JP2004084067A - Ti添加フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

Ti添加フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ステンレス鋼中に残存するPを無害化するとともに、さらに
ステンレス鋼の加工性、降伏強度などの特性を改善したステンレス鋼板
およびその製造方法の提供。
【解決手段】質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、
Mn:0.3%以下、P:0.010%以上0.040%以下、S:0
.01%以下、Cr:8%以上30%以下、Al:1.0%以下、Ti
:0.05%以上0.5%以下およびN:0.04%以下を含有し、か
つ8≦Ti/(C+ N)≦30である組成の鋼を、熱間圧延して熱延鋼
板とし、該熱延鋼板に(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)±50
℃)の温度でTi系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ
+Ti系析出物の短軸長さ)/2]が0.05μm以上1.0μm以下
で、かつフェライト結晶粒度が6.0以上となるように再結晶焼鈍する
Ti添加フェライト系熱延ステンレス鋼板の製造方法と、さらに冷延し
、焼鈍する冷延ステンレス鋼板の製造方法、ならびに得られた熱延焼鈍
鋼板および冷延焼鈍鋼板。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性に優れた低降伏強度を有するTi添加フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法に関するものである。本発明は、ステンレスの精錬工程で各種の原料から鋼中に混入するりん(P)を精錬工程で過度に低減することなく、熱延焼鈍中に粗大な析出物を析出させ、Pを無害化することにより得られるものである。特に結晶組織が微細粒で、しかも高r値や高延性が要求される用途に好適な加工性に優れた低降伏強度を有するTi添加フェライト系熱延ステンレス鋼板およびTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板、ならびにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、フェライト系ステンレス鋼の加工性を改善する手法として、例えば、CおよびNの低減に加え、TiまたはNbを添加する手法が開示されている。また、特許文献2には、さらに安価なTi添加フェライト系ステンレス鋼を製造する方法として、高温巻取りによる熱延制御に加え、鋼中のP、S、CおよびN含有量を規定することにより、延性低下、硬質化を招くFeTiPの析出を抑制し、熱延鋼板の焼鈍省略を可能にする製造方法が開示されている。
【0003】
同様に、特許文献3には、Tiとりん化物、炭化物、窒化物、硫化物を形成するP、C、SおよびNの含有量の上限値を規定し、りん化物、炭化物および硫化物が、熱延巻取り時に析出することを抑制して熱延巻取り時に再結晶を促進し、熱延鋼板の焼鈍を省略しても加工性が良好なステンレス鋼板の製造方法が開示されている。これら3件の従来技術においては、いずれもPやCの析出物および固溶Pや固溶Cは加工性を阻害する元素と認識されており、PやCの含有量を精錬が可能な範囲で極力低減することが重要であるとされている。
【0004】
しかしながら、このような鋼中のPやCの精錬による低減化は、鋼の材質改善に有効であるものの弊害もある。例えば、
(1)製鋼工程において副生するダストやスラグのリサイクルやスクラップの再利用を考慮すると、これら原料中から不可避的に混入してくるPやCを所定の限度まで低減するには、製鋼での精錬時間が長くなり、生産性が低下する、
(2)これら元素を低減することで、鋼の粒成長が制御しにくくなり、熱延鋼板の粒径の粗大化に伴い、異方性が増大し、リジング(表面凹凸)の発生も顕著になる、などである。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−264652号公報
【特許文献2】
特開平5−320772号公報
【特許文献3】
特開平10−204588号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ステンレス鋼中にPをある程度残存するように精錬して精錬負荷を軽減し、その代わりにPを積極的に粗大なTi系析出物として析出させ、もってPを無害化するとともに、さらにステンレス鋼の加工性、降伏強度などの特性を改善するステンレス鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、現状設備を増強することなく、現状設備の有効利用を可能にし、鋼材のリサイクル化、製造時の省エネルギー化を達成することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は以下の通りである。
本発明は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.3%以下、P:0.010%以上0.040%以下、S:0.01%以下、Cr:8%以上30%以下、Al:1.0%以下、Ti:0.05%以上0.5%以下およびN:0.04%以下を含有し、かつ8≦Ti/(C+N)≦30である組成の鋼板において、フェライト結晶粒度が6.0以上で、かつ鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]が0.05μm以上1.0μm以下であるTi添加フェライト系ステンレス鋼板である。
【0008】
本発明のTi添加フェライト系ステンレス鋼板は、前記鋼板中の全Ti含有量の50%以上が、Ti系析出物として析出していることが好ましい。
【0009】
本発明のTi添加フェライト系ステンレス鋼板は、前記鋼板中の全P含有量の50%以上が、Ti系析出物として析出していることが好ましい。
【0010】
本発明のTi添加フェライト系ステンレス鋼板は、熱延鋼板または冷延鋼板であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.3%以下、P:0.010%以上0.040%以下、S:0.01%以下、Cr:8%以上30%以下、Al:1.0%以下、Ti:0.05%以上0.5%以下およびN:0.04%以下を含有し、かつ8≦Ti/(C+N)≦30である鋼を、熱間圧延して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)±50℃)の温度でTi系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]が0.05μm以上1.0μm以下で、かつフェライト結晶粒度が6.0以上となるように再結晶焼鈍するTi添加フェライト系熱延ステンレス鋼板の製造方法である。
【0012】
本発明のTi添加フェライト系熱延ステンレス鋼板の製造方法において、前記鋼板中の全Ti含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させることが好ましい。
【0013】
本発明のTi添加フェライト系熱延ステンレス鋼板の製造方法において、前記鋼板中の全P含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、前記再結晶焼鈍した熱延ステンレス鋼板を冷間圧延した後、(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)+100℃)未満の温度で、Ti系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]が0.05μm以上1.0μm以下で、かつフェライト結晶粒度が6.0以上、好ましくは6.5以上となるように仕上げ焼鈍するTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法である。
