以下、本発明の実施の形態による回転霧化頭型塗装機を、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図4は、本発明の第1の実施の形態を示している。この第1の実施の形態では、塗料薄膜化面が浅く形成された回転霧化頭を備えた回転霧化頭型塗装機を例に挙げて説明する。
図1において、本実施の形態による回転霧化頭型塗装機1は、例えば高電圧発生器(図示せず)により塗料に高電圧を直接的に印加する直接帯電式の静電塗装機として構成されている。回転霧化頭型塗装機1は、例えば塗装用ロボットのアーム(図示せず)の先端に取付けられている。回転霧化頭型塗装機1は、後述のハウジング2、エアモータ3、回転軸5、フィードチューブ6、回転霧化頭18を含んで構成されている。
ハウジング2は、その基端側がアームの先端に取付けられている。このハウジング2には、先端側に開口するように、モータ収容部2Aが設けられ、該モータ収容部2Aの開口側には1段拡開した内周側に位置してめねじ部2Bが設けられている。さらに、ハウジング2には、モータ収容部2Aの底部の中央位置(後述する回転軸5の軸線O−Oの位置)に、後述するフィードチューブ6の基端側が挿嵌される挿嵌孔2Cが設けられている。
エアモータ3は、ハウジング2のモータ収容部2A内に軸線O−Oと同軸に設けられている。このエアモータ3は、圧縮エアを動力源として後述の回転軸5および回転霧化頭18を、例えば3000〜150000rpmの高速で回転させるものである。エアモータ3は、ハウジング2の前側に取付けられた段付円筒状のモータケース3Aと、該モータケース3Aの後側寄りに位置して回転可能に収容されたタービン3Bと、前記モータケース3Aに設けられ回転軸5を回転可能に支持するエア軸受3Cとを含んで構成されている。
エアモータ3のモータケース3Aは、回転軸5の軸線O−Oを中心線とする円筒体として形成されている。モータケース3Aは、ハウジング2のモータ収容部2A内に挿嵌される大径な大径筒3A1と、該大径筒3A1の先端(前端)から前側に突出した小径な小径筒3A2とにより段付筒状に形成されている。大径筒3A1の後側には、タービン3Bの外径部位と対向するようにケーブル取付孔3A3が設けられ、このケーブル取付孔3A3には、後述の回転数検出用ケーブル3Dが挿着されている。
タービン3Bは、複数枚の翼を周方向に連ねてなる羽根車(図示せず)により構成されている。このタービン3Bに向けて後述のタービンエア供給管路28から供給されるタービンエア(圧縮エア)が噴き付けられることにより、タービン3Bは、回転軸5を高速で回転駆動するものである。また、エア軸受3Cは、モータケース3Aの内周側に取付けられ、供給された軸受エア(圧縮エア)を回転軸5の外周面に向けて噴き付けることにより、環状の空気層を介して回転軸5を回転可能に支持するものである。
さらに、エアモータ3のモータケース3Aには、回転数検出用ケーブル3Dが設けられている。この回転数検出用ケーブル3Dは、その先端部がモータケース3Aのケーブル取付孔3A3に挿着されることにより、タービン3Bの外径部位と対向するように配置されている。回転数検出用ケーブル3Dは、タービン3Bの回転数を検出するもので、例えば、樹脂材料からなる光ファイバケーブルとして形成されている。
エアモータ3は、モータケース3Aの大径筒3A1をハウジング2のモータ収容部2A内に挿嵌した状態で、ハウジング2のめねじ部2Bに円環状の抜止め部材4を螺着することにより、ハウジング2内に一体的に取付けられている。
回転軸5は、エアモータ3にエア軸受3Cを介して回転自在に支持された中空な筒体として形成されている。この回転軸5は、モータケース3A内に軸線O−Oを中心とし軸方向に延びて配置されている。回転軸5は、基端側(後端側)がタービン3Bの中央に一体的に取付けられ、先端がモータケース3Aから前側に突出している。図2に示すように、回転軸5の先端側は、前側に向けて縮径したテーパ面5Aとなり、該テーパ面5Aよりも先端側には、回転霧化頭18を取付けるためのおねじ部5Bが形成されている。
フィードチューブ6は、回転霧化頭18に向けて塗料または洗浄流体を供給するもので、回転軸5内を通って該回転軸5の先端まで延びている。このフィードチューブ6の先端側は、回転軸5の先端から突出して回転霧化頭18内に延在している。一方、フィードチューブ6の基端側は、ハウジング2の挿嵌孔2Cに位置決め状態で挿嵌されている。
フィードチューブ6は、軸線O−Oと同軸に延び塗料または洗浄流体が流通する内筒6Aと、該内筒6Aの外周側に位置して該内筒6Aとの間を洗浄流体が流通する外筒6Bとにより形成されている。これにより、フィードチューブ6は、全体として2重管として構成されている。内筒6A内は、塗料または洗浄流体が流通する塗料供給通路6Cとなり、内筒6Aと外筒6Bとの間は、洗浄流体が流通する環状の洗浄流体供給通路6Dとなっている。塗料供給通路6Cは、色替弁装置等の塗料供給源(図示せず)に接続され、洗浄流体供給通路6Dは、洗浄流体供給源(図示せず)に接続されている。
