JP2001194747A - 熱現像材料及びその現像方法 - Google Patents

熱現像材料及びその現像方法

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JP2001194747A
JP2001194747A JP2000000671A JP2000000671A JP2001194747A JP 2001194747 A JP2001194747 A JP 2001194747A JP 2000000671 A JP2000000671 A JP 2000000671A JP 2000000671 A JP2000000671 A JP 2000000671A JP 2001194747 A JP2001194747 A JP 2001194747A
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Takeshi Haniyu
武 羽生
Yasushi Usagawa
泰 宇佐川
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Konica Minolta Inc
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 増感性が高く、且つ熱消色性の高い分光増感
色素に関し、特に高湿下の保存安定性が優れ、現像時に
熱ローラによる汚れの発生やローラの劣化が少ないこ
と、長期ランニング安定性に優れた熱現像材料及び熱現
像材料の現像方法を提供する。 【解決手段】 支持体の少くとも一方の面に感光性ハロ
ゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含有する感光層を
有する熱現像材料において、感光性ハロゲン化銀粒子が
熱消色分光増感色素で分光増感されていることを特徴と
する熱現像材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像により画像を
形成する熱現像材料に関するものであり、さらに詳しく
は、鮮鋭性を向上させた熱現像材料に関する。
【0002】さらにまた、長期に亘る熱現像においても
変形や変色等を生ずることのない熱ローラを用いた熱現
像材料の現像方法に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、医療や印刷の分野で環境保護や作
業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない熱現像感材が
強く望まれている。特に熱現像により、高解像度で鮮明
な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱
写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光
熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われる
ので、熱現像材料と呼ばれている。
【0004】従来からこのタイプの熱現像材料では、感
光層の他に、該感光層に向けて照射した光が吸収されず
通過して支持体の界面や中間層や接着層で乱反射するの
を防ぐイラジエーション防止層(AI層)あるいはバッ
キング層(BC層)が設けられる。上記AI層は主に感
光層と支持体の間に、BC層は支持体に対して感光層の
反対側に設定される。AI層やBC層には感光用の主波
長を効率良く吸収する染料が使用される。露光時には必
要な染料であっても、現像後に染料が残っていると、可
視部の吸収による残色を生じ、銀画像の識別を妨げるよ
うになるため、できるだけ染料を消去して可視部の吸収
を下げる必要があった。このため、熱現像材料は現像時
に熱で分解して消色する染料(以後、単に熱消色染料と
もいう)を使用することが考えられてきた。上記熱消色
染料を使用した熱現像材料としては例えば、米国特許第
3,745,009号、同4,033,948号、同
4,524,128号、同4,594,312号、同
4,994,356号、同5,135,842号、同
5,314,795号、同5,324,627号、同
5,384,237号、欧州特許第911,693号等
の各明細書が知られている。しかしながら、従来から熱
現像材料用として良好な特性を示す染料がなく、染料の
使用量を残色を生じない程度にまで減量するか、又は可
視部の吸収の少ない赤外領域の染料を使用する等の方法
が取られてきた。
【0005】また、分光増感色素はハロゲン化銀に吸着
しているため、分解し難いことや、分解し易くすると分
光増感性能が低下したり、カブリが増加したりと種々の
欠点を有し、増感色素の使用量を制限してきた。
【0006】さらには、染料の熱現像時の消色性は良好
であっても、例えば現像時に熱ローラと熱現像材料との
接触により染料が分解し、その分解物が熱ローラに付着
し、これが次の熱現像材料に転写して汚れを発生する、
染料が熱等により分解し易い性質を有することから染料
自体及び該染料を含有する層を有する熱現像材料の保存
安定性が悪い、熱ローラに染料分解物の付着が繰り返さ
れ堆積してローラ表面の均一性を損ない現像ムラを引き
起こす、その他染料そのものや分解物が蒸発して熱ロー
ラの材料と反応して物性を劣化させる等の欠点を有して
いた。
【0007】そこで、熱ローラについても、化学反応性
の少ない耐熱素材が探索され、シリコーンゴムやノルボ
ルネン−オレフィンゴム等が検討されてきたが現像の均
一性においては不充分であった。また、レーザー露光の
入射光と熱現像材料を構成する構成層の界面での反射光
の位相とが該構成層の屈折率や膜厚、あるいは入射角度
や反射角度によりずれるため、光量が増幅または減衰し
て特有の一定な模様を描く、いわゆる干渉縞を生じて、
画像品質を損なう現象についても、染料の種類やレーザ
ー露光の方法等について多くの対策研究が行われたが、
今だ有効な方法が見いだされていないのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、増感
性が高く、且つ熱消色性も高い分光増感色素に関し、し
かも安定性が高く、特に高湿下の保存安定性が優れるこ
と、現像時に熱ローラによる汚れの発生やローラの劣化
が少ないこと、長期ランニング安定性に優れること、レ
ーザ露光において干渉縞の生じ難い熱現像材料及び熱現
像材料の現像方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は下記の構成に
より解決することができた。
【0010】(1)支持体の少なくとも一方の面に感光
性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含有する感
光層を有する熱現像材料において、感光性ハロゲン化銀
粒子が熱消色分光増感色素で分光増感されていることを
特徴とする熱現像材料。
【0011】(2)熱消色分光増感色素が下記一般式
(1)で示されることを特徴とする前記(1)項記載の
熱現像材料。
【0012】
【化4】
【0013】式中、Q1およびQ2は置換基を有してもよ
い5員又は6員の単環又はそれらの環と縮合して形成さ
れる縮合環を形成するに必要な原子群を表し、L1はメ
チン鎖を含むQ1又はQ2で形成される環を結合する連結
基を表し、R1およびR2は置換基を表す。R1およびR2
の少なくとも一方は−CH2CO−X1−R11または−C
2CO−N(R12)R13であり、X1は酸素原子または
硫黄原子を表し、R11,R12およびR13はそれぞれ置換
基を表す。Q1またはQ2で形成される環上には、−T−
14基を有す。TはS、SOまたはSO2を表し、R14
は置換基を表す。X-はアニオンを表す。
【0014】(3)ハロゲン化銀粒子を含有する感光層
又は該感光層に隣接する層中に下記一般式(2)で示さ
れる塩基発生前駆体を含有することを特徴とする前記
(1)又は(2)項記載の熱現像材料。
【0015】
【化5】
【0016】式中、Z1およびZ2は置換基を有してもよ
い4員〜9員の環を形成するに必要な原子群を表し、L
2はZ1又はZ2で形成される環を結合する連結基を表
す。Yは置換基を表し、nは0又は1〜4の整数を表
し、nが2以上のとき、複数のYは同じであっても異な
っていてもよく、隣接するYは互いに結合して環を形成
してもよい。
【0017】(4)ハロゲン化銀粒子を含有する感光層
又は該感光層に隣接する層中に下記一般式(3)又は
(4)で表される酸無水物を含有することを特徴とする
前記(1)〜(3)の何れか1項記載の熱現像材料。
【0018】
【化6】
【0019】式中、W1、W2及びW3は酸無水物母核を
構成する原子群を表し、L3はW2及びW3で形成される
酸無水物母核を結合する連結基を表し、R3及びR4は、
置換基を有してもよい脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基
を表し、m1及びn1は0又は1〜4の整数を表し、m
1及びn1が2以上のとき、複数のR3及びR4は同じで
あっても異なっていてもよく、隣接するR3及びR4は互
いに結合して環を形成してもよい。
【0020】(5)感光層中にラテックスを含み、該ラ
テックスのガラス転移温度が−20〜80℃であること
を特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項記載の熱
現像材料。
【0021】(6)ラテックスは分子中にハロゲン原子
を含有することを特徴とする前記(5)記載の熱現像材
料。
【0022】(7)前記(1)〜(6)の何れか1項に
記載の熱現像材料の現像が、金属酸化物を含有するシリ
コーンゴム製の熱ローラを用いて行われることを特徴と
する熱現像材料の現像方法。
【0023】(8)前記一般式(3)又は(4)で表さ
れる化合物の存在下で熱処理された熱ローラを用いるこ
とを特徴とする前記(7)記載の熱現像材料の現像方
法。
【0024】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
熱現像材料は、支持体上に少なくても1層の感光層を設
け、この感光層の下部(支持体を感光層の間)にAH
層、感光層の上部に保護層がそれぞれ塗設されている。
更に支持体に対して感光層の反対側にBC層、その上部
に保護層が塗設されている。上記感光層中には、主とし
てハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤および高分子結合剤
が含まれている。ハロゲン化銀粒子は、本発明の熱消色
分光増感色素で分光増感され、AH層やBC層には感光
波長に対して吸収効率の高い染料を存在させて、熱現像
材料の構成層界面での乱反射による鮮鋭性の劣化や干渉
縞の防止を行う。分光増感色素の熱消色性を向上させる
ために、熱により塩基性化合物を放出しうる塩基発生前
駆体や、酸無水物を適宜使用することが好ましい。
【0025】本発明の熱消色分光増感色素はハロゲン化
銀粒子の分光増感に使用するものであるが、同時に熱現
像時に消色するので残色の欠点がないことが特徴であ
る。消色するためには、熱現像時に分子内のある部分が
活性化され消色に寄与すると考えられるが、活性化は塩
基発生前駆体や酸無水物等を用いると効果が向上する。
本発明に好ましく用いられる熱消色分光増感色素として
は、前記一般式(1)で表される化合物である。
【0026】前記一般式(1)中、Q1及びQ2で形成さ
れる環としては、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾ
ール環、ベンズイミダゾール環、オキサゾール環、ベン
ツオキサゾール環、チアゾール環、ベンツチアゾール
環、チアジアゾール環、イソベンゾフラン環等を挙げる
ことができる。L1はQ1及びQ2で形成される環の連結
基を表し、複数のメチン鎖が並んだ連結基が好ましい。
【0027】R11、R12およびR13としては、それぞれ
置換基を有しても良い炭素数1〜30の脂肪族基(例え
ば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデ
シル基、エイコシル基等)、芳香族基(例えば、フェニ
ル基、ナフチル基等)、又はヘテロ環基(例えば、ピリ
ジル基、ピリミジル基、イミダゾール基、トリアゾール
基、チアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ベンツイミ
ダゾール基、ベンツオキサゾール基、フリル基、チオフ
ェニル基等)を表す。R12及びR13が結合して環を形成
する場合、ピペリジン環、モルホリン環、ピリダジン
環、ピリミジン環、ピペラジン環、s−トリアジン環、
インドール環、ベンツイミダゾール環、キノリン環、カ
ルバゾール環、アクリジン環、フェノチアジン環、フェ
ナンスロリン環等を挙げることが出来る。
【0028】R14としては、脂肪族基、芳香族基、ヘテ
ロ環基を表し、好ましくは脂肪族基であり、炭素数1〜
8のアルキル基、ハロゲン置換アルキル基が好ましい。
【0029】前記一般式(1)で表される化合物で、好
ましく用いられる具体例を下記に示す。
