JP2004082833A - ボーディングブリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】任意のトンネル長さを半径とした旋回走行性能を有するボーディングブリッジを提供する。
【解決手段】ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は、左右車輪の速度が、旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて制御されることを特徴とするボーディングブリッジ。
【選択図】 図6
【解決手段】ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は、左右車輪の速度が、旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて制御されることを特徴とするボーディングブリッジ。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボーディングブリッジに関し、特に、任意のトンネル長さを半径とした旋回走行性能を有するボーディングブリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、航空機の乗降装置として、ボーディングブリッジ(搭乗橋)がよく用いられている。ボーディングブリッジは空港のターミナルビルと航空機とを連絡するトンネル状の歩行通路であり、ターミナルビルと航空機との間での直接の乗り降りを可能にするものである。
【0003】
このボーディングブリッジは、一般に図9、図10に示すようにターミナルビルの乗降口に接続された正逆回転自在なロタンダ101と、ロタンダ101に固定された伸縮自在なトンネル部102と、トンネル部102の先端に設けられた正逆回転自在なキャブ103とを備えている。トンネル部102のやや先端側には、駆動輪104及び昇降機構(不図示)を有する支持脚としてドライブコラム105が設けられている。ドライブコラム105に設けた駆動輪104は左右走行輪がそれぞれ個々のモータ、減速機により駆動される構成となっており、これら駆動輪104及び昇降機構は、キャブ103の内部に乗り込んだ操作員によって操作される。そのため、キャブ103の内部には、上記駆動輪104及び昇降機構を操作するための操作パネル(不図示)が設置されている。
【0004】
乗客の乗り降りの際には、キャブ103を航空機106のドア107付近に移動させるようにロタンダ101の回転、トンネル部102の伸縮及び昇降、並びにキャブ103の回転を行い、ボーディングブリッジを所定の待機位置から装着位置にまで移動させ、キャブ103を航空機106のドア107に装着する。これにより、航空機とターミナルビルとの間の直接の移動が可能となる。一方、乗り降りが終了した後は、キャブ103を航空機106のドア107から取り外し、ロタンダの回転、トンネル部の伸縮及び昇降、並びにキャブの回転を実行して、ボーディングブリッジを装着位置から待機位置にまで移動させる。
【0005】
ところで従来、ボーディングブリッジの待機位置と装着位置との間の移動は、キャブ103に乗り込んだ操作員が装着位置または待機位置を目視で把握しながら、操作パネルに設けた操作レバーを手動で操作することにより行われていた。例えば装着時には、操作員が航空機のドアの位置を目視で確認しながら、キャブを当該ドアの近傍に移動させるように駆動輪及び昇降機構を操作していた。
この操作における走行モードを以下に説明する。
走行モードとしては、前、後進は左右車輪のそれぞれの駆動モータ回転数を同一とし、正逆運転を行う。
方向変換(ステアリング)は片方の駆動モータを所定の割合で減速し、2輪の回転数に差をつけることにより方向変換をおこなう。
その場回転(スエ切り)は、一輪を正回転、他輪を逆回転をさせることにより行う。
【0006】
ウォーキング旋回(最大ステアリング切り角度にて旋回走行している状態)は作業者が操作パネルに設けた操作レバーを操作しておこなう。この時、ステアリングの切れ角には限度があり、左右それぞれにリミットスイッチが取りつけられている。ステアリング限界付近での旋回は当りリミットに当たると自動的に減速走行側のタイヤが正常速度になり、リミットが外れるまで直線走行し、当りリミットが解除されるとまた旋回動作に入る。これらの繰り返しにより旋回が続行させる。この旋回ではボーディングブリッジ全体の動きとしてはユラユラとし、あまりスムーズな連続運転にはならない。
【0007】
その理由として、操作レバーでステアリング操作した場合、ステアリング操作位置で操作レバーを停止した状態ではタイヤの左右回転数の差によりステアリングがどんどん切り込まれていくため、操作レバーを戻す必要があるが、操作レバーを戻すタイミングが早すぎると早く直進走行になりトンネルは伸び、遅すぎるとどんどん旋回し、トンネルは縮む。
従って、従来は斜め方向に進行する場合には、走行に従って進行方向を微妙に修正する操作が必要であり、操作に熟練を要していた。このためボーディングブリッジを航空機に装着する時、機体付近でステアリング操作する時は、極めて高度な熟練技術が必要となる。また操作に手間取りボーディングブリッジ装着の時間が長くなると乗客が降機できないため、乗客はイライラしサービスの低下にもつながる。
【0008】
このような事情から、最近ではボーディングブリッジを機体に接続する際には、こうした高度な操作を避けるために、まず駆動輪が目標の方向に向くまで操作レバーを右または左に倒しタイヤをスエ切り状態にし、ボーディングブリッジを右方向あるいは左方向に旋回させ、その後に操作レバーを戻し、再度スエ切りを行い、その後操作レバーを前方に倒してボーディングブリッジを前進走行させるといった2段階の操作を行う必要があった。具体的にはボーディングブリッジを一定の角度まで旋回させ、その後機体に向けてボーディングブリッジを伸ばしてゆき機体に装着する作業を行っている。
