JP2004082660A - 樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境問題を生ずるおそれの少ない樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン繊維生地4の一面に接着剤層3を介してウレタン層2が形成されている。ウレタン層2にウレタン原液13aを接触させつつ加熱することにより、ウレタン発泡体13bの表面にポリプロピレン繊維生地4が貼着された表皮被覆発泡体14が成形される。表皮被覆発泡体14は、手の力によってウレタン層2とウレタン発泡体13bとの界面で物理的に剥離することが可能とされている。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリプロピレン繊維生地4の一面に接着剤層3を介してウレタン層2が形成されている。ウレタン層2にウレタン原液13aを接触させつつ加熱することにより、ウレタン発泡体13bの表面にポリプロピレン繊維生地4が貼着された表皮被覆発泡体14が成形される。表皮被覆発泡体14は、手の力によってウレタン層2とウレタン発泡体13bとの界面で物理的に剥離することが可能とされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡体の表面に布帛を貼着するための樹脂被覆布帛及びその発泡体の表面に布帛が貼着された表皮被覆発泡体に関する。この樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体は、イスやソファー等のクッション材に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、発泡体の表面に織地や編地等の布帛が貼着された表皮被覆発泡体を製造するための樹脂被覆布帛が知られている(特開平5−200174号公報)。この樹脂被覆布帛は、布帛と、布帛の一面に形成されたポリウレタン製の樹脂層とからなり、これを用いて、以下のように表皮被覆発泡体が製造される。
【0003】
すなわち、この樹脂被覆布帛を用いた表皮被覆発泡体の製造では、まず外部と内部とを連通する連通穴が設けられた成形型を用意し、成形型の成形面に上記樹脂被覆布帛の布帛側を当接させる。次に、連通穴を介して成形型内部を真空引きすることにより、樹脂被覆布帛を成形型に密着させる。さらに、加熱することによりウレタン発泡体となるウレタン発泡体原液を樹脂被覆布帛が密着した成形型内に注ぎ、成形型に外部から湯を注いだり、成形型に備えられた配管内に湯を通したりすることにより、成形型を加熱する。こうして成形型内のウレタン発泡体原液を発泡させてウレタン発泡体を成形し、成形型からこれを取り出してウレタン発泡体に布帛が貼着された表皮被覆発泡体を得る。
【0004】
上記樹脂被覆布帛は、ウレタン発泡体原液を発泡させながら、布帛のウレタン発泡体への貼着も同時に行うことができる。このため、ウレタン発泡体を成形した後で接着剤を用いて布帛を接着した表皮被覆発泡体に比べ、表皮被覆発泡体を製造するための工程数を少なくすることができ、ひいては、表皮被覆発泡体の製造コストを低廉なものとすることができる。
【0005】
以上の利点は、ウレタン以外の材質の発泡体に適用される樹脂被覆布帛及びそれを用いて製造した表皮被覆発泡体においても同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の樹脂被覆布帛では、これを用いて製造した表皮被覆発泡体が使用済みとなった場合の再利用について、何ら考慮がされていなかった。このため、表皮被覆発泡体が使用済みとなった後は、廃棄物として処分されることとなり、最終処分場の確保の問題や、焼却処分とした場合の大気汚染の問題、焼却灰の処理の問題等、環境問題のおそれを生じていた。
【0007】
本発明は、上記従来の従来の実情に鑑みてなされたものであり、環境問題を生ずるおそれの少ない樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂被覆布帛は、布帛と該布帛の一面に形成された樹脂層とからなり、該樹脂層を加熱により発泡体が形成される発泡体原液に接触させつつ加熱することにより、該発泡体の表面に該布帛が貼着された表皮被覆発泡体を製造することが可能な樹脂被覆布帛であって、前記発泡体に前記布帛を貼着させた後、手の力により前記樹脂層と該発泡体との界面で物理的に剥離させることが可能とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明の樹脂被覆布帛では、発泡体に布帛を貼着して本発明の表皮被覆発泡体とした後、手の力により樹脂層と発泡体との界面で物理的に剥離させることが可能とされている。このため、表皮被覆発泡体が使用済みとなった場合、発泡体に貼着されている布帛を樹脂層とともに手の力等によって剥がすことにより、容易に発泡体と樹脂被覆布帛とを分別して回収することができる。こうして回収された発泡体は断熱材や梱包材等に再利用したり、再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。また、こうして回収された樹脂被覆布帛も再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。
【0010】
したがって、本発明の樹脂被覆布帛によれば、環境問題の生じるおそれを少なくすることができる。
【0011】
