JP2004190531A - 内燃機関の振動低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反共振を利用したロール振動の低減を広い回転数領域で実現するとともに、経年変化等による特性のずれを防止する。
【解決手段】エンジン1は、主慣性質量体となるフライホイール10に加えて副慣性質量体となるモータジェネレータ2(モーターB)を有し、両者が一種のばねとなる補機駆動ベルト8で連結されているため、これらが機械的な振動系を構成しており、この振動系の反共振によって、ロール振動が低減する。モーターBは、電気的なばねとなるように、両者の回転角変位の差に比例した制御トルクを発生し、かつ反共振周波数が機関回転数に同調するように、そのばね定数が制御される。これにより、広い回転数領域で振動が低減する。エンジン1の停止時に、モーターBから加振トルクを与えて、その応答を測定することで、実際の共振周波数や減衰定数が同定される。
【選択図】 図2
【解決手段】エンジン1は、主慣性質量体となるフライホイール10に加えて副慣性質量体となるモータジェネレータ2(モーターB)を有し、両者が一種のばねとなる補機駆動ベルト8で連結されているため、これらが機械的な振動系を構成しており、この振動系の反共振によって、ロール振動が低減する。モーターBは、電気的なばねとなるように、両者の回転角変位の差に比例した制御トルクを発生し、かつ反共振周波数が機関回転数に同調するように、そのばね定数が制御される。これにより、広い回転数領域で振動が低減する。エンジン1の停止時に、モーターBから加振トルクを与えて、その応答を測定することで、実際の共振周波数や減衰定数が同定される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の振動、主にロール振動もしくは回転速度変動を低減する振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ、前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振の周波数を、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転で運転される運転状態での回転のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致させることにより、その運転状態での内燃機関の振動を低減するようにした内燃機関の振動低減装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、モータジェネレータを内燃機関の回転方向と逆方向に回転させることにより、モータジェネレータのロータ部の慣性力による反力トルクによって内燃機関のトルク変動を打ち消すようにし、更にモータジェネレータから内燃機関のトルク変動を打ち消すトルク変動を発生させて内燃機関のトルク変動に伴う振動を低減させる技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−325186号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11−044231号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特許文献1記載の従来技術では、反共振の周波数近傍では大きな振動低減効果が得られるものの、その周波数を外れると効果が小さくなってしまう。つまり、反共振周波数と回転のn/2(n=自然数)倍の周波数が略一致するように設定されている運転条件から、内燃機関の回転数が少しずれただけでも低減効果が小さくなってしまう。
【0007】
例えば、アイドル運転で反共振の振動低減効果が得られるように反共振周波数を設定した場合、エアコン、オルタネータ等の補機負荷の状態や、自動変速機のNレンジ、Dレンジといったセレクト状態等によって、同じアイドル運転といってもその運転条件が異なるため、アイドル回転数を変えたほうが良い場合があるが、前者の従来例の場合には、最大の振動低減効果を得るためには常にアイドル回転数を同じ回転数に保たなければならない。また、反共振周波数より少し高い周波数で共振が起きるため、それによる振動悪化を伴うという問題点がある。
【0008】
また、後者の特許文献2記載の従来技術では、例えばモータジェネレータとの間の駆動機構にベルトを用いた場合、ベルトが比較的柔らかいためそれが一種のばねとなり、このばねにつながるクランクシャフトと一体回転するフライホイールと、モータジェネレータのロータ部とが、それぞれ質量(マス)となる振動系が構成される。そして、この振動系の共振周波数の前後、及びそれより高い周波数では、フライホイールとモータジェネレータの位相が一致しないため、モータジェネレータから単に逆位相のトルクを発生させるだけでは、内燃機関のトルク変動を低減することが出来なくなる。つまり比較的低回転では内燃機関のトルク変動を低減することが出来るが、回転基本次数(回転周波数×気筒数/2)が共振周波数となる回転数の前後及びそれ以上の回転数では、トルク変動を低減することが出来なくなってしまうという問題点がある。
【0009】
また、特許文献1,2のように振動系の反共振を利用して振動低減を図る場合に、経年変化等により機械的な振動系の特性が変化すると、その反共振周波数が変わり、反共振の効果が得られる周波数帯が狭いことから、十分な効果が得られなくなる場合がある。同様に、組み付け状態の違い等により機械的な振動系の特性が異なり、所期の振動低減効果が得られない場合もある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載のように、主慣性質量体となるフライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置を前提としている。
【0011】
そして、前記副慣性質量体もしくは前記副慣性質量体の一部が、駆動力を発生もしくは吸収するアクチュエータとなっており、前記振動系の特性を変化させるように、このアクチュエータによる制御トルク(Ta)を前記内燃機関の運転状態に応じて制御するアクチュエータ駆動トルク制御手段を備えている。つまり、前記クランクシャフトおよび副慣性質量体の回転角変位や回転角速度あるいは回転角加速度などに基づいて正もしくは負の制御トルク(Ta)を加えることにより、反共振の周波数を変更でき、さらには反共振の減衰の大きさを変えてより大きな振動低減効果を得ることが可能である。
【0012】
さらに、本発明では、所定の時期に前記アクチュエータから振動的な駆動トルクを発生させ、そのときの前記副慣性質量体の回転あるいは前記クランクシャフトの回転もしくはそれらの代用値のうち少なくとも1つを測定し、その測定値と駆動トルク(加振力)との比に基づいて前記振動系の特性を同定するようになっている。つまり、経年変化や組み付け状態の違い等による機械的な振動系の特性の変化を的確に把握し、これを反映した形で、反共振による振動低減が行われる。
【0013】
【発明の効果】
この発明によれば、副慣性質量体もしくは副慣性質量体の一部をなすアクチュエータにより制御トルク(Ta)を付加することによって、振動系の反共振周波数を変更でき、内燃機関の広い回転数領域で反共振による振動低減効果が得られるとともに、機械的な振動の減衰を抑制して、より大きな振動低減効果を得ることが可能となる。そして、特に、機械的な振動系の特性を、アクチュエータからの駆動トルクの入力を利用して同定することにより、経年変化や組み付け状態の違い等による特性変化を補うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の第1実施例を図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