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】
【化12】
【0036】また、上記非感光層の主としてAI層やB
C層には感光波長に対して吸収効率が高く、且つ熱消色
性のよい本発明の前記一般式(1)で示される熱消色増
感色素を存在させ、それによって、熱現像材料の構成層
界面での乱反射による鮮鋭性の劣化や干渉縞の発生を防
止するようにしてもよい。なお、上記熱消色増感色素は
熱現像材料の画像特性を損なわない範囲で感光層及び非
感光層の保護層等に含有させてもよい。
【0037】本発明の前記一般式(1)で示される熱消
色分光増感色素は、シアニン色素やヘミシアニン色素の
合成方法に準じて合成することができる。消色に寄与す
る置換基の部分は、欧州特許第911,693号明細書
を参考にして合成することができる。ハロゲン化銀に添
加する場合、ハロゲン化銀1モル当たり、10-2モルか
ら10-8モルの間で適宜選択して増感することができ
る。本発明の熱消色分光増感色素の添加は、化学増感前
に添加することもできるが、化学増感後に添加してもよ
い。添加する際には、アルコールやケトン類の有機溶媒
に添加してもよいが、水中に微粒子状態で分散して添加
することができる。微粒子の平均粒子径は、10nmか
ら10μmまでの範囲で分散できるが、可能な限り、微
粒子且つ、単分散が好ましい。粒子径の標準偏差を平均
粒子径で割り100を掛けた数値で表す単分散度が1〜
30、好ましくは1〜20が好ましい。
【0038】本発明の分光増感色素の消色を促進する好
ましい塩基発生前駆体化合物は、塩基と酸がイオン結合
対を形成し、酸部分が熱により分解し、塩基部分が作用
することと、分解した酸部分は活性な求核剤として染料
に作用し、脱色する機構が好ましい。塩基と酸が対をな
した好ましい塩基発生前駆体は前記一般式(2)で示さ
れる。
【0039】前記一般式(2)中、Z1およびZ2は置換
基を有してもよい4員から9員の環を形成するに必要な
原子群を、L2は連結基を、Yは置換基を表す。nは0
又は1〜4の正数を表し、nが2以上のとき複数のYは
同じであっても異なっていてもよく、隣接するYが互い
に結合して環を形成してもよい。
【0040】Z1及びZ2としては、好ましくは炭素数1
〜6のアルキレン基であり、例えばメチレン基、ジメチ
レン基、トリメチレン基、ペンタメチレン基等であり、
これらは置換基を有してもよく、更に縮合環を形成して
もよい。
【0041】L2は連結基を表し、それぞれ置換基を有
してもよい炭素数1〜30の飽和または不飽和の脂肪族
基、芳香族基およびヘテロ環の2つの結合部位を有する
基を表す。例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレ
ン基、イソブチレン基、オクチレン基、ドデシレン基、
フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基やこれら
の炭素原子に置換基を有した化合物を挙げることができ
る。本発明の塩基発生前駆体化合物は、特公平7−59
545号および特公平8−10321号公報記載の方法
に準じて合成することができる。
【0042】好ましい具体例を下記に示す。
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
【化15】
【0046】本発明の前記一般式(2)で表される化合
物を熱現像材料に添加する方法は公知の添加方法に従っ
て添加することができる。メタノールやエタノール等の
アルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケト
ン類、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミド
等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。添加
量としては、熱消色分光増感色素に対して100分の1
モルから100倍モルまでの範囲を選択することができ
る。特に好ましい添加量は熱消色分光増感色素に対して
10分の1モルから10倍モルまでの範囲を選ぶことで
ある。溶媒に溶解させる他にサンドミル分散やジェット
ミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μ
m以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加する
こともできる。微粒子分散技術については多くの技術が
開示されているが、これらに準じて平均粒子径が0.0
5から10μmの微粒子分散体を添加することができ
る。微粒子を使用するには、粒子径の標準偏差を平均粒
子径で割り100を掛けた数値で表す単分散度が1〜3
0、好ましくは1〜20が好ましい。
【0047】本発明に好ましく用いられる酸無水物は、
モノカルボン酸が2分子脱水縮合してA−CO−O−C
O−B構造を分子内に有するものを含み、置換基Aおよ
びBが直鎖状の分子構造やAおよびBの一部が結合した
環状の無水物を含む。直鎖状のものは、2分子の脂肪族
モノカルボン酸から脱水して形成される。無水酢酸、無
水プロパン酸、無水ブタン酸、無水アミル酸、無水カプ
ロン酸、無水ラウリル酸、無水ステアリン酸、無水セバ
シン酸、無水アラキジン酸、無水ベヘン酸等がある。脂
肪族カルボン酸の炭素数は、1から30までが好まし
い。芳香族カルボン酸として、安息香酸、ピリジンカル
ボン酸やこれらの誘導体がある。環状の構造の好ましい
化合物は前記一般式(3)および一般式(4)で示され
る。
【0048】前記一般式中、R3およびR4で表される基
として、それぞれ置換されてもよいアルコキシ基(メト
キシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、
オクトキシ基、ドデカノキシ基、ドコサノキシ基、2−
エチルヘキサノキシ基)、ハロゲン化アルコキシ基(ト
リフロロメトキシ基、パーフロロオクタノキシ基)、シ
クロアルコキシ基(シクロヘキサノキシ基、シクロオク
タノキシ基、シクロペンタノキシ基等)、芳香族基(フ
ェノキシ基、ナフテノキシ基等)、ヘテロ環基(ピリジ
ル基、フリル基、チオフェニル基、ピペラジル基、イミ
ダゾリル基、トリアゾール基、テトラゾール基等)、ア
ルキルアミノ基(メチルアミノ基、プロピルアミノ基、
オクチルアミノ基、テトラデシル基)、ジアルキルアミ
ノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジオクチ
ルアミノ基)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチル
チオ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基)を表し、アル
キル基部分は炭素数1から25が好ましい。隣接する複
数の置換基R3とR4が結合して環を形成する場合、環と
してはベンゼン環、イミダゾール環、トリアゾール環、
テトラゾール環、ピリジン環、フリル環、チオフェン
環、ピペラジン環を挙げることができる。
【0049】L3は−SO2−基、−SO−基、-S−S
2−、−S−、−O−、−CONH−、−SO2NH
−、−CONH−基またはこれらと脂肪族基、芳香族
基、ヘテロ環基等の組み合わせを挙げることができる。
【0050】好ましい化合物例を下記に示す。
【0051】
【化16】
【0052】
【化17】
【0053】
【化18】
【0054】
【化19】
【0055】
【化20】
【0056】
【化21】
【0057】本発明に用いられる酸無水物は、カルボン
酸基のある化合物を通常の脱水縮合によって合成するこ
とや市販品を入手することができる。また、熱現像材料
中に添加する場合は、公知の添加方法に従って添加する
ことができる。メタノールやエタノール等のアルコール
類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメ
チルスルホオキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶
媒等に溶解して添加することができる。また、サンドミ
ル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザ
ー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に
分散して添加することもできる。微粒子分散技術につい
ては多くの技術が開示されているが、これらに準じて平
均粒子径が0.05から10μmの微粒子分散体を添加
することができる。
【0058】本発明のAH層やBC層に添加する熱消色
染料としては下記一般式(5)で示す染料を使用するこ
とが好ましい。
【0059】
【化22】
【0060】式中、R51およびR53は水素原子、置換基
を有してもよい脂肪族基、芳香族基、−NR5556、O
55、またはSR55を表し、R55とR56は各々独立して
水素原子、置換基を有してもよい脂肪族基または芳香族
基を表す。R55とR56は互いに結合して窒素原子を含む
ヘテロ環を形成してもよい。R52およびR54は各々独立
して水素原子、置換基を有してもよい脂肪族基または芳
香族基を表す。Z51およびZ52は窒素原子を含有するヘ
テロ環基を表す。L5は1個以上12以下のメチン鎖を
有する連結基を、X2 -はアニオン基を表す。
【0061】R51及びR53としては、それぞれ置換され
てもよいアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、ドコサニル
基、2−エチルヘキシル基)、ハロゲン化アルキル基
(トリフロロメチル基、パーフロロオクチル基)、シク
ロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロオクチル基、
シクロペンチル基等)、芳香族基(フェニル基、ナフチ
ル基等)、ヘテロ環基(ピリジル基、フリル基、チオフ
ェニル基、ピペラジル基、イミダゾリル基、トリアゾー
ル基、テトラゾール基等)、アルキルアミノ基(メチル
アミノ基、プロピルアミノ基、オクチルアミノ基、テト
ラデシル基)、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ジオクチルアミノ基)、アルキ
ルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ
基、オクチルチオ基)、を表し、アルキル基部分は炭素
数1から25が好ましい。特にヘテロ環基の中で好まし
い基は、フェノキサジン基(フェノキサジン基、2,7
−ジクロロフェノキサジン基)、フェノチアジン基(フ
ェノチアジン基、2,8−ジクロロフェノチアジン基、
2,8−ジフロロフェノチアジン基、2,3,7,8−
テトラジクロロフェノチアジン基)、カルバゾール基
(カルバゾール基、2,7−ジクロロカルバゾール基、
2,7−ジフロロカルバゾール基)、キノリン基、キノ
キサリン基を挙げることができる。R52及びR54として
は、それぞれ水素原子、アルキル基(メチル基、エチル
基、ブチル基、オクチル基)、アルケニル基、アルキン
基を挙げることができるが、特に水素原子が好ましい。
【0062】X2 -のアニオン部としては、ハロゲン原子
(塩素、臭素、沃素)、パラトルエンスルホン酸、1,
5−ジスルホナフタレン、四フッ化硼素、塩素酸、六フ
ッ化燐等のアニオンを挙げることができる。Z51および
52で形成される環としてはは、窒素原子を含むヘテロ
環であり、オキサゾール環、チアゾール環、セレナゾー
ル環、イミダゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラ
ゾリン環等を挙げることができる。これら環上の2つの
隣接する置換基が互いに結合して芳香族環またはヘテロ
環を形成し縮合環を形成してもよい。本発明の熱消色染
料は、欧州特許第911,693号、特開昭61−12
3454号および特開平7−333784号公報に記載
の染料合成方法に準じて合成することができる。下記に
好ましい具体例を示す。
【0063】
【化23】
【0064】
【化24】
【0065】
【化25】
【0066】
【化26】
【0067】本発明の熱現像感光材料の用いられるバイ
ンダーとしては、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤が反
応する場として好ましい素材と熱消色染料が80℃以上
200℃以下の熱で消色する反応に好ましい素材、ある
いは塩基発生前駆体が熱により速やかに塩基を発生する
ような素材が好ましい。例えば、ヒドロキシエチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビ
ニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレ
ンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共
重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアク
リルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアク
リル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエ
ン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に乾燥後、
膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが
好ましい。
【0068】好ましいポリマーの組成について更にガラ
ス転移点が−60℃から80℃が好ましく、特に−50
℃から70℃が好ましい。ガラス転移点が高いと熱現像
する温度が高くなり、低いとカブリ易くなり、感度の低
下や軟調になるからである。水分散ポリマーは、平均粒
子径が1nmから数μの範囲の微粒子にして分散された
ものが好ましい。水分散疎水性ポリマーはラテックスと
呼ばれ水系塗布のバインダーとして広く使用されている
中で耐水性を向上させるというラテックスが好ましい。
特にハロゲン原子を分子内に有するラテックスが好まし
い。
【0069】本発明に好ましいハロゲン原子を分子内に
含むラテックスとしては、ポリフッ化ビニリデンやポリ
塩化ビニリデンのホモポリマー、フッ化ビニリデンまた
は塩化ビニリデンとアクリル系やオレフィン系との共重
合体が挙げられる。ポリフッ化ビニリデンまたはポリ塩
化ビニリデンの構造式を示すと(CX2−CH2n(X
はフッ素原子または塩素原子、nは正の整数)で表さ
れ、一分子中の平均フッ素含有量が50%〜60%のフ
ッ素化合物であり、好ましくはメチレン基とフッ化メチ
レン基が交互に安定した形で結合したものである。
【0070】バインダーとして耐水性を得る目的のラテ
ックスの使用量は、塗布性を勘案して決められるが耐湿
性の観点から多いほど好ましい。全バインダー質量に対
して50%以上100%以下、80%以上100%以下
が好ましい。
【0071】好ましいポリマーとして水分散ラテックス
の具体例を示すが、ここで、スチレンをSt、メチルア
クリレートをMA、メチルメタクリレートをMMA、エ
チルアクレイレートをEA、ブチルアクリレートをB
A、イソノニルアクリレートをINA、シクロヘキシル
メタクリレートをCA、ヒドロキシエチルアクリレート
をHEA、ヒドロキシエチルメタクリレートをHEM
A、アクリル酸をAA、イタコン酸をIA、マレイン酸
をMA、アクリルアミドAAm、スチレンスルホン酸を
St−S、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸アミドをAMPS、イソプレンスルホン酸をIP−
S、2−プロペニル−4−ノニルフェノキシエチレンオ
キサイド(n=10)スルホン酸エステルをPF−S、
ブタジエンをBu、塩化ビニリデンをCVD、フッ化ビ
ニリデンをFVDと略す。
【0072】 モノマー組成 分子量(万) Tg (1)EA97AA3 1 −26 (2)EA100 2 −29 (3)EA40BA57AA3 10 −46 (4)EA97MMA3 13 −23 (5)St20MMA30EA40BA8AA2 20 38 (6)St10IP−S10MMA30EA50 2 46 (7)EA90AMPS10 5 −16 (8)MMA10EA88AMPS2 0.2 −15 (9)St30MMA20EA40BA5AA5 0.8 33 (10)CA60INA30IP−S10 3 −46 (11)MMA50EA40AMPS10 4 10 (12)MMA50EA40St−S10 10 15 (13)EA90PF−S10 50 −20 (14)MMA50EA40AAm10 20 22 (15)St20MMA30EA50HEA10 10 23 (16)St10MMA30EA50HEMA10 10 18 (17)BA40St20EA30AA10 10 11 (18)CA60INA30MA10 20 −38 (19)CA60INA30AMPS10 4 −34 (20)CA50INA30EA10AMPS10 3 −32 (21)EA95AA5 10 −25 (22)EA97BA3 13 −26 (23)EA50BA47AA3 20 −36 (24)EA95MMA5 2 −24 (25)St20MMA30EA39BA8AA3 5 32 (26)St15IP−S5MMA30EA50 0.2 33 (27)EA80AMPS20 0.8 23 (28)MMA2EA88AMPS10 3 27 (29)St32MMA20EA40BA5AA3 4 30 (30)CA50INA30IP−S20 10 5 (31)MMA40EA50AMPS10 50 33 (32)MMA25EA40St−S30 20 26 (33)EA80PF−S20 10 −16 (34)MMA50EA45AAm5 10 24 (35)St15MMA30EA50HEA5 10 23 (36)St10MMA35EA50HEMA5 20 33 (37)BA44St20EA30AA6 4 −33 (38)CA64INA33MA3 3 −36 (39)CA40INA40AMPS20 10 −40 (40)CA53INA30EA10AMPS7 15 −44 (41)St30BU68IA2 10 21 (42)BA50CVD50 10 −20 (43)CVD98IA2 20 −15 (44)FVD98IA2 20 −38 (45)CVD100 20 −18 (46)FVD100 20 −40 付帯数字は質量組成比を表す。
【0073】本発明の熱現像材料の感光層中に含有され
る感光性ハロゲン化銀は、シングルジェット若しくはダ
ブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方
法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等
のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明の他の成
分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することが
できる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接
触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀を
調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,70
6,564号、同第3,706,565号、同第3,7
13,833号、同第3,748,143号、英国特許
第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニ
ルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる
手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載
されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを
酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539
号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒
子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポ
リマーの使用を省略する手段等の各手段を適用すること
ができる。
【0074】感光性ハロゲン化銀は、光センサーとして
機能するものであり、画像形成後の白濁を低く抑えるた
めに、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さい
ものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好
ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.0
8μmが好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特
に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶で
ない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化
銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩
沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであって
もよい。感度や画質の点から、沃臭化銀、塩臭化銀、塩
沃臭化銀等が好ましく使用される。沃素を含むハロゲン
化銀の場合、粒子の中心に沃素の含有量の多い組成を使
用すると感度に有利なため、表面部分は3モル%以下で
中心部分が3モル%〜10モル%にする方法がよい。現
像性を上げるために塩化銀や塩臭化銀を採用することも
よい。
【0075】ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び有機
銀塩の総量に対し50%以下が好ましく、0.1〜30
%、更に好ましくは1%〜20%が良い結果を与える。
【0076】本発明の熱現像感光材料に使用される感光
性ハロゲン化銀は又、英国特許第1,447,454号
明細書に記載されている様に、有機銀塩を調製する際に
ハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と
共存させ、これに銀イオンを注入することで有機銀塩の
生成とほぼ同時に生成させることができる。
【0077】更に他の方法としては、予め調製された有
機銀塩の溶液もしくは分散液、または有機銀塩を含むシ
ート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀
塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもでき
る。このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩
と有効に接触しており好ましい作用を呈する。ハロゲン
化銀形成成分とは有機銀塩と反応して感光性ハロゲン化
銀を生成しうる化合物であり、どのような化合物がこれ
に該当し有効であるかは次のごとき簡単な試験で判別す
る事が出来る。即ち、有機銀塩と試験されるべき化合物
を混入し必要ならば加熱した後にX線回折法によりハロ
ゲン化銀に特有のピークがあるかを調べるものである。
かかる試験によって有効であることが確かめられたハロ
ゲン化銀形成成分としては、無機ハロゲン化物、オニウ
ムハライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化
合物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例に
ついては米国特許第4,009,039号、同第3,4
57,075号、同第4,003,749号、英国特許
第1,498,956号等の各明細書及び特開昭53−
27027号、同53−25420号等の各公報に詳説
されるが以下にその一例を示す。
【0078】上記ハロゲン化銀の生成に(1)無機ハロ
ゲン化物が用いられる場合:例えばMXnで表されるハ
ロゲン化物(ここでMは、H、NH4、及び金属原子を
表し、Xはハロゲン原子を表し、nはMがH及びNH4
の時は1を、Mが金属原子の時はその原子価を表し、金
属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セ
シウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウム、亜鉛、カドミウム、水銀、錫、アンチモン、
クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウ
ム、セリウム等がある)が用いられ、また臭素水などの
ハロゲン分子も有効である。
【0079】(2)オニウムハライド類が用いられる場
合:例えばトリメチルフェニルアンモニウムブロマイ
ド、セチルエチルジメチルアンモニウムブロマイド、ト
リメチルベンジルアンモニウムブロマイドの様な第4級
アンモニウムハライド、テトラエチルフォスフォニウム
ブロマイドの様な第4級フォスフォニウムハライド、ト
リメチルスルフォニウムアイオダイドの様な第3級スル
フォニウムハライドが用いられる。
【0080】(3)ハロゲン化炭化水素類が用いられる
場合:例えばヨードフォルム、ブロモフォルム、四塩化
炭素、2−ブロム−2−メチルプロパン等が用いられ
る。
【0081】(4)N−ハロゲン化合物が用いられる場
合:例えばN−クロロ琥珀酸イミド、N−ブロム琥珀酸
イミド、N−ブロムフタルイミド、N−ブロムアセトア
ミド、N−ヨード琥珀酸イミド、N−ブロムフタラゾ
ン、N−ブロムオキサゾリノン、N−クロロフタラゾ