発泡体はウレタンからなるウレタン発泡体であり、発泡体原液は加熱によりウレタン発泡体が形成されるウレタン原液であることが好ましい。こうであれば、ウレタンの有するソフトな感触の表皮被覆発泡体を製造することができ、イスやソファー等に適した表皮被覆発泡体とすることができる。
【0012】
布帛はオレフィン系ポリマー繊維生地とすることができる。オレフィン系ポリマー繊維生地は安価であるため、樹脂被覆布帛の製造コストを低廉なものとすることができる。また、オレフィン系ポリマー繊維生地は機械的強度が大きいため、耐久性に優れた表皮被覆発泡体を製造することができる。オレフィン系ポリマー繊維生地としては、ポリプロピレン繊維生地が特に好ましい。ポリプロピレン繊維はオレフィン系ポリマー繊維の中でも特に機械的強度が高く、特に優れた耐久性の表皮被覆発泡体とすることができる。なお、オレフィン系ポリマー繊維生地にはオレフィン系ポリマーの織物やオレフィン系ポリマーの編地が含まれる。
【0013】
樹脂層は布帛の一面に形成されたウレタン系接着剤からなる接着剤層と、接着剤層上に形成されたウレタンからなるウレタン層とからなることが好ましい。ウレタン樹脂はウレタン発泡体との相溶性が良いため、ウレタン層をウレタン発泡体に貼着させた場合、ある程度の接着強度を保つことができる。このため、この樹脂被覆布帛を用いて表皮被覆発泡体を製造した場合、表皮が物理的に簡単に剥がれてしまうことを防止することができる。また、その接着強度はそれほど強固なものではないため、使用済みとなった表皮被覆発泡体の布帛を手の力によってによってウレタン層とともに容易に剥がすことができる。
【0014】
樹脂層はエチレンと酢酸ビニルとの共重合体(以下「EVA」という)からなるEVA層であることも好ましい。EVAは熱可塑性樹脂であるため、接着剤を塗布することなく熱溶着法によって樹脂層を形成することができる。このため、樹脂被覆布帛の製造工程を簡素化することが可能となり、ひいては、製造コストを低廉化することができる。また、EVAは柔軟な素材であるため、EVA層をウレタン発泡体に貼着させた場合、ある程度の接着強度を保つことができる。このため、この樹脂被覆布帛を用いて表皮被覆発泡体を製造した場合、表皮が物理的に簡単に剥がれてしまうことを防止することができる。さらに、布帛がオレフィン系ポリマー繊維生地である場合、こうして回収されたEVA及びオレフィン系ポリマー繊維生地は相溶性に優れていることから、再溶融して再生プラスチックとして利用することが容易となる。
【0015】
EVA層を熱溶着によって布帛に形成する方法としては、押出し成形機によってサーマルダイ(Tダイ)から熱溶融されたフィルム状のEVAを押出し、これを布帛に熱溶着させるTダイ法や、フィルム状のEVAと布帛とを当接させつつ加熱し、熱溶着させる、ホットメルト法を採用することができる。この中でもTダイ法は、EVAをペレット状態から直接かつ連続的に樹脂被覆布帛に形成させることができることとなり、大量生産が容易となり、製造コストも極めて低廉となる。
【0016】
EVA中の酢酸ビニル基の含有割合は10モル%未満とされていることが好ましい。酢酸ビニル基の含有割合がこの範囲であれば、この樹脂被覆布帛をウレタン発泡体に貼着した後、手の力によって樹脂層と発泡体との界面で物理的に剥離させることが特に容易となる。なお、酢酸ビニル基の含有割合が0モル%の場合(すなわちポリエチレン)である場合であっても、以下に述べるように好ましい樹脂被覆布帛とすることができる。
【0017】
樹脂層はポリオレフィンからなるポリオレフィン層であることも好ましい。ポリオレフィンも熱可塑性樹脂であるため、Tダイ法やホットメルト法等の熱溶着法によって樹脂層を形成することができ、樹脂被覆布帛の製造工程を簡素化することが可能となり、ひいては、製造コストを低廉化することができる。また、布帛がオレフィン系ポリマー繊維生地である場合、使用済後に回収された樹脂被覆布帛がオレフィン系ポリマーのみからなることとなり、再溶融して再生プラスチックとして利用することが極めて容易となる。
【0018】
本発明の表皮被覆発泡体は、本発明の樹脂被覆布帛が発泡体の表面に貼着されており、手の力により樹脂層と発泡体との界面で物理的に剥離させることが可能とされていることを特徴とすることを特徴とする。
【0019】
本発明の樹脂被覆布帛を発泡体の表面に貼着すれば、発泡体に貼着されている布帛を樹脂層とともに手の力等によって剥がすことにより、容易に発泡体と樹脂被覆布帛とを分別して回収し、再利用することが可能となる
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態1〜3を図面とともに説明する。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1の樹脂被覆布帛はイスに用いられる表皮被覆発泡体を製造するためのものである。この樹脂被覆布帛は、図1(E)に示すように、ポリプロピレン繊維生地4の一面に、ウレタン接着剤からなる接着剤層3を介してウレタン樹脂からなるウレタン層2が形成されている。
【0022】
このように構成された樹脂被覆布帛は、以下の工程に従って製造される。まず、下記の組成のウレタン溶液を用意する。
ポリエステルポリオールと芳香族系ジイソシアネートとの反応によって得ら
れたウレタン樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製 商品名「クリスボン
NB637」) 100質量部
DMF 8質量部
メチルエチルケトン 50質量部
【0023】
