JP2004083158A - エレベータの遠隔救出運転制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】知識を有する特定の操作者による遠隔地からの救出運転を可能にしたエレベータの遠隔救出運転制御装置を提供する。
【解決手段】巻上げモータ7が駆動しない場合に巻上げモータのブレーキ71を開放しかご4と釣合おもり6の荷重不平衡を利用して救出運転を行いかごを適当な階へ着床させるエレベータにおいて、かごの着床位置を確認するためにエレベータの昇降路側に設けられた着床用標識と、この着床用標識よりかごの着床状態を監視するエレベータのかご側に設けられた着床状態監視カメラ12と、操作者15のいるところで前記着床状態監視カメラの映像をモニタする遠隔モニタ手段16,20と、操作者のいるところで巻上げモータのブレーキの操作を行う遠隔運転制御手段19,20と、を備え、遠隔操作により荷重不平衡を利用した救出運転を行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】巻上げモータ7が駆動しない場合に巻上げモータのブレーキ71を開放しかご4と釣合おもり6の荷重不平衡を利用して救出運転を行いかごを適当な階へ着床させるエレベータにおいて、かごの着床位置を確認するためにエレベータの昇降路側に設けられた着床用標識と、この着床用標識よりかごの着床状態を監視するエレベータのかご側に設けられた着床状態監視カメラ12と、操作者15のいるところで前記着床状態監視カメラの映像をモニタする遠隔モニタ手段16,20と、操作者のいるところで巻上げモータのブレーキの操作を行う遠隔運転制御手段19,20と、を備え、遠隔操作により荷重不平衡を利用した救出運転を行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータ装置に異常が発生した時、特にエレベータの制御装置が重故障して巻上げモータでエレベータかごを駆動できない場合のエレベータの乗客救出運転を行うエレベータの救出運転制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平10−81455号公報には、エレベータが故障して利用者がカゴ内に閉じ込められた時に、外部の管理者とカゴ内の利用者とが表示装置を含む双方向対話形式の通話装置で情報を交換するエレベータの通報装置が開示されている。
【0003】
また、特開平6−298462号公報には、遠隔よりかご内の乗客を使って低速救出運転を行う方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
エレベータが故障して、乗客がかご内に閉じ込められた場合の乗客の救出は、緊急かつ安全であることが要求される。特にエレベータの制御装置が重故障して巻上げモータでエレベータを駆動できない場合は、エレベータ専門の保守員の出動が必要である。この場合の救出は、保守員がブレーキを開放することによりエレベータを自重で動かし(かごと釣合おもりの荷重不平衡を利用)、適当な階へ着床させることが一般に行なわれている。
【0005】
しかしながら、エレベータの故障の通報を受けてから保守員が現場に到着するまでに多くの時間を要することがある。従って例えば保守員が常駐する保守会社から遠隔操作で救出運転を行えるようにすれば極めて有用なものとなる。
【0006】
上述の2つの従来技術においても、このようなことは言及されておらず、特開平10−81455号公報は双方向通信でカゴ内と外部との連絡を取り合う技術の開示はあるが、乗客の救出に関しては言及されていない。また、特開平6−298462号公報に記載されている低速救出運転は、エレベータ駆動モータを駆動して救出するものであり、エレベータの制御装置の故障が軽微な場合に限られるものであり、エレベータ駆動モータを駆動することができないような重故障時の救出方法については言及されていない。
【0007】
上記技術において、エレベータの制御装置が重故障した場合のエレベータ内の乗客の救出が遠隔からできなかった理由は次の通りである。
(1)救出方法は一般に、上述したようにエレベータのブレーキを開放してエレベータの重力を利用して動かし、適当な乗り場に着床させる方法が行われる。この救出方法は危険を伴い熟練した技術を必要とするので一般の人(かご内乗客)に行わせるのは困難である。
(2)また、エレベータの専門家でも遠隔から行うにはエレベータの状況を良く把握しながら行う必要があるので遠隔より操作することは(通信の伝送の時間遅れなどがその一因)困難である。
