JP2004083705A - 不飽和ポリエステル樹脂製波・平板 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂製波・平板 Download PDF

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Sachiko Fujita
藤田 幸子
Hideji Tonotani
殿谷 秀二
Chieko Urao
浦尾 千恵子
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Abstract

【課題】耐候性、特に光沢保持性に優れ、且つFRP製波・平板を製造した場合、透明性の優れたFRP波・平板用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)屈折率が1.528〜1.54である不飽和ポリエステルと(B)重合性不飽和単量体とを含有してなる組成物であって、該組成物の、厚さ3mmを有する硬化物が、60%以上の光沢保持率、20以下の色差を有することを特徴とするFRP波・平板用樹脂組成物に関する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性、特に光沢保持が良好な上、透明性に優れるガラス繊維強化波・平板用不飽和ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維から製造される波・平板状ガラス繊維強化樹脂成形物(FRP)は、ガラス製品に比べ軽く、耐衝撃性に優れており、その製造が迅速に行いうること、廉価であるなどの種々の利点を有しているため、建築材料、例えば工場の採光窓、農業用ハウスの展張材などに幅広く利用されている。
【0003】
しかし、一般に不飽和ポリエステル樹脂硬化物の屋外使用に関しては、耐候性が著しく劣る点が問題になっている。
【0004】
このような不飽和ポリエステル樹脂硬化物の欠点を改良する方法が、これまで種々検討されてきた。例えば、不飽和ポリエステル樹脂に紫外線吸収剤を添加する方法が提案されているが、この方法によって製造されたFRP板は耐候性が改良されるものの紫外線を透過せず、特に紫外線透過を必要とする農業用、サニタリー用展張材としては適さないものである。また、特開平2−281019号公報には、不飽和ポリエステル樹脂の酸成分を無水マレイン酸および/またはフマル酸、およびヘキサヒドロ無水フタル酸および/またはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸に限定し、重縮合物50〜80重量部と芳香族ビニルモノマー20〜50重量部の樹脂組成物を用いたFRP製波・平板の耐候性、紫外線透過性と、ガラス繊維を強化材として使用した場合の透明性を改良したものが記載されている。
【0005】
しかし、該樹脂組成物では、ガラス目が出てしまい透明性は不十分である。また樹脂組成物として主にアクリル(メタクリル)系樹脂を用いる方法も提案されているが、該樹脂を用いた場合、不飽和ポリエステル樹脂を用いた場合に比べ紫外線透過性および耐候性は改良されるものの、硬化時間が長く、工業化に際して生産性が大幅に低下するという問題点が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐候性、特に光沢保持性に優れ、且つFRP製波・平板を製造した場合、透明性の優れたFRP波・平板用樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、不飽和ポリエステル樹脂組成物について鋭意研究した結果、耐候性、光沢保持性および耐変色性に優れ、かつ上記FRP製波・平板を製造した場合、透明性の優れたFRP板を提供することのできるFRP波・平板用樹脂組成物を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、(A)屈折率が1.528〜1.54である不飽和ポリエステルと(B)重合性不飽和単量体とを含有してなる組成物であって、該組成物の、厚み3mmの硬化物の光沢保持率が60%以上、色差が20以下であることを特徴とするFRP波・平板用樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、(A)屈折率が1.528〜1.54である不飽和ポリエステルと(B)重合性不飽和単量体とを含有し、その重量比が(A)/(B)=50/50〜95/5である組成物であって、厚さ3mmの硬化物に関してはサンシャイン・ウエザォメーターの耐候性試験2000時間後の光沢保持率が60%以上、好ましくは70%以上、色差(ΔE)が20以下好ましくは16以下のものである。
【0010】
本発明に用いられる不飽和ポリエステルは、不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物および/または芳香族ジカルボン酸および/またはその酸無水物、および/または脂肪族ジカルボン酸および/またはその酸無水物、および/または脂環式脂肪族ジカルボン酸および/またはその酸無水物、および/または脂肪族カルボン酸、および/または芳香族カルボン酸を含む酸成分と、多価アルコールとを公知の方法で反応させて得られる不飽和ポリエステルである。またこのポリエステルの末端に例えば不飽和エポキシ化合物や不飽和イソシアネート化合物を付加させた不飽和ポリエステルアクリレートでも良い。更にジシクロペンタジエンで末端を封止しても良い。本発明に用いられる不飽和ポリエステルを得るために、縮合反応させる酸成分とアルコールを以下に例示するが、これに限定されものではない。
【0011】
