JP2005225771A - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

水中油型乳化組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2005225771A
JP2005225771A JP2004033663A JP2004033663A JP2005225771A JP 2005225771 A JP2005225771 A JP 2005225771A JP 2004033663 A JP2004033663 A JP 2004033663A JP 2004033663 A JP2004033663 A JP 2004033663A JP 2005225771 A JP2005225771 A JP 2005225771A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
composition
titanium oxide
acid
poe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004033663A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Yoshida
晋 吉田
Akira Ishikubo
章 石窪
Akio Nasu
昭夫 那須
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shiseido Co Ltd filed Critical Shiseido Co Ltd
Priority to JP2004033663A priority Critical patent/JP2005225771A/ja
Publication of JP2005225771A publication Critical patent/JP2005225771A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 紫外線防御効果が高く、且つ優れた分散安定性と良好な使用性とを有する水中油型乳化組成物を提供する。
【解決手段】 水相中に下記式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体と、HLB値が10以上である親水性界面活性剤1種または2種以上とを含み、
油相中に疎水化処理酸化チタンを含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
(化1)
Figure 2005225771

前記組成物において、疎水化処理酸化チタンの配合量が、組成物全体に対して3〜12質量%であることが好適である。
前記組成物において、式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体の配合量が、組成物全体に対して2〜8質量%であることが好適である。
前記組成物において、さらに油相中にオクチルメトキシシンナメートを含むことが好適である。

Description

本発明は水中油型乳化組成物、特に疎水化処理酸化チタンを配合した水中油型乳化組成物に関する。
紫外線による肌への弊害(シミ、ソバカスの発生、光老化による皺の発生、皮膚細胞の遺伝子損傷による皮膚癌の発生等)が認識されるにつれ、現在では日焼け止めに限らず、多くの化粧料に紫外線防御機能が付与されている。これらの化粧料の基剤として、水中油型乳化組成物は、みずみずしくさっぱりした使用感をもつことから乳液、クリーム、乳化型ファンデーション、サンスクリーン等の化粧料に用いられている。
さらに、近年の美白ブームにより、「絶対に焼きたくない」という消費者が増え、紫外線防御指数の高い化粧料(SPF30以上)が求められている。
紫外線防御機能を有する物質には、紫外線吸収剤としての有機物質と、紫外線散乱剤としての無機物質が存在する。中でも酸化チタンは古くから紫外線散乱剤として使用されてきたが、近年、肌への密着性や耐水性を良くするために、特に疎水化処理酸化チタンが頻繁に使用されている(特許文献1〜7等)。
特開平10−7521号公報 特開平10−194964号公報 特開平10−194965号公報 特開2001−72532号公報 特開2001−89347号公報 特開2002−348209号公報 特開2003−286147号公報
しかしながら、高い紫外線防御指数を得るためには、酸化チタンを多量に配合する必要があり、仕上がりが白浮きする、製品の分散安定性が悪くなる、塗布時に粉体特有のきしみ感が感じられる等の問題があった。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑み為されたものであり、その目的は紫外線防御効果が高く、且つ優れた分散安定性と良好な使用性とを有する水中油型乳化組成物を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明者等が鋭意検討した結果、特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を水相中に配合することにより、少ない配合量の酸化チタンにおいても高い紫外線防御効果が得られ、該水中油型乳化組成物は、優れた分散安定性と良好な使用性とを有することを見出し、本発明を解決するに至った。
すなわち、本発明に係る水中油型乳化組成物は、水相中に下記式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体と、HLB値が10以上である親水性界面活性剤1種または2種以上とを含み、
油相中に疎水化処理酸化チタンを含むことを特徴とする。
(化1)
Figure 2005225771
前記組成物において、疎水化処理酸化チタンの配合量が、組成物全体に対して3〜12質量%であることが好適である。
前記組成物において、式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体の配合量が、組成物全体に対して2〜8質量%であることが好適である。