【0008】
本発明は上記の課題を解消するためになされたもので、エレベータの知識を有する操作者による遠隔地からの救出運転を可能にしたエレベータの遠隔救出運転制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に鑑み、本発明は、巻上げモータが駆動しない場合に巻上げモータのブレーキを開放しかごと釣合おもりの荷重不平衡を利用して救出運転を行いかごを適当な階へ着床させるエレベータにおいて、かごの着床位置を確認するためにエレベータの昇降路側に設けられた着床用標識と、この着床用標識よりかごの着床状態を監視するエレベータのかご側に設けられた着床状態監視カメラと、操作者のいるところで前記着床状態監視カメラの映像をモニタする遠隔モニタ手段と、操作者のいるところで巻上げモータのブレーキの操作を行う遠隔運転制御手段と、を備え、遠隔操作により荷重不平衡を利用した救出運転を行うことを特徴とするエレベータの遠隔救出運転制御装置にある。
【0010】
また、操作者側とエレベータ側のかご内との間で音声で双方向通信を行う音声通信手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記遠隔モニタ手段および遠隔運転制御手段の操作者側とエレベータ側の間の通信装置を高速大容量通信回線方式としたことを特徴とする。
【0012】
また、前記着床用標識は、エレベータのかごの現在位置から階床までの概略の距離を表示することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態によるエレベータの遠隔救出運転制御装置の全体の構成を示す図である。図1において、1はエレベータの昇降路、2はエレベータの乗り場、3はエレベータの乗り場ドア、4はかご、5はかごドア、6は釣合重り、7は巻上げモータ、71は巻上げモータ7のブレーキ、8は反らせ車、9はロープ、10および11はかご側のそれぞれスピーカおよびマイク(1つのブロックで示した)、12はエレベータの着床状態を監視する着床状態監視カメラ、13はエレベータの運転制御全般を行うエレベータ制御装置、14は保守会社、15は操作者である例えば保守員、16はモニタ、17は保守会社側のマイク、18は保守会社側のスピーカ、19はブレーキ操作スイッチ、20は信号伝送ラインである。
【0014】
図2は図1のエレベータ制御装置13の特に巻上げモータ7のブレーキ71の制御を行う部分の構成の一例を示す図である。図2において、図1と同一もしくは相当部分は同一符号で示す(以下同様)。21は遠隔操作ブレーキ接点駆動装置、131はブレーキコイル用電源装置、132はブレーキコイル、133はエレベータ制御装置13の通常制御におけるブレーキ信号134によって制御されるブレーキコイル開閉接点である。
【0015】
このブレーキコイル開閉接点133が閉じるとブレーキコイル132が励磁され、ブレーキが開放され、エレベータ走行状態となる。ブレーキコイル開閉接点133は、走行するときのみ閉じるように構成されている。この接点が開らくとブレーキコイル132の励磁が遮断され、ブレーキは制動状態となる(エレベータ停止状態)。また、エレベータ制御装置13が故障した場合にはこの接点133は開放状態となり、ブレーキは制動状態となるように構成されている。
【0016】
134はこのブレーキコイル開閉接点133を制御するエレベータ制御装置13におけるブレーク信号、135は遠隔操作ブレーキ接点であり、ブレーキコイル開閉接点133と並列に接続されている。動作は上記ブレーキコイル開閉接点133と同じである。但しこの接点の操作は、保守会杜14のブレーキ操作スイッチ19により制御され、操作者である保守員15の操作がない限り開放状態となるように構成されている。
【0017】
また、図3は昇降路1に設けられた着床用ゲージの一例を示す図である。22は昇降路1の壁面に図のように表示された着床用標識(着床用ゲージ)である(実際には白線等で表示)。221は着床マークで、かご4が乗り場2の床(この場合4階)に着床したとき、着床状態監視カメラ12の光軸と一致する点で、上下の白線とは区別して丸いマークと階床を示す4の数字を記している。222,223,224は白い破線で、床に近づくに従い破線は次第に短くなるように構成されており、例えば保守員15が床までの距離を認識できるように構成されている。
【0018】
