、光吸収をできるだけ小さくし、伝送損失を小さくするために、高分子基板型光導波路のクラッドおよびコアの両方に、上述した高価なフッ素化率あるいは重水素化率の高いポリマーを用いていた。その結果、高分子基板型光導波路は高価であった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、伝送損失が小さく、安価な高分子基板型光導波路を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の高分子基板型光導波路は、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなるコアと、
コアの外面に接し、コアをなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コアをなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなるクラッドとを有し、
コアとクラッドとの比屈折率差が0.2%以上にされていることを特徴としている。
本発明の高分子基板型光導波路においては、前記フッ素化ポリマーはフッ素化ポリイミドであることが好ましい。前記重水素化ポリマーとしては、重水素化シリコーンが例示できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高分子基板型光導波路について説明する。本発明の高分子基板型光導波路は、図1に示した従来の高分子基板型光導波路と同じ構造を有している。すなわち、シリコン基板などからなる基板1と、この基板1の上面に接する下側クラッド2と、この下側クラッド2に接するコア3と、下側クラッド2およびコア3に接する上側クラッド4とを有して概略構成されている。
【0007】
ここで、コア3は、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなり、下側クラッド2および上側クラッド4は、コア3をなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コア3をなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなっている。
さらに、コア3と、下側クラッド2ならびに上側クラッド4との比屈折率差が0.2%以上になるように、上述したフッ素含有量あるいは重水素含有量の範囲で、コア3をなすポリマー、下側クラッド2および上側クラッド4をなすポリマーを選択する。比屈折率差が0.2%以上であることにより、実用的な光導波路を形成できる。
なお、ポリマーのフッ素含有量あるいは重水素含有量によって屈折率は変化し、通常は、フッ素含有量あるいは重水素含有量が増加するに従って屈折率は低下する。
【0008】
フッ素化ポリマーとしては、フッ素化ポリイミドが好ましい。また、重水素化ポリマーとしては、重水素化シリコーンが好ましい。フッ素化ポリイミドおよび重水素化シリコーンは耐熱性が高く、はんだ耐熱性を有しており、得られた高分子基板型光導波路を光通信用の部品に容易に実装できる。
【0009】
ここで、フッ素化ポリイミドとは、酸二無水物とジアミンとから合成されるものであって、酸二無水物およびジアミンの少なくとも一方がフッ素化されたものである。
酸二無水物としては、例えば、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物(10FEDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1−トリフルオロメチル−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(P3FDA)、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物(3FPMDA)などが挙げられる。
【0010】
また、ジアミンとしては、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFDB)、テトラフルオロ−m−フェニレンジアミン(4FMPD)、ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル(8FODA)、4,4’−オキシジアニリン(4,4’−ODA)、3,4’−オキシジアニリン(3,4’−ODA)、2,4’−オキシジアニリン(2,4’−ODA)、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン(3FDAM)、〔1,1−ビス〔4−(4アミノフェノキシ)フェニル〕−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエタン〕(3FEDAM)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDSO2)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDSO2)、4,4’−メチレンジアニリン(4,4’−MDA)、2,2−ビス〔4−(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン(4−BDAF)、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(APHF33)、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(4,4’−6F)などが挙げられる。
【0011】
また、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーとしては、フッ素化あるいは重水素化されていない酸二無水物とジアミンとから合成される透明ポリイミドが好ましい。
【0012】
下側クラッド2とコア3と上側クラッド4とからなる光導波路の厚さは30〜60μmであり、そのうちコア3の厚さは4〜8μmである。すなわち、光導波路の80%以上は下側クラッド2および上側クラッド4からなっている。このように、クラッドが光導波路の大部分を占めており、さらにクラッドはフッ素含有量あるいは重水素含有量が少なく安価なポリマーからなっているので、本発明の高分子基板型光導波路は安価である。
【0013】
