JP2004085729A - 多層ラベル及び多層ラベルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルの製造方法であって、原反ロールからラベル用シート材を引き出し、該ラベル用シート材を繰り出しながら長手方向に切断することによって第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとし、それぞれを繰り出すと共に、両シート間に長尺状の擬似接着シート材を介在させ、第一ラベルと擬似接着シート材との間で第一ラベルを剥離できるように、第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間よりも第一ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間を相対的に弱い接着力で順次接着し、該第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材とが積層された積層シートから所定形状の多層ラベルを形成する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品をはじめ化粧品、トイレタリー製品、医薬品、工業用途などの様々な分野において利用される容器などの表面に装着される多層ラベル及び該多層ラベルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のラベルが重ね合わされ剥離可能に積層されている多層ラベルが知られている。かかる多層ラベルは、第一ラベルと第二ラベルとが接着剤を介して積層されているものであり、第一ラベルと接着剤の界面で当該第一ラベルを剥離することにより、該第二ラベルの表示部を目視することができる。
【0003】
ところで、このような多層ラベルは、従来以下のようにして製造されていた。即ち、第二ラベル用長尺シートの片面にホットメルトなどの接着剤を溶融して塗布し、塗布した接着剤が冷えて固まった後、該第二ラベル用長尺シートをロール状に巻き取る。そして、ロール状の第一ラベル用長尺シート及び前記ロール状の第二ラベル用長尺シートから両シートをそれぞれ繰り出して第二ラベル用長尺シートに塗布された接着剤が若干軟化する程度の低温で両シートを熱圧着することにより、第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとを剥離可能な接着力で積層して積層シートを形成する。即ち、第一ラベル用長尺シートと接着剤との界面で第一ラベル用長尺シートが剥離するように、両シートを熱圧着によって擬似接着する。その後、該積層シートを所定形状に切断などすることにより多層ラベルを形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、第一ラベルは、接着剤によって第二ラベルに対して積層されて当該接着剤との界面で剥離するように構成されているため、接着剤の塗布量のバラツキや経時変化によって剥離強度が不安定となるといった問題があった。
【0005】
また、その製造工程において、各ラベル用長尺シートが別々に作成されているため、各ラベル用長尺シートの繰り出し条件に差が生じ易く、第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとが、所定の積層位置から長手方向にずれた位置で積層されるといった問題があった。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、安定した剥離強度が得られる多層ラベル、及び、剥離強度が安定した多層ラベルを形成できると共に第一ラベルと第二ラベルとの位置ずれを少なくすることができる多層ラベルの製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る多層ラベルは、第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルであって、第一ラベルと第二ラベルとが擬似接着シート材を介して積層され、第一ラベルと擬似接着用シート材との間で第一ラベルを剥離できるように、第二ラベルと擬似接着シート材との間の接着部よりも第一ラベルと擬似接着シート材との間の接着部が相対的に弱い接着力で接着されている。尚、擬似接着シート材は単層構造であっても多層構造であってもよい。
【0008】
かかる多層ラベルによれば、第二ラベルと擬似接着シート材との間の接着部よりも第一ラベルと擬似接着シート材との間の接着部が相対的に弱い接着力で接着されているので、第一ラベルと擬似接着シート材との間で第一ラベルを容易に剥離することができると共に、第一ラベルと擬似接着用シート材との間で第一ラベルを剥離するため安定した剥離強度が得られる。
【0009】
さらに、本発明に係る多層ラベルは、第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルであって、第一ラベルと第二ラベルとが擬似接着シート材を介して積層され、該擬似接着シート材は多層に構成され、擬似接着シート材における2つの層同士の間で第一ラベルを剥離できるように、第二ラベルと擬似接着シート材との間の接着部及び第一ラベルと擬似接着シート材との間の接着部よりも、擬似接着シート材における前記2つの層同士の間の接着部が相対的に弱い接着力で積層されている。尚、擬似接着シート材は、二層構造に限定されず、三層以上の構造であってもよい。
【0010】
かかる多層ラベルによれば、第一ラベルと第二ラベルとが多層に構成された擬似接着シート材を介して積層されているので、当該擬似接着シート材が層間で2つに分離することにより、第一ラベルを第二ラベルから剥離することができると共に、安定した剥離強度が得られる。
【0011】
また、本発明に係る多層ラベルの製造方法は、第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルの製造方法であって、原反ロールからラベル用シート材を引き出し、該ラベル用シート材を繰り出しながら長手方向に切断することによって第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとし、それぞれを繰り出すと共に、両シート間に長尺状の擬似接着シート材を介在させ、第一ラベルと擬似接着シート材との間で第一ラベルを剥離できるように、第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間よりも第一ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間を相対的に弱い接着力で順次接着し、該第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材とが積層された積層シートから所定形状の多層ラベルを形成する。
【0012】
かかる多層ラベルの製造方法によれば、原反ロールからラベル用シート材を繰り出しながら長手方向に切断することによって第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとし、それらの間に長尺状の擬似接着シート材を介在させて両シートを積層するので、個別に製造した2つの原反ロールから第一ラベル用長尺シート及び第二ラベル用長尺シートをそれぞれ繰り出し、一方のシートに予め塗布されている接着剤によって両シートを積層する従来の製造方法に比して、両シートをずれのない状態で精度よく積層することができると共に、剥離強度が安定した多層ラベルが得られる。
【0013】
本発明の多層ラベルの他の製造方法は、第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルの製造方法であって、原反ロールからラベル用シート材を引き出し、該ラベル用シート材を繰り出しながら長手方向に切断することによって第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとし、それぞれを繰り出すと共に、両シート間に多層に構成された長尺状の擬似接着シート材を介在させ、擬似接着シート材における2つの層同士の間で第一ラベルを剥離できるように、長尺状の擬似接着シート材における前記2つの層同士の間よりも、第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間及び第一ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間を相対的に強い接着力で順次接着し、該第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材とが積層された積層シートから所定形状の多層ラベルを形成する。
【0014】