図1および図2は、エンジン1とモータジェネレータ2,3とを組み合わせて車両を駆動するいわゆるハイブリッド自動車のパワーユニットを示しており、トランスミッションケース4内に設置されてCVT機構5を介して車両の駆動ならびに制動時の回生発電を行うモータジェネレータ3(以下、モーターAと記す)と、エンジン側方に取り付けられてクランクシャフト6前端のクランクプーリ7から補機駆動ベルト8を介して所定の増速比(回転速度比)αで駆動されることにより発電を行うモータジェネレータ2(以下、モーターBと記す)との2つのモータジェネレータを有している。モーターBは、同時にエンジン1の始動を行うようになっている。
【0017】
車両停止時にはエンジン1も停止しており、発進するときには、エンジン1とトランスミッション軸間に設置されたクラッチ9が切れた状態で、まずモーターAの駆動力により発進し、その後モーターBによりエンジン1を始動してからクラッチ9をつなぎ、エンジン1とモーターA両方の駆動力で車両を加速する。バッテリー残量が不足した場合には、停止時であってもエンジン1を運転して、モーターBにより発電する。
【0018】
ここで、燃費の良い運転をしようとすると、エンジン1の運転状態としては低回転高負荷運転を多用することが望ましいが、このような運転条件ではエンジン1の燃焼に伴うトルク変動が大きく、それに伴ってエンジン1のロール振動や回転速度変動により車室内の振動や騒音が悪化する傾向がある。
【0019】
本実施例のようにモーターBを補機駆動ベルト8を介して駆動する場合、補機駆動ベルト8が比較的柔らかいため、これが一種のばねとなり、このばねにつながるクランクシャフト6と一体回転するフライホイール10と、モーターBのローター部11と、がマスとなる振動系が構成される。つまり、この構成では、フライホイール10が主慣性質量体、ローター部11が副慣性質量体、補機駆動ベルト8が弾性体、にそれぞれ相当する。この振動系の共振周波数においてはエンジン1のロール振動や回転速度変動が悪化するが、それより少し低い周波数にはそれらのレベルが小さくなる反共振周波数が存在し、この反共振周波数とエンジン1の回転基本次数(回転周波数×気筒数/2)が一致する回転数では、振動が低減される。
【0020】
また、モーターBの回転角変位θmから、クランクシャフト6の回転角変位θcにモーターBの増速比αを乗じた回転角変位を引いた差が、回転方向の弾性体の変位に相当するので、この差に係数Keを乗じたトルク(トルクは正の値および負の値をとり得る)を、モーターBから発生させることにより、このトルクが、ばね定数Keのばねのばね力と等価になる。同様に、モーターBの回転角速度θm’から、クランクシャフト6の回転角速度θc’にモーターBの増速比αを乗じた回転角速度を引いた差、つまり両者の相対角速度差に、係数Ceを乗じたトルク(トルクは正の値および負の値をとり得る)を、モーターBから発生させることにより、このトルクが、減衰定数−Ceの減衰力と等価になる。従って、このモーターBにより、減衰器を備えた電気的な振動系が構成されることになり、この電気的な振動系とそれ以外の機械的な振動系とが1つの振動系として作用する。つまり、補機駆動ベルト8のばねと、モーターBによる電気的なばねと、がフライホイール10とローター部11との間に並列に接続されていることになり、そのため、電気的なばね定数Keを変化させることにより、図3のようにエンジン1の回転基本次数に応じて反共振周波数を変化させることができる。また同時に、減衰定数−Ceの値を任意に設定することが可能となるため、反共振における機械的な振動系の減衰を打ち消すように設定することで、反共振の効果をより大きくすることが可能となる。
【0021】
以下、より具体的に説明すると、クランクシャフト6及びモーターBには、それらの回転角変位θc、θmを検出するセンサ12,13がそれぞれ設けられており、これらの検出信号が入力される制御ユニット14によってモーターBのトルクが制御される。制御ユニット14では、検出された回転角変位θc、θmおよびその時間微分θc’、θm’に基づいて、モーターBから発生する制御トルクTaを、次式(1)に従って算出する。
【0022】
【数6】
Ta=Ke(θm−αθc)+Ce(θm’−αθc’) …(1)
ここで、減衰定数となるCeの値は、次式(2)のように、機械的な振動系の減衰定数に略等しく設定される。
【0023】
【数7】
Ce≒(機械的な振動系の減衰定数) …(2)
そして、ばね定数となるKeの値は、反共振周波数をエンジン1の回転基本次数に同調させるために、エンジン回転数に応じて、次式(3)のように変更される。
【0024】
【数8】
Ke=−Km×{(Ne/N1)2−1} …(3)
ここで、
Km:ベルトのばねによる回転ばね定数、
Ne:エンジンの回転数、
N1:モーターBの駆動トルクによる電気的なばね力は作用しないが、電気的な減衰力は作用している状態で回転速度変動が反共振となる回転数、である。
【0025】
このように、モーターBから電気的なばね力を発生させることにより、常に回転基本次数と回転速度変動の反共振周波数が一致するようになる。これに加えて機械的な減衰力を打ち消す負の減衰力を発生させていることになり、電気的な減衰力と機械的な減衰力をあわせた振動系全体の減衰力をほぼ0にすることができ、反共振の作用がより大きくなる。そのため、広い回転速度範囲で大きな反共振の効果を得ることができる。
【0026】
また、基本的な反共振の回転数である上記のN1として、エンジン1のロール振動が反共振となるようなエンジン回転数を設定すれば、大きなロール振動低減効果を得ることが出来る。
【0027】
しかしながら、図3に示したように、経年変化によるベルトの緩み、磨耗、へたり等により、機械的な振動系のばね定数や減衰定数が当初の値に対して変化すると、機械的な振動系の反共振の周波数が変化し、当初と同じように電気的な振動系としてのばね力を与えていたのでは、反共振周波数と回転基本次数を一致させることができなくなってしまう。特に、反共振周波数近傍ではピーキーな特性を持っているため、実際の反共振周波数と回転基本次数とが僅かにずれただけでも反共振の効果は大きく低減してしまう。また機械的な減衰力が変化することにより、同じ電気的な減衰力を与えたのでは、振動系全体の減衰力を0にすることができなくなり、これによっても反共振による振動低減効果が減ってしまう。例えば図3に参考例として示す特性のように振動低減効果が減少する。このような悪化を回避するためには、機械的な振動系の共振周波数や減衰定数といった振動特性を常に把握している必要がある。
【0028】
そこで本実施例では、図4のフローチャートに示すように、エンジン1が停止したときに、ある周波数範囲で加振周波数をスイープする正弦波形状の加振力波形をモーターBに与えて、加振トルクを発生し、そのときのクランクシャフト6の応答回転角速度を測定することにより振動特性を同定する。加振する周波数範囲は前回に測定したときに同定された共振周波数を含む範囲であり、例えば共振周波数が60Hzであった場合には、40〜80Hzというように決定される。つまり、共振周波数が急に大きく変化することはないので、前回の共振周波数を含むある周波数範囲について振動特性の測定を行えばよい。そして加振周波数を徐々に変えてそれぞれの応答回転角速度を測定し、かつ周波数ごとに、加振力に対する応答回転角速度の比Hf(=応答回転角速度/加振力)を求める。これは、各周波数ごとに加振した場合、加振力の大きさを完全に同一にできないことを考慮したものであり、このように比を求めて対比することで、加振力そのものの大きさの影響を排除することができる。
【0029】
図4に示すように、このときHfが最大となる周波数が共振周波数F1であり、そのときの減衰比ζは共振時のHfから3dB低くなる周波数Fa、Fbを用いて、次式(4)で表される。
