JP2004083962A - 銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】銅鉄混在スクラップから溶融工程を経て銅と鉄を分離、回収する方法において、該銅鉄混在スクラップを無酸素雰囲気中で溶融させる際に、Fe−P−Cu3元系溶融物を形成するとともに溶鉄相と溶銅相を分離させるに十分な量のリン(P)を溶融前及び/又は溶融中に添加することを特徴とする銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。さらに、炭素(C)を添加することにより溶融温度を低下させるとともに、溶鉄相中の銅の溶解度と溶銅相中の鉄の溶解度を減少させることができる。
【選択図】図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業機器、自動車等の輸送機器、家電製品、OA機器、電気機器等の鉄鋼、銅、銅合金等の金属製品やプラスチックス製品等からなる各種の製品をスクラップとして処理する際の主に銅と鉄が混在したスクラップ(以下「銅鉄混在スクラップ」という)から溶融工程を経て銅と鉄を効率よく簡単に分離、回収し、併せて各種の製品に用いられている少量の貴金属も銅とともに回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅鉄混在スクラップから銅を回収する方法としては、既存の銅製錬のプロセスを利用した電解法と、銅鉄混在スクラップを一旦溶融し、鉄を酸化することによりスラグとして銅と分離する酸化法がある。銅鉄混在スクラップには、通常、各種の製品に用いられている少量の金、銀、パラジウム、白金等の貴金属が随伴しており、貴金属は銅に含まれて分離される。
【0003】
銅鉄混在スクラップから鉄を回収して、鉄鋼原料として再利用しようとする方法が特開2000−144270号公報および特開2001−279339号公報に開示されている。これらの方法は、パラメータにより定まる所定量の炭素、さらに所定量の特定元素を添加して鉄スクラップを溶融してFe富化層とCu富化層に分離することにより鉄中の銅、錫等のいわゆるトランプエレメントと言われる不純物元素を除去するものであり、特に鉄中の銅含有量を3重量%以下にすることを目的としている。これらの公報には、リンの含まれるスクラップの実験例が記載されているが、リンの濃度は最大で0.04重量%程度であり、2液相分離は炭素の添加によるものであり、リンの添加により分離したものではない。
【0004】
本発明者は、先に、銅鉄混在スクラップを無酸素雰囲気中で溶融し、比重の大きい溶銅相と比重の小さい溶鉄相を分離する際に溶鉄相に炭素を2重量%以上溶解させることにより溶鉄相中の銅濃度、溶銅中の鉄濃度を低減できることを見出し、特許出願した(特開平11−293350号公報)。さらに、これを改良し、該鉄スクラップを鉛および炭素とともに溶融し、Fe−C−Pb3元系融液を溶鉄相と溶鉛相の2液相に分離させ、溶鉛相に溶鉄相より多くの銅を分配させることにより溶鉄相中の銅濃度を低減させる方法について特許出願した(特願2001−304335号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、銅鉄混在スクラップを溶融工程を経て容易に効率的に銅と鉄に分離、回収して銅を溶解原料として再利用できるようにする方法の提供、さらには、スクラップとして処理される各種の製品に用いられている少量の貴金属も銅とともに分離、回収できる方法の提供を目的とする。
【0006】
現在、銅鉄混在スクラップ中に占める銅の割合が重量比で50%程度以上の銅鉄混在スクラップは、銅製錬で再利用されているが、銅の割合が少ない低品位の銅鉄混在スクラップは製錬の効率を低下させるために廃棄されている。今後、自動車、家電、OA機器等のスクラップは、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却施設で処理され、焼却灰中の金属残渣等の銅の割合が少ない銅鉄混在スクラップが多量に発生すると考えられる。この低品位の銅鉄混在スクラップを、そのまま銅製錬や新規に開発されたプロセスで扱うためには効率が悪い。
したがって、銅の割合が高い高品位銅鉄混在スクラップのみならず、銅の割合が少ない銅鉄混在スクラップから銅の割合を高めて回収する技術の開発が求められている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、銅鉄混在スクラップをアルゴン気流中等の無酸素雰囲気中で単に溶融しても分離しないが、溶融物にリン(P)を一定量添加することにより溶銅相と溶鉄相を分離できることを見いだした。
さらに、炭素(C)をともに加えて溶融することにより、2液相への分離可能な温度範囲が低温側へ広がり、溶鉄中の銅の溶解度、溶銅相の鉄の溶解度が減少すること、すなわち、溶鉄中の銅の溶解度が減少することにより銅の鉄中へのロスが少なくなり、銅の回収率が増加し、また、溶銅相の鉄の溶解度が減少することにより、回収される銅の品位が高くなることを見出した。
【0008】
本発明は、これらの知見をもとに完成されたもので、下記のとおりのものである。
(1)銅鉄混在スクラップから溶融工程を経て銅と鉄を分離、回収する方法において、該銅鉄混在スクラップを無酸素雰囲気中で溶融させる際に、Fe−P−Cu3元系溶融物を形成するとともに溶鉄相と溶銅相を分離させるに十分な量のリン(P)を溶融前及び/又は溶融中に添加することを特徴とする銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
