JP2004084644A - 内燃機関の振動低減装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フライホイール10と結合されたクランクシャフト6の回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体とを備え、かつ駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置において、副慣性質量体もしくは副慣性質量体の一部が駆動力を発生もしくは吸収するアクチュエータとなっており、かつそのアクチュエータの駆動トルクを内燃機関の運転状態に応じて制御することにより反共振の周波数を変更または反共振の減衰の大きさを変更するアクチュエータ駆動トルク制御手段を備えている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体とを備え、且つ、前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振の周波数を、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転で運転される運転状態での回転のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致させることにより、その運転状態での内燃機関の振動を低減するようにした内燃機関の振動低減装置が従来より知られている(特開平11−325186号公報)。
【0003】
また、特開平11−044231号公報には、モータージェネレーターを内燃機関の回転方向と逆方向に回転させることにより、モータージェネレーターのローター部の慣性力による反力トルクにより内燃機関のトルク変動を打ち消しながら、更にモータージェネレーターから内燃機関のトルク変動を打ち消すトルク変動を発生させて内燃機関のトルク変動に伴う振動を低減させる技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の従来例(特開平11−325186号公報の記載の従来技術)では、反共振の周波数近傍では大きな振動低減効果が得られるものの、その周波数を外れると効果が小さくなってしまう。つまり、反共振周波数と回転のn/2(n=自然数)倍の周波数が略一致するように設定されている運転条件から、回転数が少しずれただけでも低減効果が小さくなってしまう。
例えば、アイドル運転で反共振の効果が得られるように反共振周波数を設定した場合、エアコン、オルタネーター等の補機負荷の状態や、A/TのNレンジ、Dレンジのセレクト状態等によってアイドル運転といってもその運転条件が異なるため、回転数を変えたほうが良い場合があるが、前者の従来例の場合には最大の振動低減効果を得るためには常にアイドル回転数を同じに保たなければならない。また、反共振周波数より少し高い周波数で共振が起きるため、それによる振動悪化を伴うという問題点がある。
また、後者の従来例(特開平11−044231号公報)では、モータージェネレーターの駆動にベルトを用いた場合、ベルトが比較的柔らかいためそれがばねとなり、そこにつながるクランクシャフトと一体回転するフライホイールと、モータージェネレーターのローター部がマスとなる振動系が構成される。そしてこの振動系の共振周波数の前後、及びそれより高い周波数ではフライホイールとモータージェネレーターの位相が一致しないため、モータージェネレータから単に逆位相のトルクを発生させるだけでは内燃機関のトルク変動を低減することが出来なくなる。つまり比較的低回転では内燃機関のトルク変動を低減することが出来るが、回転基本次数(回転周波数×気筒数/2)が共振周波数となる回転数の前後及びそれ以上の回転数ではトルク変動を低減することが出来なくなってしまうという問題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の振動低減装置は、フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体とを備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置において、前記副慣性質量体もしくは前記副慣性質量体の一部が駆動力を発生もしくは吸収するアクチュエータとなっており、かつそのアクチュエータの駆動トルクを前記内燃機関の運転状態に応じて制御することにより前記反共振の周波数を変更または前記反共振の減衰の大きさを変更するアクチュエータ駆動トルク制御手段を備えている。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、振動系の反共振による効果と共に、アクチュエータにより振動を打ち消すトルクを発生させることにより、より大きな振動低減効果を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
まず、本発明の第1実施例を図1〜図3に基づいて説明ずる。