【0015】
本発明のTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法において、前記再結晶焼鈍した熱延ステンレス鋼板を冷間圧延した後、(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)+50℃)未満の温度で仕上げ焼鈍することが好ましい。
【0016】
本発明のTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法において、前記鋼板中の全Ti含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させることが好ましい。
【0017】
本発明のTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法において、前記鋼板中の全P含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明者は、前記課題を解決すべく、P含有量を種々変化させた市販の工程材について、炭化物やりん化物の析出挙動が冷延焼鈍鋼板の材質に及ぼす影響について詳細に調査した。その結果、鋼板中のP含有量を極力低減し、炭化物やりん化物の析出を抑制するのではなく、鋼の精錬工程で原料としてスラグ、ダストの再利用も考慮した範囲で、Pを適度に残存させて精錬負荷を軽減した場合であっても、鋼板中のTi系析出物のサイズと析出量、および鋼板のフェライト結晶粒度を特定の範囲に制御することにより、P含有量を極限まで低減しなくても、熱延鋼板や冷延鋼板の延性とr値が向上することを見出した。
【0019】
具体的には、本発明者は、P含有量を種々変化させたフェライト系熱延ステンレス鋼板(C:0.004%、Si:0.10%、Mn:0.25%、P:0.013%〜0.046%、S:0.003%、Cr:16.2%、Al:0.02%、Ti:0.16%およびN:0.008%)について、種々の焼鈍温度(500〜1000℃の間で25℃間隔)と焼鈍時間(1分、10分、1時間、100時間)での析出Ti量を測定して、析出Ti量が鋼板中のTi含有量の50%以上となる範囲を求め、図1に示すようなTi系析出物のTTP曲線(温度−時間−析出の関係を示す曲線/析出開始曲線)を作図した。図1のノーズ部分の温度をNとし、Ti系析出物(炭化物やりん化物など)の析出ノーズ温度Tと定義した。
【0020】
また、熱延鋼板を種々な温度(500〜1000℃の間で25℃間隔)と時間(1分、10分、1時間、100時間)で焼鈍し、硬度変化と組織観察結果から、再結晶挙動を調査した。これらの測定結果、すなわち、Ti系析出物のTTP曲線に再結晶挙動の関係を重ね合わせて見ることで、Ti系析出物が析出しやすく、しかも再結晶が完了する適切な熱処理条件を鋼板毎に見出すことができる。
なお、前述のTTP曲線は、縦軸を温度、横軸を対数プロットした時間とし、鋼板中に含有される全Ti含有量の50%以上のTiが析出する等高線を描き析出曲線とした。なお、熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板中の全Ti含有量のTi系析出物として析出した割合は、鋼中の析出Ti量(質量%)を鋼中の全Ti含有量(質量%)で除して100を乗じて算出した。
【0021】
全Ti量はJIS G1258:1999 鉄及び鋼−誘導結合プラズマ発光分光分析方法)に準拠して測定した。すなわち、試料を塩酸と硝酸の混酸に溶解する。残渣をろ取し、炭酸ナトリウムとホウ酸ナトリウムでアルカリ融解し、これを塩酸に溶解して、先の酸溶液と合液し、純水で一定量に希釈する。ICP発光分析装置で、この溶液中のTi量(Tia )を定量する。
全Ti量(質量%)=Tia /試料質量×100
【0022】
析出Ti量(質量%)は、試料をアセチルアセトン系電解液(通称:AA液)を用いて定電流電解(電流密度≦20mA/cm)する。この電解溶液中の電解残渣をろ取し、過酸化ナトリウムとメタホウ酸リチウムでアルカリ融解後、酸で溶解して純水で一定量に希釈する。この溶液中のTi量(Tib )をICP発光分析装置で定量する。
析出Ti量(質量%)=Tib /試料質量×100
【0023】
また、再結晶焼鈍における析出ノーズ温度Tおよびその時間を種々変化させて、熱延焼鈍鋼板のTi系析出物の形態(サイズ、分布、量)を調べた。さらに、この熱延焼鈍鋼板を冷間圧延した後に、種々な温度で再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍)を施し、最終冷延鋼板中のTi系析出物のサイズと、降伏強度(以下、YSとも称す)およびフェライト結晶粒度との関係を調べた。
その結果、鋼中のPを精錬により極力低減してTi系析出物の析出を抑制しなくても、Pを適度に鋼中に残存させ、その後に熱延鋼板を焼鈍する際に適度な大きさのTi系析出物として鋼板中のTiの少なくとも50%以上を粗大析出させると、鋼中に固溶したPやCを低減することができ、PやCの無害化と母相の高純度化の両方を同時に達成できることが判明した。そして、高温仕上げ焼鈍によって結晶粒径が粗大化した従来の低YS材に比較して、格段に微細な組織の低YS材が得られることが明らかになった。
【0024】
すなわち、図2A、2B、図3A、3B、図4Aおよび4Bに熱延焼鈍鋼板、中間焼鈍鋼板および仕上げ焼鈍鋼板の従来の焼鈍条件の場合と、本発明における焼鈍条件を適用した場合のTi系析出物の透過型電子顕微鏡の観察結果を示す。
従来の焼鈍条件の場合は、熱延焼鈍鋼板で微細析出したTi系析出物がその後の冷延鋼板焼鈍(中間焼鈍および仕上げ焼鈍)で徐々に大きくなる(図3Aおよび図4A参照)のに対し、本発明のTi系析出物を析出させた焼鈍条件の場合は、粗大析出物が徐々に溶解する(図3Bおよび図4B参照)違いがある。また、従来の焼鈍条件の場合の熱延焼鈍鋼板には、母相にPやCなどの固溶元素が残留し、しかも、Ti系析出物が微細なため、引張強度(以下、TSとも称す)が高く、しかも延性が乏しい。その後の熱処理による中途半端なTi系析出物の微細析出は鋼板を硬質化する。
【0025】
本発明は、▲1▼熱延鋼板中のTi系析出物を析出物焼鈍で粗大析出かつ低密度析出させ、これにより、▲2▼PやCなど固溶元素が減少し、母相の高純度化、Ti系析出物の粗大、低密度化に伴い、冷間圧延の中間焼鈍鋼板の再結晶温度が低下し、▲3▼低温冷延鋼板焼鈍により熱延鋼板中のTi系析出物の再固溶を抑制(最終焼鈍鋼板の再結晶温度も同様な機構で低温化)するものである。その結果、従来の焼鈍鋼板に比べ、固溶Pや固溶Cなどが低減するとともに、Ti系析出物が粗大かつ低密度化するので、▲4▼冷延焼鈍鋼板で低YS, 低TS、高伸び(以下、延性ELとも称す)、高r値を達成することができる。
【0026】
以下、本発明における各要件について説明する。まず、Ti添加フェライト系ステンレス鋼の各元素の含有量について説明する。なお、各元素の含有量は質量%であり、単に%と表示することがある。
【0027】
(1)C:0.01%以下:
Cは、固溶Cとして含有されると鋼が硬質化(固溶強化)する。また、Cは、主に粒界にCr系炭化物として析出し、二次加工脆性、粒界の耐食性を低下させる。特に、0.01%を超えると、その影響が顕著となるので、0.01%以下に限定する。なお、精錬負荷や析出物制御の観点から、その含有量は0.002%超、0.008%以下が好ましい。
【0028】
(2)Si:0.5%以下:
Siは、耐酸化性、耐食性の向上に有効な元素であり、大気環境での耐食性を向上させる。また、脱酸剤として鋼中の酸素除去に用いられる。しかしながら、Si含有量が多くなると、固溶Siの増加に伴い鋼が硬質化し、延性も低下するので、0.5%を上限とする。好ましくは0.05%以上0.2%以下である。
【0029】
(3)Mn:0.3%以下:
Mnは、耐酸化性を改善するのに有効な元素であるが、過剰に含有させると鋼の靭性を劣化させ、溶接部の耐二次加工性をも劣化させるので、0.3%以下に限定する。好ましいのは0.15%以上0.25%以下である。
【0030】
(4)P:0.010%以上0.040%以下:
Pは、粒界に偏析し、鋼を脆化する。また、固溶すると鋼を著しく硬質化し、延性を低下させる。さらに、Pの含有量は溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性の観点から低い方が好ましい。しかし、過度の低減は、製鋼工程において、各種の原料をリサイクルして使用することを考慮した場合、製鋼コストの上昇を招く。またP含有量が少なくなると、Ti系析出物が小さくなる。また熱延歪みにより析出物の安定性が低下する。また、析出物は同一体積の場合、小さく蜜に析出していた方が大きく粗に析出してより鋼を硬質化させる能力が高いため、粗大かつ低密度に析出物の形態制御することが重要である。このため、Pを熱延焼鈍鋼板で比較的粗大な析出物として存在させるためには適度なP残存が重要である。
なお、Pが0.040%を超えると耐食性や靭性の劣化が著しいので、上限を0.040%とした。一方、鋼の精錬負荷、精錬ダストやスラグまたはスクラップを製鋼工程にリサイクルして使用すること、および析出物制御という観点から適正範囲は0.010%%以上0.040%とする。好ましくは上記精錬負荷やリサイクルを考慮すると0.020%以上0.030%以下である。
【0031】
(5)S:0.01%以下:
Sは、鋼の耐食性を低下させる。ただし、Ti4 2 2 として析出し、鋼中の固溶Cを高温で安定析出物の形で固定することができるため、ある程度含有していても影響は少ない。そこで、製鋼時の脱硫処理にかかる経済的負担を考慮して、その含有量を0.01%以下とする。好ましくは0.002%以上0.006%以下である。
【0032】
(6)Cr:8%以上30%以下:
Crは、耐食性の向上に有効な元素である。しかし、十分な耐食性を確保するためには、8%以上含有する必要がある。なお、海岸環境での耐食性や溶接部も含めた高レベルの耐食性を確保するためには、不動態皮膜が安定になる11%以上の含有が好ましい。一方、Crは鋼の加工性を低下させる元素であり、特に30%を超えると、その影響が顕著になる。さらに、他の元素との複合作用により、σ相やχ相の析出で鋼が脆くなるので、30%を上限とする。好ましくは15%以上20%以下である。
【0033】
(7)Al:1.0%以下:
Alは、製鋼における脱酸剤として必要であるが、その効果を得るためには、0.005%以上の添加が必要である。ただし、過度の添加は酸化物系介在物を生成し、、表面外観および耐食性が劣化することになるので1.0%以下とする。好ましくは0.01%以上0.2%以下である。
【0034】
(8)Ti:0.05%以上0.5%以下、かつ8≦Ti/(C+ N)≦30[不等式中Ti、CおよびNは、鋼中のそれぞれの成分の含有量(質量%)を表す]:
Tiは、固溶CやNを炭窒化物、PおよびSをFeTiP、Ti4 2 2 やTiSのようなTi系りん化物やTi系硫化物として固定する。Ti添加量はこのようなTi系析出物のサイズや析出挙動を大きく左右するので、本発明の材質制御において、非常に重要な元素である。
Tiは鋼中の各種固溶元素と前記のような析出物を形成する結果、耐食性改善および加工性を向上させる効果を有している。ただし、含有量が0.05%未満では、C、N、PおよびSを十分粗大なTi系析出物として析出させ、無害化することができないため、0.05%以上が必要である。一方、0.5%を超えると固溶Ti量が増加し、鋼の硬化、延性低下、靭性低下を招くため、0.5%を上限とする。好適には0.10〜0.25%である。なお、TiはCまたはNと安定な炭化物または窒化物を形成するため、8≦Ti/(C+N)≦30を合わせて満たす必要がある。好ましくは10≦Ti/(C+N)≦15である。
【0035】
(9)N:0.04%以下:
Nは含有量が適正であれば、粒界を強化し、靭性を向上させるが、0.04%を超えると、窒化物となって粒界に析出し、耐食性への悪影響が顕著になる。また、TiとTiNを形成し、冷延鋼板、特に光沢品の擦り傷の原因になるので、上限を0.04%とする。このように、Nは低減することが好ましい元素であるが、フェライト単相鋼の場合、TiNがスラブ中の柱状晶の成長を抑制することでリジング改善に有効に働くので、精錬負荷をも考慮すると0.005%以上0.02%以下が好適である。
【0036】
(10)その他の成分
本発明のステンレス鋼は、前記成分を含有するのを基本とする。前記以外の成分として、Feおよび不可避的不純物を含有するもの、さらには、これに、本発明の趣旨を損なわない範囲で任意成分を添加したものも本発明のステンレス鋼である。例えば、粒界脆性改善の観点から0.3%以下のNi、Cu、Coおよび0.01%以下のBのうちいずれか1種以上を含有することを妨げない。
【0037】
また、Nb:0.5%以下、Zr:0.5%以下、Ca:0.1%以下、Ta:0.3%以下、W:0.3%以下、V:0.3%以下、Sn:0.3%以下およびMo:2.0%以下についても耐食性改善、生産性改善(靭性改善)、溶接性改善、加工性改善などの特性改善の観点からそれらのいずれか一種以上を含有することを妨げない。なおMgについては、製鋼工程で溶鋼容器の耐火物やスラグから解離し、0.003%以下で含有されるが、その含有も本発明の妨げになるものではない。
【0038】
本発明は、前記の鋼成分組成に加えて、鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]とフェライト結晶粒度を特定の範囲に規定する。これらの平均粒径Dpとフェライト結晶粒度に着目した理由は以下の通りである。
本発明は、特に鋼板のリサイクルを繰り返すことにより上昇する鋼中のP含有量を、従来と同等の精錬負荷により0.01〜0.04%、好ましくは0.02〜0.04%の範囲に止め、析出するTi系炭化物やTi系りん化物のサイズを所定の大きさ以上に粗大化させることで、無害化し、さらにこれらTi系析出物のピンニング効果を利用することにより、鋼板の結晶粒の粗大化を制御し、延性、リジングのみならず、機械的特性の異方性を合わせて改善するものである。ここで、Ti系炭化物やTi系りん化物などの析出物は一定形状ではないので、そのサイズを評価するにあたって、鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dpを採用することにした。
【0039】
なお、平均粒径Dpは試験片の圧延方向の断面を10%AA液(10%アセチルアセトン−1%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール)で電解した後、抽出レプリカを採取し、透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV) で2万〜20万倍の倍率で、視野にあるTi系析出物を100個観察し、100個の析出物の(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2の平均値を平均粒径Dpと定義した。Ti系析出物が完全に球形である場合は、長軸長さ=短軸長さとなるので、平均粒径Dpとしては単にその直径を用いればよいが、現実には球形でないことの方が多い。そこで、Ti系析出物の大きさの指標として、その最も大きい長手方向を長軸とし、この長軸の中央に直交する方向を短軸とし、100個の析出物の(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2の平均値を前記のように平均析出物の粒径Dp(μm)と定義した。
なお、Ti系りん化物やTi系炭化物、その他のTi系析出物の析出温度や析出速度は、Ti系析出物を形成する元素の含有量により変化するが、これら元素の含有量が多いほど高温、短時間で析出する傾向にある。そこで、成分に合わせて適宜、析出ノーズ温度近傍における温度に合わせた母相の再結晶およびTi系析出物の析出を考慮した箱焼鈍が有効である。
