JP2004082079A - 金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属を有効成分とする人体に優しい優れた殺菌能を有する電解生成殺菌水を製造する。
【解決手段】既存の無隔膜電解槽または有隔膜電解槽と金イオン溶出電解槽とを流出管路を介して互いに接続してなる製造装置を使用して、既存の無隔膜電解または有隔膜電解と金イオン溶出電解併用して、金イオン含有の電解生成殺菌水を製造する。
【選択図】 図2
【解決手段】既存の無隔膜電解槽または有隔膜電解槽と金イオン溶出電解槽とを流出管路を介して互いに接続してなる製造装置を使用して、既存の無隔膜電解または有隔膜電解と金イオン溶出電解併用して、金イオン含有の電解生成殺菌水を製造する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解生成殺菌水の一種として、金属成分を有効成分とする電解生成殺菌水がある。当該電解生成殺菌水は、水道水等の一般水を被電解水とする電解によって生成されるもので、衛生上好ましい殺菌水を安価で容易に製造し得ることを意図して開発されたものである。当該電解生成殺菌水およびその製造方法に関しては、特公平5−5555号公報、特開平5−115881号公報等を代表例として、幾多の刊行物に開示されているところである。
【0003】
これらの公報に開示されている電解生成殺菌水は、電解生成アルカリ性水や電解生成酸性水中に金属の有効成分を含有しているもので、有効成分としては、具体的にはほとんど銀成分(銀イオンの形態)に限られ、わずかに銅成分や亜鉛成分が認められるにすぎないものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、銀成分は抗菌、制菌作用(殺菌作用)があって、無機系抗菌剤としてよく知られている成分である。銀イオンは、体内に蓄積されにくくて、極微量であるかぎりは、一応安全であるといわれている。しかしながら、多くの国での水質基準では、銀成分の最大許容濃度が規定されており、また、銀成分を大量に摂取した場合には、肝臓に蓄積される銀成分に起因してアルギリア症が発生するおそれがある。銀は重金属に属する金属であって、摂取量によっては、必ずしも人体に無害であるとはいえない。
【0005】
従って、金属成分を有効成分とする電解生成殺菌水においては、人体に対する一層無害な有効成分とする電解生成殺菌水を製造することが要請される。本発明は、銀成分に比較して殺菌作用は若干落ちるがより安全である金イオン等の金成分に着目してなされたもので、その目的とするところは、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水を製造する製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法であって、本発明に係る第1の製造方法は、水を被電解水とする無隔膜電解により生成される電解生成中性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成中性水中に金イオンを溶出させることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る第2の製造方法は、水を被電解水とする金成分を含有する電極を使用する電解により生成される金イオンを含有する電解生成水を、無隔膜電解に付すことを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る第3の製造方法は、水を被電解水とする有隔膜電解により生成される電解生成酸性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成酸性水中に金イオンを溶出させることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る第4の製造方法は、水を被電解水とする有隔膜電解により生成される電解生成アルカル性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成アルカリ性水中に金イオンを溶出させることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る第5の製造方法は、水を被電解水とする金成分を含有する電極を使用する電解により生成される金イオンを含有する電解生成水を、無隔膜電解または有隔膜電解に付すことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造装置であり、当該製造装置は、無隔膜電解槽と、金成分を含有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽を備え、これらの両電解槽が流水管路を介して互いに直列的に接続されていること、または、有隔膜電解槽と、金成分を含有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽を備え、これらの両電解槽が流水管路を介して互いに直列的に接続されていることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の作用・効果】
本発明に係るこれらの電解生成殺菌水の製造方法によれば、金成分に起因する殺菌能を有する電解生成殺菌水を製造することができる。また、これらの各製造方法を実施する場合には、既存の無隔膜電解または有隔膜電解による電解と、金イオンを溶出するための電解槽を併せて実施することから、既存の無隔膜電解槽または有隔膜電解槽を有効に利用することができて、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水を容易かつ安価に製造することができる。
【0013】