【0009】
しかしながらこのような作業にあたっても、従来のボーディングブリッジでは次のような不都合が生じる。
即ち、現在のボーディングブリッジではトンネル長さを一定にして旋回動作する時には、車輪をボーディングブリッジの軸に対して直角に向け、内輪と外輪との間の回転数の差により旋回を行う。このとき内輪と外輪の差が一定にならず、車輪が旋回円周状を蛇行しながら走行することになり、安定した旋回ができない。このように、従来のボーディングブリッジのステアリング操作では作業員による操作レバーの微妙な操作が必要となり、高度且つ面倒な操作が必要であったので、ボーディングブリッジの装着時間及び離脱時間には、操作員によってばらつきが生じ作業上での改善点となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ボーディングブリッジの一定長さでの旋回をボーディングブリッジの基本長さに基づいて自動的に制御することにより、ボーディングブリッジの操作性を向上しボーディングブリッジの航空機への装着及び離脱を容易化することにある。
本発明は、ボーディングブリッジを一定の長さのまま所定の角度旋回させ、その後機体に向けてボーディングブリッジを伸ばしてゆき機体に装着する作業を行う場合、一定トンネル長さでの旋回運動は、トンネル長さを常に検知しておき、その長さに基づいて、左右走行輪のインバータの周波数変化(2輪のインバータ周波数の差)によりモータ回転数に差をつけて常に一定の半径(トンネル長さ)での旋回を可能とする。また始動抵抗や、タイヤ空気圧、路面状況等により左右のモータ負荷に変化が生じる場合もあるので、旋回中も常にトンネル長さを検知器(センサー)で検知し、長さ信号を中央演算装置にフィードバックさせ、トンネル長さに変化が出た時はインバータ周波数を変化させ、常に安定して一定のトンネル長さによる旋回を可能とする。
【0011】
本発明では、上記のように任意のトンネル長さを半径とした、旋回走行機能を従来の走行モードに加えることにより、熟練オペレータのみでなく初心者オペレータでも安易にボーディングブリッジを機体の装着することができる。また旋回時にトンネルの長さが変化することなく、旋回できるため、狭い空港のスポットでの操作が容易となりボーディングブリッジを航空機に接続する装着時間を短縮できる。さらに乗客の降機時間短縮が図れ、サービスの向上につながるとともに航空機のステイタイムの短縮を図ることができる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため本発明が採用した技術解決手段は、
ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は、左右車輪の速度が、旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて制御されることを特徴とするボーディングブリッジである。
また、ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行、走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は駆動モータと減速機と駆動モータを制御するインバータとを備え、前記駆動輪は旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて前記インバータが制御され車輪に所定の速度差が発生するようにしたことを特徴とするボーディングブリッジである。
また、ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行、走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記ボーディングブリッジの一定トンネル長さでの旋回運動は、トンネル長さを検知しておき、その長さと現在のトンネル長さを比較し、左右走行輪のインバータ周波数の差によりモータ回転数に差をつけて常に一定の半径での旋回を可能としたことを特徴とするボーディングブリッジである。
また、前記トンネル長さは、車輪の空気圧、路面状況等により左右のモータ負荷に変化が生じて変化することを考慮して、旋回中も常にトンネル長さを検知器で検知し、長さ信号をコントローラにフィードバックさせるようにしたことを特徴とするボーディングブリッジである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1はボーディングブリッジに取り付けた本発明に係るドライブコラムの正面図、図2は同ドライブコラムの側面図、図3は車輪部の拡大正面図、図4は操作パネルの説明図、図5はボーディングブリッジの旋回状況を説明する図である。
【0014】
図1〜図3において、1はボーディングブリッジのトンネル部であり、ボーディングブリッジの前方側トンネル1の左右には伸縮自在のコラム2が取り付けられており、これらコラム2の下方には横部材3が取りつけられている。横部材3の中央には支持台4が形成され、この支持台4に旋回自在に旋回台5が設けられている。旋回台には下方に取り付けた車軸6と、車軸6の端部に設けた左右車輪7とが取り付けられ、左右車輪はそれぞれ、駆動モータと減速機8を介して独立に回転駆動できる構成となっている。また、旋回台5には車輪の回転角度を検知する位置検出器(不図示)、車輪の回転角を規制するストッパ9等が備えられている。
