JP2005069240A - 内燃機関の振動低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バネを含む振動系の反共振を利用したロール振動の低減を広い回転数領域で実現する。
【解決手段】遊星歯車機構からなる変速機構9を介してフライホイール4がクランクシャフト3に連動する。フライホイール4は、プレート部7と外周部のマス部6とがコイルスプリング8を介して結合されているので、バネを含む振動系となり、クランクシャフト3の回転に対し逆方向に増速されて回転する。その反共振周波数をアイドル時の回転基本次数に一致させることで、ロール振動が抑制される。アイドル回転速度が変化しても、遊星歯車機構のプラネタリキャリア13をモータ14が回転方向に振動的に動かすことで、回転速度比ρが変化し、クランクシャフト3の回転速度の変動成分に対応した反共振周波数が得られ、振動低減効果が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】遊星歯車機構からなる変速機構9を介してフライホイール4がクランクシャフト3に連動する。フライホイール4は、プレート部7と外周部のマス部6とがコイルスプリング8を介して結合されているので、バネを含む振動系となり、クランクシャフト3の回転に対し逆方向に増速されて回転する。その反共振周波数をアイドル時の回転基本次数に一致させることで、ロール振動が抑制される。アイドル回転速度が変化しても、遊星歯車機構のプラネタリキャリア13をモータ14が回転方向に振動的に動かすことで、回転速度比ρが変化し、クランクシャフト3の回転速度の変動成分に対応した反共振周波数が得られ、振動低減効果が得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の振動、主にロール振動もしくは回転速度変動を低減する振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ、前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振の周波数を、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転で運転される運転状態での回転のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致させることにより、その運転状態での内燃機関の振動を低減するようにした内燃機関の振動低減装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−325186号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術では、反共振の周波数近傍では大きな振動低減効果が得られるものの、その周波数を外れると効果が小さくなってしまう。つまり、反共振周波数と回転のn/2(n=自然数)倍の周波数が略一致するように設定されている運転条件から、内燃機関の回転数が少しずれただけでも低減効果が小さくなってしまう。
【0005】
例えば、アイドル運転で反共振の振動低減効果が得られるように反共振周波数を設定した場合、エアコン、オルタネータ等の補機負荷の状態や、自動変速機のNレンジ、Dレンジといったセレクト状態等によって、同じアイドル運転といってもその運転条件が異なるため、アイドル回転速度を変えたほうが良い場合があるが、前記従来例の場合には、最大の振動低減効果を得るためには常にアイドル回転速度を同じ回転速度に保たなければならない。また、反共振周波数より少し高い周波数で共振が起きるため、それによる振動悪化を伴うという問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載のように、主慣性質量体となるクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により所定の速度比をもって回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置を前提としている。
【0007】
そして、本発明では、内燃機関の回転速度を検出する手段と、前記駆動力伝達機構の速度比を可変にする手段と、を備えており、検出した内燃機関の回転速度に応じて、内燃機関のロール振動もしくは回転速度変動に対する前記振動系の反共振の周波数が、回転速度のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致するように、前記速度比を制御する。つまり、副慣性質量体を駆動する駆動力伝達機構の速度比を変化させることで、反共振の周波数を、実際の内燃機関の回転速度に応じて変更することができる。
【0008】