前記組成物において、さらに油相中にオクチルメトキシシンナメートを含むことが好適である。
前記組成物において、さらにサクシノグリカン、キサンタンガム及びアクリルアミドからなる群より選択される1種又は2種以上の増粘剤を0.05〜2質量%含むことが好適である。
前記組成物において、さらに、前記疎水化処理酸化チタンの分散剤として下記一般式(II)で表される両末端シリコーン化ポリエチレングリコールを含むことが好適である。
(化2)
Figure 2005225771
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基であり、Xは任意の結合基である。lは1〜5、mは40〜90、nは10〜40である。)
本発明によれば、油相中に疎水化処理酸化チタンを配合した水中油型乳化組成物において、特定のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とHLB値が10以上である親水性界面活性剤とを水相中に配合することにより、紫外線防御効果が高く、且つ優れた分散安定性と良好な使用性とを有する水中油型乳化組成物が得られる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<ベンゾトリアゾール誘導体>
本発明において水相中に配合されるベンゾトリアゾール誘導体は、下記式(I)で表され、化学名を2,2’−メチレン−ビス−{6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール}という。
(化3)
Figure 2005225771
上記ベンゾトリアゾール誘導体(I)の配合量は、組成物全体に対して2〜8質量%であることが好適である。2質量%未満であると、十分な紫外線防御効果を発揮することが困難であり、8質量%を超えると、安定性が劣ることがある。
上記ベンゾトリアゾール誘導体は、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社から、チノソーブ(TINOSORB)Mとして、微粒子化され、50質量%濃度の水分散スラリーとされた形態で市販されており、本発明においても、この市販品を用いることができる。
<疎水化処理酸化チタン>
疎水化処理酸化チタンは、酸化チタン表面を例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アルキルリン酸エーテル、フッ素化合物、またはスクワラン、パラフィン等の炭化水素類を、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等により疎水化処理したものであり、その平均粒子径は油相である乳化粒子のそれより小さいことが必要である。特に、湿式分散機で破砕後の平均粒子径が100nm以下のものが好ましい。
また、化粧料の製造過程中で表面が油剤等で処理され、疎水化された酸化チタンも本願でいう疎水化処理酸化チタンに含まれる。
疎水化処理酸化チタンの含有量は、水中油型乳化組成物の3〜12質量%の範囲で含有させることが好適である。この含有量が、組成物の3質量%未満であると、十分な紫外線防御効果を発揮することが困難であり、12質量%を超えると、仕上がりが白浮きする、製品の分散安定性が悪くなる、塗布時に粉体特有のきしみ感が感じられる等の問題が認められることがある。
<親水性界面活性剤>
本発明の水中油型乳化組成物は、製造時に油相に疎水化処理酸化チタンをあらかじめ配合してビーズミル等の湿式分散機で微粉砕し、得られた酸化チタン分散液を、ベンゾトリアゾール誘導体(I)を含む水相と混合、乳化する。
乳化の際、水相にはあらかじめ乳化剤を配合しておくことが好ましい。乳化剤としては、油相中への溶解性が低く温度安定性がよいことから親水性界面活性剤が好ましく、特にHLB値が10以上であるものが好適である。例えば、グリセリン又はポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;等から選択される1種または2種以上を配合する。配合量としては、組成物全量あたり0.5〜5質量%が好ましい。
乳化物の温度安定性、酸化チタンの分散安定性をさらに改善するために、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチンから選択される1種または2種以上の乳化助剤を0.1〜1.0質量%配合することが好適である。1.0質量%を超えると使用感触が悪くなる傾向がある。
<他の紫外線吸収剤>
本発明の水中油型組成物においては、ベンゾトリアゾール誘導体(I)に加えて、中波長紫外線(UV−B)に対する遮蔽効果に優れるオクチルメトキシシンナメートを組み合わせて用いることが特に好適である。配合量としては、組成物全量あたり3〜10質量%が好ましい。
さらに他の紫外線吸収剤としては、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン等を併用することもできる。
<分散剤と油分>
酸化チタンの分散安定性を向上して凝集を防ぐために、酸化チタンを湿式分散機で微粉砕する前にあらかじめ油相に分散剤を添加することがさらに好適である。
本発明において好ましく用いられる分散剤としては、下記一般式(II)で表される両末端シリコーン化ポリエチレングリコールがあげられる。
(化4)
Figure 2005225771
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基であり、Xは任意の結合基である。lは1〜5、mは40〜90、nは10〜40である。)
なお、ポリエチレングリコール鎖部分(CHCHO)は、ポリプロピレングリコール鎖もしくはポリエチレングリコール鎖とポリプロピレングリコール鎖の共重合体であっても構わない。