【0030】
【数9】
ζ=(Fb−Fa)/2F1 …(4)
また、そのときの機械的な振動系のばね定数K1は次式(5)で求まる。
【0031】
【数10】
K1=(2πF1)2・I1I2/(I1+α2I2) …(5)
但し、I1:主慣性質量体の慣性モーメント、I2:副慣性質量体の慣性モーメント、α:回転速度比、である。
【0032】
これらを用いて減衰定数C1は次式(6)のように同定される。
【0033】
【数11】
C1=2ζ√{I1I2K1/(I1+α2I2)} …(6)
これらの値を用いて、前述した(1)〜(3)式に基づき制御トルクを算出するときのパラメータを求めるのであるが、それは次式(7)〜(9)に基づいて行われる。
【0034】
【数12】
Km=K1 …(7)
【0035】
【数13】
N1=N0F1/F0 …(8)
【0036】
【数14】
Cm=C1 …(9)
ここで、N0:出荷時に測定した反共振となる回転数、F0:出荷時に測定した共振周波数、であるが、再度の同定の際には、前回に同定したときの値を用いることもできる。
【0037】
次回の振動系同定までの間は、式(7)〜(9)で示すこれらの値が保持される。そして、エンジン停止時に新たに振動系の同定を行うと、そのときに同定した値で更新される。このように、エンジン停止時のエンジン加振力のない状態で振動系の同定を行うことにより、モーターBからの加振力に対する応答を正確に測定することができる。従って、常に機械的な振動系の特性が正確に把握されているため、モーターBからの制御トルクを利用した所期の反共振による振動低減効果を確実に得ることができる。また振動系の同定は、振動系の可変制御に用いられるアクチュエータであるモーターBとセンサ12とを用いて行われ、同定のための新たなデバイスを追加する必要はないので、コスト上昇を招くことがない。
【0038】
次に、図6〜図11を参照して本発明の第2実施例について説明する。
【0039】
本実施例の自動車用直列4気筒エンジン21には、図6,図7に示すように、副慣性質量体となるオルタネータ24が取り付けられている。このオルタネータ24は、補機駆動ベルト22を介して駆動され、クランクシャフト23と逆方向に回転して、発電を行う。クランクシャフト23の前端に設けられたクランクプーリ25は、図8,図9に示すように、クランクシャフト23に直接結合された内周部26と、補機駆動ベルト22が巻き掛けられるとともに、内周部26に対しベアリング28を介して回転自由に支持された外周部27と、に二分割されており、両者が、弾性体であるコイルスプリング29を組み合わせた捩りばね機構30を介して結合されている。従って、クランクシャフト23およびこれに結合されたフライホイール31からなるエンジン回転部の慣性質量と、オルタネータ24のロータ部の慣性質量とを、前記捩りばね機構30のばねで連結した振動系が構成されることになり、この振動系によるエンジンロール振動の反共振の周波数が、アイドル運転時の回転基本次数と一致するように、捩りばね機構30のばね定数が設定されている。これにより、アイドル時のエンジンロール振動を低減している。
【0040】
ここで、オルタネータ24の発電量はコントローラ32からの信号により振動的に可変制御することが可能である。つまり、発電量を周期的に変化させることで、振動的な制御トルクTaをオルタネータ24から機械的な振動系に与えることができる。この制御トルクTaは、機械的な振動系の反共振周波数前後の回転数(図10の領域▲1▼)では次式(10)のように与えられる。
【0041】
【数15】
Ta=−Ieθm’’+Ce(θm’−αθc’) …(10)
なお、θm’’はオルタネータ24に設置したセンサ33により検出された回転角変位θmを、2階時間微分して求めた回転角加速度であり、θc’およびθm’はクランクシャフト23に設けたセンサ34により検出された回転角変位θcおよび前記のオルタネータ24の回転角変位θmを、それぞれ1階時間微分して求めた回転角速度である。
【0042】
ここで、減衰定数となるCeの値は、次式(11)のように設定される。
【0043】
【数16】
Ce=−(C01−Cm) …(11)
但し、C01:目標減衰定数(所定値)、Cm:機械的な振動系の減衰定数、である。
【0044】
そして、前記の係数Ieの値は、反共振周波数をエンジンの回転基本次数に同調させるために、エンジン回転数に応じて、次式(12)のように変更される。
【0045】
【数17】
Ie=I×{(Ne/N1)2−1} …(12)
ここで、
I:オルタネータロータ部の慣性モーメント、
Ne:エンジンの回転数、
N1:機械的な振動系が反共振となるエンジンの回転数、である。
【0046】
また、制御トルクTaは、機械的な振動系の共振周波数前後の回転数(図10の領域▲2▼)では次の式(13),(14)に沿って与えられる。
【0047】
【数18】
Ta=Ce(θm’−αθc’) …(13)
Ce=−(C02−Cm) …(14)
但し、C02:目標減衰定数(所定値)、である。
【0048】
なお、領域▲1▼においては目標減衰定数C01は機械的な振動系の減衰定数Cmより小さくなるように設定することにより反共振の効果を拡大し、領域▲2▼においては目標減衰定数C02は機械的な振動系の減衰定数Cmより大きくなるように設定することにより、共振の悪化を防止する。
【0049】
このようにオルタネータ24の制御トルクを制御することにより、図10に示すように、反共振周波数前後では、エンジン回転数に応じて慣性力を変更することによりエンジンの回転基本次数と反共振周波数とが一致するように反共振周波数が変化し、より広い回転数領域で、反共振の作用が得られる。そして同時に、減衰を小さくして反共振の効果をより大きくすることができる。一方、共振周波数前後の回転数では、電気的に減衰力を付加することにより振動の減衰を大きくし、共振の悪化を防止することができる。
【0050】
ところで、オルタネータ24では、制御トルクTaとして常に負のトルクしか発生させることができず、その振幅を大きく取ろうとすると発電量が過大となってしまうため、あまり大きな振幅を発生させることができない。しかし本実施例の場合は、反共振周波数前後で機械系振動に対して付加的に発生させるか、振幅の小さな減衰力相当のトルクを発生させるだけなので、オルタネータ24の駆動トルクは小さくて済む。従って、モータジェネレータに比較して安価なオルタネータで制御することが十分に可能である。
【0051】
また本実施例においても、前述した第1実施例と同様に、経年変化等により機械的な振動系の特性が変化すると、図10に比較例として示すように、所期の振動低減効果が得られなくなるため、常に実際の振動系の特性を把握しておく必要がある。そのために、本実施例では、図11に示すフローチャートのように、車両走行中に振動系の特性の同定を行う。すなわち、エンジンの回転基本次数が共振周波数より十分に高い回転数で定常運転しているとコントローラ32が判断したとき(例えば共振となる回転数が660rpmであったときに1500rpm以上で定常走行しているような場合)に、コントローラ32は、前回同定した共振周波数を含む周波数範囲を有するランダムな加振力波形をオルタネータ24に与えて該オルタネータ24から加振トルクを発生させ、そのときの応答をオルタネータ回転角速度を測定することにより求める。加振する周波数範囲は、例えば共振周波数が22Hzであった場合は、12〜32Hzというように、共振周波数の前後を含む適宜な範囲となるように決定される。そして加振力、応答回転角速度それぞれをFFT処理することにより周波数分析し、加振周波数の範囲で周波数ごとに加振力に対する応答回転速度の比Hf(=応答回転速度/加振力)を求める。このときHfが最大となる周波数が共振周波数F1であり、そのときの機械的な振動系の減衰定数C1は、前述した(4)〜(6)式で求まる。そして前述した(8),(9)式と同様に、次の式(15),(16)により機械的な振動系の反共振回転数N1および減衰定数Cmを求め、その値に基づいて制御を行う。
