JP3962601B2 - 農作物用病害防除液の製造方法および製造装置 - Google Patents

農作物用病害防除液の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作物用病害防除液の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
農作物に散布して農作物の病害を防除するための病害防除液は、一般には、市販の農薬を所定濃度に希釈して調製される。近年、健康上の安全対策や公害問題の対策等から、農薬の低減化や無農薬化が要請されており、その一環として、農薬に替えて電解生成酸性水を病害防除液に採用する試みがなされている。当該電解生成酸性水は、その生成時に残留する有効塩素成分に起因する殺菌能を有するもので、当該殺菌能を農作物に寄生する病原菌や病害虫に作用してこれらを駆除することにより、農作物の病害に対する防除を図るものである。
【0003】
このように、農作物の病害防除液として、従来の農薬の希釈調製液に替えて、電解生成酸性水を主要構成成分とする病害防除液を採用すれば、農薬の低減化や無農薬化に対処することができ、また、市販の農薬を希釈して所定の濃度に調製するような面倒な準備作業を省くことができるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電解生成酸性水を主要構成成分とする病害防除液においては、電解生成酸性水の殺菌能が速攻性であって持続性がないことから、従来の農薬を主要構成成分とする病害防除液と同等の殺菌(病害防除)効果を得るには、農作物に対して繰り返し散布する必要がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、電解生成酸性水を主要構成成分とする病害防除液において、その殺菌能の速攻性および持続性を確保することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造方法及び製造装置であって、電解酸性水が生成される電解槽の陽極電極として銅電極を配置して、電解槽内にて生成される電解水に銅電極から銅イオンが溶出するようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造方法及び製造装置を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した農作物用病害防除液の製造方法及び製造装置においては、電解酸性水が生成される電解槽の陽極電極として銅電極を配置したので、生成される電解酸性水は銅イオンを含有するようになり、当該製造方法及び製造装置により生成される農作物用病害防除液を農作物に散布した場合、電解酸性水と銅イオンが農作物に対して一体となって殺菌作用を発揮して、農作物に寄生する病原菌や病害虫を駆除する。特に、当該農作物用病害防除液に含有する銅イオンは、農作物に短期間残留して殺菌作用を持続するので、本発明により生成される農作物用病害防除液は、電解酸性水を単独とする病害防除液に比較して殺菌作用が長く持続し、その散布回数を低減しても、従来の病害防除液と同等の病害防除効果を得ることができる。
【0008】
本発明は、その一実施形態において、銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造方法及び製造装置であって、電解酸性水が生成される電解槽の陽極電極として銅電極を配置して、電解槽内にて生成される電解水に銅電極から銅イオンが溶出するようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造方法及び製造装置を提供するものである。
【0009】
本発明は、他の実施形態において、銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造方法または製造装置であって、無機塩の希薄水溶液が供給される無隔膜電解槽と、無隔膜電解槽にて生成された電解水が供給される有隔膜電解槽とを備えた電解水生成装置において、無隔膜電解槽の電解室内に陽極電極として銅電極を配置し、電解室にて銅電極から溶出した銅イオンを含有する電解アルカリ水を生成し、この電解アルカリ水を有隔膜電解槽の陽極室に供給して陽極室内にて銅イオンを含有する電解酸性水が生成されるようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造方法及び製造装置を提供するものである。このように構成した農作物用病害防除液の製造方法及び製造装置により生成される農作物用病害防除液は、上記の一実施形態により生成される農作物用病害防除液と比較して、生成される電解酸性水のpHをより低くすることができて、その殺菌能を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る病害防除液は、農作物に散布して使用されるもので、病害防除液を農作物に散布して、農作物に寄生する病原菌や病害虫をその殺菌作用にて駆除することにより、農作物を病害防除するものである。当該病害防除液は、電解生成酸性水を主要構成成分とするものであるが、同電解生成酸性水中に微量の銅イオンを含有しているものあって、この点で、従来の病害防除液とは全く異なるものである。