ここで、内燃機関のロール振動や回転速度変動に対しては、内燃機関の回転速度の変動成分に応じて前記速度比を振動的に制御すれば足りる。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、副慣性質量体の速度比を可変とし、振動系の反共振周波数が内燃機関の回転次数と一致するように、この速度比を制御することにより、内燃機関のより広い回転速度領域で反共振による振動低減効果を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
第1実施例を図1、図2に基づいて説明する。本実施例の自動車用エンジン(内燃機関)1は、手動変速機2と組み合わされている。エンジン1のクランクシャフト3後端には後述するフライホイール4が同軸状に配置されており、ここからクラッチ5を介して手動変速機2に駆動力を伝達している。
【0012】
前記フライホイール4は、クランクシャフト3に対し回転可能に構成されたもので、大部分の慣性モーメントをもつ外周部のマス部6と、このマス部6を保持するプレート部7と、に分割されており、両者が、回転方向に沿って配置された複数個のコイルスプリング8を介して結合されている。前記プレート部7は、クラッチ5との結合面となっている。また前記プレート部7は、遊星歯車機構からなる変速機構9を介してクランクシャフト3と結合されている。この変速機構9の遊星歯車機構は、クランクシャフト3が外周部のインターナルギア10に、プレート部7が中心部のサンギア11に、それぞれ結合されており、両者間にプラネタリギア12が介在している。そして、このプラネタリギア12を保持するプラネタリキャリア13が、クランクシャフト3と同心に回転可能に構成されているとともに、外周に歯車部を有し、ギア14aを介して電動装置となるモータ14によって回転方向に駆動できるようになっている。
【0013】
前記モータ14は、後述するように、クランクシャフト3に対し設けられた回転角速度センサ15の検出信号に基づいて、コントロールユニット16によって駆動制御される。
【0014】
前記モータ14が回転せずにプラネタリキャリア13が固定されている状態では、上記変速機構9によって、プレート部7は、クランクシャフト3の回転に対して逆方向に増速されて回転するようになっている。このようにすることにより、クランクシャフト3とプレート部7とからなる主慣性質量体と、フライホイール4のマス部6からなる副慣性質量体と、をコイルスプリング8からなるバネによって結合した振動系が構成され、従って、ある周波数に共振が生じるとともに、その振動系の共振周波数より僅かに低い周波数に、振動が小さくなる反共振が現れる。従来から知られているように、アイドル振動の主入力であるエンジンロール振動に対する反共振周波数と、アイドル運転時の回転基本次数(=[気筒数/2]次)とが略一致するように、コイルスプリング8のバネ定数、マス部6等の慣性モーメント、変速機構9の回転速度比(増速比)ρ、をそれぞれ設定することにより、アイドル運転時の回転速度において、大きなアイドル振動低減効果が得られる(図2の破線参照)。
【0015】
ここで、エアコン、オルタネータ等の補機負荷の状態等によっては、アイドル運転といっても、その運転条件が異なるため、アイドル時の回転速度は変化する。そのため、図2の破線に示すように、共振による振動悪化の虞がある。従って、本実施例では、上記変速機構9の回転速度比ρを変化させることで、反共振を広い回転速度に対し得るようにしている。
【0016】
前記変速機構9の遊星歯車機構の回転速度比ρは、モータ14で駆動されるプラネタリキャリア13の回転角速度ωpと、クランクシャフト3の回転角速度ωcと、を用いて、(1)式で表される。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、r1はサンギア11の半径、r3はインターナルギア10の半径である。
【0019】
上記の式から明らかなように、クランクシャフト3の回転角速度ωcに応じて適切にプラネタリキャリア13の回転速度をモータ14により制御することにより、任意の回転速度比ρを得ることができる。
【0020】
この回転速度比ρを用いて、前記の振動系の反共振周波数f1は、(2)式で表される。
【0021】
【数2】
【0022】
ここで、I1は、クランクシャフト3とプレート部7とを主とする主慣性質量体の慣性モーメント、I2は、マス部6を主とする副慣性質量体の慣性モーメント、Kは定数である。
【0023】
つまり、回転角速度センサ15によってエンジン回転速度を検出し、そのときの回転基本次数と前記の反共振周波数f1とが略一致するように、必要な回転速度比ρを(2)式により求め、その回転速度比ρが得られるように、回転角速度センサ15により検出されるクランクシャフト3の回転速度ωcを用いて、(1)式によりプラネタリキャリア13の回転角速度ωpを求める。そして、この回転角速度ωpとなるように、コントロールユニット16がモータ14を制御することにより、エンジン回転速度に応じて反共振周波数を変更することができ、図2に実線で示すように、広い回転速度で反共振の効果が得られる。