図1(A)に示す離型紙1(協和産業(株)製 商品名「SPP6430」)に上記ウレタン溶液を塗布し、100〜130°Cで5分間の加熱を行う。ウレタン溶液の目付け量は64g/m2とした。こうして、図1(B)に示すように、離型紙1上に10〜20μmの厚さのウレタン層2を形成する。
【0024】
次に、ウレタン層2上に、以下の組成のウレタン系接着剤を塗布する。
ポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業性 商品名「タイフォースA
D865) 100質量部
脂環族系ジイソシアネート(大日本インキ化学工業性 商品名「バーノックD
N950) 10質量部
酢酸エチル 10質量部
ウレタン系接着剤の目付け量は35g/m2とした。こうして、図1(C)に示すように、ウレタン層2の上に接着剤層3を形成する。
【0025】
さらに、図1(D)に示すように、接着剤層3上に、ポリプロピレン繊維生地4(三菱レーヨン(株)製 商品名「パイレン」)を当接させ、70〜100°Cで3分間の加熱を行い、さらに72時間のエージングを行う。これにより、接着剤層3中のポリエステルポリオールと脂環族系ジイソシアネートとの間で架橋反応が進んで固化し、ポリプロピレン繊維生地4が接着剤層3に接着する。
【0026】
その後、離型紙1を剥がすことにより、図1(E)に示すように、ポリプロピレン繊維生地4の一面に接着剤層3を介してウレタン層2が形成された樹脂被覆布帛5を得る。ここで、ウレタン層2と接着剤層3とが樹脂層である。
【0027】
こうして得られた実施形態1の樹脂被覆布帛5を用い、以下のように表皮被覆発泡体を製造することができる。
【0028】
図2に示すように、イス用の表皮被覆発泡体を成形するための成形面10aを有する第1成形型10を用意する。この第1成形型10には、外部と内部とを連通する連通穴10bが設けられている。そして、図3に示すように、第1成形型10の成形面10a上に上記樹脂被覆布帛5を覆う。この際、ポリプロピレン繊維生地4(図1参照)側が成形面10aに当接するようにする。そして、連通穴10bを介して真空ポンプで吸引することにより、樹脂被覆布帛5を第1成形型10の成形面10aに密着させる。
【0029】
そして、図4に示すように、第1成形型10内にウレタン原液13aを注ぎ、図5に示すように、第2成形型11を第1成形型10の上に載せた後、第1成形型10及び第2成形型11に湯を注いで温める。こうして、ウレタン原液13aを加熱しウレタン発泡体13bとした後、第2成形型を第1成形型10から分離し、第1成形型10内に成形された表皮被覆発泡体14を取り出す。こうして、図6に示す表皮被覆発泡体14を得る。
【0030】
こうして得られた表皮被覆発泡体14をイスに使用した場合、ウレタン発泡体13bとウレタン層2とが使用中に剥れることはない。さらに、この表皮被覆発泡体14は、手の力によりウレタン層2とウレタン発泡体13bとの界面で容易に剥離させることができるという、中間的な接着強度を有している。このため、この表皮被覆発泡体14が使用済みとなった場合、樹脂被覆布帛5とウレタン発泡体13bとを容易に分別して回収することができる。そして、こうして回収されたウレタン発泡体13bを断熱材や梱包材等に再利用したり、再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。
【0031】
したがって、環境問題の生じるおそれを少なくすることができる。
【0032】
また、この表皮被覆発泡体14には安価なポリプロピレンからなるポリプロピレン繊維生地4が貼着されているため、製造コストを低廉にすることができ、機械的強度も優れている。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2の樹脂被覆布帛は、Tダイ法によってイスに用いられる表皮被覆発泡体を製造するためのものである。図7に示すように、この樹脂被覆布帛20はポリプロピレン繊維生地22の一面にEVAからなるEVA層21が熱溶着されている。
【0034】
このように構成された樹脂被覆布帛は、以下の工程に従って製造される。まず、図8に示すラミネート加工装置を用意する。この装置は、EVAを帯状に溶融しつつ押し出すことが可能なTダイ23と、帯状に押出されたEVAをポリプロピレン繊維生地22に貼着させるための複数個のローラ24a、24b、24c、24dとを備えている。
【0035】
さらに、ロール状に巻かれた長尺状のポリプロピレン繊維生地22(三菱レーヨン(株)製 商品名「パイレン」)と、EVAとを用意する。
【0036】
そして、ポリプロピレン繊維生地22をラミネート加工装置のローラ24a〜24d間の隙間に通す。さらに、図示しないTダイ用ホッパに上記EVAを投入し、Tダイ23によってEVAを帯状に溶融しつつ押出すとともに、ローラ24a〜24dを図示しないモータによって回転させる。これにより、ポリプロピレン繊維生地22にEVAが熱溶着によって貼着され、図7に示すポリプロピレン繊維生地22の一面にEVA層21が形成された樹脂被覆布帛20が巻き取られる。こうして、ポリプロピレン繊維生地22にEVA層21が形成された樹脂被覆布帛20を接着剤を塗布することなく、連続的に大量に製造することができる。このため、樹脂被覆布帛20の製造コストが極めて低廉となる。
【0037】
さらに、こうして得られた実施形態2の樹脂被覆布帛を用い、実施形態1と同様の方法によって実施形態2の表皮被覆発泡体を製造することができる。
【0038】
