JP2004085498A - 一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置 - Google Patents

一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置 Download PDF

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Isao Nakamura
中村 功
Shigefumi Komada
駒田 成史
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Abstract

【課題】より適正に駆動輪のローラ上への位置決めを行う。
【解決手段】一対の支承ユニット3は駆動輪が載置されるローラ1を間に挟むように配置され、アーム39を引き込んだ状態において、アーム39の先端は、ローラ頂上よりも下方となる。この状態から、送りネジユニット33によって、アーム39を送り出すと、アーム39は、駆体天井に設けた開口11を通って、斜め上方に移動する。そして、やがて、先端ローラ40が駆動輪周面に接して力を加え、駆動輪のローラ頂上位置への位置決めを行う。制御部42は、各送りネジユニット33内のボールネジ333の回転角度を検出するエンコーダ338の出力を監視し、所定の同期単位角度毎に、各ボールネジ333の回転量が一致するように制御しながら、各ボールネジ333を所要量回転させる。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一軸シャシダイナモメータに対して車両車輪を適正に配置するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の駆動輪を、回動可能に設けた円筒形状のローラ上で回転し自動車性能の試験を行う一軸シャシダイナモメータにおいては、自動車を、その駆動輪が正しくローラの頂上部に接した状態、すなわち、駆動輪の回転中心とローラの回転中心を結ぶ線が垂直となる状態に配置する必要がある。
【0003】
そして、このような自動車の駆動輪を適正にローラ上に配置する技術としては、たとえば、特開平6−201525号公報記載の技術が知られている。
この公報記載の技術は、ローラ頂上に対して前後に設けた二つのエアシリンダの先端部を、ローラ上に配置された駆動輪周面に斜め下方両側から押しつけることにより、駆動輪をローラ頂上に位置合わせするものである。なお、各エアシリンダ先端部は、駆動輪のローラ上への進入時や、試験実施時には、ローラ頂上より下方の位置まで引き込まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報記載の技術によれば、4つのエアシリンダ(二つの駆動輪それぞれについて前後に二つのエアシリンダ)を、エアシリンダ先端部の高さ、及び、ローラ頂上を通る垂線に対する前後方向距離が常に一致するように同期して動作させることができないために、駆動輪のローラ頂上部への厳密な位置合わせを行うことができない場合がある。すなわち、駆動輪位置合わせの際には、エアシリンダ間の位置のずれや、位置合わせの過程で駆動輪によって各エアシリンダに加わる荷重の不均衡の影響により、最終的な駆動輪の位置が、ローラ頂上部に正確に一致しない場合がある。
【0005】
また、一軸シャシダイナモメータにおいては、暖気運転などのために、一軸シャシダイナモメータから自動車を退出させることなく、ローラの回転を行いたい場合がある。そして、このために、前記公報記載のエアシリンダを利用して駆動輪をエアシリンダ先端部でさらに斜め上方向に押し上げることにより、駆動輪をローラと接しない位置まで持ち上げることが考えられる。しかし、上述のように公報記載の4つのエアシリンダを同期して動作させることができないために、安定的に自動車の姿勢を保った駆動輪の持ち上げを実現することができない。
【0006】
すなわち、エアシリンダは、弾性を有する流体の圧力を利用した直進機構であるために厳密な位置制御が困難である。特に、荷重が加わった状態では、加わった荷重の影響によって位置が異なるものとなり得るため、その位置制御は困難となる。そして、このためにエアシリンダを用いた前記公報記載の技術では上述したような同期した動作を実現することが困難であり、したがって、駆動輪の適正な位置決めや持ち上げを行うことができない場合が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、より適正に駆動輪のローラ上への位置決めを行うことのできる一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題達成のために、本発明は、開口を有する車両の走路床面と、前記開口によって頂上部が露出し、かつ、前記走路床面との間に間隙が水平な経方向について両側に生じるように配置された、頂上高さが略前記走路床面高さのロータとを有する一軸シャシダイナモメータの前記ロータ上に前記車両の駆動輪を位置決めする車両位置制御装置を、移動制御手段と、駆動輪毎に設けられた、前記ロータの水平な経方向について当該ロータの両側に配置された一対の支承ユニットを含めて構成し、各支承ユニットを、アームと、当該アームを送りネジ機構により直進移動する移動手段とを有するものとし、その上で、前記移動手段によって、当該アームの全体が前記走路床面下方に収容される収容位置と、当該アームの先端が前記収容位置から前記間隙を通って前記ロータの頂上上方に向かって斜め上方に前記走路床面高さより高い位置まで進んだ位置との間で、前記アームを直進移動し、前記移動制御手段によって、各支承ユニットの前記移動手段による前記アームの直進移動を制御するようにしたものである。
【0009】
このような発明によれば、移動手段を荷重の有無によらず比較的厳密な位置制御が可能な送りネジ機構によりアームを直進移動する構成としたことにより、移動制御手段の適当な制御によって、より良好に各アームの直進移動を同期して行うことができるようになる。
【0010】
すなわち、このような車両位置制御装置においては、たとえば、移動制御手段において、前記各支障ユニットの前記各アームの所定の単位時間当たりの直進移動の移動量が一致するように、前記各支障ユニットの前記各移動手段を制御することにより、より良好に各アームの直進移動を同期させることができる。
【0011】
そして、これらの制御を行うことにより、適正な駆動輪の位置決めや安定した駆動輪の持ち上げなどが行えるようになる。
ここで、この場合には、前記各支障ユニットの前記移動手段を、送りネジと、送りネジの回転に伴って直進移動する前記アームに連結した移動部材と、前記送りネジを回転させる回転駆動手段と、前記送りネジの回転量を検出する回転量センサとより構成し、前記移動制御手段において、前記各支障ユニットの前記移動手段の前記各回転量センサの検出する回転量に応じて、前記各支障ユニットの前記移動手段の前記各回転駆動手段の前記送りネジの回転動作を制御することにより、より確実に、各アームの直進移動の同期が行われるようにしてもよい。
【0012】
また、これらの一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置に、前記車両の種類と、当該種類の車両の駆動輪を位置決め/ロータ上への持ち上げをするために必要となる前記各アームの移動位置との対応を記憶した記憶手段と、位置決めを行う車種の指定を受け付ける入力手段とを設け、前記移動制御手段において、前記位置決め/ロータ上への持ち上げを行う際に、前記入力手段が受け付けた車種に対応して前記記憶手段に記憶されている前記各移動位置まで前記各アームを移動するように、前記各支障ユニットの前記各移動手段を制御することも好ましい。
【0013】
すなわち、このようにすることにより、移動手段を荷重の有無によらず比較的厳密な位置制御が可能な送りネジ機構によりアームを直進移動する構成としたことと相まって、車両の種類毎の駆動輪径の違いなどにも容易かつ適正に対応することができるようになる。
【0014】
また、これらの一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置に、前記ロータの水平な経方向について前記車両の駆動輪の回転中心が前記ロータの回転中心に一致するかどうかを検知するセンタセンサを設け、前記移動制御手段において、前記位置決めを行う際に、前記センタセンサが、前記一致を検出するまで前記各支障ユニットの前記移動手段に前記各アームを前記斜め上方に向かって直進させるようにしても良い。
【0015】
このようにしても、各アームを同期動作させることが可能であることと相まって、車両の種類毎の駆動輪径の違いに適正に対応することができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に本実施形態に係る一軸シャシダイナモメータの構成を模式的に示す。ここで、図1aは一軸シャシーダイナモメータの上面模式図を、図1bは一軸シャシーダイナモメータの前面模式図を示している。
図示するように、シャシーダイナモメータは、自動車駆動輪をローラ1上に載置して走行させ、ローラ1に連結した動力計2で自動車の各種特性を試験するものである。
このような、一軸シャシダイナモメータへの自動車の設置は、次のように行われる。すなわち、まず、自動車を一軸シャシダイナモメータ上に進行させ、駆動輪回転中心がローラ真上付近となる状態で駐車する。そして、車両位置制御装置によって、駆動輪回転中心がローラ回転軸真上となるように位置決めを行い、その後、固定部材4によって、自動車の前後を固定し試験を開始する。
【0017】
ここで、図中3は、このような車両駆動輪の位置決めを行う車両位置制御装置に含まれる支承ユニットである。図示するように、車両位置制御装置は各駆動輪に対して各々設けられた、一対の支承ユニット3を有し、対となった二つの支承ユニット3は、図1bの左右方向を法線方向とするローラ1の回転軸を通る面に対し面対称な構造、配置を有している。
【0018】
以下、このような支承ユニット3の詳細について説明する。
図2aに一対の支承ユニット3を前面から見た構造を模式的に、図2bに図2a中の右側の支承ユニット3を上方から見た構造を模式的に示す。
図2aに示すように、支承ユニット3は、ベース31、二つのリニアガイド32、送りネジユニット33、電磁ブレーキ34付きのモータ35、モータ35の軸の回転運動を送りネジユニット33に含まれるボールネジの回転運動に変換するギヤボックス36を有している。ここで、送りネジユニット33、リニアガイド32、モータ35、ギヤボックス36は、それぞれ固定アングル37によりベース31に固定されている。
【0019】
また、支承ユニット3は、各々リニアガイドに滑動可能に支持された二つのガイドシャフト38、アーム39、アーム39に回動可能に枢支された先端ローラ40とを有する。
ここで、アーム39は、二つのガイドシャフト38の先端に固定され、かつ、送りネジユニット33に含まれるボールネジナットに連結された駆動シャフト331先端に、幾分揺動可能に枢支されている。これは、アーム39に駆動輪より加わる力が、主としてガイドシャフト38に加わるようにすることにより、駆動シャフト331に過剰な荷重がかからないようにするためである。
【0020】
次に、図2c、dに送りネジユニット33の構造を示す。図2cと図2dは、送りネジユニット33の長手方向軸を含む相互に垂直な面による断面を示す。
図示するように、送りネジユニット33は、ベース31に固定されるフレーム332、ボールネジ333、ボールネジナット334、ボールネジナット334のボールネジ軸方向の移動をガイドするガイドレール335、ボールネジナット334に連結された駆動シャフト331、ボールネジ上下端をボールネジ333が回転可能に支持する軸受け336、ボールネジナット334が所定の基準位置に移動したことを検出する基準スイッチ337、ボールネジ333の回転角を検出するエンコーダ338とを有する。ここで、軸受け336、ガイドレール335、基準スイッチ337、エンコーダ338は、フレーム332に対して固定されている。
【0021】
このような構造において、ボールネジ333の回転に伴い、ボールネジナット334はボールネジ333の軸方向に移動し、これに伴い、ボールネジナット334に連結された駆動シャフト331の、フレーム332に対する送り出し/引き込みが行われる。そして、これによりアーム39は、リニアガイド32とガイドシャフト38で案内されながら、ベース31に対する直進運動を行う。なお、駆動シャフト331のフレーム332に対する送り出しと引き込みの切替は、ボールネジ333の回転方向によって制御される。以下では、説明の便宜上、駆動シャフト331をフレーム332に対して送り出すボールネジ333の回転方向を正回転方向、駆動シャフト331をフレーム332に対して引き込むボールネジ333の回転方向を逆回転方向と呼ぶことにする。
【0022】
ここで、以上のようなボールネジ333の回転角を検出するエンコーダ338の構成例を図3に示す。
図3aに示すようにエンコーダ338は、複数のスリット3381を等角度間隔で周方向に並べた、ボールネジ333と共に回転する円盤3382と、図3bに示すような円盤3382に照射した光線のスリット3381による通過を検出する光センサ3383との組み合わせなどを用いることができる。
【0023】
さて、図2aに戻り、支承ユニット3のベース31は、自動車の走行台を形成する、一軸シャシダイナモメータの駆体10内に、駆体天井に固定される形態で配置されている。また、図示するように、一対の支承ユニット3は、間にローラ1を挟むように配置され、アーム39をベース31に対して引き込んだ状態において、アーム39の先端は、ローラ頂上よりも下方となる。したがって、この状態では、支承ユニット3は、自動車の駆体10上への進行や、自動車の試験を妨げることはない。また、この状態から、ベース31に対してアーム39を送り出すと、アーム39は、駆体天井に設けた開口11のローラ1と駆体10との間を通って、斜め上方に移動する。そして、やがて、先端ローラ40が駆動輪周面に接して力を加え、駆動輪の位置決めを行う。また、さらに、ベース31に対してアーム39を送り出すと、駆動輪周面を支えて、駆動輪をローラ1に接しない上方位置まで持ち上げることになる。
【0024】
次に、このような車両位置制御装置の制御系の構成について説明する。
図4aに示すように、車両位置制御装置の制御系は、前記支承ユニット毎に設けた基準スイッチ337とエンコーダ338と、各支承ユニット3のモータ35と電磁ブレーキ34を駆動する各支承ユニット毎に設けたアクチュエータ41と、アクチュエータ41を制御する制御部42と、オペレータの操作を受け付ける操作卓43と、車種テーブル44とより構成される。なお、本実施形態では、アクチュエータ41がモータ35を駆動していないときに、モータ35の軸をチャックし、回転を抑止する電磁ブレーキ34を用いている。
【0025】