かかる多層ラベルの製造方法によれば、原反ロールからラベル用シート材を繰り出しながら長手方向に切断することによって第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとし、それらの間に長尺状の擬似接着シート材を介在させて両シートを積層するので、個別に製造した2つの原反ロールから第一ラベル用長尺シート及び第二ラベル用長尺シートをそれぞれ繰り出し、一方のシートに予め塗布されている接着剤によって両シートを積層する従来の製造方法に比して、両シートをずれのない状態で精度よく積層することができると共に、剥離強度が安定した多層ラベルが得られる。
【0015】
また、以上の製造方法により形成された積層シートの両側縁部同士を接合することにより筒状の多層ラベルを形成する場合には、第一ラベルと第二ラベルとの位置ずれが少ない筒状の多層ラベルを容易に形成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第一実施形態に係る多層ラベルを添付図面を参酌しつつ説明する。本第一実施形態に係る多層ラベルは、図1に示す如く、両側縁部1a,1bを接着することによって筒状に形成され、熱を加えることによって主としてその周方向に収縮する、いわゆる熱収縮性ラベルである。
【0017】
かかる多層ラベルは、図2に示す如く、第一ラベルとしての外側ラベル3と第二ラベルとしての内側ラベル2との間に、単層に形成された擬似接着シート材8が積層されている。具体的には、多層ラベルは、内側ラベル2と外側ラベル3との間に擬似接着シート材8を介在させて熱圧着することにより形成されている。そして、擬似接着シート材8と内側ラベル2との間の接着部18a(以下、内側接着部18aという)よりも、擬似接着シート材8と外側ラベル3との間の接着部18b(以下、外側接着部18bという)が相対的に弱い接着力で接着されていて、擬似接着シート材8と外側ラベル3との間で外側ラベル3が剥離可能となっている。即ち、擬似接着シート材8と外側ラベル3とが擬似接着されている。
【0018】
擬似接着シート材8としては、例えば、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、或いはアイオノマー樹脂などからなる厚さ5〜30μmの柔軟なシートを好ましく使用することができる。
【0019】
外側ラベル3は、ポリエステルフィルムからなる外側ラベル基材5と、該外側ラベル基材5の表面に設けられた外側表示部7とを備えている。即ち、外側ラベル3の裏面は外側ラベル基材5が露出しており、外側ラベル基材5と擬似接着シート材8とが熱圧着により擬似接着されている。具体的には、外側ラベル基材5と擬似接着シート材8との剥離強度は10〜100g/15mmに設定されている。
【0020】
内側ラベル2は、ポリエステルフィルムからなる内側ラベル基材4と、該内側ラベル基材4の表面全体に設けられた内側アンカーコート剤9bと、内側ラベル基材4の裏面に設けられた内側表示部6とを備えている。即ち、擬似接着シート材8は、内側アンカーコート剤9bを介して内側ラベル基材4と接着されている。
【0021】
内側アンカーコート剤9bは、内側接着部18aの剥離強度を高めるために用いられ、内側ラベル基材4の表面に1〜5μm程度の膜厚で塗布されている。従って、内側ラベル基材4の表面に内側アンカーコート剤9bを塗布することにより、内側接着部18aの接着力が、外側接着部18bの接着力よりも相対的に強くなる。具体的には、内側アンカーコート剤9bを介在させることにより、擬似接着シート材8と内側ラベル基材4との剥離強度が、例えば100〜500g/15mmに設定されている。該内側アンカーコート剤9bとしては、前記擬似接着シート材8よりも低温でヒートシール性を有するエチレン酢酸ビニル共重合体などのエチレン系樹脂が用いられる。
【0022】
外側ラベル基材5及び内側ラベル基材4は透明に形成され、外側表示部7及び内側表示部6が各ラベル基材4,5の表面側から目視することができるように構成されている。そして、内側表示部6は外側ラベル基材5が積層された状態ではその一部あるいは全体が見えないように、外側表示部7の下側に印刷などによって隠蔽層が形成されている。尚、透明とは、各ラベル基材4,5を通して向こう側が見える状態で、赤色や青色等の有色のもの、或いは、半透明を含むものである。
【0023】
前記外側ラベル基材5及び内側ラベル基材4としては、熱収縮性のポリエステルフィルムが使用され、具体的には、主に一軸方向に延伸することにより形成された厚さが20〜50μmのポリエステル系の熱収縮性フィルムが用いられる。該外側ラベル基材5及び内側ラベル基材4は、その延伸方向が筒状の多層ラベルの周方向となるように設けることにより、筒状の多層ラベルが主に周方向に熱収縮するように構成されている。このようなポリエステル系の熱収縮性フィルムは、ポリスチレン系やポリプロピレン系の熱収縮性フィルムよりも収縮力が強いため、各ラベル基材4,5として好ましく用いることができる。また、各ラベル基材4,5としてポリエステル系の熱収縮フィルムを用いる場合は、擬似接着シート材8としてエチレンアクリル酸エチル共重合体を使用することで、時間経過による外側接着部18bの接着力(剥離強度)が、さらに変化し難くなるため好ましい。
【0024】
また、前記外側表示部7及び内側表示部6は、商品名や取り扱い注意事項などの文字や画像などを表示し、スクリーン印刷、凸版輪転印刷、グラビア印刷などの慣用の印刷方法によって形成される。尚、各表示部6,7は、各ラベル基材4,5が透明である場合は、当該各ラベル基材4,5の表面及び裏面のどちらに設けてもかまわないが、外側接着部18bの接着力を安定した剥離強度とすることができることから、外側表示部7は外側ラベル基材5の表面に設ける方が好ましい。
【0025】
そして、本第一実施形態に係る多層ラベルは、上述したように内側ラベル2と外側ラベル3との間に擬似接着シート材8を介して所定条件で熱圧着することによって形成される。具体的には、所定条件で熱圧着すると内側アンカーコート剤9bが溶融して内側ラベル2(内側ラベル基材4)と擬似接着シート材8とが接着される一方、擬似接着シート材8は前記内側アンカーコート剤9bよりも溶融温度が高いので十分に溶融せず、そのため前記内側ラベル2と擬似接着シート材8よりも、外側ラベル3(外側ラベル基材5)と擬似接着シート材8とが弱い接着力で剥離可能に接着されることとなる。そして、このときの熱圧着条件は、内側アンカーコート剤9bの材質、塗布量、擬似接着シート材8の材質、厚さ、各ラベル基材4,5の厚さ、熱圧着速度によって異なるが、例えば加熱温度が50〜200℃、圧着圧力が2〜10kg/cm2である。
【0026】
以下、上記のように構成された多層ラベルの使用例について説明する。先ず、筒状に形成された多層ラベルを容器などの被装着体の外周面に被せる。その後、多層ラベルを熱風などによって加熱することで該多層ラベルが周方向に収縮して被装着体の外周面に外嵌装着される。
【0027】
そして、外側ラベル3を摘んで引っ張ることにより、外側ラベル3と擬似接着シート材8との間が剥離して、外側ラベル3が内側ラベル2から剥離される。この剥離により、見えなかった内側表示部6を目視できるようになる。
【0028】
次に、本発明に係る多層ラベルの第二実施形態について図3を参酌して説明する。尚、前記第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は割愛する。
【0029】
第二実施形態の多層ラベルは、図3に示す如く、第一ラベルとしての外側ラベル3と第二ラベルとしての内側ラベル2との間に多層に形成された擬似接着シート材8が積層されている。擬似接着シート材8は、例えば、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとを接着層を介することなく共押出しや押出しコーティングによって積層したシート、同様にポリプロピレンとエチレン酢酸ビニル共重合体とを積層したシート、低密度ポリエチレンやエチレン酢酸ビニル共重合体などエチレン系の樹脂層同士を剥離材を介して積層したシートなどが柔軟性と剥離安定性を有するため、好ましく使用することができる。特に、擬似接着シート材8としてポリエチレン系樹脂を用いることにより、各ラベル基材4,5を熱収縮させる際の熱で軟化し易く、各ラベル基材4,5の収縮に容易に追従するという特徴もある。さらに、擬似接着シート材8は、熱収縮性ポリエステルフィルムと低密度ポリエチレンを剥離可能に積層したシートを用いてもよく、この場合は、熱収縮性に優れた多層ラベルを得ることができる。
【0030】
具体的には、本第二実施形態に係る多層ラベルは、内側ラベル2と外側ラベル3との間に二層構造に形成された擬似接着シート材8を介在させて熱圧着することにより形成されている。擬似接着シート材8は、第一シート層80と第二シート層81とを剥離可能に積層することで形成され、内側ラベル2と擬似接着シート材8との間の接着部18a(内側接着部18a)及び外側ラベル3と擬似接着シート材8との間の接着部18b(外側接着部18b)よりも、擬似接着シート材8における第一シート層80と第二シート層81との間の接着部19(以下、層間接着部19という)が相対的に弱い接着力で接着されており、該層間接着部19が剥離することにより外側ラベル3が内側ラベル2から剥離するように構成されている。即ち、第一シート層80と第二シート層81とは剥離可能に擬似接着されている。