ン、N−ブロモアセトアニリド、N,N−ジブロモベン
ゼンスルホンアミド、N−ブロモ−N−メチルベンゼン
スルホンアミド、1,3−ジブロモ−4,4−ジメチル
ヒダントイン、N−ブロモウラゾール等が用いられる。
【0082】(5)その他のハロゲン含有化合物が用い
られる場合:例えば、塩化トリフェニルメチル、臭化ト
リフェニルメチル、2−ブロム酢酸、2−ブロムエタノ
ール、ジクロロベンゾフェノン等が用いられる。
【0083】これらのハロゲン化銀形成成分は有機銀塩
に対して化学量論的には少量用いられる。通常、その範
囲は有機銀塩1モルに対し0.001モル乃至0.7モ
ル、好ましくは0.03モル乃至0.5モルである。ハ
ロゲン化銀形成成分は上記の範囲で2種以上併用されて
もよい。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩
の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反
応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜
設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃
至74℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であ
り、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
この反応は又、前記結合剤として使用されるポリマーの
存在下に行われることが好ましい。この際のポリマーの
使用量は有機銀塩1質量部当たり0.01〜100質量
部、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0084】上記した各種の方法によって調製される感
光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、
白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、
クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感
することができる。この化学増感の方法及び手順につい
ては、例えば米国特許第4,036,650号、英国特
許第1,518,850号等の各明細書、特開昭51−
22430号、同51−78319号、同51−811
24号等の各公報に記載されている。又ハロゲン化銀形
成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変
換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に
記載されているように、増感を達成するために低分子量
のアミド化合物を共存させてもよい。
【0085】又、これらの感光性ハロゲン化銀には、照
度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から1
0族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、O
s、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させ
ることができる。特に元素周期律表の6族から10族に
属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好
ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、
Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、A
uが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される
場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれること
が好ましい。
【0086】これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に
導入できる。本発明においては、遷移金属錯体は、下記
一般式で表される6配位錯体が好ましい。
【0087】一般式:〔ML6m 式中、Mは元素周期表の6〜10族の元素から選ばれる
遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、1−、2−又は3
−を表す。Lで表される配位子の具体例としては、ハロ
ゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シア
ン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナー
ト、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニ
トロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはア
コ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位
子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占める
ことが好ましい。複数あるLは同一でもよく、また異な
っていてもよい。Mとして特に好ましい具体例は、ロジ
ウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)
及びオスミウム(Os)である。
【0088】金属のイオン又は錯体イオンの含有量とし
ては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10-9
〜1×10-2モルが適当であり、好ましくは1×10-8
〜1×10-4モルである。これらの金属のイオン又は錯
体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時
に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好
ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成
長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加しても
よいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加する
のが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するの
が好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。
添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよ
く、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもでき
るし、特開昭63−29603号、特開平2−3062
36号、同3−167545号、同4−76534号、
同6−110146号、同5−273683号等に記載
されている様に粒子内に分布を持たせて含有させること
もできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることが
できる。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶
媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール
類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加
することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液
もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解
した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性
ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液と
ハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液とし
て添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調
製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液
を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時
に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別
のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等があ
る。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合
物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶
性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に
添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もし
くは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶
液を反応容器に投入することもできる。
【0089】ハロゲン化銀粒子調整方法が選択されると
化学増感や分光増感により、感度を上げる技術が必要に
なる。分光増感色素をハロゲン化銀粒子に多く使用する
と高い感度が得られるが、現像後に残る色素の濃度が高
くなり透明性が失われる(残色)。そこで本発明では、
熱消色分光増感色素を採用することにより、現像後には
色素が分解して残色が少なくできることから、通常の量
より多く使用して増感する一方分解性を上げることで残
色を減らすことができる。
【0090】本発明においては、感光層上の保護層やB
C層や該BC層上の保護層等にマット剤を含有すること
が好ましく、本発明に用いられるマット剤の材質は、有
機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物とし
ては、スイス特許第330,158号等に記載のシリ
カ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス
粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカ
リ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマッ
ト剤として用いることができる。有機物としては、米国
特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー
特許第625,451号や英国特許第981,198号
等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等
に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,
158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリ
レート、米国特許第3,079,257号等に記載のポ
リアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号
等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を
用いることができる。
【0091】マット剤の形状は、定形、不定形どちらで
も良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられ
る。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算し
たときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒
径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜1
0μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜
8.0μmである。又、粒子の単分散度は50以下であ
ることが好ましく、更に好ましくは40以下であり、特
に好ましくは20以下となるマット剤である。ここで、
粒子の単分散度は粒子径の標準偏差を粒子径の平均値で
割り100を掛けた数字で表される。本発明に係るマッ
