JP2004081935A - 回転霧化頭 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハブ部材23の軸中心部(軸線O−Oの位置)には、洗浄用のシンナが流入する有底状の洗浄流体流入通路26を設け、洗浄流体流入通路26の底部26A側には、軸線O−Oと直交する半径方向に延び、シンナをハブ部材23の塗料受面23Bに流出する複数の洗浄流体流出通路27を設ける。従って、洗浄ノズル28から洗浄流体流入通路26に流入した洗浄流体は、洗浄流体流出通路27からハブ部材23の塗料受面23Bに半径方向外向きに吐出することができ、シンナは、塗料受面23Bと塗料溜り22Eとの間で遠心力に抗して一定方向に循環させることができる。これにより、ハブ部材23、霧化頭本体22等に付着した塗料を少ない量のシンナで短時間のうちに洗浄できる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車体等の被塗物に塗装を行なう塗装機に用いて好適な回転霧化頭に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の車体等の被塗物に塗装を行なうときには、例えば塗着効率、塗装仕上り等の面で有利な回転霧化頭型塗装装置が用いられている。そして、この回転霧化頭型塗装装置に取付けられている回転霧化頭は、霧化頭本体とハブ部材とによって大略構成されている。そして、この種の回転霧化頭を用いた回転霧化頭型塗装装置は、例えば特開平11−216403号公報(以下、従来技術という)等によって知られている。
【0003】
この従来技術による回転霧化頭型塗装装置は、ハウジング内に収容されたエアモータと、該エアモータの軸方向に挿通され、該エアモータによって高速回転される筒状の回転軸と、該回転軸内を軸方向に伸長して設けられ、該回転軸から突出した先端から塗料を吐出するフィードチューブと、前記回転軸の先端側に取付けられ、前記回転軸と一緒に前記エアモータによって回転駆動されることにより、前記フィードチューブから吐出された塗料を被塗物に向けて噴霧する回転霧化頭とによって大略構成されている。
【0004】
また、従来技術による塗装装置では、構成の簡略化等の目的で、回転霧化頭等を洗浄するための洗浄流体通路、洗浄流体弁等を廃止している。これに伴い、塗装装置とは別個に洗浄流体を吐出する洗浄ノズルを備えた霧化頭用洗浄機を設けている。そして、回転霧化頭に付着した塗料を洗浄する場合には、該回転霧化頭の前方に霧化頭用洗浄機の洗浄ノズルを配置し、該洗浄ノズルは高速回転している回転霧化頭に向け洗浄流体を吐出することによって該回転霧化頭を洗浄することができる。
【0005】
ここで、上記の従来技術のように、霧化頭用洗浄機と組合せて用いられる回転霧化頭について、図15に従って詳細に説明する。
【0006】
回転軸101の先端に設けられた回転霧化頭102は、霧化頭本体103、ハブ部材104等からなり、該霧化頭本体103にはハブ部材104との間に塗料溜り105が形成されている。また、ハブ部材104の後面側の軸中心部には円錐状突起106が設けられている。さらに、ハブ部材104には、その周辺部にフィードチューブ107から吐出された塗料を流出する塗料流出通路108が設けられ、軸中心部には前面側から塗料溜り105側に貫通して洗浄流体供給通路109が設けられている。
【0007】
この洗浄流体供給通路109は、ハブ部材104の前面側に開口する有底状の洗浄流体流入通路110と、該洗浄流体流入通路110の底部側から前記円錐状突起106の円錐面の位置に斜め方向に開口した洗浄流体流出通路111とによって構成されている。
【0008】
そして、回転霧化頭102を洗浄する場合には、霧化頭用洗浄機の洗浄ノズル112からハブ部材104の洗浄流体供給通路109に向けて洗浄流体を吐出する。これにより、洗浄流体供給通路109は、洗浄流体流入通路110に流入した洗浄流体を洗浄流体流出通路111から塗料溜り105に向け吐出する。このときに、洗浄流体は、斜め方向に形成された洗浄流体流出通路111によって塗料溜り105の奥所の壁面に衝突し、この衝突位置で半径方向の外側への流れXと半径方向の内側(軸中心部)への流れYとに分かれる。
【0009】
そして、衝突位置から半径方向の外側に流れる洗浄流体Xは、塗料溜り105の壁面を伝って付着した塗料を洗浄しつつ、ハブ部材104の塗料流出通路108に流れ、該塗料流出通路108から排出される。一方、衝突位置から半径方向の内側に流れる洗浄流体Yは、塗料溜り105の壁面からハブ部材104の後面側へと流れ、これらに付着した塗料を洗浄しつつ、ハブ部材104の塗料流出通路108に流れ、該塗料流出通路108から排出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による回転霧化頭では、洗浄流体流出通路111から塗料溜り105に吐出された洗浄流体のうち、壁面に衝突した位置から半径方向の外側に流れる洗浄流体Xは、回転霧化頭102の高速回転による遠心力を利用し、塗料溜り105の壁面に沿って円滑に流れることができる。
【0011】
これに対し、衝突位置から半径方向の内側に流れる洗浄流体Yは、回転霧化頭102の遠心力に逆らって流れることになるから、洗浄流体Yは塗料溜り105の軸中心側には流れ難くなってしまう。これにより、塗料溜り105の軸中心側を洗浄するためには多くの洗浄流体、洗浄時間を要してしまうという問題がある。
【0012】
また、衝突位置から外側に流れる洗浄流体Xと衝突位置から内側に流れる洗浄流体Yとは、最終的に塗料流出通路108の位置に集まることになる。このため、塗料流出通路108の位置では、異なる方向から流れてきた洗浄流体X,Yが衝突して乱流を発生してしまう。これにより、乱流となった洗浄流体は、流れの方向が定まらないため流れに勢いがなく、遠心力に逆らって軸中心側に流れることができない。
【0013】
この結果、洗浄流体流出通路111から塗料溜り105に吐出された洗浄流体は、ハブ部材104、塗料溜り105等に付着した塗料を効率よく洗浄することができないという問題がある。
【0014】
さらに、洗浄流体流出通路111は、フィードチューブ107の近傍に位置する塗料溜り105の奥所に向けて形成されている。このため、洗浄ノズル112から洗浄エア(圧縮エア)を吐出すると、塗料溜り105、フィードチューブ107の先端等に付着残留した塗料は、洗浄エアによって飛散し、フィードチューブ107と回転霧化頭102との間の隙間Sに浸入してしまう。そして、この隙間Sに浸入した塗料は、洗浄が困難で塗装不良の原因になるため、有効な洗浄手段である洗浄エアを使用することができないという問題がある。