【0031】
そして、第一シート層80と第二シート層81とを上述のような材料同士で形成することにより層間接着部19の剥離強度を10〜100g/15mmとすることができる。
【0032】
好ましくは、第一シート層80をポリプロピレン、第二シート層81を低密度ポリエチレン、または、第一シート層80を熱収縮性ポリエステルフィルム、第二シート層81を低密度ポリエチレンで形成する。そうすれば、時間の経過に伴って層間接着部19の剥離強度がさらに変化し難いという利点を有する。尚、第一シート層80と第二シート層81との材質は、勿論逆であってもよい。
【0033】
外側ラベル3は、外側ラベル基材5と、外側ラベル基材5の裏面全体に設けられた外側アンカーコート剤9aと、外側ラベル基材5の表面に設けられた外側表示部7とを備えている。また、内側ラベル2は、内側ラベル基材4と、内側ラベル基材4の表面全体に設けられた内側アンカーコート剤9bと内側ラベル基材4の裏面に設けられた内側表示部6とを備えている。
【0034】
各アンカーコート剤9b,9aは、内側接着部18a及び外側接着部18bの接着力(剥離強度)を高めるために用いられ、各ラベル基材4,5に1〜5μm程度の膜厚で塗布されている。具体的には、各アンカーコート剤9b,9aを設けることにより、各ラベル基材4,5と擬似接着シート材8との剥離強度は、例えば100〜500g/15mmに設定されている。各アンカーコート剤9a,9bとしては、低温でヒートシール性を有するエチレン酢酸ビニル共重合体などのエチレン系樹脂が用いられる。また、各アンカーコート剤9b、9aは、各ラベル基材4,5にほぼ等しい厚みに塗布されており、そうすることにより各ラベル2,3の厚みがほぼ同一に形成されている。
【0035】
尚、本第二実施形態においても、各表示部6,7は、各ラベル基材4,5の表面、裏面のいずれに設けてもよい。外側ラベル基材5の裏面に外側表示部7を設ける場合、及び内側ラベル基材4の表面に内側表示部6を設ける場合は、各ラベル基材4,5に各表示部6,7を設けた後、該各表示部6,7の上から各アンカーコート剤9a,9bを設ける。
【0036】
そして、本第二実施形態に係る多層ラベルは、内側ラベル2と外側ラベル3との間に擬似接着シート材8を介して所定条件で熱圧着することによって形成される。具体的には、所定条件で熱圧着すると各アンカーコート剤9a,9bが溶融して各ラベル基材4,5と擬似接着シート材8とが接着される。このとき、擬似接着シート材8の第一シート層80と第二シート層81とは、その材質同士の特性によって接着されているので熱圧着によってその接着力がほとんど変化しないため、層間接着部19よりも、各ラベル基材4,5と擬似接着シート材8とが相対的に強い接着力で接着される。そして、このときの熱圧着条件は、各層の材料などによって異なるが、例えば加熱温度が50〜200℃、圧着圧力が2〜10kg/cm2である。
【0037】
次に、上記第一実施形態及び第二実施形態に係る多層ラベルを製造する製造方法の一例について説明する。本製造方法においては、外側ラベル3と内側ラベル2とが、長尺に形成された1枚のラベル用シート材から形成される。即ち、詳しくは後述するが、ラベル用シート材をその長手方向に二つに分断して、長手方向の位置をずらさずに互いに積層した後、所定形状に切断することで多層ラベルを形成する。以下に、前記第一実施形態に係る多層ラベルを形成するためのラベル用シート材と、第二実施形態に係る多層ラベルを形成するためのラベル用シート材それぞれの構成について説明する。
【0038】
図4に示す如く、前記第一実施形態に係る多層ラベルを形成するためのラベル用シート材13は、長尺状に形成された透明のシート材15と、該シート材15の表面に設けられた内側アンカーコート剤9bと、シート材15の両面に設けられた表示部16とを備えている。ラベル用シート材13をその幅方向(短手方向)の中央位置で長手方向に切断したとき、その一方が外側ラベル3を形成するシート(後述する外側ラベル用長尺シート)となり、他方が内側ラベル2を形成するシート(後述する内側ラベル用長尺シート)となる。
【0039】
シート材15は、その幅方向(短手方向)に一軸延伸された厚さが20〜50μmの熱収縮性のポリエステルフィルムが使用されている。このシート材15より前記外側ラベル基材5及び内側ラベル基材4が形成される。
【0040】
内側アンカーコート剤9bは、シート材15の所定領域、即ち、シート材15のうちの内側ラベル基材4となる部分に塗布されている。尚、図4においては、手前側半分の領域が外側ラベル基材5、向こう側半分の領域が内側ラベル基材4となるように構成され、内側アンカーコート剤9bは、シート材15の短手方向の向こう側半分に塗布されている。
【0041】
表示部16は、前記外側表示部7及び内側表示部6からなり、各表示部6,7は、シート材15の長手方向において同じ間隔で繰り返し設けられている。即ち、ラベル用シート材13を長手方向に切断して互いに積層したとき、各内側表示部6の一部或いは全体がと同じ位置で重なるように形成されている。尚、外側ラベル基材5には、内側表示部6と重なる位置に隠蔽印刷が設けられている(図示省略)。
【0042】
ラベル用シート材13は、前記シート材15を長手方向に走行させつつ、シート材15に内側アンカーコート剤9b及び表示部16を設けることによって形成される。ラベル用シート材13は、その後、ロール状に巻き取られて原反ロール10となる。
【0043】
次に、前記第二実施形態に係る多層ラベルを形成するためのラベル用シート材について説明する。図5に示す如く、第二実施形態に係る多層ラベルを形成するためのラベル用シート材13は、長尺状に形成された透明のシート材15と、該シート材15の表面及び裏面にそれぞれ設けられた外側アンカーコート剤9a及び内側アンカーコート剤9bと、シート材15の両面に設けられた表示部16とを備えている。具体的には、シート材15のうちの外側ラベル基材5となる領域の表面及び裏面には、外側表示部7及び外側アンカーコート剤9aがそれぞれ設けられ、シート材15のうちの内側ラベル基材4となる領域の表面及び裏面には、内側アンカーコート剤9b及び内側表示部6がそれぞれ設けられている。言い換えると、該ラベル用シート材13は、前記第一実施形態の多層ラベルを形成するためのラベル用シート材13のうちの外側ラベル基材5となる領域の裏面に外側アンカーコート剤9aを設けることで形成される。
【0044】
かかるラベル用シート材13においても、表示部16は、ラベル用シート材13を長手方向に半分に切断し、該切断したラベル用シート材13の長手方向の位置をずらさせずに互いに積層させたときに外側表示部7と内側表示部6とが同じ位置で重なるように、シート材15の長手方向に同じ間隔で繰り返し設けられている。尚、外側ラベル基材5には、内側表示部6と重なる位置に隠蔽印刷が設けられている(図示省略)。
【0045】
また、このラベル用シート材13も、図5に示す如く、長手方向に巻き取られて原反ロール10に形成されている。
【0046】
そして、以下に記す多層ラベルの製造方法の一例においては、前記ラベル用シート材13を切断して各ラベル用長尺シートを形成する切断工程と、各ラベル用長尺シートを折り返して互いに積層可能な位置に移動させる折り返し工程と、折り返し工程で積層可能な位置に位置した各ラベル用長尺シートを積層する接着工程とを備えている。
【0047】
尚、本多層ラベルの製造方法においては、前記第一実施形態に係る多層ラベルを製造する方法を例示して説明する。
【0048】
図6は、本多層ラベルの製造方法の概略工程図であり、同図の(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。本多層ラベルの製造方法は、図6に示す如く、先ず、前記原反ロール10を軸線が水平方向になるように配置し、当該原反ロール10から内側表示部6が下側になるようにラベル用シート材13を引き出し、当該引き出されたラベル用シート材13を、回転可能に設けられた第一搬送ローラ対20及び第二搬送ローラ対21で挟持して、矢印P方向(図6においては右方向)へ走行させる。
【0049】
前記第一搬送ローラ対20及び第二搬送ローラ対21は、ラベル用シート材13の走行方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置され、各回転軸が前記原反ロール10の軸線と平行に設けられている。そして、ラベル用シート材13は、第一搬送ローラ対20と第二搬送ローラ対21との間でたるまないように挟持されている。
【0050】
次に、切断工程において前記ラベル用シート材13を長手方向に切断する。具体的には、前記第一搬送ローラ対20と第二搬送ローラ対21との間に設けられた切断刃50によりラベル用シート材13を切断する。
【0051】
前記切断刃50は、ラベル用シート材13の短手方向の略中央位置に固定され、刃部がラベル用シート材13の走行方向の上流側に向けて設けられている。そして、長手方向に走行するラベル用シート材13を切断刃50により切断することによって、第一ラベル用長尺シートとしての外側ラベル用長尺シート12と、第二ラベル用長尺シートとしての内側ラベル用長尺シート11とを形成する。
【0052】
次の折り返し工程では、図6(イ)に示す如く、前記内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12とが平面視において重なるように各ラベル用長尺シート11,12を折り返して走行経路を移動させる。具体的に説明すると、前記第二搬送ローラ対21より下流側には、第一折り返しローラ31、第二折り返しローラ32及び第三折り返しローラ33が設けられており、各折り返しローラ31,32,33は軸線がラベル用シート材13の走行面(表面及び裏面)と平行に配置されている。そして、前記各折り返しローラ31,32,33により前記内側ラベル用長尺シート11を折り返す。
【0053】
前記第一折り返しローラ31は、内側ラベル用長尺シート11よりも上方位置に設けられ、軸線が内側ラベル用長尺シート11の走行方向に対して90゜の角度をなして配置されている。前記第二折り返しローラ32は、前記第一折り返しローラ31より下流側且つ上方位置に設けられ、軸線が内側ラベル用長尺シート11の幅方向(短手方向)に対して直交して配置されている。前記第三折り返しローラ33は、前記第二折り返しローラ32の下流側且つ上方位置に設けられ、軸線が前記第一折り返しローラ31に直交して設けられている。
【0054】
そして、内側ラベル用長尺シート11を前記第一〜第三折り返しローラ31,32,33の外周面に沿わせて屈曲させて平面視で次のように折り返すことにより、走行方向を変更させる。先ず、前記第一折り返しローラ31でL字状に90゜折り返してラベル用シート材13の幅方向の外側に向けて走行させる。次に、第二折り返しローラ32で360゜折り返してラベル用シート材13の幅方向の内側に向けて走行させ、最後に第三折り返しローラ33でL字状に90゜折り返してラベル用シート材13と同方向(矢印P方向)に走行させる。
【0055】
その結果、側面視でラベル用シート材13の上方位置、且つ、平面視でラベル用シート材13の幅の中央位置に内側ラベル用長尺シート11の走行経路が平行に移動する。そして、第一乃至第三折り返しローラで計3回折り返すことにより、内側ラベル用長尺シート11の表裏が反転する。即ち、側面視において当初下側に位置していた内側表示部6は、計3回折り返すことにより上側に位置する。
【0056】
さらに、前記内側ラベル用長尺シート11と同様、外側ラベル用長尺シート12を、第四乃至第六折り返しローラ34,35,36に沿って屈曲させて折り返すことにより、側面視で前記ラベル用シート材13より下方位置、且つ、平面視でラベル用シート材13の短手方向の中央位置に外側ラベル用長尺シート12の走行経路を平行に移動させることができる。そして、外側ラベル用長尺シート12も計3回折り返すことにより表裏が反転し、側面視において当初上側に位置していた外側表示部7が、下側に位置することとなる。
【0057】
即ち、各折り返しローラ31,32,33,34,35,36に沿って各ラベル用長尺シート11,12を屈曲させて折り返すことにより、平面視で内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12とが重なり合い、且つ、側面視で内側ラベル用長尺シート11の下方位置に外側ラベル用長尺シート12が位置するように各ラベル用長尺シート11,12の走行経路を移動させることができる。
【0058】
また、第一折り返しローラ31と第四折り返しローラ34、第二折り返しローラ32と第五折り返しローラ35及び第三折り返しローラ33と第六折り返しローラ36は、平面視及び側面視において対象位置に設けられているため、内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12との走行距離は等しくなっている。
【0059】
ところで、上述の如く各ラベル用長尺シート11,12を折り返すと、当該各ラベル用長尺シート11,12と各折り返しローラ31,32,33,34,35,36の外周面とが接触することにより発生する摩擦抵抗によって各ラベル用長尺シート11,12が走行方向に引っ張られ、伸びたり或いは破断することがある。そこで、各折り返しローラ31,32,33,34,35,36の外周面には空気吹出し口(図示省略)が設けられている。かかる空気吹き出し口から空気を吹出させることにより、内側ラベル用長尺シート11及び外側ラベル用長尺シート12と、各折り返しローラ31,32,33,34,35,36の外周面との間に空気の層が形成される。その結果、各ラベル用長尺シート11,12と各折り返しローラ31,32,33,34,35,36との摩擦抵抗が減少するため、各ラベル用長尺シート11,12の長手方向に生じる力を軽減させることができるため、当該各ラベル用長尺シート11,12を折り返して走行させることができる。
【0060】
このようにして、走行経路が移動した内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12とを接着工程において互いに接着する。具体的には、図6(ロ)に示す如く、折り返し工程において平面視で相対的に上下に走行経路が移動した内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12の間には、擬似接着シート材ロール40が配置されている。該擬似接着シート材ロール40は、長尺に形成された擬似接着用長尺シート材42をロール状に巻き取ることにより形成されている。尚、擬似接着シート材8は、擬似接着用長尺シート材42を切断することで形成されるものである。
【0061】
そして、各ラベル用長尺シート11,12を互いの方向に近づくように走行させつつ、擬似接着シート材ロール40より引き出した擬似接着用長尺シート材42を、各ラベル用長尺シート11,12で挟み込む。この時、内側ラベル用長尺シート11における内側アンカーコート剤9b塗布面、及び外側ラベル用長尺シート12における外側表示部7の無い面が擬似接着用長尺シート材42と対向して積層される。そして、各長尺ラベル11,12及び擬似接着用長尺シート材42を加熱ローラ対22によって熱圧着することにより積層シート14を形成する。
【0062】
前記加熱ローラ対22は、外周面が発熱するように構成されており、その発熱温度が調節可能に構成されていると共に、少なくとも一方が上下方向に位置調整可能に設けられている。即ち、加熱ローラ対22はその軸線間距離を相対的に調整可能になっている。従って、各ラベル用長尺シート11,12及び擬似接着用長尺シート材42の厚さによって加熱ローラ対22間の距離を調整することにより、多種多様な厚さのシートに対応可能であると共に、シートの押圧力を調整することができるように構成されている。
【0063】
かかる加熱ローラ対22で各ラベル用長尺シート11,12及び擬似接着用長尺シート材42を熱圧着すると、内側アンカーコート剤9bが溶融して熱接着性が生じ内側ラベル用長尺シート11と擬似接着用長尺シート材42とが接着される。その一方で擬似接着用長尺シート材42は、内側アンカーコート剤9bよりも溶融温度が高いため十分に溶融せず若干軟化する程度であるので、外側ラベル用長尺シート12と擬似接着用長尺シート材42とが、前記内側ラベル用長尺シート11と擬似接着用長尺シート材42よりも弱い接着力で剥離可能に接着される。このときの加熱ローラ対22の加熱温度は、各ラベル用長尺シート11,12及び擬似接着用長尺シート材42の材質などに応じて適宜設定される。
【0064】
前記擬似接着シート材ロール40の幅(擬似接着用長尺シート材42の幅)は、前記内側ラベル用長尺シート11及び外側ラベル用長尺シート12の幅と略同一に設定されており、この場合は外側ラベル用長尺シート12はその全面が剥離可能に接着される。また、各ラベル用長尺シート11,12は、原反ロール10より繰り出してから熱圧着するまでの走行距離が同一となるように走行させているため、外側表示部7と内側表示部6とが所定位置で重なるように接着される。
【0065】
また、前記加熱ローラ対22の上流側には、熱風吹出し装置60が設けられている。かかる熱風吹出し装置60は、内側ラベル用長尺シート11の裏面、外側ラベル用長尺シート12の表面、及び擬似接着用長尺シート材42の両面に向けて熱風を吹き付けるための熱風吹付け口(図示省略)を備えており、これにより、各ラベル用長尺シート11,12及び擬似接着用長尺シート材42が予備加熱されるため、接着性がさらに向上する。
【0066】
