JP2004083516A - 油中水型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用性、安定性等を担保しつつ、長波長紫外線を遮蔽する外用組成物を提供すること。
【解決手段】以下の成分▲1▼〜▲3▼を含有する、油中水型乳化組成物を提供することで、これを解決し得ることを見出した。
▲1▼エチルセルロース、および、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含有する油相
▲2▼水溶性高分子、または、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムからなるポリイオンコンプレックス
▲3▼ビス(レソルシニル)トリアジン
この乳化組成物は、膨潤させたエチルセルロースを含む油相(外相)と、水溶性高分子または上記のポリイオンコンプレックスを含む水相(内相)からなる油中水型のエマルションに、長波長紫外線吸収能に優れた紫外線吸収剤である、ビス(レソルシニル)トリアジンが、安定に含有され、かつ、使用性や安全性にも優れていることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】以下の成分▲1▼〜▲3▼を含有する、油中水型乳化組成物を提供することで、これを解決し得ることを見出した。
▲1▼エチルセルロース、および、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含有する油相
▲2▼水溶性高分子、または、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムからなるポリイオンコンプレックス
▲3▼ビス(レソルシニル)トリアジン
この乳化組成物は、膨潤させたエチルセルロースを含む油相(外相)と、水溶性高分子または上記のポリイオンコンプレックスを含む水相(内相)からなる油中水型のエマルションに、長波長紫外線吸収能に優れた紫外線吸収剤である、ビス(レソルシニル)トリアジンが、安定に含有され、かつ、使用性や安全性にも優れていることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の紫外線吸収剤を含有し、日焼け止め化粧料として用いることが好適な、油中水型乳化組成物に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
人の皮膚は、長波長紫外線(UV−A)に長時間暴露されることで、遅延型の黒化が惹起され、さらに、長波長紫外線の慢性的暴露により、しみやそばかす等の、メラニンよる色彩的な肌トラブルが惹起されることが知られている。従来、日焼け止めを目的とする化粧料には、肌を、長波長紫外線から遮蔽するために、微粒子酸化亜鉛が多量に配合されていた。また、長波長紫外線を吸収し得る紫外線吸収剤として、ジベンゾイルメタン誘導体、特に、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(商品名:パルソール1789)等が、用いられていた。
【0003】
しかしながら、長波長紫外線を遮蔽する手段として、微粒子酸化亜鉛を、化粧料中に多量に配合すると、塗布後に白くなったり、粉末感を感じる等、仕上がりや使用性が損なわれることが多いことが知られている。また、ブチルメトキシジベンゾイルメタンを溶解するには、(カプリル酸/カプリン酸)トリグリセリドや安息香酸C12〜15アルキル等の、極性油を用いる必要があるが、これらの油分を、油中水型のエマルション中に配合すると、エマルションの安定性が損なわれる等の問題が認められている。さらに、ブチルメトキシジベンゾイルメタンと微粒子酸化亜鉛と併用すると、経時で、黄変や異物の発生が見られるなど、安定性に問題が認められた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、長波長紫外線を遮蔽し得る、外用組成物を提供することは、スキンケアの分野においては、非常に重要であることが知られているにもかかわらず、微粒子酸化亜鉛とブチルメトキシジベンゾイルメタンを、使用性、安定性等を損なわずに含有する組成物を提供することは困難を極めている。
【0005】
そこで、本発明が解決すべき課題は、使用性、安定性等を担保しつつ、長波長紫外線を遮蔽する手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題に対し、以下の成分▲1▼〜▲3▼を含有する、油中水型乳化組成物(以下、本乳化組成物ともいう)を提供することで、これを解決し得ることを見出した。
▲1▼エチルセルロース、および、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含有する油相
▲2▼水溶性高分子、または、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムからなるポリイオンコンプレックス
▲3▼ビス(レソルシニル)トリアジン
【0007】
本乳化組成物は、膨潤させたエチルセルロースを含む油相(外相)と、水溶性高分子または上記のポリイオンコンプレックスを含む水相(内相)からなる油中水型のエマルションに、長波長紫外線吸収能に優れた紫外線吸収剤である、ビス(レソルシニル)トリアジンが、安定に含有され、かつ、使用性や安全性にも優れていることを特徴とする、日焼け止め化粧料として用いるのに適した外用組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
油相成分
本乳化組成物に含有されるエチルセルロースは、外用組成物において含有させる油溶性高分子として知られており、セルロースの3個の水酸基中いくつかのものがエトキシル置換されているもので、エトキシル含有率が、40〜50質量%のものを使用するのが好適である。
【0009】
好適には、エチルセルロースは、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤中で、膨潤させた後に、外用組成物において汎用されている油分等の中において溶解、または、分散させて、本乳化組成物中に含有させることができる。また、エチルセルロースを上記油分等の中に分散させた後、これに、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を添加して、本乳化組成物の油相を調製することも可能である。
【0010】
エチルセルロースを膨潤可能な溶剤は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、ベンジルアルコール、アセトン等、外用組成物における、エチルセルロースの膨潤剤として用いられている有機溶剤を挙げることができる。また、膨潤したエチルセルロースと共に用いられる油分は、特に限定されないが、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、常温液状の脂肪酸、同高級アルコールが好適である。
【0011】
本乳化組成物における膨潤させたエチルセルロースの含有量は、組成物に対して0.01〜10.0質量%(エチルセルロースの乾燥質量換算、特に断わらない限り、以下、同様である)が好ましく、より好ましくは、同0.5〜5.0質量%である。この含有量が、組成物の0.01質量%未満であると、組成物における連続相の粘弾性が低くなり過ぎる結果、乳化安定性に問題が生じることが多く、同10.0質量%を超えると、連続相の粘弾性が高くなり過ぎる結果、乳化自体が困難になることが多くなる。
【0012】