こうして得られた表皮被覆発泡体は、実施形態1の表皮被覆発泡体14と同様、適度な接着強度を有している。このため、使用中にポリプロピレン繊維生地22が剥がれることはなく、しかも使用済みとなった場合、樹脂被覆布帛20をウレタン発泡体から手の力によって容易に剥がすことができる。そして、こうして回収されたウレタン発泡体を断熱材や梱包材等に再利用したり、再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。また、こうして回収された樹脂被覆布帛20も再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。
【0039】
したがって、実施形態2の樹脂被覆布帛により表皮被覆発泡体を製造すれば、環境問題の生じるおそれを少なくすることができる。
【0040】
(実施形態3)
実施形態3の樹脂被覆布帛は、ホットメルト法によってイスに用いられる表皮被覆発泡体を製造するためのものである。図7に示すように、この樹脂被覆布帛30は、実施形態2の樹脂被覆布帛20と同様、ポリプロピレン繊維生地32の一面に、EVAからなるEVA層31が熱溶着されている。
【0041】
このように構成された樹脂被覆布帛30は、以下の工程に従って製造される。まず、図9に示すラミネート加工装置を用意する。この装置は、EVAを帯状に溶融しつつ押し出すことが可能なTダイ33と、帯状に押出されたEVAを離型紙34に均一に塗布するための複数個のローラ35a、35b、35cと、EVAが均一に塗布された離型紙34をポリプロピレン繊維生地32に貼着するためのローラ36a、36b、37a、37bとが備えられている。
【0042】
また、ロール状に巻かれた長尺状のポリプロピレン繊維生地32(三菱レーヨン(株)製 商品名「パイレン」)と、ロール状に巻かれた離型紙34(協和産業(株)製 商品名「SPP6430」)と、EVAとを用意する。EVA中の酢酸ビニル基の含有割合は5モル%とされている。なお、EVAの替わりにポリプロピレンを採用することもできる。
【0043】
そして、離型紙34をラミネート加工装置のローラ35a、35b、35c、36a、36b、37a、37bの隙間に通す。また、ポリプロピレン繊維生地32をローラ36a、36b、37a、37bの隙間に通す。
【0044】
そして、Tダイ33に原料を供給するための図示しないホッパにEVAを投入し、Tダイ33からEVAを帯状に溶融しつつ押出すとともに、ローラ35a、35b、35c、36a、36b、37a、37bを図示しないモータによって回転させる。これにより、離型紙34がローラ35a、35b、35cを通る間にEVAが離型紙34に均一に塗布される。さらに、こうしてEVAが均一に塗布された離型紙34がローラ36a、36b、37a、37bを通る間に、ポリプロピレン繊維生地32にEVA層31が貼着された樹脂被覆布帛30が離型紙34上に形成され巻き取られる。
【0045】
こうして、EVA層31が貼着された樹脂被覆布帛30を連続的に大量に製造することができる。このため、樹脂被覆布帛30の製造コストも極めて低廉となる。
【0046】
さらに、得られた実施形態3の樹脂被覆布帛を用い、実施形態1と同様の方法によって表皮被覆発泡体を製造することができる。
【0047】
こうして得られた実施形態3の表皮被覆発泡体は、表面に貼着されている布帛の風合いがソフトな感触を有しており、表皮被覆発泡体を製造する際に発泡体原液の布帛への浸出もほとんど生じない。他の作用効果については、実施形態2の樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体と同様である。
【0048】
なお、EVAの替わりにポリプロピレンを採用した場合、表面に貼着されている布帛の風合いが若干硬くなるものの、樹脂被覆布帛のリサイクル化がさらに容易となる。他の作用効果はEVAの場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の樹脂被覆布帛の製造工程を示す図であり、図(A)は離型紙の断面図であり、図(B)は離型紙にウレタン層を形成した状態における断面図であり、図(C)はウレタン層にウレタン系接着剤を塗布した状態の断面図であり、図(D)はポリプロピレン繊維生地を接着剤層に接着させた状態の断面図であり、図(E)は離型紙を剥して樹脂被覆布帛とされた状態における断面図である。
【図2】第1成形型の断面図である。
【図3】第1成形型に樹脂被覆布帛を覆った状態の断面図である。
【図4】第1成形型内にウレタン発泡原液を注いだ状態の断面図である。
【図5】第1成形型内にウレタン発泡体が形成された状態の断面図である。
【図6】表皮被覆発泡体の断面図である。
【図7】実施形態2及び実施形態3に係る樹脂被覆布帛の断面図である。
【図8】実施形態2の樹脂被覆布帛を製造するためのラミネート加工装置の模式図である。
【図9】実施形態3の樹脂被覆布帛を製造するためのラミネート加工装置の模式図である。
【符号の説明】
4、22、32…布帛(ポリプロピレン繊維生地)
2、3、21、31…樹脂層(2…ウレタン層、3…接着剤層、21、31…EVA層)
13a…発泡体原液(ウレタン原液)
13b…発泡体(ウレタン発泡体)
14…表皮被覆発泡体
3…接着剤層
2…ウレタン層
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡体の表面に布帛を貼着するための樹脂被覆布帛及びその発泡体の表面に布帛が貼着された表皮被覆発泡体に関する。この樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体は、イスやソファー等のクッション材に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、発泡体の表面に織地や編地等の布帛が貼着された表皮被覆発泡体を製造するための樹脂被覆布帛が知られている(特開平5−200174号公報)。この樹脂被覆布帛は、布帛と、布帛の一面に形成されたポリウレタン製の樹脂層とからなり、これを用いて、以下のように表皮被覆発泡体が製造される。