図示はしないが、その後このようにして形成された積層シート14の両側縁部同士を接着することにより筒状に成形し、該筒状に成形した積層シート14を所定の長さに分断することで筒状の多層ラベルを形成する(図1参照)。尚、本実施形態においては、積層シート14を一旦巻き取ってロールにし、別工程にて該ロールから積層シート14を引き出して筒状に形成するが、ロールにせずに加熱ローラ対22で熱圧着した後に筒状に形成してもよい。
【0067】
尚、上記製造方法において、ラベル用シート材13を上述した第二実施形態の多層ラベルを形成するためのラベル用シート材13に、擬似接着用長尺シート材42を前記第二実施形態の多層ラベルを構成する擬似接着シート材8が長尺状に形成されたものに、それぞれ置き換えることで、第二実施形態の多層ラベルを同様の手順で製造することができる。
【0068】
本発明の第一実施形態及び第二実施形態に係る多層ラベル及びこれらの多層ラベルの製造方法は上記の如く構成され、従来の多層ラベル及び該多層ラベルの製造方法に比して種々の利点を有する。
【0069】
即ち、従来の多層ラベルは、その製造工程において、別々に作成した第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートのうち、一方のシートに接着剤が塗布されておりその接着剤によって両シートを積層して、接着剤と他方のシートとの界面で他方のシートを剥離するように構成していた接着剤の塗布量のバラツキなどによって接着(剥離)強度が不安定となっていた。一方、第一実施形態に係る多層ラベルはその製造工程において、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11とを擬似接着用長尺シート材42を介して積層することができるので、安定した剥離強度が得られる。
【0070】
また、従来は第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートは別々に作成されるため、ロール状の各ラベル用長尺シートからの繰り出し量や速度が微妙に異なり、積層する際の位置ずれが起こり易いが、第一実施形態に係る多層ラベルはその製造工程において、内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12とを1つのラベル用シート材13から形成できるため、両ラベル用長尺シート11,12の長手方向の位置ずれを抑制でき、多層ラベルにおける外側ラベル3と内側ラベル2との位置ずれを従来に比して少なくすることができる。
【0071】
本発明の第一実施形態に係る多層ラベルは、各ラベル2,3の間に擬似接着シート材8を挟んで積層する構成にすることにより、接着剤によって両ラベルを積層していた従来の多層ラベルに比して、擬似接着シート材8とラベルとの間の接着部で容易に剥離することができる。
【0072】
さらに、第一実施形態に係る多層ラベルは、圧着時に擬似接着用長尺シート材42と内側ラベル用長尺シート11とを内側アンカーコート剤9bを介して接着すると共に、擬似接着用長尺シート材42と外側ラベル用長尺シート12とをアンカーコート剤を介さずに直接接着することで、熱圧着後に内側接着部18aと外側接着部18bとで接着力の差を容易に生じさせることができる。従って、外側接着部18bよりも内側接着部18aが強い接着力で接着されているため、外側接着部18bにおいて外側ラベル3を内側ラベル2から剥離することができる。
【0073】
さらに、第一実施形態に係る多層ラベルにおいて、擬似接着シート材8としてエチレンアクリル酸エチル重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸重合体、或いはアイオノマー樹脂などの柔軟なシートを使用することにより、各ラベル基材4,5を熱収縮させる際の熱で軟化し易く、各ラベル基材4,5収縮に容易に追従するという利点を有する。従って、環状に形成した多層ラベルを被装着体に装着すべく、各ラベル基材4,5を熱収縮させたときに縮みシワなどを発生し難くすることができる。特に、各ラベル基材4,5としてポリエステル系の熱収縮フィルムを用いた場合は熱収縮力が大きいため、この効果が大きい。
【0074】
第二実施形態に係る多層ラベルはその製造工程において、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11とを擬似接着用長尺シート材42を介して積層することができるので、安定した剥離強度が得られる。
【0075】
また、従来は第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとは別々に作成されるため、ロール状の各ラベル用長尺シートからの繰り出し量や速度が微妙に異なり、積層する際の位置ずれが起こり易いが、第二実施形態に係る多層ラベルはその製造工程において、内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12とを1つのラベル用シート材13から形成することができるため、両ラベル用長尺シート11,12の長手方向の位置ずれを抑制でき、多層ラベルにおける外側ラベル3と内側ラベル2との位置ずれを従来に比して少なくすることができる。
【0076】
第二実施形態に係る多層ラベルにおいて、第一シート層80及び第二シート層81を上述した材料によって形成することにより、該層間接着部19で安定した強さで剥離することができる。即ち、第一シート層80と第二シート層81とは、その材質同士の物性によって擬似接着しているため、層間接着部19を常に安定した剥離強度とすることができる。
【0077】
また、第二実施形態に係る多層ラベルでは、剥離可能な層間接着部19を有する擬似接着シート材8を設けることで、内側接着部18a及び外側接着部18bと、層間接着部19とで接着力の差を容易に生じさせて層間接着部19で容易に剥離することができる。即ち、層間接着部19は、第一シート層80と第二シート層81とに採用されている材質同士の物性によって接着されているため、熱圧着時の加熱や加圧によってその接着力(剥離強度)が変化し難い。そのため、熱圧着後に内側接着部18a及び外側接着部18bと、層間接着部19とに接着力の差を容易に生じさせることができる。つまり、熱圧着時において層間接着部19よりも、内側ラベル用長尺シート11と擬似接着用長尺シート材42及び外側ラベル用長尺シート12と擬似接着用長尺シート材42とが相対的に強い接着力で容易に接着して層間接着部19で剥離可能にすることができると共に、層間接着部19において安定した強さで剥離可能とすることができる。
【0078】
また、第二実施形態に係る多層ラベルにおいて、擬似接着シート材8としてポリエチレン系樹脂を用いることにより、各ラベル基材4,5を熱収縮させる際の収縮に容易に追従するという利点を有する。従って、環状に形成した多層ラベルを被装着体に装着すべく、各ラベル基材4,5を熱収縮させたときに縮みシワなどを発生し難くすることができる。
【0079】
さらに、第二実施形態に係る多層ラベルにおいて、擬似接着シート材8として、熱収縮性ポリエステルフィルムと低密度ポリエチレンとを剥離可能に積層したものを用いることにより、熱収縮性に優れた多層ラベルを得ることができる。即ち、環状に形成した多層ラベルを被装着体に装着するときに熱収縮性ポリエステルフィルム及び低密度ポリエチレンが熱収縮することで、被装着物に多層ラベルを容易に外嵌装着することが可能となる。
【0080】
また、従来の多層ラベルの製造方法においては、別々に作成した第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとのうち、一方のシートに接着剤が塗布されており、その接着剤によって両シートを積層して、接着剤と他方のシートとの界面で他方のシートを剥離するように形成していたために接着剤の塗布量のバラツキなどによって接着(剥離)強度が不安定となっていた。一方、第一実施形態に係る多層ラベルの製造方法は、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11とを擬似接着用長尺シート材42を介して積層して、外側ラベル用長尺シート12と擬似接着用長尺シート材42との間の外側接着部18bで剥離可能に積層するので、従来の多層ラベルの製造方法に比して、剥離強度が安定した多層ラベルを容易に形成することができる。
【0081】
第二実施形態に係る多層ラベルを製造する製造方法においては、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11とを擬似接着用長尺シート材42を介して積層しているので、擬似接着用長尺シート材42の第一シート層80と第二シート層81との間の層間接着部19で剥離強度が安定した多層ラベルを容易に形成することができる。
【0082】