エチルセルロースを膨潤可能な溶剤は、本乳化組成物におけるエチルセルロースの含有量に応じた量を用いることができる。具体的には、エチルセルロースの質量に対して質量比で、2倍以上であり、かつ、乳化組成物における含有量が、組成物に対して20.0質量%を超えない範囲で用いることが好適である。この質量比が2倍未満であると、エチルセルロースを、十分に膨潤させることが困難になる。また、溶剤の含有量が、組成物に対して20.0質量%を超えると、乳化安定性が悪くなる傾向がある。
【0013】
ビス(レソルシニル)トリアジンは、特開平9−188666号公報に記載されている、以下の構造式(1)で表される中波長紫外線(UVB)と長波長紫外線(UVA)に対して、優れたUV吸収活性を有する化合物であり、有機UV吸収剤として用いられている。
【0014】
【化1】
【0015】
〔式中、R1 およびR2 は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜18のアルキル基、炭素原子数が2〜18のアルケニル基、次式の基
−CH2 −CH(OH)CH2 −O−T1
であるか;またはR1 およびR2 は、式(4a)の基であり、
【0016】
【化2】
【0017】
{式中、R12は、直接結合、直鎖または枝分かれの炭素原子数が1〜4のアルキレン基または次式
−Cm1H2m1 − または −Cm1H2m1 −O−
の基であり;
R13、R14およびR15は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜18のアルキル基、炭素原子数が1〜18のアルコキシ基または次式の基であり、
【0018】
【化3】
【0019】
(R16は、炭素原子数が1〜5のアルキル基であり;m1は1〜4であり);p1は0〜5の数であり};
Aは、式(1b)、(1c)または(1d)の基であり、
【0020】
【化4】
【0021】
{式中、R3 は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、
−(CH2 CHR5 −O)n1−R4 (n1は1〜16である)、または、
−CH2 CH(OH)−CH2 −O−T1 の基であり;R4 は、水素原子、金属陽イオン、炭素原子数が1〜5のアルキル基または次式の基であり、
−(CH2)m2−O−T1
(式中、T1 は、水素原子または炭素原子数が1〜8のアルキル基であり、m2は1〜4である)
R5 は、水素原子またはメチル基であり、Q1 は、炭素原子数が1〜18のアルキル基である)}〕
このビス(レソルシニル)トリアジンは、例えば、特開平9−188666号公報に記載された合成法により製造して、本発明において用いることができる。
【0022】
また、ビス(レソルシニル)トリアジンは、市販されており〔例えば、チノソーブ(TINOSORB)S:上記式(1)のAが、メトキシフェニル基(R1 とR2 が、2−エチルヘキシロキシ基であり、かつ、Aが、式(1b)(R3 はメチル基である)である場合)である、ビス(レソルシニル)トリアジン:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製〕、このような市販品を、本発明において用いることも可能である。
【0023】
本乳化組成物における、ビス(レソルシニル)トリアジンの配合量は、組成物に対して0.1〜10.0質量%の範囲であることが好適であり、同0.5〜5.0質量%の範囲であることが、本組成物の紫外線遮蔽効果と使用感触の双方において、特に好適である。この配合量が、組成物に対して0.1質量%未満であると、本組成物の紫外線遮蔽効果が十分でない傾向があり、同10.0質量%を超えて配合すると、べたつきを伴う等、使用感触が悪化する傾向が認められる。
【0024】
なお、本乳化組成物の油相成分として、ビス(レソルシニル)トリアジンに対する相溶性が高い極性油分を用いることが好適である。具体的には、例えば、安息香酸C12〜15アルキル、オクチルドデカノール、イソプロピルミリステート、セテアリルイソノナノエート等のエステル油分;(カプリル酸/カプリン酸)トリグリセリド、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール等の多価アルコールエステル油分;ジカプリリルエーテル等のエーテル油分等が挙げられる。
【0025】
本乳化組成物に含有させるビス(レソルシニル)トリアジンは、上述したように、長波長紫外線に対する遮蔽効果に優れるが、中波長紫外線(UV−B)に対しては、他の紫外線吸収剤を組み合わせて用いることが好適である。
【0026】
本乳化組成物において含有させるべき、他の紫外線吸収剤は、特に限定されないが、特に、オクチルメトキシシンナメート、または、オクチルサリシレートが、ビス(レソルシニル)トリアジンとの相溶性が良好であり、好適である。
【0027】
ここで用いる他の紫外線吸収剤の含有量は、用いる他の紫外線吸収剤の性質等に応じて選択すべきであり、特に限定されない。例えば、オクチルメトキシシンナメート、または、オクチルサリシレートを用いる場合には、乳化組成物の1.0〜10.0質量%程度を含有させることが好適であり、同3.0〜8.0質量%の範囲で、特に好適に含有させることができる。このオクチルメトキシシンナメート、または、オクチルサリシレートの含有量が、乳化組成物の1.0質量%未満であると、中波長紫外線に対する遮蔽効果が十分でない場合が多く、同10.0質量%を超えると、べたつき等の使用感触の悪化が認められる場合が多くなる。
【0028】
その他、本乳化組成物に含有させることが可能な、他の紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、例えば、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕等;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸( 以下、PABAと略す) 、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N− アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、エチル−4− イソプロピルシンナメート、メチル−2,5− ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4− ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4− ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p− メトキシシンナメート、イソプロピル−p− メトキシシンナメート、イソアミル−p− メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p− メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p− メトキシシンナメート、エチル− α− シアノ− β− フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル− α− シアノ− β− フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2− エチルヘキサノイル− ジパラメトキシシンナメート等);等が挙げられる。
【0029】