本発明に係る電解生成殺菌水の製造方法では、金イオンを溶出する電解は、既存の無隔膜電解または有隔膜電解の前後いずれでもよいが、金イオンを溶出する電解を、無隔膜電解または有隔膜電解の後で実施する場合には、高価な金の電解槽の各構成部材への付着によるロスを最少に抑えることができる。特に、金イオンを溶出する電解を有隔膜電解槽と併用する場合には、高価な金の有隔膜電解槽を構成する隔膜への付着によるロスを皆無にすることができる利点がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法、および、当該電解生成殺菌水の製造装置である。本発明に係る電解生成殺菌水の製造方法には、無隔膜電解と金イオンを溶出する電解(以下金イオン溶出電解と称する)を併用する製造方法と、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用する製造方法があり、これらの製造方法には幾多の実施形態がある。図1には、無隔膜電解と金イオン溶出電解を併用する製造方法の2つの実施形態をブロック図として示しており、また、図2には、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用する製造方法の4つの実施形態をブロック図として示している。
【0015】
図1(a)に示す第1実施形態の製造方法は、無隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる無隔膜電解槽にて電解して電解生成中性水を生成する無隔膜電解と、当該無隔膜電解にて生成された電解生成中性水を被電解水として、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成中性水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0016】
これにより、当該製造方法によれば、金成分を有効成分とする略中性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、無隔膜電解にて生成されるで電解生成中性水が有する低い殺菌能に、金成分に起因する殺菌能が付加されているもので、人体に優しい優れた殺菌能を有する殺菌用水である。
【0017】
図1(b)に示す第2実施形態の製造方法は、金イオン溶出電解と無隔膜電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成中性水を生成する金イオン溶出電解と、金イオンを含有する電解生成中性水を被電解水とし、これを、金成分非含有の一対の電極を配置してなる無隔膜電解槽にて電解して電解生成中性水を生成する無隔膜電解を備えている。
【0018】
これにより、金成分を有効成分とする略中性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、第1実施形態の製造方法で生成される電解生成殺菌水と同等の特性を有するものである。
【0019】
図2(a)に示す第3実施形態の製造方法は、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して、電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を生成する有隔膜電解と、当該有隔膜電解にて生成された電解生成アルカリ性水を被電解水として、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成アルカリ性水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0020】
これにより、金成分を有効成分とするアリカリ性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、極めて弱い弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水に金成分に起因する殺菌能が付加されているもので、人体に優しい優れた殺菌能を有する殺菌用水である。当該電解生成殺菌水は、電解生成アルカリ性水の用途を拡大するものである。なお、残存する電解生成酸性水は、若干の殺菌能を有することから、本来の用途である殺菌用水として、当該電解生成殺菌水とは別の分野で利用される。
【0021】
図2(b)に示す第4実施形態の製造方法は、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して、電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を生成する有隔膜電解と、当該有隔膜電解にて生成された電解生成酸性水を被電解水として、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成酸性水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0022】
これにより、金成分を有効成分とする酸性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、若干の殺菌能を有する弱酸性の電解生成酸性水に金成分に起因する殺菌能が付加されているもので、人体に優しい優れた殺菌能を有する殺菌用水である。当該電解生成殺菌水は、電解生成酸性水の殺菌能を有効塩素濃度や酸性度を高めることなく殺菌能を高めるものである。なお、残存する電解生成アルカリ性水は、洗浄能を有することから、本来の用途である洗浄用水として、当該電解生成殺菌水とは別の分野で利用される。
【0023】