また、図4は例えば図1の保守会社14側(操作者側)とエレベータ(1,4,13等)側との間のデータ伝送システムの構成の一例を示す図である。図4において、23、24は信号伝送ライン20のエレベータ側および保守会社側にそれぞれ設けられたA/D・D/A変換器およびディジタル回線接続装置である。エレベータ側のA/D・D/A変換器23には、遠隔操作ブレーク接点駆動装置21(図2)、スピーカ10、マイク11および着床状態監視カメラ12(図1)が接続され、保守会社側のA/D・D/A変換器23には、モニタ16、マイク17、スピーカ18(図1)およびブレーキ操作スイッチ19(図1、図2)が接続されている。
【0019】
エレベータの構成に関し、エレベータは図1のように釣瓶式の構成になっているので、巻上げモータ7のブレーキ71を開放するとかご4と釣合重り6の重量の差によって重い方へ引っ張られて動く。かごとかごの乗客の重量が釣合重りの重量とたまたま釣り合っている場合にはこの方法は実施できない。また上述したようにブレーキ71の開放はブレーキコイル132の励磁によって、ブレーキ作動はブレーキコイル132ヘの電力の遮断によって行われる。
【0020】
次に、救出動作について説明する。まず、エレベータが故障したことが故障発信装置(図示省略)を介して、保守会社14の管理室へ通報される。すると保守会社14の保守員15はかご4内の乗客にこれから救出操作をする旨を信号伝送ライン20を介して音声で伝える。保守会社とエレベータ間の音声によるやりとりは、マイク11,17、スピーカ10,18を使用した信号伝送ライン20を介した双方向通信を行う音声通信手段とすることができる。なおこの際、かご内に表示装置(図示せず)を設けてこれに表示することも可能である。
【0021】
保守会社14の保守員15は、遠隔地より故障状況を調べ、適切な処理を行う。例えばかごの全体的な運行制御を行っているエレベータ制御装置13の状態信号S(図4参照)を信号伝送ライン20を介して受け、これから故障状況を把握、乗客等に指示を与える。
【0022】
保守員15の調査の結果、エレベータは重故障であり、ブレーキ71の開放による方法しかエレベータを動かす方法が無いことを確認すると、保守員15は、エレベータの着床状態監視カメラ12の画像をモニタ16に映すようモニタを設定する。そしてかご内の乗客にこれからかごが動くことを音声で伝える(かご内に表示装置があれば表示することも可能)。
【0023】
保守員15は、ブレーキ操作スイッチ19で遠隔操作ブレーク接点135を閉じるように操作するこれによりエレベータのブレーキコイル132は励磁され、ブレーキ71は開放され、エレベータのかご4は重力に引きずられて上方または下方へ動き出す。
【0024】
保守員15は、着床状態監視カメラ12の画像により、エレベータが階床の床レベルに到達したことを知ると、ブレーキ操作スイッチ19により遠隔操作ブレーキ接点135を開きブレーキコイル132の励磁を遮断する。この操作により、エレベータのかご4はブレーキがかかり停止する。
【0025】
エレベータのかご4の実際の動きと保守員側のモニタ16上での動作遅れ、あるいは保守員のブレーキ操作スイッチ19と遠隔操作ブレーク接点135間の動作遅れが、通信装置の伝送時間よって大きくなると、遠隔操作によるこの方法でエレベータかごを着床させることは困難になるが、例えば図4の信号伝送ライン20およびディジタル回線接続装置24等からなる通信装置として高速大容量通信回線例えばブロードバンド方式の高速通信回線のものを使用することにより、画像データでも高速に送ることができその問題は解決できる。すなわち少なくともカメラ12の画像伝送とブレーキ操作スイッチ19の信号は、高速大容量通信回線(ブロードバンド)を使用する。
【0026】
エレベータのかご4が着床すると、かごおよび乗り場のドア3、5はかご側からでも乗り場側からでも手で開くことができるように構成されているので、保守員は乗客に手でドアを開いて外へ出るように指示する。
【0027】
なお、図3に示す着床用ゲージ22は、着床マーク221および白い波線222〜224の代わりあるいはこれらに加えて、エレベータのかご4の現在位置から階床までの概略の距離を表示したものとしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、巻上げモータが駆動しない場合に巻上げモータのブレーキを開放しかごと釣合おもりの荷重不平衡を利用して救出運転を行いかごを適当な階へ着床させるエレベータにおいて、かごの着床位置を確認するためにエレベータの昇降路側に設けられた着床用標識と、この着床用標識よりかごの着床状態を監視するエレベータのかご側に設けられた着床状態監視カメラと、操作者のいるところで前記着床状態監視カメラの映像をモニタする遠隔モニタ手段と、操作者のいるところで巻上げモータのブレーキの操作を行う遠隔運転制御手段と、を備え、遠隔操作により荷重不平衡を利用した救出運転を行うことを特徴とするエレベータの遠隔救出運転制御装置としたので、荷重不平衡を利用した救出運転をその知識を有する特定の人が遠隔地から直接行うことができるので、重故障時に迅速な救出運転の対応がとれる。
【0029】
また、操作者側とエレベータ側のかご内との間で音声で双方向通信を行う音声通信手段をさらに備えたので、乗客と対話しながら救出操作をするので乗客の不安を軽減しながら遠隔救出が行える。
【0030】
また、前記遠隔モニタ手段および遠隔運転制御手段の操作者側とエレベータ側の間の通信装置を高速大容量通信回線方式としたので、通信伝送の時間遅れの影響が極めて少なく、遠隔地で画像を見ながらブレーキ操作を行ってエレベータの乗客救出を行うことができる。
【0031】
また、前記着床用標識は、エレベータのかごの現在位置から階床までの概略の距離を表示するものとしたので、モニタの画像からかごの着床位置までの距離を容易に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態によるエレベータの遠隔救出運転制御装置の全体の構成を示す図である。
【図2】図1のエレベータ制御装置の特に巻上げモータのブレーキの制御を行う部分の構成の一例を示す図である。
【図3】昇降路に設けられたこの発明による着床用標識の一例を示す図である。
【図4】この発明による操作者側とエレベータ側との間のデータ伝送システムの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 昇降路、2 乗り場、3 乗り場ドア、4 かご、5 かごドア、6 釣合重り、7 巻上げモータ、8 反らせ車、9 ロープ、10,18 スピーカ、11、17 マイク、12 着床状態監視カメラ、13 エレベータ制御装置、14 保守会社、15 保守員、16 モニタ、19 ブレーキ操作スイッチ、20 信号伝送ライン、21 遠隔操作ブレーキ接点駆動装置、22 着床用標識(着床用ゲージ)、23 A/D・D/A変換器、24 ディジタル回線接続装置、71 ブレーキ、131 ブレーキコイル用電源装置、132 ブレーキコイル、133 ブレーキコイル開閉接点、135 遠隔操作ブレーキ接点。
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベータ装置に異常が発生した時、特にエレベータの制御装置が重故障して巻上げモータでエレベータかごを駆動できない場合のエレベータの乗客救出運転を行うエレベータの救出運転制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平10−81455号公報には、エレベータが故障して利用者がカゴ内に閉じ込められた時に、外部の管理者とカゴ内の利用者とが表示装置を含む双方向対話形式の通話装置で情報を交換するエレベータの通報装置が開示されている。
【0003】
また、特開平6−298462号公報には、遠隔よりかご内の乗客を使って低速救出運転を行う方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
エレベータが故障して、乗客がかご内に閉じ込められた場合の乗客の救出は、緊急かつ安全であることが要求される。特にエレベータの制御装置が重故障して巻上げモータでエレベータを駆動できない場合は、エレベータ専門の保守員の出動が必要である。この場合の救出は、保守員がブレーキを開放することによりエレベータを自重で動かし(かごと釣合おもりの荷重不平衡を利用)、適当な階へ着床させることが一般に行なわれている。
【0005】
しかしながら、エレベータの故障の通報を受けてから保守員が現場に到着するまでに多くの時間を要することがある。従って例えば保守員が常駐する保守会社から遠隔操作で救出運転を行えるようにすれば極めて有用なものとなる。
【0006】
上述の2つの従来技術においても、このようなことは言及されておらず、特開平10−81455号公報は双方向通信でカゴ内と外部との連絡を取り合う技術の開示はあるが、乗客の救出に関しては言及されていない。また、特開平6−298462号公報に記載されている低速救出運転は、エレベータ駆動モータを駆動して救出するものであり、エレベータの制御装置の故障が軽微な場合に限られるものであり、エレベータ駆動モータを駆動することができないような重故障時の救出方法については言及されていない。
【0007】