図1及び図2は、エンジン1とモータージェネレーター2,3を組み合わせて車両を駆動するハイブリッド自動車のパワーユニットを示しており、トランスミッションケース4内に設置されてCVT機構5を介して車両の駆動及び制動時の回生発電を行うモータージェネレータ3(以下、モーターAと記す)と、エンジン側方に取り付けられてクランクシャフト6前端のクランクプーリー7から補機駆動ベルト8を介して所定の増速比(回転速度比)αで駆動され、エンジンの始動及び発電を行うモータージェネレータ2(以下、モーターBと記す)の2つのモータージェネレータを持っている。車両停止時にはエンジン1も停止しており、発進するときには、エンジン1とトランスミッション軸間に設置されたクラッチ9が切れた状態で、まずモーターAの駆動力により発進し、その後モーターBによりエンジン1を始動してからクラッチ9をつなぎ、エンジン1とモーターA両方の駆動力で車両を加速する。バッテリー残量が不足した場合には、停止時であってもエンジン1を運転して、モーターBにより発電する。
ここで、燃費の良い運転をしようとすると、エンジン1の運転状態としては低回転高負荷運転を多用することが望ましいが、このような運転条件ではエンジン1の燃焼に伴うトルク変動が大きく、それによるエンジン1のロール振動や回転速度変動により車室内の振動や騒音が悪化する。
【0009】
本実施例のようにモーターBを補機駆動ベルト8で駆動する場合、ベルト8が比較的柔らかいためそれがばねとなり、そこにつながるクランクシャフト6と一体回転するフライホイール10と、モーターBのローター部11がマスとなる振動系が構成される。この共振周波数においてはエンジン1のロール振動や回転速度変動が悪化するが、それより少し低い周波数にはそれらのレベルが小さくなる反共振周波数が存在し、この反共振周波数とエンジン1の回転基本次数(回転周波数×気筒数/2)が一致する回転数では振動が低減される。
また、モーターBの回転角変位θmから、クランクシャフトの回転角変位θcにモーターBの増速比αをかけた回転角変位を引いた差に定数−Kmをかけたトルク(トルクは正の値又は負の値をとります)を、モーターBから発生させることにより、このトルクはモーターBとクランクシャフト6間に設置したばね定数Kのばねのばね力と等価になり、この電気的な振動系とそれ以外の機械的な振動系とが1つの振動系として作用する。それによりベルト3のばねと、モーターBからの電気的なばねが並列に接続されていることになりため、電気的なばね定数Km を変化させることにより、図3のように反共振周波数を変化させることが出来る。
【0010】
そこでクランクシャフト6及びモーターBにはそれらの回転角変位θc、θmを検出するセンサー12,13を設置し、検出された回転角変位に基づいて制御ユニット14でモーターBから発生するトルクを算出するのだが、そのトルクTaはモーターBの増速比をαとすると、次式(1)で表される。
【0011】
【数4】
【0012】
となる。ここでKmはエンジンの回転数により次式(2)のように変更される。
【0013】
【数5】
【0014】
ここで、K:ベルトのばねによる回転ばね定数、Ne:エンジンの回転数、N0: 機械的な振動系のみで回転速度変動が反共振となるエンジンの回転数、である。こうすることにより、常に回転基本次数と回転速度変動の反共振周波数が一致するようになり、大きな回転速度変動低減効果を得ることが出来る。
また、N0として機械的な振動系のみでロール振動が反共振となるエンジンの回転数を置いた場合には、大きなロール振動低減効果を得ることが出来る。
次に本発明の第2実施例について説明する。この第2実施例上述した第1実施例に対して、モーターBから発生するトルクTaを、次式(3)により決定している。
【0015】
【数6】
【0016】
こうすることにより、モーターBからばね力に加えて機械的な減衰力を打ち消す負の減衰力を発生させていることになり、電気的な減衰力と機械的な減衰力をあわせた振動系全体の減衰力をほぼ0にすることが出来、図4に示すように、第1実施例に比べて反共振の効果を更に大きくすることが出来る。ここで、Kmは第1実施例と同様に求めることができるが、この第2実施例におけるKmを求める次式(4)においては、N0がモーターBの駆動トルクによる電気的なばね力は作用しないが、電気的な減衰力は作用している状態で反共振となる回転数となっている。
【0017】
【数7】
【0018】
次に本発明の第3実施例について説明する。
本実施例の自動車用エンジンに21は、図5及び図6に示すように補機駆動ベルト22で駆動され、クランクシャフト23と逆方向に回転し、発電を行うオルタネーター24が取り付けられている。クランクプーリ25は、図7及び図8に示すように、クランクシャフト23に直接結合される内周部26と、ベルト22が掛かり、クランクシャフト23にベアリング28を介して回転自由に支持される外周部27に二分割されており、これらは弾性体であるコイルスプリング29を組み合わせた捩りばね機構30を介して結合されている。ここで、クランクシャフト23及びそこに結合されるフライホイール31のエンジン回転部の慣性質量と、オルタネータ24ロータ部の慣性質量を、プーリ部のばねで結合した振動系によるエンジンロール振動との反共振の周波数が、アイドル運転時の回転基本次数と一致するようにこの捩りばね機構30のばね定数が設定されており、そうすることによりアイドル時のエンジンロール振動を低減している。
ここで、オルタネーター24の発電量wはコントローラー32からの信号により制御することが可能であり、図9aのように所定の時間間隔をおいて異なる発電量w1,w2を繰り返すことにより、オルタネータ24の駆動トルクTaを図9bに示すように、所定の時間間隔をおいてT1、T2を振動的に繰り返す矩形波として制御することができる。この矩形波で与えられる駆動トルクTaは、次に示すトルクTa’とその回転基本次数成分が略同一となるように、その振幅、時間間隔、及び位相が決定される。Ta’は機械的な振動系の反共振周波数前後の回転数(後述する図10の領域▲1▼を参照)では次式(5)で表される。