さらに、内筒6Aは、外筒6Bよりも軸方向に長尺に形成されている。これにより、内筒6Aの先端部分は、外筒6Bの先端部位6B1から前方に突出した突出部位6A1となっている。この突出部位6A1の開口は、後述するハブ部材22の塗料受部22Cと僅かに離間した状態で対向している。
外筒6Bの先端部位6B1には、チェック弁6Eが設けられている。このチェック弁6Eは、弾性(ばね性)を有する樹脂材料、ゴム材料等、例えばフッ素系樹脂材料を用いて円筒状に形成されている。チェック弁6Eは、洗浄流体が垂れ落ちるのを防止するため、常時は弾性力によって内筒6Aの外周面に密着して閉弁し、洗浄流体供給通路6Dの開口側を閉塞している。一方、チェック弁6Eは、洗浄流体供給通路6Dから洗浄流体が供給されたときに、洗浄流体の供給圧力に抗して開弁することにより、洗浄流体供給通路6Dから洗浄流体が吐出されるのを許すものである。
シェーピングエアリング7は、回転霧化頭18の外周側に配置され、回転霧化頭18から噴霧された塗料の噴霧パターンを整えるものである。シェーピングエアリング7は、後述の後リング部位8、前リング部位9、第1のシェーピングエア噴出孔10、第2のシェーピングエア噴出孔11を含んで構成されている。
後リング部位8は、エアモータ3の前側部位を囲むようにハウジング2に取付けられた段付円筒状体として形成されている。後リング部位8の後部外周には、ハウジング2のめねじ部2Bに螺着されるおねじ部8Aが設けられている。
前リング部位9は、回転霧化頭18を囲むように後リング部位8の前側部位に取付けられた段付円筒状体として形成されている。前リング部位9の先端面9Aは、外周面洗浄通路25の全周通路部25Bよりも前側に突出した位置に配置されている。この先端面9Aには、第1のシェーピングエア噴出孔10と第2のシェーピングエア噴出孔11が設けられている。
前リング部位9は、回転霧化頭18を構成する霧化頭本体19の外周面19Eと隙間をもって対面するリング内周面9Bを有している。リング内周面9Bは、外周面19Eに対してほぼ一定の隙間寸法をもって対面するように、該外周面19Eと同じ角度をもって拡開した凹円錐面として形成されている。
第1のシェーピングエア噴出孔10は、前リング部位9の先端面9Aの外周寄りに位置して周方向に多数個設けられている。各第1のシェーピングエア噴出孔10は、霧化頭本体19の放出端縁19Jから噴霧された塗料の噴霧パターンを整えるために、該放出端縁19Jに向けてシェーピングエアを噴出するものである。各第1のシェーピングエア噴出孔10は、後述する第1のシェーピングエア通路16を介して第1のエア源(図示せず)に接続されている。
第2のシェーピングエア噴出孔11は、第1のシェーピングエア噴出孔10の内周側に位置して前リング部位9の先端面9Aに多数個設けられている。各第2のシェーピングエア噴出孔11は、各第1のシェーピングエア噴出孔10と同様に、霧化頭本体19の外周面19Eの前側部位に沿ってシェーピングエアを噴出するものである。各第2のシェーピングエア噴出孔11は、後述する第2のシェーピングエア通路17を介して第2のエア源(図示せず)に接続されている。
環状隙間12は、シェーピングエアリング7を構成する前リング部位9のリング内周面9Bと霧化頭本体19の外周面19Eとの間に画成されている。環状隙間12は、リング内周面9Bおよび外周面19Eに沿うように前側に向けて拡開する円錐状(ラッパ状)の薄肉な空間として形成されている。環状隙間12は、薄肉な空間として形成したことにより、外周面洗浄通路25から環状隙間12に流出した洗浄流体に対し、後述のアシストエアを確実に作用させることができる。これにより、洗浄流体を、外周面19Eの前側部位まで安定的に供給することができ、外周面19Eの洗浄効率を向上することができる。また、塗料や洗浄流体の逆流を防止することができる。
アシストエア噴出孔13は、前リング部位9のリング内周面9Bの奥部(後側)に前方に向けて開口して設けられている。アシストエア噴出孔13は、周方向に多数個穿設された小孔からなり、回転軸5の軸線O−Oに対して径方向の外側に若干傾斜して開口している。各アシストエア噴出孔13は、例えば第1のシェーピングエア通路16に接続されている。各アシストエア噴出孔13は、環状隙間12にアシストエア(パージエア)を噴出することにより、塗料や洗浄流体が環状隙間12に逆流するのを防止すると共に、外周面洗浄通路25から環状隙間12に流出した洗浄流体を、シェーピングエアリング7の先端に向けて円滑に案内することができる。
図1に示すように、内側カバー14は、ハウジング2を取囲んで設けられ、その前端部は、シェーピングエアリング7の後リング部位8に外側から嵌合されている。また、外側カバー15は、回転霧化頭型塗装機1の外周面を構成するもので、シェーピングエアリング7と内側カバー14を取囲んでいる。
第1のシェーピングエア通路16は、第1のエア源からの圧縮エアを各第1のシェーピングエア噴出孔10に供給するものである。第1のシェーピングエア通路16は、例えばハウジング2と内側カバー14との間、シェーピングエアリング7の後リング部位8、前リング部位9に設けられている。