【0052】
【数19】
N1=N0F1/F0 …(15)
Cm=C1 …(16)
次回の振動系同定までの間は、これらの値が保持され、新たな振動系同定を行うと、そのときに同定した値で更新される。本実施例では、エンジンの基本次数以下の周波数範囲で同定を行うため、運転中であってもエンジン加振力の影響を受けず、エンジン実働時の特性を同定することができ、機械的な振動系の特性をより正確に把握することができる。そのため、制御トルクを利用した所期の振動低減効果を得ることができる。また上記の振動特性の同定は、条件を満たす運転条件になるたびに行う必要はなく、ステップ1に示すように、所定の走行距離(例えば500km)毎に1回行うようになっている。
【0053】
なお、本実施例では車両走行中の定常運転時に振動特性の同定を行うようにしているが、エンジン始動直後の高回転アイドル運転時に、回転基本次数が共振周波数より高くなるように回転数を保持し、その間に同定を行うようにしても良い。この場合には、エンジン始動直後から正確な振動特性に基づいた制御が可能となる。
【0054】
次に、第2実施例を一部変更した第3実施例について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0055】
本実施例は、第2実施例に比較して、振動系の特性を同定する時期および方法を変更したものであり、本実施例では、フローチャートに示すように、エンジンがアイドル運転を行っているときに、振動特性の同定を行う(ステップ2参照)。このエンジンは前述したように直列4気筒のもので、オルタネータ24を含む振動系は、初期状態で600rpmのアイドル回転数に反共振周波数が一致するように、つまり20Hzに反共振周波数が設定されており、そのときの共振周波数は、約22Hzとなっている。エンジンの加振力は、4気筒エンジンの場合、基本次数である2次成分が最も大きく、4次、6次・・という偶数次成分を持つ。また気筒ごとの燃焼ばらつき等により0.5次、1.5次、2.5次・・・といった0.5n次(nは自然数)成分も存在する。本実施例では、これらの影響を受けずに振動特性を測定するために、各次数成分の中間近傍に加振周波数が来るように、加振周波数に応じてアイドル回転数を変更する。例えば、12Hzから32Hzまでを含むように測定する場合、オルタネータ24からは、回転1.25次、1.75次、2.25次、2.75次の正弦波を重ね合わせた加振力を発生させ、アイドル回転数を550〜800rpmの範囲でもってアイドル回転数と加振周波数を同期させて加振する。そして、オルタネータ24の回転速度を測定し、それをフィルタ処理することにより、1.25次、1.75次、2.25次、2.75次の成分それぞれを抽出する(ステップ5〜10参照)。こうすることにより、11.5Hz〜36.7Hzの範囲の振動特性が測定できる。また、前回の測定で同定した共振周波数近傍では、他の周波数域よりも加振力を小さくすることにより、共振時の応答を小さくし、加振による振動を乗員に感知されにくくすることができる。ステップ11〜13に示すように、この測定結果を用いて、第2実施例と同様に振動特性を同定する。このようなアイドル運転中の同定によれば、実際の制御を行うのに近い運転条件で振動特性を同定することが可能となり、より正確な振動特性の同定が行える。この実施例の振動特性同定も、第2実施例と同様に、例えば500km走行毎に1回の頻度で行う(ステップ1参照)。
【0056】
また、同定した共振周波数もしくは減衰定数があらかじめ定めた許容範囲を超えた場合には、警告手段として運転席の警告ランプを点灯することにより、乗員に故障の可能性を知らせる(ステップ14,15参照)。このような事態は、補機駆動ベルト22の緩みによって起こる場合が多く、例えば、テンショナの調整などにより対処することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る振動低減装置を備えたパワーユニットの正面図。
【図2】同じくパワーユニットの側面図。
【図3】この第1実施例における振動低減効果を示す特性図。
【図4】この第1実施例における振動特性の同定の処理を示すフローチャート。
【図5】この第1実施例の振動周波数特性を示す特性図。
【図6】本発明の第2実施例に係る振動低減装置を備えたエンジンの正面図。
【図7】同じくエンジンの側面図。
【図8】この第2実施例のクランクプーリの詳細を示す正面図。
【図9】同じくクランクプーリの断面図。
【図10】この第2実施例における振動低減効果を示す特性図。
【図11】この第2実施例における振動特性の同定の処理を示すフローチャート。
【図12】第3実施例における振動特性の同定の処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン
2…モータジェネレータ(モーターB)
3…モータジェネレータ(モーターA)
6…クランクシャフト
7…クランクプーリ
8…補機駆動ベルト
10…フライホイール
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の振動、主にロール振動もしくは回転速度変動を低減する振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ、前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振の周波数を、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転で運転される運転状態での回転のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致させることにより、その運転状態での内燃機関の振動を低減するようにした内燃機関の振動低減装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、モータジェネレータを内燃機関の回転方向と逆方向に回転させることにより、モータジェネレータのロータ部の慣性力による反力トルクによって内燃機関のトルク変動を打ち消すようにし、更にモータジェネレータから内燃機関のトルク変動を打ち消すトルク変動を発生させて内燃機関のトルク変動に伴う振動を低減させる技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−325186号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平11−044231号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特許文献1記載の従来技術では、反共振の周波数近傍では大きな振動低減効果が得られるものの、その周波数を外れると効果が小さくなってしまう。つまり、反共振周波数と回転のn/2(n=自然数)倍の周波数が略一致するように設定されている運転条件から、内燃機関の回転数が少しずれただけでも低減効果が小さくなってしまう。
【0007】
例えば、アイドル運転で反共振の振動低減効果が得られるように反共振周波数を設定した場合、エアコン、オルタネータ等の補機負荷の状態や、自動変速機のNレンジ、Dレンジといったセレクト状態等によって、同じアイドル運転といってもその運転条件が異なるため、アイドル回転数を変えたほうが良い場合があるが、前者の従来例の場合には、最大の振動低減効果を得るためには常にアイドル回転数を同じ回転数に保たなければならない。また、反共振周波数より少し高い周波数で共振が起きるため、それによる振動悪化を伴うという問題点がある。