【0009】
(2)前記の十分な量は溶鉄相の全重量に対してリン(P)の濃度が3重量%〜22重量%となる量であることを特徴とする上記(1)の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
(3)溶鉄相中の銅の溶解量が1重量%以上であり、溶銅相中の鉄の溶解量が10重量%以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
【0010】
(4)さらに、炭素(C)を添加することにより溶融温度を低下させるとともに、溶鉄相中の銅の溶解度と溶銅相中の鉄の溶解度を減少させることを特徴とする上記(1)〜(3)の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
(5)炭素(C)の添加量が溶鉄相の全重量に対して1重量%〜5重量%であることを特徴とする上記(4)の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
【0011】
(6)銅鉄混在スクラップは、貴金属が用いられた製品を含むスクラップであり、該スクラップから貴金属を溶銅相に溶解させて銅とともに回収することを特徴とする上記(1)〜(5)の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、銅鉄混在スクラップは、銅と鉄との重量比は特に限定されない。ただし、図1に示すように、スクラップの銅品位が10重量%未満であると、銅回収率が目立って低くなり、一方、スクラップの銅品位が90重量%を超えると、回収した銅の品位が原料の品位に比べてさほど向上せずエネルギーの無駄遣いとなる。
【0013】
このような、銅鉄混在スクラップは、例えば、個人・家庭、法人・事業所から廃棄される機器、金属製品、自動車、産業用機械、船舶、冷凍空調、建設資材等に含まれる含銅鉄スクラップである。また、これら産業廃棄物や一般廃棄物を焼却施設で焼却した際に発生する焼却灰中の金属残渣である。
【0014】
また、銅鉄混在スクラップには、主として家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコン)、民生電子(テレビ、AV機器)、電気通信(パソコン、FAX、携帯電話)、ガス石油機器、自動車の端子や接点等のメッキや触媒として使用された貴金属が含まれている。これらの機器類が廃棄、焼却された場合、貴金属は他の金属と共に金属残渣として焼却灰中へ残る。ある民間企業の調査によれば、ごみ焼却灰の金属残渣1ton中には、最大値として Au 5〜20g/ton、Ag 50〜100g、Pt 10g、Pd 10g程度が含有されている場合があるとされている。
【0015】
銅鉄混在スクラップは、キューポラ、ア−ク電気炉、高周波加熱炉、炭材インジェクション+酸素ガスバーナーで溶解することができる。但し、ア−ク電気炉、高周波加熱炉、炭材インジェクション+酸素ガスバーナーの場合、融体が強く撹拌されることがあり、溶鉄相と溶銅相の2液相が混ざり易く、分離性が悪くなることがあるので、撹拌力の存在しないキューポラが望ましい。ただし、電気炉等でも溶解後、融体を静かに保持することで、分離性を確保することが可能である。
【0016】
銅鉄混在スクラップの溶解時には溶融物の酸化によるスラグを発生させないために無酸素雰囲気中で溶融することが望ましい。無酸素雰囲気を作るには、例えば、処理空間(炉内)にアルゴンガス等の不活性ガスや窒素ガスを流せばよい。
【0017】
そして、本発明においては、銅鉄混在スクラップを無酸素雰囲気中で溶融させる際に、Fe−P−Cu3元系溶融物を形成するとともに溶鉄相と溶銅相を分離させるに十分な量のリン(P)を溶融前及び/又は溶融中に添加する。これにより、炉等の溶融容器中で溶鉄相と溶銅相は分離して両者の比重の差により重力の作用で溶銅相が下部に溶鉄相が上部に分離される。リンは金属リン、リン化合物、鉄−リン合金等の形で添加できる。添加したリンは優先的に溶鉄相に溶け込み、溶銅相へはほとんど溶け込まない。
スクラップ中の銅含有量により、溶鉄と溶銅相の量は変るが、溶鉄相と溶銅相の組成は変化しない。組成は溶鉄中のリンと炭素濃度で規定される。
【0018】
溶鉄相と溶銅相を分離させるには溶鉄相の全重量に対してリン(P)の濃度を3重量%程度以上となるように添加する必要がある。リン(P)の添加量が2重量%程度では分離しない。Fe−P2元合金系には22重量%Pに融点1370℃のFe2P化合物があるので、リンの添加可能な上限はこの程度になる。1300℃で溶鉄相に対して27重量%Pを溶解させた場合、溶鉄相と溶銅相の分離は起きなかった。
【0019】
図2に、溶鉄相の全重量に対してリン(P)の濃度を10〜15重量%となるように添加した場合の溶鉄相中の銅濃度を示す。また、図3に、同様に、溶銅相中の鉄濃度を示す。本発明の方法によれば、溶銅相中の鉄の濃度を10重量%程度から2重量%程度に低減させることができ、高品位の銅として回収できる。
【0020】
さらに、炭素(C)を添加することにより溶融温度を低下させて溶銅相の鉄の溶解度を減少させることができる。炭素(C)の添加量は、溶鉄相の全重量に対して1〜5重量%程度が望ましい。炭素を同時に添加することは、溶鉄相の銅濃度を下げ、銅の回収率が増加する。また、溶銅相中の鉄濃度が下がり、回収される銅の品位が上がる。炭素濃度の増加に伴い、溶鉄相の銅濃度は低下し、溶銅相中の鉄濃度も下がる。なお、1673K以下の温度では、炭素は溶鉄相へ5重量%を超えては溶解しない。