【0020】
当該病害防除液の主要構成成分である電解生成酸性水は、有隔膜電解槽の陽極室側に生成される酸性の電解生成水であって、pHが2.7〜7.0、残留塩素濃度が0〜60mg/L、酸化還元濃度が0〜1100mV、電導度が50〜400mS/mのものである。
【0021】
当該電解生成酸性水は、被電解水としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩の希薄水溶液を採用することにより、有隔膜電解槽の陽極室側に生成される極めて高い殺菌能を有するもので、電解生成酸性水の単独としては、各種の分野で殺菌水として使用されている。電解生成酸性水は、その殺菌能が速効的でかつ早期に消失するものとして知られている。
【0022】
一方、当該病害防除液を構成する銅イオンは、殺菌能を有するイオンとして知られているものであるが、有隔膜電解槽の陽極室に配設した陽極電極から、または、無隔膜電解槽の電解室に配設した電極から、電解時に、電解生成水中に溶出する銅イオンである。電解時に銅イオンを溶出させるためには、上記した各電極に銅電極を採用する。
【0023】
当該病害防除液においては、互いに有効な構成成分である電解生成酸性水と銅イオンの殺菌能が一体となって、農作物に寄生する病原菌や病害虫に対して殺菌作用を発揮してこれを駆除する。この場合、電解生成酸性水は農作物に接触して瞬時に殺菌能を発揮して消失するが、銅イオンは農作物上に短期間残留してその殺菌能を持続する。従って、当該病害防除液は、電解生成酸性水を病害防除液として使用した場合のように散布回数を多くする必要はなく、農薬を希釈して調製される従来の病害防除液と同等の散布回数により、これと同等の病害防除の効果を奏することができる。
【0024】
当該病害防除液を製造するための製造装置としては、下記の3種類の形式の製造装置を挙げることができる。すなわち、本発明に係る第1の製造装置は電解槽として有隔膜電解槽を有する形式の製造装置であり、第2の製造装置は電解槽として両電極に対する印加電圧の極性が反転切替する有隔膜電解槽を有する形式の製造装置であり、第3の製造装置は電解槽として無隔膜電解槽と有隔膜電解槽を有する形式の製造装置である。
【0025】
これらの形式の各製造装置においては、第1の形式の製造装置にあっては、有隔膜電解槽の陽極室内に配設する陽極電極に銅電極を採用することを基本とし、陰極室内に配設する陰極電極には、公知の電極を適宜採用するものである。陰極電極として好ましい電極としては、白金、白金−イリジウム電極等を挙げることができる。
【0026】
また、第2の形式の製造装置にあっては、有隔膜電解槽の一方の電解室内に配設した電極に銅電極を採用することを基本とし、他方の電解室内に配設する電極には、公知の電極を適宜採用するものである。当該有隔膜電解槽では、両電極に対する印加電圧の極性切替によって、銅電極は陽極と陰極に切替わる。
【0027】
また、第3の形式の製造装置にあっては、無隔膜電解槽の一方の電極に銅電極を採用することを基本とし、他方の電極には、公知の電極を適宜採用するものである。この場合、有隔膜電解槽における各電極においても、公知の電極を適宜採用することができ、陽極電極には銅電極を採用することも可能である。
【0028】
図1〜図3には、これらの各種形式の製造装置の各一実施形態を示している。図1には、本発明に係る病害防除液を製造する製造装置であって、第1の形式の製造装置の実施形態を概略的に示している。当該製造装置10は、基本的には、有隔膜電解槽を有する電解水生成装置と同様の構成であって、有隔膜電解槽11を主要構成部としている。有隔膜電解槽11は、槽本体の内部を2つの電解室に区画するイオン透過性の隔膜12と、一方の電解室内に配設した陽極電極13aと、他方の電解室内に配設した陰極電極14aを備え、これにより、一方の電解室が陽極室13bに構成されており、かつ、他方の電解室が陰極室14bに構成されている。
【0029】
有隔膜電解槽11には、被電解水を、陽極室13bおよび陰極室14bに供給するための供給管路15が接続され、かつ、陽極室13bおよび陰極室14bにて生成される電解生成水を流出するための各流出管路16a,16bが接続されている。また、供給管路15の途中には、塩水貯留タンク17が接続されている。塩水貯留タンク17は、無機塩からなる一定濃度の塩水溶液を貯留するもので、電解運転中、供給管路15を流通する水道水等の一般水に一定量の塩水溶液を継続して供給することにより、供給管路15内で一定濃度の希薄塩水溶液が調製される。調製された希薄塩水溶液は、被電解水として、電解運転中、供給管路15を通して有隔膜電解槽11の陽極室13bおよび陰極室14bに供給される。