【0008】
また、後者の特許文献2記載の従来技術では、例えばモータジェネレータとの間の駆動機構にベルトを用いた場合、ベルトが比較的柔らかいためそれが一種のばねとなり、このばねにつながるクランクシャフトと一体回転するフライホイールと、モータジェネレータのロータ部とが、それぞれ質量(マス)となる振動系が構成される。そして、この振動系の共振周波数の前後、及びそれより高い周波数では、フライホイールとモータジェネレータの位相が一致しないため、モータジェネレータから単に逆位相のトルクを発生させるだけでは、内燃機関のトルク変動を低減することが出来なくなる。つまり比較的低回転では内燃機関のトルク変動を低減することが出来るが、回転基本次数(回転周波数×気筒数/2)が共振周波数となる回転数の前後及びそれ以上の回転数では、トルク変動を低減することが出来なくなってしまうという問題点がある。
【0009】
また、特許文献1,2のように振動系の反共振を利用して振動低減を図る場合に、経年変化等により機械的な振動系の特性が変化すると、その反共振周波数が変わり、反共振の効果が得られる周波数帯が狭いことから、十分な効果が得られなくなる場合がある。同様に、組み付け状態の違い等により機械的な振動系の特性が異なり、所期の振動低減効果が得られない場合もある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載のように、主慣性質量体となるフライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置を前提としている。
【0011】
そして、前記副慣性質量体もしくは前記副慣性質量体の一部が、駆動力を発生もしくは吸収するアクチュエータとなっており、前記振動系の特性を変化させるように、このアクチュエータによる制御トルク(Ta)を前記内燃機関の運転状態に応じて制御するアクチュエータ駆動トルク制御手段を備えている。つまり、前記クランクシャフトおよび副慣性質量体の回転角変位や回転角速度あるいは回転角加速度などに基づいて正もしくは負の制御トルク(Ta)を加えることにより、反共振の周波数を変更でき、さらには反共振の減衰の大きさを変えてより大きな振動低減効果を得ることが可能である。
【0012】
さらに、本発明では、所定の時期に前記アクチュエータから振動的な駆動トルクを発生させ、そのときの前記副慣性質量体の回転あるいは前記クランクシャフトの回転もしくはそれらの代用値のうち少なくとも1つを測定し、その測定値と駆動トルク(加振力)との比に基づいて前記振動系の特性を同定するようになっている。つまり、経年変化や組み付け状態の違い等による機械的な振動系の特性の変化を的確に把握し、これを反映した形で、反共振による振動低減が行われる。
【0013】
【発明の効果】
この発明によれば、副慣性質量体もしくは副慣性質量体の一部をなすアクチュエータにより制御トルク(Ta)を付加することによって、振動系の反共振周波数を変更でき、内燃機関の広い回転数領域で反共振による振動低減効果が得られるとともに、機械的な振動の減衰を抑制して、より大きな振動低減効果を得ることが可能となる。そして、特に、機械的な振動系の特性を、アクチュエータからの駆動トルクの入力を利用して同定することにより、経年変化や組み付け状態の違い等による特性変化を補うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の第1実施例を図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
図1および図2は、エンジン1とモータジェネレータ2,3とを組み合わせて車両を駆動するいわゆるハイブリッド自動車のパワーユニットを示しており、トランスミッションケース4内に設置されてCVT機構5を介して車両の駆動ならびに制動時の回生発電を行うモータジェネレータ3(以下、モーターAと記す)と、エンジン側方に取り付けられてクランクシャフト6前端のクランクプーリ7から補機駆動ベルト8を介して所定の増速比(回転速度比)αで駆動されることにより発電を行うモータジェネレータ2(以下、モーターBと記す)との2つのモータジェネレータを有している。モーターBは、同時にエンジン1の始動を行うようになっている。
【0017】
車両停止時にはエンジン1も停止しており、発進するときには、エンジン1とトランスミッション軸間に設置されたクラッチ9が切れた状態で、まずモーターAの駆動力により発進し、その後モーターBによりエンジン1を始動してからクラッチ9をつなぎ、エンジン1とモーターA両方の駆動力で車両を加速する。バッテリー残量が不足した場合には、停止時であってもエンジン1を運転して、モーターBにより発電する。
【0018】
ここで、燃費の良い運転をしようとすると、エンジン1の運転状態としては低回転高負荷運転を多用することが望ましいが、このような運転条件ではエンジン1の燃焼に伴うトルク変動が大きく、それに伴ってエンジン1のロール振動や回転速度変動により車室内の振動や騒音が悪化する傾向がある。
【0019】
本実施例のようにモーターBを補機駆動ベルト8を介して駆動する場合、補機駆動ベルト8が比較的柔らかいため、これが一種のばねとなり、このばねにつながるクランクシャフト6と一体回転するフライホイール10と、モーターBのローター部11と、がマスとなる振動系が構成される。つまり、この構成では、フライホイール10が主慣性質量体、ローター部11が副慣性質量体、補機駆動ベルト8が弾性体、にそれぞれ相当する。この振動系の共振周波数においてはエンジン1のロール振動や回転速度変動が悪化するが、それより少し低い周波数にはそれらのレベルが小さくなる反共振周波数が存在し、この反共振周波数とエンジン1の回転基本次数(回転周波数×気筒数/2)が一致する回転数では、振動が低減される。
【0020】
また、モーターBの回転角変位θmから、クランクシャフト6の回転角変位θcにモーターBの増速比αを乗じた回転角変位を引いた差が、回転方向の弾性体の変位に相当するので、この差に係数Keを乗じたトルク(トルクは正の値および負の値をとり得る)を、モーターBから発生させることにより、このトルクが、ばね定数Keのばねのばね力と等価になる。同様に、モーターBの回転角速度θm’から、クランクシャフト6の回転角速度θc’にモーターBの増速比αを乗じた回転角速度を引いた差、つまり両者の相対角速度差に、係数Ceを乗じたトルク(トルクは正の値および負の値をとり得る)を、モーターBから発生させることにより、このトルクが、減衰定数−Ceの減衰力と等価になる。従って、このモーターBにより、減衰器を備えた電気的な振動系が構成されることになり、この電気的な振動系とそれ以外の機械的な振動系とが1つの振動系として作用する。つまり、補機駆動ベルト8のばねと、モーターBによる電気的なばねと、がフライホイール10とローター部11との間に並列に接続されていることになり、そのため、電気的なばね定数Keを変化させることにより、図3のようにエンジン1の回転基本次数に応じて反共振周波数を変化させることができる。また同時に、減衰定数−Ceの値を任意に設定することが可能となるため、反共振における機械的な振動系の減衰を打ち消すように設定することで、反共振の効果をより大きくすることが可能となる。
【0021】
以下、より具体的に説明すると、クランクシャフト6及びモーターBには、それらの回転角変位θc、θmを検出するセンサ12,13がそれぞれ設けられており、これらの検出信号が入力される制御ユニット14によってモーターBのトルクが制御される。制御ユニット14では、検出された回転角変位θc、θmおよびその時間微分θc’、θm’に基づいて、モーターBから発生する制御トルクTaを、次式(1)に従って算出する。
【0022】
【数6】
Ta=Ke(θm−αθc)+Ce(θm’−αθc’) …(1)