上記分散剤の基本構造はABA型トリブロック共重合体であり、公知の方法により任意の重合度のABA型トリブロック共重合体が製造できる。Aは例えば下記構造(a1)で示される片末端水酸基シリコーン残基もしくは下記構造式(a2)で示される片末端水素シリコーン残基を用いることができる。このほか末端基としてアミノ基及びカルボキシル基を用いることもできる。Bはポリエチレングリコール残基である。一部にポリプロピレングリコールがブロック又はランダム共重合していてもよい。
(化5)
Figure 2005225771
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基、mは40〜90の数である。)
(化6)
Figure 2005225771
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキレン基、もしくはフェニル基、mは40〜90の数である。)
上記一般式(II)で表される分散剤のうち、好ましい分散剤としては、下記一般式(III)又は(IV)が挙げられる。
(化7)
Figure 2005225771
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基、lは1〜5、mは40〜90、nは10〜40である。)
(化8)
Figure 2005225771
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分枝アルキレン基、もしくはフェニル基、mは40〜90、nは10〜40の数である。)
上記一般式(III)で表される分散剤は、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を使用して、化合物(a1)とポリエチレングリコールをウレタン結合により結合させたものである。例えば化合物(a1)の代わりに片末端アミノ基シリコーンを用いれば、全く同様にして尿素結合により結合した分散剤も合成可能である。ジイソシアネートとしては、公知の化合物を用いることができる。例えば、脂肪族ジイソシアネートとして、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ、芳香族ジイソシアネートとしては、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネートが挙げられ、脂環族ジイソシアネートとしては、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
また、例えば化合物(a1)の代わりに片末端カルボキシル基シリコーンを用い、ジシクロヘキシルカルボジイミド共存下で反応を行えば、エステル結合により結合した分散剤も合成可能である。
また、上記一般式(IV)で表される分散剤は、化合物(a2)と下記構造式(a3)のポリエチレンのジアリルアルキルエーテルを用いてエーテル結合により結合させたものである。
(化9)
Figure 2005225771
(式中、nは10〜40の数である。)
本発明の分散剤の機能発現には、Aブロック鎖(両末端シリコーン鎖)の溶媒中への溶解性と、Bブロック鎖(ポリエチレングリコール鎖)の酸化チタン表面への吸着性が重要である。すなわち、AB両ブロックの親水/親油性のバランス(HLB)が適切な範囲にあることが機能発現に必須となる。HLBはより算出される。本発明の分散剤は、Griffinの式(HLB値=エチレンオキサイド部分子量×20/総分子量)において、HLBが1〜3であることが好ましい。
また、Aブロック鎖が高分子量であるほど酸化チタンの凝集防止効果は高く、Bブロック鎖が高分子量であるほど吸着能は高い。しかしながら、Bブロック鎖が隣同士の粉体間を架橋するほどの高分子量となると、粉体の凝集促進効果を示すようになること、またAB両ブロックの分子量が高くなりすぎると、伸びの重さを感じる場合があることから、本発明の分散剤の分子量は3000〜20000が好ましい。
また分散剤の配合量は、油相成分の総量に対して0.1〜50質量%が好適である。
上記分散剤は粉体の分散安定性が極めて高く、特にシリコーン油を含有する油中において粉体の安定性が著しく高い。
シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状ポリシロキサン;シクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン等の環状のポリシロキサン;ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等の変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合メチルポリシロキサン等のシリコーン系樹脂等が挙げられる。
また、油相には、シリコーン油以外の他の油相成分として、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油等から選ばれる任意の成分を配合することができ、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されない。
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
前述したように、本発明の組成物を製造する際に、まず油相を構成する油分に疎水化処理酸化チタンをあらかじめ配合してビーズミル等の高い破砕力をもつ湿式分散機で微粉砕し、酸化チタン分散液を得る。
得られた酸化チタン分散液は、ベンゾトリアゾール誘導体(I)を含む水相とホモミキサーで混合、乳化する。この際、生成する乳化粒子より大きい粒子径を持つ酸化チタン粒子が存在すると、ホモミキサー処理により酸化チタンの一部が油相から出て凝集物を形成してしまうので、酸化チタンの平均粒子径は乳化粒子径より小さくする必要がある。例えばビーズミルを使用する場合には、分散液のミルへのパス回数を増やすことで破砕粉末の粒子径を十分小さくし、乳化粒子径よりも十分小さい破砕粉末を得ることができる。
また、本発明では、疎水化処理酸化チタンは2次凝集体が十分に壊砕された状態で油相に存在するため、塗布時に粉感が少なく、塗布後の肌上での分散状態がよく、高い紫外線遮蔽効果が得られる。