【0021】
図4に、リン(P)の濃度を10重量%とした場合に、炭素(C)を2重量%(1100℃)または2.5重量%(1200℃)添加することにより溶融温度を低下させた場合の溶鉄相中の銅濃度の低下を示す。また、図5に、同様に。溶銅相中の鉄濃度の低下を示す。溶鉄中の銅は、温度1100℃で、リン単独:6.9重量%、リンと炭素複合添加:4.7重量%程度となる。
【0022】
溶融温度の下限は、リンの単独添加の場合1080℃、炭素とリンの複合添加の場合1070℃になる。これ以下の温度では2液相分離せず、固相が析出する。
溶融温度の上昇に伴い、溶鉄相への銅の溶解度が増加し、銅の回収率は低下するのであまり高温で溶融することは望ましくない。
【0023】
また、炭素だけを加えた場合とリンと炭素を複合添加する場合とを比較すると、同じ温度では、複合添加のほうが、銅の回収率は低くなる。しかしながら、複合添加は処理温度を炭素のみの場合に比べ、より低温で行なうことができ(炭素のみは1150℃以上、複合添加は1070℃以上で処理可)、その結果として、銅の回収率は炭素のみの添加と同等になる。
【0024】
実際のスクラップにはCr、Ni、Co、Sn、Zn、Pb、Al、Ti等の合金元素が含まれているが、炭素とリンの複合添加により溶解すると、スクラップ中のSn、Zn、Pbは溶銅相に、Cr、Ni、Coは溶鉄相に、Alは、溶銅相と溶鉄相に同程度に、Tiは溶鉄相に多く濃縮される。
【0025】
銅に多量の亜鉛や錫が溶解する場合は、銅の溶融温度が下がる。溶融温度1000℃で、溶銅相に亜鉛が25重量%溶解した場合は、溶鉄相中の銅濃度は1.5重量%、温度1100℃で、溶銅相に錫が20重量%溶解した場合は、溶鉄相中の銅濃度は2.8重量%程度になる。
【0026】
銅鉄混在スクラップに含まれている貴金属は、溶鉄相と溶銅相に溶解する。そして、銅−貴金属間、鉄−貴金属間の親和力と斥力の相対的関係により、貴金属は溶鉄相と溶銅相に分配される。AgはFeと斥力が強く溶銅相へ、Au、PdはCuとの親和力が大きいため、溶銅相へ多く分配される。一方、Pt、RhはFeとの親和力が大きいため、溶鉄相へ分配されるの。Rhの回収は困難であるがPtは約50%程度回収できる。金、銀ではほぼ100%、パラジウムでほぼ90%を凝固した銅中に回収できる。溶鉄相に入ったRhとPtを回収するためには、既存の方法である、酸溶液に溶解し水溶液電解により採取する方法等を用いる。
【0027】
溶鉄と溶銅の分離手法は適宜の手段を採用できるが、例えば、炉内、炉床に溜まった上下2液層に分離した融体から、上層の溶鉄を汲み出すか下相の溶銅を抜出すことにより溶鉄と溶銅とを分離することができる。上下2液層に分離した溶融物をそのまま冷却凝固させ、機械的に、上部の溶鉄相と下部の溶銅相を切断してもよい。
銅中の貴金属の分離回収は、現行の銅、鉛製錬で行われている水溶液電解の手法により、銅、およびそれぞれの貴金属を分離できる。
【0028】
回収した鉄相には銅が1重量%以上含まれる。鉄に銅が0.02重量%以上含まれると、圧延したとき割れてしまい市場価値はない。鋳物用の原料として使用は可能であるが、一般の鋼の材料には使用できない。一般の鋼の材料として再利用するには鉄相中の銅を低減させる処理が必要になる。
【0029】
【実施例】
以下の実験例1〜10、比較実験例1〜3では実際のスクラップにリンを添加する方法に代えて、純銅と溶鉄相に対するリンの添加量が所定の重量%となるようにFe−P合金を用いて実験した。また、実験例11では、焼却炉の金属残渣にFe−P合金を添加した。
【0030】
実験例1
金属銅25gとFe−10重量%P合金25g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加に相当)を内径15mm、深さ120mmのアルミナ坩堝に入れ、炉内に入れてアルゴン気流中で1100℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を上下方向に切断して肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。図6に、分離した状態を光学写真で示す。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、Pの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0031】
【表1】
【0032】
実験例2
金属銅3gとFe−4重量%P合金3g(溶鉄相に対して4重量%のリン添加に相当)を内径10mmの石英製坩堝に入れ、炉内に入れアルゴン気流中で1100℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出して水冷した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、Pの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0033】
実験例3
金属銅3gとFe−10重量%P合金3g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加に相当)を内径10mmの石英製坩堝に入れ、炉内に入れアルゴン気流中で1200℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出して水冷した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、Pの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0034】