また操作パネル10は図4に示すようにモニター画面11、操作レバー12、車輪の向きを表示する表示盤13、各種操作ボタン14、表示手段15の他に本発明用として新たに左右の一定旋回動作を指示する指示ボタン16等が配置されている。そして、指示ボタンの内、右ボタンを押すと一定トンネル長さでの右旋回、左ボタンを押すと一定トンネル長さでの左旋回を行うことができるようになっている。
なおこの台車構造、及び操作パネルの基本構成は従来のボーディングブリッジと同様の構成であることからこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0015】
ところで、本発明は一定長さのボーディングブリッジを旋回させる際の左右車輪の駆動モータの制御に特徴があり、上記操作パネルに新たに附加した左右の一定旋回動作の指示ボタンを操作した時の駆動モータの制御について詳述する。
図5においてボーディングブリッジの内側車輪の旋回半径をL、両輪の距離をR、旋回内側車輪の速度をVin、旋回外側車輪の速度をVout 、旋回角をθ、左右車輪の直径をD、減速比をkとしたとき、両輪の速度差は以下により求める。
▲1▼θ度間の内側円弧距離(Linθ)、外側円弧距離(Lout θ)は、
Linθ=2×π×L×θ/360
Lout θ=2×π×(L+R)×θ/360
▲2▼旋回内側車輪の速度をVin(m/sec)、旋回外側車輪の速度をVout (m/sec)、円弧上θ度間走行時間をt(sec)としたとき、
Vin=Linθ/t (m/sec)
Vout =Lout θ/t (m/sec)
▲3▼旋回内側車輪の速度Vin(m/sec)に対する旋回外側車輪の速度Vout (m/sec)の関係
Vout /Vin=Lout θ/Linθ=(L+R)/L
このことから、
Vout ={(L+R)/L}×Vin
▲4▼速度( Vm/sec)と駆動モータ回転数(Nm rpm)の関係
V×60sec =2×π×D×(Nm /K )
このことから、
Nm =(V×60×K )/2πD
【0016】
以上のことからボーディングブリッジの長さ(以下ブリッジ長という)の補正動作は以下による。
ブリッジ長補正動作は旋回運転中のみ行う。
補正動作は、旋回開始直前のブリッジ長(一定値)を目標値として設定し、旋回中、常時計測するブリッジ長さとの比較を行い、その差を無くすようにホイルキャリッジの両輪速度差を以下の様に制御する。
ブリッジ長Lm (m)時の円弧上を走行する速度指令値
内輪速度指令 Vin Vin m/min
外輪速度指令 Vout Vout ={(L+R)/L}×Vin
ブリッジ長Lm (m)が増加した場合の補正走行速度指令は
内輪速度指令 Vin Vin m/min
外輪速度指令 Vout Vout ={(L+R)/L}×Vin×(1+α/100)
ブリッジ長Lm (m)が減少した場合の補正走行速度指令は
内輪速度指令 Vin Vin m/min
外輪速度指令 Vout Vout ={(L+R)/L}×Vin×(1−α/100)
このように円弧上を走行する速度指令値に対する割合αで外輪速度を増加、減少させ補正動作を行う。補正割合αは偏差が大きい場合増やし、少ないと減少させたりする案、および補正割合αは一定とする案を採用することができる。
【0017】
以下ボーディングブリッジを一定半径で旋回させる時の駆動モータの制御構成を説明する。図6は駆動モータの制御ブロック図であり、図7、図8は同制御フローチャートである。
本ボーディングブリッジの制御手段は、車輪位置センサ21、ボーディングブリッジ長さセンサ22、ボーディングブリッジサイズの記憶23、ホイルキャリッジ角度指令24、直線走行指示25、右旋回運転指示26、左回転運転指示27、速度指令28などからなる入力情報を入力する入力手段、前記入力情報からに基づき所定の演算を実行し出力するコントローラ30、およびコントローラからの指令を駆動モータのインバータに出力する出力手段31とから構成されている。
【0018】
コントローラ30は前述した式に従い、直線、旋回運動毎に両輪の回転数を演算し出力する機能と、ホイールキャリッジの回転位置あるいは設定位置に位置決めする機能と、ボーディングブリッジの長さを制御する機能を備えている。
つづいて、上記制御手段で実行する作業を図7、図8の制御フローを参照して説明するが、制御フローは紙面の都合上、図7、図8に分けて記載されている。図7において、操作パネル上の一定旋回の指示ボタン16が操作されると、ステップ1でプログラムがスタートし、ステップ2で運転開始か否かを判断し、運転開始の時はステップ3に進み旋回モード選択がされているか否かを判断し、旋回モードの時はステップ4で車輪が旋回方向に向いているか否かを判断し、車輪が旋回方向に向いていない時にはステップ5で車輪旋回用速度指令を選択し、ステップ6で右車輪正転指令をオン、左車輪逆転指令をオンにし、ステップ7でホイルキャリッジ方向転換を開始する。ついで、ステップ8でホイルキャリッジがブリッジの中心軸に対して90°回転したか否かを判定し、90°回転したと判断した時にステップ9で両車輪を停止する。これらステップ4〜ステップ9までの判断により車輪が旋回方向に向いていない状態から車輪が90°旋回した状態への旋回モードに設定できる。
【0019】
旋回モードになるとステップ10でボーディングブリッジ長L0 を指令値として記憶し、ステップ11で前述した理論に基づいて旋回用両輪速度差Z(Z=(L0 +D)/L0 )を演算し、ステップ12で旋回用速度指令を選択して指令値V1 を出力し、ステップ13で右旋回か否かを判断し、右旋回の時にはステップ14で、また左旋回の時はステップ17で所定の演算を行いステップ15あるいはステップ18で車輪の正転指令あるいは逆転指令を出してステップ19で旋回運転を開始する。
【0020】