また、本乳化組成物に含有させ得る油分は、上述したように、含有成分との相溶性等の点から、本乳化組成物に適した油分を適宜選択することが好適であるが、基本的には、特に限定されず、必要に応じて自由に含有させる油分を選択することができる。例えば、液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0030】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POE ラノリンアルコールエーテル、POE ラノリンアルコールアセテート、POE コレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0031】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0032】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0033】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル( バチルアルコール) 、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0034】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2− エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2− ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2− エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2− エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2− エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2− ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L− グルタミン酸−2− オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2− ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0035】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0036】
なお、後述するように、本乳化組成物は、乳化手段として界面活性剤を積極的に用いる必要がないことが、特徴の一つである。
【0037】
水相成分
本乳化組成物に、水相成分として含有させることができる水溶性高分子は、従来より、増粘剤や安定剤として、外用組成物に添加されている水溶性高分子を用いることができる。
【0038】
具体的には、天然の水溶性高分子としては、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード、アルゲコロイド、デンプン、グリチルリチン酸等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子が挙げられる。半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC )、カチオン化セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。無機の水溶性高分子としては、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg( ビーガム) 、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0039】
これらの水溶性高分子の中でも、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCということもある)のような、塩による影響を受けにくい水溶性高分子が、特に好適である。
【0040】
本乳化組成物における水溶性高分子の含有量は、組成物に対して0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは、同0.5〜5.0質量%である。この含有量が、組成物の0.1質量%未満であると、非連続相の合一を抑制できず乳化組成物は不安定となることが多く、同10.0質量%を超えると、乳化自体が難しくなることがある。
【0041】
次に、本乳化組成物に含有させることができる、ポリイオンコンプレックス(以下、PICということもある)は、カチオン化セルロース(例えば、Polyquaternium−4, Polyquaternium−10,Polyquaternium−24 が挙げられ、以下、CCということもある)と、ヒアルロン酸ナトリウム(以下、HA−Naということもある)の、相反する電荷を有する高分子電解質同士の錯体である。このポリイオンコンプレックスは、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとを、水相中に共存させることにより形成させることができる。この水相中における、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムの組成比は、質量比でCC:HA−Na=9.9:0.1〜8:2が好ましく、同9:1〜8:2が、特に好ましい。
【0042】
本乳化組成物に、ポリイオンコンプレックスを含有させる場合、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムの所定量を、直接、水相に添加することによって、水相中に、ポリイオンコンプレックスを形成させることも可能であり、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムの、それぞれの水溶液を、水相に添加することもできる。また、用時に、それぞれの水溶液を混合して、混合液中に、ポリイオンコンプレックスを形成させて、これを、混合液として、または、混合液から分離した、ポリイオンコンプレックスとして、水相に添加することも可能である。
【0043】
このようにして用いられ得るポリイオンコンプレックスの、本乳化組成物における含有量は、組成物に対して0.1〜10.0質量%(乾燥質量換算、以下、同様である)が好ましく、より好ましくは、同0.5〜5.0質量%である。この含有量が、組成物に対して0.1質量%未満であっても、同10.0質量%を超えても、組成物の乳化安定性が劣ることが多くなる。
【0044】
上述した成分に加え、必要に応じて、外用組成物において用いられる一般的な水性成分を、本乳化組成物における水相成分として含有させることができる。具体的には、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、水性の紫外線吸収剤、低級アルコール、水等を水相成分として含有させることができる。
【0045】
本乳化組成物を製造する際の、油相と水相の比率は、自由に選択をすることが可能であるが、好適には、水相:油相=40〜90:60〜10(質量比)である。
【0046】
製造方法
本乳化組成物は、例えば、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を用いて、エチルセルロースを膨潤させた後、これに油分を加え、70℃程度に加温して油相を調製するか、または、エチルセルロースを油分に分散させた後、70℃程度に加温し、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を添加して油相を調製し、このようにして得られた油相に、攪拌しながら、70℃程度に調製した、水相を添加することにより製造することができる。この場合、ホモミキサーやディスパー等で、強攪拌処理を行うことが望ましい。なお、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を使用してエチルセルロースを含む油相を調製した後、この油相からエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を揮発により留去して、水相と攪拌し、最終的に、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含まない、油中水型の乳化組成物を製造することが可能な場合もある。