【0040】
(11)熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板のTi系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]:0.05μm以上1.0μm以下:
鋼板中のTi系析出物は一般に鋼板の加工性を損なうものとして知られている。しかし本発明の熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板では、Ti系析出物を平均粒径Dpとして0.05μm以上1.0μm以下の範囲で粗大析出させると、逆に無害化され、しかも母相の高純度化が図られ、鋼板の高加工性が達成できる。また、0.05μm以上1.0μm以下の範囲の平均粒径Dpを熱延焼鈍鋼板の段階で達成した鋼板をさらに冷間圧延する場合には、再結晶温度が低下するとともに、熱延鋼板中の固溶Cおよび固溶P量が減少しているので、r値向上に有効な板面に平行な{111}集合組織の発達が顕著になる。したがって、Ti系析出物の平均粒径Dpは本発明の最重要な要件の一つである。
【0041】
なお、再結晶温度が低下することで、中間焼鈍温度もしくは仕上げ焼鈍温度が低温化する。その結果、最終冷延鋼板中の固溶C量および固溶P量の低減により、鋼の軟質化、高延性化、低降伏強度化が達成される。ただし、Ti系析出物の平均粒径Dpが0.05μm未満の微細析出の場合、冷延歪みによりTi系析出物の熱的安定性が低下するので、冷延鋼板焼鈍でTi系析出物が再溶解し、固溶C、固溶Pの増大に加えて、Ti系微細析出物による析出効果により鋼が硬質化し、しかも微細析出物は鋼板の{111}集合組織発達を抑制するため、材質を低下させることになる。そこで、Ti系析出物の平均粒径Dpの下限を0.05μmとした。なお、Ti系析出物はこの範囲では、大きい方が有効であるが、平均粒径Dpが1.0μmを超えると延性改善には有効に働くが、r値が急速に低下する。これは、粗大析出物の周囲に冷間圧延により異常加工組織が形成され、r値に有害な{110}再結晶方位が形成されやすくなるためと考えられる。このような理由から、熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dpを0.05μm以上1.0μm以下とする。好ましくは0.2μm以上0.6μm以下、さらに好ましくは0.3μm以上0.5μm以下である。
【0042】
(12)熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板のフェライト結晶粒度:6.0以上:熱延焼鈍鋼板の結晶粒度は、冷延焼鈍鋼板のリジングやr値に影響を及ぼす。
結晶粒度は微細なほど再結晶の核生成サイトになる粒界が多くなるため、最終冷延鋼板の{111}集積度を高めるためr値に有利である。このように、熱延鋼板の結晶粒度と冷延鋼板のr値の間には、良い相関があり、熱延焼鈍鋼板の結晶粒の粗大化に伴い、r値は向上するが、結晶粒度が6.0を超えると、リジング、機械的性質の異方性が増大し、さらに結晶粒が粗大化するとr値が低下する。
これらの理由から、熱延焼鈍鋼板のフェライト結晶粒度の下限を6.0とした。
なお、中間焼鈍鋼板を含んだ3回焼鈍、2回冷延の中間焼鈍鋼板の場合、熱延鋼板に比べ中間焼鈍鋼板は再結晶温度が低温化するため平均粒径を6.5以上とすることが好ましい。ここに、本発明で言う結晶粒度はすべてJIS G0552(鋼のフェライト結晶粒度試験方法)に定める切断法で測定したものであり、圧延方向(L方向)断面における倍率100倍の観察面について5視野観察し、その平均値として求めた。
【0043】
鋼板が冷間圧延と仕上げ焼鈍を経て製造されたものであっても、仕上げ焼鈍鋼板のフェライト結晶粒度は6.0以上である必要がある。仕上げ焼鈍鋼板のフェライト結晶粒径(仕上焼鈍後のフェライト結晶粒径)は、加工後の肌荒れに影響を及ぼす。結晶粒を大きくすることで、延性やr値の向上が可能になるが、結晶粒度番号が6.0未満になると、結晶粒度の粗大化に伴い、加工後の製品表面にオレンジピールと呼ばれる肌荒れが生じ、外観を損ねるばかりか、肌荒れに起因して耐食性の劣化、成形性の低下を招く。そこで、仕上げ焼鈍鋼板の結晶粒度は6.0以上、好ましくは6.5以上を必要とする。
【0044】
(13)熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板中の全Ti含有量の50%以上が、Ti系析出物として析出:
熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板中の全Ti含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させることにより、鋼板中のPとCの大部分をTi系析出物として析出させることができる。このため、鋼板中の固溶Pと固溶Cを大きく低減することが可能となる。全Ti含有量の50%未満を、Ti系析出物として析出させた場合は、鋼板中の固溶Pと固溶Cの低減が十分でないばかりか、微細析出物が多くなり、加工性が向上しない。より好ましくは、熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板中の全Ti含有量の70%以上を、Ti系析出物として析出させることである。さらに好ましくは、上記の析出Ti量に加えて、P系析出物の析出量が、全P含有量の50%以上であることが好ましい。
なお、全Ti含有量と析出Ti量の算出については、前述した。
【0045】
また、熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板中の全P含有量のTi系析出物として析出した割合は、鋼中の析出P量(質量%)を鋼中の全P量で除して100を乗じて算出した。
全P量はJIS G1214:1998 鉄及び鋼−りん定量方法)に準拠して測定した。すなわち、試料を塩酸と硝酸と過塩素酸の混酸に溶解し、過塩素酸白煙処理してりんをオルトリン酸とした後、モリブデン酸と錯体を形成させ、モリブドリン酸青(モリブデンブルー)吸光光度法で、溶液中のP量(Pa ) を定量する。
全P量(質量%)=Pa /試料質量×100
【0046】
析出P量(質量%)は、試料をアセチルアセトン系電解液(通称:AA液)を用いて定電流電解(電流密度≦20mA/cm)する。この電解溶液中の電解残渣をろ取し、塩酸と硝酸と過塩素酸の混酸に溶解し、過塩素酸白煙処理してりんをオルトリン酸とした後、モリブデン酸と錯体を形成させ、モリブドリン酸青(モリブデンブルー)吸光光度法で、溶液中のP量(Pb ) を定量する。
析出P量(質量%)=Pb /試料質量×100
【0047】
次に、本発明の低降伏強度Ti添加フェライト系ステンレス鋼板を製造する好ましい方法について説明する。
本発明が対象とするステンレス鋼板の製造工程は、製鋼工程、溶鋼から連続鋳造等によってスラブを製造する工程、スラブ加熱工程、熱間圧延工程、熱延鋼板焼鈍工程である。あるいは、さらに、冷間圧延工程、仕上げ焼鈍工程の一連の工程を経て冷延焼鈍鋼板として製造される。本発明は、特に熱間圧延後の熱延鋼板焼鈍工程と冷間圧延後の仕上げ焼鈍工程についてその条件を規定したものである。
【0048】
本発明は、まず熱間圧延後に、Ti系析出物の平均粒径Dpが特定範囲に入るように再結晶焼鈍を施す。ここに言うTi系析出物は、具体的にはりん化物(FeTiP)や炭化物、硫化物(TiC、TiS、Ti4 2 2 )などの総称である。多くの場合、650〜850℃近傍に析出ノーズ温度Tを有するFeTiPやTiCがその大部分を占める。
【0049】
(14)熱延板焼鈍:
本発明では、熱延鋼板中のTi系析出物を所定のサイズに粗大化することが重要である。手法としては熱間圧延、巻取り温度を規制すること、または連続焼鈍に比べ長時間の箱焼鈍(Box 炉)を施すことが挙げられる。いずれにしても、熱延鋼板中の固溶Cおよび固溶PをTi系析出物として、平均粒径Dpが0.05μm以上1.0μm以下の範囲内で粗大析出させ、無害化することが肝要である。これにより、鋼板の加工性が向上する。最適温度はFeTiPおよびTiCの析出ノーズ近傍にあるため、鋼板中のTi、P、C、SおよびNや熱延巻取り条件によって左右されることは言うまでもない。ただし、これらの析出が最も促進される650〜850℃が焼鈍温度または均熱保持温度の好適範囲である。箱焼鈍の保持時間、熱延条件、巻取りまたは冷却工程での保持時間または冷却速度は、Ti系析出物の平均径Dpが前記範囲になるように定める。さらに、鋼板中の全Ti含有量の50%以上をTi系析出物として析出させる。好ましい保持時間は実操業を考えると1〜100時間であり、より好ましくは1〜10時間である。
【0050】
本発明のステンレス鋼板の製造においては、熱延焼鈍鋼板中の析出物形態が鋼板の特性を左右し、所定以上の大きさにTi系析出物を粗大析出することで熱延焼鈍鋼板の母相の高純度化が図られ、冷間圧延後の再結晶温度が低下する。また熱延焼鈍鋼板中の固溶Cと固溶Pの量が減少し、r値向上に有効な{111}集積への集合組織発達が顕著になるので、最終冷延焼鈍鋼板のr値も向上する。後述する冷延焼鈍温度の低温化によりTi系析出物として析出しているCとPの再固溶が抑制され、結果として最終冷延焼鈍鋼板の低降伏強度化、軟質化、高延性化が達成される。
【0051】
熱延板焼鈍温度は、(Tiの析出ノーズ温度T(℃)±50℃)の範囲とする必要がある。さもなければ、Ti系析出物の平均粒径Dpを所定のサイズに析出させることができない。また、鋼板中のTiの50%以上をTi系析出物として析出させることができない。そのため、Tiの析出挙動からTTP曲線を作成し、析出ノーズ温度Tを見出した。具体的なTTP曲線の作成方法および析出ノーズ温度Tの求め方は、前述の図1で説明した通りである。すなわち、個々の組成の鋼板について、種々の焼鈍温度(500〜1000℃の範囲で25℃間隔)と焼鈍時間(1分、10分、1時間、100時間)での析出Ti量を測定してTiの析出量が鋼板中の全Ti含有量の50%以上となる析出曲線を求めた。そして図1のノーズ部分Nに相当する温度をTi系析出物の析出ノーズ温度Tとした。
【0052】
熱延鋼板焼鈍の目的には、熱延鋼板のフェライト組織の再結晶も含むため、焼鈍温度と焼鈍時間はTi系析出物を短時間で所定サイズと所定析出量(鋼板中の全Ti含有量の50%以上を析出)にすることができるように(Tiの析出ノーズ温度T(℃)±50℃)とした。焼鈍温度が高すぎると再結晶するが、Ti系析出物が微細で少量であり、固溶Cや固溶Pを多く母相中に残存させることになる。また焼鈍温度が低いと再結晶が起こりにくくなるとともに、Ti系析出物が少量になる。焼鈍温度の決定には、事前の調査により析出Ti量からTi系析出物の析出ノーズを見積もることが有効である。
【0053】
(15)仕上げ焼鈍:
冷間圧延鋼板は、(Tiの析出ノーズ温度T(℃)+100℃)未満の温度でフェライト結晶粒度が6.0以上となるように再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍)が施される。
仕上げ焼鈍は、高温ほど{111}粒が選択的に成長し、高r値が達成される。仕上げ焼鈍温度が低温で、未再結晶組織が残存した場合、加工性が阻害される。r値の増大を図るには、高温仕上げ焼鈍が有効であるが、その反面で結晶粒が大きくなり、加工後の肌荒れが生じて、加工性限界の低下と耐食性の劣化をもたらす。このため、仕上げ焼鈍温度は結晶粒度6.0以上、好ましくは6.5以上を確保できる範囲で高温ほど好ましい。なお、本発明の特徴は、特にPをFeTiP、CをTiC他のTi系りん化物、Ti系炭化物として粗大析出させ、無害化することにある。しかしながら、これらTi系析出物は850℃以上で溶解が進む。例え、急速加熱、短時間保持の連続焼鈍であっても900℃を超える熱処理では、これら析出物の溶解が進行するので、好適温度の上限を900℃とした。なお、仕上げ焼鈍温度の下限は再結晶温度からであるが、好ましいのは結晶粒度が6.0〜7.5の範囲に入る温度であり、さらに好ましいのは結晶粒度が6.5〜7.0の範囲に入る温度である。
【0054】
冷延焼鈍板の結晶粒度はリジングやr値、YS、加工性に影響を及ぼす。高温焼鈍により結晶粒径は大きくなり、粒径効果によりYSは低下し(Holl−pitch則)、延性は向上する。ただし、粒度番号が6.0未満になると肌荒れが著しくなり、機械的性質の異方性が増大するのみならず、外観が損なわれる。加えて、肌荒れに起因して耐食性の劣化、加工性の低下を招く。また冷延鋼板焼鈍温度がTiの析出ノーズ温度Tに比べ100℃より高くなると、Ti系析出物が再溶解し、YSが上昇する。
特定の大きさ以上に析出物を粗大化させた熱延焼鈍鋼板の場合、仕上げ焼鈍後も析出物が粗大のまま残存し、微細粒で低降伏強度の冷延焼鈍鋼板が得られる。
【0055】
表1に示す成分組成の鋼スラブを、スラブ加熱後、熱間圧延し、厚さ4mmの熱延鋼板を得た。これらの個々の熱延鋼板について、種々の焼鈍温度(500〜1000℃の範囲で25℃間隔)と焼成時間(1分、10分、1時間、100時間)での析出Ti量を測定して、析出Ti量が鋼板中のTi含有量の50%以上となる範囲を求め、図1に示すようなTi系析出物のTTP曲線を作図した。そして、析出ノーズ温度T(770℃)を決定した。ついで、熱延鋼板を800℃(析出ノーズ温度T±50℃)で再結晶焼鈍し、Ti系析出物の大きさを変化させ、その平均粒径Dpを0.03μmと0.28μmにした熱延焼鈍鋼板を得た。その後、トータル圧下率80%の冷間圧延により厚さ0.8mmの冷延鋼板を製造し、さらに種々な時間の冷延焼鈍を施し、粒度が異なる冷延焼鈍鋼板を製造した。熱延焼鈍鋼板における結晶粒度と冷延焼鈍鋼板の降伏強度を比較した。その結果を表2に示した。
なお降伏強度はJIS Z2241に準拠して測定した。
【0056】
【表1】
Figure 2004084067
【0057】
【表2】
Figure 2004084067
【0058】
試料No.A〜Eは熱延鋼板中のTi系折出物の平均粒径Dpを0.28μmとしたもの、試料No.F〜Jは熱延鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dpを0.03μmとしたものである。熱延焼鈍鋼板におけるフェライト結晶粒の粒度番号と冷延焼鈍鋼板の降伏強度との関係を図5に示した。表2または図5から同じ成分系の鋼でも、熱延焼鈍鋼板においてTi系折出物の平均粒径Dpを大きくした方が、冷延鋼板のTi系折出物の平均粒径Dpを揃えた場合に、低降伏強度が得られることが分かった。
【0059】
そして、熱延焼鈍鋼板でのTi系折出物の平均粒径Dpを0.05μm以上1.0μm以下としたときに、好ましい低降伏強度が得られることが判明した。また冷延焼鈍鋼板の結晶粒度が6.0以上、好ましくは6.5以上で、冷延鋼板焼鈍温度が(Tiの析出ノーズ温度T(℃)+100℃)以下である冷延鋼板を深絞りした時に、肌荒れが発生せず、しかも冷延鋼板中のTi系析出物が再溶解しないことが判明した。仕上げ焼鈍温度の下限は、前記結晶粒度を満足し、未再結晶粒が残存しない温度とすることが好ましい。なお、Ti系炭化物、Ti系りん化物を極力粗大析出物として析出する観点から、さらに好ましくは、冷延鋼板焼鈍温度は(Tiの析出ノーズ温度T(℃)+50℃)以下である。
【0060】
なお、本発明における結晶粒径はすべてJIS G0552に定める切断法で測定したものであり、圧延方向(L方向)断面における倍率100倍の観察面についても5視野観察し、その平均値として求めた。
【0061】
本発明では、熱間圧延後の熱延鋼板焼鈍工程、冷間圧延後の仕上げ焼鈍工程以外の工程について、その条件を特に限定するものではないが、各工程について下記の条件とすることが好ましい。
【0062】
(16)スラブ加熱:
スラブ加熱温度が低すぎると、肌荒れの原因になるとともに、粗圧延で所定の条件で熱間圧延することが困難となり、一方、加熱温度が高すぎると、熱延鋼板の組織が粗大化し、板厚方向で集合組織が不均一になる。また、Ti4 2 2 が再溶解し、熱延鋼板中にCおよびSが固溶してしまう。このため、スラブ加熱温度は950〜1150℃の範囲とする。好ましい温度範囲は1000〜1100℃である。
【0063】
(17)熱間粗圧延:
熱間粗圧延(以下、単に粗圧延とも称す)の少なくとも1パスを圧延温度850〜1100℃、圧下率40%/パス以上として行う。粗圧延の圧延温度が850℃未満では、再結晶が進みにくく、仕上げ焼鈍鋼板の加工性が劣り、面内異方性が大きくなるほか、圧延ロールへの負荷が大きくなり、ロール寿命が短くなる。一方、1100℃を超えると、フェライト結晶粒が圧延方向に伸びた組織になり、異方性が大きくなる。したがって、粗圧延の圧延温度は850〜1100℃、好ましくは850〜1000℃である。
【0064】
また、粗圧延の圧下率が40%/パス未満では、板厚方向の中心部にバンド状の未結晶部分が大量に残存するため、冷延鋼板にリジングが発生し加工性が劣化する。ただし、粗圧延の1パス当たりの圧下率が60%を超えると圧延時に焼き付けを起こし、噛み込み不良を生じるおそれがあるので、圧下率40〜60%/パスの範囲が特に好ましい。なお、鋼の高温強度が低い場合には、粗圧延時に鋼板表面に強い剪断歪みが生じ、板厚中心部に未再結晶組織が残存するとともに、粗圧延時に焼付を生じることもあるので、このような場合には、必要に応じて、摩擦係数0.3以下になるような潤滑を施してもよい。前述した圧延温度と圧下率の条件を満たす粗圧延を、少なくとも1パス行うことにより、深絞り性が改善される。この1パスは粗圧延のどのパスで行ってもよいが、圧延機の能力を考えると、最終パスで行うのが最も好ましい。
【0065】
(18)熱間仕上げ圧延:
粗圧延に続く熱間仕上げ圧延(以下、単に仕上げ圧延とも称す)では、少なくとも1パスを圧延温度650〜900℃、圧下率20〜40%/パスで行うことが好ましい。圧延温度が650℃未満では、変形抵抗が大きくなって、20%/パス以上の圧下率を確保することが難しくなるとともに、ロール負荷が大きくなる。一方、仕上げ圧延温度が900℃を超えると圧延歪みの蓄積が小さくなり、次工程以降における加工性改善効果が小さくなる。このため、仕上げ圧延温度は650〜900℃、好ましくは700〜800℃の範囲である。
【0066】
また、仕上げ圧延時に、圧延温度650〜900℃での圧下率が20%未満であると、r値の低下やリジングの原因になる{100}//ND、{100}//NDコロニーが大きく残存する。なお、ここで、{100}//NDは結晶の<100>方位ベクトルが、圧延面に垂直な方位ベクトル(ND方位)と平行であることを意味する。また、{100}//NDコロニーは、各結晶の<100>方位ベクトルが、圧延面に垂直な方位ベクトル(ND方位)となす角度が30°以内にある結晶の隣接集合体を意味する。一方、圧下率が40%を超えると、噛み込み不良や形状不良を引き起こし、鋼板の表面性状の劣化を招く。よって、仕上げ圧延において、圧下率20〜40%の圧延を1パス以上とする。好ましい圧下率は25〜35%である。前述した圧延温度と圧下率の条件を満たす仕上げ圧延を少なくとも1パス行えば、深絞り性が改善される。その1パスはどのパスで行ってもよいが、圧延機の能力から最終パスで行うのが最も好ましい。
【0067】
(19)冷間圧延:
前記のような焼鈍を行った熱延焼鈍鋼板を冷間圧延した後、さらに再結晶焼鈍する。冷間圧延条件は特に限定されるものではなく、常法に従って行えばよい。冷間圧延は、必要に応じて600〜900℃の中間焼鈍を挟んで2回以上行うこともできる。この場合、全圧下率を75%以上か、(1回目の冷間圧延の圧下率)/(最終冷間圧延の圧下率)で表される圧下比を0.7〜1.3となるように行うのが好ましい。そして、最終冷間圧延直前におけるフェライト結晶粒度を好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、さらに好ましくは7.0以上とする。中間焼鈍温度が600℃未満の場合には、再結晶が不十分となり、r値が低下するとともに、未再結晶バンド状組織に起因してリジングが著しくなる。一方、中間焼鈍温度が900℃を超えると中間焼鈍鋼板組織が粗大化するとともに、Ti系炭化物やTi系りん化物が再固溶し、Ti系析出物を所定の大きさに保てないばかりか、鋼板中に固溶Cおよび固溶Pが増加し、深絞り性に好適な集合組織の形成が阻害される。なお、全圧下率の増大は仕上げ焼鈍鋼板の{111}集合組織の発達に寄与し、r値向上に有効である。
【0068】さらに、本発明における冷間圧延では、タンデム圧延機を採用することにより、冷間圧延のロール径を300mmφ以上のワークロールにより一方向に圧延するのが好ましい。被圧延材の剪断変形を低減し、(222)/(200)を高めてr値の向上を図るためには、ロール径と圧延方向の影響を考慮することが好ましい。通常、ステンレス鋼の最終冷間圧延は、表面光沢を得るために、ロール径が例えば、200mmφ以下と小さいワークロールを用いて行われるが、本発明では、特にr値の向上を目的とするので、最終冷間圧延においてもロール径が300mmφ以上の大径ワークロールを使用することが好ましい。
【0069】
すなわち、ロール径が100〜200mmφのリバース圧延に比べ、300mmφ以上のロール径を有する一方向圧延であるタンデム圧延を用いると、表面での剪断変形を低減し、r値を高める上で効果的である。圧延のワークロールを大径ロールでしかも一方向圧延(タンデム圧延)とすることにより(222)が増大する。より高いr値を安定して得るために、線圧(圧延荷重/板幅)を増大させて板厚方向に均一に歪みを与える必要があり、そのために、熱間圧延温度の低下、高合金化、熱間圧延速度の増加を任意に組み合わせるのが有効である。
【0070】
本発明は、前述のように、特に製鋼原料のリサイクルにより混入しやすいPを0.01%以上0.04%以下の範囲で鋼中に残存させ、これをTi系析出物として所定サイズで析出させることにより析出物の無害化、適度な析出物のピンニング効果による粒成長抑制、母相の高純度化を達成した。その結果、単に精錬による高純度化を行い、析出物の微細析出もしくは析出そのものを抑制した鋼に比べ微細粒で低降伏強度化される。本発明によれば、合わせて延性、リジング、機械的特性の異方性も合わせて改善した低降伏強度フェライト系ステンレス鋼が製造できる。
【0071】
以上説明した本発明の鋼板を用いて、溶接によりパイプに組み立てる場合には、特に限定されるものではなく、MIG(Metal Inert Gas)、MAG(Metal Active Gas) 、TIG(Tungsten Inert Gas)等の通常のアーク溶接方法や、スポット溶接、シーム溶接等の抵抗溶接方法、および電縫溶接方法等の高周波抵抗溶接方法、高周波誘導溶接方法が適用可能である。
【0072】
【実施例】
以下に、本発明の好ましい実施態様を実施例により詳細に説明する。
(実施例No.1〜19[表3〜4])
表3に示すPなどの成分組成(残部が実質的にFe)の鋼スラブ1〜4からなる鋼を、スラブ加熱温度1100℃、粗圧延温度990℃、粗圧延の圧下率35%、仕上げ圧延温度752℃、仕上げ圧延の圧下率30%の条件で熱間圧延し、次いで、箱焼鈍温度780℃、箱焼鈍保持時間10時間、中間焼鈍温度850℃、全圧下率85%、圧下比1.0、仕上げ焼鈍温度900℃の条件で熱延鋼板を焼鈍して熱延焼鈍鋼板を製造した。なお、鋼3については、さらに板厚が5mm、2.3mm、0.8mmになるように圧延する工程で、中間焼鈍を挟む3回焼鈍2回冷延法による冷間圧延と仕上げ圧延を行った。
なお、Ti析出物の析出ノーズ温度Tは表3の鋼スラブ1〜4について、前述の図1で説明したように種々の焼鈍温度(500〜1000℃の範囲の25℃間隔)と焼鈍時間(1分、10分、1時間、100時間)での析出Ti量を測定して、析出Ti量が鋼板中の全Ti含有量の50%以上となる析出曲線を求めた。