一方、下側クラッド2および上側クラッド4に、フッ素含有量あるいは重水素含有量の少ないポリマーを用いると、クラッドで光を吸収しやすくなり、光導波路にしたときの伝送損失が大きくなると予想される。しかしながら、実際には光の大部分はコアの領域を伝搬するので、伝送損失は予想ほど大きくない。表1に、いくつかの光導波路において、伝搬光のコア領域内強度比率を算出した結果を示す。表1に示したように、比屈折率差が大きくなれば、伝搬光のコア領域内の強度比率が高くなり、伝送損失の低下が抑えられる。つまり、本発明の高分子基板型光導波路は、コアの光吸収が小さく、光透過性が高いので、クラッドの光吸収が大きくても、十分に実用性を有している。
【0014】
【表1】
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明の高分子基板型光導波路をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFDB)とをN−ジメチルアセトアミド中で攪拌混合して、(6FDA/TFDB)からなるフッ素化ポリマー(これをクラッド用フッ素化ポリマーという)を得た。ここで、クラッド用フッ素化ポリマーのフッ素含有量は、後述するコア用フッ素化ポリマーのフッ素含有量より少ない。また、得られたクラッド用フッ素化ポリマーの屈折率を、TEモードで波長1.31μmの光により測定したところ、1.523であった。
このクラッド用フッ素化ポリマーのN−ジメチルアセトアミド溶液を、図2(a)に示すようにスピンコート法により基板1上に塗布し、その後、窒素雰囲気中、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間加熱し、硬化させて下側クラッド2を形成させた。
次いで、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物(10FEDA)と、テトラフルオロ−m−フェニレンジアミン(4FMPD)とをN−ジメチルアセトアミド中で攪拌混合して、(10FEDA/4FMPD)からなるフッ素化ポリマー(これをコア用フッ素化ポリマーという)を得た。得られたコア用フッ素化ポリマーの屈折率を、TEモードで波長1.31μmの光により測定したところ、1.527であった。
【0016】
次いで、図2(b)に示すように、このコア用フッ素化ポリマーのN−ジメチルアセトアミド溶液を、スピンコート法により下側クラッド2上に塗布し、その後、窒素雰囲気中、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間加熱し、硬化させてコア用フッ素化ポリマーからなる層5を形成させた。
次いで、図2(c)に示すように、コア用フッ素化ポリマーからなる層5の上にシリコン層6を形成させ、さらにシリコン層6の上にレジスト層7を形成させ、レジスト層7上にフォトマスクを配置させた後に、紫外線を照射し、現像液で現像して露光した部分のレジスト層を除去した。次いで、図2(d)に示すように、リアクティブイオンエッチング装置(以下、RIEと称する)によりレジスト層で被覆されていない露出したシリコン層をエッチングして除去した。次いで、図2(e)に示すように、露出したコア用フッ素化ポリマーからなる層5をRIEによりエッチングしてコア3を形成させた。
次いで、残存したシリコン層をRIEによりエッチング除去し、下側クラッド2およびコア3の上に、下側クラッド2に用いたクラッド用フッ素化ポリマーのN−ジメチルアセトアミド溶液を、スピンコート法により塗布し、その後、窒素雰囲気中、70℃で2時間、160℃で1時間、250℃で30分、350℃で1時間加熱し、硬化させて、図2(f)に示すように、上側クラッド4を形成させて高分子基板型光導波路を得た。
この高分子基板型光導波路では、クラッド用フッ素化ポリマーのフッ素含有量が、コア用フッ素化ポリマーのフッ素含有量より少なく、比屈折率差が0.26%であるので、伝送損失が小さく、かつ、安価であった。
【0017】
(実施例2)
クラッド用フッ素化ポリマーにおいて、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)の代わりに、トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物(3FPMDA)を用いたこと以外は実施例1と同様にして高分子基板型光導波路を得た。この高分子基板型光導波路においても、クラッド用フッ素化ポリマーのフッ素含有量が、コア用フッ素化ポリマーのフッ素含有量より少なく、比屈折率差が1.5%であるので、伝送損失が小さく、かつ、安価であった。
【0018】
【発明の効果】
本発明の高分子基板型光導波路は、コアとクラッドとの比屈折率差が0.2%以上にされているので、実用的な光導波路を形成できる。
また、光の大部分が伝搬するコアは、フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなり、これらポリマーはC−H結合による光吸収が抑制されているので、伝送損失が小さい。
一方、光導波路の大部分を占めるクラッドは、コアをなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コアをなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなっている。すなわち、クラッドには、安価なポリマーが使用されているので、高分子基板型光導波路が安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分子基板型光導波路の一例を示す斜視図である。
【図2】高分子基板型光導波路の製造方法の一例を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
2・・・下側クラッド(クラッド)、3・・・コア、4・・・上側クラッド(クラッド)
Claims (2)
- フッ素化ポリマーまたは重水素化ポリマーからなるコアと、
コアの外面に接し、コアをなすフッ素化ポリマーよりフッ素含有量が少ないフッ素化ポリマー、コアをなす重水素化ポリマーより重水素含有量が少ない重水素化ポリマー、フッ素化あるいは重水素化されていないポリマーから選ばれる1種からなるクラッドとを有し、
コアとクラッドとの比屈折率差が0.2%以上にされていることを特徴とする高分子基板型光導波路。 - 前記フッ素化ポリマーはフッ素化ポリイミドであることを特徴とする請求項1に記載の高分子基板型光導波路。
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