【0047】
【実施例】以下、本発明を、実施例により、さらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これにより限定されるべきものではない。また、含有量と配合量は、特に断らない限り、含有対象と配合対象に対する質量%を意味するものとする。
【0048】
〔実施例1〜6、比較例1〜5〕
試験品
EC、エタノール(ECを膨潤可能な溶剤)、油分、精製水、CMC、CC、HA−Naを、第1表に示す処方で含有させた油相と水相を調製し、これらを、それぞれ70℃程度に加温して、両者を混合後、ディスパーで攪拌して、油中水型乳化組成物の試験品(実施例1〜6、比較例1〜5)を調製した。
【0049】
安定性試験
試験品は、状態を観察した後、ガラス瓶に充填し、50℃で2週間放置後、安定性の評価を、下記の3段階の基準による、目視観察により行った。
【0050】
<評価基準>
○:変化なし
△:油相もしくは水相のわずかな分離が見られる
×:油相もしくは水相がかなり分離している
処方内容と試験結果
上記の試験品の処方内容と安定性試験の結果を、第1表(1)(2)に表す。なお、表中の数字は、処方内容を示す質量%である。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
1) エチルセルロースは、N−22( HERCULES 社製)を用いた。
2) ビスレソルシニルトリアジンは、チノソーブS(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)を用いた。
3) カルボキシメチルセルロースは、セロゲン−FSR(第一製薬社製)を用いた。
【0054】
第1表(1)(2)に示すように、エチルセルロースあるいは水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)単独で乳化した場合(比較例1、2)は、乳化直後に分離が見られ、乳化組成物としての調製ができなかった。また、エタノールを用いず、直接、エチルセルロースを油相に分散し、これと水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)を組み合わせて乳化を試みた試験品(比較例3)も、乳化直後に分離が見られ、乳化組成物としての調製ができなかった。さらに、水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)を用いない試験品(比較例4)は、得られた乳化組成物の安定性が悪かった。
【0055】
また、長波長紫外線遮蔽剤として、4−tert−ブチル−4’ −メトキシジベンゾイルメタンと疎水化酸化亜鉛を併用した試験品(比較例5)では、得られた乳化組成物が、経時で、黄変や異物の発生が見られる等、安定性に劣っていた。
【0056】
これに対して、エチルセルロース、エタノール、および、水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)またはポリイオンコンプレックスを含有させ、紫外線吸収剤として、ビス(レソルシニル)トリアジンを用いた試験品(実施例1〜6)では、いずれも、安定性が良好であった。なお、メトキシケイ皮酸オクチルを抜去した実施例5は、他の実施例に比べて、やや長期安定性に問題が認められた。また、メトキシケイ皮酸オクチルの代わりに、オクチルサリシレートを用いた実施例6は、メトキシケイ皮酸オクチルを用いた実施例と同様に、長期安定性においても優れていた。
【0057】
紫外線遮蔽試験
また、経時的安定性が認められた、これらの試験品(実施例1〜4)について、安定性試験の終了直後に紫外線遮蔽試験を、以下の内容で行った。
【0058】
紫外線遮蔽試験は、本件出願人の出願に基づく、特開平7−167781号公法記載の、高精度のin vitroSPF測定システム(高精度で、SPF値とPFA値を測定可能である)を用いて行った。
【0059】
具体的には、光源に、ソーラーシュミレーター(Solar Ultraviolet SimulatorModel 600:Solar Light Co.) を使用した。塗布体として用いたトランスポアテープTM(3M Co.)に、試験品を2.0mg/cm2の塗布量で、均一に塗布し、紫外線を照射した。そして、その透過紫外線スペクトルの演算処理を行い、SPF値とPFA値を算出した。
【0060】
結果を、第2表に示す。
【0061】
以下に、本乳化組成物の他の処方例を、実施例として記載する。いずれの実施例も、上記の安定性試験の結果、「○」の評価が得られた。
【0062】
〔実施例7〕 サンケアクリーム
含有成分 含有量(質量%)
(A)
エチルセルロース(HERCULES 社製,N−50) 0.5
エタノール 5.0
ワセリン 1.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0
トリメチルシロキシケイ酸 1.0
メトキシケイヒ酸オクチル 10.0
ビス(レソルシニル)トリアジン 3.0
〔商品名チノソーブS(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)〕
イソステアリン酸 3.0
2−オクチルドデカノール 2.0
ビタミンEアセテート 0.5
防腐剤 0.1
香料 0.1
(B)
グリセリン 5.0
カチオン化セルロース 0.8
(Amerchol 社製PolymerJR400)
ヒアルロン酸ナトリウム 0.2
(資生堂社製バイオヒアロ12)
精製水 残 量
【0063】
<製法>
A相を、70℃で均一に溶解した。これに、水溶性高分子を均一に溶解したB相を70℃に加温して、ディスパー攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、7000rpm で2分間のディスパー処理を行い、攪拌冷却して、サンケアクリームを得た。得られたサンケアクリームは、上述したように、経時安定性に優れ、さらに、皮膚に塗布したときの「のび」が、非常に良好で、耐水性に優れ、かつ、「はじき」も認められない使用特性を有していた。上述した方法による紫外線遮蔽試験により、SPFおよびPFAを測定したところ、それぞれ35および3.1という結果を得た。
【0064】
〔実施例8〕 サンスクリーンクリーム
含有成分 含有量(質量%)
(A)
エチルセルロース(HERCULES社製,N−7) 2.0
エタノール 5.0
環状ポリシロキサン 5.0
コハク酸2−エチルヘキシル 5.0
オクチルメトキシシンナメート 7.5
ビス(レソルシニル)トリアジン 2.0
〔商品名チノソーブS(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)〕
イソステアリン酸 2.0
疎水化酸化チタン 3.0
疎水化酸化亜鉛 16.0
ビタミンEアセテート 0.2
防腐剤 0.1
(B)
1,3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
(第一工業製薬社製セロゲン−FSR)
グルタミン酸ソーダ 0.5
精製水 残 量
【0065】
<製法>
A相を、70℃で均一に溶解した。これに、水溶性高分子を均一に溶解したB相を70℃に加温して、ディスパー攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、7000rpm で2分間のディスパー処理を行い、攪拌冷却して、サンスクリーンクリームを得た。得られたサンスクリーンクリームは、上述したように、経時安定性に優れ、さらに、皮膚に塗布したときの「のび」が、非常に良好で、耐水性に優れ、かつ、「はじき」も認められない使用特性を有していた。上述した方法による紫外線遮蔽試験により、SPFおよびPFAを測定したところ、それぞれ55および9.1という結果を得た。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、使用性、安定性等を担保しつつ、少なくとも、長波長紫外線を遮蔽する外用組成物が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の紫外線吸収剤を含有し、日焼け止め化粧料として用いることが好適な、油中水型乳化組成物に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
人の皮膚は、長波長紫外線(UV−A)に長時間暴露されることで、遅延型の黒化が惹起され、さらに、長波長紫外線の慢性的暴露により、しみやそばかす等の、メラニンよる色彩的な肌トラブルが惹起されることが知られている。従来、日焼け止めを目的とする化粧料には、肌を、長波長紫外線から遮蔽するために、微粒子酸化亜鉛が多量に配合されていた。また、長波長紫外線を吸収し得る紫外線吸収剤として、ジベンゾイルメタン誘導体、特に、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(商品名:パルソール1789)等が、用いられていた。
【0003】
しかしながら、長波長紫外線を遮蔽する手段として、微粒子酸化亜鉛を、化粧料中に多量に配合すると、塗布後に白くなったり、粉末感を感じる等、仕上がりや使用性が損なわれることが多いことが知られている。また、ブチルメトキシジベンゾイルメタンを溶解するには、(カプリル酸/カプリン酸)トリグリセリドや安息香酸C12〜15アルキル等の、極性油を用いる必要があるが、これらの油分を、油中水型のエマルション中に配合すると、エマルションの安定性が損なわれる等の問題が認められている。さらに、ブチルメトキシジベンゾイルメタンと微粒子酸化亜鉛と併用すると、経時で、黄変や異物の発生が見られるなど、安定性に問題が認められた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、長波長紫外線を遮蔽し得る、外用組成物を提供することは、スキンケアの分野においては、非常に重要であることが知られているにもかかわらず、微粒子酸化亜鉛とブチルメトキシジベンゾイルメタンを、使用性、安定性等を損なわずに含有する組成物を提供することは困難を極めている。
【0005】
そこで、本発明が解決すべき課題は、使用性、安定性等を担保しつつ、長波長紫外線を遮蔽する手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、この課題に対し、以下の成分▲1▼〜▲3▼を含有する、油中水型乳化組成物(以下、本乳化組成物ともいう)を提供することで、これを解決し得ることを見出した。
▲1▼エチルセルロース、および、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含有する油相
▲2▼水溶性高分子、または、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムからなるポリイオンコンプレックス
▲3▼ビス(レソルシニル)トリアジン
【0007】
本乳化組成物は、膨潤させたエチルセルロースを含む油相(外相)と、水溶性高分子または上記のポリイオンコンプレックスを含む水相(内相)からなる油中水型のエマルションに、長波長紫外線吸収能に優れた紫外線吸収剤である、ビス(レソルシニル)トリアジンが、安定に含有され、かつ、使用性や安全性にも優れていることを特徴とする、日焼け止め化粧料として用いるのに適した外用組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
油相成分
本乳化組成物に含有されるエチルセルロースは、外用組成物において含有させる油溶性高分子として知られており、セルロースの3個の水酸基中いくつかのものがエトキシル置換されているもので、エトキシル含有率が、40〜50質量%のものを使用するのが好適である。
【0009】
好適には、エチルセルロースは、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤中で、膨潤させた後に、外用組成物において汎用されている油分等の中において溶解、または、分散させて、本乳化組成物中に含有させることができる。また、エチルセルロースを上記油分等の中に分散させた後、これに、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を添加して、本乳化組成物の油相を調製することも可能である。
【0010】
エチルセルロースを膨潤可能な溶剤は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、ベンジルアルコール、アセトン等、外用組成物における、エチルセルロースの膨潤剤として用いられている有機溶剤を挙げることができる。また、膨潤したエチルセルロースと共に用いられる油分は、特に限定されないが、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、常温液状の脂肪酸、同高級アルコールが好適である。
【0011】
本乳化組成物における膨潤させたエチルセルロースの含有量は、組成物に対して0.01〜10.0質量%(エチルセルロースの乾燥質量換算、特に断わらない限り、以下、同様である)が好ましく、より好ましくは、同0.5〜5.0質量%である。この含有量が、組成物の0.01質量%未満であると、組成物における連続相の粘弾性が低くなり過ぎる結果、乳化安定性に問題が生じることが多く、同10.0質量%を超えると、連続相の粘弾性が高くなり過ぎる結果、乳化自体が困難になることが多くなる。
【0012】
エチルセルロースを膨潤可能な溶剤は、本乳化組成物におけるエチルセルロースの含有量に応じた量を用いることができる。具体的には、エチルセルロースの質量に対して質量比で、2倍以上であり、かつ、乳化組成物における含有量が、組成物に対して20.0質量%を超えない範囲で用いることが好適である。この質量比が2倍未満であると、エチルセルロースを、十分に膨潤させることが困難になる。また、溶剤の含有量が、組成物に対して20.0質量%を超えると、乳化安定性が悪くなる傾向がある。
【0013】
ビス(レソルシニル)トリアジンは、特開平9−188666号公報に記載されている、以下の構造式(1)で表される中波長紫外線(UVB)と長波長紫外線(UVA)に対して、優れたUV吸収活性を有する化合物であり、有機UV吸収剤として用いられている。
【0014】
【化1】
【0015】
〔式中、R1 およびR2 は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜18のアルキル基、炭素原子数が2〜18のアルケニル基、次式の基
−CH2 −CH(OH)CH2 −O−T1
であるか;またはR1 およびR2 は、式(4a)の基であり、
【0016】
【化2】
【0017】
{式中、R12は、直接結合、直鎖または枝分かれの炭素原子数が1〜4のアルキレン基または次式
−Cm1H2m1 − または −Cm1H2m1 −O−
の基であり;
R13、R14およびR15は、同一でも異なってもよく、炭素原子数が1〜18のアルキル基、炭素原子数が1〜18のアルコキシ基または次式の基であり、
【0018】
【化3】
【0019】
(R16は、炭素原子数が1〜5のアルキル基であり;m1は1〜4であり);p1は0〜5の数であり};
Aは、式(1b)、(1c)または(1d)の基であり、
【0020】
【化4】
【0021】
{式中、R3 は、水素原子、炭素原子数が1〜10のアルキル基、
−(CH2 CHR5 −O)n1−R4 (n1は1〜16である)、または、
−CH2 CH(OH)−CH2 −O−T1 の基であり;R4 は、水素原子、金属陽イオン、炭素原子数が1〜5のアルキル基または次式の基であり、
−(CH2)m2−O−T1
(式中、T1 は、水素原子または炭素原子数が1〜8のアルキル基であり、m2は1〜4である)
R5 は、水素原子またはメチル基であり、Q1 は、炭素原子数が1〜18のアルキル基である)}〕
このビス(レソルシニル)トリアジンは、例えば、特開平9−188666号公報に記載された合成法により製造して、本発明において用いることができる。
【0022】
また、ビス(レソルシニル)トリアジンは、市販されており〔例えば、チノソーブ(TINOSORB)S:上記式(1)のAが、メトキシフェニル基(R1 とR2 が、2−エチルヘキシロキシ基であり、かつ、Aが、式(1b)(R3 はメチル基である)である場合)である、ビス(レソルシニル)トリアジン:チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製〕、このような市販品を、本発明において用いることも可能である。
【0023】
本乳化組成物における、ビス(レソルシニル)トリアジンの配合量は、組成物に対して0.1〜10.0質量%の範囲であることが好適であり、同0.5〜5.0質量%の範囲であることが、本組成物の紫外線遮蔽効果と使用感触の双方において、特に好適である。この配合量が、組成物に対して0.1質量%未満であると、本組成物の紫外線遮蔽効果が十分でない傾向があり、同10.0質量%を超えて配合すると、べたつきを伴う等、使用感触が悪化する傾向が認められる。
【0024】
なお、本乳化組成物の油相成分として、ビス(レソルシニル)トリアジンに対する相溶性が高い極性油分を用いることが好適である。具体的には、例えば、安息香酸C12〜15アルキル、オクチルドデカノール、イソプロピルミリステート、セテアリルイソノナノエート等のエステル油分;(カプリル酸/カプリン酸)トリグリセリド、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール等の多価アルコールエステル油分;ジカプリリルエーテル等のエーテル油分等が挙げられる。
【0025】
本乳化組成物に含有させるビス(レソルシニル)トリアジンは、上述したように、長波長紫外線に対する遮蔽効果に優れるが、中波長紫外線(UV−B)に対しては、他の紫外線吸収剤を組み合わせて用いることが好適である。
【0026】
本乳化組成物において含有させるべき、他の紫外線吸収剤は、特に限定されないが、特に、オクチルメトキシシンナメート、または、オクチルサリシレートが、ビス(レソルシニル)トリアジンとの相溶性が良好であり、好適である。
【0027】
ここで用いる他の紫外線吸収剤の含有量は、用いる他の紫外線吸収剤の性質等に応じて選択すべきであり、特に限定されない。例えば、オクチルメトキシシンナメート、または、オクチルサリシレートを用いる場合には、乳化組成物の1.0〜10.0質量%程度を含有させることが好適であり、同3.0〜8.0質量%の範囲で、特に好適に含有させることができる。このオクチルメトキシシンナメート、または、オクチルサリシレートの含有量が、乳化組成物の1.0質量%未満であると、中波長紫外線に対する遮蔽効果が十分でない場合が多く、同10.0質量%を超えると、べたつき等の使用感触の悪化が認められる場合が多くなる。
【0028】
その他、本乳化組成物に含有させることが可能な、他の紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、例えば、2,2’−メチレンビス〔6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール〕等;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸( 以下、PABAと略す) 、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N− アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、エチル−4− イソプロピルシンナメート、メチル−2,5− ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4− ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4− ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p− メトキシシンナメート、イソプロピル−p− メトキシシンナメート、イソアミル−p− メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p− メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p− メトキシシンナメート、エチル− α− シアノ− β− フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル− α− シアノ− β− フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2− エチルヘキサノイル− ジパラメトキシシンナメート等);等が挙げられる。
【0029】
また、本乳化組成物に含有させ得る油分は、上述したように、含有成分との相溶性等の点から、本乳化組成物に適した油分を適宜選択することが好適であるが、基本的には、特に限定されず、必要に応じて自由に含有させる油分を選択することができる。例えば、液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0030】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POE ラノリンアルコールエーテル、POE ラノリンアルコールアセテート、POE コレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0031】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0032】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0033】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル( バチルアルコール) 、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0034】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2− エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2− ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2− エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2− エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2− エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2− ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L− グルタミン酸−2− オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2− ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0035】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0036】