運転中、ステップ20で現在のブリッジ長Lの長さを監視し、ブリッジ長Lが異状外れと判断されるとステップ22で異状信号を出力しステップ23で旋回を停止する。またブリッジ長が許容値以内の時はステップ13に戻り、ステップ13以下の旋回動作を実行する。またステップ13でブリッジ長が許容値以内にはいっていない時にはステップ24に進みブリッジ長Lと記憶したブリッジ長L0 とを比較しその結果にしたがってステップ25またはステップ27で所定の演算を実行し、駆動モータの回転を制御する。こうして、常にブリッジ長がL0 の状態で旋回することができる。
【0021】
なおステップ3で旋回モードを選択していないときには直線モードを選択しているか否かを判定し、直行モードの時にはステップ29で車輪は直行方向を向いているか否かを判定し直行方向にむいていない時にはステップ30〜ステップ34で車輪を直行方向に向け車輪の回転を停止する。このステップ29〜34の判断により車輪を直行方向に設定することができる。
またステップ29で車輪が直行方向に向いている時には直行速度V1 を選択しステップ36〜ステップ37でボーディングブリッジの前進運転あるいは後進運転を行う。
以上の操作により、本発明ではボーディングブリッジを一定の長さのまま所定の角度旋回させることができ、その後機体に向けてボーディングブリッジを伸ばしてゆき機体に装着するだけで簡単にボーディングブリッジと航空機との接続作業を行うことができる。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、操作パネル上に配置した一定旋回指示ボタンを操作するだけで、コントローラからの指示によりボーディングブリッジがが常に一定の旋回状況となるように駆動モータを制御しボーディングブリッジを旋回させることになるため、簡単な操作によってボーディングブリッジ先端のキャブを目標位置に移動させることが可能となる。従って、経験の浅い操作員であっても、待機位置から装着位置への移動及び装着位置から待機位置への移動を迅速かつ容易に行うことができる。また、操作ボタンの簡単な操作のみで駆動輪が旋回モードの中で自動的に制御されるため操作員の操作の負担は著しく軽減する。さらに本実施形態によれば、機種の選択とキャブのドアへの取り付け及び取り外しのみであるので、装着時間及び離脱時間を短縮することができる。また、操作員による操作時間のばらつきはなくなる。
【0023】
なお、制御フローのうち、各ステップの順序は一定旋回動作に問題がなければ適宜入れ換えることでき、また操作パネル上の指示部材の配置等は設計時に適宜選択して設定することができる。さらに必要に応じて車輪の空気圧、路面状況等により左右のモータ負荷に変化が生じる場合もあるので、旋回中も常にトンネル長さを検知器で検知し、長さ信号を中央演算装置にフィードバックさせ、トンネル長さに変化が出た時はインバータ周波数を変化させ、常に安定して一定のトンネル長さによる旋回を可能とすることもできる。またボーディングブリッジの長さを基本とした左右車輪の速度差の演算方法は、必ずしも上記説明した演算方法に限定されることはなく、例えば、基本となるボーディングブリッジのブリッジ長さに対してのボーディングブリッジの伸長、短縮に対して予め定めてある所定の割合で左右車輪の回転数を制御する等、他の方法を採用することができる。さらに、ボーディングブリッジの長さは常時検知するのでなく、ある一定時間間隔毎に検知することも可能である。また、本発明はその精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができ、また、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。
【0024】
【発明の効果】
以上本発明によれば、任意のトンネル長さを半径とした、旋回走行機能を従来の走行モードに加えることにより、熟練オペレータのみでなく初心者オペレータでも安易にボーディングブリッジを機体の装着することができる。また旋回時にトンネルの長さが変化することなく、旋回できるため、狭いスポットでの操作が容易となりボーディングブリッジを航空機に接続する装着時間を短縮できる。さらに乗客の降機時間短縮が図れ、サービスの向上につながるとともに航空機のステイタイムの短縮を図ることができる、等々の極めて優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボーディングブリッジに取り付けた本発明に係るドライブコラムの正面図である。
【図2】同ドライブコラムの側面図である。
【図3】車輪部の拡大正面図である。
【図4】操作パネルの説明図である。
【図5】ボーディングブリッジの旋回状況を説明する図である。
【図6】駆動モータの制御ブロック図である。
【図7】駆動モータの制御フローチャートである。
【図8】駆動モータの制御フローチャートである。
【図9】従来のボーディングブリッジの平面図である。
【図10】従来のボーディングブリッジの側面図である。
【符号の説明】
1 トンネル部
2 コラム
3 横部材
4 支持台
5 旋回台
6 車軸
7 左右車輪
8 駆動モータおよび減速機
9 ストッパ
10 操作パネル
11 モニター画面
12 操作レバー
13 表示盤
14 各種操作ボタン
15 表示手段
16 指示ボタン
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボーディングブリッジに関し、特に、任意のトンネル長さを半径とした旋回走行性能を有するボーディングブリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、航空機の乗降装置として、ボーディングブリッジ(搭乗橋)がよく用いられている。ボーディングブリッジは空港のターミナルビルと航空機とを連絡するトンネル状の歩行通路であり、ターミナルビルと航空機との間での直接の乗り降りを可能にするものである。