【0015】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、霧化頭本体の塗料溜り、ハブ部材に付着した塗料を、少ない量の洗浄流体で効率よく洗浄することができるようにした回転霧化頭を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による回転霧化頭は、筒形ないしベル形に形成され、内周面の前部側が放出端縁に向けて塗料を薄膜化する塗料薄膜化面となると共に奥部側が塗料ノズルから吐出された塗料を溜める塗料溜りとなった霧化頭本体と、前記塗料溜りと塗料薄膜化面との間を仕切るように該霧化頭本体の内周面に取付けられ、後面側の軸中心部に前記塗料溜り側に突出した円錐状突起を有するハブ部材と、該ハブ部材の周辺部に位置して前記霧化頭本体の塗料溜りから前記塗料薄膜化面に塗料を流出する複数の塗料流出通路と、前記ハブ部材の軸中心部に位置して前記ハブ部材の前面側から塗料溜りに向け洗浄流体を供給する洗浄流体供給通路とからなる。
【0017】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、洗浄流体供給通路は、ハブ部材の軸中心部に位置して前面側に開口すると共に底部が閉塞された有底状をなし洗浄ノズルから前面に向け吐出される洗浄流体が流入する洗浄流体流入通路と、該洗浄流体流入通路の底部側から円錐状突起の位置を軸線方向と直交する半径方向に延びて後面側に開口し該洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体を塗料溜りに流出させる洗浄流体流出通路とによって構成したことにある。
【0018】
このように構成したことにより、回転霧化頭を高速で回転駆動し、この状態で洗浄ノズルからハブ部材の前面に向け洗浄流体を吐出すると、この洗浄流体は、ハブ部材の軸中心部に位置して前面側に開口した洗浄流体流入通路に流入する。そして、洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体は、該洗浄流体流入通路の底部側に連通した洗浄流体流出通路を通って塗料溜り側に流出する。このときに、洗浄流体流出通路は、軸線方向と直交する半径方向に延びて形成されているから、洗浄流体は遠心力を利用してハブ部材の後面側で周辺部に向け吐出することができる。
【0019】
これにより、ハブ部材の後面側に吐出された洗浄流体は、ハブ部材の後面側を周辺部の塗料流出通路に向けて流れ、一部の洗浄流体は洗浄した塗料と一緒に塗料流出通路から排出される。また、塗料流出通路の流出能力を超える残りの洗浄流体は、塗料流出通路から排出されず、該塗料流出通路の入口付近で霧化頭本体の塗料溜りの壁面に衝突して流れの向きを変える。この壁面に衝突した洗浄流体は、遠心力による勢いをもって連続して供給される新たな洗浄流体に押されるから、塗料溜りの壁面を遠心力に逆らって軸中心部側に向けて流れ、この壁面に付着した塗料を洗浄する。さらに、塗料溜りの壁面を洗浄した洗浄流体は、洗浄流体流出通路から流出する洗浄流体の流れに合流し、上述した流れは繰返して循環する。
【0020】
従って、洗浄流体流出通路から吐出される洗浄流体は、ハブ部材の後面と塗料溜りの壁面との間で一定の方向に流通するから、該洗浄流体は、回転霧化頭を回転駆動したときの遠心力に逆らい、塗料溜り等に沿って流通させることができる。これにより、洗浄流体は、塗料溜り、ハブ部材の軸中心部側に付着した塗料も効率よく洗浄することができる。
【0021】
請求項2の発明によると、ハブ部材は、後面側の周辺部が塗料受面となると共に軸中心部に円錐状突起を有する円板状体として形成し、洗浄流体供給通路の洗浄流体流入通路は軸中心部に形成された有底穴からなり、洗浄流体流出通路は円錐状突起の位置を洗浄流体流入通路から半径方向に延び前記塗料受面に接して開口する複数の流路により構成したことにある。
【0022】
このように構成したことにより、回転霧化頭を洗浄するために、洗浄ノズルから洗浄流体を吐出すると、この洗浄流体は、軸中心部に形成された洗浄流体流入通路に流入する。そして、洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体は、洗浄流体流出通路からハブ部材の塗料受面に流出する。ここで、洗浄流体流出通路は、半径方向に延びる複数の流路として形成しているから、洗浄流体を塗料受面の全体に供給することができる。
【0023】
また、洗浄流体流出通路はハブ部材の塗料受面に接して開口しているから、洗浄流体流出通路と塗料受面とを段差なく接続でき、洗浄流体を洗浄流体流出通路から塗料受面に円滑に流すことができる。
【0024】
請求項3の発明によると、洗浄流体流入通路の底部には開口側に向けて円錐状に突出し洗浄流体を洗浄流体流出通路に向け案内する洗浄流体案内突起を設ける構成としたことにある。これにより、回転霧化頭を洗浄するために洗浄ノズルから洗浄流体を吐出し、この洗浄流体が洗浄流体流入通路に流入すると、円錐状突起は、洗浄流体を洗浄流体流出通路に向け案内することができる。
【0025】
請求項4の発明によると、洗浄流体流入通路は開口側の通路面積を底部側の通路面積よりも小さく形成したことにある。これにより、回転霧化頭を高速で回転駆動した状態では、洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体には、遠心力が作用しているから、底部側の通路面積よりも小さく形成された開口側から洗浄流体が流出するのを防止することができる。
【0026】
請求項5の発明によると、洗浄流体流出通路は洗浄流体流入通路から放射状に延びる複数の長孔として形成したことにある。これにより、回転霧化頭を回転駆動したときの遠心力を利用し、放射状に延びる洗浄流体流入通路から洗浄流体を流出させることができる。
【0027】
請求項6の発明によると、洗浄流体流出通路は洗浄流体流入通路から放射状に延びると共に周方向に延びる複数のスリットとして形成したことにある。これにより、回転霧化頭を回転駆動したときの遠心力を利用し、放射状に延びる洗浄流体流入通路から洗浄流体を流出させることができる。しかも、周方向に延びるスリット状の洗浄流体流出通路は、洗浄流体を周方向に広がるように流出させることができる。
【0028】
請求項7の発明によると、洗浄流体流出通路は、洗浄流体流入通路の底部側に開口する複数の流出開口と、該流出開口の外周側を全周に亘って取囲む全周隙間とによって形成したことにある。これにより、流出開口から流出した洗浄流体は、全周隙間を流通する間に周方向に広がることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による回転霧化頭が取付けられた回転霧化頭型塗装装置を添付図面に従って詳細に説明する。
【0030】
まず、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示し、この実施の形態では、各色毎の塗料が充填されたカートリッジを交換して取付けるカートリッジ式の回転霧化頭型塗装装置を例に挙げて説明する。