【0024】
ここで、上記のように反共振周波数を変えるためには、エンジン回転の変動成分に対する回転速度比を変更すればよく、定常回転にかかわる回転速度比、つまり車両減速比を変更する必要はない。つまり、モータ14は、クランクシャフト3の回転速度の変動成分から求めたプラネタリキャリア13の回転角速度ωpが得られるように、振動的な変位のみを与えればよく、そのため、このモータ14による振動低減制御を行っても、基本的な車両減速比には、影響を与えることはない。
【0025】
次に、本発明の第2実施例を、図3および図4に基づいて説明する。
【0026】
この第2実施例は、第1実施例に比較して、副慣性質量体であるフライホイール4がクランクシャフト3と同一方向に減速されて回転するようにするとともに、振動低減制御に用いるモータ14を、エンジン1を始動するためのスタータモータとしても兼用できるようにしたものである。
【0027】
この実施例においても、エンジン1のクランクシャフト3後端に、同軸状にフライホイール4が配置されており、ここからクラッチ5を介して手動変速機2に駆動力を伝達している。前記フライホイール4は、クランクシャフト3に対し回転可能に構成されたもので、大部分の慣性モーメントをもつ外周部のマス部6と、このマス部6を保持するプレート部7と、に分割されており、両者が、回転方向に沿って配置された複数個のコイルスプリング8を介して結合されている。前記プレート部7は、クラッチ5との結合面となっている。
【0028】
また前記プレート部7は、遊星歯車機構からなる変速機構9を介してクランクシャフト3と結合されているが、この部分の構成が前述した第1実施例とは異なっている。すなわち、本実施例では、クランクシャフト3が中心部のサンギア11に結合されているとともに、プレート部7が、プラネタリギア12を保持するプラネタリキャリア13に結合されている。そして、外周部のインターナルギア10が、外周に歯車部を有し、ギア14aを介してモータ14によって回転方向に駆動できるようになっている。
【0029】
前記モータ14は、クランクシャフト3に対し設けられた回転角速度センサ15の検出信号に基づいて、コントロールユニット16によって駆動制御される。
【0030】
前記モータ14が回転せずにインターナルギア10が固定されている状態では、プレート部7は、クランクシャフト3の回転に対して同一方向に減速されて回転するようになっている。このようにすることにより、クランクシャフト3とプレート部7とからなる主慣性質量体と、フライホイール4のマス部6からなる副慣性質量体と、をコイルスプリング8からなるバネによって結合した振動系が構成され、従って、ある周波数に共振が生じるとともに、その振動系の共振周波数の近傍に、振動が小さくなる反共振が現れる。特に、この実施例の構成では、共振周波数よりも高い周波数に、反共振が現れる。アイドル振動の主入力であるエンジンロール振動に対する反共振周波数と、アイドル運転時の回転基本次数(=[気筒数/2]次)とが略一致するように、コイルスプリング8のバネ定数、マス部6等の慣性モーメント、変速機構9の回転速度比(減速比)ρ、をそれぞれ設定することにより、アイドル運転時の回転速度において、大きなアイドル振動低減効果が得られる(図4の破線参照)。
【0031】
そして、この実施例においては、インターナルギア10をモータ14で回転方向に駆動することにより、回転速度比ρを可変にすることができる。この実施例の遊星歯車機構の回転速度比ρは、モータ14で駆動されるインターナルギア10の回転角速度ωiと、クランクシャフト3の回転角速度ωcと、を用いて、(3)式で表される。
【0032】
【数3】
【0033】
ここで、r1はサンギア11の半径、r3はインターナルギア10の半径である。
【0034】
上記の式から明らかなように、クランクシャフト3の回転角速度ωcに応じて適切にインターナルギア10の回転速度をモータ14により制御することにより、任意の回転速度比ρを得ることができる。
【0035】
なお、この回転速度比ρによる振動系の反共振周波数f1は、前述した(2)式の通りであり、これは第1実施例と変わりがない。
【0036】
従って、第1実施例と同様に、回転角速度センサ15によってエンジン回転速度を検出し、そのときの回転基本次数と前記の反共振周波数f1とが略一致するように、必要な回転速度比ρを(2)式により求め、その回転速度比ρが得られるように、回転角速度センサ15により検出されるクランクシャフト3の回転速度ωcを用いて、(1)式によりインターナルギア10の回転角速度ωiを求める。そして、この回転角速度ωiとなるように、コントロールユニット16がモータ14を制御することにより、エンジン回転速度に応じて反共振周波数を変更することができ、図4に実線で示すように、広い回転速度で反共振の効果が得られる。