第2のシェーピングエア通路17は、第2のエア源からの圧縮エアを各第2のシェーピングエア噴出孔11に供給するものである。第2のシェーピングエア通路17は、例えばハウジング2、エアモータ3とシェーピングエアリング7の後リング部位8との間、後リング部位8、前リング部位9に設けられている。
次に、本実施の形態の特徴部分をなす回転霧化頭18の構成について詳細に説明する。
回転霧化頭18は、回転軸5の先端に取付けられ、エアモータ3によって回転軸5と一緒に高速回転されることにより、フィードチューブ6から供給される塗料等を噴霧するものである。回転霧化頭18は、後述の霧化頭本体19、ハブ部材22、洗浄流体溜り23、外周面洗浄通路25、洗浄流体/塗料残留空間26、洗浄流体/塗料流出通路27を含んで構成されている。
回転霧化頭18を構成する霧化頭本体19は、その全体形状が前側に向けて拡開するカップ状体として形成されている。即ち、霧化頭本体19は、基端側となる後側が回転軸5の先端に取付けられる筒状の円筒部位19Aとなり、該円筒部位19Aよりも前側が前方に向けて拡開するカップ部位19Bとなっている。
霧化頭本体19の後側には、円筒部位19Aを開口としてカップ部位19B内に延びた回転軸取付穴19Cが設けられている。この回転軸取付穴19Cは、回転軸5の先端が取付けられるもので、回転軸5のテーパ面5Aに対応するように前側に向けて縮径している。さらに、回転軸取付穴19Cの軸方向の中間部には、回転軸5のおねじ部5Bに螺合するめねじ部19Dが形成されている。
カップ部位19Bの外周側は、前側に向けて円錐状に拡開した外周面19Eとなっている。この外周面19Eは、前リング部位9のリング内周面9Bと環状隙間12を介して対面するもので、前,後方向の全域に亘って、かつ全周に亘って滑らかな円錐面として形成されている。
一方、カップ部位19Bの内周側には、円環状の洗浄流体隔壁19Fが設けられている。この洗浄流体隔壁19Fは、回転軸取付穴19Cの底部をなすもので、フィードチューブ6の外筒6Bの先端部位6B1と軸方向に間隔をもって対向する位置で、径方向内側に突出して設けられている。洗浄流体隔壁19Fの内周面19F1は、フィードチューブ6のチェック弁6Eが開弁したときに干渉しないように、チェック弁6Eとの間に隙間20を有している。
カップ部位19Bの内周側には、洗浄流体隔壁19Fよりも前側で、かつフィードチューブ6の内筒6Aの突出部位6A1を取囲んだ位置に、径方向内側に突出して円環状の塗料隔壁19Gが設けられている。塗料隔壁19Gの内周面19G1は、内筒6Aと干渉しないように、内筒6Aとの間に隙間21を有している。さらに、塗料隔壁19Gの内径側は、後述する塗料溜り24から洗浄流体溜り23側に塗料等が流出しないように、円弧を描きつつ前方に突出している。
カップ部位19Bの内周側は、塗料隔壁19Gよりも前側がカップ内周面19Hとなり、カップ内周面19Hは、塗料溜り24の周壁を形成する奥所内周面19H1と、該奥所内周面19H1の前端部から拡開した塗料薄膜化面19H2とにより形成されている。この塗料薄膜化面19H2は、小さな軸方向寸法をもって拡開した皿状の湾曲面として形成されている。そして、塗料薄膜化面19H2は、塗料溜り24から流出した塗料を前側に向けて薄膜化しつつ流通させるもので、その先端(前端)は、薄膜化した塗料を塗料粒子として放出する放出端縁19Jとなっている。
ハブ部材22は、霧化頭本体19の塗料隔壁19Gよりも前側でカップ内周面19Hに設けられた円板状体として形成されている。このハブ部材22は、カップ内周面19Hの奥所内周面19H1と塗料薄膜化面19H2との境界位置に、後述する塗料溜り24の前側を閉塞するように配置されている。ハブ部材22の外周側には、奥所内周面19H1との間に位置して、塗料または洗浄流体を塗料薄膜化面19H2に流出させる多数個のハブ塗料通路22A(2個のみ図示)が周方向に設けられている。また、ハブ部材22の中央寄り位置には、前面に洗浄流体を流出させるための複数個のハブ洗浄流体通路22B(2個のみ図示)が設けられている。
さらに、ハブ部材22の後面の中央部には、フィードチューブ6の内筒6Aの先端に向けて円錐状に突出した塗料受部22Cが設けられている。この塗料受部22Cには、内筒6A内の塗料供給通路6Cから軸方向に吐出された塗料や洗浄流体が衝突する。従って、図3中に矢示Aで示すように、塗料や洗浄流体がこの塗料受部22Cによって徐々に径方向に向きを変えることにより、塗料、洗浄流体の拡散を円滑に行うことができる。
洗浄流体溜り23は、霧化頭本体19の洗浄流体隔壁19Fと塗料隔壁19Gとの間に設けられている。この洗浄流体溜り23は、フィードチューブ6の洗浄流体供給通路6Dから流出された洗浄流体を溜める円環状の空間部として形成されている。洗浄流体溜り23の外径側には、後述の外周面洗浄通路25を構成する流出孔部25Aの流入側が連通して開口している。ここで、洗浄流体溜り23の直径寸法は、後述する洗浄流体/塗料流出通路27を後側から前側に向け径方向の外側に傾斜させるために、後述する洗浄流体/塗料残留空間26(回転軸取付穴19C)の直径寸法よりも大きな値に設定されている。