<増粘剤>
また、経時による乳化油滴の沈降、クリーミングに対する安定性、さらには粉体の凝集に対する安定性を改善するために、耐塩性をもつ増粘剤、特にサクシノグリカン、キサンタンガムまたはアクリルアミドを配合することが特に好適である。通常の増粘剤を使用する場合には、疎水化処理酸化チタンから水相へ、経時的に徐々に溶出する塩が増粘剤に作用し、粘度を低下させることがあるが、サクシノグリカン等の耐塩性に優れた増粘剤を使用する場合には、溶出塩による影響を受けず、長期にわたり乳化粒子の沈降を防ぐことができる。
中でも、温度変化に対して保持力が大きく、大きな降伏値をもつことからサクシノグリカンを用いることが特に好ましい。
サクシノグリカンは、微生物に由来する多糖類の一種であり、より具体的にはガラクトース及びグルコースから誘導される糖単位に加え、コハク酸及びピルビン酸並びに随意成分としての酢酸、又はこれらの酸の塩から誘導される単位を含む微生物に由来する多糖類を意味する。
より具体的にはサクシノグリカンは、ガラクトース単位:1,グルコース単位:7,コハク酸単位:0.8及びピルビン酸単位:1に、随意成分である酢酸単位を含むことのある平均分子量が約600万の下記構造式で表される水溶性高分子である。
(化10)
Figure 2005225771
(式中、Glucはグルコース単位を、Galacはガラクトース単位を表す。また.括弧内の表示は糖単位同士の結合様式を表す。例えば(β1,4)は,β1−4結合を表す。)
このサクシノグリカンの供給源となる微生物としては、例えばシュードモナス属、リゾビウム属、アルカリゲネス属又はアグロバクテリウム属に属する細菌を挙げることができる。これらの細菌の中でも、アグロバクテリウム属に属する細菌であるアグロバクテリウム・ツメファシエンスI−736〔ブタペスト条約に従い1988年3月1日に微生物培養締約国収集機関(CNCM)に寄託され、I−736の番号で公に入手し得る。〕が、特にサクシノグリカンの供給源として好ましい。
サクシノグリカンは、これらの微生物を培地中で培養することによって製造することができる。より具体的には、概ねグルコース、蔗糖、デンプンの加水分解物等の炭素源;カゼイン、カゼイネート、野菜粉末、酵母エキス、コーンスティープリカー(CSL)等の有機窒素源;金属の硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機塩類や随意微量元素等を含む培地で上記の微生物を培養することによって製造することができる。
なお、乳化組成物中にこのようにして製造したサクシノグリカンをそのまま配合し得ることは勿論、必要に応じて酸分解、アルカリ分解、酵素分解、超音波処理等の分解処理物も同様に配合することができる。
耐塩性をもつ増粘剤の配合量としては、組成物全量に対して0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%が好ましい。2質量%を超えるとよれが生じるなど使用感が悪くなることがある。
<可塑剤>
上述のように、サクシノグルカンを増粘剤として使用することが好ましいが、サクシノグルカンは、剛直性の直鎖状高分子であり、これを含む組成物は皮膚上で乾燥後、硬い被膜を形成するため、よれを生じることがある。特に、疎水化処理酸化チタンと併用する場合、サクシノグルカンが疎水化処理酸化チタンを巻き込むことで、よれが増長される。そこで、サクシノグルカンを可塑化することで、よれをなくして使用感触を改善することができる。
可塑剤としては、グリセリン,ポリオキシエチレンエチレンメチルグルコシド,ポリエチレングリコール20000を用いることが好適である。これらの可塑剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
本発明にかかる組成物における可塑剤の配合量は、組成物全体に対して、1〜40重量%であることが好適である。
本発明の組成物には、その効果を損なわない範囲において、通常化粧料に用いられる各種の成分、例えば保湿剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、薬剤、抽出液、香料、色素等を配合できる。
保湿剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、アミノ酸、核酸、コラーゲン、エラスチン等のタンパク質、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類等が挙げられる。
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素等が挙げられる。
本発明の水中油型組成物を化粧料に用いる場合、その形態は特に限定されず、化粧水,乳液,クリーム,洗顔料,ジェル,エッセンス(美容液),パック等の基礎化粧品、口紅,アイシャドウ,アイライナー,マスカラ,ファンデーション,サンスクリーン等のメーキャップ化粧品、口腔化粧品、芳香化粧品、毛髪化粧品、ボディ化粧品等、従来化粧料に用いるものであれば何れの形態でも広く適用可能である。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。また、配合量(%)は特に記載のない限り質量%である。
本発明に用いる評価方法は以下の通りである。
<紫外線防御効果>
紫外線防御効果は、特開平7−167781号公法記載の、高精度のin vitro SPF測定システムを用いて行った。
具体的には、光源に、ソーラーシュミレーター(Solar Ultraviolet Simulator Model 600:Solar Light Co.)を使用した。塗布体として用いたトランスポアテープTM(3M Co.)に、試料を2.0mg/cm2の塗布量で均一に塗布し、15分間乾燥後、紫外線を照射した。そして、その透過紫外線スペクトルの演算処理を行い、SPF値を算出した。
下記の項目について、専門パネルにより、それぞれの評価基準に基づき、各サンプルを評価した。
<きしみ>
調製直後、皮膚に塗布し、きしみの有無について評価した。