【0037】
なお、クランクシャフト3の回転速度の変動成分に対してモータ14が振動的な変位のみを与えればよいことは、第1実施例と同様である。つまり、この第2実施例でも、モータ14による振動低減制御が、基本的な車両減速比に影響を与えることはない。
【0038】
一方、上記第2実施例では、変速機構9となる遊星歯車機構のサンギア11とプラネタリキャリア13との間に、電磁クラッチ20が設けられており、この電磁クラッチ20を締結することにより、サンギア11、プラネタリキャリア13およびインターナルギア10の三者が、一体的に回転するように、互いに固定される。従って、エンジン1の始動時に、この電磁クラッチ20を締結した状態とし、モータ14によってインターナルギア10を回転することにより、クランクシャフト3をクランキングすることが可能である。つまり、エンジン1の始動時のスタータモータとして、モータ14を兼用することができる。なお、エンジン1の始動後は、電磁クラッチ20を切り離し、前述の振動低減制御を行うことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る振動低減装置の第1実施例を示す構成説明図。
【図2】この第1実施例の振動低減効果を示す特性図。
【図3】この発明の第2実施例を示す構成説明図。
【図4】この第2実施例の振動低減効果を示す特性図。
【符号の説明】
1…エンジン
3…クランクシャフト
4…フライホイール
6…マス部
8…コイルスプリング
9…変速機構
14…モータ
15…回転角速度センサ
16…コントロールユニット
20…電磁クラッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の振動、主にロール振動もしくは回転速度変動を低減する振動低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、フライホイールと結合されたクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ、前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振の周波数を、前記内燃機関の運転状態のうち、略一定回転で運転される運転状態での回転のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致させることにより、その運転状態での内燃機関の振動を低減するようにした内燃機関の振動低減装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−325186号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術では、反共振の周波数近傍では大きな振動低減効果が得られるものの、その周波数を外れると効果が小さくなってしまう。つまり、反共振周波数と回転のn/2(n=自然数)倍の周波数が略一致するように設定されている運転条件から、内燃機関の回転数が少しずれただけでも低減効果が小さくなってしまう。
【0005】
例えば、アイドル運転で反共振の振動低減効果が得られるように反共振周波数を設定した場合、エアコン、オルタネータ等の補機負荷の状態や、自動変速機のNレンジ、Dレンジといったセレクト状態等によって、同じアイドル運転といってもその運転条件が異なるため、アイドル回転速度を変えたほうが良い場合があるが、前記従来例の場合には、最大の振動低減効果を得るためには常にアイドル回転速度を同じ回転速度に保たなければならない。また、反共振周波数より少し高い周波数で共振が起きるため、それによる振動悪化を伴うという問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載のように、主慣性質量体となるクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により所定の速度比をもって回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置を前提としている。
【0007】
そして、本発明では、内燃機関の回転速度を検出する手段と、前記駆動力伝達機構の速度比を可変にする手段と、を備えており、検出した内燃機関の回転速度に応じて、内燃機関のロール振動もしくは回転速度変動に対する前記振動系の反共振の周波数が、回転速度のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致するように、前記速度比を制御する。つまり、副慣性質量体を駆動する駆動力伝達機構の速度比を変化させることで、反共振の周波数を、実際の内燃機関の回転速度に応じて変更することができる。