塗料溜り24は、霧化頭本体19の塗料隔壁19Gとハブ部材22との間に設けられている。この塗料溜り24は、フィードチューブ6の塗料供給通路6Cから流出された塗料を溜める円環状(ドーナツ状)の空間部として形成されている。塗料溜り24は、塗料供給通路6Cから流出された塗料または洗浄流体を一時的に溜め、これらを拡散させるための空間である。
外周面洗浄通路25は、霧化頭本体19の外周面19Eに開口するようにカップ部位19Bの外周側に設けられている。外周面洗浄通路25は、フィードチューブ6の外筒6B(洗浄流体供給通路6D)から洗浄流体溜り23に供給された洗浄流体を、図3中に矢示Bで示すように、霧化頭本体19の外周面19Eに流出させるものである。ここで、外周面洗浄通路25は、洗浄流体溜り23と霧化頭本体19の外周面19E(環状隙間12)とを連通するもので、洗浄流体の流れ方向の上流側に位置する流出孔部25Aと、下流側に位置する全周通路部25Bとにより形成されている。
外周面洗浄通路25の上流部位を構成する流出孔部25Aは、霧化頭本体19に周方向に所定の間隔をもって複数本設けられている(図4参照)。各流出孔部25Aは、内径側から外径側に向けて放射状に延びる小径な通路からなり、その内径側は、径方向内向きに開口して洗浄流体溜り23に連通している。一方、各流出孔部25Aの外径側は、回転霧化頭18の回転方向(図4中の矢示R方向)と反対方向に傾斜して配置されている。
外周面洗浄通路25の全周通路部25Bは、各流出孔部25Aの外径側と連通した全周空間として形成されている。この全周通路部25Bは、外径側が前側に向け漸次拡開した薄肉な円錐筒状の空間(隙間)として形成され、その最外径部が霧化頭本体19の外周面19Eに開口している。これにより、全周通路部25Bは、各流出孔部25Aから供給される洗浄流体を、一時的に溜めることによって周方向に連続した状態で、霧化頭本体19の外周面19Eに流出することができる。
このように構成された回転霧化頭18は、エアモータ3によって高速回転された状態でフィードチューブ6の塗料供給通路6Cから塗料が供給される。このときに回転霧化頭18は、フィードチューブ6から供給された塗料を、塗料溜り24、ハブ部材22の各ハブ塗料通路22A、霧化頭本体19の塗料薄膜化面19H2を介して放出端縁19Jから遠心力によって微粒化した無数の塗料粒子として噴霧することができる。また、塗料溜り24、ハブ部材22の各ハブ塗料通路22A、霧化頭本体19の塗料薄膜化面19H2および放出端縁19Jに付着した塗料を洗浄する場合には、回転霧化頭18を高速回転させつつ、フィードチューブ6の塗料供給通路6Cから洗浄流体を供給することにより、これらを洗浄することができる。
一方、霧化頭本体19の外周面19Eに付着した塗料を洗浄する場合には、回転霧化頭18を高速回転させつつ、図3中の矢示Aのように、フィードチューブ6の洗浄流体供給通路6Dから洗浄流体を供給する。これにより、洗浄流体は、矢示Bのように、洗浄流体溜り23、外周面洗浄通路25を介して霧化頭本体19の外周面19Eに供給されるから、この洗浄流体によって外周面19Eに付着した塗料を洗浄することができる。
洗浄流体/塗料残留空間26は、回転霧化頭18の一部をなすもので、霧化頭本体19の洗浄流体隔壁19Fの後面と回転軸5の先端との間で、霧化頭本体19の回転軸取付穴19C内に形成されている。洗浄流体/塗料残留空間26は、回転軸5の先端に回転霧化頭18を同軸に取付けるのに必要な空間となっている。ここで、洗浄流体隔壁19Fの後面と回転軸取付穴19Cとの隅部には、洗浄流体/塗料残留空間26と連通した状態で後述の洗浄流体/塗料流出通路27が設けられている。
次に、本実施の形態の特徴部分をなす洗浄流体/塗料流出通路27の構成について詳細に説明する。
洗浄流体/塗料流出通路27は、回転霧化頭18の霧化頭本体19を構成する洗浄流体隔壁19Fの外周側に、周方向に間隔をもって複数個、例えば4個(図4参照)設けられている。各洗浄流体/塗料流出通路27は、図3中の矢示Cのように、例えば、フィードチューブ6と洗浄流体隔壁19Fとの隙間20、フィードチューブ6と塗料隔壁19Gとの隙間21を通じて洗浄流体または塗料が洗浄流体/塗料残留空間26に流入したときに、この洗浄流体または塗料を、矢示Dのように、外周面洗浄通路25を通じて霧化頭本体19の外周面19E側に流出させるものである。
各洗浄流体/塗料流出通路27は、流れ方向の上流側となる後側が流入口27Aとなって洗浄流体/塗料残留空間26に開口している。一方、各洗浄流体/塗料流出通路27の下流側となる前側は、流出口27Bとなって洗浄流体溜り23の外径部分に開口している。
詳しくは、流入口27Aは、洗浄流体/塗料残留空間26のうち、霧化頭本体19の回転軸取付穴19Cと洗浄流体隔壁19Fとの隅部に開口するように、回転軸取付穴19Cと洗浄流体隔壁19Fに亘って形成されている。従って、回転霧化頭18を高速回転することにより、洗浄流体/塗料残留空間26に浸入した洗浄流体や塗料は、遠心力によって径方向の外側に流れるから、各洗浄流体/塗料流出通路27に洗浄流体や塗料を効率よく流入させることができる。
ここで、各洗浄流体/塗料流出通路27は、小さな円形孔として形成され、その内径寸法dは、下記数1のような値に設定されている。