【0030】
また、電解運転中には、陽極室13bおよび陰極室14bで被電解水が電解されて、陽極室13bでは酸性の電解水(電解生成酸性水)が生成され、陰極室14bではアルカリ性の電解水(電解生成アルカリ水)が生成される。電解生成酸性水は、一方の流出管路16aから流出し、かつ、電解生成アルカリ水は、他方の流出管路16bから流出する。
【0031】
当該製造装置10においては、陽極電極13aとして板状の銅製の電極(銅電極)を採用し、かつ陰極電極14aとして板状の白金製の電極(白金電極)を採用している。当該製造装置10は、本発明に係る第1の製造方法を実施するために使用されるもので、被電解水として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩の希薄水溶液を採用して、本発明に係る病害防除液の製造方法を実施すれば、陽極室13bでは、陽極電極13aから溶出する銅イオンを含有する酸性水が生成される。陽極室13bで生成された銅イオンを含有する電解生成酸性水は、一方の流出管路16aから流出することから、これを病害防除液として得ることができる。
【0032】
当該製造装置10を使用して調製される病害防除液は、電解生成酸性水を主要構成成分とし、同電解生成酸性水中に銅イオンを含有しているものであり、このような病害防除液は、電解生成酸性水と銅イオンの両者の殺菌能を併せ持った高い殺菌能を有するとともに、銅イオンに起因する殺菌能の持続作用を有する。このため、当該病害防除液を農作物に散布した場合、電解生成酸性水と銅イオンは、農作物に対して一体となって殺菌能を発揮するが、電解生成酸性水は速効的に殺菌能を発揮し、銅イオンは農作物に短期間残留してその殺菌能を持続する。
【0033】
従って、当該病害防除液は、電解生成酸性水を単独とする病害防除液に比較して殺菌作用が長く持続し、その散布回数を低減しても、農薬を希釈して調製された従来の病害防除液と同等の病害防除効果を得ることができる。
【0034】
図2には、本発明に係る病害防除液を製造する製造装置であって、第2の形式の製造装置の実施形態を概略的に示している。当該製造装置20は、有隔膜電解槽を採用して、本発明に係る第1の製造方法を実施可能としているものであるが、有隔膜電解槽として、両電極に対する印加電圧の極性を反転切替え可能な有隔膜電解槽21を採用している。当該製造装置20においては、電解運転時に、両電極に対する印加電圧の極性を反転切替することによって電解運転中に発生するスケールを除去し、電解効率を高めるべく機能するものである。
【0035】
当該製造装置20を構成する有隔膜電解槽21は、槽本体の内部を2つの電解室に区画するイオン透過性の隔膜22と、一方の電解室内に配設した電極23aと、他方の電解室内に配設した電極24aを備え、かつ、両電解室23b,24bに接続されている両流出管路に切替弁28が介装されている点を除き製造装置10とは略同一構成となっている。従って、当該製造装置20のその他の構成については、製造装置の各構成部材と同一の構成部材には20番台の類似する符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、切替弁を備える有隔膜電解槽は、それ自体では公知のものである。
【0036】
当該製造装置20においては、電解室23bに配設した電極23aに銅電極を採用し、かつ、電解室24bに配設した電極24aに白金−イリジウム電極を採用している。電解運転時、各電極23a,24aへは電解電圧が印加されるが、印加電圧の極性は所定時間毎に反転するように制御される。従って、電解室23bは陽極室と陰極室に交互に切替えられ、この切替えに対応して、電解室24bは陰極室と陽極室に交互に切替えられる。
【0037】
また、一方の流出管路は上流管路26a1と下流管路26a2にて構成され、かつ、他方の流出管路は上流管路26b1と下流管路26b2にて構成されていて、これらの上流管路26a1,26b1と下流管路26a2,26b2間に切替弁28が介装されている。切替弁28は、各電極23a,24aに対する印加電圧の極性の反転切替に連動して動作して、各上流管路26a1,26b1と各下流管路26a2,26b2の互いの連結を切替える。
【0038】
切替弁28は、図示の実線で示す切替位置にあるときは、上流管路26a1と下流管路26a2、および、上流管路26b1と下流管路26b2を連結し、かつ、図示の2点鎖で示す切替位置にあるときは、上流管路26a1と下流管路26b2、および、上流管路26b1と下流管路26a2を連結する。従って、例えば、下流管路26a2が接続されている貯留タンクT1には、常に電解生成酸性水が流入され、かつ、下流管路26b2が接続されている貯留タンクT2には、常に電解生成アルカリ水が流入される。