ト剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する
方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終
了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方
法を併用してもよい。
【0092】本発明の熱現像材料は、熱現像処理にて写
真画像を形成するもので、前記した還元可能な銀源(有
機銀塩)、該銀源の還元剤、触媒活性量のハロゲン化銀
等の他、必要に応じてヒドラジン化合物及び色調を抑制
する色調剤を結合剤中に分散した状態で含有しているの
が好ましい。本発明の熱現像材料は常温で安定である
が、露光後高温(例えば、80℃〜200℃)に加熱す
ることで現像される。加熱することで有機銀塩(酸化剤
として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じ
て銀を生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化
銀に発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光
領域中の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像
を提供し非露光領域とのコントラストで、画像の形成が
なされる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供
給することなしで進行する。
【0093】本発明の熱現像感光材料は、熱現像処理に
て写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀
塩)、触媒活性量のハロゲン化銀、ヒドラジン誘導体、
還元剤、及び必要に応じて銀の色調を抑制する色調剤を
通常(有機)バインダーマトリックス中に分散した状態
で含有している熱現像感光材料であることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後
高温(例えば、80℃〜200℃)に加熱することで現
像される。加熱は、一定の温度で一定時間加熱する1段
階方式と予備加熱、本加熱、あるいは後加熱のように段
階的に加熱する方法等あるが、適宜加熱方式を選択する
ことができる。加熱することで有機銀塩(酸化剤として
機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を
生成する。この酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発
生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中
の有機銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供
し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなさ
れる。この反応過程は、外部から水等の処理液を供給す
ることなしで進行する。
【0094】本発明の熱現像感光材料には、色調剤を添
加することが好ましい。好適な色調剤の例はResea
rch Disclosure第17029号に開示さ
れており、次のものがある。
【0095】イミド類(例えば、フタルイミド);環状
イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン
(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾ
リン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン
及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド
類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミ
ド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサミント
リフルオロアセテート)、メルカプタン類(例えば、3
−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N−(ア
ミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例えば、
N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);ブロッ
クされたピラゾール類、イソチウロニウム(isoth
iuronium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み
合わせ(例えば、N,N′−ヘキサメチレン(1−カル
バモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−
(3,6−ジオキサオクタン)ビス(イソチウロニウム
トリフルオロアセテート)、及び2−(トリブロモメチ
ルスルホニル)ベンゾチアゾールの組み合わせ);メロ
シアニン染料(例えば、3−エチル−5−((3−エチ
ル−2−ベンゾチアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリ
デン))−1−メチルエチリデン)−2−チオ−2,4
−オキサゾリジンジオン);フタラジノン、フタラジノ
ン誘導体又はこれらの誘導体の金属塩(例えば、4−
(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノ
ン、5,7−ジメチルオキシフタラジノン、及び2,3
−ジヒドロ−1,4−ポリハロメタン化合物ジオン);
フタラジノンとスルフィン酸誘導体の組み合わせ(例え
ば、6−クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナ
トリウム又は8−メチルフタラジノン+p−トリスルホ
ン酸ナトリウム);ポリハロメタン化合物+フタル酸の
組み合わせ;ポリハロメタン化合物(ポリハロメタン化
合物の付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル
酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレ
ン酸誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メ
チルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフ
タル酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物
との組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジ
ン、ナルトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4
−ジオン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,
4−ジオン);ピリミジン類及び不斉−トリアジン類
(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテ
トラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカ
プト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,
5,6a−テトラアザペンタレン)。
【0096】本発明において、露光は例えば、発光波長
が660nm、670nm、780nm、810nm、
830nmの何れかのレーザー走査露光により行うこと
が好ましいが、熱現像材料の露光面と走査レーザー光の
なす角が実質的に垂直になることがないレーザー走査露
光機を用いることが好ましい。ここで、「実質的に垂直
になることがない」とはレーザー走査角度が好ましくは
55〜88度、より好ましくは60〜86度、更に好ま
しくは65〜84度、最も好ましくは70〜82度であ
ることをいう。レーザー光が、熱現像材料に走査される
ときの該熱現像材料露光面でのビームスポット直径は、
好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm
以下である。これは、スポット径が小さい方がレーザー
入射角度の垂直からのずらし角度を減らせる点で好まし
い。なお、ビームスポット直径の下限は10μmであ
る。このようなレーザー走査露光を行うことにより干渉
縞様のムラの発生等のような反射光に係る画質劣化を減
じることが出来る。
【0097】また、本発明における露光は縦マルチであ
る走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて
行うことも好ましい。縦マルチモードのレーザー露光と
することにより縦単一モードの走査レーザー光に比べて
干渉縞様のムラの発生等の画質劣化が減少する。縦マル
チ化するには、前記の方法の他、合波による、戻り光を
利用する、高周波重畳をかける、などの方法がある。な
お、縦マルチとは、露光波長が単一でないことを意味
し、通常露光波長の分布が5nm以上、好ましくは10
nm以上になるとよい。露光波長の分布の上限には特に
制限はないが、通常60nm程度である。
【0098】本発明の熱現像材料を現像する現像機の熱
現像部に採用する熱ローラは、耐熱性、耐薬品性、耐摩
耗性、帯電防止特性等を備えた任意のローラを採用する
ことができるが、特に耐熱性と耐薬品性を高めたシリコ
ーンゴム(オルガノポリシロキサン)ローラが好まし
い。シリコーンゴムは、必要に応じて種々の着色剤を添
加して色着けが行われている。シリコーンゴムに黒色を
与える代表的な着色剤としてはカーボンブラックや黒ベ
ンガラ(Fe34)が知られている。また種々の添加剤
を添加して耐熱性を与えることも行われている。このよ
うなシリコーンゴム組成物に耐熱性を与える方法として
は、一般的には架橋促進剤として白金触媒が代表的であ
り、また白金触媒とカーボンブラック等の添加剤との組
合わせも提案されている。例えば米国特許第3,65
2,488号明細書ではカーボンブラックが、また米国
特許第3,635,874号明細書では酸化チタンが助
剤として挙げられている。国内では特公昭51−243
02号公報で酸化鉄(FeO) x(Fe23yを添加す
る方法が用いられており、中でも黒ベンガラ(Fe
34)は黒色で、熱伝導性に優れていることから好まし
いものとして記載されている。
【0099】しかしながら、上記黒ベンガラ等の酸化鉄
類は熱現像材料の還元剤と酸化剤との酸化還元反応によ
り色が黒から赤に変化し、それにともなって機械強度、
耐熱性が低下し易いという問題がある。本発明ではシリ
コーンゴムローラに添加される金属酸化物が酸化鉄類の
ときは、好ましくはその表面を変質防止のための処理を
施したものが用いられる。
【0100】以下、熱ローラとしてのシリコーンゴムロ
ーラを製造するための各成分の好ましい配合例を示す。
【0101】(A)珪素原子の一部を炭素数1〜30の
異種原子で置換されてもよいオルガノポリシロキサン1
00質量部に対して、(B)金属酸化物10〜100質
量部、(C)硬化剤0.1〜10質量部、(D)変質防
止のための表面処理が施された酸化鉄類0.1〜50質
量部が添加される。
【0102】以下、上記(A)、(B)、(C)及び
(D)についてさらに詳述する。本発明のシリコーンゴ
ムローラを製造するための(A)成分のオルガノポリシ
ロキサンは、該オルガノポリシロキサンの珪素原子に置
換または非置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基を
有し、該1価の炭化水素基としてはアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基などが例示され、さらに該1価の炭
化水素基が有してもよい置換基として例えばメチル基、
ビニル基又はフェニル基等から選択される一価の基が好
ましい。上記アルケニル基は0.01〜5モル%、特に
0.02〜0.5モル%含有されることが好ましい。さ
らにまた上記1価の炭化水素基としてのアルキル基、ア
ルケニル基、アリール基などの炭素原子に結合する水素
原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置
換されたものであってもよく、例えば3,3,3−トリ
フロロプロピル基、2−シアノエチル基などが挙げら
れ、3,3,3−トリフロロプロピル基が特に好まし
い。また、上記オルガノポリシロキサンの分子鎖両末端
基としてはヒドロキシ基、トリメチルシリル基、ジメチ
ルビニルシリル基、トリビニルシリル基などが挙げられ
るが特にこれらに限定されない。前記(A)成分のオル
ガノポリシロキサンは、十分な機械強度を出すために、
重合度が2,700以上、好ましくは3,000〜2