評価基準
◎:全くきしみが感じられない。
○:若干のきしみが感じられるが、違和感がない。
△:きしみが感じられ、違和感がある。
×:強いきしみが感じられる。
<白浮き>
調製直後、皮膚に塗布し、白さの評価を行なった。
評価基準
◎:全く白浮きが見受けられない。
○:若干の白浮きが見受けられるが、違和感がない。
△:白浮きが見受けられ、違和感がある。
×:はっきりと白浮きが見受けられる。
<安定性>
調製直後、目視で粉末凝集物の有無を観察した。
評価基準
◎:全く粉末凝集物が見受けられない。
○:若干の粉末凝集物が見受けられるが、問題ない。
△:粉末凝集物見受けられる。
×:はっきりと白浮きが見受けられる。
酸化チタンと様々な紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール誘導体(I)、パラアミノ安息香酸、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン)とを併用して、水中油型乳化組成物を調製し、きしみ、白浮き、安定性について試験した。結果を表1に示す。
(表1)
Figure 2005225771
*1)以下の合成方法で得られたもの
ポリエチレングリコール(Mw≒1000)30g、およびトルエン1500mlを反応容器に仕込み、ポリエチレングリコールが溶解後、沸石を投入し130℃まで上昇させ1時間程度トルエン中の水分を共沸させる。その後80℃にて還流、窒素ガス流入条件下、片末端水酸基ポリジメチルシロキサン(Mw≒5000。上記(a1)の化合物、m≒70:サイラプレーン FM−0421,チッソ製)300gをモレキュラーシーブスにより脱水されたトルエンにより希釈し添加、均一を確認後、さらに、脱水トルエンで希釈されたヘキサメチレンジイソシアネート10.1gおよびジラウリン酸ジブチルすず(IV)0.47gを加え、70℃にて20時間反応させる。20時間経過後、水5mlを添加し反応を停止させる。室温に戻した後、反応溶液をエバポレーションにより濃縮し、流動性のある粘性液体の目的化合物を得る。
*2)シリコーンKF−6017TM(信越化学社製)
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(5)〜(8)を混合し、混合液をビーズミルにおいてパス回数5回で処理して十分に疎水化処理酸化チタンを破砕、分散し、その後(9)〜(11)を添加し70℃に加温する。
3.(12)〜(16)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
水相にベンゾトリアゾール誘導体(I)を配合した試験例1−1は、十分な紫外線防御効果(SPF32)を有し、良好な安定性を有しながら、使用上きしみや白浮きが問題とならない組成物であった。また、さらにオクチルメトキシシンナメートを配合した試験例1−2においては、紫外線防御効果がより高くなり、SPF50以上が実現された。
これに対し、ベンゾトリアゾール誘導体(I)を配合しない試験例1−3〜1−5においては、オクチルメトキシシンナメートを配合しても、十分な紫外線防御効果は得られなかった(SPF22,24,20)。さらにその他の紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸あるいは2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン)を配合した試験例1−3,1−4においては、十分な紫外線防御効果は得られないばかりか、基剤の安定性についても問題が生じた。
このことから、疎水化処理酸化チタンを配合した水中油型乳化組成物において、ベンゾトリアゾール誘導体(I)を配合すると、紫外線防御効果が高く、且つ優れた分散安定性と良好な使用性とを有する水中油型乳化組成物が得られ、この効果はベンゾトリアゾール誘導体(I)に特異的なものであることが確認された。
また、粉末の分散剤としては、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンを用いた場合にも良好な組成物が得られるが(試験例1−6)、両末端シリコーン化PEGを用いた場合に、特に安定性が良好な組成物が得られることが確認された。
次に、ベンゾトリアゾール誘導体(I)及び疎水化処理酸化チタンの好適な配合量を検討した。
(表2)
Figure 2005225771
*1)、*2)同上
疎水化処理酸化チタンを配合しない場合(試験例2−1)、紫外線防御効果が不十分であったが、疎水化処理酸化チタンの配合量3質量%において、十分な紫外線防御効果(SPF48)達成された(試験例2−2)。また配合量12質量%までは十分な紫外線防御効果に加えて、安定性、良好な使用感が維持されていたが、配合量15質量%では、白さが目立つようになり、きしみが起こり、また、安定性に問題が起きてしまった(試験例2−5)。
以上のことから、疎水化処理酸化チタンの配合量は、組成物全体に対して3〜12質量%が好適であることが確認された。
(表3)
Figure 2005225771
*1)、*2)同上
ベンゾトリアゾール誘導体(I)は、配合量2質量%において、十分な紫外線防御効果が達成された(試験例3−1)。また配合量8質量%までは紫外線防御効果、安定性、使用感がすべて良好であったが、配合量10質量%では、安定性が悪くなることが確認された(試験例3−5)。
以上のことから、ベンゾトリアゾール誘導体(I)の配合量は、組成物全体に対して2〜8質量%が好適であることが確認された。
さらに、表4の処方に基づき、各種の製法で水中油型乳化組成物(試験例4−1〜4−4)を製造し、疎水化処理酸化チタンの分散状態と塗布時の使用感触との関係を試験した。
<塗布時の使用感触>
各試験例の組成物を被験者の肌へ塗布し、塗布時の使用感触の官能評価を行った。
評価基準
◎:被験者の80%以上が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