不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸などのα,β−不飽和二塩基酸やジヒドロムコン酸等のβ,γ−不飽和二塩基酸が用いられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でもマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸は容易に入手できることから好適に用いられる。芳香族ジカルボン酸および/またはその酸無水物としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸およびこれらのハロゲン化物またはこれらのエステル誘導体も挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。脂肪族ジカルボン酸および/またはその酸無水物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、ドデカン二酸およびこれらのハロゲン化物、これらのエステル誘導体などが挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。脂環式脂肪族ジカルボン酸および/またはその酸無水物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸およびこれらのハロゲン化物、これらのエステル誘導体等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。脂肪族カルボン酸としては、シクロヘキサンカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられ、これらは2種以上を併用しても良い。芳香族カルボン酸としては、安息香酸などが挙げられ、これらは2種以上併用しても良い。酸成分はこれらの中から適宜選択されるが、樹脂溶液の屈折率を1.528〜1.54の範囲の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得るためには、芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸やその無水物などを使用するのが好ましい。
【0012】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、4,5−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドもしくはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドもしくはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物、水素化ビスフェノールF、水素化ビスフェノ−ルFのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドもしくはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物、ビスフェノ−ルFのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドもしくはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物、エチレングリコ−ルカ−ボネ−ト等の二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコール、ペンタエリスリトール等の四価アルコールなどが用いられる。これらは2種以上を併用してもよく適宜選択され、用いられる。また、1,3−プロパンジオールや2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の、高分子になったとき主鎖の炭素数が奇数で、且つ低融点のアルコールを用いると、重合性不飽和単量体の含有量を低減でき、且つ得られる組成物の粘度を低くできる。即ち、樹脂の粘度を低く保つために、好ましくは主鎖が奇数の炭素数のアルコールが用いられる。尚、不飽和ポリエステルの末端封鎖のために、ベンジルアルコールや2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール等の一価アルコールも使用可能である。
【0013】
酸成分と多価アルコールの反応は、公知の方法で主に縮合反応により行われ、両成分が反応する際に生ずる水等の低分子を系外へ脱離して進行させる。また、末端にカルボキシル基を有する段階で不飽和エポキシ化合物と反応させても良いし 末端に水酸基を有する段階でイソシアネート基を有する不飽和化合物または不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させても良い。更に先にジシクロペンタジエンと無水マレイン酸、アルコール又は水を通常のエステル化反応条件で反応させて、さらに必要に応じて脂肪族飽和一又は二塩基酸および/またはその酸無水物、不飽和二塩基酸および/またはその酸無水物、芳香族ジカルボン酸および/またはその酸無水物を加えて公知の方法で縮合反応を行っても良い。
【0014】
上記不飽和ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基に、メタクリル酸グリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物を付加させても良く、第4級アンモニウム塩、金属セッケン、各種アミン類等を触媒として、60〜200℃で0.5〜4時間反応させることにより行うことができる。付加反応には、不飽和ポリエステルを重合性不飽和単量体に溶解した後、不飽和エポキシ化合物を付加させる方法と、不飽和ポリエステルに直接不飽和エポキシ化合物を付加させる方法があるが、どちらの方法を採用してもよい。
【0015】
