JP2001083656A - プリントアウトを改良した熱現像感光材料 - Google Patents

プリントアウトを改良した熱現像感光材料

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JP2001083656A
JP2001083656A JP25863899A JP25863899A JP2001083656A JP 2001083656 A JP2001083656 A JP 2001083656A JP 25863899 A JP25863899 A JP 25863899A JP 25863899 A JP25863899 A JP 25863899A JP 2001083656 A JP2001083656 A JP 2001083656A
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Takeshi Haniyu
武 羽生
Yasushi Usagawa
泰 宇佐川
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、溶媒系塗布でも水系塗布方
式でもプリントアウトに優れ、高い画像濃度が得られ、
好ましいコントラストを有する高画質の画像を得ること
が出来、かつ高湿度下の保存安定性がよく、現像後のプ
リントアウトの劣化の少ない熱現像感光材料を提供する
ことである。 【解決手段】 支持体に感光性ハロゲン化銀粒子、有機
銀塩及びこの有機銀塩の還元剤を1つの層、或いは複数
の層中にそれぞれ含有してなる熱現像感光材料におい
て、該層又は該層に隣接する層の少なくとも1層に、熱
により層内または層間可動性のポリハロメタン化合物を
放出する下記一般式(1)で表される化合物を少なくと
も1種含有することを特徴とする熱現像感光材料。 一般式(1) (K)m−Q−(Y)n−(L)p−CX3 (式中、Kは熱により脱離する置換基を表し、mは1以
上4以下の整数を表す。m≧2の場合、複数のKは同一
であっても異なっていてもよい。Qは置換基を有しても
よい芳香族環またはヘテロ環を形成するに必要な原子群
を表す。Yは−CO−、−SO−または−SO2−を表
し、LはCF2基を表す。nおよびpは0または1を表
す。Xはハロゲン原子を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像により画像を
形成する熱現像感光材料に関するもので、詳しくは、溶
媒系塗布で、又水系塗布で製造しても高感度で、カブリ
が少なく、保存安定性に優れ、かつ、現像後のプリント
アウト性能に優れた熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療や印刷の分野で環境保護や作
業性の面から感光材料の湿式処理に伴う廃液のでない熱
現像感光材料が強く望まれている。この技術として、例
えば、米国特許第3,152,904号、同3,48
7,075号及びD.モーガン(Morgan)による
「ドライシルバー写真材料(Dry Silver P
hotographic Materials)」(H
andbook of Imaging Materi
als,Marcel Dekker,Inc.第48
頁,1991)等に記載の方法がよく知られている。こ
れらの感光材料は通常、80℃以上の温度で現像が行わ
れるので、熱現像感光材料と呼ばれている。
【0003】従来からこのタイプの熱現像感光材料の多
くは溶剤塗布で製造されてきた。その理由は、水系の塗
布により現像剤と有機銀塩を混合して塗布した感光層
は、水を媒介にして酸化還元反応が徐々に進んでしま
い、カブリ性能やプリントアウト性能が劣化してしまう
ためである。
【0004】その為に熱でカブリ性能やプリントアウト
が劣化することを抑制する化合物鎖探索されてきた。特
にプリントアウトを改良する化合物としてポリハロメタ
ン化合物は特に効果のあるものとして注目され、例え
ば、米国特許第3,874,946号、同第4,45
2,885号、同第4,546,075号、同第4,7
56,999号、同第5,340,712号、特開昭5
4−165号、特開昭50−137126号、特開平7
−2781号公報および特開平9−265150号公報
等で開示されている。
【0005】しかしながら、これらポリハロメタン化合
物を使用してもプリントアウトに関する性能は充分でな
い。強制生保存性試験を行うと画像濃度が低下し、色調
が劣化する。特に湿度のある状態ではこの傾向が強い。
また熱処理後の保存性も悪く、画像濃度が低下する、色
調が劣化するなどの欠点を有していた。
【0006】又、水系塗布においてはこの様なポリハロ
メタン化合物を用いても現状では、写真性能や、プリン
トアウトのレベルが充分とは言えなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶媒
系塗布でも水系塗布方式でもプリントアウトに優れ、高
い画像濃度が得られ、好ましいコントラストを有する高
画質の画像を得ることが出来、かつ高湿度下の保存安定
性がよく、現像後のプリントアウトの劣化の少ない熱現
像感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の手段により達成される。
【0009】1.支持体に感光性ハロゲン化銀粒子、有
機銀塩及びこの有機銀塩の還元剤を1つの層、或いは複
数の層中にそれぞれ含有してなる熱現像感光材料におい
て、該層又は該層に隣接する層の少なくとも1層に、熱
により層内または層間可動性のポリハロメタン化合物を
放出する下記一般式(1)で表される化合物を少なくと
も1種含有することを特徴とする熱現像感光材料。
【0010】一般式(1) (K)m−Q−(Y)n−(L)p−CX3 (式中、Kは熱により脱離する置換基を表し、mは1以
上4以下の整数を表す。m≧2の場合、複数のKは同一
であっても異なっていてもよい。Qは置換基を有しても
よい芳香族環またはヘテロ環を形成するに必要な原子群
を表す。Yは−CO−、−SO−または−SO2−を表
し、LはCF2基を表す。nおよびpは0または1を表
す。Xはハロゲン原子を表す。) 2.ポリハロメタン化合物を放出する化合物をラテック
ス中に存在させたことを特徴とする前記1に記載の熱現
像感光材料。
【0011】3.ポリハロメタン化合物を放出する化合
物をワックス中に存在させたことを特徴とする前記1に
記載の熱現像感光材料。
【0012】4.ポリハロメタン化合物を放出する化合
物を空隙を有する微粒子中に存在させたことを特徴とす
る前記1に記載の熱現像感光材料。
【0013】5.ポリハロメタン化合物を放出する化合
物を微粒子状態にして熱現像感光材料中に存在させたこ
とを特徴とする前記1に記載の熱現像感光材料。
【0014】6.前記1〜5に記載の熱現像感光材料
に、該熱現像感光材料の露光面と走査レーザー光のなす
角度が実質的に垂直でないレーザー走査露光機による露
光を行うことを特徴とした画像形成方法。
【0015】7.前記1〜5に記載の熱現像感光材料を
走査レーザー光が縦マルチであるレーザー走査露光機に
より露光を行うことを特徴とする画像形成方法。
【0016】以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】熱現像感光材料はハロゲン化銀粒子を含む
感光層中に、有機銀塩、還元剤、プリントアウト防止剤
等が含まれている。保存中に還元剤がハロゲン化銀や有
機銀塩を徐々に還元しカブリ核を生成するためにカブリ
を引き起こし、感度の低下や軟調化を引き起こす。この
反応はプリントアウト防止剤の存在下で助長され、ま
た、高湿度下では、更にカブリやすい、感度が低下す
る、軟調になりやすい、又銀の色調劣化をもたらす。こ
れは、プリントアウト防止剤中のハロゲン原子が、保存
中に有機銀塩中の銀イオンと反応し、有機銀塩上にハロ
ゲン化銀を生成してしまうために、これにより生成した
ハロゲン化銀の存在が有機銀塩と還元剤との酸化還元反
応によるカブリ核生成をはやめるためであると考えられ
る。そこでプリントアウト防止剤起因のカブリ核生成反
応を保存状態下で抑制できれば、写真性能の劣化や保存
性を向上できると考えられる。しかし、現像活性を低下
させればこれら保存中の好ましくない反応は抑制される
が、同時に現像活性が低下し最大濃度の低下や、感度の
低下を引き起こし、写真性能上好ましくない。本発明者
らは、感光材料の塗布・乾燥及び感光材料の保存中に
は、拡散性が低く、実質的に作用をもたず、現像の熱に
よりプリントアウト防止剤をタイミングよく放出する前
駆体化合物を使用することにより、保存時のカブリの生
成やプリントアウト性能の劣化につながる好ましくない
反応を抑制でき、熱現像感光材料の保存性及び現像後の
プリントアウト性能を高めることができることを見いだ
した。
【0018】熱によりプリントアウト防止剤化合物が放
出される前駆体化合物として一般式(1)で示すことの
できるポリハロゲン化合物が好ましい化合物として挙げ
られる。
【0019】一般式(1) (K)m−Q−(Y)n−(L)p−CX3 式中、Kは熱により脱離する置換基を表し、mは1以上
4以下の整数を表す。m≧2の場合、複数のKは同一で
あっても異なっていてもよい。Qは置換基を有してもよ
い芳香族環またはヘテロ環を形成するに必要な原子群を
表す。Yは−CO−、−SO−または−SO2−を表
し、LはCF2基を表す。nおよびpは0または1を表
す。Xはハロゲン原子を表す。)Qで表される芳香族環
またはヘテロ環を形成するに必要な原子群は、電子吸引
性の置換基または電子供与性の置換基を有してもよい。
これらの置換基の例としては、それぞれ置換されてもよ
い炭素数1〜25アルキル基(メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン
化アルキル基(トリフルオロメチル基、パーフルオロオ
クチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、
シクロペンチル基等)、アルキニル基(例えば、プロパ
ルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、
