JP2004085881A - ドライイメージング材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成するドライイメージング材料に関するものであり、詳しくは、長期間運転をしても熱現像装置の熱ドラムを汚染することなく熱現像で高画質の画像が得られるドライイメージング材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、X線撮影による医療画像診断の分野で、ドライ処理システムが普及している。このシステムは、被写体を透過したX線エネルギーをイメージングプレート中の輝尽性蛍光体に吸収させ、後、紫外線、可視光線、或いは赤外線等で時系列的に輝尽性蛍光体を励起し、蓄積されたX線エネルギーを蛍光として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって、得られた電気信号をレーザー光の強度に変換し、このレーザー光でドライイメージング材料中のハロゲン化銀に潜像を形成させ、後、熱現像して被写体又は被検体のX線画像を可視画像として再生することを基本としている。熱現像は80℃〜200℃の温度の熱ドラム上で加熱処理して黒色画像を得る。ドライイメージング材料の感光層には、銀塩と還元剤の他にカブリ防止剤、光カブリ防止剤、安定剤、現像促進剤、延展剤及び結合剤等の添加剤が含まれ、また保護層には延展剤、マット剤、帯電防止剤及び結合剤等が含まれている。これらのうち種々のものが熱現像時に加熱されて軟化し、時には揮発、蒸散、昇華或いは凝集、分解等したものが微少量ながら発生し、熱ドラムの最外層に付着し、この付着物がドライイメージング材料に転写し画質を劣化させる。熱ドラム上に付着する物質は、ドライイメージング材料中からでなく、外部からの塵芥の進入による場合もある。塵芥のような付着物質は静電気を帯びて付着するので帯電防止剤等で対処されているが、この方法で完全に防げるわけではない。このような付着物質の汚れは、1万時間〜10万時間と長期間運転すると肥大し、熱ドラムを微小ながら変形させたり、クラックを生じさせ、熱ドラムの上を搬送されるドライイメージング材料の熱現像に不均一性を与えて画質を損なう。熱ドラムは耐熱性の改良の他に異物の付着を避けるために、フッ素原子を含む界面活性剤をドライイメージング材料に使用し、且つ熱ドラムを平均組成式(1)で表される化合物で被覆するという方法が特開2001−272751に開示されているが長期間に亘る汚れを完全に防止することができず問題であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、長期間運転をしても熱現像装置の熱ドラムを汚染することなく熱現像で高画質の画像が得られるドライイメージング材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0005】
1.支持体の少なくとも一方の面に、銀塩および還元剤を含有する感光層と該感光層上に保護層を有するドライイメージング材料において、前記平均組成式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【0006】
2.前記平均組成式(1)におけるRfで表されるフッ素化炭化水素残基が、炭素数1〜12のパーフロオロアルキル基、炭素数1〜12のパーフロオロアルケニル基または炭素数6〜12のパーフロオロアリール基を表すことを特徴とする前記1に記載のドライイメージング材料。
【0007】
3.平均組成式(1)で表される化合物が、炭素数1〜8のビニル基を有するフッ素化ポリシリコーンとケイ素原子に直接結合した水素原子を有するフッ素化ポリシリコーンとの架橋により硬化したものであることを特徴とする前記1または2に記載のドライイメージング材料。
【0008】
4.保護層中に平均組成式(1)で表される化合物と無機または有機充填剤を含有し、該充填剤が、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化錫および酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0009】
5.前記無機または有機充填剤の平均粒子径が、100nm〜30μmであることを特徴とする前記4に記載のドライイメージング材料。
【0010】
6.保護層の厚さが50nm〜5μmであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0011】
7.有機充填剤がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)およびポリビニリデンフルオライド(PVDF)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0012】
8.前記架橋が貴金属触媒により促進されるものであることを特徴とする前記3に記載のドライイメージング材料。
【0013】
9.前記架橋が有機過酸化物により促進されるものであることを特徴とする前記3に記載のドライイメージング材料。
【0014】
10.無機または有機充填剤の塗布液への分散にフッ素化界面活性剤を用いることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0015】
11.保護層中にフタラジン化合物を含むことを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0016】
12.保護層中にフタル酸化合物を含むことを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のドライイメージング材料は、支持体の少なくとも一方の面に、銀塩および還元剤を含有する感光層と該感光層上に保護層を有するドライイメージング材料において、下記平均組成式(1)で表される化合物を含有することを一つの特徴とする。
【0018】
本発明のドライイメージング材料は支持体上に少なくとも1層の感光層を設け、該感光層上に少なくとも1層の保護層が塗設される。更に支持体に対して感光層のある側の反対側にバッキング層(BC層ともいう)、該層上部に保護層がそれぞれ塗設されることが好ましい。感光層中には、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤及び結合剤等が含まれており、感光層側又はBC層側の保護層中には、熱ドラムを汚染することのないように、高分子結合剤が使用されていることが好ましい。以下本発明で使用する素材について順次詳述する。
【0019】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物について説明する。
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物は主鎖が珪素原子と酸素原子が直列で交互に並んだフッ素化ポリシリコーンであるが、枝分かれしてもよい。置換基の並び方はランダムでも交互でも、ブロック的でもよい。従って平均組成式として表現する。
【0020】
前記平均組成式(1)において、R1〜R11は各々、水素原子又は炭素数1〜16の炭化水素残基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、2,2,5−トリメチルヘキシル基、プロペニル基、2−フロロヘキシル基、2−クロロヘキシル基、トリフロロメチル基、パーフロロブチル基、パーフロロノネニル基、パーフロロドデシル基、ビニル基、1−メチルビニル基等)を表し、R1〜R11の少なくとも1つは水素原子または重合可能なビニル基である。
【0021】
Rfはフッ素化炭化水素残基(例えば、パーフロロメチル基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基、パーフロロメトキシ基、パーフロロプロピルオキシ基、パーフロロオクトキシ基、パーフロロドデシルオキシ基、パーフロロフェニル基、パーフロロフェノキシ基等)を表し、炭素数1〜12のパーフロオロアルキル基、炭素数1〜12のパーフロオロアルケニル基又は炭素数6〜12のパーフロオロアリール基等が好ましい。
【0022】
L1は2価の連結基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、フッ化エチレン基、フッ化プロピレン基等)を表す。
【0023】
aおよびcは各々、0〜1000の整数を表し、好ましくは0〜500の整数、更に好ましくは0〜300の整数である。
【0024】
bは1〜8000の整数を表し、好ましくは1〜6000の整数、更に好ましくは1〜4000の整数である。
【0025】
m及びnは各々、0又は1を表し、m及びnが0のとき、((R1)(R2)(R3)Si−O)m−はHO−であり、−(Si(R9)(R10)(R11))nは−Hである。
【0026】
平均組成式(1)で表される化合物は、最終的な組成は平均組成式(1)で表されるが、平均組成式(1)で表される化合物よりも平均重合度が低い化合物を予め調製し、貴金属触媒や過酸化物により架橋を促進し、最終的に組成が平均組成式(1)で表される化合物にすることができる。
【0027】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物の好ましい具体例を下記に示す。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
上記平均組成式(1)で表される化合物(ポリマー)の数平均重合度は、百〜1万程度の範囲を適宜選択することができる。上記範囲外でも使用可能であるが、数平均重合度が低いと充分な接着性、密着性および弾性等が得られず、また数平均重合度が高すぎると塗設が困難となるので好ましくない。
【0031】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物の塗布液への添加方法は、エチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒や水に溶解または分散して、感光層や感光層保護層、バッキング層やバッキング保護層の塗布液に添加することができる。感光層保護層またはバッキング保護層の少なくとも一方に平均組成式(1)で表される化合物を含有させることが好ましい。
使用量は感光層または感光層保護層への使用量の合計が1mg/m2〜10g/m2であることが好ましい。この範囲未満の使用量では、汚れ付着の防止効果が得難い。また、この範囲より多いと均一な塗布が難しくなる。
【0032】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物は、特開平5−186700号の記載を参考にして合成することができる。
【0033】
平均組成式(1)で表される化合物の架橋は、珪素原子に水素原子が結合したシリルハイドロジェン基(Si−H基)とビニル基(例えば、CH2=CH−基)を分子間で付加反応を行わせて分子間で架橋させることにより硬度を上げることができる。Si−H基を活性化し架橋させる架橋剤としては貴金属触媒が好ましく、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム等のハロゲン化物、錯体化合物等を挙げることができる。またビニル基を活性化し架橋させる架橋剤としては有機過酸化物を挙げることができる。本発明に架橋剤として使用する有機過酸化物の好ましい具体例を下記に示す。
U−1 メチルエチルケトンパーオキサイド