【0019】
【数8】
【0020】
ここでImはエンジンの回転数により次式(6)のように変更される。
【0021】
【数9】
【0022】
また、Ta’は機械的な振動系の共振周波数前後の回転数(後述する図10の領域▲2▼を参照)では次式(7)で表される。
【0023】
【数10】
【0024】
正弦曲線で表されるTa′は共振及び反共振前後の回転数では、回転基本次数成分が大部分を占めるため、Ta′の極大値、極小値間の差Tsを回転基本次数成分の両振幅とみなすことが出来、オルタネーター24の駆動トルクTaはその回転基本次数成分がTsとなるように、つまりTaのような矩形波の場合には、
T2−T1=0.785Ts
(0.785は矩形波を正弦波に直す場合の一般的な定数です)
となる。
こうすることにより図10に示すように、反共振周波数前後では、回転数によって慣性力を変更することにより回転基本次数と反共振周波数とが一致するように反共振周波数を変更し、効果領域(図10における領域▲1▼)を広くすることが出来る。共振周波数前後の回転数(図10における領域▲2▼)では、電気的に減衰力を付加することにより減衰を大きくし、共振の悪化を防止することが出来る。
【0025】
また、オルタネーター24は常に負のトルクしか発生させることが出来ないため、その振幅T2−T1を大きく取ろうとすると発電量が過大となってしまい、あまり大きな振幅を発生させることが出来ない。しかし本実施例の場合は、反共振周波数前後で機械的な振動系に対して付加的に発生させるか、振幅の小さな減衰力相当のトルクを発生させるだけなので、オルタネーター24の駆動トルクは小さくて済み、アクチュエータとしてモータジェネレータを用い、このモータジェネレータの発電量が図11aに示すような正弦波となるように、モータジェネレータの駆動トルクを正弦波で与える場合(図11bを参照)に比べ、安価なオルタネーターで制御することが可能である。
上記各実施例から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
(a) フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体とを備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置において、前記副慣性質量体もしくは前記副慣性質量体の一部が駆動力を発生もしくは吸収するアクチュエータとなっており、かつそのアクチュエータの駆動トルクを前記内燃機関の運転状態に応じて制御することにより前記反共振の周波数を変更または前記反共振の減衰の大きさを変更するアクチュエータ駆動トルク制御手段を備えていることにより、振動系の反共振による効果と共に、前記アクチュエータにより振動を打ち消すトルクを発生することにより、より大きな振動低減効果を得ることが出来る。
(b) 前記(a)に記載の構成において、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角速度、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位及び各回転角速度、または前記副慣性質量体の回転角加速度、のいずれかを検出もしくは推定する手段を有し、前記アクチュエータの駆動トルクは、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角速度、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位及び各回転角速度、または前記副慣性質量体の回転角加速度、のいずれかを用いて制御されていることにより、前記アクチュエータからばね力、減衰力、慣性力に相当するトルクを発生することが出来、その振動系を制御することにより大きな振動低減効果を得ることが出来る。
(c) 前記(b)に記載の構成において、前記副慣性質量体は、前記クランクシャフトに対して所定の回転速度比αを持って回転しており、前記アクチュエータの駆動トルクは、前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角変位から引いたものに所定の係数Kmを乗じた値、前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角速度から引いたものに所定の係数Cmを乗じた値、前記副慣性質量体の回転角加速度に所定の係数Imを乗じた値、もしくは前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角変位から引いたものに所定の係数Kmを乗じた値と前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角速度から引いたものに所定の係数Cmを乗じた値との和、のいずれかを用いて制御されていることにより、前記アクチュエータから発生するトルクによって生じる電気的な振動系により、主フライホイールを結合したクランクシャフトと、副慣性質量体との振動系を変更することができ、それを制御することにより大きな振動低減効果が得られる。
(d) 前記(c)に記載の構成において、前記内燃機関の回転速度を検出する手段を持ち、前記アクチュータの駆動トルクによる電気的な振動系を含めた前記振動系と、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動との反共振の周波数が、前記内燃機関の所定回転速度における回転周波数の(自然数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致するように、前記所定の係数Km及びImを前記内燃機関の回転速度に応じて変更する。すなわち、電気的な振動系を付加し、内燃機関の回転次数と振動系の反共振周波数が一致するようにその振動系を制御することにより、大きな振動低減効果を得ることが出来る。