○:被験者の50%以上80%未満が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
△:被験者の30%以上50%未満が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
×:被験者の30%未満が、粉末感がなくみずみずしくさっぱりした感触であると回答
(表4)
処方
(1)イオン交換水 残量
(2)POE−60硬化ヒマシ油 1.0
(3)サクシノグリカン 0.3
(4)エデト酸塩 適量
(5)疎水化処理酸化チタン 5.0
(6)デカメチルペンタポリシロキサン 15.0
(7)両末端シリコーン化PEG 3.0
(8)オクチルメトキシシンナメート 5.0
(9)メチルフェニルポリシロキサン 1.0
(10)ジメチルポリシロキサン 1.4
(11)防腐剤 適量
(12)エタノール 7.0
(13)ベンゾトリアゾール誘導体(I) 4.0
試験例4−1
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(5)〜(7)を混合し、混合液をビーズミルにおいてパス回数5回で処理して十分に疎水化処理酸化チタンを破砕、分散し、その後(8)〜(10)を添加し70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
試験例4−2
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(5)〜(7)を混合し、混合液をビーズミルにおいてパス回数3回で処理して疎水化処理酸化チタンを破砕、分散し、その後(8)〜(10)を添加し70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
試験例4−3
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(5)〜(10)を混合し、70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化し、室温まで攪拌冷却する。
試験例4−4
製法:
1.(1)〜(4)を混合溶解し、70℃に加温する。
2.(6)〜(10)を混合し、70℃に加温する。
3.(11)〜(13)を混合し70℃に加温する。
4.1〜3をホモミキサーにて混合乳化する。
5.ホモミキサー処理後の乳化粒子径より十分に微細である疎水化処理微粒子酸化チタン(平均粒子径100nm)をイオン交換水に分散し、これを4へディスパーで分散し、室温まで攪拌冷却する。
各試験例についての評価結果を表5に示す。
(表5)

試験例4−1 試験例4−2 試験例4−3 試験例4−4
塗布時の使用感触 ◎ △ × △
表5より明らかなように、試験例4−1ではビーズミルで十分に破砕された疎水性酸化チタンが乳化油相中に分散した構造をもつため、塗布時に粉感がなく、塗布色も目立たず良好な使用感触であった。さらに、塗布後の肌上での分散状態がよいため、紫外線遮蔽効果にも特に優れていた。
一方、試験例4−2ではビーズミルによる疎水化処理微粒子酸化チタンの破砕が十分でなく、試験例4−3では破砕処理を行わなかったため、ホモミキサー処理時に乳化油滴径より大きい粒子径をもつ疎水化処理微粒子酸化チタンが油相から出て凝集物が発生した。このため塗布時に粉感を感じることがあった。
また、試験例4−4では疎水化処理微粒子酸化チタンの一次粒子径は乳化粒子径より十分に微細であるものの、乳化粒子径より大きな二次粒子の疎水化処理微粒子酸化チタンの一部が水相に存在していた。このため塗布時に粉感を感じたり、塗布色が目立ったりすることがあった。
以上より、疎水化処理酸化チタンを、二次凝集体が十分に壊砕された状態で油相に存在させることにより、良好な使用感触が得られることが確認された。
表6の処方に基づき、前述の試験例4−1と同様の製法で水中油型乳化組成物(試験例5−1〜5−4)を製造した。これらの各試験例の組成物について製造から1ヵ月経過後の乳化物の状態を視覚にて評価した。
<経時安定性>
評価基準
○:組成物は分散状態を保っていた。
×:組成物中の乳化粒子が沈降、合一して油相が分離した。
各試験例についての評価結果を表6に示す。
(表6)

試 験 例
処方 5−1 5−2 5−3 5−4
(1)イオン交換水 残量 残量 残量 残量
(2)POE−60硬化ヒマシ油 1.0 1.0 1.0 1.0
(3)サクシノグリカン 0.3 − − −
(4)キサンタンガム − 0.36 − −
(5)アクリルアミド(セピゲル305TM:セピック社製)
− − 0.3 −
(6)ポリアクリル酸塩 − − − 0.3
(7)エデト酸塩 適量 適量 適量 適量
(8)疎水化処理酸化チタン 5.0 5.0 5.0 5.0
(9)デカメチルペンタポリシロキサン 15.0 15.0 15.0 15.0
(10)両末端シリコーン化PEG 3.0 3.0 3.0 3.0
(11)オクチルメトキシシンナメート 5.0 5.0 5.0 5.0
(12)メチルフェニルポリシロキサン 1.0 1.0 1.0 1.0
(13)ジメチルポリシロキサン 1.4 1.4 1.4 1.4
(14)防腐剤 適量 適量 適量 適量
(15)エタノール 7.0 7.0 7.0 7.0
(16)ベンゾトリアゾール誘導体(I) 4.0 4.0 4.0 4.0
経時安定性 ◎ ○ ○ △
表6より明らかなように、増粘剤としてサクシノグリカン、キサンタンガム、アクリルアミドを使用した場合には、経時安定性がよいのに対し、他の増粘剤を用いた場合は経時安定性がやや劣る。中でもサクシノグリカンを使用した場合には、特に経時安定性がよい。これは、通常の増粘剤を使用した場合、酸化チタンから水相へ、経時的に徐々に溶出する塩が増粘剤に作用し粘度を低下させるためと考えられる。これに対し、サクシノグリカン等の耐塩性に優れた増粘剤を使用した場合には溶出塩による影響を受けず、長期にわたり乳化粒子の沈降を防ぐものと考えられる。
処方例1 クリーム
(処方) (質量%)
(1)イオン交換水 残量
(2)POE60水添ヒマシ油 1
(3)サクシノグリカン 2
