JP2004083326A - ムライトウィスカーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きさの揃ったムライトウィスカーを、環境に悪影響を与えることなく、安価に製造することが出来る方法を提供すること。
【解決手段】Al及びSiO を主成分とする化学組成を与えるムライト原料を、平均粒径が30μm以下となるように粉砕する一方、そのような原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ、次いで、その混合物を造粒して得られる造粒物を用い、かかる造粒物を焼成炉内にて流動させながら焼成せしめた後、生成した焼成体中のガラス相を溶解、除去することにより、大きさの揃ったムライトウィスカーを得る。
【選択図】    な し

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ムライトウィスカーの製造方法に係り、特に、プラスチック、セラミックス、金属等の複合材料の充填材等に好適に用いられ得る、大きさの揃ったムライトウィスカーを製造する方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、プラスチック、セラミックス、金属等に、様々な形状の微粒子や繊維状物質を充填材として配合し、内在せしめることによって、材料の強度や耐熱性等を向上させる方法が採用されており、そのための充填材として、様々なものが開発されている。
【0003】
一方、古くから耐火材や陶磁器等に利用されているムライト結晶は、元来、針状の結晶を成すことが広く知られているところから、プラスチック、セラミックス、金属等の複合材料における充填材としての研究が進められてきており、様々なムライト結晶(ムライトウィスカー)の製造方法が、提案されている。しかしながら、そのような従来のムライトウィスカーの製造方法にあっては、種々の問題を内在するものであった。
【0004】
例えば、特開平2−157200号公報においては、ムライト粉末又はムライト前駆体を、SO 2− 及びNO の群の中から選ばれる少なくとも一種を含む水溶液中において水熱処理することにより、アスペクト比の大きいムライトウィスカーを製造する方法が示されているが、かかる製造方法においては、製造コストが高いという欠点がある。
【0005】
また、特開平1−212299号公報、特開平3−261700号公報、特開平5−58618号公報、及び特開平11−43399号公報においては、SiO 源とAl源とを含む原料混合物に、AlF 、或いはAlF 及び他の添加剤を混合し、比較的低温度で焼成することにより、ムライトウィスカーを製造する方法が、提案されている。しかしながら、これらの方法にあっては、AlF を加熱処理することから、加熱により刺激性若しくは有毒なヒュームやガスを発生し、工業的規模での製造に際しては、排ガスの処理、環境・人体への悪影響等の問題を内在するものであった。
【0006】
さらに、特開平3−265600号公報では、上記のAlF に替えて、HFを用いることとして、ムライト組成ゾルにHFを添加しゲル化せしめたものを、乾燥、焼成することにより、ムライトウィスカーを製造する方法が開示されているが、HFの加熱処理によっても有毒ガスが発生することとなるところから、かかる製造方法においても、排ガス処理等の問題は解消されていない。
【0007】
加えて、特開平6−191999号公報や特開平10−101500号公報等においては、Si及びAlを含む原料を、種々の添加剤と共に焼成して、その焼成体中にムライト結晶を生成させ、その後、焼成体中のガラス相を溶解、除去せしめることにより、低コストでムライトウィスカーを製造する方法が、提案されている。
【0008】
ここにおいて、ムライトウィスカーが各種複合材料の充填材として用いられるためには、その形状が針状であることが必要とされるところ、ムライトウィスカーの大きさの取扱いについては、ウィスカーの長さの平均、及びそのばらつき(標準偏差)を把握するだけでは、得られたムライトウィスカーが針状か否かを判断することが非常に困難である。従って、ウィスカーの長さの平均、及び、各ウィスカーのアスペクト比(=長さ/長さ方向に垂直な断面の直径)の標準偏差を把握することが、重要である。
【0009】
しかしながら、上述の如き従来の製造方法にあっては、何れも、ムライトウィスカーを安価に製造し得ることや、アスペクト比の高いムライト結晶を得ること等に主眼が置かれているのであり、金属、プラスチック、セラミックス等の複合材に用いられる充填材として必要な、ムライトウィスカーの大きさの均一化という点については、未だ改善の余地が残されていたのである。
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、プラスチック、セラミックス、金属等の複合材料の充填材として好適に用いられ得る、大きさの揃ったムライトウィスカーを、環境に悪影響を与えることなく、安価に製造する方法を提供することにある。