U−2 シクロヘキサノンパーオキサイド
U−3 2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサド
U−4 ビス−3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド
U−5 ラウロイルパーオキサイド
U−6 ベンゾイルパーオキサイド
U−7 クメンハイドロパーオキサイド
U−8 ジクミルパーオキサイド
U−9 ジ−t−ブチルパーオキサイド
U−10 3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド
U−11 2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン
U−12 t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
U−13 t−ブチルパーオキシベンゾエート
U−14 ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート
U−15 ジイソプロピルパーオキシジカーボネート
U−16 t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート
上記架橋剤としての貴金属触媒や有機過酸化物は、平均組成式(1)で表される化合物の塗設前に添加しておき、塗布液の状態で予め数平均重合度を上げておいてもよいし、塗設後乾燥やキュアーにより数平均重合度を上げて最終的に平均組成式(1)で表される化合物としてもよい。貴金属触媒や有機過酸化物は、適当な有機溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン等に溶かして添加使用してもよいし、微粒子状態にした固形のまま使用してもよい。
【0034】
平均組成式(1)で表される化合物を含む層中に有機充填剤として、非フッ素系のポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート化合物、ポリアミド化合物、フッ素化炭化水素樹脂等を併用することができ、中でも好ましくは、フッ素化炭化水素樹脂を併用することにより、前述した汚れ付着の防止効果等を調節することができる。好ましいフッ素化炭化水素樹脂の具体例を下記に示す。
J−1 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
J−2 テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)
J−3 テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
J−4 ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)
J−5 テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)
J−6 ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が挙げられる。
【0035】
この中でも、PTFE、PFA、FEPが汚れの付着が少ないという点で好ましい。
【0036】
本発明に好ましく用いられる有機充填剤としてのフッ素化炭化水素樹脂は、工業的に製造された繊維状、針状(ウィスカーを含む)、粒状、鱗片状などの種々の形状のものを使用することができ、各塗膜においてフッ素化炭化水素樹脂をそれぞれ単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。また、種々の形状のものを混合して用いてもよい。更に、2種以上のフッ素化炭化水素樹脂を併用する場合であっても、それらの混合割合は特に限定されず、任意に選択することができる。
【0037】
塗膜製造において、均一平滑面に仕上げるために上記のフッ素化炭化水素樹脂は30μm以上の粗大径のものを含まないことが望ましい。フッ素化炭化水素樹脂の平均粒子径は、塗膜の厚さを考慮して定めればよいが、通常平均粒子径が30μm以下のものが好ましく、平均粒子径が10μm以下のものがより好ましい。下限は特に限定されないが、通常100nm程度である。平均粒子径が小さすぎると、塗布液中に均一に分散し難くなる。また平均粒子径が大きすぎると、塗膜した場合に平滑性が得難くなる。
【0038】
本発明に好ましく用いられる無機充填剤は、必要において、各塗膜中に含有することができる。無機充填剤を添加する目的は、塗膜の強度、熱伝導性、電気抵抗、誘電調節等である。無機充填剤としては、工業的に製造されたものであれば特に限定されないが、好ましくはアルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化カルシウム等の酸化物系無機物を挙げることができ、より好ましくは、アルミナ、シリカ、チタニアである。
【0039】
本発明に好ましく用いられる無機充填剤は、その原料、製造方法などは特に限定さず、繊維状、針状(ウィスカーを含む)、粒状、鱗片状などの種々の形状のものを用いることができ、各塗膜において無機充填剤をそれぞれ単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。また、種々の形状のものを混合して用いてもよい。更に、2種以上の無機充填剤を併用する場合であっても、それらの混合割合は特に限定されず、任意に選択することができる。
【0040】
無機または有機充填剤の塗布液への分散を良好にするために界面活性剤を使用することもできる。界面活性剤は、塗布液組成物中にフッ素化炭化水素樹脂を15〜80質量%で均一に分散させることができればよく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。例えば、ナトリウムアルキルサルフェート(例えば、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムオクチルサルフェート等)、ナトリウムアルキルエーテルサルフェート(例えば、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、ナトリウムドデシルエーテルサルフェート等)、トリエタノールアキルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルエーテルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート、アンモニウムアルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルリン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、プロピレングリコール−プロピレンオキシド共重合体、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、2−エチルヘキサノールエチレンオキシド付加物などの非イオン性界面活性剤;アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミド酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられる。特に、アニオン性、非イオン性界面活性剤が好ましい。特に好ましい界面活性剤は、熱分解残量の少ないオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤である。更に好ましい活性剤は、疎水性部分がフッ素原子を含むアルキル基を持つパーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物である。好ましい具体例を下記に示す。
【0041】
【化4】
【0042】
界面活性剤の添加量は、通常フッ素化炭化水素樹脂の通常0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.2〜20質量%である。界面活性剤の添加量が少なすぎると、フッ素化炭化水素樹脂の分散が均一にならず、一部浮上することがある。一方、界面活性剤の添加量が多すぎると焼成による界面活性剤の分解残渣が多くなり着色が生ずるほか、被覆膜の耐熱性、非粘着性などが低下する。
【0043】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物の分散組成物には、用途によって種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば安定剤、顔料、増粘剤、分解促進剤、防錆剤、消泡剤などが挙げられる。
【0044】
有機充填剤のフッ素化炭化水素樹脂と無機充填剤の好ましい組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、PTFEとチタニア、PTFEとアルミナ、PTFEとシリカなどが挙げられる。フッ素化炭化水素樹脂及び/又は無機充填剤は、共に、皮膜中できるだけ均一に分散含有されていることが好ましく、塗膜中においてフッ素化炭化水素樹脂は分散から融着状態、更には造膜している状態が好ましい。
【0045】
各塗膜の溶媒としては、塗膜のフッ素化炭化水素樹脂や無機充填剤を均一に分散させるような、また、乾燥後に揮散するような有機溶剤が用いられる。例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルセロソロブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコール、エタノール、n−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、トルエン、ベンゼン、キシレン等が挙げられる。
【0046】
本発明に係る銀塩としては、還元可能な銀源(有機銀塩)、触媒活性量の感光性ハロゲン化銀(以下単に、ハロゲン化銀ともいう)等が挙げられる。
【0047】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェットもしくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法、中性法、酸性法等のいずれかの方法でも調製できる。この様に予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0048】
ハロゲン化銀は、良好な画質を得るために粒子サイズが小さくて感度の高いものが好ましい。粒子サイズが小さいと粒状性や解像度が良いからである。しかし、感度は低くなるので分光増感や化学増感により、増感され易い結晶形が好ましい。具体的には平均粒子サイズが100nm以下、好ましくは10nm〜100nm、20nm〜80nmが特に好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はないが、立方体、八面体の所謂正常晶等の粒子が好ましい。又ハロゲン化銀組成としては、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよいが、沃臭化銀が好ましい。
【0049】
ハロゲン化銀の使用量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し通常50%以下、好ましくは25%〜0.1%、更に好ましくは15%〜0.1%である。
