JP2008260991A - 曲げ加工時に肌荒れの発生し難いフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents
曲げ加工時に肌荒れの発生し難いフェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】mass%で、C:0.001〜0.02%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下、Cr:20〜24%、Cu:0.3〜0.8%、Ni:0.5%以下、Ti:0.20〜0.5%、N:0.001〜0.02%をがん有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、フェライト粒の平均径が30μm以下であり、平均径が0.5〜2.0μmのTiCが析出していることを特徴とする曲げ加工時に肌荒れの発生し難いフェライト系ステンレス鋼板。
【選択図】なし
Description
C:0.001〜0.02%
Cは、加工性と耐食性を劣化させるので可能な限り少ない方が好ましいが、Tiと結合してTiCを形成し、曲げ加工時の加工硬化を促進するには、その量を0.001%以上にする必要がある。一方、その量が0.02%を超えると、他の析出物と複合して粗大化し、曲げ加工時の加工硬化の促進が期待できなくなる。よって、C量は0.001〜0.02%とする。
Siは、脱酸剤として有用な元素である。しかし、その量が0.05%未満では十分な脱酸効果が得られず、酸化物が多量に鋼中に分散し、曲げ加工性が劣化する。一方、その量が0.5%を超えると鋼が硬質化し、加工性の劣化を招く。よって、Si量は0.05〜0.5%とする。
Mn量が0.5%を超えると固溶硬化により加工性を損なう上に、MnSとして析出し耐食性を低下させる。よって、Mn量は0.5%以下とするが、少ない程好ましい。
P量が0.04%を超えると、Mn同様、固溶硬化により加工性を損なうとともに、結晶粒界に偏析して熱間加工性を劣化させる。よって、P量は0.04%以下とするが、少ない程好ましい。
S量が0.01%を超えると、ステンレス鋼の耐食性を低下させる。よって、S量は0.01%以下とするが、少ない程好ましい。
Alは、脱酸のために有用な元素であるが、その量が0.1%を超えると非金属介在物が増加し、曲げ加工性が劣化する。よって、Al量は0.1%以下とする。
Crは、フェライト系ステンレス鋼の耐食性を決める重要な元素であり、十分な耐食性を得るには、その量を20%以上にする必要がある。しかし、その量が24%を超えるとσ相が生成し易くなりプレス加工性が低下する。よって、Cr量は20〜24%とする。
Cuは、アノード反応による地鉄の溶解を低減する効果があり、特に耐隙間腐食性の向上に有用な元素である。それには、その量を0.3%以上にする必要がある。しかし、その量が0.8%を超えると熱間加工性が低下し、表面疵が発生し易くなる。よって、Cu量は0.3〜0.8%とする。
Niは、耐食性を向上させる効果があるが、その量が0.05%を超えると鋼が硬質化する。よって、Ni量は0.5%以下とする。
Tiは、本発明の主要な元素の一つであり、C、Nを固定してCr炭窒化物の析出による鋭敏化、すなわちCr炭窒化物が析出することでその周囲のCr濃度が減少して耐食性が低下し、腐食の起点となることを防ぐ効果がある。Tiを含む析出物としては、TiN、Ti4C2S2、TiC、TiSなどが知られているが、TiN、Ti4C2S2は粗大な析出物となり易く、TiC、TiSは微細な析出物となり易い。本発明では、ある大きさの範囲のTiCを分散析出させることで粒界移動を阻止し、フェライト粒を微細化している。また、曲げ加工を行うと、よりやわらかい部分や応力の集中する部分から変形が起こるが、TiCが分散析出している場合は、変形によりこれら析出物から生じた転位で加工硬化が起こり、周囲より硬くなる。したがって、変形の起こる個所がよりやわらかい部分へと順次移動していくため、座屈などの局所的な変形が起こらず、曲げ部分が均一に加工されるため、肌荒れが低減されることになる。こうしたTiの効果を得るには、その量を0.20%以上にする必要がある。一方、その量が0.5%を超えると粗大なTi4C2S2の析出が起こり易くなり、こうした効果が得られなくなる。よって、Ti量は0.20〜0.5%とする。
Nは、C同様、加工性と耐食性を劣化させるとともに、粗大なTiNを析出し、TiCの形成を阻害するため、その量を0.02%以下にする必要がある。一方、その量が0.001%未満になるとフェライト粒の増大を招く。よって、N量は0.001〜0.02%とする。