0,000であるが、特に好ましくは4,800〜1
0,000である。また(A)成分のオルガノポリシロ
キサンは構造や重合度の異なる2種以上を併用すること
もできる。
【0103】(B)成分の金属酸化物はシリコーンゴム
の補強用として用いられ、例えばシリカ、アルミナ、酸
化チタン、マグネタイト、ヘマタイト、黒ベンガラ等が
挙げられ、特にシリカが好ましく用いられ、該シリカと
してはシリコーンゴムに適度の硬さを与え且つその引張
り強さ等の機械強度を向上させるために、その有する比
表面積が66m2/g以上のものが使用されるが、特に
99m2〜444m2/gのものが好ましい。このような
補強性シリカとして具体的には、ヒュームドシリカ、焼
成シリカ、沈降シリカ等が単独又は2種以上の組み合わ
せで用いられる。またこれらのシリカは直鎖状オルガノ
ポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、ヘキサ
メチルジシラザン、ジクロルジメチルシラン等で表面処
理されたものを用いることもできる。(B)成分の配合
量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部
に対して10〜100質量部であり、好ましくは20〜
50質量部である。配合量がこの数値範囲外であると、
シリコーンゴム組成物の加工性が悪くなったり、十分な
機械強度が得られなくなる場合がある。
【0104】(C)成分は、本発明の組成物を硬化させ
てシリコーンゴムとするものであり、一般には有機過酸
化物が使用される。また(A)成分のオルガノポリシロ
キサンが分子中に2個以上のアルケニル基を含有する場
合には硬化剤としてオルガノハイドロジェンポリシロキ
サンと白金系触媒の組合わせたものが使用可能である。
硬化剤の量は後記のように本発明の組成物を硬化させる
のに十分な量であればよい。本発明で使用可能な有機過
酸化物を例示するとジクミルパーオキサイド、ジt−ブ
チルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベン
ゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、2,4
−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、4−クロロベン
ゾイルパーオキサイド等が挙げられる。これら有機過酸
化物の配合量は、本発明の組成物を硬化させるのに十分
な量として(A)成分100質量部に対して0.1〜1
0質量部の範囲内である。
【0105】また、前記(A)成分のオルガノポリシロ
キサンが分子中に2個以上のアルケニル基を含有する場
合に硬化剤として使用可能なオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封
鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメ
チルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイド
ロジェンシロキサン共重合体、両末端メチルハイドロジ
ェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイド
ロジェンシロキサン共重合体などが例示される。他方白
金系触媒としては塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール
溶液、塩化白金酸とジビニルテトラメチルシロキサンと
の錯体等が例示される。上記のオルガノハイドロジェン
ポリシロキサンの配合量は、一般に、オルガノハイドロ
ジェンポリシロキサン中に含まれるケイ素原子に結合す
る水素原子のモル数と(A)成分中のアルケニル基のモ
ル数との比率が(0.5:1)〜(20:1)になる量
であり、白金系触媒の量は、一般に(A)成分の質量に
もとづいて、白金量換算で0.1〜3,000ppm程
度であり耐熱化剤として白金化合物を用いる場合は共用
できる。
【0106】次に(D)成分はシリコーン組成物の好ま
しい成分であり、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミ
ナ、酸化チタン、酸化すず等の金属酸化物で表面処理し
て変質防止されたマグネタイト、ヘマタイト、黒ベンガ
ラ等の酸化鉄類、又はマンガン、アンチモン、スズ、亜
鉛等の金属を表面にドープして変質防止処理がなされた
マグネタイト、ヘマタイト、黒ベンガラ等の酸化鉄類が
0.1〜50質量%含有される。
【0107】本発明のシリコーン組成物の特に好ましい
成分としては、1〜10質量%のアルミナ又シリカ−ア
ルミナで処理されたマグネタイト及び/又は10〜20
質量%のマンガンがドープされた微粉状のヘマタイトで
ある。一般にマグネタイトやヘマタイトは酸化剤に接す
る場合、80℃を越えると表面が酸化されて黒色から赤
色に変色して変質するが、上記のように表面処理された
マグネタイトやヘマタイトは、耐熱性に優れ、これらを
配合したシリコーン組成物から得られるシリコーンゴム
ローラの耐熱試験や対薬品性において茶変や赤変を生ぜ
ず、さらには白金化合物を併用すると優れた耐熱性を示
し、且つ高温に暴露後の機械的強度の低下が少ないとい
う特性が発揮される。上記のようにアルミナ又はシリカ
−アルミナの処理量はマグネタイトに対して1〜10質
量%であり、1質量%未満ではシリコーンゴムローラに
十分な耐熱性を付与することができず、10質量%を越
えると表面処理されたマグネタイトの十分な分散性が得
られず、機械的強度の均一なシリコーンゴムローラが得
られない。
【0108】また、ヘマタイトは通常赤色であるが、マ
ンガンが上記したように10〜20質量%ドープされた
微粉状のヘマタイトは優れた黒色となり、マンガンのド
ープ量が10質量%未満ではシリコーンゴムローラに対
して十分な黒色を与えず、20質量%を越えるとヘマタ
イトが凝集し易くなり、且つ分散性が低下する。上記し
たマンガンやヘマタイトは市販のものをもちいて表面処
理を行うことができる。
【0109】また(D)成分は更に本発明の目的を損な
わない範囲内において、シランカップリング剤などの有
機化合物やAl、Siなどの無機化合物で処理し、流動
性や耐薬品性を改良したものも使用可能である。(D)
成分の粒径は0.1〜5.0μmものが好ましく、より
好ましくは0.1〜2.0μmである。0.1μm未満
のものは活性が高く配合が困難なことがあり、5.0μ
mを超えると硬化物の機械強度を損ねることがある。本
発明において、(D)成分をオルガノポリシロキサン組
成物に配合する際通常用いられるニーダー、バンバリー
ミキサー、オープンロールなどの混練り機を使用しう
る。(D)成分の配合量は前記したように(A)成分の
オルガノポリシロキサン100質量部に対して好ましく
は0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜5質量
部の範囲で用いられる。0.1質量部未満であると十分
な黒色とならず、耐熱性、耐薬品性も不充分となり50
質量部を超えるとシリコーンゴムローラの弾性が悪くな
る。また前記(D)成分を2種以上併用してもよい。
【0110】なお、上記白金化合物は(D)成分と共に
シリコーンゴムの耐熱性の効果を相乗的に向上させるも
のであり、形態としては前記のように塩化白金酸、塩化
白金酸のアルコール溶液などが挙げられる。白金化合物
の添加量は白金量換算で本発明のシリコーンゴム組成物
100質量部に対して0.0001〜0.1質量部で好
ましくは0.001〜0.01質量部ある。上記限定範
囲下限値未満であると効果が不十分になり、限定範囲上
限値を超えても効果は変わらずかえって経済的でない。
【0111】また、シリコーンゴム組成物には、前記
(A)〜(D)成分以外に、本発明の目的を損なわない
範囲内の量で、通常シリコーンゴムに適宜配合される種
々のゴム配合剤、例えばジフェニルシランジオール、低
重合度の分子鎖末端水酸基のシリコーンオイル、ヘキサ
メチルジシラザン、アルコキシシラン等の分散剤、粉砕
シリカ、けいそう土、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボン
ブラック、酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、炭酸亜鉛、アスベスト、ガラスウール、微粉マ
イカ、溶融シリカ粉末等を添加配合しても差し支えな
い。更に必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、帯電防
止剤、窒化ホウ素、酸化アルミニウム等の熱伝導性向上
剤などを配合してもよい。
【0112】シリコーンゴム組成物を製造する方法とし
ては、特に限定されないが、(A)、(B)成分をニー
ダー等の混練装置に仕込み、室温で配合した後、80〜
200℃の温度で、30分〜5時間熱処理し、その後
(D)成分を加えローラミルやバンバリーミキサー等で
混練りする方法などを採用することができる。その後
(C)成分を添加し公知の方法で加熱硬化すればよい。
このようにして得られるシリコーンゴム硬化物は、良好
な耐熱性と耐薬品性を有する。
【0113】図1は本発明の現像方法を説明する熱現像
装置の一例を示す要部断面図であり、図中、レーザー光
により露光された熱現像材料1は、好ましくは乳剤層側
を下にして搬送ローラ2により現像部7に導入され、該
現像部7により加熱搬送されて現像され、排出ローラ4
により排出される。上記現像部7の構成は遠赤外線ヒー
ター、ニクロム線ヒーター等の熱源3を有し、矢印方向
に回転する熱ドラム5と、その外周に該熱ドラム5と同
期して回転する複数の熱ローラ群6との間に挟持搬送さ
れる。なお8及び8′は断熱カバーであり、断熱カバー
8の裏面は熱を反射するコールドミラーとなっている。
なお、熱現像材料1を現像部7に導入する前に図示しな
い予熱手段を設け、且つ熱現像材料1の現像後、図示し
ない冷却手段を設けるのが好ましい。
【0114】ここで、熱ドラム5は銅、アルミニウム、
スチール等の熱伝導性に優れた材料が用いられ、複数の
熱ローラ群6は好ましくは前記した金属又は金属酸化物
等で表面処理された酸化鉄類が含有されたシリコーンロ
ーラが用いられ、その表面硬度は弾性率で表したときの
値が1×10-4〜1Paとするのが好ましい。また熱現
像材料1の搬送スピードは1〜100cm/secとす
るのが好ましく、80〜180℃で5〜100sec間
加熱搬送して現像するが好ましく、搬送時の熱ドラム5
と熱ローラ群6との圧力は102〜105Paとするのが
好ましい。
【0115】なお、上記では、熱ローラ群6側に熱源を
設けず、該熱ローラ群6を熱源内蔵の熱ドラム5に圧接
させること及び断熱カバー8内面のコールドミラーの熱
反射により加熱させることにより現像を行う例を説明し
たが、本発明の現像方法では、熱源を熱ローラ群6に設
けて現像するようにしてもよい。
【0116】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0117】実施例1 [下引済み写真用支持体の作製]厚さ175μmのポリ
エチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分
のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a
−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させ
て下引層A−1とし、また反対側の面に下記下引塗布液
b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥さ
せて下引層B−1とした。
【0118】 《下引塗布液a−1》 ブチルアクリレート(30質量%)、t−ブチルアクリレート(20質量%) 、スチレン(25質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート (25質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1lに仕上げる。
【0119】 《下引塗布液b−1》 ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、 グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテックス液 (固形分30%) 270g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1lに仕上げる。
【0120】引き続き、下引層A−1及び下引層B−1
の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引
層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜
厚0.1μmになる様に下引層A−2として、下引層B
−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.