【0050】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は又、英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、有機銀塩を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させこれに銀イオンを注入することで有機銀塩の生成とほぼ同時に生成させることもできる。
【0051】
更に他の方法としては、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、又は有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩と有効に接触しており好ましい作用を呈する。
【0052】
これらのハロゲン化銀は有機銀塩に対して化学量論的には少量用いられる。通常、その範囲は有機銀塩1モルに対し通常1ミリモル〜0.7モル、好ましくは30ミリモル〜0.5モルである。ハロゲン化銀形成成分は上記の範囲で2種以上併用されてもよい。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃〜74℃、反応時間は0.1秒〜72時間、反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。この反応は又、後述する結合剤として使用されるポリマーの存在下に行われることが好ましい。この際のポリマーの使用量は有機銀塩1質量部当たり通常0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0053】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号各公報に記載されている。
【0054】
本発明において、特に好ましい化学増感剤は、有機カルコゲン増感剤であり、カルコゲンとして硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を分子内に含む有機化合物が好ましい。化学構造においては、カルコゲン原子が炭素や燐原子に直接結合している化合物であり、即ち、炭素原子の4本の結合手のうち、2本はカルコゲン原子と結合し、その他の2本は任意の有機の置換基と結合している化合物、或いは燐原子の5本の結合手のうち、2本はカルコゲン原子と結合し、その他は任意の有機の置換基と結合している化合物であり、任意の置換基がアリール基であることが好ましい。該アリール基としては、芳香族基又はヘテロ原子を含む複素環化合物が好ましく、最も好ましくはフェニル基又はフッ素原子で置換されたフェニル基である。有機カルコゲン増感剤の好ましい具体例としては、トリフェニルホスフィンセレナイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンテルライド等が挙げられる。
【0055】
化学増感剤の添加方法としては、ハロゲン化銀の分散溶液中に、水や有機溶媒に溶解して添加してもよいし、微粒子や粉末のまま添加してもよい。添加量はハロゲン化銀1モル当たり通常1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。化学増感時の熟成温度は通常30℃〜90℃、熟成時間は通常20分から8時間、40分〜90分であることが好ましい。
【0056】
感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整、感度、カブリ及び保存性等のために遷移金属、特に元素周期律表の6族から10族に属する金属の第4周期から第6周期の化合物がドープ(含有)されることが好ましい。具体的にはRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等の金属の金属イオン、金属の錯体又は錯体イオンが好ましい。ドープ量は、ハロゲン化銀1モル当たり通常1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
(フタラジン化合物)
本発明に好ましく用いられるフタラジン化合物は、現像促進剤または色調剤として使用することが好ましい。フタラジン化合物を現像促進剤として使用すると保存中にカブリを増大させる欠点がある。そこで、感光層に隣接する保護層等に含有させて保存性を向上させる試みがあるが充分ではない。本発明の平均組成式(1)で表される化合物と併用すると保存性が向上するので、保護層中に保持される如くの挙動を示し好ましい。好ましいフタラジン化合物を下記一般式(2)で示すことができる。
【0057】
【化5】
【0058】
(式中、R21、R22、R23およびR24はそれぞれ独立に水素原子、または互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基を表す。)
R21、R24、R23およびR24で表される互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基としては、炭素数1〜26の置換されてもよい、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等)、またはアルケニル基(例えば、エテニル基、ブテニル基、オクテニル基、ノネニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、芳香族基(例えば、フェニル基やナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基、ピリミジル基、イミダゾール基、チオフェニル基等)等が好ましい。芳香族基やヘテロ環基の場合、環上に電子求引性の置換基を導入することができる。電子求引性の置換基としては、1940年にマックグローヒル ブック社(McGrawHill Book Co.,N.Y.,1940)から出版されたフィジカル オーガニック ケミストリー(Physical Organic Chemistry)の78頁に記載のL.P.Hammett(L.P.ハメット)の置換基定数が−1.0〜+1.0の範囲内にある任意の置換基を選択することができる。更に1958年にD.H.McDaniel(D.H.マックダニエル)、H.C.Brown(H.C.ブラウン)等による追加修正された置換基(ジャーナル オブ オーガニックケミストリー(J.Org.Chem.1958,23,420))でもよい。本発明のフタラジン化合物は、特開2001−19679に記載のフタラジン化合物の製造方法を参考にして合成することができる。また、市販品を使用することもできる。好ましいフタラジン化合物の具体例を下記に示す。
【0059】
【化6】
【0060】
本発明に使用するフタラジン化合物の塗布液への添加方法は、エチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒に溶解または分散して添加してもよいし、水に分散して感光層や保護層、バッキング層やバッキング保護層に添加してもよい。使用量は感光層または感光層保護層への使用量の合計が1mg/m2〜10g/m2使用することが好ましい。この範囲未満では、フタラジン化合物の現像促進性や色調改良効果が得られ難くなる。またこの範囲より多いと塗布性を劣化させるので好ましくない。
【0061】
(フタル酸化合物)
本発明に使用するフタル酸化合物は、現像促進剤として使用することが好ましく、フタラジンと同様感光層側に存在させると保存中にカブリを増大させるので、感光層に隣接する層に添加することで保存性を向上させることができるが充分ではない。本発明の平均組成式(1)で表される化合物と併用すると保存時のカブリの増大を抑制することができる。好ましいフタル酸化合物を下記一般式(3)で示すことができる。
【0062】
【化7】
【0063】
(式中、R31、R32、R33およびR34はそれぞれ独立に水素原子、または互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基を表す。)
R31、R32、R33およびR34で表される互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基としては、炭素数1〜26の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル基、ブテニル基、オクテニル基、ノネニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、芳香族基(例えば、フェニル基やナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基、ピリミジル基、イミダゾール基、チオフェニル基等)等が好ましい。芳香族基やヘテロ環基の場合、環上に前記フタラジンの置換基で述べたような電子求引性の置換基を導入することができる。好ましいフタル酸化合物の具体例を下記に示す。
【0064】
【化8】
【0065】
本発明に使用するフタル酸化合物の塗布液への添加方法は、エチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒に溶解または分散して添加してもよいし、水に分散して感光層や保護層、バッキング層やバッキング保護層に添加してもよい。使用量は感光層または感光層保護層への使用量の合計が1mg/m2〜10g/m2であることが好ましい。この範囲未満では、フタル酸化合物の現像促進効果が得られ難くなる。また、この範囲より多いと塗布性を劣化させるので好ましくない。
【0066】
本発明のドライイメージング材料のバインダーとしては、銀塩(ハロゲン化銀、有機銀塩)、還元剤が反応する場として好ましい素材や、熱消色染料が80℃以上200℃以下の熱で消色する反応に好ましい素材若しくは塩基発生前駆体が熱により速やかに塩基を発生するような素材が好ましい。例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に乾燥後、膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましい。
【0067】
本発明のドライイメージング材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、触媒活性量のハロゲン化銀、ヒドラジン誘導体、還元剤、及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤等を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有しているドライイメージング材料であることが好ましい。本発明のドライイメージング材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜200℃)に加熱することで現像される。加熱には、一定の温度で一定時間加熱する1段階方式と予備加熱、本加熱、あるいは後加熱のように段階的に加熱する方式等があるが、加熱方式を適宜選択することができる。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0068】