ここで、減衰定数となるCeの値は、次式(2)のように、機械的な振動系の減衰定数に略等しく設定される。
【0023】
【数7】
Ce≒(機械的な振動系の減衰定数) …(2)
そして、ばね定数となるKeの値は、反共振周波数をエンジン1の回転基本次数に同調させるために、エンジン回転数に応じて、次式(3)のように変更される。
【0024】
【数8】
Ke=−Km×{(Ne/N1)2−1} …(3)
ここで、
Km:ベルトのばねによる回転ばね定数、
Ne:エンジンの回転数、
N1:モーターBの駆動トルクによる電気的なばね力は作用しないが、電気的な減衰力は作用している状態で回転速度変動が反共振となる回転数、である。
【0025】
このように、モーターBから電気的なばね力を発生させることにより、常に回転基本次数と回転速度変動の反共振周波数が一致するようになる。これに加えて機械的な減衰力を打ち消す負の減衰力を発生させていることになり、電気的な減衰力と機械的な減衰力をあわせた振動系全体の減衰力をほぼ0にすることができ、反共振の作用がより大きくなる。そのため、広い回転速度範囲で大きな反共振の効果を得ることができる。
【0026】
また、基本的な反共振の回転数である上記のN1として、エンジン1のロール振動が反共振となるようなエンジン回転数を設定すれば、大きなロール振動低減効果を得ることが出来る。
【0027】
しかしながら、図3に示したように、経年変化によるベルトの緩み、磨耗、へたり等により、機械的な振動系のばね定数や減衰定数が当初の値に対して変化すると、機械的な振動系の反共振の周波数が変化し、当初と同じように電気的な振動系としてのばね力を与えていたのでは、反共振周波数と回転基本次数を一致させることができなくなってしまう。特に、反共振周波数近傍ではピーキーな特性を持っているため、実際の反共振周波数と回転基本次数とが僅かにずれただけでも反共振の効果は大きく低減してしまう。また機械的な減衰力が変化することにより、同じ電気的な減衰力を与えたのでは、振動系全体の減衰力を0にすることができなくなり、これによっても反共振による振動低減効果が減ってしまう。例えば図3に参考例として示す特性のように振動低減効果が減少する。このような悪化を回避するためには、機械的な振動系の共振周波数や減衰定数といった振動特性を常に把握している必要がある。
【0028】
そこで本実施例では、図4のフローチャートに示すように、エンジン1が停止したときに、ある周波数範囲で加振周波数をスイープする正弦波形状の加振力波形をモーターBに与えて、加振トルクを発生し、そのときのクランクシャフト6の応答回転角速度を測定することにより振動特性を同定する。加振する周波数範囲は前回に測定したときに同定された共振周波数を含む範囲であり、例えば共振周波数が60Hzであった場合には、40〜80Hzというように決定される。つまり、共振周波数が急に大きく変化することはないので、前回の共振周波数を含むある周波数範囲について振動特性の測定を行えばよい。そして加振周波数を徐々に変えてそれぞれの応答回転角速度を測定し、かつ周波数ごとに、加振力に対する応答回転角速度の比Hf(=応答回転角速度/加振力)を求める。これは、各周波数ごとに加振した場合、加振力の大きさを完全に同一にできないことを考慮したものであり、このように比を求めて対比することで、加振力そのものの大きさの影響を排除することができる。
【0029】
図4に示すように、このときHfが最大となる周波数が共振周波数F1であり、そのときの減衰比ζは共振時のHfから3dB低くなる周波数Fa、Fbを用いて、次式(4)で表される。
【0030】
【数9】
ζ=(Fb−Fa)/2F1 …(4)
また、そのときの機械的な振動系のばね定数K1は次式(5)で求まる。
【0031】
【数10】
K1=(2πF1)2・I1I2/(I1+α2I2) …(5)
但し、I1:主慣性質量体の慣性モーメント、I2:副慣性質量体の慣性モーメント、α:回転速度比、である。
【0032】
これらを用いて減衰定数C1は次式(6)のように同定される。
【0033】
【数11】
C1=2ζ√{I1I2K1/(I1+α2I2)} …(6)
これらの値を用いて、前述した(1)〜(3)式に基づき制御トルクを算出するときのパラメータを求めるのであるが、それは次式(7)〜(9)に基づいて行われる。
【0034】
【数12】
Km=K1 …(7)
【0035】
【数13】
N1=N0F1/F0 …(8)
【0036】
【数14】
Cm=C1 …(9)
ここで、N0:出荷時に測定した反共振となる回転数、F0:出荷時に測定した共振周波数、であるが、再度の同定の際には、前回に同定したときの値を用いることもできる。
【0037】
次回の振動系同定までの間は、式(7)〜(9)で示すこれらの値が保持される。そして、エンジン停止時に新たに振動系の同定を行うと、そのときに同定した値で更新される。このように、エンジン停止時のエンジン加振力のない状態で振動系の同定を行うことにより、モーターBからの加振力に対する応答を正確に測定することができる。従って、常に機械的な振動系の特性が正確に把握されているため、モーターBからの制御トルクを利用した所期の反共振による振動低減効果を確実に得ることができる。また振動系の同定は、振動系の可変制御に用いられるアクチュエータであるモーターBとセンサ12とを用いて行われ、同定のための新たなデバイスを追加する必要はないので、コスト上昇を招くことがない。
【0038】
次に、図6〜図11を参照して本発明の第2実施例について説明する。
【0039】
本実施例の自動車用直列4気筒エンジン21には、図6,図7に示すように、副慣性質量体となるオルタネータ24が取り付けられている。このオルタネータ24は、補機駆動ベルト22を介して駆動され、クランクシャフト23と逆方向に回転して、発電を行う。クランクシャフト23の前端に設けられたクランクプーリ25は、図8,図9に示すように、クランクシャフト23に直接結合された内周部26と、補機駆動ベルト22が巻き掛けられるとともに、内周部26に対しベアリング28を介して回転自由に支持された外周部27と、に二分割されており、両者が、弾性体であるコイルスプリング29を組み合わせた捩りばね機構30を介して結合されている。従って、クランクシャフト23およびこれに結合されたフライホイール31からなるエンジン回転部の慣性質量と、オルタネータ24のロータ部の慣性質量とを、前記捩りばね機構30のばねで連結した振動系が構成されることになり、この振動系によるエンジンロール振動の反共振の周波数が、アイドル運転時の回転基本次数と一致するように、捩りばね機構30のばね定数が設定されている。これにより、アイドル時のエンジンロール振動を低減している。
【0040】
ここで、オルタネータ24の発電量はコントローラ32からの信号により振動的に可変制御することが可能である。つまり、発電量を周期的に変化させることで、振動的な制御トルクTaをオルタネータ24から機械的な振動系に与えることができる。この制御トルクTaは、機械的な振動系の反共振周波数前後の回転数(図10の領域▲1▼)では次式(10)のように与えられる。
【0041】
【数15】
Ta=−Ieθm’’+Ce(θm’−αθc’) …(10)
なお、θm’’はオルタネータ24に設置したセンサ33により検出された回転角変位θmを、2階時間微分して求めた回転角加速度であり、θc’およびθm’はクランクシャフト23に設けたセンサ34により検出された回転角変位θcおよび前記のオルタネータ24の回転角変位θmを、それぞれ1階時間微分して求めた回転角速度である。
【0042】
ここで、減衰定数となるCeの値は、次式(11)のように設定される。
【0043】
【数16】
Ce=−(C01−Cm) …(11)
但し、C01:目標減衰定数(所定値)、Cm:機械的な振動系の減衰定数、である。