さらに、各洗浄流体/塗料流出通路27は、後側から前側に向け径方向の外側に傾斜するように配設されている。即ち、各洗浄流体/塗料流出通路27は、回転軸5の軸線O−Oに対し、角度αをもって径方向の外側に傾斜している。
この場合、角度αは、回転霧化頭18の各部の寸法関係、例えば、各洗浄流体/塗料流出通路27を穴加工する場合に、回転軸取付穴19Cにドリルが挿入可能な角度等の寸法条件によって設定されている。即ち、各洗浄流体/塗料流出通路27の角度αは、下記数2のように設定されている。
タービンエア供給管路28は、タービン3Bの羽根車に向けタービンエア(圧縮エア)を供給するもので、ハウジング2およびエアモータ3のモータケース3Aに設けられている。一方、タービンエア排出管路29は、タービン3Bを駆動した後の排気エアを、ハウジング2の外部(大気)に排出するもので、ハウジング2およびエアモータ3のモータケース3Aに設けられている。
第1の実施の形態による回転霧化頭型塗装機1は上述の如き構成を有するもので、次に、この回転霧化頭型塗装機1を用いて塗装作業を行うときの動作について説明する。
エアモータ3のエア軸受3Cに軸受エアを供給し、タービン3Bにタービンエアを供給して回転軸5を回転駆動する。これにより、回転軸5と一緒に回転霧化頭18が高速で回転する。この状態で、色替弁装置(図示せず)で選択された塗料をフィードチューブ6の内筒6A内の塗料供給通路6Cから回転霧化頭18に供給することにより、この塗料を回転霧化頭18から塗料粒子として噴霧することができる。この場合、回転霧化頭18等に対して高電圧を印加することにより、回転霧化頭18から噴霧される塗料粒子を、高電圧に帯電させることができる。
これにより、回転霧化頭18から噴霧される塗料粒子には、高電圧発生器によって高電圧が印加されているから、この高電圧に帯電した塗料粒子は、アースに接続された被塗物に向けて飛行し、効率よく塗着することができる。
一方、回転霧化頭18から塗料を噴霧したときには、この噴霧塗料の微粒化と噴霧パターンの整形のためにシェーピングエアリング7の各シェーピングエア噴出孔10,11からシェーピングエアを噴出している。これにより、回転霧化頭18から飛行してくる塗料の液糸にシェーピングエアを衝突させることができ、この塗料を微粒化することができる。
次に、塗装作業が終了し、次の塗装作業に備えて回転霧化頭18の洗浄を行う場合、即ち、回転霧化頭18の霧化頭本体19、ハブ部材22に付着した塗料を洗浄する場合について説明する。
この場合には、図3中の矢示Aのように、回転霧化頭18を高速回転させつつ、色替弁装置で選択された洗浄流体(シンナ、圧縮エア等)をフィードチューブ6の塗料供給通路6Cから回転霧化頭18に供給する。この洗浄流体は、ハブ部材22、霧化頭本体19のカップ内周面19Hに沿って流れることにより、ハブ部材22、カップ内周面19Hの奥所内周面19H1、塗料薄膜化面19H2等に付着した塗料を洗浄することができる。
次に、回転霧化頭18の霧化頭本体19の外周面19Eに付着した塗料を洗浄する場合について説明する。
この場合には、回転霧化頭18を高速回転させつつ、フィードチューブ6の洗浄流体供給通路6Dから洗浄流体溜り23に洗浄流体を流出する。洗浄流体溜り23内に溜められた洗浄流体は、図3中の矢示Bのように、遠心力によって外周面洗浄通路25を通って環状隙間12に流出する。一方、アシストエア噴出孔13は、環状隙間12にアシストエアを供給している。これにより、アシストエア噴出孔13から噴出されたアシストエアは、外周面洗浄通路25の全周通路部25Bから環状隙間12に流出した洗浄流体を、霧化頭本体19の外周面19Eに沿うように案内することができ、外周面19Eに付着した塗料を洗浄することができる。
ここで、フィードチューブ6から塗料を吐出して塗装を行った場合には、塗料に含まれる顔料や光輝材がハブ部材22の塗料受部22Cに衝突することにより、この塗料受部22Cが摩耗することがある。この場合、塗料受部22Cに向けて洗浄流体や塗料を吐出すると、洗浄流体や塗料が飛散し易くなってしまう。
参考例として示された図11は、洗浄流体/塗料流出通路27が設けられていない回転霧化頭101を示している。参考例による回転霧化頭101は、第1の実施の形態による回転霧化頭18との関係において、洗浄流体/塗料流出通路27が設けられていない点で異なっている。従って、図11の参考例では、洗浄流体/塗料流出通路27以外を除き、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図11による参考例では、矢示Xで示すように、フィードチューブ6の内筒6A(塗料供給通路6C)から洗浄流体を吐出すると、多くの洗浄流体は、塗料溜り24からカップ内周面19Hに流れる。しかし、一部の洗浄流体は、矢示Yのように、フィードチューブ6と塗料隔壁19Gとの隙間21、フィードチューブ6と洗浄流体隔壁19Fとの隙間20を通って洗浄流体/塗料残留空間26に流入する。洗浄流体/塗料残留空間26に流入した洗浄流体等は、矢示Zで示すように、さらにフィードチューブ6と回転軸5との隙間等を通ってエアモータ3内に浸入してしまう。