上記技術において、エレベータの制御装置が重故障した場合のエレベータ内の乗客の救出が遠隔からできなかった理由は次の通りである。
(1)救出方法は一般に、上述したようにエレベータのブレーキを開放してエレベータの重力を利用して動かし、適当な乗り場に着床させる方法が行われる。この救出方法は危険を伴い熟練した技術を必要とするので一般の人(かご内乗客)に行わせるのは困難である。
(2)また、エレベータの専門家でも遠隔から行うにはエレベータの状況を良く把握しながら行う必要があるので遠隔より操作することは(通信の伝送の時間遅れなどがその一因)困難である。
【0008】
本発明は上記の課題を解消するためになされたもので、エレベータの知識を有する操作者による遠隔地からの救出運転を可能にしたエレベータの遠隔救出運転制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に鑑み、本発明は、巻上げモータが駆動しない場合に巻上げモータのブレーキを開放しかごと釣合おもりの荷重不平衡を利用して救出運転を行いかごを適当な階へ着床させるエレベータにおいて、かごの着床位置を確認するためにエレベータの昇降路側に設けられた着床用標識と、この着床用標識よりかごの着床状態を監視するエレベータのかご側に設けられた着床状態監視カメラと、操作者のいるところで前記着床状態監視カメラの映像をモニタする遠隔モニタ手段と、操作者のいるところで巻上げモータのブレーキの操作を行う遠隔運転制御手段と、を備え、遠隔操作により荷重不平衡を利用した救出運転を行うことを特徴とするエレベータの遠隔救出運転制御装置にある。
【0010】
また、操作者側とエレベータ側のかご内との間で音声で双方向通信を行う音声通信手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、前記遠隔モニタ手段および遠隔運転制御手段の操作者側とエレベータ側の間の通信装置を高速大容量通信回線方式としたことを特徴とする。
【0012】
また、前記着床用標識は、エレベータのかごの現在位置から階床までの概略の距離を表示することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態によるエレベータの遠隔救出運転制御装置の全体の構成を示す図である。図1において、1はエレベータの昇降路、2はエレベータの乗り場、3はエレベータの乗り場ドア、4はかご、5はかごドア、6は釣合重り、7は巻上げモータ、71は巻上げモータ7のブレーキ、8は反らせ車、9はロープ、10および11はかご側のそれぞれスピーカおよびマイク(1つのブロックで示した)、12はエレベータの着床状態を監視する着床状態監視カメラ、13はエレベータの運転制御全般を行うエレベータ制御装置、14は保守会社、15は操作者である例えば保守員、16はモニタ、17は保守会社側のマイク、18は保守会社側のスピーカ、19はブレーキ操作スイッチ、20は信号伝送ラインである。
【0014】
図2は図1のエレベータ制御装置13の特に巻上げモータ7のブレーキ71の制御を行う部分の構成の一例を示す図である。図2において、図1と同一もしくは相当部分は同一符号で示す(以下同様)。21は遠隔操作ブレーキ接点駆動装置、131はブレーキコイル用電源装置、132はブレーキコイル、133はエレベータ制御装置13の通常制御におけるブレーキ信号134によって制御されるブレーキコイル開閉接点である。
【0015】
このブレーキコイル開閉接点133が閉じるとブレーキコイル132が励磁され、ブレーキが開放され、エレベータ走行状態となる。ブレーキコイル開閉接点133は、走行するときのみ閉じるように構成されている。この接点が開らくとブレーキコイル132の励磁が遮断され、ブレーキは制動状態となる(エレベータ停止状態)。また、エレベータ制御装置13が故障した場合にはこの接点133は開放状態となり、ブレーキは制動状態となるように構成されている。
【0016】
134はこのブレーキコイル開閉接点133を制御するエレベータ制御装置13におけるブレーク信号、135は遠隔操作ブレーキ接点であり、ブレーキコイル開閉接点133と並列に接続されている。動作は上記ブレーキコイル開閉接点133と同じである。但しこの接点の操作は、保守会杜14のブレーキ操作スイッチ19により制御され、操作者である保守員15の操作がない限り開放状態となるように構成されている。
【0017】
また、図3は昇降路1に設けられた着床用ゲージの一例を示す図である。22は昇降路1の壁面に図のように表示された着床用標識(着床用ゲージ)である(実際には白線等で表示)。221は着床マークで、かご4が乗り場2の床(この場合4階)に着床したとき、着床状態監視カメラ12の光軸と一致する点で、上下の白線とは区別して丸いマークと階床を示す4の数字を記している。222,223,224は白い破線で、床に近づくに従い破線は次第に短くなるように構成されており、例えば保守員15が床までの距離を認識できるように構成されている。
【0018】
また、図4は例えば図1の保守会社14側(操作者側)とエレベータ(1,4,13等)側との間のデータ伝送システムの構成の一例を示す図である。図4において、23、24は信号伝送ライン20のエレベータ側および保守会社側にそれぞれ設けられたA/D・D/A変換器およびディジタル回線接続装置である。エレベータ側のA/D・D/A変換器23には、遠隔操作ブレーク接点駆動装置21(図2)、スピーカ10、マイク11および着床状態監視カメラ12(図1)が接続され、保守会社側のA/D・D/A変換器23には、モニタ16、マイク17、スピーカ18(図1)およびブレーキ操作スイッチ19(図1、図2)が接続されている。
【0019】
エレベータの構成に関し、エレベータは図1のように釣瓶式の構成になっているので、巻上げモータ7のブレーキ71を開放するとかご4と釣合重り6の重量の差によって重い方へ引っ張られて動く。かごとかごの乗客の重量が釣合重りの重量とたまたま釣り合っている場合にはこの方法は実施できない。また上述したようにブレーキ71の開放はブレーキコイル132の励磁によって、ブレーキ作動はブレーキコイル132ヘの電力の遮断によって行われる。
【0020】
次に、救出動作について説明する。まず、エレベータが故障したことが故障発信装置(図示省略)を介して、保守会社14の管理室へ通報される。すると保守会社14の保守員15はかご4内の乗客にこれから救出操作をする旨を信号伝送ライン20を介して音声で伝える。保守会社とエレベータ間の音声によるやりとりは、マイク11,17、スピーカ10,18を使用した信号伝送ライン20を介した双方向通信を行う音声通信手段とすることができる。なおこの際、かご内に表示装置(図示せず)を設けてこれに表示することも可能である。
【0021】
保守会社14の保守員15は、遠隔地より故障状況を調べ、適切な処理を行う。例えばかごの全体的な運行制御を行っているエレベータ制御装置13の状態信号S(図4参照)を信号伝送ライン20を介して受け、これから故障状況を把握、乗客等に指示を与える。
【0022】
保守員15の調査の結果、エレベータは重故障であり、ブレーキ71の開放による方法しかエレベータを動かす方法が無いことを確認すると、保守員15は、エレベータの着床状態監視カメラ12の画像をモニタ16に映すようモニタを設定する。そしてかご内の乗客にこれからかごが動くことを音声で伝える(かご内に表示装置があれば表示することも可能)。
【0023】
保守員15は、ブレーキ操作スイッチ19で遠隔操作ブレーク接点135を閉じるように操作するこれによりエレベータのブレーキコイル132は励磁され、ブレーキ71は開放され、エレベータのかご4は重力に引きずられて上方または下方へ動き出す。
【0024】
保守員15は、着床状態監視カメラ12の画像により、エレベータが階床の床レベルに到達したことを知ると、ブレーキ操作スイッチ19により遠隔操作ブレーキ接点135を開きブレーキコイル132の励磁を遮断する。この操作により、エレベータのかご4はブレーキがかかり停止する。
【0025】
エレベータのかご4の実際の動きと保守員側のモニタ16上での動作遅れ、あるいは保守員のブレーキ操作スイッチ19と遠隔操作ブレーク接点135間の動作遅れが、通信装置の伝送時間よって大きくなると、遠隔操作によるこの方法でエレベータかごを着床させることは困難になるが、例えば図4の信号伝送ライン20およびディジタル回線接続装置24等からなる通信装置として高速大容量通信回線例えばブロードバンド方式の高速通信回線のものを使用することにより、画像データでも高速に送ることができその問題は解決できる。すなわち少なくともカメラ12の画像伝送とブレーキ操作スイッチ19の信号は、高速大容量通信回線(ブロードバンド)を使用する。
【0026】
エレベータのかご4が着床すると、かごおよび乗り場のドア3、5はかご側からでも乗り場側からでも手で開くことができるように構成されているので、保守員は乗客に手でドアを開いて外へ出るように指示する。
【0027】