【0031】
1は例えば塗装用ロボットのアーム(図示せず)先端に設けられた回転霧化頭型塗装装置(以下、塗装装置1という)で、該塗装装置1は、後述のハウジング2、エアモータ5、回転軸6、カートリッジ11、回転霧化頭21等によって大略構成されている。
【0032】
2は塗装用ロボットのアーム先端に取付けられたハウジングで、該ハウジング2には、前側に位置してモータ取付部3が形成され、後側にはカートリッジ取付部4が形成されている。また、カートリッジ取付部4の底部4Aには、押出しシンナの接続部をなす雌接続部4B等が形成されている。さらに、ハウジング2には、各取付部3,4の中心位置を通るように後述のフィードチューブ挿通孔9が軸方向に延びて形成されている。
【0033】
5はモータ取付部3内に収容されたエアモータで、該エアモータ5は、筒状に形成されたモータケーシング5Aと、該モータケーシング5A内に収容されたエアタービン5Bと、後述する回転軸6を回転可能に軸支する静圧エア軸受5Cとによって大略構成されている。そして、エアモータ5は、エアタービン5Bに圧縮エアが供給されることにより、回転軸6を回転駆動するものである。さらに、エアモータ5には高電圧発生器(図示せず)が接続され、該高電圧発生器はエアモータ5に例えば−60ないし−120kVの高電圧を印加し、この高電圧を塗料に直接帯電させている。
【0034】
6はエアモータ5の静圧エア軸受5Cに回転可能に支持された回転軸で、該回転軸6は、軸線O−Oをもって前,後方向に延びる円筒軸として形成されている。そして、回転軸6は、先端がエアモータ5の前側に突出し、その先端部には、図2に示すように後述の回転霧化頭21が螺着される雄ねじ6Aが刻設されている。また、回転軸6の基端側はエアモータ5のエアタービン5Bに取付けられている。
【0035】
7はハウジング2の前部に取付けられたシェーピングエアリングで、該シェーピングエアリング7は、後述の回転霧化頭21から噴霧された塗料の噴霧パターン等を制御するためのシェーピングエアを噴出するものである。
【0036】
8はハウジング2に設けられ、制御エア源(図示せず)に接続された複数本のエア通路で、該各エア通路8は、エアモータ5を制御するためのタービンエア、軸受エア、ブレーキエア、塗料の噴霧パターンを成形するためのシェーピングエア等を供給するものであるが、本実施の形態では、代表的に1本のエア通路のみを図示している。
【0037】
9はカートリッジ取付部4の中央部から回転軸6内に延びたフィードチューブ挿通孔で、該フィードチューブ挿通孔9には、後述するカートリッジ11のフィードチューブ13が挿脱可能に挿嵌される。
【0038】
10はハウジング2に設けられたハウジング側押出しシンナ通路で、該押出しシンナ通路10は、一端が押出しシンナ給排弁(図示せず)に接続され、他端がカートリッジ取付部4の雌接続部4Bの底部に開口している。
【0039】
11は回転霧化頭21に向け塗料を供給する塗装用のカートリッジで、該カートリッジ11は、a色,b色,…n色の塗料を個別に貯えたものが各塗色毎に用意され、ハウジング2のカートリッジ取付部4に交換可能に取付けられる。そして、カートリッジ11は、軸線O−Oをもって前,後方向に延びる円筒体(シリンダ)として形成されたボンベ12と、該ボンベ12から軸方向に同軸、即ち軸線O−Oと同軸に延びて設けられた塗料ノズルをなすフィードチューブ13と、該フィードチューブ13内の塗料通路13Aを連通、遮断する塗料弁14(図2中に弁体の先端のみ図示)と、前記ボンベ12内を塗料収容室と押出しシンナ収容室とに画成するピストン(いずれも図示せず)等とにより大略構成されている。
【0040】
また、ボンベ12の前面側には、ハウジング2に設けられたカートリッジ取付部4の雌接続部4Bに接続される雄接続部12Aが突設されている。さらに、ボンベ12には、雄接続部12Aから押出しシンナ収容室に延びるカートリッジ側押出しシンナ通路(図示せず)が設けられ、ハウジング側押出しシンナ通路10と連通している。
【0041】
一方、フィードチューブ13の内部は塗料通路13Aとなり、該塗料通路13Aは、ボンベ12内の塗料収容室に連通している。そして、フィードチューブ13は、ハウジング2のフィードチューブ挿通孔9内に挿着された状態で、塗料収容室内の塗料を回転霧化頭21に向けて吐出するものである。
【0042】
21は回転軸6の先端側に取付けられた本実施の形態による回転霧化頭で、該回転霧化頭21は、カートリッジ11のフィードチューブ13から吐出された塗料を微粒化し、被塗物(図示せず)に向けて噴霧するものである。そして、回転霧化頭21は、図2ないし図6に示す如く、後述する霧化頭本体22、ハブ部材23、塗料流出通路24、洗浄流体供給通路25等によって大略構成されている。
【0043】
22は回転霧化頭21の外形をなす霧化頭本体で、該霧化頭本体22は、軸線O−Oを回転中心として後部側から前部側に向けて拡開するベル形に形成されている。そして、霧化頭本体22は、図2、図3に示す如く、その後部側が円筒状の回転軸取付部22Aとなり、該回転軸取付部22Aの奥部には回転軸6の雄ねじ6Aに螺着する雌ねじ22A1が刻設されている。また、霧化頭本体22には、回転軸取付部22Aの奥部を閉塞するように環状隔壁22Bが半径方向内向きに突出して形成され、該環状隔壁22Bの内周側にはフィードチューブ13の先端が挿通される。
【0044】
一方、霧化頭本体22の内周面の前部側は、円皿状に拡開する塗料薄膜化面22Cとなり、霧化頭本体22の前端(外周端)は、前記塗料薄膜化面22Cに連続した放出端縁22Dとなっている。また、霧化頭本体22には、環状隔壁22Bと塗料薄膜化面22Cとの間に後述のハブ部材23によって画成される塗料溜り22Eが設けられ、該塗料溜り22Eは、フィードチューブ13から吐出された塗料を一時的に溜める空間となっている。
【0045】
さらに、霧化頭本体22の前部側には塗料薄膜化面22Cと塗料溜り22Eとの間にハブ取付段部22Fが形成され、該ハブ取付段部22Fには、後述するハブ部材23の外周側が取付けられる。
【0046】
そして、霧化頭本体22は、回転霧化頭21が高速回転している状態で、塗料溜り22Eに塗料が供給されると、この塗料を後述する塗料流出通路24を介して塗料薄膜化面22Cに供給し、該塗料薄膜化面22Cで薄膜化した後、放出端縁22Dから微粒化しつつ噴霧するものである。
【0047】
23は塗料溜り22Eと塗料薄膜化面22Cとの間を仕切るように霧化頭本体22の内周面に取付けられたハブ部材で、該ハブ部材23は、図3、図4に示すように、厚板材料からなる円板状体として形成され、その周辺部が霧化頭本体22のハブ取付段部22Fに取付けられている。そして、ハブ部材23は、平坦面となった前面23Aと、後面側の周辺部に形成され、フィードチューブ13から吐出される塗料を受けると共に前述した塗料溜り22Eを画成する平坦な塗料受面23Bと、後面側の軸中心部(軸線O−Oの位置)に位置して塗料溜り22E側に突出する円錐状の円錐状突起23Cとによって構成されている。