【0039】
当該製造装置20の電解運転では、電極23aに正電圧が電極24aに負電圧が印加されていて、切替弁28が実線に示す切替位置にある場合には、電解室23bは陽極室となっていて、電解室23bでは酸性水が生成されるとともに電極23aから銅イオンが溶出し、貯留タンクT1には、銅イオンを含有する電解生成酸性水(病害防除液)が流出する。また、電解室24bは陰極室となっていて、電解室24bではアルカリ水が生成されて、貯留タンクT2には、銅イオンを含有しない電解生成アルカリ水が流出する。
【0040】
この電解運転中に、両電極23a,24aに対する印加電圧の極性が切替えらて反転すると、電解室23bが陰極室になるとともに電解室24bが陽極室になる。この印加電圧の極性の切替に連動して、切替弁28が2点鎖で示す切替位置に切替えられて、上流管路26a1と下流管路26b2、および、上流管路26b1と下流管路26a2が連結される。
【0041】
従って、当該電解運転では、電解室23bではアルカリ水が生成されるが、銅イオンは溶出せず、生成されたアルカリ水は電解生成アルカリ水として、下流管路26b2を通して貯留タンクT2に流入する。また、電解室24bでは酸性水が生成されるが銅イオンは溶出せず、生成された酸性水は電解生成酸性水として下流管路26a2を通して貯留タンクT1に流入する。
【0042】
銅電極を陽極とする有隔膜電解では、生成される酸性水はpHが高くて殺菌作用が低いものとなる。白金−イリジウム電極を陽極とする有隔膜電解では、生成される酸性水はpHが低くて殺菌作用が高いものとなる。このため、陽極となる電極を、銅電極と白金−イリジウム電極に交互に切替えて、両電解室で生成される電解生成酸性水を混合することにより、pHが低くて殺菌作用の高い病害防除液を調製することができる。
【0043】
図3には、本発明に係る病害防除液を製造する製造装置であって、第3の形式の製造装置の実施形態を概略的に示している。当該製造装置30は、無電解槽と有隔膜電解槽を採用して、本発明に係る第2の製造方法を実施可能としているものである。当該製造装置30は、有隔膜電解槽30aの上流側に無隔膜電解槽30bを配設して構成されているもので、調製される病害防除液のpHを低くしてその殺菌作用を高めることと、副産物である電解生成アルカリ水に銅イオンを含有させることにより、電解生成アルカリ水に若干の殺菌作用を付与することを意図しているものである。
【0044】
当該製造装置30においては、有隔膜電解槽30aとしては、製造装置10を構成する有隔膜電解槽と同一構成の有隔膜電解槽を採用している。このため、当該製造装置30を構成する有隔膜電解槽30aにおいては、製造装置10の各構成部材と同一の構成部材には30番台の類似する符号を付して、その詳細な説明を省略することとする。但し、当該有隔膜電解槽30aでは、陽極電極33aおよび陰極電極33bには共に、白金−イリジウム電極を採用している。
【0045】
無隔膜電解槽30bは、電解室38内に陽極電極39aと陰極電極39bを対向して配設して構成されているもので、1つ電解室38のみを備えている。陽極電極39aおよび陰極電極39bには、銅電極を採用している。無隔膜電解槽30bの電解室38には、供給管路35aから無機塩の希薄水溶液が被電解水として供給され、供給された被電解水は、電解室38b内で無隔膜電解されてアルカリ性の電解生成水になるとともに、電解生成水中には銅イオンが溶出される。当該電解生成水は被電解水として、供給管路35bを通って有隔膜電解槽30aに供給される。
【0046】
有隔膜電解槽30aでの有隔膜電解においては、被電解水は、陽極室33bでは酸性水に生成されて銅イオンを含有する電解生成酸性水となり、かつ、陰極室34bではアルカリ水に生成されて銅を含有する電解生成アルカリ水となる。従って、有隔膜電解槽30aの陽極室33bからは流出管路36aを通して病害防除液が流出し、陰極34b室からは流出管路36bを通して副産物である銅イオンを含有する電解生成アルカリ水が流出する。病害防除液は、有隔膜電解槽30aにおいて、pHが大きく低減されている。
【0047】
【実施例】
(実施例1):本実施例では、図1に示す製造装置10を使用して、本発明に係る第1の製造方法を実施した。被電解水としては食塩の0.1%水溶液を採用して、その供給速度を2L/分に設定し、また、陽極電極13aおよび陰極電極14aに対する印加電圧を10Vとして電解電流を4Aに設定した。本実施例においては、陽極室13bおよび陰極室14bにて生成される各電解生成水の各特性を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003962601