さて、図4bに示すように、車種テーブル44には、一軸シャシダイナモメータで試験する対象となる自動車の各車種について、当該車種の駆動輪をローラ頂上に位置決めする際のボールネジナット334の移動距離と、当該車種の駆動輪をローラ1に接しない上方位置まで持ち上げる際のボールネジナット334の移動距離とが記述される。ここで、移動距離は、基準スイッチ337が検出するボールネジナット334の所定の基準位置から測ったボールネジナット334の所要送り出しの距離であり、この移動距離の車種テーブル44への記述としては、移動距離を直接記述しても良いが、移動距離に相当するボールネジ333の回転数や回転角度を記述するようにしてもよい。なお、基準スイッチ337が検出する所定の基準位置にボールネジナット334がある状態において、各支承ユニット3のアーム39の高さは駆体天井下方の等しい高さにある。
【0026】
以下、このような車両位置制御装置の動作について説明する。
制御部42は、起動時またはオペレータより初期化動作を指示されると、図5aに示す初期化処理を行う。
この処理では、まず、各支承ユニット3のアクチュエータ41を制御し、所定の回転数、各送りネジユニット33のボールネジ333を正回転方向に回転し(ステップ501)、その後、各支承ユニット3のアクチュエータ41を制御し、各送りネジユニット33のボールネジ333を逆回転方向に回転する(ステップ503)。そして、基準スイッチ337が所定の基準位置にボールネジナット334が移動したことを検出した送りネジユニット33から(ステップ507)、アクチュエータ41を制御し、ボールネジ333の回転を停止していく(ステップ509)。そして、全ての支承ユニット3についてボールネジ333の回転を停止したならば(ステップ511)、処理を終了する。
【0027】
また、初期化処理後、制御部42は、図5bに示すアーム駆動処理を行う。
図示するように、この処理では、オペレータからの操作卓43を介した車種設定の指示か(ステップ551)、位置決めか持ち上げかアーム収容の動作指示(ステップ553)が入力されるのを待つ。そして、車種設定の指示があれば、車種設定を受付け(ステップ569)、指示された車種を記憶する。
【0028】
一方、位置決めか持ち上げかアーム収容の動作指示があった場合であって、指示が位置決めか持ち上げである場合には、車種テーブル44を参照して、先に記憶した車種の、位置決めまたは持ち上げのうちの指示された方の動作に対応する移動距離を抽出し(ステップ555)、次のステップ557に進む。また、指示がアーム収容の場合は、このステップ555では処理を行わず、次のステップ557に進む。
【0029】
ステップ557では、指示が位置決めか持ち上げである場合には、ボールネジナット334の基準位置からの現在の送り出しの距離とステップ555で抽出した移動距離とから、抽出した移動距離にボールネジナット334を移動するために必要となる各ボールネジ333の所要回転量mと回転方向を算出する。一方、指示がアーム収容である場合には、ボールネジナット334の基準位置からの現在の送り出し距離から、アーム39を駆体天井下に収容するのに必要な、各ボールネジ333の回転角度を所要回転量mとして算出し、回転方向としては逆回転を算出する。ここで、制御部42は、初期化処理後、各ボールネジナット334の現在の送り出しの距離を、対応するエンコーダ338の出力に基づいて管理する。なお、このステップ557では総回転量を0に初期化する処理も行う。
【0030】
そして、次に、全てのアクチュエータ41を介して全てのボールネジ333の算出した回転方向への回転を開始し(ステップ559)、各送りネジユニット33のエンコーダ338の出力を監視する。
そして、いずれかのエンコーダ338の出力が、直前のステップ559で回転を開始してから予め定めた同期単位回転角度n(例えば、360度すなわち1回転)、ボールネジ333が回転したことを表したならば(ステップ561)、そのエンコーダ338に対応するボールネジ333の回転を、対応するアクチュエータ41を制御して停止する(ステップ563)。
【0031】
次に、全てのボールネジ333が、直前のステップ559で回転を開始してから同期単位角度n回転したかどうかを調べ(ステップ565)、回転してなければ、全てのボールネジ333が同期単位角度n回転するまで、ステップ559〜563の処理を行う。
【0032】
一方、全てのボールネジ333が同期単位角度n回転したならば、総回転量に同期単位角度nを加え、総回転量が所要回転量m以上となったかどうかを調べる(ステップ567)。そして、総回転量が所要回転量m以上となっていなければ、ステップ559に戻って、全てのボールネジ333の回転を開始し、各ボールネジ333を、さらに同期単位回転角度n回転する。一方、総回転量が所要回転量m以上となったならば、各アーム39が所要位置に移動したことになるので、ステップ551に戻り、オペレータの次の指示を待つ。
【0033】
以上、本実施形態に係る一軸シャシダイナモメータについて説明した。
以上のように、本実施形態によれば、アーム39の送り出し/引き込み機構として比較的厳密な位置制御が可能な送りネジを採用し、この送りネジ機構を利用した各アーム39の相互に同期した送り出し/引き込み動作を実現している。したがって、より適正に駆動輪のローラ1上への位置決めを行うことができるようになる。