本発明のドライイメージング材料には、色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン等);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−メチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム);ポリハロメタン化合物+フタル酸の組み合わせ;ポリハロメタン化合物(ポリハロメタン化合物の付加物を含む)と、マレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選ばれる少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナフトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン等);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン等);テトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン等)。
【0069】
本発明のドライイメージング材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure 第17643IV−A項(1978年12月p.23)、同第1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0070】
本発明の支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネートやポリプロピレン等のプラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いてもよい。
【0071】
塗膜の塗布方法としては、公知の各種方法を採用することができるが、例えば、スライドコート法、スプレーコート法、バーコート法、フローコート法、ディップ法、キャスティング法およびスピンコート法等が挙げられる。塗膜厚としては、感光層のドライ膜厚は通常1μm〜100μm、好ましくは3μm〜50μm、より好ましくは、5μm〜40μmである。1μm未満では高い画像濃度をえることが難しくなる。また、100μmより大きいと寸法安定性を得るのが難しくなる。保護層の膜厚は、通常50nm〜10μm、より好ましくは0.6μm〜5μmである。50nm未満では耐傷性が得られ難くなる。また10μmより大きいと現像性が遅くなるので好ましくない。本発明において、平均組成式(1)で表される化合物を保護層に使用するときには、色調剤のフタラジン化合物類や現像調節剤のフタル酸化合物類を同時に保護層に使用すると感光層に使用するよりも保存性において有利の結果を得ることができる。
【0072】
本発明のドライイメージング材料への露光は700nmから1200nmの波長範囲にあるレーザー走査露光により行うことが好ましいが、ドライイメージング材料の露光面と走査レーザー光のなす角が55度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度以上84度以下である。レーザー光が、ドライイメージング材料に走査されるときのドライイメージング材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0074】
実施例1
[下引済み写真用支持体の作製]
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に0.8mw/cm2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1とした。
【0075】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)
スチレン(20質量%)
グリシジルアクリレート(40質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の表面に、8w/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に下引上層A−2として、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に帯電防止機能をもつ下引上層B−2として塗設した。
【0076】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる
[粉末有機銀塩Aの調製]
(ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製)
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5.0に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを321g得た。
【0077】
(粉末有機銀塩Aの調製)
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水450mlを添加し5分間攪拌した。次に1Mの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を3回繰り返し乾燥させて粉末有機銀塩Aを調製した。
【0078】
[ドライイメージング材料の作製]
〔BC層側塗布〕
前記作製した下塗済み支持体の下引上層B−2(BC層用)の上に下記の組成になるように調製(溶剤としてメチルエチルケトンを使用)した塗布液を下記の付き量なるようにBC層の塗布、BC保護層の塗布を同時重層塗布で行い、乾燥(45℃、1分間)してBC層、BC保護層を形成した。
【0079】
〔感光層側の塗布〕
次に、該下塗済み支持体の下引上層A−2(感光層側用)の上に下記の組成になるように調製(溶剤としてメチルエチルケトンを使用)した塗布液を下記の付き量なるようにAH層の塗布、感光層の塗布、感光層保護層の塗布を同時重層塗布で行い、乾燥(45℃、1分間)してAH層、感光層、感光層保護層を形成して、ドライイメージング材料試料101〜120を作製した。
【0080】
【0081】
【化9】
【0082】
尚、感光層及び感光層保護層にフタラジン化合物を各々2×10−4モル/m2、フタル酸化合物を各々1×10−4モル/m2、表1記載のように添加した。
【0083】
[評価方法]
(写真性能の評価)
ドライイメージング材料試料を23℃45%RHの雰囲気下に3日間保存したものと更に該試料をアルミ蒸着ポリエステル袋に封入密閉し、55℃3日間保存した試料の両者を、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後熱現像装置を用いて(感光層側を熱ドラムに接触)120℃で8秒間加熱し、感度およびカブリをマクベス濃度計(TD−904)により測定した。カブリは未露光部の光学濃度をカブリとして測定した。感度はカブリより0.3高い濃度を与える露光量の逆数を感度として求め、試料101の相対感度を100(基準)とする相対値で示す。
【0084】
(保存性)
ドライイメージング材料試料を23℃40%RHの雰囲気下に3日間保存したものと、アルミニウムを蒸着したポリエチレン製防湿袋に密閉し40℃2週間保存したものについて、前記写真性能の評価の場合と同様にして露光、熱現像を行い、カブリを測定した後、カブリの増大値を求めた。カブリの増大が少ないほど保存性に優れる。
【0085】
(熱ドラムの汚れ)
濃度1.5に仕上がるように露光したドライイメージング材料試料を幅2cm長さ30cmにして、現像温度120℃、現像時間10秒、1時間当たり処理枚数100枚、1日500枚処理で5日間熱現像処理後、熱ドラムおよび対抗ローラーを水:エタノール:メチルエチルケトンの3:2:1溶液(30ml/100cm2)で表面を洗浄し、この溶液の吸光濃度を株式会社アタゴ社製デジタル示差濃度計(DD7)で測定した。数値が小さい程(最小0.000%)汚れが少なく、数値が大きいほど(最大2.000%)汚れが多い。汚れが1%表示であれば、実用的には問題のないレベルである。尚、熱現像装置の熱ドラムの被覆材料は通常のシリコーンゴム(X−30−1777−70−U;信越化学工業社製)を使用し、対抗ローラーは無被覆のステンレスローラーを使用した。
【0086】
結果を表2に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
※:種類1、種類2を両方使用する場合は、各々を1.15×10−4モル/m2用いて、合計2.3×10−4モル/m2(種類1だけを使用する場合の使用量)になるようにした。
【0089】
比較−1:尚、比較用の非フッ素化ポリシリコーン(比較−1)は下記のように調製した。ビニル基を5モル%含むポリメチルシロキサン260g(数平均重合度300)、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(数平均重合度300)40g、過酸化物としてブトキシパーオキサイド2g、触媒として塩化白金10mg、平均粒子径3μmのシリカ43gを加えて、ニーダーで混合しながら180℃1時間反応させて比較−1を調製した。
【0090】
【表2】
【0091】
表2より、平均組成式(1)で表される化合物を使用したドライイメージング材料の熱現像処理では、熱ドラムの汚れが少なくなり非常に改善されていることがわかる。平均組成式(1)で表される化合物を使用するときに、架橋促進触媒の貴金属触媒や過酸化物は汚れ防止の効果を高めていること、更に無機又は有機充填剤を添加することにより汚れを抑制することができたことがわかる。又、平均組成式(1)で表される化合物を含む層中にフタラジン化合物やフタル酸化合物を添加しても汚れを抑制していることがわかる。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、長期間運転をしても熱現像装置の熱ドラムを汚染することなく熱現像で高画質の画像が得られるドライイメージング材料を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成するドライイメージング材料に関するものであり、詳しくは、長期間運転をしても熱現像装置の熱ドラムを汚染することなく熱現像で高画質の画像が得られるドライイメージング材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、X線撮影による医療画像診断の分野で、ドライ処理システムが普及している。このシステムは、被写体を透過したX線エネルギーをイメージングプレート中の輝尽性蛍光体に吸収させ、後、紫外線、可視光線、或いは赤外線等で時系列的に輝尽性蛍光体を励起し、蓄積されたX線エネルギーを蛍光として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって、得られた電気信号をレーザー光の強度に変換し、このレーザー光でドライイメージング材料中のハロゲン化銀に潜像を形成させ、後、熱現像して被写体又は被検体のX線画像を可視画像として再生することを基本としている。熱現像は80℃〜200℃の温度の熱ドラム上で加熱処理して黒色画像を得る。ドライイメージング材料の感光層には、銀塩と還元剤の他にカブリ防止剤、光カブリ防止剤、安定剤、現像促進剤、延展剤及び結合剤等の添加剤が含まれ、また保護層には延展剤、マット剤、帯電防止剤及び結合剤等が含まれている。これらのうち種々のものが熱現像時に加熱されて軟化し、時には揮発、蒸散、昇華或いは凝集、分解等したものが微少量ながら発生し、熱ドラムの最外層に付着し、この付着物がドライイメージング材料に転写し画質を劣化させる。熱ドラム上に付着する物質は、ドライイメージング材料中からでなく、外部からの塵芥の進入による場合もある。塵芥のような付着物質は静電気を帯びて付着するので帯電防止剤等で対処されているが、この方法で完全に防げるわけではない。このような付着物質の汚れは、1万時間〜10万時間と長期間運転すると肥大し、熱ドラムを微小ながら変形させたり、クラックを生じさせ、熱ドラムの上を搬送されるドライイメージング材料の熱現像に不均一性を与えて画質を損なう。熱ドラムは耐熱性の改良の他に異物の付着を避けるために、フッ素原子を含む界面活性剤をドライイメージング材料に使用し、且つ熱ドラムを平均組成式(1)で表される化合物で被覆するという方法が特開2001−272751に開示されているが長期間に亘る汚れを完全に防止することができず問題であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、長期間運転をしても熱現像装置の熱ドラムを汚染することなく熱現像で高画質の画像が得られるドライイメージング材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0005】