【0044】
そして、前記の係数Ieの値は、反共振周波数をエンジンの回転基本次数に同調させるために、エンジン回転数に応じて、次式(12)のように変更される。
【0045】
【数17】
Ie=I×{(Ne/N1)2−1} …(12)
ここで、
I:オルタネータロータ部の慣性モーメント、
Ne:エンジンの回転数、
N1:機械的な振動系が反共振となるエンジンの回転数、である。
【0046】
また、制御トルクTaは、機械的な振動系の共振周波数前後の回転数(図10の領域▲2▼)では次の式(13),(14)に沿って与えられる。
【0047】
【数18】
Ta=Ce(θm’−αθc’) …(13)
Ce=−(C02−Cm) …(14)
但し、C02:目標減衰定数(所定値)、である。
【0048】
なお、領域▲1▼においては目標減衰定数C01は機械的な振動系の減衰定数Cmより小さくなるように設定することにより反共振の効果を拡大し、領域▲2▼においては目標減衰定数C02は機械的な振動系の減衰定数Cmより大きくなるように設定することにより、共振の悪化を防止する。
【0049】
このようにオルタネータ24の制御トルクを制御することにより、図10に示すように、反共振周波数前後では、エンジン回転数に応じて慣性力を変更することによりエンジンの回転基本次数と反共振周波数とが一致するように反共振周波数が変化し、より広い回転数領域で、反共振の作用が得られる。そして同時に、減衰を小さくして反共振の効果をより大きくすることができる。一方、共振周波数前後の回転数では、電気的に減衰力を付加することにより振動の減衰を大きくし、共振の悪化を防止することができる。
【0050】
ところで、オルタネータ24では、制御トルクTaとして常に負のトルクしか発生させることができず、その振幅を大きく取ろうとすると発電量が過大となってしまうため、あまり大きな振幅を発生させることができない。しかし本実施例の場合は、反共振周波数前後で機械系振動に対して付加的に発生させるか、振幅の小さな減衰力相当のトルクを発生させるだけなので、オルタネータ24の駆動トルクは小さくて済む。従って、モータジェネレータに比較して安価なオルタネータで制御することが十分に可能である。
【0051】
また本実施例においても、前述した第1実施例と同様に、経年変化等により機械的な振動系の特性が変化すると、図10に比較例として示すように、所期の振動低減効果が得られなくなるため、常に実際の振動系の特性を把握しておく必要がある。そのために、本実施例では、図11に示すフローチャートのように、車両走行中に振動系の特性の同定を行う。すなわち、エンジンの回転基本次数が共振周波数より十分に高い回転数で定常運転しているとコントローラ32が判断したとき(例えば共振となる回転数が660rpmであったときに1500rpm以上で定常走行しているような場合)に、コントローラ32は、前回同定した共振周波数を含む周波数範囲を有するランダムな加振力波形をオルタネータ24に与えて該オルタネータ24から加振トルクを発生させ、そのときの応答をオルタネータ回転角速度を測定することにより求める。加振する周波数範囲は、例えば共振周波数が22Hzであった場合は、12〜32Hzというように、共振周波数の前後を含む適宜な範囲となるように決定される。そして加振力、応答回転角速度それぞれをFFT処理することにより周波数分析し、加振周波数の範囲で周波数ごとに加振力に対する応答回転速度の比Hf(=応答回転速度/加振力)を求める。このときHfが最大となる周波数が共振周波数F1であり、そのときの機械的な振動系の減衰定数C1は、前述した(4)〜(6)式で求まる。そして前述した(8),(9)式と同様に、次の式(15),(16)により機械的な振動系の反共振回転数N1および減衰定数Cmを求め、その値に基づいて制御を行う。
【0052】
【数19】
N1=N0F1/F0 …(15)
Cm=C1 …(16)
次回の振動系同定までの間は、これらの値が保持され、新たな振動系同定を行うと、そのときに同定した値で更新される。本実施例では、エンジンの基本次数以下の周波数範囲で同定を行うため、運転中であってもエンジン加振力の影響を受けず、エンジン実働時の特性を同定することができ、機械的な振動系の特性をより正確に把握することができる。そのため、制御トルクを利用した所期の振動低減効果を得ることができる。また上記の振動特性の同定は、条件を満たす運転条件になるたびに行う必要はなく、ステップ1に示すように、所定の走行距離(例えば500km)毎に1回行うようになっている。
【0053】
なお、本実施例では車両走行中の定常運転時に振動特性の同定を行うようにしているが、エンジン始動直後の高回転アイドル運転時に、回転基本次数が共振周波数より高くなるように回転数を保持し、その間に同定を行うようにしても良い。この場合には、エンジン始動直後から正確な振動特性に基づいた制御が可能となる。
【0054】
次に、第2実施例を一部変更した第3実施例について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0055】
本実施例は、第2実施例に比較して、振動系の特性を同定する時期および方法を変更したものであり、本実施例では、フローチャートに示すように、エンジンがアイドル運転を行っているときに、振動特性の同定を行う(ステップ2参照)。このエンジンは前述したように直列4気筒のもので、オルタネータ24を含む振動系は、初期状態で600rpmのアイドル回転数に反共振周波数が一致するように、つまり20Hzに反共振周波数が設定されており、そのときの共振周波数は、約22Hzとなっている。エンジンの加振力は、4気筒エンジンの場合、基本次数である2次成分が最も大きく、4次、6次・・という偶数次成分を持つ。また気筒ごとの燃焼ばらつき等により0.5次、1.5次、2.5次・・・といった0.5n次(nは自然数)成分も存在する。本実施例では、これらの影響を受けずに振動特性を測定するために、各次数成分の中間近傍に加振周波数が来るように、加振周波数に応じてアイドル回転数を変更する。例えば、12Hzから32Hzまでを含むように測定する場合、オルタネータ24からは、回転1.25次、1.75次、2.25次、2.75次の正弦波を重ね合わせた加振力を発生させ、アイドル回転数を550〜800rpmの範囲でもってアイドル回転数と加振周波数を同期させて加振する。そして、オルタネータ24の回転速度を測定し、それをフィルタ処理することにより、1.25次、1.75次、2.25次、2.75次の成分それぞれを抽出する(ステップ5〜10参照)。こうすることにより、11.5Hz〜36.7Hzの範囲の振動特性が測定できる。また、前回の測定で同定した共振周波数近傍では、他の周波数域よりも加振力を小さくすることにより、共振時の応答を小さくし、加振による振動を乗員に感知されにくくすることができる。ステップ11〜13に示すように、この測定結果を用いて、第2実施例と同様に振動特性を同定する。このようなアイドル運転中の同定によれば、実際の制御を行うのに近い運転条件で振動特性を同定することが可能となり、より正確な振動特性の同定が行える。この実施例の振動特性同定も、第2実施例と同様に、例えば500km走行毎に1回の頻度で行う(ステップ1参照)。
【0056】
また、同定した共振周波数もしくは減衰定数があらかじめ定めた許容範囲を超えた場合には、警告手段として運転席の警告ランプを点灯することにより、乗員に故障の可能性を知らせる(ステップ14,15参照)。このような事態は、補機駆動ベルト22の緩みによって起こる場合が多く、例えば、テンショナの調整などにより対処することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る振動低減装置を備えたパワーユニットの正面図。
【図2】同じくパワーユニットの側面図。