【0008】
ここで、内燃機関のロール振動や回転速度変動に対しては、内燃機関の回転速度の変動成分に応じて前記速度比を振動的に制御すれば足りる。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、副慣性質量体の速度比を可変とし、振動系の反共振周波数が内燃機関の回転次数と一致するように、この速度比を制御することにより、内燃機関のより広い回転速度領域で反共振による振動低減効果を得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
第1実施例を図1、図2に基づいて説明する。本実施例の自動車用エンジン(内燃機関)1は、手動変速機2と組み合わされている。エンジン1のクランクシャフト3後端には後述するフライホイール4が同軸状に配置されており、ここからクラッチ5を介して手動変速機2に駆動力を伝達している。
【0012】
前記フライホイール4は、クランクシャフト3に対し回転可能に構成されたもので、大部分の慣性モーメントをもつ外周部のマス部6と、このマス部6を保持するプレート部7と、に分割されており、両者が、回転方向に沿って配置された複数個のコイルスプリング8を介して結合されている。前記プレート部7は、クラッチ5との結合面となっている。また前記プレート部7は、遊星歯車機構からなる変速機構9を介してクランクシャフト3と結合されている。この変速機構9の遊星歯車機構は、クランクシャフト3が外周部のインターナルギア10に、プレート部7が中心部のサンギア11に、それぞれ結合されており、両者間にプラネタリギア12が介在している。そして、このプラネタリギア12を保持するプラネタリキャリア13が、クランクシャフト3と同心に回転可能に構成されているとともに、外周に歯車部を有し、ギア14aを介して電動装置となるモータ14によって回転方向に駆動できるようになっている。
【0013】
前記モータ14は、後述するように、クランクシャフト3に対し設けられた回転角速度センサ15の検出信号に基づいて、コントロールユニット16によって駆動制御される。
【0014】
前記モータ14が回転せずにプラネタリキャリア13が固定されている状態では、上記変速機構9によって、プレート部7は、クランクシャフト3の回転に対して逆方向に増速されて回転するようになっている。このようにすることにより、クランクシャフト3とプレート部7とからなる主慣性質量体と、フライホイール4のマス部6からなる副慣性質量体と、をコイルスプリング8からなるバネによって結合した振動系が構成され、従って、ある周波数に共振が生じるとともに、その振動系の共振周波数より僅かに低い周波数に、振動が小さくなる反共振が現れる。従来から知られているように、アイドル振動の主入力であるエンジンロール振動に対する反共振周波数と、アイドル運転時の回転基本次数(=[気筒数/2]次)とが略一致するように、コイルスプリング8のバネ定数、マス部6等の慣性モーメント、変速機構9の回転速度比(増速比)ρ、をそれぞれ設定することにより、アイドル運転時の回転速度において、大きなアイドル振動低減効果が得られる(図2の破線参照)。
【0015】
ここで、エアコン、オルタネータ等の補機負荷の状態等によっては、アイドル運転といっても、その運転条件が異なるため、アイドル時の回転速度は変化する。そのため、図2の破線に示すように、共振による振動悪化の虞がある。従って、本実施例では、上記変速機構9の回転速度比ρを変化させることで、反共振を広い回転速度に対し得るようにしている。
【0016】
前記変速機構9の遊星歯車機構の回転速度比ρは、モータ14で駆動されるプラネタリキャリア13の回転角速度ωpと、クランクシャフト3の回転角速度ωcと、を用いて、(1)式で表される。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、r1はサンギア11の半径、r3はインターナルギア10の半径である。
【0019】
上記の式から明らかなように、クランクシャフト3の回転角速度ωcに応じて適切にプラネタリキャリア13の回転速度をモータ14により制御することにより、任意の回転速度比ρを得ることができる。
【0020】
この回転速度比ρを用いて、前記の振動系の反共振周波数f1は、(2)式で表される。
【0021】
【数2】
【0022】
ここで、I1は、クランクシャフト3とプレート部7とを主とする主慣性質量体の慣性モーメント、I2は、マス部6を主とする副慣性質量体の慣性モーメント、Kは定数である。
【0023】
つまり、回転角速度センサ15によってエンジン回転速度を検出し、そのときの回転基本次数と前記の反共振周波数f1とが略一致するように、必要な回転速度比ρを(2)式により求め、その回転速度比ρが得られるように、回転角速度センサ15により検出されるクランクシャフト3の回転速度ωcを用いて、(1)式によりプラネタリキャリア13の回転角速度ωpを求める。そして、この回転角速度ωpとなるように、コントロールユニット16がモータ14を制御することにより、エンジン回転速度に応じて反共振周波数を変更することができ、図2に実線で示すように、広い回転速度で反共振の効果が得られる。
【0024】
ここで、上記のように反共振周波数を変えるためには、エンジン回転の変動成分に対する回転速度比を変更すればよく、定常回転にかかわる回転速度比、つまり車両減速比を変更する必要はない。つまり、モータ14は、クランクシャフト3の回転速度の変動成分から求めたプラネタリキャリア13の回転角速度ωpが得られるように、振動的な変位のみを与えればよく、そのため、このモータ14による振動低減制御を行っても、基本的な車両減速比には、影響を与えることはない。
【0025】
次に、本発明の第2実施例を、図3および図4に基づいて説明する。
【0026】
この第2実施例は、第1実施例に比較して、副慣性質量体であるフライホイール4がクランクシャフト3と同一方向に減速されて回転するようにするとともに、振動低減制御に用いるモータ14を、エンジン1を始動するためのスタータモータとしても兼用できるようにしたものである。
【0027】
この実施例においても、エンジン1のクランクシャフト3後端に、同軸状にフライホイール4が配置されており、ここからクラッチ5を介して手動変速機2に駆動力を伝達している。前記フライホイール4は、クランクシャフト3に対し回転可能に構成されたもので、大部分の慣性モーメントをもつ外周部のマス部6と、このマス部6を保持するプレート部7と、に分割されており、両者が、回転方向に沿って配置された複数個のコイルスプリング8を介して結合されている。前記プレート部7は、クラッチ5との結合面となっている。
【0028】
また前記プレート部7は、遊星歯車機構からなる変速機構9を介してクランクシャフト3と結合されているが、この部分の構成が前述した第1実施例とは異なっている。すなわち、本実施例では、クランクシャフト3が中心部のサンギア11に結合されているとともに、プレート部7が、プラネタリギア12を保持するプラネタリキャリア13に結合されている。そして、外周部のインターナルギア10が、外周に歯車部を有し、ギア14aを介してモータ14によって回転方向に駆動できるようになっている。
【0029】
前記モータ14は、クランクシャフト3に対し設けられた回転角速度センサ15の検出信号に基づいて、コントロールユニット16によって駆動制御される。
【0030】
前記モータ14が回転せずにインターナルギア10が固定されている状態では、プレート部7は、クランクシャフト3の回転に対して同一方向に減速されて回転するようになっている。このようにすることにより、クランクシャフト3とプレート部7とからなる主慣性質量体と、フライホイール4のマス部6からなる副慣性質量体と、をコイルスプリング8からなるバネによって結合した振動系が構成され、従って、ある周波数に共振が生じるとともに、その振動系の共振周波数の近傍に、振動が小さくなる反共振が現れる。特に、この実施例の構成では、共振周波数よりも高い周波数に、反共振が現れる。アイドル振動の主入力であるエンジンロール振動に対する反共振周波数と、アイドル運転時の回転基本次数(=[気筒数/2]次)とが略一致するように、コイルスプリング8のバネ定数、マス部6等の慣性モーメント、変速機構9の回転速度比(減速比)ρ、をそれぞれ設定することにより、アイドル運転時の回転速度において、大きなアイドル振動低減効果が得られる(図4の破線参照)。
【0031】
そして、この実施例においては、インターナルギア10をモータ14で回転方向に駆動することにより、回転速度比ρを可変にすることができる。この実施例の遊星歯車機構の回転速度比ρは、モータ14で駆動されるインターナルギア10の回転角速度ωiと、クランクシャフト3の回転角速度ωcと、を用いて、(3)式で表される。
【0032】
【数3】
【0033】
ここで、r1はサンギア11の半径、r3はインターナルギア10の半径である。
【0034】
上記の式から明らかなように、クランクシャフト3の回転角速度ωcに応じて適切にインターナルギア10の回転速度をモータ14により制御することにより、任意の回転速度比ρを得ることができる。
【0035】
なお、この回転速度比ρによる振動系の反共振周波数f1は、前述した(2)式の通りであり、これは第1実施例と変わりがない。
【0036】
従って、第1実施例と同様に、回転角速度センサ15によってエンジン回転速度を検出し、そのときの回転基本次数と前記の反共振周波数f1とが略一致するように、必要な回転速度比ρを(2)式により求め、その回転速度比ρが得られるように、回転角速度センサ15により検出されるクランクシャフト3の回転速度ωcを用いて、(1)式によりインターナルギア10の回転角速度ωiを求める。そして、この回転角速度ωiとなるように、コントロールユニット16がモータ14を制御することにより、エンジン回転速度に応じて反共振周波数を変更することができ、図4に実線で示すように、広い回転速度で反共振の効果が得られる。