【0048】
ここで、円錐状突起23Cは、フィードチューブ13から軸方向に吐出される塗料の向きを徐々に半径方向に変えるように塗料を案内し、塗料受面23Bに円滑に受渡すものである。一方、ハブ部材23には、後述する塗料流出通路24、洗浄流体供給通路25が設けられている。
【0049】
24,24,…はハブ部材23の外周縁側に列設された複数の塗料流出通路で、該各塗料流出通路24は、ハブ部材23の前面23Aと塗料受面23Bとに亘って板厚方向に貫通して穿設されている。そして、塗料流出通路24は、フィードチューブ13から塗料受面23Bに吐出された塗料を前面23A、霧化頭本体22の塗料薄膜化面22C側に流出するものである。
【0050】
25はハブ部材23の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた洗浄流体供給通路で、該洗浄流体供給通路25は、後述する洗浄ノズル28から吐出されたシンナ等の洗浄流体をハブ部材23の前面23A側から塗料溜り22Eに向け供給するものである。そして、洗浄流体供給通路25は、後述する洗浄流体流入通路26と洗浄流体流出通路27とによって構成されている。
【0051】
26はハブ部材23の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた洗浄流体流入通路で、該洗浄流体流入通路26は、前面23A側に開口し、底部26Aが円錐状突起23Cの位置で閉塞された有底円形穴として形成されている。また、洗浄流体流入通路26は、その軸方向の全長に亘ってほぼ均等な通路面積をもって形成されている。
【0052】
また、27,27,…は洗浄流体流入通路26の底部26A側に位置してハブ部材23に設けられた複数、例えば8本の洗浄流体流出通路を示している。この洗浄流体流出通路27は、図4、図5に示す如く、洗浄流体流入通路26の底部26A側から軸線O−Oと直交する半径方向に放射状に延びる複数の長尺な流路、即ち長孔として形成されている。また、洗浄流体流出通路27は、円錐状突起23Cを利用して設けられ、ハブ部材23の塗料受面23Bに段差なく接する位置に開口している。
【0053】
そして、回転霧化頭21の前方に後述の洗浄ノズル28が配置され、該洗浄ノズル28からシンナ等の洗浄流体が吐出されると、洗浄流体流入通路26は、洗浄流体を流入させる。また、洗浄流体流出通路27は、洗浄流体流入通路26に流入した洗浄流体をハブ部材23の塗料受面23Bに流出させる。
【0054】
このときに、洗浄流体流出通路27は、軸線O−Oの位置を中心とする放射状に延びて形成されているから、回転霧化頭21を高速回転させたときの遠心力を利用してハブ部材23の塗料受面23Bに流出させることができる。また、洗浄流体流出通路27は、ハブ部材23の塗料受面23Bに接する位置に開口させることにより、洗浄流体を塗料受面23Bに沿って流出することができる。
【0055】
一方、洗浄流体流出通路27は、軸線O−Oと直交する半径方向に延びて形成している。これにより、例えばフィードチューブ13の塗料通路13Aに圧力が残り、次の塗装時に該フィードチューブ13から塗料が一気に吐出された場合でも、この塗料が各洗浄流体流出通路27に浸入するのを防止することができる。
【0056】
さらに、半径方向に延びる洗浄流体流出通路27は、洗浄流体として洗浄エア(圧縮エア)が供給された場合でも、塗料溜り22Eに残存する塗料が回転軸6とフィードチューブ13に向けて飛散するのを防止でき、回転軸6とフィードチューブ13との間の隙間に塗料が浸入するのを防止することができる。
【0057】
なお、28はシンナ、洗浄エア(圧縮エア)等の洗浄流体を吐出する霧化頭用洗浄機の洗浄ノズル(図6中に図示)で、該洗浄ノズル28は、塗装用ロボットのアームを作動して塗装装置1の回転霧化頭21が対面位置に配置された状態で、該回転霧化頭21の洗浄流体流入通路26に向けて前側から洗浄流体を吐出するものである。
【0058】
本実施の形態による回転霧化頭型塗装装置1は上述の如き構成を有するもので、次に、回転霧化頭型塗装装置1を用いた塗装作業について説明する。
【0059】
まず、エアモータ5は回転軸6と共に回転霧化頭21を高速で回転駆動する。また、ハウジング側押出しシンナ通路10、カートリッジ側押出しシンナ通路はボンベ12の押出しシンナ収容室に押出しシンナを供給し、塗料収容室内に充填された塗料をフィードチューブ13の塗料通路13Aを介して回転霧化頭21に向けて吐出する。
【0060】
これにより、フィードチューブ13から吐出された塗料は、霧化頭本体22の塗料溜り22Eに流入し、円錐状突起23Cに沿ってハブ部材23の塗料受面23Bに流れる。このときに、円錐状突起23Cの裾部には、洗浄流体流出通路27が開口しているが、該洗浄流体流出通路27は半径方向(放射状)に形成されているから、円錐状突起23Cの周面に沿って流れる塗料が該洗浄流体流出通路27に浸入するのを防止することができる。
【0061】
そして、回転霧化頭21は、塗料受面23Bに供給された塗料を遠心力によって外周側の塗料流出通路24に向けて流通させる。これにより、塗料は、塗料流出通路24から霧化頭本体22の塗料薄膜化面22Cに流出し、塗料薄膜化面22Cで薄膜化されつつ、放出端縁22Dから被塗物に向けて噴霧される。
【0062】
次に、例えば塗料の色替を行なうために、回転霧化頭21等に付着した前色の塗料を洗浄する洗浄作業について図6を参照して説明する。
【0063】
まず、塗装用ロボットのアームを作動し、回転霧化頭21の前方に洗浄ノズル28を配置する。この状態で、洗浄ノズル28は、高速で回転する回転霧化頭21の軸中心部、即ち洗浄流体供給通路25の洗浄流体流入通路26に向けて洗浄流体としてのシンナを吐出する。一部のシンナは、矢示Aのように洗浄流体流入通路26に流入することなく、ハブ部材23の前面23Aを遠心力によって周辺部に流れ、前面23A、塗料薄膜化面22C、放出端縁22Dに付着した塗料を洗浄する。
【0064】
一方、その他のシンナは、洗浄流体流入通路26に流入し、遠心力により各洗浄流体流出通路27を流通して矢示Bのようにハブ部材23の塗料受面23Bに流出するから、このシンナは塗料受面23Bに付着した塗料を洗浄することができる。そして、塗料受面23Bを矢示Bのように流れたシンナは、その一部が周辺部の塗料流出通路24から塗料薄膜化面22C側に排出される。
【0065】