(4)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3
(5)グリセリン 1
(6)エデト酸塩 適量
(7)疎水化処理酸化チタン 9
(8)両末端シリコーン化ポリエチレングリコール 1.5
(9)デカメチルペンタポリシロキサン 15
(10)ジメチルポリシロキサン 3
(11)オクチルメトキシシンナメート 5
(12)防腐剤 適量
(13)エタノール 7
(14)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2
(チノソーブMTM:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)
(製法)
1.(1)〜(6)を混合溶解し、70℃に加熱する。
2.(7)〜(11)をビーズミルにより高分散処理し、70℃に加熱する。
3.(12)〜(14)を混合溶解し、70℃に加熱する。
4.1〜3を混合乳化し、攪拌しながら室温まで冷却する。
処方例2 乳液
(処方) (質量%)
(1)イオン交換水 残量
(2)POE60水添ヒマシ油 1
(3)サクシノグリカン 0.2
(4)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3
(5)グリセリン 1
(6)エデト酸塩 適量
(7)疎水化処理酸化チタン 9
(8)ジメチコンポリオール 2
(9)デカメチルペンタポリシロキサン 12
(10)イソステアリン酸 1
(11)オクチルメトキシシンナメート 5
(12)防腐剤 適量
(13)エタノール 6
(14)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 2
(チノソーブMTM:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製)
(製法)
1.(1)〜(6)を混合溶解し、70℃に加熱する。
2.(7)〜(11)をビーズミルにより高分散処理し、70℃に加熱する。
3.(12)〜(14)を混合溶解し、70℃に加熱する。
4.1〜3を混合乳化し、攪拌しながら室温まで冷却する。
上記処方例の水中油型乳化組成物は、高い紫外線防御指数と、優れた分散安定性、良好な使用性を有していた。

Claims (6)

  1. 水相中に下記式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体と、HLB値が10以上である親水性界面活性剤1種または2種以上とを含み、
    油相中に疎水化処理酸化チタンを含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
    (化1)
    Figure 2005225771
  2. 請求項1に記載の組成物において、疎水化処理酸化チタンの配合量が、組成物全体に対して3〜12質量%であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の組成物において、式(I)で表されるベンゾトリアゾール誘導体の配合量が、組成物全体に対して2〜8質量%であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の組成物において、さらに油相中にオクチルメトキシシンナメートを含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物において、さらにサクシノグリカン、キサンタンガム及びアクリルアミドからなる群より選択される1種又は2種以上の増粘剤を0.05〜2質量%含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物において、さらに、前記疎水化処理酸化チタンの分散剤として下記一般式(II)で表される両末端シリコーン化ポリエチレングリコールを含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
    (化2)
    Figure 2005225771
    (式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキレン基、もしくはフェニル基であり、Xは任意の結合基である。lは1〜5、mは40〜90、nは10〜40である。)
JP2004033663A 2004-02-10 2004-02-10 水中油型乳化組成物 Pending JP2005225771A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033663A JP2005225771A (ja) 2004-02-10 2004-02-10 水中油型乳化組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004033663A JP2005225771A (ja) 2004-02-10 2004-02-10 水中油型乳化組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005225771A true JP2005225771A (ja) 2005-08-25

Family

ID=35000769

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004033663A Pending JP2005225771A (ja) 2004-02-10 2004-02-10 水中油型乳化組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005225771A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007269731A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nof Corp 皮膚用ウォータープルーフ製剤