上記不飽和ポリエステル樹脂の末端水酸基にイソシアネート基を有する不飽和化合物を付加させても良く、必要に応じて反応触媒を添加して、60〜200℃で0.5〜8時間反応させることにより行うことができる。付加反応は、不飽和ポリエステルにジイソシアネートを付加させて水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を反応させる方法、ジイソシアネートと水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の付加物を不飽和ポリエステルに付加させる方法、イソシアネートを有するエチレン性不飽和単量体を不飽和ポリエステルに付加させる方法、不飽和ポリエステルに不飽和イソシアネート化合物を付加させる方法等が挙げられるが、いずれの方法を採用してもよい。
【0016】
イソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては 例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。不飽和イソシアネート化合物としてはイソプロペニルジメチルベンジルイソシアネート、カレンズMOI(昭和電工(株)製)等が挙げられる。
【0017】
末端水酸基に(メタ)アクリル酸またはジ(メタ)アクリル酸無水物等の不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させる方法には特に制限はないが、公知のエステル化および/またはエステル交換触媒を用いて、60〜200℃で0.5〜4時間反応させることにより行うことができる。反応は減圧で行っても良い。反応には、不飽和ポリエステルを重合性不飽和単量体に溶解した後、不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させる方法と、不飽和ポリエステルに直接不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させる方法があるが、どちらの方法を採用してもよい。
【0018】
また、本発明の樹脂組成物で用いられる不飽和ポリエステル樹脂の屈折率測定法に関しては、光屈折臨界角検出方法を用い、屈折計を用いて25℃の樹脂溶液の屈折率を測定する。
【0019】
本発明の樹脂組成物に用いられる不飽和ポリエステル樹脂の屈折率に関しては、1.528〜1.54の範囲に調整されたものであり、特に1.53〜1.535のものが好ましい。かかる範囲の不飽和ポリエステル樹脂を用いることで波・平板に使用するEガラスとの屈折率があった不飽和ポリエステル樹脂硬化物になるため、透明性に優れた波・平板になる樹脂組成物を得ることができる。
【0020】
重合性不飽和単量体(B)としては、分子内に1個以上の重合性二重結合を有する、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン誘導体、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸ジプロピル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸ジプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノオクチル、フマル酸ジオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸ジプロピル等のα,β−不飽和多塩基酸アルキルエステル、ジアリルフタレートなどが用いられる。これらは2種以上を併用してもよい。また、アクリル系単量体も用いることができ、具体的に例示すれば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、メタクリル酸等のメタクリル酸及びそのエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウレル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリルレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、アクリル酸等のアクリル酸及びそのエステル類、(メタ)アクリルアミド等、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを単独又は2種以上を併用して用いてもよい。
【0021】
また、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、シペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル変性エポキシオリゴマー、エポキシ変性アクリルウレタンオリゴマー、(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
【0022】
本発明の樹脂組成物に対する重合性不飽和単量体の配合量は、不飽和ポリエステル/重合性不飽和単量体の重量比が50/50〜95/5、好ましくは55/45〜70/30となる量である。重合性不飽和単量体の量が上記の範囲であれば、硬化物の光沢保持率に良い影響を与える。
【0023】
本発明の樹脂組成物の硬化物に於ける光沢保持率および色差に関しては、ISO基準に基づいたサンシャシン・ウエザオメーターによる耐候性試験2000時間後に測定した値である。
【0024】
耐候性試験に関しては、不飽和ポリエステル樹脂組成物に55%メチルエチルケトンパーオキサイド1.0%、6%ナフテン酸コバルト0.1%を添加して攪拌、脱泡し、離型剤を塗布し、厚みを3mmに調整するスペーサーを有しシーリーングしたガラス板に樹脂を注ぎ、その後常温で24時間放置後、120℃で120分更に硬化させ、厚み約3mmの注型板を得、さらに注型板から75mm×70mmの耐候性試験片を切り出し、ISO基準に基づいたサンシャインウエザオメーターを用いて促進耐候試験を行う。