ここで、回転霧化頭21の洗浄を行う場合には、洗浄時間を短縮するために短時間に勢いよくシンナが供給される。これにより、シンナは、塗料流出通路24の流出能力を超える量が供給されるから、塗料受面23Bを矢示Bのように半径方向外向きに流れるシンナの一部は、塗料流出通路24に流入することができず塗料溜り22Eの壁面に衝突して流れの方向を矢示C方向に変える。さらに、矢示C方向に流れようとするシンナは、遠心力によって勢いを増した状態で連続して供給される新たなシンナに押されることで、遠心力に打ち勝って塗料溜り22Eの壁面を軸中心部に向け半径方向の内側に流れる。
【0066】
このようにして一部のシンナは、塗料溜り22Eの壁面に沿って矢示C方向に流れ、塗料溜り22Eの壁面に付着した塗料を洗浄する。また、塗料溜り22Eに沿って軸中心部に向けて矢示Cのように流れたシンナは、フィードチューブ13の先端、円錐状突起23C等に付着した塗料を洗浄した後、洗浄流体流出通路27から塗料受面23Bに流出するシンナに合流する。
【0067】
このように、シンナは、図6中の矢示B,Cのように、上述した一定方向の流れを繰返して循環することにより、塗料溜り22Eの壁面を遠心力に打ち勝って流通することができるから、シンナは、これらに付着した塗料を少ない使用量で短時間に洗浄することができる。
【0068】
一方、洗浄ノズル28からのシンナの供給を停止すると、シンナの量が塗料流出通路24の流出能力の範囲内となる。これにより、塗料溜り22E内で循環流通していたシンナは、塗料流出通路24を介して全て排出することができる。
【0069】
かくして、本実施の形態によれば、ハブ部材23の軸中心部に設けられた洗浄流体供給通路25は、ハブ部材23の軸中心部に位置して前面23Aに開口し、洗浄ノズル28から吐出されたシンナが流入する有底状の洗浄流体流入通路26と、該洗浄流体流入通路26の底部26A側から軸線O−Oと直交する半径方向に延び、該洗浄流体流入通路26に流入したシンナをハブ部材23の塗料受面23B、霧化頭本体22の塗料溜り22Eに流出する複数の洗浄流体流出通路27とによって構成している。
【0070】
従って、洗浄流体供給通路25は、洗浄流体流入通路26に流入したシンナを各洗浄流体流出通路27からハブ部材23の塗料受面23Bに半径方向の外向きに吐出することができる。これにより、ハブ部材23の塗料受面23B、霧化頭本体22の塗料溜り22Eでは、各洗浄流体流出通路27から流出したシンナを遠心力に抗して一定方向に循環させることができる。
【0071】
この結果、回転霧化頭21は、ハブ部材23の塗料受面23B、霧化頭本体22の塗料溜り22E、フィードチューブ13の先端等に付着した塗料を効率よく洗浄することができるから、少ない量のシンナで短時間のうちに洗浄することができ、作業性の向上、ランニングコストの低減等を図ることができる。
【0072】
また、洗浄流体流出通路27は、軸線O−Oと直交する半径方向に延びて形成しているから、フィードチューブ13から吐出された塗料が該洗浄流体流出通路27に浸入するのを防止でき、微粒化されていない塗料が噴霧されることによる塗装不良を防止して、信頼性を向上することができる。
【0073】
一方、洗浄流体としてシンナの他に洗浄エア(圧縮エア)を吐出して残留した塗料を排出する場合がある。この場合も、洗浄流体流出通路27は、軸線O−Oと直交する半径方向の外側に向け延びて形成しているから、該洗浄流体流出通路27は、フィードチューブ13と回転霧化頭21との間の隙間Sとは異なる方向に洗浄エアを吐出することができる。これにより、塗料溜り22Eに残存した塗料が飛散して回転軸6とフィードチューブ13との間の隙間Sに浸入するのを防止でき、信頼性、塗装品質を向上することができる。
【0074】
また、洗浄流体流出通路27は、ハブ部材23の塗料受面23Bに接する位置に開口させているから、洗浄流体を塗料受面23Bに沿って円滑に流出することができ、塗料受面23Bに付着した塗料を効率よく洗浄することができる。
【0075】
また、ハブ部材23の後面側の軸中心部には円錐状の円錐状突起23Cを設けているから、フィードチューブ13から吐出された塗料を、飛散させることなくハブ部材23側に案内することができる。また、洗浄流体流出通路27は円錐状突起23Cを利用して簡単に形成することができる。
【0076】
さらに、洗浄流体流出通路27は、軸線O−Oの位置を中心とする放射状に延びて形成しているから、回転霧化頭21を高速回転させたときの遠心力を利用してハブ部材23の塗料受面23Bの全面に亘って洗浄流体を流出させることができ、洗浄効率を高めることができる。
【0077】
次に、図7は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、洗浄流体流入通路の底部には開口側に向けて円錐状に突出し洗浄流体を洗浄流体流出通路に向け案内する洗浄流体案内突起を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0078】
31は本実施の形態による回転霧化頭、32は該回転霧化頭31のハブ部材で、該ハブ部材32は、前面32A、塗料受面32B、円錐状突起32Cを有している。
【0079】
33はハブ部材32の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた本実施の形態による洗浄流体供給通路である。ここで、洗浄流体供給通路33は、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25とほぼ同様に、底部34Aが閉塞された有底状の洗浄流体流入通路34と、該洗浄流体流入通路34の底部34A側から軸線O−Oと直交する半径方向に延びて塗料受面32Bに開口する複数の洗浄流体流出通路35とによって大略構成されている。
【0080】
しかし、本実施の形態による洗浄流体供給通路33は、洗浄流体流入通路34の底部34Aに後述の洗浄流体案内突起36が設けられている点で、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25と相違している。
【0081】
36は洗浄流体流入通路34の底部34Aに設けられた洗浄流体案内突起で、該洗浄流体案内突起36は、底部34Aの軸中心部に位置して開口側に向けて円錐状に突出して形成されている。これにより、洗浄流体案内突起36は、洗浄ノズル28から吐出されたシンナを洗浄流体流出通路35に向け案内することができる。
【0082】
かくして、このように構成された本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態によれば、洗浄流体流入通路34の底部34Aに円錐状の洗浄流体案内突起36を形成しているから、シンナを洗浄流体流出通路35に円滑に流入させることができる。
【0083】
次に、図8は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、洗浄流体流入通路の底部には開口側に向けて円錐状に突出し洗浄流体を洗浄流体流出通路に向け案内する洗浄流体案内突起を設けると共に、洗浄流体流入通路は開口側の通路面積を底部側の通路面積よりも小さく形成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0084】