【0034】
ところで、以上の実施形態では、車種テーブル44に予め各車種毎の位置決めに必要な移動量を記述しておくことにより、車種によらず適正に駆動輪の位置決めを行えるようにした。しかし、このような車種によらない適正に駆動輪の位置決めは、車種テーブル44に予め各車種毎の位置決めに必要な移動量を記述せずに、次の構成により実現するようにしても良い。
【0035】
すなわち、図6aに示すように、ローラ1の水平な経方向について、駆動輪の回転中心がローラ1の回転中心と一致する位置(ローラ1の回転中心および頂上の垂直に上方の任意高さの位置)に位置するかどうかを、駆動輪の回転中心に貼付したマークなどを光学的に検出することにより検知するセンタセンサ70を設ける。そして、位置決めの際には、センタセンサ70がローラ1の水平な経方向について駆動輪の回転中心がローラ1の回転中心と一致する位置にきたことを検知するまで、ボールネジ333を回転させるようにする。より詳細には、たとえば、図4aのブロック図においてセンタセンサ70を制御部42に接続し、図5bのアーム駆動処理において、ステップ553で受け付けた指示が位置決めであった場合には、ステップ555の移動距離の抽出と、ステップ557の所要回転量の算出を行わず、ステップ567において、センタセンサ70がローラ1の水平な経方向について駆動輪の回転中心がローラ1の回転中心と一致する位置にきたことを検知しているかどうかを調べ、検知している場合にはステップ551に戻り、検知していない場合にはステップ559に戻ってボールネジ333の回転を継続するようにすればよい。本実施形態によれば、各アーム39が同期して移動するので、個々のアーム39の移動/停止等を個別に制御するのではなく、全てのアーム39の移動/停止を一括して制御するのみで、任意の車種の駆動輪の適正な位置決めを制御することができる。ただし、センタセンサ39によって、ローラ1の水平な経方向についての駆動輪の回転中心のローラ1の回転中心に対するずれを検知し、検知したずれに応じてアーム39を個別に制御して、ずれを補正し、位置決めを行うようにすることもできる。
【0036】
また、以上の実施形態では、アーム39によって駆動輪に、駆動輪の接地面に垂直な方向からのみ力を加えるようにしたが、これは、たとえば、図6bに示すように、以上の支承ユニット3を、各アーム39によって駆動輪に、駆動輪の外側面側から斜めに力を加えるように配置したり、図6cに示すように、アーム39に、複数の回転子61を備えた翼部62を設け、自動車左右方向に傾いた(自動車が直進する方向からずれた)駆動輪や自動車左右方向について目標位置にない駆動輪に対しては、これを正す方向の力を翼部62によって加えるようにしてもよい。
【0037】
本実施形態によれば、各アーム39が同期して動作するので、図6b、cのようにすることにより、駆動輪の自動車横方向位置や姿勢についても、良好に目標位置にセットすることが可能となる。
ところで以上の実施形態においては、エンコーダ338を用いてボールネジ333の回転量をチェックしながらボールネジ333を回転することにより、各ボールネジ333の回転、すなわち、アーム39の移動を同期して行うようにしたが、各モータ35として、たとえばステップモータのように回転すべき回転角の指令をパルスなどにより受け付け、受け付けた回転角だけ確実に回転するモータを用いる場合には、このようなエンコーダ338を用いた回転角のチェックは省略し、各モータへの同期単位回転角度nの指令を適当な時間間隔で繰り返すことなどの手法によって、各ボールネジ333の回転量/アーム39の移動を同期して行うようにしてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、より適正に駆動輪のローラ上への位置決めを行うことのできる一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る一軸シャシダイナモメータの構造を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る支承ユニットの構造を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係るエンコーダの構成例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両位置制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車両位置制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る車両位置制御装置の他の構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:ローラ、2:動力計、3:支承ユニット、4:固定部材、10:駆体、11:開口、31:ベース、32:リニアガイド、33:ネジユニット、34:電磁ブレーキ、35:モータ、36:ギヤボックス、37:固定アングル、38:ガイドシャフト、39:アーム、40:先端ローラ、41:アクチュエータ、42:制御部、43:操作卓、44:車種テーブル、62:翼部、70:センタセンサ、331:駆動シャフト、332:フレーム、333:ボールネジ、334:ボールネジナット、335:ガイドレール、336:軸受け、337:基準スイッチ、338:エンコーダ、3381:スリット、3382:円盤、3383:光センサ。

Claims (6)

  1. 開口を有する車両の走路床面と、前記開口によって頂上部が露出し、かつ、前記走路床面との間に間隙が水平な経方向について両側に生じるように配置された、頂上高さが略前記走路床面高さのロータとを有する一軸シャシダイナモメータの前記ロータ上に前記車両の駆動輪を位置決めする車両位置制御装置であって、
    移動制御手段と、
    駆動輪毎に設けられた、前記ロータの水平な経方向について当該ロータの両側に配置された一対の支承ユニットを有し、
    各支承ユニットは、アームと、当該アームを送りネジ機構により直進移動する移動手段とを有し、
    前記移動手段は、当該アームの全体が前記走路床面下方に収容される収容位置と、当該アームの先端が前記収容位置から前記間隙を通って前記ロータの頂上上方に向かって斜め上方に前記走路床面高さより高い位置まで進んだ位置との間で、前記アームを直進移動し、
    前記移動制御手段は各支承ユニットの前記移動手段による前記アームの直進移動を制御することを特徴とする一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置。
  2. 請求項1記載の車両位置制御装置であって、
    前記移動制御手段は、前記各支障ユニットの前記各アームの所定の単位時間当たりの直進移動の移動量が一致するように、前記各支障ユニットの前記各移動手段を制御することを特徴とする一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置。
  3. 請求項2記載の一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置であって、
    前記各支障ユニットの前記移動手段は、送りネジと、送りネジの回転に伴って直進移動する前記アームに連結した移動部材と、前記送りネジを回転させる回転駆動手段と、前記送りネジの回転量を検出する回転量センサとを有し、
    前記移動制御手段は、前記各支障ユニットの前記移動手段の前記各回転量センサの検出する回転量に応じて、前記各支障ユニットの前記移動手段の前記各回転駆動手段の前記送りネジの回転動作を制御することを特徴とする一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置。
  4. 請求項1、2または3記載の一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置であって、
    前記車両の種類と、当該種類の車両の駆動輪を位置決めするために必要となる前記各アームの移動位置との対応を記憶した記憶手段と、
    位置決めを行う車種の指定を受け付ける入力手段とを有し、
    前記移動制御手段は、前記位置決めを行う際に、前記入力手段が受け付けた車種に対応して前記記憶手段に記憶されている前記各移動位置まで前記各アームを移動するように、前記各支障ユニットの前記各移動手段を制御することを特徴とする一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置。
  5. 請求項1、2または3記載の一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置であって、
    前記車両の種類と、当該種類の車両の駆動輪を前記ロータに接触しないロータ上方の位置まで持ち上げるために必要となる前記各アームの移動位置との対応を記憶した記憶手段と、
    位置決めを行う車種の指定を受け付ける入力手段とを有し、
    前記移動制御手段は、前記持ち上げを行う際に、前記入力手段が受け付けた車種に対応して前記記憶手段に記憶されている前記各移動位置まで前記各アームを移動するように、前記各支障ユニットの前記各移動手段を制御することを特徴とする一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置。
  6. 請求項2または3記載の一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置であって、
    前記ロータの水平な経方向について前記車両の駆動輪の回転中心が前記ロータの回転中心に一致するかどうかを検知するセンタセンサを有し、
    前記移動制御手段は、前記位置決めを行う際に、前記センタセンサが、前記一致を検出するまで前記各支障ユニットの前記移動手段に前記各アームを前記斜め上方に向かって直進させることを特徴とする一軸シャシダイナモメータの車両位置制御装置。
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