【0025】
光沢保持率の測定に関しては、耐候性試験後の試験片をJIS Z 8741−1997に基づく方法で鏡面光沢度を入射角は60度で測定する。光沢保持率は以下の式により求める。
光沢保持率=耐候試験後の鏡面光沢度/耐候試験前の鏡面光沢度×100
上記光沢保持率は、値が大きいほど光沢が低下しにくいことを示している。
【0026】
色差の測定に関しては、JIS Z 8730−1995で規定されている表示法を用いる。耐候性試験後の試験片の色をJIS Z 8722に規定されている方法で測定し L表色系による色差を 次式(1)により計算する。
ΔE ab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2  …… (1)
ここにΔE ab:L表色系による色差。
ΔL,Δa,Δb:JIS Z 8279に規定するL表色系における二つの物色体のCIE1976明度Lの差及び色座標a,bの差。
【0027】
ΔE abを 略してΔEと表示する。本報で用いた試験片は、透明色なので、測定面の反対側に光を透過しない白色板をつけて測定する。このような測定の場合、色は膜厚に大きく依存するため、3mm以外の試験片を比較する場合、Lambertの法則により膜厚補正行うことが必要である。なおΔE値は高いほど 黄変など変色が激しいことを示している。
【0028】
本発明の不飽和ポリエステル及び重合性不飽和単量体とを主成分として含有してなる組成物は、その厚み3mmの硬化物の光沢保持率(ISO基準に基づいたサンシャシン・ウエザオメーターによる耐候性試験2000時間後の光沢保持率)が60%以上、好ましくは70%以上で、色差(ΔE)が20以下、好ましくは16以下のものである。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、重合禁止剤、硬化促進剤、硬化剤、補強材、難燃剤、染料、顔料、可塑剤、安定剤、消泡剤、レベリング剤等の各種添加剤、ポリメチルメタクリレート等の可塑ポリマー、マクロモノマーAA−6(東亞合成化学(株))を、本発明の目的を達成する範囲内で用いることができる。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系化合物等が挙げられ、紫外線安定剤としては、例えばヒンダートアミン系等が挙げられる。これらの形は問わず、重合可能な反応性やエステル化反応可能な反応性を有していても良く、適宜選択され使用される。
【0031】
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ピロカテコール、2,6−t−ブチルパラクレゾール等が挙げられ、硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト等の金属セッケン類、ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、アセチルアセトン等のβジケトン、ジメチルアニリン、N−エチル−メタトルイジン、トリエタノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0032】
硬化剤としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、ビス−4−t−ブチルシクロヘキサンジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の各種有機過酸化物が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
【0033】
補強材としては、例えばガラス繊維(チョップドストランドマット、ガラスロービングクロス等)、炭素繊維、有機繊維(ビニロン、ポリエステル、フェノール等)、金属繊維等が挙げられ、好ましくは10〜70重量%を併用することでFRPとして用いることができる。
【0034】
本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物は、FRP波・平板として有用である。これらの成形法については、連続成形の常温硬化、加熱硬化など種々の方法を採用することができるが、成形法、硬化条件には特に制限はない。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また文章中「部」とあるのは、重量部を示すものである。
【0036】
(実施例1) 不飽和ポリエステル組成物の製造
温度計、攪拌器、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた2Lの4つ口フラスコに2−メチル−1,3−プロパンジオール432部、イソフタル酸265.6部、無水マレイン酸156.8部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら205℃まで昇温し、14時間反応後、スチレンモノマー597部、ハイドロキノン0.13部を加え、不揮発分60%、酸価12の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。かかる組成物は、下記試験により樹脂屈折率が1.537,光沢保持率が87%、ΔEが12.5であった。
【0037】
(実施例2) 不飽和ポリエステル組成物の製造
実施例1と同様にして2Lフラスコに2−メチル−1,3−プロパンジオール432部、テレフタル酸265.6部、無水マレイン酸156.8部を仕込み、210℃まで昇温し、エステル化反応を行い、16時間反応後、スチレンモノマー597部、ハイドロキノン0.13部を加え、不揮発分60%、酸価16の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。かかる組成物は、下記試験により樹脂の屈折率が1.534,光沢保持率が77%、ΔEが13.4であった。