41は本実施の形態による回転霧化頭、42は該回転霧化頭41のハブ部材で、該ハブ部材42は、前面42A、塗料受面42B、円錐状突起42Cを有している。
【0085】
43はハブ部材42の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた本実施の形態による洗浄流体供給通路である。ここで、洗浄流体供給通路43は、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25とほぼ同様に、底部44Aが閉塞された有底状の洗浄流体流入通路44と、該洗浄流体流入通路44の底部44A側から軸線O−Oと直交する半径方向に延びて塗料受面42Bに開口する複数の洗浄流体流出通路45とによって大略構成されている。
【0086】
しかし、本実施の形態による洗浄流体供給通路43は、洗浄流体流入通路44の開口側の通路面積が底部側の通路面積よりも小さく形成されている点と、洗浄流体流入通路44の底部44Aに後述の洗浄流体案内突起46が設けられている点で、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25と相違している。
【0087】
即ち、本実施の形態による洗浄流体流入通路44は、有底円形穴として形成され、その開口部44B側の通路面積を決定する内径寸法D1が底部44A側の通路面積を決定する内径寸法D2よりも小さく形成されている(D1<D2)。これにより、回転霧化頭41を高速で回転駆動し、洗浄流体流入通路44に流入したシンナに遠心力が作用している状態では、小径な開口部44Bからシンナが流出するのを防止することができる。
【0088】
また、46は洗浄流体流入通路44の底部44Aに設けられた洗浄流体案内突起で、該洗浄流体案内突起46は、底部44Aの軸中心部に位置して開口側に向けて円錐状に突出して形成されている。これにより、洗浄流体案内突起46は、洗浄ノズル28から吐出されたシンナを洗浄流体流出通路45に向け案内することができる。
【0089】
かくして、このように構成された本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態の洗浄流体流入通路44によると、その開口部44Bの内径寸法D1は、その底部44Aの内径寸法D2よりも小さく形成されているから、開口部44Bに供給されたシンナがハブ部材42の前面42Aにこぼれてしまうのを防止できる。このため、洗浄流体流入通路44に供給された全てのシンナを洗浄流体流出通路45側に流出させることができ、洗浄効率を向上することができる。
【0090】
次に、図9および図10は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、洗浄流体流出通路は洗浄流体流入通路から放射状に延びると共に周方向に延びる複数のスリットとして形成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0091】
51は本実施の形態による回転霧化頭、52は該回転霧化頭51のハブ部材で、該ハブ部材52は、前面52A、塗料受面52B、円錐状突起52Cを有している。
【0092】
53はハブ部材52の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた本実施の形態による洗浄流体供給通路である。ここで、洗浄流体供給通路53は、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25とほぼ同様に、底部54Aが閉塞された有底状の洗浄流体流入通路54と、該洗浄流体流入通路54の底部54A側から軸線O−Oと直交する半径方向に延びて塗料受面52Bに開口する複数の洗浄流体流出通路55とによって大略構成されている。
【0093】
しかし、本実施の形態による洗浄流体供給通路53は、洗浄流体流出通路55が洗浄流体流入通路54から放射状に延びると共に周方向に延びる複数のスリットとして形成されている点で、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25と相違している。
【0094】
54はハブ部材52の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた洗浄流体流入通路で、該洗浄流体流入通路54は、第1の実施の形態による洗浄流体流入通路26とほぼ同様に、前面52Aに開口し、底部54Aが閉塞された有底円形穴として形成されている。
【0095】
55,55,…は洗浄流体流入通路54の底部54A側に位置してハブ部材52に設けられた複数、例えば4本の洗浄流体流出通路で、該各洗浄流体流出通路55は、図10に示す如く、洗浄流体流入通路54から軸線O−Oと直交する半径方向に放射状に延びている。しかも、各洗浄流体流出通路55は、周方向にも延びることによって扇状のスリットとして形成されている。また、各洗浄流体流出通路55間は十字状に延びるリブ56となっている。
【0096】
かくして、このように構成された本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態によれば、洗浄流体流出通路55は、半径方向に放射状に延び、かつ周方向に延びる扇状のスリットとして形成しているから、ハブ部材52の塗料受面52Bの周方向にも洗浄流体を広げて円滑に供給することができ、効率よく洗浄することができる。
【0097】
次に、図11および図12は本発明の第5の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、洗浄流体流出通路は、洗浄流体流入通路の底部側に開口する複数の流出開口と、該流出開口の外周側を全周に亘って取囲む全周隙間とによって形成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0098】
61は本実施の形態による回転霧化頭、62は該回転霧化頭61のハブ部材で、該ハブ部材62は、前面62A、塗料受面62B、円錐状突起62Cを有している。
【0099】
63はハブ部材62の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた本実施の形態による洗浄流体供給通路である。ここで、洗浄流体供給通路63は、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25とほぼ同様に、底部64Aが閉塞された有底状の洗浄流体流入通路64と、該洗浄流体流入通路64の底部64A側から軸線O−Oと直交する半径方向に延びて塗料受面62Bに開口する洗浄流体流出通路65とによって大略構成されている。