(e) 前記(d)に記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクは、前記副慣性質量体の回転角変位から前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に前記所定の係数Kmをかけたトルクとなるように制御されており、かつ前記所定の係数Kmは次式によって算出される。
【0026】
【数11】
【0027】
ここで、K:前記副慣性質量体の回転に対する前記弾性体の回転ばね定数、Ne:前記内燃機関の回転速度、N0:前記副慣性質量体の回転角変位から前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に所定の係数Kmをかけた前記トルクを前記アクチュエータから付加しないときに反共振となる前記内燃機関の回転速度、とする。
【0028】
これによって、アクチュエーターから発生するばね力に相当するトルクを制御することにより、前記(d)に記載の効果を実現できる。
(f) 前記(d)に記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクは、前記副慣性質量体の回転角変位から前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に前記所定の係数Kmをかけた値に、前記副慣性質量体の回転角速度から前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に正の係数Cmをかけた値を加えたトルクとなるように制御されており、かつ前記所定の係数Kmは次式によって算出される。
【0029】
【数12】
【0030】
ここで、K:前記副慣性質量体の回転に対する前記弾性体の回転ばね定数、Ne:前記内燃機関の回転速度、N0:前記副慣性質量体の回転角変位から前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に所定の係数Kmをかけた前記トルクを前記アクチュエータから付加しないが、電気的な減衰力は作用している状態で反共振となる前記内燃機関の回転速度、とする。これによって、アクチュエータから負の減衰力に相当するトルクを発生させることにより、振動系の減衰を小さくし、反共振の効果を大きくすることが出来る。
(g) 前記(f)に記載の構成において、前記副慣性質量体の回転角速度から前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αをかけたものを引いた差にかける正の係数Cmは、前記アクチュエータから駆動トルクを付加しないときの、前記副慣性質量体の回転に対する回転減衰定数と略一致している。すなわち、アクチュエータから機械的な減衰力と略一致する負の減衰力に相当するトルクを発生させることにより、振動系の減衰をほぼ0にし、反共振の効果をさらに大きくすることが出来る。
(h) 前記(c)〜(g)のいずれかに記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との反共振周波数近傍の回転速度にて、前記アクチュエータの駆動トルクを制御する。すなわち、機械的な振動系の反共振周波数近傍でのみ制御を行うことにより、アクチュエーターの制御力が小さくても必要な効果を得ることが出来る。
(i) 前記(h)に記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクは、副慣性質量体の回転角加速度に前記所定の係数Imをかけた値を用いて制御されており、かつ前記所定の係数Imは次式によって算出される。
【0031】
【数13】
【0032】
ここで、I:前記副慣性質量体の慣性モーメント、Ne:前記内燃機関の回転速度、N0:前記副慣性質量体の回転角加速度に前記所定の係数Imをかけた前記トルクを前記アクチュエータから付加しないときに反共振となる前記内燃機関の回転速度、とする。これによって、アクチュエータから発生する慣性力に相当するトルクを制御することにより、前記(d)に記載の効果を実現できる。
(j) 前記(c)または(h)または(i)のいずれかに記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との共振周波数近傍の回転速度において、前記アクチュエータの駆動トルクは、前記副慣性質量体の回転角速度から前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に負の係数をかけたトルクとなるように制御されていることによって、共振周波数近傍で、アクチュエータから正の減衰力に相当するトルクを発生させることにより、振動系の減衰を大きくし、共振の悪化を小さくすることが出来る。
(k) 前記(a)〜(j)のいすれかに記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクは、その主たる周波数成分において、振幅、位相及び周期を制御する。すなわち、前記アクチュエータから、例えば矩形波のような少なくともその主たる周波数成分に関して制御できる制御トルクを発生することにより、制御を容易にすることが出来る。