【0003】
すなわち、この樹脂被覆布帛を用いた表皮被覆発泡体の製造では、まず外部と内部とを連通する連通穴が設けられた成形型を用意し、成形型の成形面に上記樹脂被覆布帛の布帛側を当接させる。次に、連通穴を介して成形型内部を真空引きすることにより、樹脂被覆布帛を成形型に密着させる。さらに、加熱することによりウレタン発泡体となるウレタン発泡体原液を樹脂被覆布帛が密着した成形型内に注ぎ、成形型に外部から湯を注いだり、成形型に備えられた配管内に湯を通したりすることにより、成形型を加熱する。こうして成形型内のウレタン発泡体原液を発泡させてウレタン発泡体を成形し、成形型からこれを取り出してウレタン発泡体に布帛が貼着された表皮被覆発泡体を得る。
【0004】
上記樹脂被覆布帛は、ウレタン発泡体原液を発泡させながら、布帛のウレタン発泡体への貼着も同時に行うことができる。このため、ウレタン発泡体を成形した後で接着剤を用いて布帛を接着した表皮被覆発泡体に比べ、表皮被覆発泡体を製造するための工程数を少なくすることができ、ひいては、表皮被覆発泡体の製造コストを低廉なものとすることができる。
【0005】
以上の利点は、ウレタン以外の材質の発泡体に適用される樹脂被覆布帛及びそれを用いて製造した表皮被覆発泡体においても同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の樹脂被覆布帛では、これを用いて製造した表皮被覆発泡体が使用済みとなった場合の再利用について、何ら考慮がされていなかった。このため、表皮被覆発泡体が使用済みとなった後は、廃棄物として処分されることとなり、最終処分場の確保の問題や、焼却処分とした場合の大気汚染の問題、焼却灰の処理の問題等、環境問題のおそれを生じていた。
【0007】
本発明は、上記従来の従来の実情に鑑みてなされたものであり、環境問題を生ずるおそれの少ない樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂被覆布帛は、布帛と該布帛の一面に形成された樹脂層とからなり、該樹脂層を加熱により発泡体が形成される発泡体原液に接触させつつ加熱することにより、該発泡体の表面に該布帛が貼着された表皮被覆発泡体を製造することが可能な樹脂被覆布帛であって、前記発泡体に前記布帛を貼着させた後、手の力により前記樹脂層と該発泡体との界面で物理的に剥離させることが可能とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明の樹脂被覆布帛では、発泡体に布帛を貼着して本発明の表皮被覆発泡体とした後、手の力により樹脂層と発泡体との界面で物理的に剥離させることが可能とされている。このため、表皮被覆発泡体が使用済みとなった場合、発泡体に貼着されている布帛を樹脂層とともに手の力等によって剥がすことにより、容易に発泡体と樹脂被覆布帛とを分別して回収することができる。こうして回収された発泡体は断熱材や梱包材等に再利用したり、再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。また、こうして回収された樹脂被覆布帛も再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。
【0010】
したがって、本発明の樹脂被覆布帛によれば、環境問題の生じるおそれを少なくすることができる。
【0011】
発泡体はウレタンからなるウレタン発泡体であり、発泡体原液は加熱によりウレタン発泡体が形成されるウレタン原液であることが好ましい。こうであれば、ウレタンの有するソフトな感触の表皮被覆発泡体を製造することができ、イスやソファー等に適した表皮被覆発泡体とすることができる。
【0012】
布帛はオレフィン系ポリマー繊維生地とすることができる。オレフィン系ポリマー繊維生地は安価であるため、樹脂被覆布帛の製造コストを低廉なものとすることができる。また、オレフィン系ポリマー繊維生地は機械的強度が大きいため、耐久性に優れた表皮被覆発泡体を製造することができる。オレフィン系ポリマー繊維生地としては、ポリプロピレン繊維生地が特に好ましい。ポリプロピレン繊維はオレフィン系ポリマー繊維の中でも特に機械的強度が高く、特に優れた耐久性の表皮被覆発泡体とすることができる。なお、オレフィン系ポリマー繊維生地にはオレフィン系ポリマーの織物やオレフィン系ポリマーの編地が含まれる。
【0013】
樹脂層は布帛の一面に形成されたウレタン系接着剤からなる接着剤層と、接着剤層上に形成されたウレタンからなるウレタン層とからなることが好ましい。ウレタン樹脂はウレタン発泡体との相溶性が良いため、ウレタン層をウレタン発泡体に貼着させた場合、ある程度の接着強度を保つことができる。このため、この樹脂被覆布帛を用いて表皮被覆発泡体を製造した場合、表皮が物理的に簡単に剥がれてしまうことを防止することができる。また、その接着強度はそれほど強固なものではないため、使用済みとなった表皮被覆発泡体の布帛を手の力によってによってウレタン層とともに容易に剥がすことができる。
【0014】