図2(c)に示す第5実施形態の製造方法は、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して、電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を生成する有隔膜電解と、当該有隔膜電解にて生成された電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水をそれぞれ被電解水とし、これらを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする互いに独立した各無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0024】
これにより、金成分を有効成分とする弱酸性の電解生成殺菌水、および、金成分を有効成分とする弱アルカリ性の電解生成殺菌水を同期的に生成することができる。
【0025】
図2(d)に示す第6実施形態の製造方法は、金イオン溶出電解と有隔膜電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水と、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成中性水を生成する金イオン溶出電解と、金イオンを含有する電解生成中性水を被電解水とし、これを、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を同期的に生成する有隔膜電解を備えている。
【0026】
これにより、金成分を有効成分とする弱アルカリ性の電解生成殺菌水と弱酸性の電解生成殺菌水を、1台の金イオン溶出電解槽にて生成することができる。
【0027】
本発明に係る電解生成殺菌水の製造方法では、電解生成水の特性上、図2に示す有隔膜電解を利用した製造方法が有利でありかつ有効である。これらの実施形態では、特に、有隔膜電解を先行させる第3,第4,第5実施形態の製造方法が有利であり、これらの製造方法によれば、高価な金の有隔膜電解槽を構成する隔膜への付着によるロスを皆無にすることができる利点がある。
【0028】
図3には、第5実施形態の製造方法を実施するための製造装置を概略的に示している。当該製造装置は、有隔膜電解槽10と、並列する一対の無隔膜電解槽20a,20bを備えている。有隔膜電解槽10は、既存の有隔膜電解槽であって、隔膜で区画された陽極電解室11と陰極電解室12を備えている。無隔膜電解槽20a,20bには、陽極電極21a,21bと陰極電極22a,22bが互いに対向して配設されている。各陽極電極21a,21bとしては、金合金製の電極が採用され、各陰極電極22a,22bとしては、ステンレス製の電極が採用されている。
【0029】
当該製造装置は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水は、供給管路13を通して、有隔膜電解槽10の陽極電解室11と陰極電解室12にそれぞれ供給される。供給された被電解水は、所定の電解条件で電解されて、陽極電解室11内では弱酸性の電解生成酸性水が生成され、かつ、陰極電解室12内では弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水が生成される。生成された電解生成酸性水は、流出管路14aを通って無隔膜電解槽20aに供給され、また、生成された電解生成アルカリ性水は、流出管路14bを通って無隔膜電解槽20bに供給される。
【0030】
一方の無隔膜電解槽20aは、電解生成酸性水を被電解水とし、他方の無隔膜電解槽20bは、電解生成アルカリ性水を被電解水とするもので、それぞれ同一の電解条件で電解を受ける。これにより、各無隔膜電解槽20a,20bでは、陽極電極21a,21bから構成成分である金がイオンの状態で溶出し、電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水は、金イオンを有効成分とする電解生成殺菌水に生成される。生成された各電解生成殺菌水は、各流出管路23a,23bから流出される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の無隔膜電解槽と金イオン溶出電解槽を併用した実施形態の2つの例を示すブロック図(a),(b)である。
【図2】本発明に係る製造方法の有隔膜電解槽と金イオン溶出電解槽を併用した実施形態の4つの例を示すブロック図(a),(b),(c),(d)である。
【図3】本発明に係る製造方法を実施するための製造装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10…有隔膜電解槽、11…陽極電解室、12…陰極電解室、13…供給管路、14a,14b…流出管路、20a,20b…無隔膜電解槽、21a,21b…陽極電極、22a,22b…陰極電極、23a,23b…流出管路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解生成殺菌水の一種として、金属成分を有効成分とする電解生成殺菌水がある。当該電解生成殺菌水は、水道水等の一般水を被電解水とする電解によって生成されるもので、衛生上好ましい殺菌水を安価で容易に製造し得ることを意図して開発されたものである。当該電解生成殺菌水およびその製造方法に関しては、特公平5−5555号公報、特開平5−115881号公報等を代表例として、幾多の刊行物に開示されているところである。
【0003】
