JP2005225771A - 水中油型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水相中に下記式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体と、HLB値が10以上である親水性界面活性剤1種または2種以上とを含み、
油相中に疎水化処理酸化チタンを含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
(化1)
前記組成物において、疎水化処理酸化チタンの配合量が、組成物全体に対して3〜12質量%であることが好適である。
前記組成物において、式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体の配合量が、組成物全体に対して2〜8質量%であることが好適である。
前記組成物において、さらに油相中にオクチルメトキシシンナメートを含むことが好適である。
Description
さらに、近年の美白ブームにより、「絶対に焼きたくない」という消費者が増え、紫外線防御指数の高い化粧料(SPF30以上)が求められている。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑み為されたものであり、その目的は紫外線防御効果が高く、且つ優れた分散安定性と良好な使用性とを有する水中油型乳化組成物を提供することにある。
すなわち、本発明に係る水中油型乳化組成物は、水相中に下記式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体と、HLB値が10以上である親水性界面活性剤1種または2種以上とを含み、
油相中に疎水化処理酸化チタンを含むことを特徴とする。
(化1)
前記組成物において、式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体の配合量が、組成物全体に対して2〜8質量%であることが好適である。
前記組成物において、さらに油相中にオクチルメトキシシンナメートを含むことが好適である。
前記組成物において、さらにサクシノグリカン、キサンタンガム及びアクリルアミドからなる群より選択される1種又は2種以上の増粘剤を0.05〜2質量%含むことが好適である。
前記組成物において、さらに、前記疎水化処理酸化チタンの分散剤として下記一般式(II)で表される両末端シリコーン化ポリエチレングリコールを含むことが好適である。
<ベンゾトリアゾール誘導体>
本発明において水相中に配合されるベンゾトリアゾール誘導体は、下記式(I)で表され、化学名を2,2’−メチレン−ビス−{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール}という。
(化3)
上記ベンゾトリアゾール誘導体は、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社から、チノソーブ(TINOSORB)Mとして、微粒子化され、50質量%濃度の水分散スラリーとされた形態で市販されており、本発明においても、この市販品を用いることができる。
疎水化処理酸化チタンは、酸化チタン表面を例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アルキルリン酸エーテル、フッ素化合物、またはスクワラン、パラフィン等の炭化水素類を、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等により疎水化処理したものであり、その平均粒子径は油相である乳化粒子のそれより小さいことが必要である。特に、湿式分散機で破砕後の平均粒子径が100nm以下のものが好ましい。
疎水化処理酸化チタンの含有量は、水中油型乳化組成物の3〜12質量%の範囲で含有させることが好適である。この含有量が、組成物の3質量%未満であると、十分な紫外線防御効果を発揮することが困難であり、12質量%を超えると、仕上がりが白浮きする、製品の分散安定性が悪くなる、塗布時に粉体特有のきしみ感が感じられる等の問題が認められることがある。
本発明の水中油型乳化組成物は、製造時に油相に疎水化処理酸化チタンをあらかじめ配合してビーズミル等の湿式分散機で微粉砕し、得られた酸化チタン分散液を、ベンゾトリアゾール誘導体(I)を含む水相と混合、乳化する。
乳化の際、水相にはあらかじめ乳化剤を配合しておくことが好ましい。乳化剤としては、油相中への溶解性が低く温度安定性がよいことから親水性界面活性剤が好ましく、特にHLB値が10以上であるものが好適である。例えば、グリセリン又はポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;等から選択される1種または2種以上を配合する。配合量としては、組成物全量あたり0.5〜5質量%が好ましい。