エアモータ3内に溶剤成分をもった洗浄流体等が浸入した場合、この洗浄流体等が、例えば回転数検出用ケーブル3Dに接触すると、回転数検出用ケーブル3Dを溶かし、タービン3Bの回転数の検出に支障を来すことが考えられる。気化した溶剤成分を含む雰囲気でも、回転数検出用ケーブル3Dの先端面の検出部位を曇らせる場合がある。また、浸入した洗浄流体がタービンエア排出管路29まで達すると、このタービンエア排出管路29を介して塗装用ロボットを制御する制御用バルブ等に洗浄流体が接触し、動作不良を生じる虞がある。さらに、洗浄流体/塗料残留空間26に流入した塗料が、回転軸5とエアモータ3のエア軸受3Cとの間に浸入すると、塗料に含まれる顔料等がエア軸受3Cに付着し、エアモータ3の回転不良を生じることがある。
然るに、第1の実施の形態によれば、回転霧化頭18の霧化頭本体19の洗浄流体隔壁19Fには、フィードチューブ6と洗浄流体隔壁19Fとの隙間20を通じて洗浄流体/塗料残留空間26に流入した洗浄流体または塗料を、外周面洗浄通路25に向けて流出する洗浄流体/塗料流出通路27を設ける構成としている。
従って、塗装作業が終了したら、エアモータ3によって回転軸5と共に回転霧化頭18を高速回転させる。これにより、洗浄流体/塗料残留空間26に流入した洗浄流体または塗料は、図3中に矢示Dで示すように、洗浄流体/塗料流出通路27によって回転霧化頭18の外周面洗浄通路25に向けて流出させることができ、矢示Bで示すように、この外周面洗浄通路25から回転霧化頭18(霧化頭本体19)の外周面19E側に流出させることができる。
この結果、洗浄流体または塗料の一部が洗浄流体/塗料残留空間26に流入しても、回転霧化頭18を回転駆動したときの遠心力により、洗浄流体/塗料流出通路27によって洗浄流体/塗料残留空間26から洗浄流体または塗料を外部に排出することができる。これにより、洗浄流体/塗料残留空間26には、洗浄流体や塗料が残留することがないから、この洗浄流体や塗料が周囲に飛散したり、次色の塗料に混入したりするのを未然に防ぐことができ、塗装仕上りに対する信頼性を向上することができる。
また、洗浄流体/塗料残留空間26に入り込んだ洗浄流体や塗料による塗装不良の発生を防止したことにより、回転霧化頭18の分解洗浄を行う頻度を下げることができ、塗装作業の生産性を向上することができる。
さらに、洗浄流体/塗料残留空間26に洗浄流体や塗料を残留させないことにより、エアモータ3に洗浄流体や塗料が流入するのを抑制することができる。従って、例えば洗浄流体や塗料に含まれる溶剤による回転数検出用ケーブル3D等の損傷を防止でき、また塗料に含まれる顔料等の付着によるエアモータ3の回転不良を防止でき、エアモータ3の耐久性を向上することができる。しかも、溶剤成分との接触による塗装用ロボットの動作不良を防止でき、信頼性を向上することができる。
洗浄流体/塗料流出通路27は、周方向に間隔をもって複数本設け、後側から前側に向け径方向の外側に角度αだけ傾斜させる構成としている。これにより、回転霧化頭18を高速で回転駆動したときには、このときの遠心力を利用して洗浄流体/塗料残留空間26の洗浄流体や塗料を洗浄流体/塗料流出通路27を通して積極的に排出することができる。
洗浄流体/塗料流出通路27の流出口27Bは、洗浄流体溜り23に開口する構成としている。これにより、洗浄流体や塗料は、洗浄流体/塗料残留空間26から洗浄流体溜り23、外周面洗浄通路25を介して回転霧化頭18の外周面19E側に排出することができる。
さらに、回転霧化頭18には、霧化頭本体19のカップ内周面19Hの塗料薄膜化面19H2の奥部で、かつ塗料隔壁19Gよりも前側に位置して、外周側に塗料が流出するハブ塗料通路22Aを有するハブ部材22を設けている。ハブ部材22には、後面の中央部に位置してフィードチューブ6の内筒6Aの先端に向けて円錐状に突出した塗料受部22Cを設ける構成としている。従って、ハブ部材22の塗料受部22Cに衝突して飛散した洗浄流体の一部または塗料の一部は、フィードチューブ6と塗料隔壁19Gとの隙間21およびフィードチューブ6と洗浄流体隔壁19Fとの隙間20を通じて洗浄流体/塗料残留空間26に流入する。しかし、洗浄流体/塗料残留空間26に流入した洗浄流体または塗料は、洗浄流体/塗料流出通路27を通じて外周面洗浄通路25に向けて流出させることができる。
次に、図5および図6は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、洗浄流体/塗料流出通路の流入口には、流入口を拡大するための集液部を設ける構成としたことにある。この第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を簡略化するものとする。