これらの公報に開示されている電解生成殺菌水は、電解生成アルカリ性水や電解生成酸性水中に金属の有効成分を含有しているもので、有効成分としては、具体的にはほとんど銀成分(銀イオンの形態)に限られ、わずかに銅成分や亜鉛成分が認められるにすぎないものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、銀成分は抗菌、制菌作用(殺菌作用)があって、無機系抗菌剤としてよく知られている成分である。銀イオンは、体内に蓄積されにくくて、極微量であるかぎりは、一応安全であるといわれている。しかしながら、多くの国での水質基準では、銀成分の最大許容濃度が規定されており、また、銀成分を大量に摂取した場合には、肝臓に蓄積される銀成分に起因してアルギリア症が発生するおそれがある。銀は重金属に属する金属であって、摂取量によっては、必ずしも人体に無害であるとはいえない。
【0005】
従って、金属成分を有効成分とする電解生成殺菌水においては、人体に対する一層無害な有効成分とする電解生成殺菌水を製造することが要請される。本発明は、銀成分に比較して殺菌作用は若干落ちるがより安全である金イオン等の金成分に着目してなされたもので、その目的とするところは、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水を製造する製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法であって、本発明に係る第1の製造方法は、水を被電解水とする無隔膜電解により生成される電解生成中性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成中性水中に金イオンを溶出させることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る第2の製造方法は、水を被電解水とする金成分を含有する電極を使用する電解により生成される金イオンを含有する電解生成水を、無隔膜電解に付すことを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る第3の製造方法は、水を被電解水とする有隔膜電解により生成される電解生成酸性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成酸性水中に金イオンを溶出させることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る第4の製造方法は、水を被電解水とする有隔膜電解により生成される電解生成アルカル性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成アルカリ性水中に金イオンを溶出させることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る第5の製造方法は、水を被電解水とする金成分を含有する電極を使用する電解により生成される金イオンを含有する電解生成水を、無隔膜電解または有隔膜電解に付すことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造装置であり、当該製造装置は、無隔膜電解槽と、金成分を含有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽を備え、これらの両電解槽が流水管路を介して互いに直列的に接続されていること、または、有隔膜電解槽と、金成分を含有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽を備え、これらの両電解槽が流水管路を介して互いに直列的に接続されていることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の作用・効果】
本発明に係るこれらの電解生成殺菌水の製造方法によれば、金成分に起因する殺菌能を有する電解生成殺菌水を製造することができる。また、これらの各製造方法を実施する場合には、既存の無隔膜電解または有隔膜電解による電解と、金イオンを溶出するための電解槽を併せて実施することから、既存の無隔膜電解槽または有隔膜電解槽を有効に利用することができて、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水を容易かつ安価に製造することができる。
【0013】
本発明に係る電解生成殺菌水の製造方法では、金イオンを溶出する電解は、既存の無隔膜電解または有隔膜電解の前後いずれでもよいが、金イオンを溶出する電解を、無隔膜電解または有隔膜電解の後で実施する場合には、高価な金の電解槽の各構成部材への付着によるロスを最少に抑えることができる。特に、金イオンを溶出する電解を有隔膜電解槽と併用する場合には、高価な金の有隔膜電解槽を構成する隔膜への付着によるロスを皆無にすることができる利点がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法、および、当該電解生成殺菌水の製造装置である。本発明に係る電解生成殺菌水の製造方法には、無隔膜電解と金イオンを溶出する電解(以下金イオン溶出電解と称する)を併用する製造方法と、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用する製造方法があり、これらの製造方法には幾多の実施形態がある。図1には、無隔膜電解と金イオン溶出電解を併用する製造方法の2つの実施形態をブロック図として示しており、また、図2には、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用する製造方法の4つの実施形態をブロック図として示している。
【0015】
図1(a)に示す第1実施形態の製造方法は、無隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる無隔膜電解槽にて電解して電解生成中性水を生成する無隔膜電解と、当該無隔膜電解にて生成された電解生成中性水を被電解水として、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成中性水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0016】