実験例4
金属銅3gとFe−12重量%P合金3g(溶鉄相に対して12重量%のリン添加に相当)を内径10mmの石英製坩堝に入れ、炉内に入れアルゴン気流中で1200℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出して水冷した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、Pの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0035】
実験例5
金属銅3gとFe−14重量%P合金3g(溶鉄相に対して14重量%のリン添加に相当)を内径10mmの石英製坩堝に入れ、炉内に入れアルゴン気流中で1200℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出して水冷した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、Pの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0036】
実験例6
金属銅20gとFe−10重量%P−2重量%C合金20g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加、2重量%の炭素添加に相当)を内径20mm、深さ100mmの黒鉛坩堝に入れ、炉内に入れてアルゴン気流中で1100℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。図7に、分離した状態を光学写真で示す。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、P、Cの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0037】
実験例7
金属銅6gとFe−10重量%P−2重量%C合金6g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加、2重量%の炭素添加に相当)を内径10mm、深さ50mmの黒鉛坩堝に入れ、炉内に入れてアルゴン気流中で1200℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、P、Cの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0038】
実験例8
Cu−20重量%Zn合金6gとFe−10重量%P−2重量%C合金6g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加、2重量%の炭素添加に相当)を内径10mm、深さ50mmの黒鉛坩堝に入れ、炉内に入れアルゴン気流中で1000℃に1時間保持した後、試料を炉内より取り出して水冷した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、P、C、Znの組成、および下部のCu、Fe、P、Znの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0039】
実験例9
金属銅4.8g、金属錫1.2g、Fe−10重量%P−2重量%C合金6g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加、2重量%の炭素添加に相当)を内径10mm、深さ50mmの黒鉛坩堝に入れ、炉内でアルゴン気流中1100℃に1時間保持した後、試料を炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、P、C、Snの組成、および下部のCu、Fe、P、Snの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0040】
実験例10
金属銅6g、Fe−10重量%P−2重量%C合金6g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加、2重量%の炭素添加に相当)と金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、それぞれ0.06gを内径10mm、深さ50mmの黒鉛坩堝に入れ、炉内でアルゴン気流中1100℃に1時間保持した後、試料を炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、P、C、Au、Ag、Pd、Pt、Rhの組成、および下部のCu、Fe、Pの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0041】
実験例11
鉄50重量%−銅50重量%のシュレッダ−ダスト焼却炉の金属残渣10gにFe−25.6重量%P−2重量%C合金4.2g(溶鉄相に対して10重量%のリン添加、2重量%の炭素添加に相当)を内径10mm、深さ50mmの黒鉛坩堝に入れ、炉内でアルゴン気流中で1100℃に1時間保持した後、試料を炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離していた。上部の鉄相と下部の銅相の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、P、C、Zn、Sn、Ni、Co、Pbの組成、および下部のCu、Fe、P、Zn、Sn、Ni、Co、Pbの組成はそれぞれ表2に示すとおりであった。