なお、後述するように、本乳化組成物は、乳化手段として界面活性剤を積極的に用いる必要がないことが、特徴の一つである。
【0037】
水相成分
本乳化組成物に、水相成分として含有させることができる水溶性高分子は、従来より、増粘剤や安定剤として、外用組成物に添加されている水溶性高分子を用いることができる。
【0038】
具体的には、天然の水溶性高分子としては、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード、アルゲコロイド、デンプン、グリチルリチン酸等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子が挙げられる。半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC )、カチオン化セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。無機の水溶性高分子としては、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg( ビーガム) 、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0039】
これらの水溶性高分子の中でも、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下CMCということもある)のような、塩による影響を受けにくい水溶性高分子が、特に好適である。
【0040】
本乳化組成物における水溶性高分子の含有量は、組成物に対して0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは、同0.5〜5.0質量%である。この含有量が、組成物の0.1質量%未満であると、非連続相の合一を抑制できず乳化組成物は不安定となることが多く、同10.0質量%を超えると、乳化自体が難しくなることがある。
【0041】
次に、本乳化組成物に含有させることができる、ポリイオンコンプレックス(以下、PICということもある)は、カチオン化セルロース(例えば、Polyquaternium−4, Polyquaternium−10,Polyquaternium−24 が挙げられ、以下、CCということもある)と、ヒアルロン酸ナトリウム(以下、HA−Naということもある)の、相反する電荷を有する高分子電解質同士の錯体である。このポリイオンコンプレックスは、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムとを、水相中に共存させることにより形成させることができる。この水相中における、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムの組成比は、質量比でCC:HA−Na=9.9:0.1〜8:2が好ましく、同9:1〜8:2が、特に好ましい。
【0042】
本乳化組成物に、ポリイオンコンプレックスを含有させる場合、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムの所定量を、直接、水相に添加することによって、水相中に、ポリイオンコンプレックスを形成させることも可能であり、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムの、それぞれの水溶液を、水相に添加することもできる。また、用時に、それぞれの水溶液を混合して、混合液中に、ポリイオンコンプレックスを形成させて、これを、混合液として、または、混合液から分離した、ポリイオンコンプレックスとして、水相に添加することも可能である。
【0043】
このようにして用いられ得るポリイオンコンプレックスの、本乳化組成物における含有量は、組成物に対して0.1〜10.0質量%(乾燥質量換算、以下、同様である)が好ましく、より好ましくは、同0.5〜5.0質量%である。この含有量が、組成物に対して0.1質量%未満であっても、同10.0質量%を超えても、組成物の乳化安定性が劣ることが多くなる。
【0044】
上述した成分に加え、必要に応じて、外用組成物において用いられる一般的な水性成分を、本乳化組成物における水相成分として含有させることができる。具体的には、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、水性の紫外線吸収剤、低級アルコール、水等を水相成分として含有させることができる。
【0045】
本乳化組成物を製造する際の、油相と水相の比率は、自由に選択をすることが可能であるが、好適には、水相:油相=40〜90:60〜10(質量比)である。
【0046】
製造方法
本乳化組成物は、例えば、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を用いて、エチルセルロースを膨潤させた後、これに油分を加え、70℃程度に加温して油相を調製するか、または、エチルセルロースを油分に分散させた後、70℃程度に加温し、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を添加して油相を調製し、このようにして得られた油相に、攪拌しながら、70℃程度に調製した、水相を添加することにより製造することができる。この場合、ホモミキサーやディスパー等で、強攪拌処理を行うことが望ましい。なお、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を使用してエチルセルロースを含む油相を調製した後、この油相からエチルセルロースを膨潤可能な溶剤を揮発により留去して、水相と攪拌し、最終的に、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含まない、油中水型の乳化組成物を製造することが可能な場合もある。
【0047】
【実施例】以下、本発明を、実施例により、さらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これにより限定されるべきものではない。また、含有量と配合量は、特に断らない限り、含有対象と配合対象に対する質量%を意味するものとする。
【0048】
〔実施例1〜6、比較例1〜5〕
試験品
EC、エタノール(ECを膨潤可能な溶剤)、油分、精製水、CMC、CC、HA−Naを、第1表に示す処方で含有させた油相と水相を調製し、これらを、それぞれ70℃程度に加温して、両者を混合後、ディスパーで攪拌して、油中水型乳化組成物の試験品(実施例1〜6、比較例1〜5)を調製した。
【0049】
安定性試験
試験品は、状態を観察した後、ガラス瓶に充填し、50℃で2週間放置後、安定性の評価を、下記の3段階の基準による、目視観察により行った。
【0050】
<評価基準>
○:変化なし
△:油相もしくは水相のわずかな分離が見られる
×:油相もしくは水相がかなり分離している
処方内容と試験結果
上記の試験品の処方内容と安定性試験の結果を、第1表(1)(2)に表す。なお、表中の数字は、処方内容を示す質量%である。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