これにより、当該製造方法によれば、金成分を有効成分とする略中性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、無隔膜電解にて生成されるで電解生成中性水が有する低い殺菌能に、金成分に起因する殺菌能が付加されているもので、人体に優しい優れた殺菌能を有する殺菌用水である。
【0017】
図1(b)に示す第2実施形態の製造方法は、金イオン溶出電解と無隔膜電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成中性水を生成する金イオン溶出電解と、金イオンを含有する電解生成中性水を被電解水とし、これを、金成分非含有の一対の電極を配置してなる無隔膜電解槽にて電解して電解生成中性水を生成する無隔膜電解を備えている。
【0018】
これにより、金成分を有効成分とする略中性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、第1実施形態の製造方法で生成される電解生成殺菌水と同等の特性を有するものである。
【0019】
図2(a)に示す第3実施形態の製造方法は、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して、電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を生成する有隔膜電解と、当該有隔膜電解にて生成された電解生成アルカリ性水を被電解水として、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成アルカリ性水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0020】
これにより、金成分を有効成分とするアリカリ性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、極めて弱い弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水に金成分に起因する殺菌能が付加されているもので、人体に優しい優れた殺菌能を有する殺菌用水である。当該電解生成殺菌水は、電解生成アルカリ性水の用途を拡大するものである。なお、残存する電解生成酸性水は、若干の殺菌能を有することから、本来の用途である殺菌用水として、当該電解生成殺菌水とは別の分野で利用される。
【0021】
図2(b)に示す第4実施形態の製造方法は、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して、電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を生成する有隔膜電解と、当該有隔膜電解にて生成された電解生成酸性水を被電解水として、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成酸性水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0022】
これにより、金成分を有効成分とする酸性の電解生成殺菌水が生成される。当該電解生成殺菌水は、若干の殺菌能を有する弱酸性の電解生成酸性水に金成分に起因する殺菌能が付加されているもので、人体に優しい優れた殺菌能を有する殺菌用水である。当該電解生成殺菌水は、電解生成酸性水の殺菌能を有効塩素濃度や酸性度を高めることなく殺菌能を高めるものである。なお、残存する電解生成アルカリ性水は、洗浄能を有することから、本来の用途である洗浄用水として、当該電解生成殺菌水とは別の分野で利用される。
【0023】
図2(c)に示す第5実施形態の製造方法は、有隔膜電解と金イオン溶出電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水を、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して、電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を生成する有隔膜電解と、当該有隔膜電解にて生成された電解生成酸性水と電解生成アルカリ性水をそれぞれ被電解水とし、これらを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする互いに独立した各無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成水を生成する金イオン溶出電解を備えている。
【0024】
これにより、金成分を有効成分とする弱酸性の電解生成殺菌水、および、金成分を有効成分とする弱アルカリ性の電解生成殺菌水を同期的に生成することができる。
【0025】
図2(d)に示す第6実施形態の製造方法は、金イオン溶出電解と有隔膜電解を併用している製造方法である。当該製造方法は、水道水等の一般水を被電解水と、これを、金、金合金または金被膜を有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽にて金イオンを含有する電解生成中性水を生成する金イオン溶出電解と、金イオンを含有する電解生成中性水を被電解水とし、これを、金成分非含有の一対の電極を配置してなる有隔膜電解槽にて電解して電解生成アルカリ性水と電解生成酸性水を同期的に生成する有隔膜電解を備えている。
【0026】
これにより、金成分を有効成分とする弱アルカリ性の電解生成殺菌水と弱酸性の電解生成殺菌水を、1台の金イオン溶出電解槽にて生成することができる。
【0027】