1.支持体の少なくとも一方の面に、銀塩および還元剤を含有する感光層と該感光層上に保護層を有するドライイメージング材料において、前記平均組成式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【0006】
2.前記平均組成式(1)におけるRfで表されるフッ素化炭化水素残基が、炭素数1〜12のパーフロオロアルキル基、炭素数1〜12のパーフロオロアルケニル基または炭素数6〜12のパーフロオロアリール基を表すことを特徴とする前記1に記載のドライイメージング材料。
【0007】
3.平均組成式(1)で表される化合物が、炭素数1〜8のビニル基を有するフッ素化ポリシリコーンとケイ素原子に直接結合した水素原子を有するフッ素化ポリシリコーンとの架橋により硬化したものであることを特徴とする前記1または2に記載のドライイメージング材料。
【0008】
4.保護層中に平均組成式(1)で表される化合物と無機または有機充填剤を含有し、該充填剤が、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化錫および酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0009】
5.前記無機または有機充填剤の平均粒子径が、100nm〜30μmであることを特徴とする前記4に記載のドライイメージング材料。
【0010】
6.保護層の厚さが50nm〜5μmであることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0011】
7.有機充填剤がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)およびポリビニリデンフルオライド(PVDF)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0012】
8.前記架橋が貴金属触媒により促進されるものであることを特徴とする前記3に記載のドライイメージング材料。
【0013】
9.前記架橋が有機過酸化物により促進されるものであることを特徴とする前記3に記載のドライイメージング材料。
【0014】
10.無機または有機充填剤の塗布液への分散にフッ素化界面活性剤を用いることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0015】
11.保護層中にフタラジン化合物を含むことを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0016】
12.保護層中にフタル酸化合物を含むことを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のドライイメージング材料は、支持体の少なくとも一方の面に、銀塩および還元剤を含有する感光層と該感光層上に保護層を有するドライイメージング材料において、下記平均組成式(1)で表される化合物を含有することを一つの特徴とする。
【0018】
本発明のドライイメージング材料は支持体上に少なくとも1層の感光層を設け、該感光層上に少なくとも1層の保護層が塗設される。更に支持体に対して感光層のある側の反対側にバッキング層(BC層ともいう)、該層上部に保護層がそれぞれ塗設されることが好ましい。感光層中には、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤及び結合剤等が含まれており、感光層側又はBC層側の保護層中には、熱ドラムを汚染することのないように、高分子結合剤が使用されていることが好ましい。以下本発明で使用する素材について順次詳述する。
【0019】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物について説明する。
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物は主鎖が珪素原子と酸素原子が直列で交互に並んだフッ素化ポリシリコーンであるが、枝分かれしてもよい。置換基の並び方はランダムでも交互でも、ブロック的でもよい。従って平均組成式として表現する。
【0020】
前記平均組成式(1)において、R1〜R11は各々、水素原子又は炭素数1〜16の炭化水素残基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、2,2,5−トリメチルヘキシル基、プロペニル基、2−フロロヘキシル基、2−クロロヘキシル基、トリフロロメチル基、パーフロロブチル基、パーフロロノネニル基、パーフロロドデシル基、ビニル基、1−メチルビニル基等)を表し、R1〜R11の少なくとも1つは水素原子または重合可能なビニル基である。
【0021】
Rfはフッ素化炭化水素残基(例えば、パーフロロメチル基、パーフロロエチル基、パーフロロプロピル基、パーフロロブチル基、パーフロロオクチル基、パーフロロドデシル基、パーフロロメトキシ基、パーフロロプロピルオキシ基、パーフロロオクトキシ基、パーフロロドデシルオキシ基、パーフロロフェニル基、パーフロロフェノキシ基等)を表し、炭素数1〜12のパーフロオロアルキル基、炭素数1〜12のパーフロオロアルケニル基又は炭素数6〜12のパーフロオロアリール基等が好ましい。
【0022】
L1は2価の連結基(例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、フッ化エチレン基、フッ化プロピレン基等)を表す。
【0023】
aおよびcは各々、0〜1000の整数を表し、好ましくは0〜500の整数、更に好ましくは0〜300の整数である。
【0024】
bは1〜8000の整数を表し、好ましくは1〜6000の整数、更に好ましくは1〜4000の整数である。
【0025】
m及びnは各々、0又は1を表し、m及びnが0のとき、((R1)(R2)(R3)Si−O)m−はHO−であり、−(Si(R9)(R10)(R11))nは−Hである。
【0026】
平均組成式(1)で表される化合物は、最終的な組成は平均組成式(1)で表されるが、平均組成式(1)で表される化合物よりも平均重合度が低い化合物を予め調製し、貴金属触媒や過酸化物により架橋を促進し、最終的に組成が平均組成式(1)で表される化合物にすることができる。
【0027】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物の好ましい具体例を下記に示す。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
上記平均組成式(1)で表される化合物(ポリマー)の数平均重合度は、百〜1万程度の範囲を適宜選択することができる。上記範囲外でも使用可能であるが、数平均重合度が低いと充分な接着性、密着性および弾性等が得られず、また数平均重合度が高すぎると塗設が困難となるので好ましくない。
【0031】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物の塗布液への添加方法は、エチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒や水に溶解または分散して、感光層や感光層保護層、バッキング層やバッキング保護層の塗布液に添加することができる。感光層保護層またはバッキング保護層の少なくとも一方に平均組成式(1)で表される化合物を含有させることが好ましい。
使用量は感光層または感光層保護層への使用量の合計が1mg/m2〜10g/m2であることが好ましい。この範囲未満の使用量では、汚れ付着の防止効果が得難い。また、この範囲より多いと均一な塗布が難しくなる。
【0032】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物は、特開平5−186700号の記載を参考にして合成することができる。
【0033】
平均組成式(1)で表される化合物の架橋は、珪素原子に水素原子が結合したシリルハイドロジェン基(Si−H基)とビニル基(例えば、CH2=CH−基)を分子間で付加反応を行わせて分子間で架橋させることにより硬度を上げることができる。Si−H基を活性化し架橋させる架橋剤としては貴金属触媒が好ましく、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム等のハロゲン化物、錯体化合物等を挙げることができる。またビニル基を活性化し架橋させる架橋剤としては有機過酸化物を挙げることができる。本発明に架橋剤として使用する有機過酸化物の好ましい具体例を下記に示す。
U−1 メチルエチルケトンパーオキサイド
U−2 シクロヘキサノンパーオキサイド
U−3 2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサド
U−4 ビス−3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド
U−5 ラウロイルパーオキサイド
U−6 ベンゾイルパーオキサイド
U−7 クメンハイドロパーオキサイド
U−8 ジクミルパーオキサイド
U−9 ジ−t−ブチルパーオキサイド
U−10 3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド
U−11 2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン
U−12 t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
U−13 t−ブチルパーオキシベンゾエート
U−14 ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート
U−15 ジイソプロピルパーオキシジカーボネート
U−16 t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート
上記架橋剤としての貴金属触媒や有機過酸化物は、平均組成式(1)で表される化合物の塗設前に添加しておき、塗布液の状態で予め数平均重合度を上げておいてもよいし、塗設後乾燥やキュアーにより数平均重合度を上げて最終的に平均組成式(1)で表される化合物としてもよい。貴金属触媒や有機過酸化物は、適当な有機溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ジオキソラン、アセトン、メチルエチルケトン等に溶かして添加使用してもよいし、微粒子状態にした固形のまま使用してもよい。