1) エチルセルロースは、N−22( HERCULES 社製)を用いた。
2) ビスレソルシニルトリアジンは、チノソーブS(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)を用いた。
3) カルボキシメチルセルロースは、セロゲン−FSR(第一製薬社製)を用いた。
【0054】
第1表(1)(2)に示すように、エチルセルロースあるいは水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)単独で乳化した場合(比較例1、2)は、乳化直後に分離が見られ、乳化組成物としての調製ができなかった。また、エタノールを用いず、直接、エチルセルロースを油相に分散し、これと水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)を組み合わせて乳化を試みた試験品(比較例3)も、乳化直後に分離が見られ、乳化組成物としての調製ができなかった。さらに、水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)を用いない試験品(比較例4)は、得られた乳化組成物の安定性が悪かった。
【0055】
また、長波長紫外線遮蔽剤として、4−tert−ブチル−4’ −メトキシジベンゾイルメタンと疎水化酸化亜鉛を併用した試験品(比較例5)では、得られた乳化組成物が、経時で、黄変や異物の発生が見られる等、安定性に劣っていた。
【0056】
これに対して、エチルセルロース、エタノール、および、水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)またはポリイオンコンプレックスを含有させ、紫外線吸収剤として、ビス(レソルシニル)トリアジンを用いた試験品(実施例1〜6)では、いずれも、安定性が良好であった。なお、メトキシケイ皮酸オクチルを抜去した実施例5は、他の実施例に比べて、やや長期安定性に問題が認められた。また、メトキシケイ皮酸オクチルの代わりに、オクチルサリシレートを用いた実施例6は、メトキシケイ皮酸オクチルを用いた実施例と同様に、長期安定性においても優れていた。
【0057】
紫外線遮蔽試験
また、経時的安定性が認められた、これらの試験品(実施例1〜4)について、安定性試験の終了直後に紫外線遮蔽試験を、以下の内容で行った。
【0058】
紫外線遮蔽試験は、本件出願人の出願に基づく、特開平7−167781号公法記載の、高精度のin vitroSPF測定システム(高精度で、SPF値とPFA値を測定可能である)を用いて行った。
【0059】
具体的には、光源に、ソーラーシュミレーター(Solar Ultraviolet SimulatorModel 600:Solar Light Co.) を使用した。塗布体として用いたトランスポアテープTM(3M Co.)に、試験品を2.0mg/cm2の塗布量で、均一に塗布し、紫外線を照射した。そして、その透過紫外線スペクトルの演算処理を行い、SPF値とPFA値を算出した。
【0060】
結果を、第2表に示す。
【0061】
以下に、本乳化組成物の他の処方例を、実施例として記載する。いずれの実施例も、上記の安定性試験の結果、「○」の評価が得られた。
【0062】
〔実施例7〕 サンケアクリーム
含有成分 含有量(質量%)
(A)
エチルセルロース(HERCULES 社製,N−50) 0.5
エタノール 5.0
ワセリン 1.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 6.0
トリメチルシロキシケイ酸 1.0
メトキシケイヒ酸オクチル 10.0
ビス(レソルシニル)トリアジン 3.0
〔商品名チノソーブS(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)〕
イソステアリン酸 3.0
2−オクチルドデカノール 2.0
ビタミンEアセテート 0.5
防腐剤 0.1
香料 0.1
(B)
グリセリン 5.0
カチオン化セルロース 0.8
(Amerchol 社製PolymerJR400)
ヒアルロン酸ナトリウム 0.2
(資生堂社製バイオヒアロ12)
精製水 残 量
【0063】
<製法>
A相を、70℃で均一に溶解した。これに、水溶性高分子を均一に溶解したB相を70℃に加温して、ディスパー攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、7000rpm で2分間のディスパー処理を行い、攪拌冷却して、サンケアクリームを得た。得られたサンケアクリームは、上述したように、経時安定性に優れ、さらに、皮膚に塗布したときの「のび」が、非常に良好で、耐水性に優れ、かつ、「はじき」も認められない使用特性を有していた。上述した方法による紫外線遮蔽試験により、SPFおよびPFAを測定したところ、それぞれ35および3.1という結果を得た。
【0064】
〔実施例8〕 サンスクリーンクリーム
含有成分 含有量(質量%)
(A)
エチルセルロース(HERCULES社製,N−7) 2.0
エタノール 5.0
環状ポリシロキサン 5.0
コハク酸2−エチルヘキシル 5.0
オクチルメトキシシンナメート 7.5
ビス(レソルシニル)トリアジン 2.0
〔商品名チノソーブS(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)〕
イソステアリン酸 2.0
疎水化酸化チタン 3.0
疎水化酸化亜鉛 16.0
ビタミンEアセテート 0.2
防腐剤 0.1
(B)
1,3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
(第一工業製薬社製セロゲン−FSR)
グルタミン酸ソーダ 0.5
精製水 残 量
【0065】
<製法>
A相を、70℃で均一に溶解した。これに、水溶性高分子を均一に溶解したB相を70℃に加温して、ディスパー攪拌下で徐々に添加し、添加終了後、7000rpm で2分間のディスパー処理を行い、攪拌冷却して、サンスクリーンクリームを得た。得られたサンスクリーンクリームは、上述したように、経時安定性に優れ、さらに、皮膚に塗布したときの「のび」が、非常に良好で、耐水性に優れ、かつ、「はじき」も認められない使用特性を有していた。上述した方法による紫外線遮蔽試験により、SPFおよびPFAを測定したところ、それぞれ55および9.1という結果を得た。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、使用性、安定性等を担保しつつ、少なくとも、長波長紫外線を遮蔽する外用組成物が提供される。
Claims (4)
- 以下の成分▲1▼〜▲3▼を含有する、油中水型乳化組成物。
▲1▼エチルセルロース、および、エチルセルロースを膨潤可能な溶剤を含有する油相
▲2▼水溶性高分子、または、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムからなるポリイオンコンプレックス
▲3▼ビス(レソルシニル)トリアジン - 水溶性高分子、または、カチオン化セルロースとヒアルロン酸ナトリウムからなるポリイオンコンプレックスを、組成物に対して0.1〜10.0質量%含有する、請求項1記載の油中水型乳化組成物。
- オクチルメトキシシンナメート、または、オクチルサリシレートを含有する、請求項1または2記載の油中水型乳化組成物。
- 油中水型乳化組成物が、日焼け止め化粧料である、請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型乳化組成物。
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