本発明の水中油型組成物においては、ベンゾトリアゾール誘導体(I)に加えて、中波長紫外線(UV−B)に対する遮蔽効果に優れるオクチルメトキシシンナメートを組み合わせて用いることが特に好適である。配合量としては、組成物全量あたり3〜10質量%が好ましい。
さらに他の紫外線吸収剤としては、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン等を併用することもできる。
酸化チタンの分散安定性を向上して凝集を防ぐために、酸化チタンを湿式分散機で微粉砕する前にあらかじめ油相に分散剤を添加することがさらに好適である。
本発明において好ましく用いられる分散剤としては、下記一般式(II)で表される両末端シリコーン化ポリエチレングリコールがあげられる。
(化4)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基であり、Xは任意の結合基である。lは1〜5、mは40〜90、nは10〜40である。)
なお、ポリエチレングリコール鎖部分(CH2CH2O)は、ポリプロピレングリコール鎖もしくはポリエチレングリコール鎖とポリプロピレングリコール鎖の共重合体であっても構わない。
(化5)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基、mは40〜90の数である。)
(化7)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基、lは1〜5、mは40〜90、nは10〜40である。)
また、例えば化合物(a1)の代わりに片末端カルボキシル基シリコーンを用い、ジシクロヘキシルカルボジイミド共存下で反応を行えば、エステル結合により結合した分散剤も合成可能である。
(化9)
(式中、nは10〜40の数である。)
本発明の分散剤の機能発現には、Aブロック鎖(両末端シリコーン鎖)の溶媒中への溶解性と、Bブロック鎖(ポリエチレングリコール鎖)の酸化チタン表面への吸着性が重要である。すなわち、AB両ブロックの親水/親油性のバランス(HLB)が適切な範囲にあることが機能発現に必須となる。HLBはより算出される。本発明の分散剤は、Griffinの式(HLB値=エチレンオキサイド部分子量×20/総分子量)において、HLBが1〜3であることが好ましい。
また分散剤の配合量は、油相成分の総量に対して0.1〜50質量%が好適である。
シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状ポリシロキサン;シクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン等の環状のポリシロキサン;ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等の変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合メチルポリシロキサン等のシリコーン系樹脂等が挙げられる。
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
得られた酸化チタン分散液は、ベンゾトリアゾール誘導体(I)を含む水相とホモミキサーで混合、乳化する。この際、生成する乳化粒子より大きい粒子径を持つ酸化チタン粒子が存在すると、ホモミキサー処理により酸化チタンの一部が油相から出て凝集物を形成してしまうので、酸化チタンの平均粒子径は乳化粒子径より小さくする必要がある。例えばビーズミルを使用する場合には、分散液のミルへのパス回数を増やすことで破砕粉末の粒子径を十分小さくし、乳化粒子径よりも十分小さい破砕粉末を得ることができる。
また、本発明では、疎水化処理酸化チタンは2次凝集体が十分に壊砕された状態で油相に存在するため、塗布時に粉感が少なく、塗布後の肌上での分散状態がよく、高い紫外線遮蔽効果が得られる。
また、経時による乳化油滴の沈降、クリーミングに対する安定性、さらには粉体の凝集に対する安定性を改善するために、耐塩性をもつ増粘剤、特にサクシノグリカン、キサンタンガムまたはアクリルアミドを配合することが特に好適である。通常の増粘剤を使用する場合には、疎水化処理酸化チタンから水相へ、経時的に徐々に溶出する塩が増粘剤に作用し、粘度を低下させることがあるが、サクシノグリカン等の耐塩性に優れた増粘剤を使用する場合には、溶出塩による影響を受けず、長期にわたり乳化粒子の沈降を防ぐことができる。
サクシノグリカンは、微生物に由来する多糖類の一種であり、より具体的にはガラクトース及びグルコースから誘導される糖単位に加え、コハク酸及びピルビン酸並びに随意成分としての酢酸、又はこれらの酸の塩から誘導される単位を含む微生物に由来する多糖類を意味する。
(化10)
(式中、Glucはグルコース単位を、Galacはガラクトース単位を表す。また.括弧内の表示は糖単位同士の結合様式を表す。例えば(β1,4)は,β1−4結合を表す。)