樹脂層はエチレンと酢酸ビニルとの共重合体(以下「EVA」という)からなるEVA層であることも好ましい。EVAは熱可塑性樹脂であるため、接着剤を塗布することなく熱溶着法によって樹脂層を形成することができる。このため、樹脂被覆布帛の製造工程を簡素化することが可能となり、ひいては、製造コストを低廉化することができる。また、EVAは柔軟な素材であるため、EVA層をウレタン発泡体に貼着させた場合、ある程度の接着強度を保つことができる。このため、この樹脂被覆布帛を用いて表皮被覆発泡体を製造した場合、表皮が物理的に簡単に剥がれてしまうことを防止することができる。さらに、布帛がオレフィン系ポリマー繊維生地である場合、こうして回収されたEVA及びオレフィン系ポリマー繊維生地は相溶性に優れていることから、再溶融して再生プラスチックとして利用することが容易となる。
【0015】
EVA層を熱溶着によって布帛に形成する方法としては、押出し成形機によってサーマルダイ(Tダイ)から熱溶融されたフィルム状のEVAを押出し、これを布帛に熱溶着させるTダイ法や、フィルム状のEVAと布帛とを当接させつつ加熱し、熱溶着させる、ホットメルト法を採用することができる。この中でもTダイ法は、EVAをペレット状態から直接かつ連続的に樹脂被覆布帛に形成させることができることとなり、大量生産が容易となり、製造コストも極めて低廉となる。
【0016】
EVA中の酢酸ビニル基の含有割合は10モル%未満とされていることが好ましい。酢酸ビニル基の含有割合がこの範囲であれば、この樹脂被覆布帛をウレタン発泡体に貼着した後、手の力によって樹脂層と発泡体との界面で物理的に剥離させることが特に容易となる。なお、酢酸ビニル基の含有割合が0モル%の場合(すなわちポリエチレン)である場合であっても、以下に述べるように好ましい樹脂被覆布帛とすることができる。
【0017】
樹脂層はポリオレフィンからなるポリオレフィン層であることも好ましい。ポリオレフィンも熱可塑性樹脂であるため、Tダイ法やホットメルト法等の熱溶着法によって樹脂層を形成することができ、樹脂被覆布帛の製造工程を簡素化することが可能となり、ひいては、製造コストを低廉化することができる。また、布帛がオレフィン系ポリマー繊維生地である場合、使用済後に回収された樹脂被覆布帛がオレフィン系ポリマーのみからなることとなり、再溶融して再生プラスチックとして利用することが極めて容易となる。
【0018】
本発明の表皮被覆発泡体は、本発明の樹脂被覆布帛が発泡体の表面に貼着されており、手の力により樹脂層と発泡体との界面で物理的に剥離させることが可能とされていることを特徴とすることを特徴とする。
【0019】
本発明の樹脂被覆布帛を発泡体の表面に貼着すれば、発泡体に貼着されている布帛を樹脂層とともに手の力等によって剥がすことにより、容易に発泡体と樹脂被覆布帛とを分別して回収し、再利用することが可能となる
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態1〜3を図面とともに説明する。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1の樹脂被覆布帛はイスに用いられる表皮被覆発泡体を製造するためのものである。この樹脂被覆布帛は、図1(E)に示すように、ポリプロピレン繊維生地4の一面に、ウレタン接着剤からなる接着剤層3を介してウレタン樹脂からなるウレタン層2が形成されている。
【0022】
このように構成された樹脂被覆布帛は、以下の工程に従って製造される。まず、下記の組成のウレタン溶液を用意する。
ポリエステルポリオールと芳香族系ジイソシアネートとの反応によって得ら
れたウレタン樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製 商品名「クリスボン
NB637」) 100質量部
DMF 8質量部
メチルエチルケトン 50質量部
【0023】
図1(A)に示す離型紙1(協和産業(株)製 商品名「SPP6430」)に上記ウレタン溶液を塗布し、100〜130°Cで5分間の加熱を行う。ウレタン溶液の目付け量は64g/m2とした。こうして、図1(B)に示すように、離型紙1上に10〜20μmの厚さのウレタン層2を形成する。
【0024】
次に、ウレタン層2上に、以下の組成のウレタン系接着剤を塗布する。
ポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業性 商品名「タイフォースA
D865) 100質量部
脂環族系ジイソシアネート(大日本インキ化学工業性 商品名「バーノックD
N950) 10質量部
酢酸エチル 10質量部
ウレタン系接着剤の目付け量は35g/m2とした。こうして、図1(C)に示すように、ウレタン層2の上に接着剤層3を形成する。
【0025】
さらに、図1(D)に示すように、接着剤層3上に、ポリプロピレン繊維生地4(三菱レーヨン(株)製 商品名「パイレン」)を当接させ、70〜100°Cで3分間の加熱を行い、さらに72時間のエージングを行う。これにより、接着剤層3中のポリエステルポリオールと脂環族系ジイソシアネートとの間で架橋反応が進んで固化し、ポリプロピレン繊維生地4が接着剤層3に接着する。
【0026】
その後、離型紙1を剥がすことにより、図1(E)に示すように、ポリプロピレン繊維生地4の一面に接着剤層3を介してウレタン層2が形成された樹脂被覆布帛5を得る。ここで、ウレタン層2と接着剤層3とが樹脂層である。
【0027】
こうして得られた実施形態1の樹脂被覆布帛5を用い、以下のように表皮被覆発泡体を製造することができる。
【0028】