上記第一及び第二実施形態に係る多層ラベルの製造方法においては、ラベル用シート材13を長手方向に切断して内側ラベル用長尺シート11及び外側ラベル用長尺シート12を形成するため、各ラベル用長尺シートがそれぞれ個別に形成されていた従来の製造方法に比して、内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12との位置ずれを少なくすることができる。即ち、各ラベル用長尺シートをそれぞれ個別に形成した場合、ロール状に形成した各ラベル用長尺シートからの各ラベル用長尺シートの繰り出し量や速度などの繰り出し条件に差が生じ易く、各ラベル用長尺シートを積層する際の位置ずれが起こる。一方、上記第一及び第二実施形態に係る多層ラベルの製造方法のように、各ラベル用長尺シート11,12を一つのラベル用シート材13から形成することで、各ラベル用長尺シート11,12の繰り出し条件が同じになるため、積層する際の位置ずれを抑制することができる。その結果、内側ラベル2と外側ラベル3との位置ずれが少ない多層ラベルを容易に製造することができる。
【0083】
さらに、上記多層ラベルの製造方法によれば、各ラベル用長尺シート11,12をそれぞれ3本の折り返しローラで折り返しながら走行させることにより、各ラベル用長尺シート11,12の走行安定性が良好となる。即ち、各ラベル用長尺シート11,12は、狭い間隔で設けられた各折り返しローラで折り返すことによって、各ラベル用長尺シート11,12の蛇行を防止できる。特に、軸線がラベル用シート材13の走行方向に平行に設けられた第二及び第五折り返しローラ32,35によって各ラベル用長尺シート11,12を180゜折り返すことによって、各ラベル用長尺シート11,12の走行安定性が向上する。
【0084】
また、本発明に係る多層ラベルの製造方法は、上述したものに限定されるものではなく、次に、多層ラベルの他の製造方法について図7を参酌して説明する。尚、図7に示す多層ラベルの製造方法において、図6に示す多層ラベルの製造方法と同一の構成要素については、同一の符号を付してその詳細な説明は割愛する。
【0085】
本多層ラベルの製造方法と前述した図6に示す多層ラベルの製造方法とは、折り返し工程において相違している。具体的には、図6に示す多層ラベルの製造方法においては、折り返し工程で各ラベル用長尺シート11,12を各三本ずつの折り返しローラによってそれぞれ三回折り返していたが、本多層ラベルの製造方法では、図7に示す如く、各ラベル用長尺シート11,12を各二本ずつの折り返しローラによってそれぞれ二回折り返している。詳細に説明すると、第二搬送ローラ対21より下流側に設けられた第一折り返しローラ31′と、該第一折り返しローラ31′の下流側に設けられた第二折り返しローラ32′とによって前記内側ラベル用長尺シート11を折り返すように構成する。
【0086】
前記第一折り返しローラ31′は、内側ラベル用長尺シート11よりも下方位置で、しかも軸線が内側ラベル用長尺シート11の走行面に対して略平行且つ幅方向(短手方向)に対して45゜以内の所定の角度をなして設けられている。そして、内側ラベル用長尺シート11をかかる第一折り返しローラ31′の外周面に沿って下側に屈曲させ、平面視でラベル用シート材13幅の中央位置に向けてV字状に折り返す。
【0087】
前記第二折り返しローラ32′は、第一折り返しローラ31′と略平行に設けられていて、第一折り返しローラ31′によって折り返された内側ラベル用長尺シート11を、該第二折り返しローラ32′の外周面に沿わせて下側に屈曲させて平面視でV字状に折り返す。これにより、内側ラベル用長尺シート11の走行方向がラベル用シート材13の走行方向と同一(矢印P方向)となり、その走行経路が側面視でラベル用シート材13の下方位置、且つ、平面視でラベル用シート材13の幅の中央位置に平行移動する。
【0088】
同様に、前記外側ラベル用長尺シート12を、第四折り返しローラ34′及び第五折り返しローラ35′に沿って屈曲させて折り返し、側面視で前記ラベル用シート材13より上方位置、且つ、平面視でラベル用シート材13の幅の中央位置に外側ラベル用長尺シート12の走行経路を平行移動させる。尚、本製造方法においては、各ラベル用長尺シート11,12は、それぞれ2回折り返されているため、表裏が反転することはない。即ち、内側ラベル用長尺シート11における内側アンカーコート剤9b塗布面が上側に位置し、外側ラベル用長尺シートにおける外側表示部7の無い面が下側に位置する。
【0089】
このようにして、内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12とが平面視で重なり合い、且つ側面視で内側ラベル用長尺シート11の上方位置に外側ラベル用長尺シート12が位置するようにそれぞれの走行経路を移動させる。尚、本多層ラベルの製造方法においても、各折り返しローラ31′,32′,34′,35′の外周面には、図6に示す多層ラベルの製造方法と同様に、空気吹出し装置が設けられていることが好ましい。
【0090】
本多層ラベルの製造方法によれば、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11とを擬似接着用長尺シート材42を介して積層するため、別々に作成した第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートのうち、一方のシートに予め接着剤を塗布してその接着剤によって両シートを積層する従来の多層ラベルの製造方法に比して剥離強度が安定すると共に、積層する際の外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11との長手方向の位置ずれを抑制することができる。従って、外側ラベル3と内側ラベル2との位置ずれが従来に比して少ない多層ラベルを容易に製造することができる。
【0091】
また、本多層ラベルの製造方法によれば、図6に示す多層ラベルの製造方法に比して折り返しローラの数を少なくすることにより、多層ラベルの製造に使用される装置を簡素化することができると共に、各ラベル用長尺シート11,12と折り返しローラとの摩擦抵抗が減少するため、各ラベル用長尺シート11,12が長手方向に伸びることを防止できる。
【0092】
また、各ラベル用長尺シート11,12に対して折り返しローラが同数設けられているため、各ラベル用長尺シート11,12に加わる張力も同一となり、その結果、各ラベル用長尺シート11,12の伸びの差による各表示部6,7の位置ずれを抑制することができる。
【0093】
また、多層ラベルの製造方法は図8に示すものでもよい。図8に示す多層ラベルの製造方法は、折り返し工程において、内側ラベル用長尺シート11は平面視でその走行経路を移動させず(図8(イ)参照)、外側ラベル用長尺シート12を第四折り返しローラ34′及び第五折り返しローラ35′に沿わせて折り返すことで、内側ラベル用長尺シート11と重なる位置に走行経路を移動させる。
【0094】
具体的には、前記第四折り返しローラ34′は、外側ラベル用長尺シート12よりも上方位置で、しかも軸線が外側ラベル用長尺シート12の走行面に対して略平行且つ幅方向(短手方向)に対して45゜の角度をなして設けられていると共に、前記第五折り返しローラ35′は、第四折り返しローラ34′と略平行に設けられている。
【0095】
そして、外側ラベル用長尺シート12を第四折り返しローラ34′によって折り返すことにより、平面視で内側ラベル用長尺シート11側に向けて走行させ、次いで第五折り返しローラ35′によって折り返しラベル用シート材13の走行方向と同方向に走行させる。そうすることにより、外側ラベル用長尺シート12の走行経路が、平面視で内側ラベル用長尺シート11と重なる位置に移動する。
【0096】
一方、内側ラベル用長尺シート11は、調整ローラ23によって下方向に走行経路が移動する。前記調整ローラ23は、第二搬送ローラ対21と加熱ローラ対22との間でラベル用シート材13の走行面よりも下方位置に設けられ、且つ、その軸線が前記第二搬送ローラ対21の軸線と平行に配置されている。そして、該調整ローラ23の外周面に沿わせて内側ラベル用長尺シート11を屈曲させることで、側面視(図8(ロ)参照)で走行経路を下方位置に移動させる。
【0097】
また、該調整ローラ23は、上下方向に位置調整可能に構成されている。即ち、側面視で該調整ローラ23を上方向に移動させれば内側ラベル用長尺シート11の走行経路を短く、逆に下方向に移動させれば走行経路を長くすることができるように構成されている。従って、調整ローラ23の上下位置を調整することにより、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11との走行距離を同一にすることができる。
【0098】
本多層ラベルの製造方法によれば、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11とを擬似接着用長尺シート材42を介して積層するため、別々に作成した第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートのうち、一方のシートに予め接着剤を塗布してその接着剤によって両シートを積層する従来の多層ラベルの製造方法に比して剥離強度が安定すると共に、積層する際の外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11との長手方向の位置ずれを抑制することができる。従って、外側ラベル3と内側ラベル2との位置ずれが従来に比して少ない多層ラベルを容易に製造することができる。
【0099】
さらに、本多層ラベルの製造方法によれば、折り返しローラの数が、図7に示す多層ラベルの製造方法よりもさらに減少するため、多層ラベルを製造するための装置をさらに簡素化することができ、機械コストを低く抑えることができる。
【0100】
そして、調整ローラ23を設けて内側ラベル用長尺シート11の走行経路の距離を調整可能にすることにより、内側ラベル用長尺シート11と外側ラベル用長尺シート12との長手方向の微妙な位置調整を容易に行うことができる。
【0101】
さらに、図9に示す多層ラベルの製造方法について説明する。図9に示す多層ラベルの製造方法では、先ず、原反ロール10を軸線が垂直方向で、且つ、外側ラベル用長尺シート12となる部分が内側ラベル用長尺シート11となる部分の上側位置になるように配置し、当該原反ロール10からラベル用シート材13を引き出し、当該ラベル用シート材13を半折ガイドバー24に沿わせて屈曲する。
【0102】
前記半折ガイドバー24は、側面視で一対のガイドバーが逆「くの字」状に配置され、該半折ガイドバー24に沿ってラベル用シート材13を屈曲させることにより、外側表示部7を内側にして当該ラベル用シート材13を長手方向に半折する。
【0103】
その後、半折したラベル用シート材13を切断工程で切断して内側ラベル用長尺シート11及び外側ラベル用長尺シート12を形成する。具体的には、切断刃50が半折したラベル用シート材13の折り目近傍に設けられており、当該ラベル用シート材13をその折り目付近で切断することにより、内側ラベル用長尺シート11及び外側ラベル用長尺シート12を形成する。
【0104】
次に、折り返し工程において、外側ラベル用長尺シート12を第一〜第三折り返しローラ31,32,33に沿って屈曲させて折り返すことにより、その表裏を反転させる。即ち、ラベル用シート材13を半折すると、外側ラベル用長尺シート12における外側表示部7の有る面と内側ラベル用長尺シート11における内側アンカーコート剤9b塗布面とが対向した状態となる。そこで、外側ラベル用長尺シート12の表裏を反転させることで、前記図6〜図8に示した製造方法と同様に、外側ラベル用長尺シート12における外側表示部7の無い面と内側ラベル用長尺シート11における内側アンカーコート剤9b塗布面とが対向する状態にする。
【0105】
具体的には、第一折り返しローラ31は、外側ラベル用長尺シート12よりも上方位置に設けられ、軸線が外側ラベル用長尺シート12の走行方向に対して90゜の角度をなして配置されている。前記第二折り返しローラ32は、前記第一折り返しローラ31より下流側且つ上方位置に設けられ、軸線が外側ラベル用長尺シート12の幅方向(短手方向)に対して直交して配置されている。前記第三折り返しローラ33は、前記第二折り返しローラ32の下流側且つ上方位置に設けられ、軸線が前記第一折り返しローラ31に直交して設けられている。
【0106】
そして、外側ラベル用長尺シート12を前記第一〜第三折り返しローラ31,32,33の外周面に沿わせて屈曲させて平面視で次のように折り返すことにより、走行方向を変更させる。先ず前記第一折り返しローラ31でL字状に90゜折り返してラベル用シート材13の走行方向に対して90゜の角度をなして走行させる。次に、第二折り返しローラ32で180゜折り返し、最後に第三折り返しローラ33でL字状に90゜折り返してラベル用シート材13と同方向(矢印P方向)に走行させる。即ち、外側ラベル用長尺シート12を奇数回数折り返すことで、外側ラベル用長尺シート12の表裏を反転させることができる。その結果、外側ラベル用長尺シート12は、表裏が反転した状態で、上方向にのみ走行経路が移動する。
【0107】
一方、内側ラベル用長尺シート11は、調整ローラ23に沿って屈曲されることで下方向にのみ走行経路が移動する。
【0108】
また、前記図6〜図8に示した多層ラベルの製造方法では、接着工程で形成された積層シート14はロール状に巻き取っているが、本多層ラベルの製造方法においては、積層シート14の両側縁部同士を接合することにより、筒状のチューブ体17に形成している。その後、前記チューブ体17を適宜所定の長さに切断することにより筒状の多層ラベルを形成する。
【0109】
本多層ラベルの製造方法によれば、外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11とを擬似接着用長尺シート材42を介して積層するため、別々に作成した第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートのうち、一方のシートに予め接着剤を塗布してその接着剤によって両シートを積層する従来の多層ラベルの製造方法に比して剥離強度が安定すると共に、積層する際の外側ラベル用長尺シート12と内側ラベル用長尺シート11との長手方向の位置ずれを抑制することができる。従って、外側ラベル3と内側ラベル2との位置ずれが従来に比して少ない多層ラベルを容易に製造することができる。
【0110】
本多層ラベルの製造方法においては、原反ロール10の軸を上下方向に向けて配置すると共に、ラベル用シート材13を半折することにより、多層ラベルを製造するための占有面積を少なくすることが可能となる。
【0111】
尚、本発明の多層ラベル及び多層ラベルの製造方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、第一及び第二実施形態に係る多層ラベルは、外側ラベル3を第一ラベル、内側ラベル2を第二ラベルとしたが、内側ラベル2を第一ラベル、外側ラベル3を第二ラベルとする構成であってもよい。
【0112】
第一実施形態に係る多層ラベルにおいて、擬似接着シート材8は、単層構造であるが、多層構造に形成してもよい。擬似接着シート材8を多層構造に形成した場合であっても、擬似接着シート材8の各層間及び内側接着部18aよりも、外側接着部18bが相対的に弱い接着力で擬似接着されていれば、外側ラベル3と擬似接着シート材8との間で外側ラベル3を内側ラベル2から剥離させることができる。
【0113】
また、第一実施形態に係る多層ラベルにおいて、内側ラベル2と擬似接着シート材8とが擬似接着されていてもよい。この場合であっても、内側接着部18aよりも、外側接着部18bが相対的に弱い接着力で擬似接着されていればよい。
【0114】
第一実施形態に係る多層ラベルにおいて、内側アンカーコート剤9bは必ずしも設ける必要はない。例えば、外側接着部18bよりも、擬似接着シート材8と内側ラベル基材4とが相対的に強い接着力で直接接着可能な場合は、内側アンカーコート剤9bは設ける必要はない。
【0115】
第二実施形態に係る多層ラベルにおいて、擬似接着シート材8を二層構造としたが三層以上の構造であってもよい。この場合、擬似接着シート材8における所定の2つの層間の接着部が、内側接着部18a、外側接着部18b及び擬似接着シート材8におけるその他の層間の接着部よりも相対的に弱い接着力で擬似接着されていれば、擬似接着シート材8を前記擬似接着シート材8における所定の2つの層間で剥離することができる。
【0116】
第二実施形態に係る多層ラベルにおいて、各ラベル2,3と擬似接着シート材8とが擬似接着されていてもよい。この場合であっても、内側接着部18a及び外側接着部18bよりも、層間接着部19が相対的に弱い接着力で擬似接着されていればよい。
【0117】
また、第二実施形態に係る多層ラベルにおいて、内側接着部18aと外側接着部18bとは、同じ接着力で接着されている必要はない。即ち、内側接着部18a及び外側接着部18bよりも、層間接着部19が相対的に弱い接着力で擬似接着されていればよい。
【0118】
第二実施形態に係る多層ラベルにおいて、外側アンカーコート剤9a及び内側アンカーコート剤9bは、必ずしも塗布する必要はない。即ち、層間接着部19よりも、擬似接着シート材8と各ラベル基材4,5とが相対的に強い接着力で直接接着可能な場合は、各アンカーコート剤9a,9bは設ける必要はない。
【0119】
多層ラベルの形状及び大きさは、任意の形状に設定可能である。また、前記第一及び第二実施形態に係る多層ラベルは、何れも外側ラベル3(第一ラベル)及び内側ラベル2(第二ラベル)からなる二層のものを例示したが、外側ラベル3に接着される第三ラベルをさらに備えたものであってもよく、それ以上の複数層で構成されたものであってもよい。
【0120】