【0037】
なお、クランクシャフト3の回転速度の変動成分に対してモータ14が振動的な変位のみを与えればよいことは、第1実施例と同様である。つまり、この第2実施例でも、モータ14による振動低減制御が、基本的な車両減速比に影響を与えることはない。
【0038】
一方、上記第2実施例では、変速機構9となる遊星歯車機構のサンギア11とプラネタリキャリア13との間に、電磁クラッチ20が設けられており、この電磁クラッチ20を締結することにより、サンギア11、プラネタリキャリア13およびインターナルギア10の三者が、一体的に回転するように、互いに固定される。従って、エンジン1の始動時に、この電磁クラッチ20を締結した状態とし、モータ14によってインターナルギア10を回転することにより、クランクシャフト3をクランキングすることが可能である。つまり、エンジン1の始動時のスタータモータとして、モータ14を兼用することができる。なお、エンジン1の始動後は、電磁クラッチ20を切り離し、前述の振動低減制御を行うことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る振動低減装置の第1実施例を示す構成説明図。
【図2】この第1実施例の振動低減効果を示す特性図。
【図3】この発明の第2実施例を示す構成説明図。
【図4】この第2実施例の振動低減効果を示す特性図。
【符号の説明】
1…エンジン
3…クランクシャフト
4…フライホイール
6…マス部
8…コイルスプリング
9…変速機構
14…モータ
15…回転角速度センサ
16…コントロールユニット
20…電磁クラッチ
Claims (5)
- 主慣性質量体となるクランクシャフトの回転駆動力を伝える駆動力伝達機構と、前記駆動力伝達機構により所定の速度比をもって回転させられて慣性力を生じる副慣性質量体と、を備え、かつ前記駆動力伝達機構に弾性体を持たせて振動系を形成し、この振動系の反共振を用いた内燃機関の振動低減装置において、
内燃機関の回転速度を検出する手段と、前記駆動力伝達機構の速度比を可変にする手段と、を備え、検出した内燃機関の回転速度に応じて、内燃機関のロール振動もしくは回転速度変動に対する前記振動系の反共振の周波数が、回転速度のn/2(n=自然数)倍の周波数と略一致するように、前記速度比を制御することを特徴とする内燃機関の振動低減装置。 - 内燃機関の回転速度のm/2(m=気筒数)倍の周波数に、前記振動系の反共振周波数が略一致するように、前記速度比を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記駆動力伝達機構は遊星歯車機構を備えており、この遊星歯車機構を構成する歯車のうち、主慣性質量体側の回転軸および副慣性質量体側の回転軸のいずれにも結合されていない歯車を、電動装置により駆動することにより、前記速度比が可変制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 内燃機関の回転速度の変動成分に応じて前記電動装置の回転が振動的に制御されることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の振動低減装置。
- 前記遊星歯車機構を構成する歯車のうち、主慣性質量体側の回転軸に結合された歯車と副慣性質量体側の回転軸に結合された歯車とが一体的に回転するようにするクラッチ機構を備え、内燃機関の始動時に、前記電動装置から駆動することにより内燃機関をクランキングすることができるように構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の内燃機関の振動低減装置。
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JP2011226494A (ja) * | 2010-04-15 | 2011-11-10 | Toyota Motor Corp | マスダンパ |
US8840516B2 (en) | 2010-11-04 | 2014-09-23 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Dynamic damper device |
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-
2003
- 2003-08-21 JP JP2003208131A patent/JP2005069240A/ja active Pending
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