図2に示すように、イス用の表皮被覆発泡体を成形するための成形面10aを有する第1成形型10を用意する。この第1成形型10には、外部と内部とを連通する連通穴10bが設けられている。そして、図3に示すように、第1成形型10の成形面10a上に上記樹脂被覆布帛5を覆う。この際、ポリプロピレン繊維生地4(図1参照)側が成形面10aに当接するようにする。そして、連通穴10bを介して真空ポンプで吸引することにより、樹脂被覆布帛5を第1成形型10の成形面10aに密着させる。
【0029】
そして、図4に示すように、第1成形型10内にウレタン原液13aを注ぎ、図5に示すように、第2成形型11を第1成形型10の上に載せた後、第1成形型10及び第2成形型11に湯を注いで温める。こうして、ウレタン原液13aを加熱しウレタン発泡体13bとした後、第2成形型を第1成形型10から分離し、第1成形型10内に成形された表皮被覆発泡体14を取り出す。こうして、図6に示す表皮被覆発泡体14を得る。
【0030】
こうして得られた表皮被覆発泡体14をイスに使用した場合、ウレタン発泡体13bとウレタン層2とが使用中に剥れることはない。さらに、この表皮被覆発泡体14は、手の力によりウレタン層2とウレタン発泡体13bとの界面で容易に剥離させることができるという、中間的な接着強度を有している。このため、この表皮被覆発泡体14が使用済みとなった場合、樹脂被覆布帛5とウレタン発泡体13bとを容易に分別して回収することができる。そして、こうして回収されたウレタン発泡体13bを断熱材や梱包材等に再利用したり、再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。
【0031】
したがって、環境問題の生じるおそれを少なくすることができる。
【0032】
また、この表皮被覆発泡体14には安価なポリプロピレンからなるポリプロピレン繊維生地4が貼着されているため、製造コストを低廉にすることができ、機械的強度も優れている。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2の樹脂被覆布帛は、Tダイ法によってイスに用いられる表皮被覆発泡体を製造するためのものである。図7に示すように、この樹脂被覆布帛20はポリプロピレン繊維生地22の一面にEVAからなるEVA層21が熱溶着されている。
【0034】
このように構成された樹脂被覆布帛は、以下の工程に従って製造される。まず、図8に示すラミネート加工装置を用意する。この装置は、EVAを帯状に溶融しつつ押し出すことが可能なTダイ23と、帯状に押出されたEVAをポリプロピレン繊維生地22に貼着させるための複数個のローラ24a、24b、24c、24dとを備えている。
【0035】
さらに、ロール状に巻かれた長尺状のポリプロピレン繊維生地22(三菱レーヨン(株)製 商品名「パイレン」)と、EVAとを用意する。
【0036】
そして、ポリプロピレン繊維生地22をラミネート加工装置のローラ24a〜24d間の隙間に通す。さらに、図示しないTダイ用ホッパに上記EVAを投入し、Tダイ23によってEVAを帯状に溶融しつつ押出すとともに、ローラ24a〜24dを図示しないモータによって回転させる。これにより、ポリプロピレン繊維生地22にEVAが熱溶着によって貼着され、図7に示すポリプロピレン繊維生地22の一面にEVA層21が形成された樹脂被覆布帛20が巻き取られる。こうして、ポリプロピレン繊維生地22にEVA層21が形成された樹脂被覆布帛20を接着剤を塗布することなく、連続的に大量に製造することができる。このため、樹脂被覆布帛20の製造コストが極めて低廉となる。
【0037】
さらに、こうして得られた実施形態2の樹脂被覆布帛を用い、実施形態1と同様の方法によって実施形態2の表皮被覆発泡体を製造することができる。
【0038】
こうして得られた表皮被覆発泡体は、実施形態1の表皮被覆発泡体14と同様、適度な接着強度を有している。このため、使用中にポリプロピレン繊維生地22が剥がれることはなく、しかも使用済みとなった場合、樹脂被覆布帛20をウレタン発泡体から手の力によって容易に剥がすことができる。そして、こうして回収されたウレタン発泡体を断熱材や梱包材等に再利用したり、再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。また、こうして回収された樹脂被覆布帛20も再溶融して再生プラスチックとして再利用したりすることができる。
【0039】
したがって、実施形態2の樹脂被覆布帛により表皮被覆発泡体を製造すれば、環境問題の生じるおそれを少なくすることができる。
【0040】
(実施形態3)
実施形態3の樹脂被覆布帛は、ホットメルト法によってイスに用いられる表皮被覆発泡体を製造するためのものである。図7に示すように、この樹脂被覆布帛30は、実施形態2の樹脂被覆布帛20と同様、ポリプロピレン繊維生地32の一面に、EVAからなるEVA層31が熱溶着されている。
【0041】
このように構成された樹脂被覆布帛30は、以下の工程に従って製造される。まず、図9に示すラミネート加工装置を用意する。この装置は、EVAを帯状に溶融しつつ押し出すことが可能なTダイ33と、帯状に押出されたEVAを離型紙34に均一に塗布するための複数個のローラ35a、35b、35cと、EVAが均一に塗布された離型紙34をポリプロピレン繊維生地32に貼着するためのローラ36a、36b、37a、37bとが備えられている。
【0042】
また、ロール状に巻かれた長尺状のポリプロピレン繊維生地32(三菱レーヨン(株)製 商品名「パイレン」)と、ロール状に巻かれた離型紙34(協和産業(株)製 商品名「SPP6430」)と、EVAとを用意する。EVA中の酢酸ビニル基の含有割合は5モル%とされている。なお、EVAの替わりにポリプロピレンを採用することもできる。