【0042】
【表2】
【0043】
比較実験例1
銅50重量%−鉄50重量%の銅鉄スクラップ12g(リンを添加しない場合に相当)を内径22mm、深さ100mmのアルミナ坩堝に入れ、炉内でアルゴン気流中1480℃に1時間保持した後、試料を炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を肉眼観察したところ単一相で存在しており、銅と鉄の相には分離しなかった。なお、この単一相のCu、Feの分析値は表1に示すとおりであった。
【0044】
比較実験例2
金属銅3gとFe−2重量%P合金3g(溶鉄相に対して2重量%のリン添加に相当)を内径10mmの石英製坩堝に入れ、炉内に入れアルゴン気流中で1100℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出して水冷した。冷却後、試料を肉眼観察したところ固体の鉄相と溶銅相が互い懸垂しており、銅と鉄の相に上部と下部には分離しなかった。この混合相の分析値は表1に示すとおりであった。
【0045】
比較実験例3
金属銅3gとFe−26.5重量%P合金3g(溶鉄相に対して26.5重量%のリン添加に相当)を内径10mmの石英製坩堝に入れ、炉内に入れアルゴン気流中で1200℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出して水冷した。冷却後、試料を肉眼観察したところ単一相で存在しており、銅と鉄の相には分離しなかった。なお、この単一相のCu、Fe、Pの分析値は表1に示すとおりであった。
【0046】
比較実験例4
金属銅6gとFe−4.2重量%C合金6g(炭素のみを添加した場合に相当、溶鉄相に対して4.2重量%の炭素添加)を内径10mmの黒鉛坩堝に入れ、炉内、アルゴン気流中で1180℃に1時間保持した後、試料を坩堝ごと炉内より取り出してアルゴン気流中で冷却した。冷却後、試料を肉眼観察したところ上部と下部に分離しており、上部と下部の化学分析を行ったところ、上部のCu、Fe、Cの組成、および下部のCu、Feの組成はそれぞれ表1に示すとおりであった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、銅、さらには貴金属を混在する銅鉄混在スクラップから銅、鉄、さらには貴金属を単純な乾式法で副産物の生成も無く、純度の高い金属として分離、回収できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、銅回収率と銅鉄混在スクラップの銅含有率(重量%)の関係を示すグラフである。
【図2】図2は、溶鉄相の全重量に対してリン(P)の濃度を10〜15重量%となるように添加した場合の溶鉄相中の銅濃度を示すグラフである。また、図3に、同様に、溶銅相中の鉄濃度を示す。
【図3】図3は、溶鉄相の全重量に対してリン(P)の濃度を10〜15重量%となるように添加した場合の溶銅相中の鉄濃度を示すグラフである。
【図4】図4は、リン(P)の濃度を10重量%とした場合に、炭素(C)を添加することにより溶融温度を低下させた場合の溶鉄相中の銅濃度の低下を示すグラフである。
【図5】図5は、リン(P)の濃度を10重量%とした場合に、炭素(C)を添加することにより溶融温度を低下させた場合の溶銅相中の鉄濃度の低下を示すグラフである。
【図6】図6は、実験例1で溶融凝固した試料を上下方向に切断した状態を示す図面代用光学写真である。
【図7】図7は、実験例6で溶融凝固した試料を上下方向に切断した状態を示す図面代用光学写真である。
Claims (6)
- 銅鉄混在スクラップから溶融工程を経て銅と鉄を分離、回収する方法において、該銅鉄混在スクラップを無酸素雰囲気中で溶融させる際に、Fe−P−Cu3元系溶融物を形成するとともに溶鉄相と溶銅相を分離させるに十分な量のリン(P)を溶融前及び/又は溶融中に添加することを特徴とする銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
- 前記の十分な量は溶鉄相の全重量に対してリン(P)の濃度が3重量%〜22重量%となる量であることを特徴とする請求項1記載の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
- 溶鉄相中の銅の溶解量が1重量%以上であり、溶銅相中の鉄の溶解量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
- さらに、炭素(C)を添加することにより溶融温度を低下させるとともに、溶鉄相中の銅の溶解度と溶銅相中の鉄の溶解度を減少させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
- 炭素(C)の添加量が溶鉄相の全重量に対して1重量%〜5重量%であることを特徴とする請求項4記載の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
- 銅鉄混在スクラップは、貴金属が用いられた製品を含むスクラップであり、該スクラップから貴金属を溶銅相に溶解させて銅とともに回収することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の銅鉄混在スクラップからの銅と鉄の分離、回収方法。
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