【0038】
(実施例3) 不飽和ポリエステル組成物の製造
実施例1の不飽和ポリエステル樹脂100部にメチルメタクリレート5部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のチヌビン400を0.5部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のチヌビン123を0.4部、旭電化工業(株)のLA−82を0.1部加え不飽和ポリエステル樹脂組成物とした。かかる組成物は、下記試験により樹脂屈折率が1.530,光沢保持率が93%、ΔEが9.9であった。
【0039】
(比較例1) 不飽和ポリエステルの製造
実施例1と同様にしてネオペンチルグリコール416部、プロピレングリコール152部、ヘキサヒドロフタル酸無水物308部、無水マレイン酸392部を仕込み、210℃まで昇温し、エステル化反応を行い、14時間反応後、スチレンモノマー749部、ハイドロキノン0.14部を加え、不揮発分60%、酸価5の不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。かかる組成物は、下記試験により樹脂屈折率が1.521,光沢保持率(耐候性試験1500時間)が40%、ΔEは表面が白化し,測定しても色差を正確に表さないので,未測定であった。
【0040】
(試験例)
上記不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて下記の試験を行った。その結果を表1にまとめる。
【0041】
(樹脂液の屈折率の測定)
上記不飽和ポリエステル樹脂の25℃の屈折率を京都電子工業(株)の屈折計RA−500を使用して測定した。その結果を表1にまとめる。
【0042】
(サンシャイン・ウエザォメーターによる耐候性試験)
1)試験板の作製
実施例、比較例で得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物に55%メチルエチルケトンパーオキサイド1.0%、6%ナフテン酸コバルト0.1%を添加して攪拌、脱泡し、離型剤(フリコートFRP、F−REKOTE社)を塗布し、厚みを調整するスペーサーを有しシーリーングしたガラス板に樹脂を注ぎ、その後常温で24時間放置後、120℃で120分更に硬化させ、厚み約3mmの注型板を得た。
【0043】
2)耐候性試験
方法1)で得た試験板から75mm×70mmの試験片を切り出し、耐候試験片を作製した。耐候試験法としては、サンシャインウエザオメ−タ−(スガ試験機(株)製WEL−SUN−HCH−B型)を用いて促進耐候試験を行った。試験条件は温度 63±3℃ で、1サイクル120分中18分間を降雨時間として2000時間試験を行った。
なお、試験片は250時間毎にチェックして光沢低下が著しいものに関しては試験を中止した。
【0044】
3)耐候性の評価
試験後の試験片の光沢と色差を測定した。測定機器は、光沢計は(株)村上色彩技術研究所製 GM26D型を使用した。測定角は、60度で行った。なお、光沢保持率は光沢保持率=試験後の鏡面光沢度/試験前の鏡面光沢度×100により求めた。保持率が高いほど光沢が低下しにくいことを示している。色差は日本電色工業(株)Z1001DPを用いて投光パイプ、試料台30φで測定し,ΔE値を色差に用いた。値が高いほど黄変が激しいことを示している。
【0045】
【表1】
Figure 2004083705
【0046】
またFRP平板での耐候性を確認するために,以下に示す方法でFRP平板を制作した。
実施例1、2と比較例1の不飽和ポリエステル樹脂にパーカドックス16(化薬アクゾ(株)製)を1部加え、ガラスマットを用い、ガラス繊維含有率が23%になるように調整して3mmの厚みの積層板を作成し、100℃で1時間加熱した。このFRP平板の外観、特に透明性を目視で評価した。更にこの試験板から50mm×70mmの試験片を切り出し、耐候試験片を作製した。耐候試験法としては、上記と同様にサンシャインウエザオメーター(スガ試験機(株)製WEL−SUN−HCH−B型)を用いた。試験条件は温度 63±3℃ で、1サイクル120分中18分間を降雨時間として2000時間試験を行った。
なお、試験250時間毎に目視で確認し、光沢が著しく低下した場合は試験を中止した。試験結果を表2に示す。
【0047】
(耐候性評価)
評価については,表面の光沢と色差を上記と同様に測定した。
【0048】
【表2】
Figure 2004083705
FRP平板の透明性評価基準
○:ガラス繊維が見えず、透明性良好
△:ガラス繊維が少し見え、透明性劣る
×:ガラス繊維が見えて、透明性無し
【0049】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、硬化物の光沢保持と色差に優れる不飽和ポリエステル樹脂を用いて形成されるFRP波・平板用樹脂組成物で,光沢保持と変色を含めた耐候性に優れたFRP波・平板を提供することができる。

Claims (1)

  1. (A)屈折率が1.528〜1.54である不飽和ポリエステルと(B)重合性不飽和単量体とを含有してなる組成物であって、該組成物の、厚さ3mmを有する硬化物が、60%以上の光沢保持率、20以下の色差を有することを特徴とするFRP波・平板用樹脂組成物。

    ISO基準に基づいたサンシャシン・ウエザオメーターによる耐候性試験2000時間後の光沢保持率と色差
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