【0003】
このボーディングブリッジは、一般に図9、図10に示すようにターミナルビルの乗降口に接続された正逆回転自在なロタンダ101と、ロタンダ101に固定された伸縮自在なトンネル部102と、トンネル部102の先端に設けられた正逆回転自在なキャブ103とを備えている。トンネル部102のやや先端側には、駆動輪104及び昇降機構(不図示)を有する支持脚としてドライブコラム105が設けられている。ドライブコラム105に設けた駆動輪104は左右走行輪がそれぞれ個々のモータ、減速機により駆動される構成となっており、これら駆動輪104及び昇降機構は、キャブ103の内部に乗り込んだ操作員によって操作される。そのため、キャブ103の内部には、上記駆動輪104及び昇降機構を操作するための操作パネル(不図示)が設置されている。
【0004】
乗客の乗り降りの際には、キャブ103を航空機106のドア107付近に移動させるようにロタンダ101の回転、トンネル部102の伸縮及び昇降、並びにキャブ103の回転を行い、ボーディングブリッジを所定の待機位置から装着位置にまで移動させ、キャブ103を航空機106のドア107に装着する。これにより、航空機とターミナルビルとの間の直接の移動が可能となる。一方、乗り降りが終了した後は、キャブ103を航空機106のドア107から取り外し、ロタンダの回転、トンネル部の伸縮及び昇降、並びにキャブの回転を実行して、ボーディングブリッジを装着位置から待機位置にまで移動させる。
【0005】
ところで従来、ボーディングブリッジの待機位置と装着位置との間の移動は、キャブ103に乗り込んだ操作員が装着位置または待機位置を目視で把握しながら、操作パネルに設けた操作レバーを手動で操作することにより行われていた。例えば装着時には、操作員が航空機のドアの位置を目視で確認しながら、キャブを当該ドアの近傍に移動させるように駆動輪及び昇降機構を操作していた。
この操作における走行モードを以下に説明する。
走行モードとしては、前、後進は左右車輪のそれぞれの駆動モータ回転数を同一とし、正逆運転を行う。
方向変換(ステアリング)は片方の駆動モータを所定の割合で減速し、2輪の回転数に差をつけることにより方向変換をおこなう。
その場回転(スエ切り)は、一輪を正回転、他輪を逆回転をさせることにより行う。
【0006】
ウォーキング旋回(最大ステアリング切り角度にて旋回走行している状態)は作業者が操作パネルに設けた操作レバーを操作しておこなう。この時、ステアリングの切れ角には限度があり、左右それぞれにリミットスイッチが取りつけられている。ステアリング限界付近での旋回は当りリミットに当たると自動的に減速走行側のタイヤが正常速度になり、リミットが外れるまで直線走行し、当りリミットが解除されるとまた旋回動作に入る。これらの繰り返しにより旋回が続行させる。この旋回ではボーディングブリッジ全体の動きとしてはユラユラとし、あまりスムーズな連続運転にはならない。
【0007】
その理由として、操作レバーでステアリング操作した場合、ステアリング操作位置で操作レバーを停止した状態ではタイヤの左右回転数の差によりステアリングがどんどん切り込まれていくため、操作レバーを戻す必要があるが、操作レバーを戻すタイミングが早すぎると早く直進走行になりトンネルは伸び、遅すぎるとどんどん旋回し、トンネルは縮む。
従って、従来は斜め方向に進行する場合には、走行に従って進行方向を微妙に修正する操作が必要であり、操作に熟練を要していた。このためボーディングブリッジを航空機に装着する時、機体付近でステアリング操作する時は、極めて高度な熟練技術が必要となる。また操作に手間取りボーディングブリッジ装着の時間が長くなると乗客が降機できないため、乗客はイライラしサービスの低下にもつながる。
【0008】
このような事情から、最近ではボーディングブリッジを機体に接続する際には、こうした高度な操作を避けるために、まず駆動輪が目標の方向に向くまで操作レバーを右または左に倒しタイヤをスエ切り状態にし、ボーディングブリッジを右方向あるいは左方向に旋回させ、その後に操作レバーを戻し、再度スエ切りを行い、その後操作レバーを前方に倒してボーディングブリッジを前進走行させるといった2段階の操作を行う必要があった。具体的にはボーディングブリッジを一定の角度まで旋回させ、その後機体に向けてボーディングブリッジを伸ばしてゆき機体に装着する作業を行っている。
【0009】
しかしながらこのような作業にあたっても、従来のボーディングブリッジでは次のような不都合が生じる。
即ち、現在のボーディングブリッジではトンネル長さを一定にして旋回動作する時には、車輪をボーディングブリッジの軸に対して直角に向け、内輪と外輪との間の回転数の差により旋回を行う。このとき内輪と外輪の差が一定にならず、車輪が旋回円周状を蛇行しながら走行することになり、安定した旋回ができない。このように、従来のボーディングブリッジのステアリング操作では作業員による操作レバーの微妙な操作が必要となり、高度且つ面倒な操作が必要であったので、ボーディングブリッジの装着時間及び離脱時間には、操作員によってばらつきが生じ作業上での改善点となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ボーディングブリッジの一定長さでの旋回をボーディングブリッジの基本長さに基づいて自動的に制御することにより、ボーディングブリッジの操作性を向上しボーディングブリッジの航空機への装着及び離脱を容易化することにある。