2-1)フェライト粒径(フェライト粒の平均径):30μm以下
上述したように、曲げ加工部の肌荒れはフェライト粒径と相関があり、フェライト粒が大きくなると肌荒れ深さが大きくなり、肌荒れが顕著になる。その理由については明らかになっていないが、次のように推測される。すなわち、曲げ加工を行った際、フェライト粒は引張応力を受けて、球形から扁平な楕円球形に変形する。その変形によって隣り合うフェライト粒の間に溝ができるため、肌荒れが発生する。一定量の曲げ加工を行った場合、楕円球形に変形したフェライト粒の長径と短径の比は、フェライト粒の大きさによらず一定である。肌荒れ深さは変形後の楕円球形の短径の大きさに比例し、変形後の楕円球形の短径の大きさは変形前のフェライト粒径に比例する。したがって、肌荒れの深さはフェライト粒径に依存し、フェライト粒径が大きいほど曲げ部の肌荒れ深さが大きくなる。特に、フェライト粒の平均径が30μmを超えると肌荒れ深さが大きくなり、目に見えて肌荒れが顕著になり、加工部材の外観を著しく損なうので、フェライト粒の平均径は30μm以下とする。
上述したように、ある大きさの範囲のTiCを分散析出させると、粒界移動を阻止してフェライト粒を微細化できるとともに、曲げ加工時にTiCから生じた転位により加工硬化を促進して均一に加工されるため、曲げ加工部の肌荒れが低減される。このような効果をもたせるには、TiCの大きさを0.5〜2.0μmとする必要がある。
3-1)熱間圧延時の粗圧延:少なくとも1パスの圧下率が40%以上
熱間圧延時の粗圧延において、少なくとも1パスの圧下率を40%以上とすると、多くの歪が導入され熱延鋼板のフェライト粒の微細化が図れ、その結果、後述する仕上温度や巻取温度による熱延鋼板のフェライト粒の微細化と前述したTiCの分散析出との相乗効果により冷間圧延-延焼鈍後のフェライト粒の平均径を30μm以下にできる。
770℃以下の低温で熱間圧延を終えることで圧延中の回復、再結晶が抑制され、より多くの歪を導入でき、上述したような相乗効果により冷間圧延-延焼鈍後のフェライト粒の平均径を30μm以下にできる。
巻取温度を450℃以下にすると、巻取り後の余熱によるフェライト粒の成長を抑制でき、上述したような相乗効果により冷間圧延-延焼鈍後のフェライト粒の平均径を30μm以下にできる。
肌荒れ深さ:曲げ部の断面を光学顕微鏡を用いて倍率25倍で観察し、凸部の頂点を結んだ直線から凹部へ引いた垂線のうち最も長い長さを肌荒れ深さとし、肌荒れ深さが30μm以下を肌荒れ良好(○)、30μm超えを肌荒れ不良(×)とした。
Claims (2)
- mass%で、C:0.001〜0.02%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.5%以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下、Cr:20〜24%、Cu:0.3〜0.8%、Ni:0.5%以下、Ti:0.20〜0.5%、N:0.001〜0.02%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、フェライト粒の平均径が30μm以下であり、平均径が0.5〜2.0μmのTiCが析出していることを特徴とする曲げ加工時に肌荒れの発生し難いフェライト系ステンレス鋼板。
- 請求項1に記載の成分組成を有する鋼を熱間圧延するとき、少なくとも1パスを40%以上の圧下率で粗圧延を行い、770℃以下の仕上温度で仕上圧延を行って熱延鋼板とし、前記熱延鋼板を450℃以下の巻取温度で巻取ることを特徴とする曲げ加工時に肌荒れの発生し難いフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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JP2015137375A (ja) * | 2014-01-21 | 2015-07-30 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス冷延鋼板およびその製造方法 |
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JP2004084067A (ja) * | 2002-06-17 | 2004-03-18 | Jfe Steel Kk | Ti添加フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
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