8μmになる様に帯電防止機能をもつ下引上層B−2と
して塗設した。
【0121】 《下引上層塗布液a−2》 ゼラチン 0.4g/m2になる質量 シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で1リットルに仕上げる。
【0122】 《下引上層塗布液b−2》 スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g アンチモンおよび燐を1質量%ドープ含む酸化錫微粒子 (平均粒子径15nm) 22mg/m2になる質量 水で1リットルに仕上げる。
【0123】(ハロゲン化銀乳剤Aの調製)水900m
l中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10
mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた
後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/
2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶
液(硝酸銀と当モル量)をpAg7.7に保ちながらコ
ントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加し
た。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3
a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHで
pHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、投影
直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立
方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を
用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール
0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整し
て、ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0124】(水分散有機銀塩の調製)4720mlの
純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8
g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に
高速で攪拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液
540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、
55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の
有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上
記ハロゲン化銀乳剤A(銀0.038モルを含む)と純
水450mlを添加し5分間攪拌した。次に1Mの硝酸
銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに2
0分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その
後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水
による水洗、濾過を繰り返し、所定の濃度まで水を加え
て仕上げた。
【0125】(感光層およびBC層塗布液の調製)上記
で下引層を施した支持体上に以下の各層を順次形成し、
試料を作製した。尚、乾燥は各々45℃、1分間で行っ
た。
【0126】(バック面側塗布) バック層:以下の組成物の水溶液または水分散体を水に
加えて調製した塗布液を以下の付き量になるように塗布
乾燥した。
【0127】 イナートゼラチン 1.1g/m2 表面活性剤:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.03g/m2 (バック層保護膜) イナートゼラチン 0.8g/m2 マット剤(PMMA:平均粒径3μ) 0.02g/m2 シリカ微粒子(平均粒子径5μm) 0.03g/m2 活性剤:N−プロピルパーフロロオクチルスルホンアミド酢酸 0.02g/m2 硬膜剤:1,2−ビス(ビニルスホンアミド)エタン 0.02g/m2 (感光層面側塗布)感光層の調製は以下の組成物の水分
散体を水に加えて塗布液を調製した。この塗布液を35
℃に保ち、銀電極と10%KNO3塩溶液からなる塩橋
を介した3M溶液中のAg/AgCl電極からなる参照
電極から形成される銀電位計を用いて銀電位を測定後、
以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0128】銀量として1.4g/m2になる量のハロ
ゲン化銀と有機銀塩の調製液をポリマーバインダーと混
合した。有機銀塩に対してハロゲン化銀は10分の1等
量になるように加えた。
【0129】 バインダー:スチレン−ブタジエンラテックス 5.6g/m2 熱消色性増感色素:表1記載 2×10-5モル/m2 塩基発生前駆体:表1記載 2×10-5モル/m2 酸無水物:表1記載 2×10-5モル/m2 カブリ防止剤−1:ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド 0.3mg/m2 カブリ防止剤−2:イソチアゾロン 1.2mg/m2 カブリ防止剤−3:2−トリブロモメチルスルホニルキノリン 120mg/m2 現像剤:1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル −3,5,5−トリメチルヘキサン 3.3ミリモル/m2 感光層塗布液のpHは5.6に調整した。
【0130】表面保護層:以下の組成物を加えて調製し
た塗布液を、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0131】 イナートゼラチン 1.2g/m2 4−メチルフタル酸 0.7g/m2 テトラクロロフタル酸 0.2g/m2 テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2 シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.05g/m2 ポリメタクリル酸メチルマット剤(平均粒子径6μm) 0.03g/m2 1,2−(ビスビニルスルホンアセトアミド)エタン 0.3g/m2 N−プロピルパーフロロオクチルスルホンアミド酢酸 0.02g/m2 《写真性能の評価》常湿試験用試料、高湿試験用試料に
作製した熱現像材料を半導体レーザーまたはガスレーザ
ー感光計で露光し、次いでヒートドラムを用いて(BC
側にヒートドラム接触)100℃で2秒後更に110
℃、6秒で熱現像処理した。常湿試験は塗布乾燥後の熱
現像材料を25℃60%RHの雰囲気下に3日置いた後
に行った。露光波長は染料の吸収極大に近いレーザー光
を使用した。レーザー波長は810nmの波長光を発生
するレーザーを選択し、熱現像材料の露光面と露光レー
ザー光の角度は90度とした。その際、露光及び現像は
25℃相対湿度60%に調湿した部屋で行った。得られ
た画像の評価(感度とカブリおよび最高濃度(Dma
x))を濃度計により測定した。感度はカブリ(最低)
濃度(Dmin)より0.3高い濃度を与える露光量の
比の逆数で評価し塗布試料No.1を100として相対
評価で表わした。熱消色性は、常湿試験試料の現像後の
可視濃度を目視判定した。実際の熱消色性は、可視部に
吸収がなく透明性が高いのが良いのであって、赤外染料
が熱現像後に赤外部の吸収が減っても可視部の吸収があ
る場合は、熱消色はよくないと評価される。評価は5ラ
ンク方式で5は最もよい熱消色性を、1は最も悪い熱消
色性を、3はその中間を表す。
【0132】高湿試験として35℃78%RHの雰囲気
下試料小片を同一試料番号を5枚ずつ60枚(5×1
2)重ねて4.9kPaの圧力を上部に掛けて3日間保
存したのち、連続の同一番号5枚の中央部分をそれぞれ
抜き取りカブリを評価した。
【0133】評価した結果を表1に示す。
【0134】
【表1】
【0135】
【化27】
【0136】本発明の熱消色分光増感色素を使用すると
増感性、熱消色性および高湿保存性の良いことがわか
る。塩基発生前駆体、酸無水物を使用すると更に熱消色
性が向上することがわかる。
【0137】実施例2 実施例1と同様に試料を作製し評価したが、ここでは熱
消色染料を含むBC層を支持体の反対側に設けた。BC
層側の染料の添加時には、表2記載の酸無水物および塩
基発生前駆体を添加した。BC層の処方を下記に示す。
この試料を100℃1秒間、105℃1秒間、110℃
1秒間、120℃3秒間ヒートドラムで加熱した後、2
5℃相対湿度50%の部屋に3時間保存後、実施例1と
同様にして評価した。鮮鋭性は、鮮鋭度を評価できるM
TFチャート画像を描画して目視評価した。両者とも評
価は5段階で5が最も良く、1が最も低い。3ランクは
実用的レベルである。評価結果を表3に示す。
