JP4264519B2 - 金属の不純物低減方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金属の不純物低減方法、特にあらかじめ粗精製されたインジウム(Inと表すことがある。)、ガリウム(Gaと表すことがある。)、錫(Snと表すことがある。)などの低融点金属の原料金属の精製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低融点金属の1種であるインジウムは亜鉛精鉱中に微量含有されて産出し、亜鉛製錬の中間工程で濃縮され回収される。このインジウムに関し特開平11−269570号公報では効率良く回収する方法が開示されており、この回収されたインジウムは更に電解精製または減圧精製などによって高純度化されるものである。また、特開2002−212647号公報では純度99.9999質量%(単に%という。)以上のインジウムの高純度化および高生産性に関する精製技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−269570号公報
【特許文献2】
特開2002−212647号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来の精製方法は高純度化、高生産性という優れた特徴を有するが、その一方で精製装置が複雑で熱エネルギーを多量に消費するものであって、純度99.99%(4Nという。)のインジウムを得る製錬コストと同等以上のコストを要するという問題があった。
したがって本発明はこの問題を解決し、インジウム等の低融点金属を経済的に高純度化する方法を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、主成分がインジウム、ガリウムまたは錫のいずれか1種の金属の原料金属を溶融し、その一部を酸化させることにより原料金属中に混在する不純物元素を酸化した上記金属側(ドロスという。)に濃縮することで簡単に高純度化できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は第1に、主成分がインジウム、ガリウムまたは錫のいずれか1種の金属である原料金属を溶融し、酸化剤を添加することによりドロスを発生させて該原料金属中に含有される不純物を該ドロスに包含させ、次いで該ドロスを分離し、該分離されたドロスにNaOH、KOHなどのアルカリを添加し溶融処理することによって該アルカリと酸化物を含有するスラグの上層と前記の酸化されていない金属の下層とに分離することを特徴とする金属の不純物低減方法である。ここで原料金属は純度が99%(2Nという。)以上のものが好ましく、酸化剤の添加は金属溶湯の撹拌、空気もしくは酸素ガスの吹込み、または金属溶湯の循環などの操作によって行われる。また本発明は第2に、前記ドロスの発生量が重量比で前記原料金属量の5%以上である第1記載の金属の不純物低減方法である。この際、好ましくは金属溶湯がドロスと接触している時間を10分間以上に設定する。なお添加するアルカリ量は重量比でドロス量の1%以上で効果が生じ、ここで分離され、回収された金属は原料金属として繰り返すことにより効率よく原料金属を精製することができる。またこの場合アルカリの接触面積を増やすためにアルカリが溶融する温度(NaOHの場合は350℃)以上とすることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
前記のとおり、本発明の対象となる原料金属は融点が500℃以下の低融点金属が好ましく、特にインジウム、ガリウム、錫のいずれか1種が主成分であるものが好ましい。なお、亜鉛など蒸気圧の高い金属は他の方法によって高純度化が可能である。以下、インジウムを原料金属として説明する。
本発明の金属の高純度化方法は、クルードと呼ばれる粗精製された金属を出発原料として採用し、純度4Nの両性金属に適用する場合について説明する。なお、本発明によるインジウムにおける精製方法の工程を図1に示す。
【0008】
4Nの原料金属インジウムをその融点の156℃以上で溶融すると、大気中で行うことで該原料金属が一部酸化され、該原料金属のインジウムからの溶融物であるメタルとは形態の異なるスポンジ状で酸化物を含有しているドロスが生成する。このドロスには、原料金属のインジウムの酸化物、原料金属インジウムに含まれていた不純物の酸化物、インジウムと不純物の化合物の酸化物、または原料金属の酸化物に囲まれまたは付着による不純物元素などが雑多に包含されている。すなわち、このドロスの生成は、不純物を酸化物とすることの他、金属またはその他化合物としてドロス中に包含させることにある。ドロスを発生させるには酸化剤を添加、投入する。酸化剤としては酸素ガス、酸素含有ガス、大気などがあり、220℃以上で金属溶湯を撹拌すると空気(酸素)吹込みが効果的である。ドロスとメタルの重量比は5%以上で効果があり50%のドロスを発生させるとニッケル(Niと表すことがある。)、鉄(Feと表すことがある。)、亜鉛(Znと表すことがある。)などの不純物元素はほとんど原料金属インジウム中から除去される。
【0009】
ドロスは比重が小さいため軽く溶解ルツボ中においてメタルの上に浮くので、メタルとドロスの分離はメタルを底抜きする、又はドロスを上から掬い取ることによって達成される。すなわち、メタルはこの単純な操作によって純度99.9%(3Nという。)〜4Nから純度99.9999%(6Nという。)に高純度化される。