本発明に係る電解生成殺菌水の製造方法では、電解生成水の特性上、図2に示す有隔膜電解を利用した製造方法が有利でありかつ有効である。これらの実施形態では、特に、有隔膜電解を先行させる第3,第4,第5実施形態の製造方法が有利であり、これらの製造方法によれば、高価な金の有隔膜電解槽を構成する隔膜への付着によるロスを皆無にすることができる利点がある。
【0028】
図3には、第5実施形態の製造方法を実施するための製造装置を概略的に示している。当該製造装置は、有隔膜電解槽10と、並列する一対の無隔膜電解槽20a,20bを備えている。有隔膜電解槽10は、既存の有隔膜電解槽であって、隔膜で区画された陽極電解室11と陰極電解室12を備えている。無隔膜電解槽20a,20bには、陽極電極21a,21bと陰極電極22a,22bが互いに対向して配設されている。各陽極電極21a,21bとしては、金合金製の電極が採用され、各陰極電極22a,22bとしては、ステンレス製の電極が採用されている。
【0029】
当該製造装置は、水道水等の一般水を被電解水とするもので、被電解水は、供給管路13を通して、有隔膜電解槽10の陽極電解室11と陰極電解室12にそれぞれ供給される。供給された被電解水は、所定の電解条件で電解されて、陽極電解室11内では弱酸性の電解生成酸性水が生成され、かつ、陰極電解室12内では弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水が生成される。生成された電解生成酸性水は、流出管路14aを通って無隔膜電解槽20aに供給され、また、生成された電解生成アルカリ性水は、流出管路14bを通って無隔膜電解槽20bに供給される。
【0030】
一方の無隔膜電解槽20aは、電解生成酸性水を被電解水とし、他方の無隔膜電解槽20bは、電解生成アルカリ性水を被電解水とするもので、それぞれ同一の電解条件で電解を受ける。これにより、各無隔膜電解槽20a,20bでは、陽極電極21a,21bから構成成分である金がイオンの状態で溶出し、電解生成酸性水および電解生成アルカリ性水は、金イオンを有効成分とする電解生成殺菌水に生成される。生成された各電解生成殺菌水は、各流出管路23a,23bから流出される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の無隔膜電解槽と金イオン溶出電解槽を併用した実施形態の2つの例を示すブロック図(a),(b)である。
【図2】本発明に係る製造方法の有隔膜電解槽と金イオン溶出電解槽を併用した実施形態の4つの例を示すブロック図(a),(b),(c),(d)である。
【図3】本発明に係る製造方法を実施するための製造装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10…有隔膜電解槽、11…陽極電解室、12…陰極電解室、13…供給管路、14a,14b…流出管路、20a,20b…無隔膜電解槽、21a,21b…陽極電極、22a,22b…陰極電極、23a,23b…流出管路。
Claims (7)
- 水を被電解水とする無隔膜電解により生成される電解生成中性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成中性水中に金イオンを溶出させることを特徴とする金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法。
- 水を被電解水とする金成分を含有する電極を使用する電解により生成される金イオンを含有する電解生成中性水を、無隔膜電解に付すことを特徴とする金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法
- 水を被電解水とする有隔膜電解により生成される電解生成酸性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成酸性水中に金イオンを溶出させることを特徴とする金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法。
- 水を被電解水とする有隔膜電解により生成される電解生成アルカリ性水を、金成分を含有する電極を使用する電解に付して、当該電解にて前記電解生成アルカリ性水中に金イオンを溶出させることを特徴とする金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法。
- 水を被電解水とする金成分を含有する電極を使用する電解により生成される金イオンを含有する電解生成水を、有隔膜電解に付すことを特徴とする金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造方法。
- 請求項1または2に記載の電解生成殺菌水を製造するための製造装置であり、無隔膜電解槽と、金成分を含有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽を備え、これらの両電解槽が流水管路を介して互いに直列的に接続されていることを特徴とする金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造装置。
- 請求項3,4または5に記載の電解生成殺菌水を製造するための製造装置であり、有隔膜電解槽と、金成分を含有する電極を少なくとも陽極電極とする無隔膜電解槽を備え、これらの両電解槽が流水管路を介して互いに直列的に接続されていることを特徴とする金成分を有効成分とする電解生成殺菌水の製造装置。
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- 2002-08-29 JP JP2002250388A patent/JP2004082079A/ja active Pending
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