【0034】
平均組成式(1)で表される化合物を含む層中に有機充填剤として、非フッ素系のポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート化合物、ポリアミド化合物、フッ素化炭化水素樹脂等を併用することができ、中でも好ましくは、フッ素化炭化水素樹脂を併用することにより、前述した汚れ付着の防止効果等を調節することができる。好ましいフッ素化炭化水素樹脂の具体例を下記に示す。
J−1 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
J−2 テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)
J−3 テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
J−4 ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)
J−5 テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)
J−6 ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が挙げられる。
【0035】
この中でも、PTFE、PFA、FEPが汚れの付着が少ないという点で好ましい。
【0036】
本発明に好ましく用いられる有機充填剤としてのフッ素化炭化水素樹脂は、工業的に製造された繊維状、針状(ウィスカーを含む)、粒状、鱗片状などの種々の形状のものを使用することができ、各塗膜においてフッ素化炭化水素樹脂をそれぞれ単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。また、種々の形状のものを混合して用いてもよい。更に、2種以上のフッ素化炭化水素樹脂を併用する場合であっても、それらの混合割合は特に限定されず、任意に選択することができる。
【0037】
塗膜製造において、均一平滑面に仕上げるために上記のフッ素化炭化水素樹脂は30μm以上の粗大径のものを含まないことが望ましい。フッ素化炭化水素樹脂の平均粒子径は、塗膜の厚さを考慮して定めればよいが、通常平均粒子径が30μm以下のものが好ましく、平均粒子径が10μm以下のものがより好ましい。下限は特に限定されないが、通常100nm程度である。平均粒子径が小さすぎると、塗布液中に均一に分散し難くなる。また平均粒子径が大きすぎると、塗膜した場合に平滑性が得難くなる。
【0038】
本発明に好ましく用いられる無機充填剤は、必要において、各塗膜中に含有することができる。無機充填剤を添加する目的は、塗膜の強度、熱伝導性、電気抵抗、誘電調節等である。無機充填剤としては、工業的に製造されたものであれば特に限定されないが、好ましくはアルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化カルシウム等の酸化物系無機物を挙げることができ、より好ましくは、アルミナ、シリカ、チタニアである。
【0039】
本発明に好ましく用いられる無機充填剤は、その原料、製造方法などは特に限定さず、繊維状、針状(ウィスカーを含む)、粒状、鱗片状などの種々の形状のものを用いることができ、各塗膜において無機充填剤をそれぞれ単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。また、種々の形状のものを混合して用いてもよい。更に、2種以上の無機充填剤を併用する場合であっても、それらの混合割合は特に限定されず、任意に選択することができる。
【0040】
無機または有機充填剤の塗布液への分散を良好にするために界面活性剤を使用することもできる。界面活性剤は、塗布液組成物中にフッ素化炭化水素樹脂を15〜80質量%で均一に分散させることができればよく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。例えば、ナトリウムアルキルサルフェート(例えば、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムオクチルサルフェート等)、ナトリウムアルキルエーテルサルフェート(例えば、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、ナトリウムドデシルエーテルサルフェート等)、トリエタノールアキルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルエーテルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート、アンモニウムアルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルリン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、プロピレングリコール−プロピレンオキシド共重合体、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、2−エチルヘキサノールエチレンオキシド付加物などの非イオン性界面活性剤;アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミド酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられる。特に、アニオン性、非イオン性界面活性剤が好ましい。特に好ましい界面活性剤は、熱分解残量の少ないオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤である。更に好ましい活性剤は、疎水性部分がフッ素原子を含むアルキル基を持つパーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物である。好ましい具体例を下記に示す。
【0041】
【化4】
【0042】
界面活性剤の添加量は、通常フッ素化炭化水素樹脂の通常0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.2〜20質量%である。界面活性剤の添加量が少なすぎると、フッ素化炭化水素樹脂の分散が均一にならず、一部浮上することがある。一方、界面活性剤の添加量が多すぎると焼成による界面活性剤の分解残渣が多くなり着色が生ずるほか、被覆膜の耐熱性、非粘着性などが低下する。
【0043】
本発明に係る平均組成式(1)で表される化合物の分散組成物には、用途によって種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば安定剤、顔料、増粘剤、分解促進剤、防錆剤、消泡剤などが挙げられる。
【0044】
有機充填剤のフッ素化炭化水素樹脂と無機充填剤の好ましい組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、PTFEとチタニア、PTFEとアルミナ、PTFEとシリカなどが挙げられる。フッ素化炭化水素樹脂及び/又は無機充填剤は、共に、皮膜中できるだけ均一に分散含有されていることが好ましく、塗膜中においてフッ素化炭化水素樹脂は分散から融着状態、更には造膜している状態が好ましい。
【0045】
各塗膜の溶媒としては、塗膜のフッ素化炭化水素樹脂や無機充填剤を均一に分散させるような、また、乾燥後に揮散するような有機溶剤が用いられる。例えば、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルセロソロブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコール、エタノール、n−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、トルエン、ベンゼン、キシレン等が挙げられる。
【0046】
本発明に係る銀塩としては、還元可能な銀源(有機銀塩)、触媒活性量の感光性ハロゲン化銀(以下単に、ハロゲン化銀ともいう)等が挙げられる。
【0047】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェットもしくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法、中性法、酸性法等のいずれかの方法でも調製できる。この様に予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0048】
ハロゲン化銀は、良好な画質を得るために粒子サイズが小さくて感度の高いものが好ましい。粒子サイズが小さいと粒状性や解像度が良いからである。しかし、感度は低くなるので分光増感や化学増感により、増感され易い結晶形が好ましい。具体的には平均粒子サイズが100nm以下、好ましくは10nm〜100nm、20nm〜80nmが特に好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はないが、立方体、八面体の所謂正常晶等の粒子が好ましい。又ハロゲン化銀組成としては、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよいが、沃臭化銀が好ましい。
【0049】
ハロゲン化銀の使用量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し通常50%以下、好ましくは25%〜0.1%、更に好ましくは15%〜0.1%である。
【0050】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は又、英国特許第1,447,454号明細書に記載されている様に、有機銀塩を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させこれに銀イオンを注入することで有機銀塩の生成とほぼ同時に生成させることもできる。
【0051】
更に他の方法としては、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、又は有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩と有効に接触しており好ましい作用を呈する。
【0052】
これらのハロゲン化銀は有機銀塩に対して化学量論的には少量用いられる。通常、その範囲は有機銀塩1モルに対し通常1ミリモル〜0.7モル、好ましくは30ミリモル〜0.5モルである。ハロゲン化銀形成成分は上記の範囲で2種以上併用されてもよい。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃〜74℃、反応時間は0.1秒〜72時間、反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。この反応は又、後述する結合剤として使用されるポリマーの存在下に行われることが好ましい。この際のポリマーの使用量は有機銀塩1質量部当たり通常0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0053】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号各公報に記載されている。
【0054】