【0100】
しかし、本実施の形態による洗浄流体供給通路63は、洗浄流体流出通路65が流出開口65Aと全周隙間65Bとによって形成されている点で、第1の実施の形態による洗浄流体供給通路25と相違している。
【0101】
64はハブ部材62の軸中心部(軸線O−Oの位置)に設けられた洗浄流体流入通路で、該洗浄流体流入通路64は、第1の実施の形態による洗浄流体流入通路26とほぼ同様に、前面62Aに開口し、底部64Aが閉塞された有底円形穴として形成されている。
【0102】
65は洗浄流体流入通路64の底部64A側に位置してハブ部材62に設けられた洗浄流体流出通路で、該洗浄流体流出通路65は、図12に示す如く、洗浄流体流入通路64の底部64A側に軸線O−Oと直交する半径方向に開口する複数、例えば4個の流出開口65Aと、該各流出開口65Aの外周側を全周に亘って取囲むように環状に延びる全周隙間65Bとによって形成されている。
【0103】
かくして、このように構成された本実施の形態でも、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態によれば、洗浄流体流出通路65は、全周隙間65Bにより各流出開口65Aから流出した洗浄流体を周方向に広げて供給することができるから、ハブ部材62の塗料受面62Bに万遍なく洗浄流体を供給することができる。これにより、流出開口65Aは少ない個数で済むため、加工を容易にして生産性等を向上することができる。
【0104】
なお、第1の実施の形態では、回転霧化頭21は、各色毎の塗料が充填されたカートリッジ11を交換して取付けるカートリッジ式の回転霧化頭型塗装装置1に適用した場合を例に挙げて説明した。
【0105】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図13に示す第1の変形例のように、回転霧化頭型塗装装置71は、ハウジング72、モータ取付部73、エアモータ74、回転軸75、シェーピングエアリング76、フィードチューブ77等からなり、フィードチューブ77は、その基端側をハウジング72に固定する構成としたものに、回転霧化頭21を取付けるようにしてもよい。この構成は他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0106】
また、第1の実施の形態では、ハブ部材23は、前面23Aと塗料受面23Bとを平坦面として形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図14に示す第2の変形例のように、ハブ部材81は、前面81Aを中央部が窪むように湾曲して形成してもよい。
【0107】
また、ハブ部材81の塗料受面81Bは、洗浄流体流出通路27が接して開口する部分を平坦に形成すればよく、外周縁部分は塗料溜り22E側に湾曲して形成してもよい。この場合には、塗料受面81Bから塗料溜り22Eにシンナをスムーズに流すことができる。これらの構成は他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0108】
また、第1の実施の形態では、図示しない高電圧発生器を設け、該高電圧発生器によって塗料に直接的に高電圧を印加した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばハウジングの外周側には外部電極を設け、この外部電極が回転霧化頭から噴霧された塗料を間接的に高電圧に帯電させる間接帯電式の回転霧化頭型塗装装置に適用してもよい。この構成は他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0109】
さらに、第1の実施の形態では、霧化頭本体22は、後部側から前部側に向けて拡開するベル形に形成した場合を例示した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、霧化頭本体は回転軸取付部から放出端縁に向けて徐々に大径となった筒形状に形成してもよい。この構成は他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0110】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、ハブ部材の前面側から塗料溜りに向け洗浄流体を供給する洗浄流体供給通路は、ハブ部材の軸中心部に位置して前面側に開口すると共に底部が閉塞された有底状をなし洗浄ノズルから前面に向け吐出される洗浄流体が流入する洗浄流体流入通路と、該洗浄流体流入通路の底部側から円錐状突起の位置を軸線方向と直交する半径方向に延びて後面側に開口し該洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体を塗料溜りに流出させる洗浄流体流出通路とによって構成している。
【0111】
従って、洗浄流体供給通路の洗浄流体流出通路は、洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体をハブ部材の後面側で周辺部の塗料流出通路に向けて流すことができるから、洗浄流体をハブ部材の後面と塗料溜りの壁面との間で一定の方向に流通させることができる。この結果、洗浄流体は、回転霧化頭を回転駆動したときの遠心力に逆らい、塗料溜り等に沿って流通させることができるから、洗浄流体は、塗料溜り、ハブ部材の軸中心側に付着した塗料も効率よく洗浄することができ、少ない量の洗浄流体で短時間のうちに洗浄することができ、作業性の向上、ランニングコストの低減等を図ることができる。
【0112】
請求項2の発明によれば、洗浄流体流出通路は、円錐状突起の位置を洗浄流体流入通路から半径方向に延び、ハブ部材の塗料受面に接して開口する複数の流路により構成している。従って、洗浄流体流出通路は、洗浄流体を塗料受面の全体に供給することができる。しかも、洗浄流体流出通路は、ハブ部材の塗料受面に接して開口しているから、洗浄流体流出通路と塗料受面とを段差なく接続でき、洗浄流体を洗浄流体流出通路から塗料受面に沿って流すことができ、塗料を効率よく洗浄することができる。
【0113】
請求項3の発明によれば、洗浄流体流入通路の底部には開口側に向けて円錐状に突出し洗浄流体を洗浄流体流出通路に向け案内する洗浄流体案内突起を設ける構成としている。従って、円錐状突起は、洗浄流体を洗浄流体流出通路に向け案内することにより、該洗浄流体流出通路に向け円滑に流通させることができる。
【0114】
請求項4の発明によれば、洗浄流体流入通路は開口側の通路面積を底部側の通路面積よりも小さく形成している。従って、回転霧化頭を回転駆動したときの遠心力を利用し、洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体が流出するのを防止することができ、洗浄流体を有効に使用することができる。