【図3】この第1実施例における振動低減効果を示す特性図。
【図4】この第1実施例における振動特性の同定の処理を示すフローチャート。
【図5】この第1実施例の振動周波数特性を示す特性図。
【図6】本発明の第2実施例に係る振動低減装置を備えたエンジンの正面図。
【図7】同じくエンジンの側面図。
【図8】この第2実施例のクランクプーリの詳細を示す正面図。
【図9】同じくクランクプーリの断面図。
【図10】この第2実施例における振動低減効果を示す特性図。
【図11】この第2実施例における振動特性の同定の処理を示すフローチャート。
【図12】第3実施例における振動特性の同定の処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン
2…モータジェネレータ(モーターB)
3…モータジェネレータ(モーターA)
6…クランクシャフト
7…クランクプーリ
8…補機駆動ベルト
10…フライホイール
Claims (13)
- 主慣性質量体となるフライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置において、
前記副慣性質量体もしくは前記副慣性質量体の一部が駆動力を発生もしくは吸収するアクチュエータとなっており、かつ前記振動系の特性を変化させるように、このアクチュエータによる制御トルク(Ta)を前記内燃機関の運転状態に応じて制御するアクチュエータ駆動トルク制御手段を備えるとともに、
所定の時期に前記アクチュエータから振動的な駆動トルクを発生させ、そのときの前記副慣性質量体の回転あるいは前記クランクシャフトの回転もしくはそれらの代用値のうち少なくとも1つを測定し、その測定値と駆動トルクとの比に基づいて前記振動系の特性を同定するようにしたことを特徴とする内燃機関の振動低減装置。 - 同定する振動系の特性は、前記振動系の共振周波数、減衰定数のいずれか一方もしくは両方であり、前記アクチュエータから発生する加振トルクは、少なくとも前回に同定した共振周波数及びその前後の周波数成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前回同定した共振周波数近傍の周波数で前記アクチュエータからの加振力を小さくすることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記副慣性質量体は、前記クランクシャフトに対して所定の回転速度比αを持って回転しており、
前記アクチュエータの制御トルク(Ta)は、クランクシャフトの回転角速度に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角速度から引いた差に所定の係数(Ce)を乗じた値として制御されており、
前記の係数(Ce)は、所定値C0と同定された減衰定数C1とに応じて、Ce=−(C0−C1)として制御されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の振動低減装置。 - 前記副慣性質量体は、前記クランクシャフトに対して所定の回転速度比αを持って回転しており、
前記アクチュエータの制御トルク(Ta)は、クランクシャフトの回転角変位に前記回転速度比αを乗じて前記副慣性質量体の回転角変位から引いた差に所定の係数(Ke)を乗じた値として制御されており、
前記の係数(Ke)は、次式のように内燃機関の回転速度(Ne)に応じて制御されており、
K1:副慣性質量体の回転に対する前記弾性体の回転ばね定数
Ne:内燃機関の回転速度
N1:制御トルクを付加しないときに反共振となる内燃機関の回転速度
さらに、振動系の共振周波数が同定されたときに、上記の式における値K1および値N1が次式のように修正されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
F1:同定された共振周波数
N0:所定の時期での、制御トルクを付加しないときに反共振となる内燃機関の回転速度
F0:所定の時期での、共振周波数
I1:主慣性質量体の慣性モーメント
I2:副慣性質量体の慣性モーメント
α:回転速度比 - 前記アクチュエータの制御トルク(Ta)は、前記副慣性質量体の回転角加速度に所定の係数(Ie)を乗じた値となるように制御されており、
前記の係数(Ie)は、次式のように内燃機関の回転速度(Ne)に応じて制御されており、
I2:副慣性質量体の慣性モーメント
Ne:内燃機関の回転速度
N1制御トルクを付加しないときに反共振となる内燃機関の回転速度
さらに、振動系の共振周波数が同定されたときに、上記の式における値N1が次式のように修正されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
F1:同定された共振周波数
N0:所定の時期での、制御トルクを付加しないときに反共振となる内燃機関の回転速度
F0:所定の時期での、共振周波数 - 振動特性の同定が、内燃機関の回転基本次数がアクチュエータからの加振周波数に含まれない運転条件のときに行われることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
- 内燃機関の停止時に振動特性の同定が行われることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 振動特性の同定が、内燃機関が定常運転されており、かつ内燃機関の回転基本次数が前回測定時の共振周波数を上回っているときに行われ、
そのときの測定値には少なくともアクチュエータからの加振周波数を含む周波数成分を抽出する処理が施されることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の振動低減装置。 - 内燃機関の始動直後に、その回転基本次数が前回測定時の共振周波数を上回る範囲の回転数に保持し、そのときに振動特性を同定することを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 振動特性の同定が、回転基本次数が制御トルクを付加しないときの振動系の反共振周波数の近傍となる運転条件において行われ、かつその回転基本次数がアクチュエータからの加振周波数に含まれないように内燃機関の回転数を逐次変更することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 内燃機関の回転0.5n次(n=自然数)の振動がアクチュエータからの加振周波数に含まれないようにアイドル回転数を逐次変更することを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 同定した共振周波数もしくは減衰定数が所定の範囲を超えたときに、警告手段を作動させることを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の内燃機関の振動低減装置。
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JP2002357453A JP2004190531A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 内燃機関の振動低減装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017094772A1 (ja) * | 2015-12-02 | 2017-06-08 | アイシン精機株式会社 | 車両ならびにその制御装置および制御方法 |
-
2002
- 2002-12-10 JP JP2002357453A patent/JP2004190531A/ja active Pending
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