(l) 前記(a)〜(k)のいずれかに記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との反共振周波数が、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転速度で運転される運転状態での前記内燃機関の回転速度おける回転周波数の(自然数/2)倍した周波数にうちのいずれかの周波数と略一致している。すなわち、機械的な振動系の反共振周波数が、内燃機関の略一定回転で運転される運転条件での回転次数と一致していることにより、この運転条件では機械的な振動系の反共振による効果が得られるため、アクチュエータによる制御力を発生させる必要が無くなる。
(m) 上記(l)に記載の構成において、前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との反共振周波数が、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転速度で運転される運転状態での前記内燃機関の回転速度における回転周波数の(内燃機関の気筒数/2)倍した周波数と略一致している。すわわち、機械的な振動系の反共振周波数が、内燃機関の略一定回転で運転される運転条件での回転次数のうち、通常最もレベルが大きい回転基本次数(気筒数/2次)と一致していることにより、この運転条件では機械的な振動系の反共振により大きな効果が得られる。
(n) 前記(l)または(m)に記載の構成において、前記略一定回転速度で運転される運転状態が、アイドル運転であることによって、内燃機関のロール振動や回転速度変動による問題が発生しやすいアイドル運転に機械的な振動系の反共振周波数を設定することにより、大きな振動低減効果を得ることが出来る。
(o) 前記(a)〜(n)のいずれかに記載の構成において、前記アクチュエータが内燃機関に取り付けられたオルタネーターもしくはモータージェネレーターである。これによって、発電を行うオルタネーターもしくは発電と共に内燃機関の始動や車両の駆動等も行うモータージェネレーターとアクチュエーターを兼ねることにより、少ない部品点数で本発明を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えたパワーユニットの正面図。
【図2】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えたパワーユニットの側面図。
【図3】本発明の第1実施例における効果を示す説明図。
【図4】本発明の第2実施例における効果を示す説明図。
【図5】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えた本発明の第3実施例における自動用エンジンの正面図。
【図6】本発明に係る内燃機関の振動低減装置を備えた本発明の第3実施例における自動用エンジンの側面図。
【図7】図5に示すクランクプーリの正面図。
【図8】図5に示すクランクプーリの断面図。
【図9】本発明の第3実施例におけるオルタネータ発電量と駆動トルクとの関係を示す説明図。
【図10】本発明の第3実施例における効果を示す説明図。
【図11】モータジェネレータの発電量とモータジェネレータの駆動トルクとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…モータジェネレータ(モーターB)
3…モータジェネレータ(モーターA)
6…クランクシャフト
7…クランクプーリ
8…補機駆動ベルト
10…フライホイール
Claims (15)
- フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体とを備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置において、
前記副慣性質量体もしくは前記副慣性質量体の一部が駆動力を発生もしくは吸収するアクチュエータとなっており、かつそのアクチュエータの駆動トルクを前記内燃機関の運転状態に応じて制御することにより前記反共振の周波数を変更または前記反共振の減衰の大きさを変更するアクチュエータ駆動トルク制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の振動低減装置。 - 前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角速度、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位及び各回転角速度、または前記副慣性質量体の回転角加速度、のいずれかを検出もしくは推定する手段を有し、