【0043】
そして、離型紙34をラミネート加工装置のローラ35a、35b、35c、36a、36b、37a、37bの隙間に通す。また、ポリプロピレン繊維生地32をローラ36a、36b、37a、37bの隙間に通す。
【0044】
そして、Tダイ33に原料を供給するための図示しないホッパにEVAを投入し、Tダイ33からEVAを帯状に溶融しつつ押出すとともに、ローラ35a、35b、35c、36a、36b、37a、37bを図示しないモータによって回転させる。これにより、離型紙34がローラ35a、35b、35cを通る間にEVAが離型紙34に均一に塗布される。さらに、こうしてEVAが均一に塗布された離型紙34がローラ36a、36b、37a、37bを通る間に、ポリプロピレン繊維生地32にEVA層31が貼着された樹脂被覆布帛30が離型紙34上に形成され巻き取られる。
【0045】
こうして、EVA層31が貼着された樹脂被覆布帛30を連続的に大量に製造することができる。このため、樹脂被覆布帛30の製造コストも極めて低廉となる。
【0046】
さらに、得られた実施形態3の樹脂被覆布帛を用い、実施形態1と同様の方法によって表皮被覆発泡体を製造することができる。
【0047】
こうして得られた実施形態3の表皮被覆発泡体は、表面に貼着されている布帛の風合いがソフトな感触を有しており、表皮被覆発泡体を製造する際に発泡体原液の布帛への浸出もほとんど生じない。他の作用効果については、実施形態2の樹脂被覆布帛及び表皮被覆発泡体と同様である。
【0048】
なお、EVAの替わりにポリプロピレンを採用した場合、表面に貼着されている布帛の風合いが若干硬くなるものの、樹脂被覆布帛のリサイクル化がさらに容易となる。他の作用効果はEVAの場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の樹脂被覆布帛の製造工程を示す図であり、図(A)は離型紙の断面図であり、図(B)は離型紙にウレタン層を形成した状態における断面図であり、図(C)はウレタン層にウレタン系接着剤を塗布した状態の断面図であり、図(D)はポリプロピレン繊維生地を接着剤層に接着させた状態の断面図であり、図(E)は離型紙を剥して樹脂被覆布帛とされた状態における断面図である。
【図2】第1成形型の断面図である。
【図3】第1成形型に樹脂被覆布帛を覆った状態の断面図である。
【図4】第1成形型内にウレタン発泡原液を注いだ状態の断面図である。
【図5】第1成形型内にウレタン発泡体が形成された状態の断面図である。
【図6】表皮被覆発泡体の断面図である。
【図7】実施形態2及び実施形態3に係る樹脂被覆布帛の断面図である。
【図8】実施形態2の樹脂被覆布帛を製造するためのラミネート加工装置の模式図である。
【図9】実施形態3の樹脂被覆布帛を製造するためのラミネート加工装置の模式図である。
【符号の説明】
4、22、32…布帛(ポリプロピレン繊維生地)
2、3、21、31…樹脂層(2…ウレタン層、3…接着剤層、21、31…EVA層)
13a…発泡体原液(ウレタン原液)
13b…発泡体(ウレタン発泡体)
14…表皮被覆発泡体
3…接着剤層
2…ウレタン層
Claims (9)
- 布帛と該布帛の一面に形成された樹脂層とからなり、該樹脂層を加熱により発泡体が形成される発泡体原液に接触させつつ加熱することにより、該発泡体の表面に該布帛が貼着された表皮被覆発泡体を製造することが可能な樹脂被覆布帛であって、
前記発泡体に前記布帛を貼着させた後、手の力により前記樹脂層と該発泡体との界面で物理的に剥離させることが可能とされていることを特徴とする樹脂被覆布帛。 - 発泡体はウレタンからなるウレタン発泡体であり、発泡体原液は加熱によりウレタン発泡体が形成されるウレタン原液であることを特徴とする請求項1記載の樹脂被覆布帛。
- 布帛はオレフィン系ポリマー繊維生地であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂被覆布帛。
- オレフィン系ポリマー繊維生地はポリプロピレン繊維生地であることを特徴とする請求項3記載の樹脂被覆布帛。
- 樹脂層は布帛の一面に形成されたウレタン系接着剤からなる接着剤層と、該接着剤層上に形成されたウレタン樹脂からなるウレタン層とからなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の樹脂被覆布帛。
- 樹脂層はエチレンと酢酸ビニルとの共重合体からなるEVA層であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の樹脂被覆布帛。
- EVA中の酢酸ビニル基の含有割合は10モル%未満とされていることを特徴とする請求項6記載の樹脂被覆布帛。
- 樹脂層はポリオレフィンからなるポリオレフィン層であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の樹脂被覆布帛。
- 請求項1記載の樹脂被覆布帛が発泡体の表面に貼着されていることを特徴とすることを特徴とする表皮被覆発泡体。
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-
2002
- 2002-08-29 JP JP2002250166A patent/JP2004082660A/ja active Pending
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