複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサ
ゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピ
ラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナ
ゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリ
ル基、テトラゾリル基等)、ハロゲン原子(例えば、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アル
コキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピル
オキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ
基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、
アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アルコキ
シカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、
エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基
等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニル
オキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、
メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブ
タンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シ
クロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミ
ド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニ
ル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスル
ホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノ
スルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フ
ェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホ
ニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、
エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシ
ルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレ
イド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオ
ニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサ
ノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバ
モイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノ
カルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピル
アミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シ
クロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカル
ボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アミ
ド基(例えば、アセトアミド基、プロピオンアミド基、
ブタンアミド基、ヘキサンアミド基、ベンズアミド基
等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エ
チルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシ
ルスルホニル基、フェニルスルホニル基、2−ピリジル
スルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチ
ルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シク
ロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ
基等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル
基、ヒドロキシル基、オキザモイル基等から選択するこ
とができる。又これらの基は更にこれらの基で置換され
ていてもよい。
【0020】Kは、熱で脱離する置換基を表すが、好ま
しい具体例は−OCOOR1または−OCONHR1で表
すことができ、R1は、このトリハロメタン化合物を熱
現像感光層をはじめとする熱現像感光材料の各層中にお
いてトリハロメタン化合物を不動化するのに必要なかさ
高さを有する基であり、好ましくは炭素原子数4以上の
アルキル基、炭素数3以上のアルキル基を有するアリー
ル基およびヘテロ環基を表す。
【0021】これらのアルキル基例としてはイソブチル
基、tert−ブチル基、ヘキシル基、tert−オク
チル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オク
タデシル基等のような基の他に、シクロヘキシル基、シ
クロペンチル基等のようなシクロアルキル基やアダマン
チル基、1−メチルアダマンタン−1−イル基、テトラ
シクロドデシル基、トリシクロデカニル基、メンチル
基、イソボルニル基等のようなビシクロ環を含んだ脂環
式基を含む。
【0022】又、炭素数3以上のアルキル基を含んだア
リール基、ヘテロ環基としては例えばp−tertブチ
ルフェニル基、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニ
ル基等の嵩高い基を含んだアリール基、2,3−ジイソ
プロピルピラゾリル基等のヘテロ環基等が挙げられる。
これらのアルキル基や、アリール基、ヘテロ環基は更に
前記フタラジンの置換基として挙げられた様々な電子吸
引性、或いは電子供与性の置換基で置換されていてもよ
い。
【0023】この様な化合物の具体的な例を以下に示す
が、これにより本発明は限定されるものではない。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】本発明で用いられる上記一般式(1)で表
されるプリントアウト防止剤のうち上記の熱で脱離する
基としてウレタン基や炭酸基を有する化合物は、水酸基
を有するポリハロメタン化合物の芳香族環やヘテロ環に
これらウレタン基や、炭酸基を導入することで合成でき
る。水酸基をブロック化する方法は特開平4−1447
87号、特開平−183153号明細書等に記載された
ように、イソシアネート化合物をフェノール化合物に付
加させる方法や水酸基を有するポリハロメタン化合物を
クロロ蟻酸アリール化合物に変換後、そのクロロ蟻酸ア
リール化合物とアミン類と縮合させる方法などを用いて
製造したり、炭酸エステルを使用して製造することがで
きる。これらの熱で脱離するバラスト基を装着したポリ
ハロメタン化合物を以下バラスト化ポリハロメタン化合
物と呼び、Kで表される脱離する基をバラスト基と呼
ぶ。
【0029】バラスト化ポリハロメタン化合物を用いる
熱現像感光材料では、プリントアウト等の性能がバラス
ト化ポリハロメタン化合物のバラスト基の脱離温度に依
存するため、バラスト化剤の脱離温度は熱現像感光材料
のプリントアウトの点で重要な因子である。その為、本
発明の熱現像感光材料で用いられるバラスト化ポリハロ
メタン化合物のバラスト基の脱離温度はなるべく低いこ
とが望ましく、高くても脱離温度が160℃以下のもの
がよい。
【0030】バラスト化ポリハロメタン化合物のバラス
ト基の脱離温度を下げるためには、ポリハロメタン化合
物の芳香核側に電子吸引性の置換基や酸基を有している
方がよい。また、温度以外にプロトン濃度、還元剤濃
度、銀濃度、銀密度、バインダーの親水性とそ水性のバ
ランス等を最適に設定する必要がある。酸発生剤等を使
用してバラスト基を有利に脱離させることもできる。熱
現像によりバラスト基が脱離したポリハロメタン化合物
は分子量が低下し層内を容易に移動できるようになる。
保存中に生成したカブリ銀、プリントアウトにより生成
した銀は防止剤であるポリハロメタン化合物により銀イ
オンに転換されプリントアウトを抑制する。本発明の化
合物は、感光層のハロゲン化銀近傍でもよいし、感光層
に隣接する非感光層、中間層、保護膜等に存在させてお
いてもよい。
【0031】本発明の一般式(1)で示される化合物の
芳香族水酸基がバラスト基により置換されている化合物
において、置換された水酸基に隣接する置換基の少なく
とも1つが炭素数1〜35の置換されてもよいアルキル
基で置換されていることが好ましい。特に水酸基に隣接
する置換基が嵩高い基である場合、熱脱離が促進される
ので脱離を促進するためには嵩高い置換基を導入するの
が好ましい。嵩高い置換基は水酸基の隣接の両サイドに
配置するのが好ましいが、離れていてもよいし、水酸基
の片方側に導入してもよい。嵩高い置換基の例としてt
ert−ブチル基、tert−アミル基の様なアルキル
基、アダマンチル基、1−メチルアダマンタン−1−イ
ル基、4−メチルラクトン−1−イル基、テトラシクロ
ドデシル基、トリシクロデカニル基、メンチル基、イソ
ボルニル基等のビシクロアルキル基が好ましい。この様
に嵩高い置換基で脱離を促進させることを立体加速脱離
と呼ぶことができる。
【0032】本発明の化合物を添加する方法は公知の添
加法法に従って添加することができる。即ち、メタノー
ルやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン
やアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメ
チルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加するこ
とができる。又、サンドミル分散やジェットミル分散、
超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微
粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもでき
る。微粒子分散技術については多くの技術が開示されて
いるが、これらに準じて分散することができる。
【0033】本発明の熱現像感光材料のバインダーとし
ては、様々なものが使用でき、例えば、ヒドロキシエチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセ
ルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、
澱粉及びその誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸ア
ミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体、塩化ビニル−酢酸部ニル共重合体、スチレン−ブ
タジエン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0034】熱現像感光材料のバインダーは、ハロゲン
化銀、有機銀塩及び還元剤を始めとする熱現像感光材料
の各成分の反応する場を提供するものであり、ハロゲン
化銀の酸化還元反応が適正に進む必要がある。又、本発
明のバラスト化ポリハロメタン化合物もバラスト基が脱
離してポリハロメタン化合物が熱現像後に適正に層内を
拡散してプリント防止剤としての作用をなす必要があ
る。この様なポリマーは親水性であるよりも疎水性のポ
リマーがよく、例えば、ポリビニルアルコール(ポリビ
ニルアルコールはポリマー鎖間の水素結合が強いために
膜としては親水性というよりはかなり疎水性の性質をも
っている)、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブ
チラール、セルロースエステル類、アクリル酸アミド−
アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン
酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、
塩化ビニル−酢酸部ニル共重合体、スチレン−ブタジエ
ン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。更に、乾燥
後、膜を形成した後、その塗膜の平衡含水率の低いもの
が好ましい。これらのものとしては、セルロースアセテ
ート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(アクリ
ル酸エステル)類、ポリ(塩化ビニル)、コポリ(スチ
レン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロ
ニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリビ
ニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン
類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキ
シド類、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート、
ポリアミド類がある。
【0035】又、水系塗布を行う場合、好ましいポリマ
ーとしては水性ラテックスが使用できる。これらは、水
性の塗布液を構成するが、塗布後乾燥し、塗膜を形成す
る段階で均一なポリマー膜を形成するものである。これ
らを使用する場合には従って、有機減塩、ハロゲン化
銀、還元剤等を水性の分散液として、これらのラテック
スと混合し均一な分散液とした後、塗布することで熱現
像感光層を形成する。乾燥により、ラテックスは粒子が
融合し均一な膜を形成する。
【0036】好ましいポリマーの組成について更にガラ
ス転位点が−20℃から80℃までが好ましく、特に−
5℃から60℃までが好ましい。ガラス転位点が高いと
熱現像する温度が高くなり、低いとカブリやすくなり、
感度の低下や軟調になるからである。水分散ポリマー
は、平均粒子径が1nmから数μmの範囲の微粒子にし
て分散されたものが好ましい。水分散疎水性ポリマーは
ラテックスとよばれ、水系塗布のバインダーとして広く
使用されている中で耐水性を向上させるというラテック
スが好ましい。バインダーとして耐水性を得る目的のラ
テックスの使用量は、塗布性を勘案して決められる耐湿
性の観点から多いほど好ましい。全バインダー重量に対
して50%以上100%以下、80%以上100%以下
が好ましい。
【0037】好ましいポリマーとして水分散ラテックス
の具体例を示すが、ここでスチレンをSt、メチルアク
リレートをMA、イソノニルアクリレートをINA、シ
クロヘキシルメタクリレートをCA、ヒドロキシエチル
アクリレートをHEA、ヒドロキシエチルメタクリレー
トをHEMA、アクリル酸をAA、イタコン酸をIA、
マレイン酸をMA、アクリルアミドをAAm、スチレン
スルホン酸をSt−S、アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸アミドをAMPS、イソプレンスルホ
ン酸をIP−S、2−プロペニル−4−ノニルフェノキ
シエチレンオキサイド(n=10)スルホン酸エステル
をPF−Sと略す。
【0038】
【化5】
【0039】
【化6】
【0040】本発明においては、これらのポリマーバイ
ンダーとしては(ラテックスの場合は固形分量で)銀量
に対して4分の1から10倍の量、銀の付き量が2.0
g/m2の場合、ポリマーの付き量は0.5〜20g/
2であることが好ましい。また、更に好ましくは銀の
付き量の2分の1から7倍量、銀の付き量の2.0g/
2なら、1.0〜14g/m2である。銀付き量の4分
の1以下では、銀色調が大幅に劣化し、使用に耐えない
場合があるし、銀の付き量の10倍以上では、軟調にな
り使用に耐えなくなる場合がある。
【0041】本発明は、水分の影響の少ないバラスト基
によりブロック化した化合物の使用を提案しているが、
より性能の高い熱現像感光材料を得るには、上記ラテッ
クス粒子内に本発明の化合物を内在させることで保存時
のプリントアウト改良効果を高めることができる。ラテ
ックス粒子中に本発明の化合物を内在させる方法とし
て、ラテックス乳化液中に本発明の化合物を適当な有機
溶媒に溶かして、或いはメディア分散、超音波分散、ホ
モジナイザー分散、液−液対向高速衝突法等を行い1μ
m以下の微粒子に分散したものを投入して撹拌をするこ
とによるラテックス内部へ移行させる単純撹拌法を用い
たり、或いは本発明の化合物を微粒子にしたところでモ
ノマーを導入してラジカル重合、付加重合、縮重合等を
行い内部に閉じこめるマイクロカプセル法等を採用する
ことができる。
【0042】本発明に使用する、熱によりポリハロメタ
ン化合物を放出することを促進する機構は、本発明に使
用するハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤等の添加剤の層
内の存在量、位置等を制御して最適化を図ることもでき
る。また、感光層内に存在させる熱によりポリハロメタ
ン化合物を放出するバラスト化ポリハロメタン化合物の
存在量を本来色調に必要とする量(還元する銀と等量の
色調剤量)の99.0%〜60%に制御して、1部にポ
リハロメタン化合物の未バラスト体を1%〜40%が含
有させてもよいが、場合によっては、1%以下や、40
%以上でも系のpH調整やバインダー内の架橋密度や分
子の移動度等の制御でポリハロメタン化合物の層内の量
を適切に設定することができる。
【0043】又、本発明のバラスト化ポリハロメタン化
合物はワックス中に含有させ添加してもよく、それによ
りラテックス中に含有させた場合と同様の効果を得るこ
とが出来る。
【0044】本発明に使用するワックスは、合成や天然
のものを広く使用することができる。特にブラジル産の
パーム樹の葉からとれるカルナバワックスはその代表で
ある。主成分のエステルの含量が多い程良く、84%〜
85%が標準であるが、純度80%以上100%以下の
ものを使用するのがよい。
【0045】又、更に本発明のバラスト化ポリハロメタ
ン化合物は空隙を有する粒子に吸蔵させ層中に添加して
もよい。
【0046】本発明に使用する空隙を有する粒子は、可
視透明性が高く、本発明のフタラジン誘導体を多く吸蔵
することができるものが好ましい。平均粒子径は1nm
以上10μm以下が好ましい。空隙の大きさは、微粒子
の2分の1から100分の1程が好ましい。これら空隙
微粒子は市販されているものを利用することができる。
空隙シリカ微粒子、空隙スチレン微粒子、ゼオライト微
粒子、空隙マイカ微粒子、中空炭酸カルシウム微粒子、
α型、β型、γ型シクロデキストリン、ロタキサン、ス
メクタイト等を挙げることができる。
【0047】本発明の化合物を微粒子分散するには、本
発明の化合物をガラスビーズやジルコニア微粒子メディ
アを使用するサンドミル分散、細管から溶液を高速に噴
出させて硬い板状で砕いたり、2方向からの細管の液体
を衝突させて分散させる方法いずれでもよい。微粒子分
散は、水溶液中に平均粒子径1nm以上10μm以下の
大きさが好ましく、粒子分布が狭いことが好ましい。水
溶液中に分散するには、撹拌により泡が発生しにくいも
のがよい。
【0048】本発明のバラスト化ポリハロメタン化合物
の使用量は好ましくは銀1モル当たり1×10-2〜10
モル、特に1×10-2〜5モルである。
【0049】以下熱現像感光材料に用いられるその他の
成分について説明する。
【0050】本発明に使用する有機銀塩の金属塩の有機