【0049】
本実施例では、陽極室13bで生成された電解生成水は、銅イオンおよび有効塩素を含有する弱酸性の電解生成酸性水であって本発明に係る病害防除液である。これに対して、陰極室14bで生成された電解生成水は、銅イオンおよび有効塩素を含有しない弱アルカリ性の電解生成アルカリ水である。前者の電解生成酸性水は、弱酸性であることから細菌の増殖を抑制する作用は高くはないが、銅イオンを含有することから細菌等の増殖を防止し、かつ、有効塩素を含有することから殺菌効果を有する。
【0050】
これに対して、後者の電解生成アルカリ水は、弱アルカリ性で銅イオンを含有しないことから、不要な銅イオンを洗い流したり、電解生成酸性水の中和水として利用できる。従って、銅イオンに弱くまた弱酸にも弱い植物に対しては、前者の電解生成酸性水を当該植物に散布後に、当該電解生成アルカリ水を当該植物に散布する利用形態を採ることができる。
【0051】
(実施例2):本実施例では、図2に示す製造装置20を使用して、本発明に係る第1の製造方法を実施した。被電解水としては食塩の0.1%水溶液を採用して、その供給速度を2L/分に設定し、また、各電極23a,24aに対する印加電圧を10Vとして電解電流を4Aに設定した。また、電解運転では、各電極23a,24aに対する極性を電極23a(+),電極24a(−)として運転を開始し、所定時間経過した時点で、各電極23a,24aに対する極性を電極23a(−),電極24a(+)に反転して運転を所定時間行った。
【0052】
本実施例においては、各電極23a,24aに対する印加電圧の極性切替前の電解室23b,24bで生成される電解生成水、極性切替後の電解室23b,24bで生成される電解生成水、および、これらの電解生成水が合流した各貯留タンクT1,T2内の各電解生成水の各特性を測定した、得られた結果を表2に示す。但し、各貯留タンクT1,T2内の各電解生成水は、各電極23a,24aに対する印加電圧の極性切替を繰り返し行う電解運転で合流された電解生成水である。
【0053】
【表2】
Figure 0003962601
【0054】
本実施例で生成された貯留タンクT1に貯留する電解生成水は、銅イオンおよび有効塩素を含有する強酸性の電解生成酸性水であって本発明に係る病害防除液である。これに対して、貯留タンクT2に貯留する電解生成水は、銅イオンおよび有効塩素を含有しない強アルカリ性の電解生成アルカリ水である。前者の電解生成酸性水は、強酸性であることから細菌の増殖を抑制し、銅イオンを含有することからカビ等の増殖を防止し、有効塩素を含有することから殺菌効果を有する。
【0055】
これに対して、後者の電解生成アルカリ水は、強アルカリ性で銅イオンを含有しないことから、不要な銅イオンを洗い流したり、電解生成酸性水の中和水として利用できる。従って、強酸や銅イオンに弱い植物に対しては、前者の電解生成酸性水を当該植物に散布後に当該電解生成アルカリ水を当該植物に散布する利用形態を採ることができ、また、当該電解生成アルカリ水を予め当該電解生成酸性水に混合する利用形態を採ることもできる。
【0056】
(実施例3):本実施例では、図3に示す製造装置30を使用して、本発明に係る第2の製造方法を実施した。被電解水としては食塩の0.1%水溶液を採用して、その供給速度を2L/分に設定した。無隔膜電解槽30bの陽極電極39aおよび陰極電極39aに対する印加電圧を10Vとして電解電流を4Aに設定し、また、有隔膜電解槽30aの陽極電極33aおよび陰極電極34aに対する印加電圧については、陽極電極39aおよび陰極電極39aに対する印加電圧と同じとして電解電流を4Aに設定した。
【0057】
本実施例においては、無隔膜電解槽30bの電解室38bで生成される電解生成水、および、有隔膜電解槽30aの陽極室33bおよび陰極室34bで生成される各電解生成水の各特性を測定した、得られた結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
Figure 0003962601
【0059】
本実施例では、無隔膜電解槽30bの電解室38で生成された電解生成水は、銅イオンおよび塩素成分を含有するものであるが、アルカリ性の電解生成水であって本発明に係る病害防除液には該当しない。しかしながら、有隔膜電解槽30aの陽極室33bで生成される電解生成水は、銅イオンおよび有効塩素を含有する強酸性の電解生成酸性水であって本発明に係る病害防除液である。
【0060】