【0138】 BC層 イナートゼラチン 0.3g/m2 熱消色染料:表2記載 1.15×10-5モル/m2 酸無水物:表2記載 1.25×10-5モル/m2 塩基発生前駆体:表2記載 1.15×10-5モル/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.30×10-5モル/m2
【0139】
【表2】
【0140】
【表3】
【0141】本発明の熱消色分光増感色素、塩基発生前
駆体および酸無水物を感光層に使用し、且つ熱消色性染
料、塩基発生前駆体および酸無水物をBC層に使用する
と鮮鋭性が向上し、しかも熱消色性が良く残色の少ない
ことがわかる。
【0142】実施例3 実施例1と同様に試料を作製し評価したが、ここでは塩
基発生前駆体および酸無水物を感光層に添加せず感光層
の下にBL層として下記処方で設けた。
【0143】 BL層 イナートゼラチン 0.3g/m2 熱消色染料:表4記載 1.15×10-5モル/m2 酸無水物:表4記載 1.25×10-5モル/m2 塩基発生前駆体:表4記載 1.15×10-5モル/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1.30×10-5モル/m2
【0144】
【表4】
【0145】本発明の熱消色分光増感色素を使用し、塩
基発生前駆体、酸無水物を感光層に隣接する層に設けて
も熱消色性に優れることがわかる。
【0146】実施例4 実施例1と同様に試料を作製し評価したが、ここでは、
感光層のゼラチンに代えてラテックスを使用した。実験
内容を下記表5に、結果を表6に示す。置換率はゼラチ
ンをラテックスに代替した割合を示す。指紋跡は、25
℃相対湿度80%の雰囲気下で親指でフィルムを強く押
圧(2kg/cm2)したときの指紋の付き方で評価し
た。指紋が最も濃く付くときをランク1、指紋跡が全く
付かない時を5とし、跡が見えても問題にならないレベ
ルを3とした。圧力カブリはフィルムを45度に曲げる
操作を5回繰り返してカブリ値の増加を評価した。
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】本発明の熱消色分光増感色素を使用し、ゼ
ラチンをラテックスに代替すると残色、指紋跡、圧力カ
ブリ等の性能が向上する。更にハロゲン原子を含むラテ
ックスが好ましいことがわかる。
【0150】実施例5 実施例4と同様に試料を作製し、ここでは熱現像機のヒ
ートドラムに代えて熱ローラを採用した。熱ローラの材
質を変化させて試料を130℃16秒で現像した。熱現
像ローラは、白金触媒200ppm使用した重合度88
00のポリオルガノシロキサンに下記組成の素材を13
%含有させた熱ローラを使用し、熱現像材料をローラの
面積の20倍量処理したときのローラの汚れと現像後の
試料表面の汚れを目視評価した。平滑性は、試料片の通
過した部分と試料片が通過していないところのローラの
厚みの変化を目視評価した。ランク5は最も良いレベ
ル、ランク1は最も悪いレベル、ランク3は中間程度を
表す。結果を表7に示す。
【0151】ポリオルガノシロキサンローラに配合した
素材の具体例 (1)平均粒子径0.7μmのカーボンブラック (2)平均粒子径0.3μmのシリカ (3)平均粒子径0.5μmのマグネタイト粒子 (4)平均粒子径0.6μmのヘマタイト粒子 (5)(3)の粒子表面をアルミナで10質量%表面処
理 (6)(3)の粒子表面をシリカで10質量%表面処理 (7)(3)の表面粒子をシリカとアルミナで各5質量
%表面処理 (8)(3)の粒子にマンガンを14%ドープした粒子 (9)(4)の粒子表面をアルミナで10質量%表面処
理 (10)(4)の粒子表面をシリカで10質量%表面処
理 (11)(4)の表面粒子をシリカとアルミナで各5質
量%表面処理 (12)(4)の粒子にマンガンを14%ドープした粒
子 (13)配合素材なし
【0152】
【表7】
【0153】熱ローラに金属酸化物または表面処理した
金属酸化物を使用するとローラや試料表面に汚れが発生
しなくなること、ローラの耐久性が増すことがわかる。
【0154】実施例6 実施例4と同様な方法で試料を作製したが、ここではオ
ルガノシロキサンローラに金属酸化物および酸無水物を
下記表8記載の量で添加してニーダーで4時間混練し、
ステン軸に成形加工した。ローラの成形は温度は180
℃3時間の処理を行った。
【0155】
【表8】
【0156】熱ローラに金属酸化物または表面処理した
金属酸化物を使用し、同時に酸無水物で処理するとロー
ラや試料表面に汚れが発生しなくなること、ローラの平
滑性が保たれることがわかる。
【0157】
【発明の効果】本発明により、熱現像材料に適した増感
性が高く、且つ熱消色性の高い分光増感色素をうること
ができ、特に高湿下の保存安定性が優れ、現像時に熱ロ
ーラによる汚れの発生やローラの劣化が少ない長期ラン
ニング安定性に優れた熱現像材料及び熱現像方法を得る
ことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱現像装置の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 熱現像材料 2 搬入ローラ 3 熱源 4 排出ローラ 5 熱ドラム 6 熱ローラ群 7 現像部 8,8′ 断熱カバー

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも一方の面に感光性ハ
    ロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含有する感光層
    を有する熱現像材料において、感光性ハロゲン化銀粒子
    が熱消色分光増感色素で分光増感されていることを特徴
    とする熱現像材料。
  2. 【請求項2】 熱消色分光増感色素が下記一般式(1)
    で示されることを特徴とする請求項1記載の熱現像材
    料。 【化1】 〔式中、Q1およびQ2は置換基を有してもよい5員又は
    6員の単環又はそれらの環と縮合して形成される縮合環
    を形成するに必要な原子群を表し、L1はメチン鎖を含
    むQ1又はQ2で形成される環を結合する連結基を表し、
    1およびR2は置換基を表す。R1およびR2の少なくと
    も一方は−CH2CO−X1−R11または−CH2CO−
    N(R12)R13であり、X1は酸素原子または硫黄原子
    を表し、R11,R12およびR13はそれぞれ置換基を表
    す。Q1またはQ2で形成される環上には、−T−R14
    を有す。TはS、SOまたはSO2を表し、R14は置換
    基を表す。X-はアニオンを表す。〕
  3. 【請求項3】 ハロゲン化銀粒子を含有する感光層又は
    該感光層に隣接する層中に下記一般式(2)で示される
    塩基発生前駆体を含有することを特徴とする請求項1又
    は2記載の熱現像材料。 【化2】 〔式中、Z1およびZ2は置換基を有してもよい4員〜9
    員の環を形成するに必要な原子群を表し、L2はZ1又は
    2で形成される環を結合する連結基を表す。Yは置換
    基を表し、nは0又は1〜4の整数を表し、nが2以上
    のとき、複数のYは同じであっても異なっていてもよ
    く、隣接するYは互いに結合して環を形成してもよ
    い。〕
  4. 【請求項4】 ハロゲン化銀粒子を含有する感光層又は
    該感光層に隣接する層中に下記一般式(3)又は(4)
    で表される酸無水物を含有することを特徴とする請求項
    1〜3の何れか1項記載の熱現像材料。 【化3】 〔式中、W1、W2及びW3は酸無水物母核を構成する原
    子群を表し、L3はW2及びW3で形成される酸無水物母
    核を結合する連結基を表し、R3及びR4は、置換基を有
    してもよい脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基を表し、m
    1及びn1は0又は1〜4の整数を表し、m1及びn1
    が2以上のとき、複数のR3及びR4は同じであっても異
    なっていてもよく、隣接するR3及びR4は互いに結合し
    て環を形成してもよい。〕
  5. 【請求項5】 感光層中にラテックスを含み、該ラテッ
    クスのガラス転移温度が−20〜80℃であることを特
    徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の熱現像材料。
  6. 【請求項6】 ラテックスは分子中にハロゲン原子を含
    有することを特徴とする請求項5記載の熱現像材料。
  7. 【請求項7】 前記請求項1〜6の何れか1項に記載の
    熱現像材料の現像が、金属酸化物を含有するシリコーン
    ゴム製の熱ローラを用いて行われることを特徴とする熱
    現像材料の現像方法。
  8. 【請求項8】 前記一般式(3)又は(4)で表される
    化合物の存在下で熱処理された熱ローラを用いることを
    特徴とする請求項7記載の熱現像材料の現像方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013080925A1 (ja) * 2011-11-29 2015-04-27 東レ株式会社 表面保護フィルムの製造方法および製造装置ならびに表面保護フィルム
CN113773666A (zh) * 2021-08-11 2021-12-10 大连理工大学 一类三线态系间窜越菁染料、其制备方法及应用
CN114853743A (zh) * 2022-06-08 2022-08-05 常州大学 一种基于胞嘧啶的花菁探针及其制备方法和应用

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