本発明において、特に好ましい化学増感剤は、有機カルコゲン増感剤であり、カルコゲンとして硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を分子内に含む有機化合物が好ましい。化学構造においては、カルコゲン原子が炭素や燐原子に直接結合している化合物であり、即ち、炭素原子の4本の結合手のうち、2本はカルコゲン原子と結合し、その他の2本は任意の有機の置換基と結合している化合物、或いは燐原子の5本の結合手のうち、2本はカルコゲン原子と結合し、その他は任意の有機の置換基と結合している化合物であり、任意の置換基がアリール基であることが好ましい。該アリール基としては、芳香族基又はヘテロ原子を含む複素環化合物が好ましく、最も好ましくはフェニル基又はフッ素原子で置換されたフェニル基である。有機カルコゲン増感剤の好ましい具体例としては、トリフェニルホスフィンセレナイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンテルライド等が挙げられる。
【0055】
化学増感剤の添加方法としては、ハロゲン化銀の分散溶液中に、水や有機溶媒に溶解して添加してもよいし、微粒子や粉末のまま添加してもよい。添加量はハロゲン化銀1モル当たり通常1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。化学増感時の熟成温度は通常30℃〜90℃、熟成時間は通常20分から8時間、40分〜90分であることが好ましい。
【0056】
感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整、感度、カブリ及び保存性等のために遷移金属、特に元素周期律表の6族から10族に属する金属の第4周期から第6周期の化合物がドープ(含有)されることが好ましい。具体的にはRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等の金属の金属イオン、金属の錯体又は錯体イオンが好ましい。ドープ量は、ハロゲン化銀1モル当たり通常1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。
(フタラジン化合物)
本発明に好ましく用いられるフタラジン化合物は、現像促進剤または色調剤として使用することが好ましい。フタラジン化合物を現像促進剤として使用すると保存中にカブリを増大させる欠点がある。そこで、感光層に隣接する保護層等に含有させて保存性を向上させる試みがあるが充分ではない。本発明の平均組成式(1)で表される化合物と併用すると保存性が向上するので、保護層中に保持される如くの挙動を示し好ましい。好ましいフタラジン化合物を下記一般式(2)で示すことができる。
【0057】
【化5】
【0058】
(式中、R21、R22、R23およびR24はそれぞれ独立に水素原子、または互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基を表す。)
R21、R24、R23およびR24で表される互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基としては、炭素数1〜26の置換されてもよい、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等)、またはアルケニル基(例えば、エテニル基、ブテニル基、オクテニル基、ノネニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、芳香族基(例えば、フェニル基やナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基、ピリミジル基、イミダゾール基、チオフェニル基等)等が好ましい。芳香族基やヘテロ環基の場合、環上に電子求引性の置換基を導入することができる。電子求引性の置換基としては、1940年にマックグローヒル ブック社(McGrawHill Book Co.,N.Y.,1940)から出版されたフィジカル オーガニック ケミストリー(Physical Organic Chemistry)の78頁に記載のL.P.Hammett(L.P.ハメット)の置換基定数が−1.0〜+1.0の範囲内にある任意の置換基を選択することができる。更に1958年にD.H.McDaniel(D.H.マックダニエル)、H.C.Brown(H.C.ブラウン)等による追加修正された置換基(ジャーナル オブ オーガニックケミストリー(J.Org.Chem.1958,23,420))でもよい。本発明のフタラジン化合物は、特開2001−19679に記載のフタラジン化合物の製造方法を参考にして合成することができる。また、市販品を使用することもできる。好ましいフタラジン化合物の具体例を下記に示す。
【0059】
【化6】
【0060】
本発明に使用するフタラジン化合物の塗布液への添加方法は、エチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒に溶解または分散して添加してもよいし、水に分散して感光層や保護層、バッキング層やバッキング保護層に添加してもよい。使用量は感光層または感光層保護層への使用量の合計が1mg/m2〜10g/m2使用することが好ましい。この範囲未満では、フタラジン化合物の現像促進性や色調改良効果が得られ難くなる。またこの範囲より多いと塗布性を劣化させるので好ましくない。
【0061】
(フタル酸化合物)
本発明に使用するフタル酸化合物は、現像促進剤として使用することが好ましく、フタラジンと同様感光層側に存在させると保存中にカブリを増大させるので、感光層に隣接する層に添加することで保存性を向上させることができるが充分ではない。本発明の平均組成式(1)で表される化合物と併用すると保存時のカブリの増大を抑制することができる。好ましいフタル酸化合物を下記一般式(3)で示すことができる。
【0062】
【化7】
【0063】
(式中、R31、R32、R33およびR34はそれぞれ独立に水素原子、または互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基を表す。)
R31、R32、R33およびR34で表される互いに結合して環を形成してもよい一価の置換基としては、炭素数1〜26の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等)、アルケニル基(例えば、エテニル基、ブテニル基、オクテニル基、ノネニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、芳香族基(例えば、フェニル基やナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基、ピリミジル基、イミダゾール基、チオフェニル基等)等が好ましい。芳香族基やヘテロ環基の場合、環上に前記フタラジンの置換基で述べたような電子求引性の置換基を導入することができる。好ましいフタル酸化合物の具体例を下記に示す。
【0064】
【化8】
【0065】
本発明に使用するフタル酸化合物の塗布液への添加方法は、エチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒に溶解または分散して添加してもよいし、水に分散して感光層や保護層、バッキング層やバッキング保護層に添加してもよい。使用量は感光層または感光層保護層への使用量の合計が1mg/m2〜10g/m2であることが好ましい。この範囲未満では、フタル酸化合物の現像促進効果が得られ難くなる。また、この範囲より多いと塗布性を劣化させるので好ましくない。
【0066】
本発明のドライイメージング材料のバインダーとしては、銀塩(ハロゲン化銀、有機銀塩)、還元剤が反応する場として好ましい素材や、熱消色染料が80℃以上200℃以下の熱で消色する反応に好ましい素材若しくは塩基発生前駆体が熱により速やかに塩基を発生するような素材が好ましい。例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に乾燥後、膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましい。
【0067】
本発明のドライイメージング材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀塩)、触媒活性量のハロゲン化銀、ヒドラジン誘導体、還元剤、及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤等を通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態で含有しているドライイメージング材料であることが好ましい。本発明のドライイメージング材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃〜200℃)に加熱することで現像される。加熱には、一定の温度で一定時間加熱する1段階方式と予備加熱、本加熱、あるいは後加熱のように段階的に加熱する方式等があるが、加熱方式を適宜選択することができる。加熱することで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0068】
本発明のドライイメージング材料には、色調剤を添加することが好ましい。好適な色調剤の例はResearch Disclosure第17029号に開示されており、次のものがある。メロシアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン等);フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタラジノン+p−メチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム);ポリハロメタン化合物+フタル酸の組み合わせ;ポリハロメタン化合物(ポリハロメタン化合物の付加物を含む)と、マレイン酸無水物、及びフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル酸無水物)から選ばれる少なくとも1つの化合物との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、ナフトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン等);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン等);テトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン等)。
【0069】
本発明のドライイメージング材料には、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure 第17643IV−A項(1978年12月p.23)、同第1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0070】
本発明の支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネートやポリプロピレン等のプラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いてもよい。
【0071】