そして、図1のノーズ部分Nに相当する温度をTi系析出物(炭化物、りん化物など)の析出ノーズ温度Tとした。得られた析出ノーズ温度Tを表3に示した。
【0073】
熱延鋼板および冷延鋼板の特性を調べた。それらの結果を表4に示した。
フェライト結晶粒の粒度は、熱延鋼板および仕上げ焼鈍鋼板の圧延方向(L方向)断面でフェライト結晶粒の粒度番号をJIS G0552に規定された切断法に準拠して求めたものである。また、JIS 13号B試験片を用い、熱延焼鈍鋼板および冷延焼鈍鋼板のYS、TS、Elを測定するとともに、15%の単軸引張予歪を与えて、3点法に従う各方向のr値(rL,rD,rC)を求め、次式により平均r値およびΔrを計算し、n数3点の平均値を求めた。
平均r=(rL+2rD+rC)/4、
Δr=(rL−2rD+rC)/2。
(ただし、rL,rDおよびrCは、それぞれ圧延方向、圧延方向に対して45°の方向、圧延方向に対して90°の方向のr値を表す。)
【0074】
さらに、耐肌荒れを示す鋼板表面のうねり高さは、鋼板の圧延方向からJIS5号試験片を切り出し、#800湿式研磨後、25%の引張歪みを加えた後、表面に発生した肌荒れを、引張方向に垂直な方向に触針法で1cmの長さ測定した表面粗度の値(Ry)で評価した。なお、測定は試験片の長手方向中央から±10mmの範囲で長手方向に5mm間隔で5点測定し、最大10点の平均粗さを求めた。
【0075】
耐リジング性の評価は圧延方向から切り出したJIS 5号試験片を両面#600湿式研磨紙で研磨し、20%引張った後、それぞれの試験片の引張り方向と垂直方向の試験片中央部を粗度計を用いて測定したうねり高さを下記のAからEの5段階で評価した。ランクAは15μm以下、ランクBは30μm以下、ランクCは45μm以下、ランクDは60μm以下、ランクEは60μm超である。
リジングがランクC、D、Eになるとr値や延性を向上させてもリジングの凹凸に起因して加工限界が低下するため、AとBを合格とした。また、精錬にかかる負荷を精錬所要時間に換算して評価した。なお、スクラップやダスト、スラグのリサイクルのない溶鋼をP含有量0.015%まで低減するのに要する精錬時間を基準とし、基準時間に対し150%以上の精錬時間がかかる場合を不合格C、70%超150%未満の精錬時間を合格B、70%以下の精錬時間に低減できる場合を合格Aとして評価した。なお、精錬時に発生するダスト、スラグをリサイクル場合、溶鋼に混入するP量が多くなるので、精錬負荷が大きくなる。
【0076】
なお、全Ti含有量および析出Ti量は前述した方法により測定し、算出した。また、全P含有量および析出P量は前述した方法により測定し、算出した。
なお、図6には、No.5〜10について、Ti系析出物の平均粒径Dpと平均r値および延性Elとの関係を示した。
また、図7には、No.15〜19について、冷延焼鈍鋼板の結晶粒度番号(GS.No.) と、冷延焼鈍鋼板の△r値(異方性)および肌荒れとの関係を示した。
図6から、Ti系析出物の平均粒径Dpと平均r値との間には、平均粒径Dpが0.25μm程度で最大値を有する関係があり、熱延鋼板で平均r値1.1以上を得るには、平均粒径Dpを0.05から1.0μmに制御することが有効であることがわかる。
図7は、冷延焼鈍鋼板の結晶粒度が冷延焼鈍鋼板の肌荒れと△rに影響を及ぼすことを示す例である。冷延焼鈍鋼板の結晶粒度が6.0以下になると急激に肌荒れが顕著になり、しかもr値の異方性(△r値)が大きくなることがわかる。
【0077】
No.1は精錬時間が短い比較例である。P含有量が0.046%と多く、精錬において、Pが十分低減されておらず、El、r値が低く、Ys、TSが高い比較例である。
No.2〜3はP含有量が0.04%以下まで低減した発明例である。低P化によりEl、r値が高く、Ys、TSが低い発明例である。
No.4はP含有量が0.008%以下まで低減した比較例である。鋼の特性は向上するが、精錬時間が長い比較例である。
No.5はTi系析出物の平均粒径Dpが0.03μmと微細であり、YSが高く、加工性が乏しい比較例である。
【0078】
No.6〜9はTi系析出物の平均粒径Dpを0.07から0.88μmまで粗大化した発明例である。また、熱延鋼板の結晶粒度を6.1に統一した例であるが、No.5に比較して、この範囲ではTi系析出物の平均粒径Dpが大きいほどYSが低く、Elが大きく、加工性が改善されていることを示す発明例である。
No.10はTi系析出物の平均粒径Dpが1.15μmと本発明の上限値1.0μmを超えたことで、r値が低下することを示す比較例である。
【0079】
No.11〜12は鋼2について熱延鋼板の結晶粒度が6.0未満であり、Elやr値が乏しく、△rが大きく、リジングランクがD、Cに入る比較例である。
No.13〜14は鋼2について熱延鋼板の結晶粒度を6.5、7.1と微細化することで、特にr値が向上し、△rが小さくなり、加工性が改善された発明例である。
No.15〜16は冷延鋼板の結晶粒度が4.5、5.6であって、粗大粒であり、△rが大きく、リジングランクがD、Cに入り、加工性を損なうことを示す比較例である。
No.17〜19はTi系析出物の平均粒径Dp、熱延鋼板の結晶粒度、冷延鋼板の結晶粒度を制御し、高加工性を達成した発明例である。
【0080】
(実施例No.20〜37[表5〜6])
表5に示す10種類の成分組成(残部が実質的にFe)の鋼スラブ5〜14を加熱後、スラブ加熱温度1100℃、粗圧延温度990℃、粗圧延の圧下率35%、仕上げ圧延温度752℃、仕上げ圧延の圧下率30%の条件で熱間圧延し、厚さ4mmの熱延鋼板を得た。なお、Ti系析出物の析出ノーズ温度Tおよび、TiとPの析出量の割合は、No.1と同様に行って求めた。次に、表6に示すTi析出物の析出ノーズ温度Tとの温度差で熱延鋼板を再結晶焼鈍し、表6に示す平均粒径DpのTi析出物を析出させた。その後、トータル圧下率80%の冷間圧延を行い、厚さ0.8mmの冷延鋼板を得、これに表6に示すTi析出物の析出ノーズ温度Tとの温度差で冷延鋼板を最終仕上げ焼鈍(再結晶焼鈍)を施し、得られた冷延焼鈍鋼板について、その結晶粒度と特性(YS、TS、El、r)、リジング、TiとPの析出割合および精錬時間をNo.1と同様の方法で調べた。表6にそれらの結果を示した。
【0081】
No.20はP含有量が0.046%と多く、JIS規格外の成分系である不適合鋼5を用いた比較例である。Pが高すぎると熱延鋼板のTi系析出物を粗大化してもYSは340MPa と硬質のままである。
No.21〜23は適合鋼6〜8を用いた発明例である。Ti系析出物の平均粒径Dpを0.15〜0.25μmとすることで、平均粒径Dpが微細粒にも拘わらず低降伏強度、合わせて高いEl、高r値を兼ね備えている発明例である。
No.24はP含有量を0.008%以下に低減した不適合鋼9を用いた比較例である。ここまで、P含有量を低減すると、YSは低いが、異方性△r値が増大するのみならず、精錬に従来以上の時間がかかる。また、リサイクルの観点から、スクラップを使用する場合、大きな制限を受けることになる。
【0082】
No.25はNo.20と同様に、P含有量が0.042%と高い不適合鋼10を用いた比較例である。やはり、YSは高く、他の機械的特性も劣る。
No.26〜27は、適合鋼11〜12を用い、Ti系析出物の平均粒径Dpが0.22μm、0.25μmとすることで加工性が向上した発明例である。
No.28はP含有量が0.005%まで下げた不適合鋼13を用いた比較例である。この場合、鋼の特性は良くなるが、やはり粒成長による異方性増大やこの含有量まで精錬するために必要な精錬時間が増大し、リサイクルプロセスという観点から見るとデメリットが大きい。
【0083】