本発明は、ボーディングブリッジを一定の長さのまま所定の角度旋回させ、その後機体に向けてボーディングブリッジを伸ばしてゆき機体に装着する作業を行う場合、一定トンネル長さでの旋回運動は、トンネル長さを常に検知しておき、その長さに基づいて、左右走行輪のインバータの周波数変化(2輪のインバータ周波数の差)によりモータ回転数に差をつけて常に一定の半径(トンネル長さ)での旋回を可能とする。また始動抵抗や、タイヤ空気圧、路面状況等により左右のモータ負荷に変化が生じる場合もあるので、旋回中も常にトンネル長さを検知器(センサー)で検知し、長さ信号を中央演算装置にフィードバックさせ、トンネル長さに変化が出た時はインバータ周波数を変化させ、常に安定して一定のトンネル長さによる旋回を可能とする。
【0011】
本発明では、上記のように任意のトンネル長さを半径とした、旋回走行機能を従来の走行モードに加えることにより、熟練オペレータのみでなく初心者オペレータでも安易にボーディングブリッジを機体の装着することができる。また旋回時にトンネルの長さが変化することなく、旋回できるため、狭い空港のスポットでの操作が容易となりボーディングブリッジを航空機に接続する装着時間を短縮できる。さらに乗客の降機時間短縮が図れ、サービスの向上につながるとともに航空機のステイタイムの短縮を図ることができる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このため本発明が採用した技術解決手段は、
ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は、左右車輪の速度が、旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて制御されることを特徴とするボーディングブリッジである。
また、ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行、走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は駆動モータと減速機と駆動モータを制御するインバータとを備え、前記駆動輪は旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて前記インバータが制御され車輪に所定の速度差が発生するようにしたことを特徴とするボーディングブリッジである。
また、ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行、走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記ボーディングブリッジの一定トンネル長さでの旋回運動は、トンネル長さを検知しておき、その長さと現在のトンネル長さを比較し、左右走行輪のインバータ周波数の差によりモータ回転数に差をつけて常に一定の半径での旋回を可能としたことを特徴とするボーディングブリッジである。
また、前記トンネル長さは、車輪の空気圧、路面状況等により左右のモータ負荷に変化が生じて変化することを考慮して、旋回中も常にトンネル長さを検知器で検知し、長さ信号をコントローラにフィードバックさせるようにしたことを特徴とするボーディングブリッジである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1はボーディングブリッジに取り付けた本発明に係るドライブコラムの正面図、図2は同ドライブコラムの側面図、図3は車輪部の拡大正面図、図4は操作パネルの説明図、図5はボーディングブリッジの旋回状況を説明する図である。
【0014】
図1〜図3において、1はボーディングブリッジのトンネル部であり、ボーディングブリッジの前方側トンネル1の左右には伸縮自在のコラム2が取り付けられており、これらコラム2の下方には横部材3が取りつけられている。横部材3の中央には支持台4が形成され、この支持台4に旋回自在に旋回台5が設けられている。旋回台には下方に取り付けた車軸6と、車軸6の端部に設けた左右車輪7とが取り付けられ、左右車輪はそれぞれ、駆動モータと減速機8を介して独立に回転駆動できる構成となっている。また、旋回台5には車輪の回転角度を検知する位置検出器(不図示)、車輪の回転角を規制するストッパ9等が備えられている。
また操作パネル10は図4に示すようにモニター画面11、操作レバー12、車輪の向きを表示する表示盤13、各種操作ボタン14、表示手段15の他に本発明用として新たに左右の一定旋回動作を指示する指示ボタン16等が配置されている。そして、指示ボタンの内、右ボタンを押すと一定トンネル長さでの右旋回、左ボタンを押すと一定トンネル長さでの左旋回を行うことができるようになっている。
なおこの台車構造、及び操作パネルの基本構成は従来のボーディングブリッジと同様の構成であることからこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0015】
ところで、本発明は一定長さのボーディングブリッジを旋回させる際の左右車輪の駆動モータの制御に特徴があり、上記操作パネルに新たに附加した左右の一定旋回動作の指示ボタンを操作した時の駆動モータの制御について詳述する。
図5においてボーディングブリッジの内側車輪の旋回半径をL、両輪の距離をR、旋回内側車輪の速度をVin、旋回外側車輪の速度をVout 、旋回角をθ、左右車輪の直径をD、減速比をkとしたとき、両輪の速度差は以下により求める。
▲1▼θ度間の内側円弧距離(Linθ)、外側円弧距離(Lout θ)は、
Linθ=2×π×L×θ/360
Lout θ=2×π×(L+R)×θ/360
▲2▼旋回内側車輪の速度をVin(m/sec)、旋回外側車輪の速度をVout (m/sec)、円弧上θ度間走行時間をt(sec)としたとき、
Vin=Linθ/t (m/sec)
Vout =Lout θ/t (m/sec)
▲3▼旋回内側車輪の速度Vin(m/sec)に対する旋回外側車輪の速度Vout (m/sec)の関係
Vout /Vin=Lout θ/Linθ=(L+R)/L
このことから、
Vout ={(L+R)/L}×Vin
▲4▼速度( Vm/sec)と駆動モータ回転数(Nm rpm)の関係
V×60sec =2×π×D×(Nm /K )
このことから、
Nm =(V×60×K )/2πD
【0016】
以上のことからボーディングブリッジの長さ(以下ブリッジ長という)の補正動作は以下による。
ブリッジ長補正動作は旋回運転中のみ行う。
補正動作は、旋回開始直前のブリッジ長(一定値)を目標値として設定し、旋回中、常時計測するブリッジ長さとの比較を行い、その差を無くすようにホイルキャリッジの両輪速度差を以下の様に制御する。
ブリッジ長Lm (m)時の円弧上を走行する速度指令値
内輪速度指令 Vin Vin m/min
外輪速度指令 Vout Vout ={(L+R)/L}×Vin
ブリッジ長Lm (m)が増加した場合の補正走行速度指令は
内輪速度指令 Vin Vin m/min
外輪速度指令 Vout Vout ={(L+R)/L}×Vin×(1+α/100)
ブリッジ長Lm (m)が減少した場合の補正走行速度指令は
内輪速度指令 Vin Vin m/min
外輪速度指令 Vout Vout ={(L+R)/L}×Vin×(1−α/100)
このように円弧上を走行する速度指令値に対する割合αで外輪速度を増加、減少させ補正動作を行う。補正割合αは偏差が大きい場合増やし、少ないと減少させたりする案、および補正割合αは一定とする案を採用することができる。
【0017】
以下ボーディングブリッジを一定半径で旋回させる時の駆動モータの制御構成を説明する。図6は駆動モータの制御ブロック図であり、図7、図8は同制御フローチャートである。
本ボーディングブリッジの制御手段は、車輪位置センサ21、ボーディングブリッジ長さセンサ22、ボーディングブリッジサイズの記憶23、ホイルキャリッジ角度指令24、直線走行指示25、右旋回運転指示26、左回転運転指示27、速度指令28などからなる入力情報を入力する入力手段、前記入力情報からに基づき所定の演算を実行し出力するコントローラ30、およびコントローラからの指令を駆動モータのインバータに出力する出力手段31とから構成されている。
【0018】
コントローラ30は前述した式に従い、直線、旋回運動毎に両輪の回転数を演算し出力する機能と、ホイールキャリッジの回転位置あるいは設定位置に位置決めする機能と、ボーディングブリッジの長さを制御する機能を備えている。
つづいて、上記制御手段で実行する作業を図7、図8の制御フローを参照して説明するが、制御フローは紙面の都合上、図7、図8に分けて記載されている。図7において、操作パネル上の一定旋回の指示ボタン16が操作されると、ステップ1でプログラムがスタートし、ステップ2で運転開始か否かを判断し、運転開始の時はステップ3に進み旋回モード選択がされているか否かを判断し、旋回モードの時はステップ4で車輪が旋回方向に向いているか否かを判断し、車輪が旋回方向に向いていない時にはステップ5で車輪旋回用速度指令を選択し、ステップ6で右車輪正転指令をオン、左車輪逆転指令をオンにし、ステップ7でホイルキャリッジ方向転換を開始する。ついで、ステップ8でホイルキャリッジがブリッジの中心軸に対して90°回転したか否かを判定し、90°回転したと判断した時にステップ9で両車輪を停止する。これらステップ4〜ステップ9までの判断により車輪が旋回方向に向いていない状態から車輪が90°旋回した状態への旋回モードに設定できる。
【0019】
旋回モードになるとステップ10でボーディングブリッジ長L0 を指令値として記憶し、ステップ11で前述した理論に基づいて旋回用両輪速度差Z(Z=(L0 +D)/L0 )を演算し、ステップ12で旋回用速度指令を選択して指令値V1 を出力し、ステップ13で右旋回か否かを判断し、右旋回の時にはステップ14で、また左旋回の時はステップ17で所定の演算を行いステップ15あるいはステップ18で車輪の正転指令あるいは逆転指令を出してステップ19で旋回運転を開始する。
【0020】
運転中、ステップ20で現在のブリッジ長Lの長さを監視し、ブリッジ長Lが異状外れと判断されるとステップ22で異状信号を出力しステップ23で旋回を停止する。またブリッジ長が許容値以内の時はステップ13に戻り、ステップ13以下の旋回動作を実行する。またステップ13でブリッジ長が許容値以内にはいっていない時にはステップ24に進みブリッジ長Lと記憶したブリッジ長L0 とを比較しその結果にしたがってステップ25またはステップ27で所定の演算を実行し、駆動モータの回転を制御する。こうして、常にブリッジ長がL0 の状態で旋回することができる。
【0021】
なおステップ3で旋回モードを選択していないときには直線モードを選択しているか否かを判定し、直行モードの時にはステップ29で車輪は直行方向を向いているか否かを判定し直行方向にむいていない時にはステップ30〜ステップ34で車輪を直行方向に向け車輪の回転を停止する。このステップ29〜34の判断により車輪を直行方向に設定することができる。
またステップ29で車輪が直行方向に向いている時には直行速度V1 を選択しステップ36〜ステップ37でボーディングブリッジの前進運転あるいは後進運転を行う。
以上の操作により、本発明ではボーディングブリッジを一定の長さのまま所定の角度旋回させることができ、その後機体に向けてボーディングブリッジを伸ばしてゆき機体に装着するだけで簡単にボーディングブリッジと航空機との接続作業を行うことができる。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、操作パネル上に配置した一定旋回指示ボタンを操作するだけで、コントローラからの指示によりボーディングブリッジがが常に一定の旋回状況となるように駆動モータを制御しボーディングブリッジを旋回させることになるため、簡単な操作によってボーディングブリッジ先端のキャブを目標位置に移動させることが可能となる。従って、経験の浅い操作員であっても、待機位置から装着位置への移動及び装着位置から待機位置への移動を迅速かつ容易に行うことができる。また、操作ボタンの簡単な操作のみで駆動輪が旋回モードの中で自動的に制御されるため操作員の操作の負担は著しく軽減する。さらに本実施形態によれば、機種の選択とキャブのドアへの取り付け及び取り外しのみであるので、装着時間及び離脱時間を短縮することができる。また、操作員による操作時間のばらつきはなくなる。
【0023】
なお、制御フローのうち、各ステップの順序は一定旋回動作に問題がなければ適宜入れ換えることでき、また操作パネル上の指示部材の配置等は設計時に適宜選択して設定することができる。さらに必要に応じて車輪の空気圧、路面状況等により左右のモータ負荷に変化が生じる場合もあるので、旋回中も常にトンネル長さを検知器で検知し、長さ信号を中央演算装置にフィードバックさせ、トンネル長さに変化が出た時はインバータ周波数を変化させ、常に安定して一定のトンネル長さによる旋回を可能とすることもできる。またボーディングブリッジの長さを基本とした左右車輪の速度差の演算方法は、必ずしも上記説明した演算方法に限定されることはなく、例えば、基本となるボーディングブリッジのブリッジ長さに対してのボーディングブリッジの伸長、短縮に対して予め定めてある所定の割合で左右車輪の回転数を制御する等、他の方法を採用することができる。さらに、ボーディングブリッジの長さは常時検知するのでなく、ある一定時間間隔毎に検知することも可能である。また、本発明はその精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができ、また、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。
【0024】
【発明の効果】
以上本発明によれば、任意のトンネル長さを半径とした、旋回走行機能を従来の走行モードに加えることにより、熟練オペレータのみでなく初心者オペレータでも安易にボーディングブリッジを機体の装着することができる。また旋回時にトンネルの長さが変化することなく、旋回できるため、狭いスポットでの操作が容易となりボーディングブリッジを航空機に接続する装着時間を短縮できる。さらに乗客の降機時間短縮が図れ、サービスの向上につながるとともに航空機のステイタイムの短縮を図ることができる、等々の極めて優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボーディングブリッジに取り付けた本発明に係るドライブコラムの正面図である。
【図2】同ドライブコラムの側面図である。
【図3】車輪部の拡大正面図である。
【図4】操作パネルの説明図である。
【図5】ボーディングブリッジの旋回状況を説明する図である。
【図6】駆動モータの制御ブロック図である。
【図7】駆動モータの制御フローチャートである。
【図8】駆動モータの制御フローチャートである。
【図9】従来のボーディングブリッジの平面図である。
【図10】従来のボーディングブリッジの側面図である。
【符号の説明】
1 トンネル部
2 コラム
3 横部材
4 支持台
5 旋回台
6 車軸
7 左右車輪
8 駆動モータおよび減速機
9 ストッパ
10 操作パネル
11 モニター画面
12 操作レバー
13 表示盤
14 各種操作ボタン
15 表示手段
16 指示ボタン
Claims (4)
- ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は、左右車輪の速度が、旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて制御されることを特徴とするボーディングブリッジ。
- ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行、走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記駆動輪は駆動モータと減速機と駆動モータを制御するインバータとを備え、前記駆動輪は旋回時のボーディングブリッジの基本長さに基づいて前記インバータが制御され車輪に所定の速度差が発生するようにしたことを特徴とするボーディングブリッジ。
- ターミナルビルの乗降口に接続されたロタンダと、一端が上記ロタンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、上記トンネル部の他端に正逆回転自在に設けられ、航空機の乗降部に着脱されるキャブと、上記トンネル部前方に設けられた昇降可能なドライブコラムの下部に走行、走行及び鉛直軸回りの正逆回転が自在な駆動輪とを備えたボーディングブリッジであって、前記ボーディングブリッジの一定トンネル長さでの旋回運動は、トンネル長さを検知しておき、その長さと現在のトンネル長さを比較し、左右走行輪のインバータ周波数の差によりモータ回転数に差をつけて常に一定の半径での旋回を可能としたことを特徴とするボーディングブリッジ。
- 前記トンネル長さは、車輪の空気圧、路面状況等により左右のモータ負荷に変化が生じて変化することを考慮して、旋回中も常にトンネル長さを検知器で検知し、長さ信号をコントローラにフィードバックさせるようにしたことを特徴とする請求項3に記載のボーディングブリッジ。
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-
2002
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