図5、図6において、第2の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路31は、第1の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路27とほぼ同様に、洗浄流体/塗料残留空間26と洗浄流体溜り23とを連通するように洗浄流体隔壁19Fの外周側に周方向に間隔をもって4個設けられている。しかし、第2の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路31は、その流入口31Aが後述の集液部32に開口している点で、第1の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路27と相違している。なお、流出口31Bは、洗浄流体溜り23に開口している。さらに、洗浄流体/塗料流出通路31の内径寸法および角度は、第1の実施の形態で述べた値の範囲に設定されている。
第2の実施の形態による集液部32は、洗浄流体/塗料流出通路31の流入口31Aに設けられている。具体的には、集液部32は、回転霧化頭18の霧化頭本体19を構成する洗浄流体隔壁19Fの外周側に配置され、洗浄流体/塗料残留空間26に向けて後側に開口する略半円状の環状凹溝(全周凹溝)として形成されている。この集液部32は、半円状の直径寸法、即ち、幅寸法が洗浄流体/塗料流出通路31の内径寸法よりも大きな寸法に設定されている。
これにより、集液部32は、洗浄流体/塗料流出通路31の流入口31A側を拡大することにより、洗浄流体/塗料残留空間26内を洗浄流体隔壁19Fに沿って外周側に移動する洗浄流体または塗料を集め、洗浄流体/塗料流出通路31に効率よく供給することができる。この場合、略半円状の環状凹溝として形成された集液部32は、粘性の低い洗浄流体から粘性の高い塗料まで幅広く集めることができる。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、洗浄流体/塗料流出通路31の流入口31Aには、この流入口31Aを拡大するための集液部32を設ける構成としている。これにより、洗浄流体/塗料残留空間26内を遠心力によって外周側に移動する洗浄流体や塗料は、集液部32で一度集めて洗浄流体/塗料流出通路31の流入口31Aに導くことができ、洗浄流体や塗料を洗浄流体/塗料流出通路31を通じて効率よく排出することができる。
次に、図7は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、洗浄流体/塗料流出通路の流入口には、流入口を拡大するための集液部を設けると共に、この集液部は、外周側に向け溝深さ寸法が大きくなる略三角形状の溝部として構成したことにある。この第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を簡略化するものとする。
図7において、第3の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路41は、第1の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路27とほぼ同様に、洗浄流体/塗料残留空間26と洗浄流体溜り23とを連通するように洗浄流体隔壁19Fの外周側に周方向に間隔をもって4個設けられている。しかし、第3の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路41は、その流入口41Aが後述の集液部42に開口している点で、第1の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路27と相違している。なお、流出口41Bは、洗浄流体溜り23に開口している。さらに、洗浄流体/塗料流出通路41の内径寸法および角度は、第1の実施の形態で述べた値の範囲に設定されている。
第3の実施の形態による集液部42は、洗浄流体/塗料流出通路41の流入口41Aに設けられている。具体的には、集液部42は、回転霧化頭18の霧化頭本体19を構成する洗浄流体隔壁19Fの外周側に配置され、洗浄流体/塗料残留空間26に向けて後側に開口する環状凹溝(全周凹溝)として形成されている。第3の実施の形態による集液部42は、外周側に向けて軸方向の溝深さ寸法が漸次大きくなる略三角形状の凹溝として形成され、その最深部(最外周部)に洗浄流体/塗料流出通路41の流入口41Aが連通して開口している。
これにより、集液部42は、洗浄流体/塗料流出通路41の流入口41A側を拡大することにより、洗浄流体/塗料残留空間26内を洗浄流体隔壁19Fに沿って外周側に移動する洗浄流体または塗料を集め、洗浄流体/塗料流出通路41に効率よく供給することができる。この場合、外周側に向けて溝深さ寸法が大きくなる略三角形状の集液部42は、例えば、洗浄流体や粘性の低い塗料を洗浄流体/塗料流出通路41に導くのに適している。
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態によれば、洗浄流体/塗料流出通路41の流入口41Aには、この流入口41Aを拡大するための集液部42を設ける構成としている。これにより、洗浄流体/塗料残留空間26内を遠心力によって外周側に移動する洗浄流体や塗料は、集液部42で一度集めて洗浄流体/塗料流出通路41の流入口41Aに導くことができ、洗浄流体や塗料を洗浄流体/塗料流出通路41を通じて効率よく排出することができる。また、外周側に向けて溝深さ寸法が大きくなる略三角形状の集液部42は、洗浄流体や粘性の低い塗料を洗浄流体/塗料流出通路41に効率よく導くことができる。