WO2008018541A1 (fr) * 2006-08-09 2008-02-14 Shiseido Company Ltd. Composition d'émulsion de type huile dans eau
JP2009286748A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Shiseido Co Ltd 水中油型乳化化粧料
WO2011027632A1 (ja) 2009-09-01 2011-03-10 株式会社資生堂 日焼け止め化粧料
CN112829395A (zh) * 2021-02-05 2021-05-25 义乌市皓祺服饰有限公司 一种防水透气冲锋衣面料的制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001342125A (ja) * 2000-01-11 2001-12-11 Shiseido Co Ltd 美白用皮膚外用剤
WO2002051939A1 (fr) * 2000-12-22 2002-07-04 Shiseido Co., Ltd. Composition sous forme de gel
JP2002348209A (ja) * 2001-05-25 2002-12-04 Kose Corp 水中油型化粧料
WO2003075875A1 (en) * 2002-03-12 2003-09-18 Ciba Specialty Chemicals Holding Inc. Uv absorber compositions comprising a hydroxyphenyltriazine compound

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001342125A (ja) * 2000-01-11 2001-12-11 Shiseido Co Ltd 美白用皮膚外用剤
WO2002051939A1 (fr) * 2000-12-22 2002-07-04 Shiseido Co., Ltd. Composition sous forme de gel
JP2002348209A (ja) * 2001-05-25 2002-12-04 Kose Corp 水中油型化粧料
WO2003075875A1 (en) * 2002-03-12 2003-09-18 Ciba Specialty Chemicals Holding Inc. Uv absorber compositions comprising a hydroxyphenyltriazine compound

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007269731A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Nof Corp 皮膚用ウォータープルーフ製剤
WO2008018541A1 (fr) * 2006-08-09 2008-02-14 Shiseido Company Ltd. Composition d'émulsion de type huile dans eau
JP2009286748A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Shiseido Co Ltd 水中油型乳化化粧料
WO2011027632A1 (ja) 2009-09-01 2011-03-10 株式会社資生堂 日焼け止め化粧料
CN112829395A (zh) * 2021-02-05 2021-05-25 义乌市皓祺服饰有限公司 一种防水透气冲锋衣面料的制备方法
CN112829395B (zh) * 2021-02-05 2023-07-04 义乌市皓祺服饰有限公司 一种防水透气冲锋衣面料的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20190299032A1 (en) Oil-In-Water Type Emulsion Cosmetic Composition
JP5567765B2 (ja) 水中油型乳化組成物
JP4825931B2 (ja) 水中油型化粧料
JP5241011B2 (ja) 水中油型乳化日焼け止め化粧料
JP5263940B2 (ja) 皮膚外用剤
JP5108128B2 (ja) O/w乳化組成物及びその製造方法
JP2003212747A (ja) 油中水型乳化皮膚外用剤
JP4450427B2 (ja) 皮膚化粧料
JP2008291026A (ja) 水中油型乳化組成物及びその製造方法
JP2007332037A (ja) 水中油型エマルション
WO2011001633A1 (ja) 皮膚外用剤
JP2009040755A (ja) 毛髪化粧料
JP2009242321A (ja) 皮膚外用剤
JP2011195510A (ja) 水中油型乳化皮膚外用組成物
JP4601056B2 (ja) シロキサンエステル化合物、皮膚外用剤油分又は毛髪化粧料油分及びこれを配合した皮膚外用剤又は毛髪化粧料
JPWO2003026698A1 (ja) 皮膚外用剤
JP2005225771A (ja) 水中油型乳化組成物
JP2010024161A (ja) 微細エマルション組成物、およびその製造方法
JP4267321B2 (ja) 水中油型乳化組成物
JP4771644B2 (ja) 乳化型日焼け止め化粧料
JP7485607B2 (ja) 油中水型乳化化粧料
JP2005272454A (ja) 皮膚外用剤
JP3695710B2 (ja) 皮膚外用剤
JP2004083516A (ja) 油中水型乳化組成物
JP4027157B2 (ja) 日焼け止め油中水型乳化化粧料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080213

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080311