サクシノグリカンは、これらの微生物を培地中で培養することによって製造することができる。より具体的には、概ねグルコース、蔗糖、デンプンの加水分解物等の炭素源;カゼイン、カゼイネート、野菜粉末、酵母エキス、コーンスティープリカー(CSL)等の有機窒素源;金属の硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機塩類や随意微量元素等を含む培地で上記の微生物を培養することによって製造することができる。
耐塩性をもつ増粘剤の配合量としては、組成物全量に対して0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%が好ましい。2質量%を超えるとよれが生じるなど使用感が悪くなることがある。
上述のように、サクシノグルカンを増粘剤として使用することが好ましいが、サクシノグルカンは、剛直性の直鎖状高分子であり、これを含む組成物は皮膚上で乾燥後、硬い被膜を形成するため、よれを生じることがある。特に、疎水化処理酸化チタンと併用する場合、サクシノグルカンが疎水化処理酸化チタンを巻き込むことで、よれが増長される。そこで、サクシノグルカンを可塑化することで、よれをなくして使用感触を改善することができる。
可塑剤としては、グリセリン,ポリオキシエチレンエチレンメチルグルコシド,ポリエチレングリコール20000を用いることが好適である。これらの可塑剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
本発明にかかる組成物における可塑剤の配合量は、組成物全体に対して、1〜40重量%であることが好適である。
保湿剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、アミノ酸、核酸、コラーゲン、エラスチン等のタンパク質、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類等が挙げられる。
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素等が挙げられる。
本発明に用いる評価方法は以下の通りである。
<紫外線防御効果>
紫外線防御効果は、特開平7−167781号公法記載の、高精度のin vitro SPF測定システムを用いて行った。
具体的には、光源に、ソーラーシュミレーター(Solar Ultraviolet Simulator Model 600:Solar Light Co.)を使用した。塗布体として用いたトランスポアテープTM(3M Co.)に、試料を2.0mg/cm2の塗布量で均一に塗布し、15分間乾燥後、紫外線を照射した。そして、その透過紫外線スペクトルの演算処理を行い、SPF値を算出した。
<きしみ>
調製直後、皮膚に塗布し、きしみの有無について評価した。
評価基準
◎:全くきしみが感じられない。
○:若干のきしみが感じられるが、違和感がない。
△:きしみが感じられ、違和感がある。
×:強いきしみが感じられる。
<白浮き>
調製直後、皮膚に塗布し、白さの評価を行なった。
評価基準
◎:全く白浮きが見受けられない。
○:若干の白浮きが見受けられるが、違和感がない。
△:白浮きが見受けられ、違和感がある。
×:はっきりと白浮きが見受けられる。
<安定性>
調製直後、目視で粉末凝集物の有無を観察した。
評価基準
◎:全く粉末凝集物が見受けられない。
○:若干の粉末凝集物が見受けられるが、問題ない。
△:粉末凝集物見受けられる。
×:はっきりと白浮きが見受けられる。
(表1)
ポリエチレングリコール(Mw≒1000)30g、およびトルエン1500mlを反応容器に仕込み、ポリエチレングリコールが溶解後、沸石を投入し130℃まで上昇させ1時間程度トルエン中の水分を共沸させる。その後80℃にて還流、窒素ガス流入条件下、片末端水酸基ポリジメチルシロキサン(Mw≒5000。上記(a1)の化合物、m≒70:サイラプレーン FM−0421,チッソ製)300gをモレキュラーシーブスにより脱水されたトルエンにより希釈し添加、均一を確認後、さらに、脱水トルエンで希釈されたヘキサメチレンジイソシアネート10.1gおよびジラウリン酸ジブチルすず(IV)0.47gを加え、70℃にて20時間反応させる。20時間経過後、水5mlを添加し反応を停止させる。室温に戻した後、反応溶液をエバポレーションにより濃縮し、流動性のある粘性液体の目的化合物を得る。
*2)シリコーンKF−6017TM(信越化学社製)
2.(5)〜(8)を混合し、混合液をビーズミルにおいてパス回数5回で処理して十分に疎水化処理酸化チタンを破砕、分散し、その後(9)〜(11)を添加し70℃に加温する。
3.(12)〜(16)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