【0011】
【解決手段】
そして、本発明は、かかる課題の解決のために、平均長さが5〜15μmの範囲内にあり、且つアスペクト比の標準偏差が5.0以下であるムライトウィスカーを製造する方法にして、Al及びSiO を主成分とする化学組成を与えるムライト原料を、平均粒径が30μm以下となるように粉砕する一方、そのような原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ、次いで、その混合物を造粒して得られる造粒物を用い、かかる造粒物を焼成炉内にて流動させながら焼成せしめた後、生成した焼成体中のガラス相を溶解、除去することにより、大きさの揃ったムライトウィスカーを得ることを特徴とするムライトウィスカーの製造方法を、その要旨とするものである。
【0012】
このように、本発明に従うムライトウィスカーの製造方法にあっては、細かく粉砕された原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめた後、その混合物を造粒して得られる造粒物を、焼成炉内にて流動させながら焼成せしめるものであるところから、各々の造粒物中において、焼成による化学反応(ムライトウィスカーの生成反応)を均一に生ぜしめ得るのであり、その結果、生成した焼成体中のガラス相を溶解、除去することによって、アスペクト比の標準偏差の小さい、粒子の大きさが揃ったムライトウィスカーを、効果的に製造することが出来るのである。
【0013】
なお、かかる本発明に従うムライトウィスカーの製造方法においては、前記造粒物の焼成が、ロータリー式焼成炉を用いて行なわれることが望ましく、これにより、造粒物の焼成が、より効果的に実施され得ることとなる。
【0014】
また、本発明の望ましい態様の一つによれば、前記ムライト原料の粉砕は、湿式粉砕操作にて実施されることとなる。このように、湿式粉砕操作によりムライト原料が粉砕されることによって、粉砕後、又は粉砕と同時に行なわれる、原料粉砕物の分散媒体中への分散、混合が、容易ならしめられ得るのである。
【0015】
さらに、本発明の望ましい態様の他の一つによれば、前記造粒物は、1500〜1800℃の温度にて焼成されることとなるのであり、このような焼成温度にて焼成されることにより、焼成体中に、ムライトウィスカーを効果的に生成せしめることが出来る。
【0016】
なお、このような本発明におけるムライトウィスカーの製造方法にあっては、一般に、化学組成が、Al:50〜75重量%、SiO :25〜50重量%、その他の成分:0〜5重量%となるように、前記ムライト原料が、調製されることとなる。このように調製されたムライト原料を用いることにより、大きさの揃ったムライトウィスカーの収率を高めることが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】
ところで、かかる本発明に従うムライトウィスカーの製造方法においては、先ず、Al源原料や、SiO 源原料、或いはAl成分及びSiO 成分を共に含有する原料鉱物等が出発原料として用いられて、Al及びSiO を主成分とする化学組成を与えるムライト原料が準備される。
【0018】
ここにおいて、Al源原料としては、焼成後にAlを生じ得る化合物であれば、如何なる原料であっても用いられ得るものであり、例えば、アルミナゲル、アルミナゾル、水酸化アルミニウム、仮焼アルミナ等を挙げることが出来る。また、SiO 源原料としても、焼成後にSiO を生じ得る原料であれば、如何なる化合物であっても用いられ得るのであり、例えば、シリカ、シリカゲル、シリカゾル、ヒュームドシリカ等を挙げることが出来る。さらに、Al成分及びSiO 成分を共に含有する原料鉱物であっても、好適に用いられ得るのであり、例えば、ばんど頁岩、カオリナイト、ハロイサイト、デッカイト等のアルミナ−シリカ質粘土鉱物や、これらの粘土鉱物を含む粘土、例えば、チャイナクレー、フリントクレー、頁岩粘土、木節粘土、蛙目粘土等が、適宜に用いられ得るのである。
【0019】
なお、ムライトウィスカー(ムライト結晶)の化学組成は、Al:71.8%、SiO :28.2%であることから、ムライトウィスカーの収率を確保するためには、ムライト原料中におけるAl成分の含有量は50重量%以上であることが好ましく、その一方、Al成分が過剰に存在すると、コランダム結晶の生成を引き起こし、ムライトウィスカーの大きさを不揃いにする恐れがあるため、Al成分の含有量は、75重量%以下とすることが、好ましい。また、かかるAl成分の含有量に対応して、SiO 成分の含有量は25〜50重量%とすることが、好ましい。なお、Al、SiO 以外の成分は、特に意図的に添加されるものではなく、出発原料より持ち込まれる成分であり、ムライトウィスカーの生成には全く関与しないものであるところから、ムライトウィスカーの収率を確保する観点より、Al、SiO 以外のその他の成分は、0〜5重量%とすることが好ましい。
【0020】
次いで、Al成分、SiO 成分、及びその他の成分が所定割合となるように調製されたムライト原料は、平均粒径が30μm以下となるように粉砕される。このように、ムライト原料が細かく粉砕されることにより、粉砕物を均一に分散、混合した後に造粒して得られる粒状物中においては、Al源原料及びSiO 源原料が密接に位置せしめられ得るのであり、これにより、AlとSiO との間における化学反応(ムライトウィスカー生成反応)が、より有効に、且つ均一に起こり得るのである。
【0021】
なお、上述の如きムライト原料の粉砕は、従来より公知の各種粉砕操作であれば、何れの方法によっても実施可能である。また、実際の粉砕に際しては、ムライト原料全体をまとめて粉砕することも、或いは、各出発原料を個別に粉砕することも、可能である。具体的には、乾式粉砕操作、或いは、液体の介在する湿式粉砕操作の何れによっても実施され得るが、粉砕と分散媒体中への混合を同時に行なうことが出来る湿式粉砕操作が、より好適に採用されることとなる。なお、原料の粉砕には、ボールミル、振動ミル、タワーミル等の各種粉砕機を用いることが出来る。
【0022】
このようにして得られた原料粉砕物は、水等の分散媒体と共に、混合装置内に投入されて、混合されることとなるが、原料粉砕物を分散媒体中において均一に分布せしめるためには、分散媒体中における原料粉砕物の流動性が確保される必要がある。具体的には、原料粉砕物と分散媒体の合計量に対する、固形物たる原料粉砕物の割合が、80重量%を超えると、粘度が高くなり、原料粉砕物の混合及び均一な分散が困難となるところから、好ましくは30〜70重量%の割合となるように、原料粉砕物及び分散媒体の量が調整されることとなる。なお、混合には、原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ得る手法であれば、如何なるものであっても、用いられ得るのであり、例えば、高速撹拌機付き混合器や、粉砕・混合を同時に実施し得る撹拌・粉砕用ボール入りミル等が、好適に用いられる。
【0023】
さらに、ムライト原料が分散媒体中に均一に分散せしめられてなる混合物を脱水、乾燥し、必要に応じて所定のバインダーを加えた後、押出成形等の公知の手法により、所定形状の造粒物を作製する。
【0024】
そして、得られた造粒物は、焼成炉にて焼成されることとなるが、本発明においては、かかる造粒物を、焼成炉内にて流動させながら焼成せしめるところに、大きな特徴を有しているのである。即ち、造粒物に対する加熱処理(焼成)を、焼成炉内において、造粒物を流動させながら実施すると、個々の造粒物は均一に加熱せしめられて、各造粒物の内部における化学反応(ムライトウィスカー生成反応)が均一に進行せしめられるところから、以て、造粒物中に生成するムライトウィスカーは、粒子間のばらつきが少ない、即ち、アスペクト比の標準偏差が小さく、粒子の大きさが揃ったものとなるのである。
【0025】
なお、造粒物の焼成に際しては、より均質で、偏りの少ない焼成状態を確保するため、焼成中に連続的に造粒物を撹拌することが出来るロータリー式焼成炉を用いることが、好ましい。また、焼成温度は、造粒物の組成や用いられる炉の性能等を考慮して、最適な温度が適宜設定されることとなるが、大きさの揃ったムライトウィスカーを、収率良く製造するためには、一般に、1500〜1800℃の範囲内において設定されることが、望ましいのである。
【0026】
ここにおいて、造粒物の焼成は、具体的には、以下のようにして実施される。即ち、先ず、造粒物を、1500〜1800℃程度まで加熱可能な焼成炉内に投入し、かかる造粒物を焼成炉内にて流動させつつ、850℃/時間(h)以下、好ましくは350〜650℃/時間(h)程度の昇温速度にて、焼成温度(最高温度)に達するまで加熱される。そして、焼成温度にて5分以上、好ましくは10〜40分間保持された後、3500℃/時間(h)以下、好ましくは1000〜2300℃/時間(h)以下の冷却速度にて冷却されて、焼成した粒状物(焼成体)が得られることとなる。
【0027】
なお、焼成される造粒物は小粒であり、熱衝撃的影響を受けにくいものであるため、昇温速度、冷却速度共にある程度早くて良いが、早過ぎると粒状物(焼成体)が破壊して、粉状化する恐れがある一方、遅過ぎると、生産性が悪化する。特に、昇温の場合にあっては、造粒物が熱衝撃により割れやすく、また、焼成温度(最高温度)に上手に近づける必要もあるところから、昇温速度に限界が生ずる。また、ロータリー式焼成炉を用いる場合にあっては、炉内を焼成温度にて長時間保持することが困難であるが、炉内への造粒物の供給速度や、炉の回転速度等を制御して、焼成温度での保持時間を少しでも長く確保する必要がある。更に、焼成炉内に粒状物(焼成体)が多すぎる場合も、均質な焼成状態を維持することが困難となるため、一度に炉内に投入される粒状物の量は、炉内断面積に対して、かかる粒状物の層の占める割合が30%を超えないような、好適には、10%程度となるような量とされる。