酸としては、o−ベンゾイル安息香酸、o−アルキル置
換ベンゾイル安息香酸、o−アルキル安息香酸、m−ア
ルキル安息香酸、o−トルイル安息香酸、o−ハロゲン
化安息香酸、m−ハロゲン化安息香酸などの安息香酸
類、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、パ
ルミチン酸などの脂肪酸類などが挙げられる。
【0051】本発明の熱現像感光材料に使用される感光
性ハロゲン化銀は、シングルジェットもしくはダブルジ
ェット法などの写真技術の分野で公知の方法により、例
えば、アンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれか
の方法でも調製できる。この様に予め調製した後、本発
明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入
することが出来る。この場合に感光性ハロゲン化銀と有
機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロ
ゲン化銀を調整するときの保護ポリマーとして米国特許
第3,706,564号、同第3,706,565号、
同第3,713,833号、同第3,748,143
号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載さ
れたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリ
マーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号
明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤
のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,0
76,539号明細書に記載されているように感光性ハ
ロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することに
よって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を
適用することが出来る。
【0052】ハロゲン化銀は、光センサーとして機能す
るものであり、画像形成後の白濁を低く抑える為又、良
好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好まし
い。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.
01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μ
mが好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制
限はなく、立方体、八面体の謂ゆる正常晶や正常晶でな
い球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀
組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃
臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであっても
よい。
【0053】ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述
の有機銀塩の総量に対し50%以下好ましくは25%〜
0.1%、更に好ましくは15%〜0.1%の間であ
る。
【0054】本発明の熱現像感光材料に使用される感光
性ハロゲン化銀は又、英国特許第1,447,454号
明細書に記載されている様に、有機銀塩を調製する際に
ハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と
共存させこれに銀イオンを注入する事で有機銀塩の生成
とほぼ同時に生成させることが出来る。
【0055】更に他の方法としては、予め調製された有
機銀塩の溶液もしくは分散液、又は有機銀塩を含むシー
ト材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩
の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。
このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩と有
効に接触しており好ましい作用を呈する。ハロゲン化銀
形成成分とは有機銀塩と反応して感光性ハロゲン化銀を
生成しうる化合物であり、どのような化合物がこれに該
当し有効であるかは次のごとき簡単な試験で判別する事
が出来る。即ち、有機銀塩と試験されるべき化合物を混
入し必要ならば加熱した後にX線回折法によりハロゲン
化銀に特有のピークがあるかを調べるものである。かか
る試験によって有効であることが確かめられたハロゲン
化銀形成成分としては、無機ハロゲン化物、オニウムハ
ライド類、ハロゲン化炭化水素類、N−ハロゲン化合
物、その他の含ハロゲン化合物があり、その具体例につ
いては米国特許第4,009,039号、同第3,45
7,075号、同第4,003,749号、英国特許第
1,498,956号各明細書及び特開昭53−270
27号、同53−25420号各公報に詳説されるが以
下にその一例を示す。
【0056】(1)無機ハロゲン化物:例えばMXn
表されるハロゲン化物(ここでMは、H、NH4、及び
金属原子を表し、nはMがH及びNH4の時は1を、M
が金属原子の時はその原子価を表す。金属原子として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜
鉛、カドミウム、水銀、錫、アンチモン、クロム、マン
ガン、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、セリウム等
がある。)、又、臭素水などのハロゲン分子も有効であ
る。
【0057】(2)オニウムハライド類:例えばトリメ
チルフェニルアンモニウムブロマイド、セチルエチルジ
メチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルア
ンモニウムブロマイドの様な第4級アンモニウムハライ
ド、テトラエチルフォスフォニウムブロマイドの様な第
4級フォスフォニウムハライド、トリメチルスルフォニ
ウムアイオダイドの様な第3級スルフォニウムハライド
がある。
【0058】(3)ハロゲン化炭化水素類:例えばヨー
ドフォルム、ブロモフォルム、四塩化炭素、2−ブロム
−2−メチルプロパン等。
【0059】(4)N−ハロゲン化合物:例えばN−ク
ロロ琥珀酸イミド、N−ブロム琥珀酸イミド、N−ブロ
ムフタルイミド、N−ブロムアセトアミド、N−ヨード
琥珀酸イミド、N−ブロムフタラゾン、N−ブロムオキ
サゾリノン、N−クロロフタラゾン、N−ブロモアセト
アニリド、N,N−ジブロモベンゼンスルホンアミド、
N−ブロモ−N−メチルベンゼンスルホンアミド、1,
3−ジブロモ−4,4−ジメチルヒダントイン、N−ブ
ロモウラゾール等。
【0060】(5)その他のハロゲン含有化合物:例え
ば、塩化トリフェニルメチル、臭化トリフェニルメチ
ル、2−ブロム酢酸、2−ブロムエタノール、ジクロロ
ベンゾフェノン等がある。
【0061】これらのハロゲン化銀形成成分は有機銀塩
に対して化学量論的には少量用いられる。通常、その範
囲は有機銀塩1モルに対し0.001モル乃至0.7モ
ル、好ましくは0.03モル乃至0.5モルである。ハ
ロゲン化銀形成成分は上記の範囲で2種以上併用されて
もよい。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩
の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反
応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜
設定する事が出来るが、通常、反応温度は−20℃乃至
70℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であり、
その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。この
反応は又、後述する結合剤として使用されるポリマーの
存在下に行われることが好ましい。この際のポリマーの
使用量は有機銀塩1重量部当たり0.01乃至100重
量部、好ましくは0.1乃至10重量部である。
【0062】上記した各種の方法によって調製される感
光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、
白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、
クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感
する事が出来る。この化学増感の方法及び手順について
は、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許
第1,518,850号各明細書、特開昭51−224
30号、同51−78319号、同51−81124号
各公報に記載されている。又ハロゲン化銀形成成分によ
り有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際
に、米国特許第3,980,482号明細書に記載され
ているように、増感を達成するために低分子量のアミド
化合物を共存させてもよい。
【0063】又、これらの感光性ハロゲン化銀には、照
度不軌や、階調調整の為に元素周期律表の6族から11
族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、O
s、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させ
ることが出来る。これらの金属イオンは金属塩をそのま
まハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体又は錯体
イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。これらの、移
金属錯体及び金属錯体イオンとしては、下記一般式で表
される6配位錯体イオンが好ましい。
【0064】一般式〔ML6m式中、Mは元素周期表の
6〜11族の元素から選ばれる遷移金属、Lは架橋配位
子、mは0、1−、2−、3−又は4−を表す。Lで表
される配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化
物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナ
ート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシア
ナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオ
ニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル
及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場
合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好まし
い。Lは同一でもよく、また異なっていてもよい。
【0065】Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム
(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イ
リジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0066】これらの金属錯体又は錯体イオンは一種類
でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用
してもよい。
【0067】これらの金属のイオン、金属錯体及び錯体
イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モ
ル当たり1×10-9〜1×10-2モルが適当であり、好
ましくは1×10-8〜1×10-4モルである。これらの
金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロ
ゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組
み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、
つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの
段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成
の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の
段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の
段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割し
て添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有さ
せることもできるし、特開昭63−29603号、特開
平2−306236号、同3−167545号、同4−
76534号、同6−110146号、同5−2736
83号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて
含有させることもできる。これらの金属化合物は、水或
いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル
類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)
に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物
の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KCl
とを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩
溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或
いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第
3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲ
ン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属
化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロ
ゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをド
ープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させ
る方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もし
くは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した
水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好まし
い。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理
熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金
属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0068】本発明においては、感光層側にマット剤を
含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止
のために、感光材料の表面にマット剤を配することが好
ましく、そのマット剤を感光層側の全バインダーに対
し、重量比で0.5〜30%含有することが好ましい。
【0069】また、支持体をはさみ感光層の反対側に非
感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中
にマット剤を含有することが好ましく、感光材料のすべ
り性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット
剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の
反対側の層の全バインダーに対し、重量比で0.5〜4
0%含有することが好ましい。
【0070】本発明において用いられるマット剤の材質
は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機
物としては、スイス特許第330,158号等に記載の
シリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガ
ラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のア
ルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩等をマ
ット剤として用いることができる。有機物としては、米
国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギ
ー特許第625,451号や英国特許第981,198
号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号
等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第33
0,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタア
クリレート、米国特許第3,079,257号等に記載
のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,16
9号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット
剤を用いることができる。
【0071】マット剤の形状は、定形、不定形どちらで
も良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられ
る。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算し
たときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒
径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0072】本発明に用いられるマット剤は、平均粒径
が0.5μm〜10μmであることが好ましく、更に好
ましくは1.0μm〜8.0μmである。又、粒子サイ
ズ分布の変動係数としては、50%以下であることが好
ましく、更に、好ましくは40%以下であり、特に好ま
しくは30%以下となるマット剤である。
【0073】ここで、粒子サイズ分布の変動係数は、下
記の式で表される値である。
【0074】 (粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100これら
のマット剤は任意の構成層中に含むことができるが、本
発明の目的を達成するためには好ましくは支持体から見
て最も外側の層である。
【0075】本発明に係るマット剤の添加方法は、予め
塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、
塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を
噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット
剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。
【0076】本発明の熱現像感応材料は、熱現像処理に
て写真画像を形成するもので、還元可能な銀源(有機銀
塩)、触媒活性量のハロゲン化銀、還元剤、及び必要に
応じて銀の色調を抑制する色調剤を通常(有機バインダ
ーマトリックス中に分散した状態で含有している熱現像
感光材料であることが好ましい。本発明の熱現像感光材
料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば80℃〜
140℃)に加熱されることで現像される。加熱するこ
とで有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間
の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反
応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像の触媒作用によ
って促進される。露光領域中の有機銀塩の反応によって
生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対
照をなし、画像の形成がなされる。この反応過程は、外
部から水等の処理液を供給することなしで進行する。
【0077】本発明の熱現像感光材料は支持体上に少な
くとも一層の感光性層を有している。支持体の上に熱現
像感光層のみを形成しても良いが、この上に少なくとも
1層の非感光性層を形成することが好ましい。
【0078】又、感光性層に通過する光の量又は波長分
布を制御するために感光性層と同じ側にフィルター染料
層および/又は反対側にアンチハレーション染料層、い
わゆるバッキング層を形成しても良いし、感光性層に染
料又は顔料を含ませても良い。本発明に使用できる染料
及び顔料としては、IRG002(日本化薬(株)
製)、IRG022(日本化薬(株)製)などのインモ
ニウム或いはジインモニウム化合物、ビスジチオベンジ
ルニッケル錯体、トルエンジチオールニッケル錯体、4
−tert−ブチル−1,2−ベンゼンジチオールニッ
ケル錯体などのジチオラート系ニッケル錯体、インドシ
アニングリーン(第一製薬(株)製)、NK−2014
((株)日本感光色素研究所製)、NK−2014
((株)日本感光色素研究所製)、NK−2612
((株)日本感光色素研究所製)、1,1,5,5−テ
トラキス(P−ジメチルアミノフェニル)−3−メトキ
シ−1,4−ペンタジエントルエンなどのシアニン系色
素、NK−2772((株)日本感光色素研究所製)な
どのスクアリリウム系色素、ナフトキノン系色素、フタ
ロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、アントラ
キノン系色素などを挙げることができる。又、これらの
光吸収剤は、組み合わせて使用してもよい。
【0079】本発明のバラスト化フタラジンに加えて本
発明においては別種の特にバラスト化や、ブロック化さ
れていない通常の色調剤を用いるてもよい。用いられる
好適な色調剤の例はResearch Disclos
ure第17029号に開示されており、次のものがあ
る。
【0080】イミド類(例えば、フタルイミド);環状
イミド類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン
(例えば、スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾ
リン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン
及び2,4−チアゾリジンジオン);ナフタールイミド
類(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミ
ド);コバルト錯体(例えば、コバルトのヘキサアンミ
ントリフルオロアセテート)、メルカプタン類(例え
ば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール);N
−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド類(例
えば、N−(ジメチルアミノメチル)フタルイミド);
ブロックされたピラゾール類(例えば、N,N´−ヘキ
サメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチル
ピラゾール));イソチウロニウム(isothiur
onium)誘導体及びある種の光漂白剤の組み合わせ
(例えば、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビス
(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)及び2−
(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組
み合わせ);フタラジノン、フタラジノン誘導体又はこ
れらの誘導体の金属塩(例えば、4−(1−ナフチル)
フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメ
チルオキシフタラジノン、及び2,3−ジヒドロ−1,
4−フタラジンジオン);フタラジノンとスルフィン酸
誘導体の組み合わせ(例えば、6−クロロフタラジノン
とベンゼンスルフィン酸ナトリウム又は8−メチルフタ
ラジノンとp−トリスルホン酸ナトリウム);フタラジ
ンとフタル酸の組み合わせ;フタラジン(フタラジンの
付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタル酸、
2,3−ナフタレンジカルボン酸又はo−フェニレン酸
誘導体及びその無水物(例えば、フタル酸、4−メチル
フタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロフタル
酸無水物)から選択される少なくとも1つの化合物との
組み合わせ;キナゾリンジオン類、ベンズオキサジン、
ナフトキサジン誘導体;ベンズオキサジン−2,4−ジ
オン類(例えば、1,3−ベンズオキサジン−2,4−
ジオン);ピリミジン類及び不斉トリアジン類(例え
ば、2,4−ジヒドロキシピリミジン)、及びテトラア
ザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−
1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a
−テトラアザペンタレン)。好ましい色調剤としてはフ
タラジノン又はフタラジンである。
【0081】本発明の熱現像感光材料中にはカブリ防止
剤が含まれて良い。有効なカブリ防止剤として例えば米
国特許第3,589,903号などで知られている水銀
化合物は環境的に好ましくない。そのため非水銀カブリ
防止剤の検討が古くから行われてきた。非水銀カブリ防
止剤としては例えば米国特許第4,546,075号及
び同第4,452,885号及び特開昭59−5723
4号に開示されている様なカブリ防止剤が好ましい。
【0082】特に好ましい非水銀カブリ防止剤は、米国
特許第3,874,946号及び同第4,756,99
9号に開示されているような化合物、−C(X1
(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲンでX3
水素又はハロゲン)で表される1以上の置換基を備えた
ヘテロ環状化合物である。好適なカブリ防止剤の例とし
ては、特開平9−288328号段落番号〔0030〕
〜〔0036〕に記載されている化合物等が好ましく用
いられる。
【0083】また、もう一つの好ましいカブリ防止剤の
例としては特開平9−90550号段落番号〔006
2〕〜〔0063〕に記載されている化合物である。さ
らに、その他の好適なカブリ防止剤は米国特許第5,0
28,523号及び欧州特許第600,587号、同第
605,981号、同第631,176号に開示されて
いる。
【0084】本発明の熱現像感光材料には、例えば特開
昭63−159841号、同60−140335号、同
63−231437号、同63−259651号、同6
3−304242号、同63−15245号、米国特許
第4,639,414号、同第4,740,455号、
同第4,741,966号、同第4,751,175
号、同第4,835,096号に記載された増感色素が
使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例え
ばResearch Disclosure17643
IV−A項(1978年12月p.23)、同18431
X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用
された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源
の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に
選択することができる。例えば特開平9−34078
号、同9−54409号、同9−80679号記載の化
合物が好ましく用いられる。
【0085】本発明では、熱現像感光材料中に、必要に
応じて、増感剤、有機または無機の填料、ワックス類、
界面活性剤、ステイン防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、耐水化剤、分散剤、安定化剤、可塑剤、被覆助剤、
消泡剤、蛍光染料、高級脂肪酸の金属塩などを添加して
もよい。
【0086】熱現像感光層は複数層にしてもよく、又階
調の調節のために感度を高感度層/低感度層又は低感度
層/高感度層にしてもよい。各種の添加剤は感光性層、
非感光性層、又はその他の形成層のいずれに添加しても
よい。
【0087】支持体としては、紙、合成紙、不織布、金