なお、図3に示す着床用ゲージ22は、着床マーク221および白い波線222〜224の代わりあるいはこれらに加えて、エレベータのかご4の現在位置から階床までの概略の距離を表示したものとしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、巻上げモータが駆動しない場合に巻上げモータのブレーキを開放しかごと釣合おもりの荷重不平衡を利用して救出運転を行いかごを適当な階へ着床させるエレベータにおいて、かごの着床位置を確認するためにエレベータの昇降路側に設けられた着床用標識と、この着床用標識よりかごの着床状態を監視するエレベータのかご側に設けられた着床状態監視カメラと、操作者のいるところで前記着床状態監視カメラの映像をモニタする遠隔モニタ手段と、操作者のいるところで巻上げモータのブレーキの操作を行う遠隔運転制御手段と、を備え、遠隔操作により荷重不平衡を利用した救出運転を行うことを特徴とするエレベータの遠隔救出運転制御装置としたので、荷重不平衡を利用した救出運転をその知識を有する特定の人が遠隔地から直接行うことができるので、重故障時に迅速な救出運転の対応がとれる。
【0029】
また、操作者側とエレベータ側のかご内との間で音声で双方向通信を行う音声通信手段をさらに備えたので、乗客と対話しながら救出操作をするので乗客の不安を軽減しながら遠隔救出が行える。
【0030】
また、前記遠隔モニタ手段および遠隔運転制御手段の操作者側とエレベータ側の間の通信装置を高速大容量通信回線方式としたので、通信伝送の時間遅れの影響が極めて少なく、遠隔地で画像を見ながらブレーキ操作を行ってエレベータの乗客救出を行うことができる。
【0031】
また、前記着床用標識は、エレベータのかごの現在位置から階床までの概略の距離を表示するものとしたので、モニタの画像からかごの着床位置までの距離を容易に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態によるエレベータの遠隔救出運転制御装置の全体の構成を示す図である。
【図2】図1のエレベータ制御装置の特に巻上げモータのブレーキの制御を行う部分の構成の一例を示す図である。
【図3】昇降路に設けられたこの発明による着床用標識の一例を示す図である。
【図4】この発明による操作者側とエレベータ側との間のデータ伝送システムの構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 昇降路、2 乗り場、3 乗り場ドア、4 かご、5 かごドア、6 釣合重り、7 巻上げモータ、8 反らせ車、9 ロープ、10,18 スピーカ、11、17 マイク、12 着床状態監視カメラ、13 エレベータ制御装置、14 保守会社、15 保守員、16 モニタ、19 ブレーキ操作スイッチ、20 信号伝送ライン、21 遠隔操作ブレーキ接点駆動装置、22 着床用標識(着床用ゲージ)、23 A/D・D/A変換器、24 ディジタル回線接続装置、71 ブレーキ、131 ブレーキコイル用電源装置、132 ブレーキコイル、133 ブレーキコイル開閉接点、135 遠隔操作ブレーキ接点。
Claims (4)
- 巻上げモータが駆動しない場合に巻上げモータのブレーキを開放しかごと釣合おもりの荷重不平衡を利用して救出運転を行いかごを適当な階へ着床させるエレベータにおいて、
かごの着床位置を確認するためにエレベータの昇降路側に設けられた着床用標識と、
この着床用標識よりかごの着床状態を監視するエレベータのかご側に設けられた着床状態監視カメラと、
操作者のいるところで前記着床状態監視カメラの映像をモニタする遠隔モニタ手段と、
操作者のいるところで巻上げモータのブレーキの操作を行う遠隔運転制御手段と、
を備え、遠隔操作により荷重不平衡を利用した救出運転を行うことを特徴とするエレベータの遠隔救出運転制御装置。 - 操作者側とエレベータ側のかご内との間で音声で双方向通信を行う音声通信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの遠隔救出運転制御装置。
- 前記遠隔モニタ手段および遠隔運転制御手段の操作者側とエレベータ側の間の通信装置を高速大容量通信回線方式としたことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータの遠隔救出運転制御装置。
- 前記着床用標識は、エレベータのかごの現在位置から階床までの概略の距離を表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエレベータの遠隔救出運転制御装置。
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