多層ラベルは、必ずしも筒状に形成する必要はない。例えば、シート状の多層ラベルにおいて、内側ラベル2の裏面に接着剤を塗布することで被装着体に装着してもよい。この場合、外側ラベル3及び内側ラベル2は、一軸延伸されたフィルムに限定されず、無延伸又は二軸延伸フィルムであってもよい。内側ラベル2の裏面に塗布する接着剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の感圧接着剤や、ディレードタック、ホットメルト等の感熱性接着剤等を採用できる。
【0121】
前記外側ラベル基材5及び内側ラベル基材4は、透明であることに限定されず、不透明であってもよい。不透明の場合、外側ラベル基材5の両面に外側表示部7を設けることによりさらに多くの情報を表示することができる。
【0122】
第一実施形態に係る多層ラベルにおいて、内側アンカーコート剤9bは、上記の材料に限定されるものではい。即ち、外側接着部18bよりも、内側接着部18aが相対的に強い接着力で接着されていれば、外側ラベル3と擬似接着シート材8との間で外側ラベル3を内側ラベル2から剥離させることができる。
【0123】
第二実施形態に係る多層ラベルにおいても、外側アンカーコート剤9a及び内側アンカーコート剤9bは、上記の材料に限定されるものではない。即ち、層間接着部19よりも、内側接着部18a及び外側接着部18bが相対的に強い接着力で接着されていればよい。
【0124】
また、第一及び第二実施形態に係る多層ラベルは、内側ラベル2及び外側ラベル3が、個別に作成した内側ラベル用長尺シート11及び外側ラベル用長尺シート12から形成されたものであってもよい。この場合であっても、内側ラベル2と外側ラベル3とが、擬似接着シート材8を介して積層されるので、安定した剥離強度を得ることができる。
【0125】
上記各製造方法において、ラベル用シート材13を切断刃50により切断しているが、ラベル用シート材13を鋭利に切断できればよく、レーザーやヒートナイフなどで切断してもよい。
【0126】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る多層ラベルは、第一ラベルと第二ラベルが擬似接着シートを介して積層され、第一ラベルと擬似接着シートとの間で第一ラベルを剥離するので、安定した剥離強度を得ることができる。
【0127】
さらに、第一ラベルと第二ラベルが多層に構成された擬似接着シートを介して積層され、擬似接着シートにおける2つの層同士の間で第一ラベルを剥離するので、安定した剥離強度を得ることができる。
【0128】
また、本発明の多層ラベルの製造方法にあっては、ラベル用シート材を長手方向に切断して第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとすることにより、両ラベル用長尺シートを位置ずれの少ない状態で積層することができる。その結果、第一ラベルと第二ラベルとの位置ずれが従来に比して少ない多層ラベルを容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層ラベルの第一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同実施形態を示す構造断面図であり、(イ)内側ラベルと外側ラベルが積層されている状態、(ロ)は、内側ラベルから外側ラベルを剥離した状態である。
【図3】本発明の多層ラベルの第二実施形態を示す構造断面図であり、(イ)内側ラベルと外側ラベルが積層されている状態、(ロ)は、内側ラベルから外側ラベルを剥離した状態である。
【図4】第一実施形態の多層ラベルを形成するラベル用シート材を示す斜視図である。
【図5】第二実施形態の多層ラベルを形成するラベル用シート材を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る多層ラベルの製造方法の一形態を示す概略工程図であり、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。
【図7】本発明に係る多層ラベルの製造方法の他形態を示す概略工程図であり、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。
【図8】本発明に係る多層ラベルの製造方法の他形態を示す概略工程図であり、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。
【図9】本発明に係る多層ラベルの製造方法の他形態を示す概略工程図であり、(イ)は平面図、(ロ)は側面図である。
【符号の説明】
2…内側ラベル、3…外側ラベル、4…内側ラベル基材、5…外側ラベル基材、6…内側表示部、7…外側表示部、8…擬似接着シート材、9a…外側アンカーコート剤、9b…内側アンカーコート剤、10…原反ロール、11…内側ラベル用長尺シート、12…外側ラベル用長尺シート、13…ラベル用シート材、14…積層シート、15…シート材、16…表示部、17…チューブ体、18a…内側接着部、18b…外側接着部、19…層間接着部、20…第一搬送ローラ対、21…第二搬送ローラ対、22…加熱ローラ対、23…調整ローラ、24…半折ガイドバー、25…ガイドローラ対、31,31′…第一折り返しローラ、32,32′…第二折り返しローラ、33…第三折り返しローラ、34,34′…第四折り返しローラ、35,35′…第五折り返しローラ、36…第六折り返しローラ、40…擬似接着シート材ロール、42…擬似接着用長尺シート材、50…切断刃、60…熱風吹出し装置、80…第一シート層、81…第二シート層
Claims (5)
- 第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルであって、第一ラベルと第二ラベルとが擬似接着シート材を介して積層され、第一ラベルと擬似接着用シート材との間で第一ラベルを剥離できるように、第二ラベルと擬似接着シート材との間の接着部よりも第一ラベルと擬似接着シート材との間の接着部が相対的に弱い接着力で接着されていることを特徴とする多層ラベル。
- 第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルであって、第一ラベルと第二ラベルとが擬似接着シート材を介して積層され、該擬似接着シート材は多層に構成され、擬似接着用シート材における2つの層同士の間で第一ラベルを剥離できるように、第二ラベルと擬似接着シート材との間の接着部及び第一ラベルと擬似接着シート材との間の接着部よりも、擬似接着シート材における前記2つの層同士の間の接着部が相対的に弱い接着力で接着されていることを特徴とする多層ラベル。
- 第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルの製造方法であって、原反ロールからラベル用シート材を引き出し、該ラベル用シート材を繰り出しながら長手方向に切断することによって第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとし、それぞれを繰り出すと共に、両シート間に長尺状の擬似接着シート材を介在させ、第一ラベルと擬似接着シート材との間で第一ラベルを剥離できるように、第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間よりも第一ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間を相対的に弱い接着力で順次接着し、該第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材とが積層された積層シートから所定形状の多層ラベルを形成することを特徴とする多層ラベルの製造方法。
- 第一ラベルが第二ラベルに対して剥離可能に積層された多層ラベルの製造方法であって、原反ロールからラベル用シート材を引き出し、該ラベル用シート材を繰り出しながら長手方向に切断することによって第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートとし、それぞれを繰り出すと共に、両シート間に多層に構成された長尺状の擬似接着シート材を介在させ、擬似接着シート材における2つの層同士の間で第一ラベルを剥離できるように、長尺状の擬似接着シート材における前記2つの層同士の間よりも、第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間及び第一ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材との間を相対的に強い接着力で順次接着し、該第一ラベル用長尺シートと第二ラベル用長尺シートと長尺状の擬似接着シート材とが積層された積層シートから所定形状の多層ラベルを形成することを特徴とする多層ラベルの製造方法。
- 積層シートの両側縁部同士を接合することにより、筒状の多層ラベルを形成することを特徴とする請求項3又は4に記載の多層ラベルの製造方法。
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