属箔、プラスチックフィルムなどの支持体が使用可能で
あり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用
いてよい。
【0088】塗布液は、以下のようにして得ることが出
来る。本発明のバラスト化フタラジンをバインダーと共
に分散した分散液と、有機銀塩と、ハロゲン化銀および
現像剤とをバインダーと共に分散した分散液と、更に必
要な添加剤をバインダーと共に分散した分散液乃至溶解
液を混合して塗布液が得られる。この塗布液を支持体上
に塗布して、乾燥させると熱現像感光材料を得ることが
出来る。
【0089】使用する塗布の方式はスライドホッパー
式、ワイヤーバー方式、ロールコーター方式、減圧押し
出し方式等各種の方式を適宜選択できる。
【0090】本発明において例えばバインダーとしてラ
テックス或いはバインダーの水溶液を用いて水系塗布を
行う場合、水系塗布方式とは、塗布液の調製において、
塗布液組成の水分に対する有機溶媒の比率が0%以上4
0%以下を意味し、好ましくは20%以下、更に10%
以下、最も好ましくは5%以下である塗布液を使用する
ことを意味している。この様な水系塗布液を塗布するに
当たり、本発明のバラスト化ポリハロメタン化合物は前
述したように塗布停滞時におけるカブリ進行に導く反応
が大幅に抑制されるので感光材料の、感度、カブリ、保
存安定性等を改善できる。
【0091】本発明の感光材料において、露光はレーザ
ー走査露光により行うことが好ましいが、感光材料の露
光面と走査レーザー光のなす角が実質的に垂直になるこ
とがないレーザー走査露光機を用いることが好ましい。
ここで、「実質的に垂直になることがない」とは、レー
ザー走査中に最も垂直に近い角度として好ましくは55
度以上88度以下、より好ましくは60度以上86度以
下、更に好ましくは65度以上84度以下、最も好まし
くは70度以上82度以下であることをいう。レーザー
光が感光材料を走査する時の感光材料露光面でのビーム
スポット直径は、好ましくは200μm以下、より好ま
しくは100μm以下である。これはスポット径が小さ
い方がレーザー入射角度の直角からのずらし角度を減ら
せる点で好ましい。尚、ビームスポット直径の下限は1
0μmである。この様なレーザー走査露光を行うことに
より干渉縞様のムラの発生等のような反射光に係わる画
質劣化を減じることができる。
【0092】また、本発明における露光は縦マルチであ
る走査レーザー光を発するレーザー走査露光機を用いて
行うことも好ましい。縦単一モードの走査レーザー光に
比べて干渉縞様のムラの派生等の画質劣化が減少する。
縦マルチ化するには、合波による、戻り光を利用する、
高周波重畳をかけるなどの方法が良い。尚、縦マルチと
は、露光波長が単一でないことを意味し、通常露光波長
の分布が5nm以上、好ましくは10nm以上になると
よい。露光波長の分布の上限には特に制限はないが、通
常60nm程度である。
【0093】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明の態様はこれに限定されない。
【0094】実施例1 〔下引済み写真用支持体の作製〕 〈PET下引済み写真用支持体の作製〉市販の2軸延伸
熱固定済みの厚さ175μmの、光学濃度で0.170
(コニカ株式会社製デンシトメータPDA−65にて測
定)に青色着色したポリエチレンテレフタレートフィル
ムの両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一
方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmに
なるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、また反
対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μm
になるように塗設し乾燥させて下引層B−1とした。
【0095】 《下引塗布液a−1》 ブチルアクリレート(30重量%) t−ブチルアクリレート(20重量%) スチレン(25重量%) 2−ヒドロキシエチルアクリレート(25重量%) の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1lに仕上げる 《下引塗布液b−1》 ブチルアクリレート(40重量%) スチレン(20重量%) グリシジルアクリレート(40重量%) の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1lに仕上げる 引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、
8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上
には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μm
になる様に下引上層A−2として、下引層B−1の上に
は下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmにな
る様に帯電防止機能をもつ下引上層B−2として塗設し
た。
【0096】 《下引上層塗布液a−2》 ゼラチン 0.4g/m2になる重量 シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で1lに仕上げる 《下引上層塗布液b−2》 スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g 水で1lに仕上げる (感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製)水900ml中に
イナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを
溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸
銀74gを含む水溶液370mlとこれと当量の(98
/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水
溶液370mlを、pAg7.7に保ちながらコントロ
ールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。そ
の後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−
テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを
5.0に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子サ
イズの変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体
沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用い
て凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1
gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、感光
性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0097】(粉末有機銀塩Aの調製)4720mlの
純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8
g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に
高速で撹拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液
540.2mlを添加し十分に撹拌した。次に、濃硝酸
6.9mlを加えた後55℃に冷却して有機酸ナトリウ
ム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃
に保ったまま、上記感光性ハロゲン化銀乳剤A(銀0.
038モルを含む)と純水450mlを添加し5分間撹
拌した。次に1Mの硝酸銀溶液760.6mlを2分間
かけて添加し、さらに20分撹拌し、濾過により水溶性
塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cm
になるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、所
定の濃度まで水を加えて仕上げた。
【0098】(感光層塗布液の調製)上記で下引きを施
した支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作製し
た。尚、乾燥は各々75℃、1分間で行った。
【0099】バック層面塗布 バック層:以下の組成物の水溶液又は水分散体を水に加
えて調製した塗布液を以下の付き量となるように塗布乾
燥した。
【0100】 ポリビニルアルコール(PVA205 クラレ(株)製) 2.0g/m2 染料C(特開平10−161270号の実施例1の染料C) 70mg/m2 バック層保護膜: イナートゼラチン 0.8g/m2 マット剤(PMMA:平均粒径3μm) 0.02g/m2 界面活性剤(N−プロピルオクチルスルホンアミド酢酸) 0.02g/m2 硬膜剤(1,2−ビスビニルスルホンアミドエタン) 0.02g/m
【0101】
【化7】
【0102】感光層面側塗布 感光層の調製は以下の組成物の水分散体を水に加えて塗
布液を調製した。本発明のポリハロメタン化合物はサン
ドミル分散機を使用してそれぞれ平均粒子径60nm〜
150nmの範囲の微粒子分散水溶液とした後添加した
(分散液の固形分濃度は17%、分散助剤としては分子
量50万のポリスチレンスルホン酸ナトリウムを固形分
で1%を用いた)。この塗布液を35℃に保ち、銀電極
(純度99.9%以上)と10%KNO塩溶液からな
る塩橋を介した3モル溶液中のAg/AgCl電極から
なる参照電極から形成される銀電位計を用いて銀電位を
測定後、以下の付き量になるように塗布乾燥した。