【0028】
そして、かかる得られた焼成体中のガラス相を、フッ酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、硫酸及び塩酸等の混酸等を用いて、溶解、除去することにより、大きさの揃ったムライトウィスカー、具体的には、平均長さが5〜15μmの範囲内にあり、且つアスペクト比の標準偏差が5.0以下であり、更にはアスペクト比の平均が3〜20であるムライトウィスカーが、得られるのである。なお、ガラス相を溶解、除去した後でも、ムライトウィスカーが自然に分散せず、凝集している粒(凝集粒)については、ミル等の粉砕機により、解砕処理が行なわれることとなる。
【0029】
【実施例】
以下に、本発明の代表的な実施例を含む幾つかの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実験例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実験例に含まれる実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが理解されるべきである。
【0030】
実験例 1
Al源として水酸化アルミニウム、又は仮焼アルミナを、またSiO 源としてシリカ粉を、更にはAl成分とSiO 成分を同時に含む鉱物であるカオリナイトを含む粘土を、それぞれ出発原料として用いて、焼成して得られる焼成体における化学組成で、Alが60重量%となるような配合割合において、各出発原料を配合して、出発原料が異なる3種類のムライト原料(原料A、B、C)を調製した。なお、各出発原料の化学組成を、下記表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 2004083326
【0032】
次いで、かかる調製された3種類のムライト原料を、アルミナ質ボールを充填させたボールミルを用いて、各々の原料の半分については乾式粉砕操作を、残りの半分については湿式粉砕操作を、それぞれ実施した。粉砕操作後の各ムライト原料の平均粒径を、下記表2に示す。そして、乾式粉砕操作にて得られた各ムライト原料の微細粉については、撹拌機の付いた密閉容器中で、撹拌・混合(乾式混合)を行ない、適度に加湿せしめた後、プレス機により、直径:10mm、厚さ:3mmの円盤状の造粒物を作製した。一方、湿式粉砕が施された各ムライト原料については、液体混合可能な高速撹拌機の設備の付いたタンク内において、分散媒体(水)中に均一に分散、混合せしめた後、原料Cの混合物(混合液)については、スプレードライヤーを用いて、脱水、乾燥、造粒を同時に行ない、直径:0.2〜3mmの略球状の造粒物を作製した。また、原料A、Bの各混合物(混合液)にあっては、フィルタープレスにて脱水した後、押出機を用いて、直径:5mm、長さ:10mm前後の円柱形状の造粒物を作製した。
【0033】
さらに、このようにして得られた各造粒物を、ロータリーキルン内に、炉内断面積の10%程度を占めるように連続的に供給して、昇温速度:400℃/時間(h)にて、焼成温度:1600℃まで昇温した後、かかる焼成温度にて約20分間保持せしめ、更にその後、冷却速度:1600℃/時間(h)にて常温まで冷却することにより、各造粒物の焼成体を得た。
【0034】
そして、その得られた各焼成体に対して、濃度:30重量%のフッ酸水溶液を用いて、20℃、20時間の条件にて浸漬処理を行ない、各焼成体中のガラス相を溶解、除去せしめ、更に溶解残渣を濾過し、洗浄、乾燥することにより、各種の針状結晶を得た。このようにして得られた結晶は、X線回折により、何れも、ムライトウィスカーであることを確認した。
【0035】
また、かかる得られたムライトウィスカーは、再度、液中に分散させ、観察試料台の上に液と共にのせ、ムライトウィスカーが横たわった状態となるように乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各原料よりなる生成されたムライトウィスカーについて、その長さ及びアスペクト比を測定した。200個の結晶粒から算出したウィスカーの平均長さ、アスペクト比の平均、並びにアスペクト比の標準偏差を、下記表2に併せて示す。
【0036】
【表2】
Figure 2004083326
【0037】
かかる表2の結果からも明らかなように、本発明に従う方法(方法No.2、4、6、7)より得られたムライトウィスカーにあっては、平均長さが5〜15μmの範囲内にあり、且つアスペクト比の標準偏差が5.0以下と、大きさの揃ったものであることを確認した。一方、本発明の範囲外の方法(方法No.1、3、5)より得られたムライトウィスカーにあっては、SEMによる観察の際に、アスペクト比の非常に大きいウィスカーと小さいウィスカーとが混在していることが認められ、その結果、アスペクト比の標準偏差も大きくなっていることが判った。また、粉砕後の原料の平均粒径が本発明の範囲外である方法No.8においては、得られたムライトウィスカーの平均長さが5μm未満となり、Al O 成分とSiO 成分との間における反応性が悪いことが、認められたのである。