これに対して、有隔膜電解槽30aの陰極室34bで生成される電解生成水は、有効塩素をほとんど含有しないが銅イオンを含有する強アルカリ性の電解生成アルカリ水である。当該電解生成アルカリ水は、含有する銅イオンに起因する殺菌作用のため、屋外等に長期間放置されても、細菌の増殖が抑制され、また藻類の発生も抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の形式の製造装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る第2の形式の製造装置を模式的に示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る第3の形式の製造装置を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
10…製造装置、11…有隔膜電解槽、12…隔膜、13a…陽極電極、14a…陰極電極、13b…陽極室、14b…陰極室、15…供給管路、16a,16b…流出管路、17…塩水貯留タンク、20…製造装置、21…有隔膜電解槽、22…隔膜、23a,24a…電極、23b,24b…電解室、25…供給管路、26a1,26b1…上流管路、26a2,26b2…下流管路、27…塩水貯留タンク、28…切替弁、T1,T2…貯留タンク、30…製造装置、30a…有隔膜電解槽、30b…無隔膜電解槽、32…隔膜、33a…陽極電極、34a…陰極電極、33b…陽極室、34b…陰極室、35…供給管路、36a,36b…流出管路、37…塩水貯留タンク、38…電解室、39a…陽極電極、39b…陰極電極。

Claims (6)

  1. 銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造方法であって、
    前記電解酸性水が生成される電解槽の陽極電極として銅電極を配置して、
    同電解槽内にて生成される電解水に前記銅電極から銅イオンが溶出するようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造方法。
  2. 銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造装置であって、
    前記電解酸性水が生成される電解槽の陽極電極として銅電極を配置して、
    同電解槽内にて生成される電解水に前記銅電極から銅イオンが溶出するようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造装置。
  3. 銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造方法であって、
    無機塩の希薄水溶液が供給される有隔膜電解槽において
    その陽極室内に陽極電極として銅電極を配置して、同陽極室にて生成される電解酸性水に前記銅電極から銅イオンが溶出するようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造方法。
  4. 銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造装置であって、
    無機塩の希薄水溶液が供給される有隔膜電解槽において、
    その陽極室内に陽極電極として銅電極を配置して、同陽極室にて生成される電解酸性水に前記銅電極から銅イオンが溶出するようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造装置。
  5. 銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造方法であって、
    無機塩の希薄水溶液が供給される無隔膜電解槽と、同無隔膜電解槽にて生成された電解水が供給される有隔膜電解槽とを備えた電解水生成装置において、
    前記無隔膜電解槽の電解室内に陽極電極として銅電極を配置し、同電解室にて前記銅電極から溶出した銅イオンを含有する電解アルカリ水を生成し、この電解アルカリ水を前記有隔膜電解槽の陽極室に供給して同陽極室内にて銅イオンを含有する電解酸性水が生成されるようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造方法。
  6. 銅イオンを含有した電解酸性水を主成分とする農作物用病害防除液の製造装置であって、
    無機塩の希薄水溶液が供給される無隔膜電解槽と、同無隔膜電解槽にて生成された電解水が供給される有隔膜電解槽とを備えた電解水生成装置において、
    前記無隔膜電解槽の電解室内に陽極電極として銅電極を配置し、同電解室にて前記銅電極から溶出した銅イオンを含有する電解アルカリ水を生成し、この電解アルカリ水を前記有隔膜電解槽の陽極室に供給して同陽極室内にて銅イオンを含有する電解酸性水が生成されるようにしたことを特徴とする農作物用病害防除液の製造装置。
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