【0103】銀量として1.4g/m2なる量のハロゲ
ン化銀と有機銀塩の調製液をポリマーバインダーと混合
した。有機銀塩に対してハロゲン化銀は10分の1当量
になるように加えた。
【0104】 バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA205 クラレ(株)製) 5.6g/m2 増感色素A(特開平10−161270号の実施例1の増感色素A) 2mg/m2 カブリ防止剤1(ピリジニウムヒドロブロミドパーブロミド) 0.3mg/m2 カブリ防止剤2(イソチアゾロン) 1.2mg/m2 カブリ防止剤3(2−トリブロモメチルスルホニルキノリン) 120mg/m2 ポリハロメタン化合物(表1に記載) 360mg/m2 現像剤(1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3, 5,5−トリメチルヘキサン) 3.3mmol/m2 感光層のpHは5.6に調製した。
【0105】
【化8】
【0106】表面保護層:以下の組成物の水溶液又は、
水分散体を水に加えて調製した塗布液を、以下の付き量
になるように塗布乾燥した。
【0107】 イナートゼラチン 1.2g/m2 4−メチルフタル酸 0.72g/m2 テトラクロロフタル酸 0.22g/m2 テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2 シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m2 1,2−(ビスビニルスルホンアセトアミド)エタン 0.3g/m 《写真性能の評価》以上のようにして熱現像感光材料を
作製した。この時、現像剤までの添加剤を加えた塗布液
を1時間停滞した試料と24時間停滞させた試料を停滞
試験用試料として作製した。又、常湿試験用として1時
間停滞塗布液を塗布後乾燥した熱現像感光材料を24時
間25℃、60%RHの雰囲気下においた試料及び高湿
試験用試料として35℃、76%RHの雰囲気下で3日
間保存した試料をそれぞれ用意した。
【0108】停滞試験用試料、常湿試験用試料、高湿試
験用試料に作製した熱現像感光材料を780nmの半導
体レーザーを有するレーザー感光計で露光し、次いでヒ
ートドラムを用いて120℃で8秒間熱現像処理した。
その際、露光及び現像は25℃、60%RHに調湿した
部屋で行った。得られた画像の評価(感度とカブリ及び
最高濃度Dmax)を濃度計により評価を行った。感度
はカブリ(最低濃度Dmin)より0.3高い濃度を与
える露光量の比の逆数で評価し塗布試料No.1を基準
として相対評価で表した。プリントアウト性能(POと
略す)は現像後の感光材料の未露光カブリ部分につい
て、これらの試料を室内光下、机の上に6時間放置(6
0W昼光色蛍光灯下、距離約2.5m)することによる
プリントアウトを目視評価した。目視プリントアウト防
止性能(POと略す)は最も少ないものを5、中程度を
3、もっとも劣るレベルを1として相対評価をした。ま
た、塗布液停滞性能をみるために用意した試料について
はそれぞれ未露光部のカブリの差をとり、停滞による性
能変化の尺度とした。これらの結果を表1に示した。
【0109】
【表1】
【0110】以上に述べたように、本発明のバラスト化
ポリハロメタン化合物を用いると、ブロック基が脱離し
ない限り、感光材料に影響を与えないので、塗布液停滞
しても従来のものよりも性能が安定であることが判る。
また、経時保存性、耐湿度性に優れ現像後のプリントア
ウトにおいても優れた熱現像感光材料を得ることが出来
る。
【0111】実施例2 実施例1と同様に熱現像感光材料を作製したが、ここで
は感光層の調製時にラテックス内部に本発明のポリハロ
メタン化合物(4)を用いてラテックスの種類を表2の
ように変化させて内在させたものを使用した。ラテック
スは銀量の4倍重量添加し、ポリハロメタン化合物をラ
テックス中に内在させるためにポリハロメタン化合物を
平均粒子径60nmまで微粒子分散してラテックスと混
合して、46℃で6時間プロペラ式撹拌した。また乳剤
層保護膜およびバッキング層の保護膜に帯電特性と表面
の滑り性を改善するためにフッ素系界面活性剤として、
パーフルオロオクチルスルホン酸ナトリウム塩を0.2
g/mになる様に添加した。実施例1と同様に常湿性
能、高湿保存性について評価を行った。
【0112】結果を表2に示す。
【0113】
【表2】
【0114】実施例2の結果から、ラテックスポリマー
中に本発明のバラスト化ポリハロメタン化合物を内在さ
せ用いた場合も、常湿条件においた場合又、高湿条件に
保存した場合においても共にカブリが低く、感度に優れ
る熱現像感光材料を提供できることが判り、かつ、現像
後のプリントアウト性能(PO)については更に優れた
性能が得られることがわかる。
【0115】実施例3 実施例1と同様に熱現像感光材料を作製したが、ここで
はハロゲン化銀とベヘン酸銀と現像剤の混合塗布液の調
製時に表3に記載の本発明のポリハロメタン化合物を重
量で3倍のカルナバワックス中に分散して添加して調製
した。この様にして調製した塗布液を35℃で1時間と
24時間停滞させた後、感光材料を作製して、それぞれ
のカブリ、感度および現像後のプリントアウト性能(P
O)を実施例1と同様に評価した。
【0116】結果を表3に示す。
【0117】
【表3】
【0118】実施例3の結果から本発明により、ポリハ
ロメタン化合物をワックス中に分散することによりプリ
ントアウトに優れ、カブリが低く感度の高い、また高湿
度保存の条件でも、感度が高く、カブリが低い熱現像感
光材料を提供できることが判る。
【0119】実施例4 ここでは実施例1のように、感光材料を作製したが、本
発明のポリハロメタン化合物を添加するにあたり、空隙
シリカ微粒子に内在させたものを使用した。空隙シリカ
微粒子としては平均粒子径は80nm、空隙は直径10
nm深さ5〜10nmになる合成シリカ微粒子を使用し
た。本発明のポリハロメタン化合物の3.3倍重量の空
隙シリカを水溶液に予め分散しておき、これに本発明の
ポリハロメタン化合物を添加し、35℃で6時間撹拌し
た。実施例1と同様の評価を行った。
【0120】結果を表4に示す。
【0121】
【表4】
【0122】本発明のポリハロメタン化合物を使用して
空隙のある微粒子中に内在させることをさせた場合、プ
リントアウトに関する保存性が改良されていることが判
る。
【0123】実施例5 ここでは、実施例1から4の熱現像感光材料を使用して
フィルム面とレーザー光の角度を変化したものと、レー
ザー光に高周波重畳を行い縦マルチ露光モードとしたも
のを出力した。半導体レーザーの波長は810nm、出
力は150mWで、現像時間を123℃12秒に設定し
た。画質評価としてレーザー露光による干渉縞のレベル
を目視評価した。濃度1.0付近で干渉縞が見えないレ
ベルを5ランクとし、干渉縞でムラが見える最低レベル
を1とした。干渉縞が見えても実質的に問題のないレベ
ルを3とした。以下に結果を示す。下記表中、試料は実
施例願号と試料番号をハイフンで結び表している。照射
角は度で表し、マルチは一般的な縦マルチ法を採用して
いる。試料の保存条件は実施例1に準じている。
【0124】
【表5】
【0125】本発明の熱現像感光材料と露光方法を採用
すると干渉縞のレベルが向上することが判る。
【0126】
【発明の効果】水系塗布、溶媒系塗布どちらの方法にお
いても適用でき、高湿度下での経時保存性能に優れ、又
製造時の塗布液停滞性に優れると共に、熱現像後のプリ
ントアウト性能に優れた熱現像感光材料を得ることがで
きる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体に感光性ハロゲン化銀粒子、有機
    銀塩及びこの有機銀塩の還元剤を1つの層、或いは複数
    の層中にそれぞれ含有してなる熱現像感光材料におい
    て、該層又は該層に隣接する層の少なくとも1層に、熱
    により層内または層間可動性のポリハロメタン化合物を
    放出する下記一般式(1)で表される化合物を少なくと
    も1種含有することを特徴とする熱現像感光材料。 一般式(1) (K)m−Q−(Y)n−(L)p−CX3 (式中、Kは熱により脱離する置換基を表し、mは1以
    上4以下の整数を表す。m≧2の場合、複数のKは同一
    であっても異なっていてもよい。Qは置換基を有しても
    よい芳香族環またはヘテロ環を形成するに必要な原子群
    を表す。Yは−CO−、−SO−または−SO2−を表
    し、LはCF2基を表す。nおよびpは0または1を表
    す。Xはハロゲン原子を表す。)
  2. 【請求項2】 ポリハロメタン化合物を放出する化合物
    をラテックス中に存在させたことを特徴とする請求項1
    に記載の熱現像感光材料。
  3. 【請求項3】 ポリハロメタン化合物を放出する化合物
    をワックス中に存在させたことを特徴とする請求項1に
    記載の熱現像感光材料。
  4. 【請求項4】 ポリハロメタン化合物を放出する化合物
    を空隙を有する微粒子中に存在させたことを特徴とする
    請求項1に記載の熱現像感光材料。
  5. 【請求項5】 ポリハロメタン化合物を放出する化合物
    を微粒子状態にして熱現像感光材料中に存在させたこと
    を特徴とする請求項1に記載の熱現像感光材料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載の熱現像感光材料
    に、該熱現像感光材料の露光面と走査レーザー光のなす
    角度が実質的に垂直でないレーザー走査露光機による露
    光を行うことを特徴とした画像形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5に記載の熱現像感光材料を
    走査レーザー光が縦マルチであるレーザー走査露光機に
    より露光を行うことを特徴とする画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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