前記アクチュエータの駆動トルクは、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角速度、前記クランクシャフトと前記副慣性質量体の各回転角変位及び各回転角速度、または前記副慣性質量体の回転角加速度、のいずれかを用いて制御されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の振動低減装置。 - 前記副慣性質量体は、前記クランクシャフトに対して所定の回転速度比αを持って回転しており、前記アクチュエータの駆動トルクは、前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角変位から引いたものに所定の係数Kmを乗じた値、前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角速度から引いたものに所定の係数Cmを乗じた値、前記副慣性質量体の回転角加速度に所定の係数Imを乗じた値、もしくは前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角変位から引いたものに所定の係数Kmを乗じた値と前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角速度から引いたものに所定の係数Cmを乗じた値との和、のいずれかを用いて制御されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記内燃機関の回転速度を検出する手段を持ち、前記アクチュータの駆動トルクによる電気的な振動系を含めた前記振動系と、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動との反共振の周波数が、前記内燃機関の所定回転速度における回転周波数の(自然数/2)倍した周波数のうちのいずれかの周波数と略一致するように、前記所定の係数Km及びImを前記内燃機関の回転速度に応じて変更することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータの駆動トルクは、前記副慣性質量体の回転角変位から前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に前記所定の係数Kmをかけたトルクとなるように制御されており、かつ前記所定の係数Kmは次式によって算出されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータの駆動トルクは、前記副慣性質量体の回転角変位から前記クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に前記所定の係数Kmをかけた値に、前記副慣性質量体の回転角速度から前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に正の係数Cmをかけた値を加えたトルクとなるように制御されており、かつ前記所定の係数Kmは次式によって算出されることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記副慣性質量体の回転角速度から前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αをかけたものを引いた差にかける正の係数Cmは、前記アクチュエータから駆動トルクを付加しないときの、前記副慣性質量体の回転に対する回転減衰定数と略一致していることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との反共振周波数近傍の回転速度において、前記アクチュエータの駆動トルクを制御することを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との共振周波数近傍の回転速度において、前記アクチュエータの駆動トルクは、前記副慣性質量体の回転角速度から前記クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αをかけたものを引いた差に負の係数をかけたトルクとなるように制御されていることを特徴とする請求項3または8または9のいずれか記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータの駆動トルクは、その主たる周波数成分において、振幅、位相及び周期を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、前記内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との反共振周波数が、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転速度で運転される運転状態での前記内燃機関の回転速度おける回転周波数の(自然数/2)倍した周波数にうちのいずれかの周波数と略一致していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータの駆動トルクを制御しないときの、内燃機関のロール振動もしくは前記クランクシャフトの回転速度変動と、前記振動系との反共振周波数が、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転速度で運転される運転状態での前記内燃機関の回転速度における回転周波数の(内燃機関の気筒数/2)倍した周波数と略一致していることを特徴とする請求項12に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記略一定回転速度で運転される運転状態が、アイドル運転であることを特徴とする請求項12または13に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記アクチュエータが内燃機関に取り付けられたオルタネーターもしくはモータージェネレーターであることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
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