No.29〜30は適合鋼7を用いつつも、熱延鋼板の焼鈍を(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)±50℃)を超えた範囲で行った比較例である。析出ノーズ温度Tから高温側に大きく崩れたNo.29では、再結晶の促進には有効であるが、固溶Cや固溶P量が多くなり、しかもTi系析出物も微細になる。その結果、固溶強化、析出強化によって鋼板は硬質化する。一方、焼鈍温度が析出ノーズ温度T(℃)−70℃と低いNo.30は組織が未再結晶または未再結晶を部分的に残した伸長粒になる。合わせて析出物も小さいため、鋼板は良好な特性が得られない。
【0084】
No. 31は熱延焼鈍鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dpを1.11μmまで粗大化した比較例である。平均粒径Dpが1.0μmを超え、粗大化すると延性や平均r値が低下する。
No.32は熱延焼鈍鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dpが0.03μmと微細析出させた比較例である。平均粒径Dpと降伏強度の関係を見るとTi系析出物の平均粒径Dpが大きい例、例えばNo.22に比べ降伏強度が高い。
No.33は仕上げ焼鈍温度を析出ノーズ温度T(℃)+130℃にした比較例である。仕上げ焼鈍温度を高くすると、Ti系りん化物が再溶解し、硬質化する。
No.34は冷延鋼板の結晶粒度番号が5.8と6.0を超えたために肌荒れが顕著になり、リジングランクがCとなった比較例である。
【0085】
No.35は析出ノーズ温度T(℃)<100℃で、かつ冷延焼鈍鋼板のフェライト結晶粒度番号が6.0以上の発明例である。
No.36は冷延焼鈍鋼板のフェライト結晶粒度番号を6.0未満に粗大化した比較例である。仕上げ焼鈍鋼板の粒径を粗大化すると加工時の肌荒れが顕著になり、加工性が劣化する。
No.37はTi/(C+N)が5.55と本発明の規定の下限値8を大きく下回った比較例である。鋼が硬質化、Elが乏しくなるとともに、リジング発生が顕著である。
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、降伏強度が低いTi添加フェライト系ステンレス鋼の製造にあたり、スラグやダスト、スクラップなどのリサイクルにより溶鋼中に多く残存するPやCをTi系析出物として粗大析出し、無害化することで同一結晶粒径において、従来の鋼材を超える高延性、低YSが得られる加工性に優れたTi添加フェライト系ステンレス鋼が得られる。また、既存の設備を使用して製造できるので、リサイクル化、省エネルギー化の効果が大きい。
【0087】
【表3】
Figure 2004084067
【0088】
【表4】
Figure 2004084067
【0089】
【表5】
Figure 2004084067
【0090】
【表6】
Figure 2004084067
【0091】
【表7】
Figure 2004084067

【図面の簡単な説明】
【図1】熱延焼鈍鋼板におけるTi系析出物(炭化物、りん化物)のTTP曲線の模式図である。
【図2】Aは、従来の熱延焼鈍条件によるTi系析出物の形態(TEM/レプリカ)であり、Bは、本発明の熱延焼鈍条件によるTi系析出物の形態(TEM/レプリカ)である。
【図3】Aは、従来の連続焼鈍における中間焼鈍条件によるTi系析出物の形態(TEM/レプリカ)であり、Bは、本発明の中間焼鈍条件によるTi系析出物の形態(TEM/レプリカ)である。
【図4】Aは、従来の連続焼鈍における仕上げ焼鈍条件によるTi系析出物の形態(TEM/レプリカ)あり、Bは、本発明の仕上げ焼鈍条件によるTi系析出物の形態(TEM/レプリカ)である。
【図5】熱延焼鈍鋼板のフェライト結晶粒度番号と、冷延焼鈍鋼板の降伏強度との関係を示すグラフである。
【図6】Ti系析出物の平均粒径Dpと、平均r値および延性との関係を示すグラフである。
【図7】冷延焼鈍鋼板の結晶粒度番号と、冷延焼鈍鋼板のΔr(異方性)および肌荒れとの関係を示すグラフである。

Claims (12)

  1. 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.3%以下、P:0.010%以上0.040%以下、S:0.01%以下、Cr:8%以上30%以下、Al:1.0%以下、Ti:0.05%以上0.5%以下およびN:0.04%以下を含有し、かつ8≦Ti/(C+N)≦30である組成の鋼板において、フェライト結晶粒度が6.0以上で、かつ鋼板中のTi系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]が0.05μm以上1.0μm以下であるTi添加フェライト系ステンレス鋼板。
  2. 前記鋼板に含有される全Tiの50%以上が、Ti系析出物として析出している請求項1に記載のTi添加フェライト系ステンレス鋼板。
  3. 前記鋼板に含有される全Pの50%以上が、Ti系析出物として析出している請求項2に記載のTi添加フェライト系ステンレス鋼板。
  4. 前記鋼板が熱延鋼板である請求項1〜3のいずれかに記載のTi添加フェライト系ステンレス鋼板。
  5. 前記鋼板が冷延鋼板である請求項1〜3のいずれかに記載のTi添加フェライト系ステンレス鋼板。
  6. 質量%で、C:0.01%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.3%以下、P:0.010%以上0.040%以下、S:0.01%以下、Cr:8%以上30%以下、Al:1.0%以下、Ti:0.05%以上0.5%以下およびN:0.04%以下を含有し、かつ8≦Ti/(C+N)≦30である鋼を、熱間圧延して熱延鋼板とし、該熱延鋼板に(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)±50℃)の温度で、Ti系析出物の平均粒径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]が0.05μm以上1.0μm以下で、かつフェライト結晶粒度が6.0以上となるように再結晶焼鈍するTi添加フェライト系熱延ステンレス鋼板の製造方法。
  7. 前記鋼板に含有される全Ti含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させる請求項6に記載のTi添加フェライト系熱延ステンレス鋼板の製造方法。
  8. 前記鋼板に含有される全P含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させる請求項7に記載のTi添加フェライト系熱延ステンレス鋼板の製造方法。
  9. 前記再結晶焼鈍した熱延ステンレス鋼板を冷間圧延した後、(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)+100℃)未満の温度で、Ti系析出物の平均径Dp[(Ti系析出物の長軸長さ+Ti系析出物の短軸長さ)/2]が0.05μm以上1.0μm以下で、かつフェライト結晶粒度が6.0以上となるように仕上げ焼鈍するTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法。
  10. 前記再結晶焼鈍した熱延ステンレス鋼板を冷間圧延した後、(Ti系析出物の析出ノーズ温度T(℃)+50℃)未満の温度で仕上げ焼鈍する請求項9に記載のTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法。
  11. 前記鋼板に含有される全Ti含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させる請求項9または10に記載のTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法。
  12. 前記鋼板に含有される全P含有量の50%以上を、Ti系析出物として析出させる請求項11に記載のTi添加フェライト系冷延ステンレス鋼板の製造方法。
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