一方、除去されたドロスも3N程度の純度のインジウム金属であり一部の不純物と酸化インジウムによりスポンジ状になっているだけであり、メタルの取出しは可能である。このドロス化により不純物はドロス側に移行して、ドロスに包含され、再度インジウムメタル中に再溶解することがなく、不純物分離と再溶解防止が可能となった。
【0010】
インジウム金属は酸に溶解しアルカリに難溶性であるが、酸化インジウムは酸にもアルカリにも溶解する。この作用を利用することによりNaOH、KOHなどのアルカリを加えるとインジウムは酸化物がアルカリに取込まれ、インジウム金属はその自重で下に溜まり完全に分離する。この時のメタル純度は6Nには至らず、Fe、Niなどの不純物が再度混入し4N程度となる。上部に浮いたドロスは灰色のスポンジ滓でNaOHとNi、Fe、Zn等の不純物金属とインジウムとが酸化したものを含有するが、主成分は金属インジウムであるのでここから更に金属インジウムを回収する工程がある。すなわち、分離されたドロスにNaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)などのアルカリを添加し溶融処理することによってアルカリと酸化物を含有するスラグの上層と酸化されていない金属の下層に分離し回収する。メタルとドロスの分離はメタルを底抜きする、又はドロスを上から掬い取ることによって達成される。溶融処理は、対象となる原料金属の溶融点以上の温度で行うのが望ましい。これは金属は溶融したほうがスラグとの分離性がよいからである。
【0011】
このスラグは水洗することにより水溶性のものと不溶性のものに分離するので主としてNaOH除去を目的とするものであって、水洗撹拌時間を30分以上にすると酸化したインジウムが再びNaOHによって還元されて金属のインジウムとなり、溶解残渣中に移行する。ここで、水洗水量としてはスラグ体積に対し2倍以上の水洗水が必要であり、pH9以下になるようにアルカリ濃度10g/リットル以下が好ましい。
Fe、Niなどの不純物元素については水洗後も酸化物の形態であるがアルカリ中には溶解しないのでインジウム金属との混合物になる。よってこれをドロスフラックス処理に戻して再び加熱溶融することでインジウムを回収することができる。
上記はインジウムの場合について説明したが、同様なことがガリウム、錫においても可能である。
【0012】
【実施例】
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に示すが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0013】
[実施例] 図1に示す精製工程において2000gのインジウム原料金属をカーボン坩堝に仕込み、抵抗加熱炉で250℃に加熱してインジウムを溶融した。このインジウム原料の組成は誘導結合高周波プラズマ発光分析(ICPという。)、原子吸光分析(AASという。)により分析したところ表1に示すように99.95%のインジウム純度であった。
溶融時にドロスは約2%発生したが直ちには分離はせず、撹拌と空気を導入する酸化を30分間継続しドロスを20%発生させてからこれを分離した。分離したドロスは400g、メタルは1600gであった。このドロスおよびインジウムメタルの組成をICP、AASにより分析したところ、表1に示すようにインジウムメタルの純度は99.9999%(6N)であり、ドロスのインジウムは99%(2N)であった。
【0014】
【表1】
【0015】
前記ドロス400gを再びカーボン坩堝に仕込み溶融し300℃となったところで粒状のNaOHを50g投入し30分間撹拌した。温度が反応熱等により350℃まで上昇し、またドロスが酸化物(スラグ)の層と溶融した第2のメタルの層とに分離した。分離した酸化物は210g、第2のメタルは240gであった。この酸化物及び第2のメタルの組成をICP、AASにより分析したところ、表1に示すようにインジウムメタルの純度は99.999%(5Nという。)であり、酸化物はインジウム純度が85.8%であった。
この酸化物の残渣210gを粒状に粗砕きされた状態で水1リットル中に投入しリパルプ撹拌を30分間行った。温度は50℃、pHは13であった。処理後にアルカリ中に溶解せずに残った固形物を濾別、乾燥した。残渣量は158gであった。濾液、残渣を各々ICP、AASにより分析した結果を表1に示す。濾液中にはZnなどの不純物が一部洗浄液中に溶解し、またNaは殆どが溶解した。残渣のインジウム純度は98%であった。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、純度が4N以下のインジウム金属を蒸留精製や電解精製を要せずに、簡易に効率よく99.999%(5N)〜99.9999%(6N)に高純度化することができ、更に酸化によって生じたドロスから効率よくインジウム金属を回収しロスなく低コストで高純度化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるインジウムの精製方法の工程図
Claims (2)
- 主成分がインジウム、ガリウムまたは錫のいずれか1種の金属である原料金属を溶融し、酸化剤を添加することによりドロスを発生させて該原料金属中に含有される不純物を該ドロスに包含させ、次いで該ドロスを分離し、該分離されたドロスにアルカリを添加し溶融処理することによって該アルカリと酸化物を含有するスラグの層と前記金属の層とに分離することを特徴とする金属の不純物低減方法。
- 前記ドロスの発生量が重量比で前記原料金属量の5%以上である、請求項1記載の金属の不純物低減方法。
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