水相にベンゾトリアゾール誘導体(I)を配合した試験例1−1は、十分な紫外線防御効果(SPF32)を有し、良好な安定性を有しながら、使用上きしみや白浮きが問題とならない組成物であった。また、さらにオクチルメトキシシンナメートを配合した試験例1−2においては、紫外線防御効果がより高くなり、SPF50以上が実現された。
これに対し、ベンゾトリアゾール誘導体(I)を配合しない試験例1−3〜1−5においては、オクチルメトキシシンナメートを配合しても、十分な紫外線防御効果は得られなかった(SPF22,24,20)。さらにその他の紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸あるいは2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン)を配合した試験例1−3,1−4においては、十分な紫外線防御効果は得られないばかりか、基剤の安定性についても問題が生じた。
また、粉末の分散剤としては、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを用いた場合にも良好な組成物が得られるが(試験例1−6)、両末端シリコーン化PEGを用いた場合に、特に安定性が良好な組成物が得られることが確認された。
以上のことから、疎水化処理酸化チタンの配合量は、組成物全体に対して3〜12質量%が好適であることが確認された。
以上のことから、ベンゾトリアゾール誘導体(I)の配合量は、組成物全体に対して2〜8質量%が好適であることが確認された。
<塗布時の使用感触>
各試験例の組成物を被験者の肌へ塗布し、塗布時の使用感触の官能評価を行った。
評価基準
◎:被験者の80%以上が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
○:被験者の50%以上80%未満が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
△:被験者の30%以上50%未満が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
×:被験者の30%未満が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
処方
(1)イオン交換水 残量
(2)POE−60硬化ヒマシ油 1.0
(3)サクシノグリカン 0.3
(4)エデト酸塩 適量
(5)疎水化処理酸化チタン 5.0
(6)デカメチルペンタポリシロキサン 15.0
(7)両末端シリコーン化PEG 3.0
(8)オクチルメトキシシンナメート 5.0
(9)メチルフェニルポリシロキサン 1.0
(10)ジメチルポリシロキサン 1.4
(11)防腐剤 適量
(12)エタノール 7.0
(13)ベンゾトリアゾール誘導体(I) 4.0
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(5)〜(7)を混合し、混合液をビーズミルにおいてパス回数5回で処理して十分に疎水化処理酸化チタンを破砕、分散し、その後(8)〜(10)を添加し70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(5)〜(7)を混合し、混合液をビーズミルにおいてパス回数3回で処理して疎水化処理酸化チタンを破砕、分散し、その後(8)〜(10)を添加し70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(5)〜(10)を混合し、70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(6)〜(10)を混合し、70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化する。
5.ホモミキサー処理後の乳化粒子径より十分に微細である疎水化処理微粒子酸化チタン(平均粒子径100nm)をイオン交換水に分散し、これを4へディスパーで分散し、室温まで攪拌冷却する。
各試験例についての評価結果を表5に示す。
試験例4−1 試験例4−2 試験例4−3 試験例4−4
塗布時の使用感触 ◎ △ × △
表5より明らかなように、試験例4−1ではビーズミルで十分に破砕された疎水性酸化チタンが乳化油相中に分散した構造をもつため、塗布時に粉感がなく、塗布色も目立たず良好な使用感触であった。さらに、塗布後の肌上での分散状態がよいため、紫外線遮蔽効果にも特に優れていた。
また、試験例4−4では疎水化処理微粒子酸化チタンの一次粒子径は乳化粒子径より十分に微細であるものの、乳化粒子径より大きな二次粒子の疎水化処理微粒子酸化チタンの一部が水相に存在していた。このため塗布時に粉感を感じたり、塗布色が目立ったりすることがあった。
以上より、疎水化処理酸化チタンを、二次凝集体が十分に壊砕された状態で油相に存在させることにより、良好な使用感触が得られることが確認された。
<経時安定性>
評価基準
○:組成物は分散状態を保っていた。
×:組成物中の乳化粒子が沈降、合一して油相が分離した。
各試験例についての評価結果を表6に示す。
試 験 例
処方 5−1 5−2 5−3 5−4
(1)イオン交換水 残量 残量 残量 残量
(2)POE−60硬化ヒマシ油 1.0 1.0 1.0 1.0
(3)サクシノグリカン 0.3 − − −
(4)キサンタンガム − 0.36 − −
(5)アクリルアミド(セピゲル305TM:セピック社製)
− − 0.3 −
(6)ポリアクリル酸塩 − − − 0.3
(7)エデト酸塩 適量 適量 適量 適量
(8)疎水化処理酸化チタン 5.0 5.0 5.0 5.0
(9)デカメチルペンタポリシロキサン 15.0 15.0 15.0 15.0
(10)両末端シリコーン化PEG 3.0 3.0 3.0 3.0
(11)オクチルメトキシシンナメート 5.0 5.0 5.0 5.0
(12)メチルフェニルポリシロキサン 1.0 1.0 1.0 1.0
(13)ジメチルポリシロキサン 1.4 1.4 1.4 1.4
(14)防腐剤 適量 適量 適量 適量
(15)エタノール 7.0 7.0 7.0 7.0
(16)ベンゾトリアゾール誘導体(I) 4.0 4.0 4.0 4.0
経時安定性 ◎ ○ ○ △
(処方) (質量%)
(1)イオン交換水 残量
(2)POE60水添ヒマシ油 1
(3)サクシノグリカン 2
(4)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3
(5)グリセリン 1
(6)エデト酸塩 適量
(7)疎水化処理酸化チタン 9
(8)両末端シリコーン化ポリエチレングリコール 1.5
(9)デカメチルペンタポリシロキサン 15
(10)ジメチルポリシロキサン 3
(11)オクチルメトキシシンナメート 5
(12)防腐剤 適量
(13)エタノール 7
(14)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2
(チノソーブMTM:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)
(製法)
1.(1)〜(6)を混合溶解し、70℃に加熱する。
2.(7)〜(11)をビーズミルにより高分散処理し、70℃に加熱する。
3.(12)〜(14)を混合溶解し、70℃に加熱する。
4.1〜3を混合乳化し、攪拌しながら室温まで冷却する。
(処方) (質量%)
(1)イオン交換水 残量
(2)POE60水添ヒマシ油 1
(3)サクシノグリカン 0.2
(4)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3
(5)グリセリン 1
(6)エデト酸塩 適量
(7)疎水化処理酸化チタン 9
(8)ジメチコンポリオール 2
(9)デカメチルペンタポリシロキサン 12
(10)イソステアリン酸 1
(11)オクチルメトキシシンナメート 5
(12)防腐剤 適量
(13)エタノール 6
(14)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2
(チノソーブMTM:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)
(製法)
1.(1)〜(6)を混合溶解し、70℃に加熱する。
2.(7)〜(11)をビーズミルにより高分散処理し、70℃に加熱する。
3.(12)〜(14)を混合溶解し、70℃に加熱する。
4.1〜3を混合乳化し、攪拌しながら室温まで冷却する。
上記処方例の水中油型乳化組成物は、高い紫外線防御指数と、優れた分散安定性、良好な使用性を有していた。
Claims (6)
- 請求項1に記載の組成物において、疎水化処理酸化チタンの配合量が、組成物全体に対して3〜12質量%であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物において、式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体の配合量が、組成物全体に対して2〜8質量%であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物において、さらに油相中にオクチルメトキシシンナメートを含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物において、さらにサクシノグリカン、キサンタンガム及びアクリルアミドからなる群より選択される1種又は2種以上の増粘剤を0.05〜2質量%含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
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