塗膜の塗布方法としては、公知の各種方法を採用することができるが、例えば、スライドコート法、スプレーコート法、バーコート法、フローコート法、ディップ法、キャスティング法およびスピンコート法等が挙げられる。塗膜厚としては、感光層のドライ膜厚は通常1μm〜100μm、好ましくは3μm〜50μm、より好ましくは、5μm〜40μmである。1μm未満では高い画像濃度をえることが難しくなる。また、100μmより大きいと寸法安定性を得るのが難しくなる。保護層の膜厚は、通常50nm〜10μm、より好ましくは0.6μm〜5μmである。50nm未満では耐傷性が得られ難くなる。また10μmより大きいと現像性が遅くなるので好ましくない。本発明において、平均組成式(1)で表される化合物を保護層に使用するときには、色調剤のフタラジン化合物類や現像調節剤のフタル酸化合物類を同時に保護層に使用すると感光層に使用するよりも保存性において有利の結果を得ることができる。
【0072】
本発明のドライイメージング材料への露光は700nmから1200nmの波長範囲にあるレーザー走査露光により行うことが好ましいが、ドライイメージング材料の露光面と走査レーザー光のなす角が55度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以下、更に好ましくは65度以上84度以下である。レーザー光が、ドライイメージング材料に走査されるときのドライイメージング材料露光面でのビームスポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好ましい。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減じることができる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0074】
実施例1
[下引済み写真用支持体の作製]
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に0.8mw/cm2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1とした。
【0075】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)
スチレン(20質量%)
グリシジルアクリレート(40質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の表面に、8w/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に下引上層A−2として、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に帯電防止機能をもつ下引上層B−2として塗設した。
【0076】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 0.4g/m2になる質量
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる
[粉末有機銀塩Aの調製]
(ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製)
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5.0に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを321g得た。
【0077】
(粉末有機銀塩Aの調製)
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水450mlを添加し5分間攪拌した。次に1Mの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を3回繰り返し乾燥させて粉末有機銀塩Aを調製した。
【0078】
[ドライイメージング材料の作製]
〔BC層側塗布〕
前記作製した下塗済み支持体の下引上層B−2(BC層用)の上に下記の組成になるように調製(溶剤としてメチルエチルケトンを使用)した塗布液を下記の付き量なるようにBC層の塗布、BC保護層の塗布を同時重層塗布で行い、乾燥(45℃、1分間)してBC層、BC保護層を形成した。
【0079】
〔感光層側の塗布〕
次に、該下塗済み支持体の下引上層A−2(感光層側用)の上に下記の組成になるように調製(溶剤としてメチルエチルケトンを使用)した塗布液を下記の付き量なるようにAH層の塗布、感光層の塗布、感光層保護層の塗布を同時重層塗布で行い、乾燥(45℃、1分間)してAH層、感光層、感光層保護層を形成して、ドライイメージング材料試料101〜120を作製した。
【0080】
【0081】
【化9】
【0082】
尚、感光層及び感光層保護層にフタラジン化合物を各々2×10−4モル/m2、フタル酸化合物を各々1×10−4モル/m2、表1記載のように添加した。
【0083】
[評価方法]
(写真性能の評価)
ドライイメージング材料試料を23℃45%RHの雰囲気下に3日間保存したものと更に該試料をアルミ蒸着ポリエステル袋に封入密閉し、55℃3日間保存した試料の両者を、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後熱現像装置を用いて(感光層側を熱ドラムに接触)120℃で8秒間加熱し、感度およびカブリをマクベス濃度計(TD−904)により測定した。カブリは未露光部の光学濃度をカブリとして測定した。感度はカブリより0.3高い濃度を与える露光量の逆数を感度として求め、試料101の相対感度を100(基準)とする相対値で示す。
【0084】
(保存性)
ドライイメージング材料試料を23℃40%RHの雰囲気下に3日間保存したものと、アルミニウムを蒸着したポリエチレン製防湿袋に密閉し40℃2週間保存したものについて、前記写真性能の評価の場合と同様にして露光、熱現像を行い、カブリを測定した後、カブリの増大値を求めた。カブリの増大が少ないほど保存性に優れる。
【0085】
(熱ドラムの汚れ)
濃度1.5に仕上がるように露光したドライイメージング材料試料を幅2cm長さ30cmにして、現像温度120℃、現像時間10秒、1時間当たり処理枚数100枚、1日500枚処理で5日間熱現像処理後、熱ドラムおよび対抗ローラーを水:エタノール:メチルエチルケトンの3:2:1溶液(30ml/100cm2)で表面を洗浄し、この溶液の吸光濃度を株式会社アタゴ社製デジタル示差濃度計(DD7)で測定した。数値が小さい程(最小0.000%)汚れが少なく、数値が大きいほど(最大2.000%)汚れが多い。汚れが1%表示であれば、実用的には問題のないレベルである。尚、熱現像装置の熱ドラムの被覆材料は通常のシリコーンゴム(X−30−1777−70−U;信越化学工業社製)を使用し、対抗ローラーは無被覆のステンレスローラーを使用した。
【0086】
結果を表2に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
※:種類1、種類2を両方使用する場合は、各々を1.15×10−4モル/m2用いて、合計2.3×10−4モル/m2(種類1だけを使用する場合の使用量)になるようにした。
【0089】
比較−1:尚、比較用の非フッ素化ポリシリコーン(比較−1)は下記のように調製した。ビニル基を5モル%含むポリメチルシロキサン260g(数平均重合度300)、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(数平均重合度300)40g、過酸化物としてブトキシパーオキサイド2g、触媒として塩化白金10mg、平均粒子径3μmのシリカ43gを加えて、ニーダーで混合しながら180℃1時間反応させて比較−1を調製した。
【0090】
【表2】
【0091】
表2より、平均組成式(1)で表される化合物を使用したドライイメージング材料の熱現像処理では、熱ドラムの汚れが少なくなり非常に改善されていることがわかる。平均組成式(1)で表される化合物を使用するときに、架橋促進触媒の貴金属触媒や過酸化物は汚れ防止の効果を高めていること、更に無機又は有機充填剤を添加することにより汚れを抑制することができたことがわかる。又、平均組成式(1)で表される化合物を含む層中にフタラジン化合物やフタル酸化合物を添加しても汚れを抑制していることがわかる。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、長期間運転をしても熱現像装置の熱ドラムを汚染することなく熱現像で高画質の画像が得られるドライイメージング材料を提供できる。
Claims (12)
- 支持体の少なくとも一方の面に、銀塩および還元剤を含有する感光層と該感光層上に保護層を有するドライイメージング材料において、下記平均組成式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするドライイメージング材料。
- 前記平均組成式(1)におけるRfで表されるフッ素化炭化水素残基が、炭素数1〜12のパーフロオロアルキル基、炭素数1〜12のパーフロオロアルケニル基または炭素数6〜12のパーフロオロアリール基を表すことを特徴とする請求項1に記載のドライイメージング材料。
- 平均組成式(1)で表される化合物が、炭素数1〜8のビニル基を有するフッ素化ポリシリコーンとケイ素原子に直接結合した水素原子を有するフッ素化ポリシリコーンとの架橋により硬化したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のドライイメージング材料。
- 保護層中に平均組成式(1)で表される化合物と無機または有機充填剤を含有し、該充填剤が、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、酸化亜鉛、酸化錫および酸化カルシウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
- 前記無機または有機充填剤の平均粒子径が、100nm〜30μmであることを特徴とする請求項4に記載のドライイメージング材料。
- 保護層の厚さが50nm〜5μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
- 有機充填剤がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)およびポリビニリデンフルオライド(PVDF)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
- 前記架橋が貴金属触媒により促進されるものであることを特徴とする請求項3に記載のドライイメージング材料。
- 前記架橋が有機過酸化物により促進されるものであることを特徴とする請求項3に記載のドライイメージング材料。
- 無機または有機充填剤の塗布液への分散にフッ素化界面活性剤を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
- 保護層中にフタラジン化合物を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
- 保護層中にフタル酸化合物を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のドライイメージング材料。
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