【0115】
請求項5の発明によれば、洗浄流体流出通路は洗浄流体流入通路から放射状に延びる複数の長孔として形成している。従って、回転霧化頭を回転駆動したときの遠心力を利用し、放射状に延びる洗浄流体流入通路から洗浄流体を流出させることができ、洗浄効率を高めることができる。
【0116】
請求項6の発明によれば、洗浄流体流出通路は洗浄流体流入通路から放射状に延びると共に周方向に延びる複数のスリットとして形成している。従って、回転霧化頭を回転駆動したときの遠心力を利用し、放射状に延びる洗浄流体流入通路から洗浄流体を流出させることができる。しかも、周方向に延びるスリット状の洗浄流体流出通路は、洗浄流体を周方向に広がるように流出することができるから、ハブ部材の後面、塗料溜りを効率よく洗浄することができる。
【0117】
請求項7の発明によれば、洗浄流体流出通路は、洗浄流体流入通路の底部側に開口する複数の流出開口と、該流出開口の外周側を全周に亘って取囲む全周隙間とによって形成している。従って、流出開口から流出した洗浄流体は、全周隙間を流通する間に周方向に広げることができ、ハブ部材の後面、塗料溜りに周方向に対し、洗浄流体を円滑に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による回転霧化頭を備えたカートリッジ式の回転霧化頭型塗装装置を示す断面図である。
【図2】図1中の回転軸、フィードチューブ、回転霧化頭を拡大して示す拡大断面図である。
【図3】回転霧化頭を示す拡大断面図である。
【図4】ハブ部材を単体で拡大して示す外観斜視図である。
【図5】洗浄流体流入通路と洗浄流体流出通路を図2中の矢示V−V方向から拡大して示すハブ部材の断面図である。
【図6】回転霧化頭の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による回転霧化頭の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による回転霧化頭の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態による回転霧化頭の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図10】洗浄流体供給通路を図9中の矢示X−X方向から拡大して示すハブ部材の断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態による回転霧化頭の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図12】洗浄流体供給通路を図11中の矢示XII−XII方向から拡大して示すハブ部材の断面図である。
【図13】本発明の第1の変形例による回転霧化頭型塗装装置を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の変形例による回転霧化頭の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図15】従来技術による回転霧化頭の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
6,75 回転軸
13,77 フィードチューブ(塗料ノズル)
21,31,41,51,61 回転霧化頭
22 霧化頭本体
22C 塗料薄膜化面
22D 放出端縁
22E 塗料溜り
23,32,42,52,62,81 ハブ部材
23A,32A,42A,52A,62A,81A 前面
23B,32B,42B,52B,62B,81B 塗料受面(後面)
23C,32C,42C,52C,62C,81C 円錐状突起
24 塗料流出通路
25,33,43,53,63 洗浄流体供給通路
26,34,44,54,64 洗浄流体流入通路
26A,34A,44A,54A,64A 底部
27,35,45,55,65 洗浄流体流出通路
28 洗浄ノズル
36,46 洗浄流体案内突起
44B 開口部
65A 流出開口
65B 全周隙間
O−O 軸線
D1 開口部側の内径寸法(通路面積)
D2 底部側の内径寸法(通路面積)
Claims (7)
- 筒形ないしベル形に形成され、内周面の前部側が放出端縁に向けて塗料を薄膜化する塗料薄膜化面となると共に奥部側が塗料ノズルから吐出された塗料を溜める塗料溜りとなった霧化頭本体と、
前記塗料溜りと塗料薄膜化面との間を仕切るように該霧化頭本体の内周面に取付けられ、後面側の軸中心部に前記塗料溜り側に突出した円錐状突起を有するハブ部材と、
該ハブ部材の周辺部に位置して前記霧化頭本体の塗料溜りから前記塗料薄膜化面に塗料を流出する複数の塗料流出通路と、
前記ハブ部材の軸中心部に位置して前記ハブ部材の前面側から塗料溜りに向け洗浄流体を供給する洗浄流体供給通路とからなる回転霧化頭において、
前記洗浄流体供給通路は、前記ハブ部材の軸中心部に位置して前面側に開口すると共に底部が閉塞された有底状をなし洗浄ノズルから前面に向け吐出される洗浄流体が流入する洗浄流体流入通路と、該洗浄流体流入通路の底部側から前記円錐状突起の位置を軸線方向と直交する半径方向に延びて後面側に開口し該洗浄流体流入通路に流入した洗浄流体を前記塗料溜りに流出させる洗浄流体流出通路とによって構成したことを特徴とする回転霧化頭。 - 前記ハブ部材は、後面側の周辺部が塗料受面となると共に軸中心部に前記円錐状突起を有する円板状体として形成し、
前記洗浄流体供給通路の洗浄流体流入通路は軸中心部に形成された有底穴からなり、前記洗浄流体流出通路は前記円錐状突起の位置を前記洗浄流体流入通路から半径方向に延び前記塗料受面に接して開口する複数の流路により構成してなる請求項1に記載の回転霧化頭。 - 前記洗浄流体流入通路の底部には開口側に向けて円錐状に突出し洗浄流体を前記洗浄流体流出通路に向け案内する洗浄流体案内突起を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の回転霧化頭。
- 前記洗浄流体流入通路は開口側の通路面積を底部側の通路面積よりも小さく形成してなる請求項1,2または3に記載の回転霧化頭。
- 前記洗浄流体流出通路は前記洗浄流体流入通路から放射状に延びる複数の長孔として形成してなる請求項1,2,3または4に記載の回転霧化頭。
- 前記洗浄流体流出通路は前記洗浄流体流入通路から放射状に延びると共に周方向に延びる複数のスリットとして形成してなる請求項1,2,3または4に記載の回転霧化頭。
- 前記洗浄流体流出通路は、前記洗浄流体流入通路の底部側に開口する複数の流出開口と、該流出開口の外周側を全周に亘って取囲む全周隙間とによって形成してなる請求項1,2,3または4に記載の回転霧化頭。
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