【0038】
実験例 2
実験例1で用いたものと同種の水酸化アルミニウム、シリカ粉、及びカオリナイトを含む粘土を、出発原料として用いて、下記表3に記載の如く、Al含有量が異なる5種類のムライト原料(原料D、E、F、G、H)を調製した。次いで、各々のムライト原料を、分散媒体としての水と共に、ボールミル中に投入し、原料の粉砕と混合を同時に行なった。なお、かかる投入の際には、原料と水の合計量に対して、原料の割合が約60重量%となるように、原料及び水の量を調整した。
【0039】
次いで、このようにして得られた原料及び水の混合物(混合液)に対して、スプレードライヤーを用いて、脱水、乾燥、造粒を同時に行ない、そしてその得られた造粒物を、ロータリーキルンにて焼成した。昇温速度、焼成温度における保持時間、並びに冷却速度は、実験例1と同様の条件にて行なったが、焼成温度については、1400〜1800℃の範囲において、原料の組成に応じた温度を選択した。そして、得られた各焼成体に対して、実験例1と同様の処理を施すことにより、各種の針状結晶を得た。
【0040】
かかる得られた結晶について、X線回折により結晶の組成を調べると共に、実験例1と同様に、SEMによる測定結果より、ムライトウィスカーの平均長さ、及びアスペクト比の標準偏差を算出した。その結果を、下記表3に示す。
【0041】
【表3】
Figure 2004083326
【0042】
また、X線回折により結晶の組成を調べたところ、原料D、E、F、Gより得られた結晶は、全て、ムライトウィスカーの単一相であることが確認されたが、Al含有量が80重量%となるように調製された原料Hより得られた結晶中には、ムライトウィスカーの他に、コランダム結晶の存在が認められた。また、上記表3の結果からも明らかなように、Al含有量が40重量%となるように調製された原料Dより得られたムライトウィスカーにあっては、その平均長さが短いことが確認され、また、その収率も少ないものであった。一方、原料E、F、Gより得られたムライトウィスカーは、平均長さも比較的長く、アスペクト比の標準偏差も小さいものであることが、認められた。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従うムライトウィスカーの製造方法にあっては、細かく粉砕されたムライト原料を、所定の分散媒体中において均一に分散、混合せしめた後、その混合物を造粒して得られる造粒物を用い、それを焼成炉内において流動させながら焼成せしめるものであるところから、かかる造粒物中のAlとSiO との間における化学反応(ムライトウィスカー生成反応)が、より有効に、且つ均一に生ぜしめられ、以て、大きさの揃ったムライトウィスカーを、効率よく製造することが出来るのである。
【0044】
また、本発明において用いられるムライト原料は、焼成後にムライトウィスカーを構成することとなるAl及びSiO を主成分とするものであり、その他の添加剤等は一切必要とされないものであるところから、本発明に従えば、ムライトウィスカーを、環境に悪影響を与えることなく、且つ安価に製造することが出来るのである。

Claims (5)

  1. 平均長さが5〜15μmの範囲内にあり、且つアスペクト比の標準偏差が5.0以下であるムライトウィスカーを製造する方法にして、Al及びSiO を主成分とする化学組成を与えるムライト原料を、平均粒径が30μm以下となるように粉砕する一方、そのような原料粉砕物を分散媒体中において均一に分散、混合せしめ、次いで、その混合物を造粒して得られる造粒物を用い、かかる造粒物を焼成炉内にて流動させながら焼成せしめた後、生成した焼成体中のガラス相を溶解、除去することにより、大きさの揃ったムライトウィスカーを得ることを特徴とするムライトウィスカーの製造方法。
  2. 前記造粒物の焼成が、ロータリー式焼成炉を用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載のムライトウィスカーの製造方法。
  3. 前記ムライト原料の粉砕が、湿式粉砕操作にて実施される請求項1又は請求項2に記載のムライトウィスカーの製造方法。
  4. 前記造粒物が、1500〜1800℃の温度にて焼成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のムライトウィスカーの製造方法。
  5. 前記化学組成が、Al:50〜75重量%、SiO :25〜50重量%、その他の成分:0〜5重量%となるように、前記ムライト原料が、調製されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のムライトウィスカーの製造方法。
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