次に、図8は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、洗浄流体/塗料流出通路の流出口は、外周面洗浄通路に開口する構成としたことにある。この第4の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を簡略化するものとする。
図8において、第4の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路51は、第1の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路27とほぼ同様に、周方向に間隔をもって複数個、例えば4個(2個のみ図示)設けられている。しかし、第4の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路51は、流入口51Aが洗浄流体/塗料残留空間26に開口し、流出口51Bが外周面洗浄通路25の流出孔部25Aに開口している点で、第1の実施の形態による洗浄流体/塗料流出通路27と相違している。なお、洗浄流体/塗料流出通路51の内径寸法および角度は、第1の実施の形態で述べた値の範囲に設定されている。
これにより、各洗浄流体/塗料流出通路51は、洗浄流体/塗料残留空間26に浸入した洗浄流体や塗料を、外周面洗浄通路25の流出孔部25Aに流出させることができる。
かくして、このように構成された第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第4の実施の形態によれば、洗浄流体/塗料流出通路51の流出口51Bは、外周面洗浄通路25に開口する構成としている。従って、洗浄流体/塗料残留空間26に浸入した洗浄流体や塗料は、洗浄流体/塗料流出通路51によって外周面洗浄通路25に流出させることができ、外周面洗浄通路25から外部に容易に排出することができる。
次に、図9は本発明の第5の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、回転霧化頭の塗料薄膜化面を、大きな軸方向寸法をもって拡開した深底な湾曲面として形成したことにある。この第5の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同様の構成要素に同一の符号を付し、その説明を簡略化するものとする。
図9において、第5の実施の形態による回転霧化頭18′は、第1の実施の形態による回転霧化頭18とほぼ同様に、霧化頭本体19′を有している。しかし、第5の実施の形態による回転霧化頭18′は、霧化頭本体19′のカップ内周面19H′が大きな軸方向寸法をもって拡開した深底な湾曲面として形成されている点で、第1の実施の形態による回転霧化頭18と相違している。
かくして、このように構成された第5の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態による回転霧化頭18に限らず、第5の実施の形態による回転霧化頭18′に対しても洗浄流体/塗料流出通路27′を設けることができる。
なお、第2の実施の形態では、4個の洗浄流体/塗料流出通路31の全てに連通するように環状凹溝(全周凹溝)からなる集液部32を設ける構成としている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す変形例のように構成してもよい。即ち、図10に示す変形例では、4個の洗浄流体/塗料流出通路61に対し、それぞれ独立した集液部62を設ける構成としてもよい。この構成は、第3の実施の形態にも同様に適用することができる。
第1の実施の形態では、洗浄流体/塗料流出通路27は、回転霧化頭18の霧化頭本体19を構成する洗浄流体隔壁19Fの外周側に、周方向に間隔をもって4個設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、洗浄流体/塗料流出通路27を周方向に間隔をもって2個、3個または5個以上設ける構成としてもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができる。
第1の実施の形態では、回転霧化頭型塗装機1として、回転霧化頭18に供給される塗料に高電圧を直接的に印加する直接帯電式の静電塗装機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば回転霧化頭18の外周位置に高電圧を放電する外部電極を有し、この外部電極からの放電によって回転霧化頭18から噴霧された塗料粒子に高電圧を印加する間接帯電式の静電塗装機に適用する構成としてもよい。さらに、本発明は、塗料に高電圧を印加することなく塗装を行う非静電塗装機にも適用することができる。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができる。