JP2004081289A - 臭気除去方法、臭気除去装置、および臭気除去スプレー - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄物周辺の臭気を除去する手段を提供する。
【解決手段】ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、廃棄物周辺の気体に散布することを特徴とする、廃棄物周辺の臭気除去方法によって廃棄物周辺の臭気を除去することが可能である。かような臭気除去は、臭気を有する気体103を取り込む吸気部105と、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107を前記気体に散布する液体散布部115と、前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体を排出する排気部117と、を有する臭気除去装置101によって上記課題は解決される。
【選択図】 図1
【解決手段】ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、廃棄物周辺の気体に散布することを特徴とする、廃棄物周辺の臭気除去方法によって廃棄物周辺の臭気を除去することが可能である。かような臭気除去は、臭気を有する気体103を取り込む吸気部105と、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107を前記気体に散布する液体散布部115と、前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体を排出する排気部117と、を有する臭気除去装置101によって上記課題は解決される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物周辺、生活環境中の気体や繊維中の臭気を除去する方法に関し、より詳しくは、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いて上記環境下の臭気を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
動物、生ごみなどの有機物からは、種々の臭気が発生するが、アンモニア、アルデヒド、硫化水素などに由来する臭気は、不快感を惹起させる。また、臭気の発生源がごみ処分場など大規模なものである場合には、周辺環境への影響も無視できない。従来、これらの臭気を除去するために、種々の化合物が用いられてきた。
【0003】
例えば、特開2001−87364号公報には、排水や汚泥から発生する臭気を除去するために、▲1▼過酸化物、▲2▼硫酸、塩酸または燐酸、▲3▼キレート剤からなる消臭剤が開示されている。しかしながら、硫酸などの酸を用いる場合、ヒトや動物にとって有害であり、継続的な使用は制限される。その上、酸化力が強すぎるため、機器類や金属を腐食させる弊害も発生する。
【0004】
一方、ヨウ素をβ−シクロデキストリンで包接したヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いた消臭剤が、例えば、特開昭51−88625号公報で報告されている。この公報には、β−シクロデキストリンと水溶化したヨウ素とを混合して、β−シクロデキストリンがヨウ素と最高で約等モル比で形成された包接体を消臭、抗菌剤に使用することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が目的とするところは、気体または繊維中の臭気を効果的に除去する方法を提供することである。また本発明が目的とするところは、気体または繊維中の臭気を効果的に除去する臭気除去装置および臭気除去スプレーを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、廃棄物周辺の気体に散布することを特徴とする、廃棄物周辺の臭気除去方法である。
【0007】
本発明の第一の臭気除去方法を用いれば、シクロデキストリンの本来の機能である消臭効果を用いて廃棄物周辺に漂う臭気を効果的に除去できる。その上、本発明の第一において用いられる、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、不安定で長期保存に適さないヨウ素が長期間安定した形態で存在できる上、ヨウ素の本来の機能である抗菌・防黴効果も高い。また、本発明の第一において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、特異の臭気や刺激性を発生させない。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。
【0008】
本発明の第二は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する繊維に散布することを特徴とする、繊維の臭気除去方法である。
【0009】
本発明の第二の臭気除去方法を用いれば、シクロデキストリンの本来の機能である消臭効果を用いて繊維中に存在する臭気を効果的に除去できる。その上、本発明の第二において用いられる、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、不安定で長期保存に適さないヨウ素が長期間安定した形態で存在できる上、ヨウ素の本来の機能である抗菌・防黴効果も高い。また、本発明の第二において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、特異の臭気や刺激性を発生させない。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。
【0010】
本発明の第三は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに、エアーコンディショナーを通過する気体を挿通させる、室内空気の臭気除去方法である。
【0011】
臭気を発する気体をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに挿通させて、臭気を除去することができる。かような実施形態においては、脱臭効果が薄れた場合に、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。また、液体成分が含まれないために液ダレなどが生じず、取り扱い性に優れる。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中には、ヨウ素が含まれる。このヨウ素によって、エアーコンディショナーにおいて頻繁に発生しがちな黴の発生が抑制されるため、室内に不快な臭いが漂わない。また、ヨウ素によって黴の発生が抑制されるため、エアーコンディショナーを頻繁に清掃しなくてもよい。
【0012】
本発明の第四は、廃棄物周辺の臭気を有する気体を取り込む吸気部と、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を前記気体に散布する液体散布部と、前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体を排出する排気部と、を有することを特徴とする廃棄物周辺の臭気除去装置である。
【0013】
本発明の第四の臭気除去装置を用いれば、廃棄物周辺の臭気を有する気体に脱臭効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を散布することによって、効果的な脱臭が図れる。かような臭気除去装置は、大量の臭気を発する気体を処理する上で効率的である。したがって、ホテルでの廃棄物など、大量の廃棄物が存在する領域において特に有益である。
【0014】
本発明の第五は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気発生源に散布する、臭気除去スプレーである。
【0015】
本発明の第五の臭気除去スプレーを用いれば、優れた脱臭効果、抗菌効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を臭気発生源に供給することによって、効果的な脱臭が図れる。その上、スプレー形式であるため、手軽に取り扱うことができ、利便性が高い。
【0016】
本発明の第六は、エアーコンディショナーを通過する気体が挿通される、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む臭気除去シートである。
【0017】
本発明の第六の臭気除去シートを用いれば、臭気を有する気体をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに挿通させて、臭気を除去することができる。かような実施形態においては、脱臭効果が薄れた場合に、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。また、液体成分が含まれないために液ダレなどが生じず、取り扱い性に優れる。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中には、ヨウ素が含まれる。このヨウ素によって、エアーコンディショナーにおいて頻繁に発生しがちな黴の発生が抑制されるため、室内に不快な臭いが漂わない。また、ヨウ素によって黴の発生が抑制されるため、エアーコンディショナーを頻繁に清掃しなくてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
本発明の第一は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、廃棄物周辺の気体に散布することを特徴とする、廃棄物周辺の臭気除去方法である。
【0020】
まず、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物について説明する。本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、ヨウ素の包接量の保持および放出の制御が容易であり、ヨウ素及びシクロデキストリンの存在比を適宜調節することによって、ヨウ素による抗菌・防黴作用およびシクロデキストリンによる消臭作用を必要に応じて調整することができる。なお、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、シクロデキストリンの添加量を調整することで所望の包接量のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物が得られ、ヨウ素の包接量によって着色の程度に相違がある。しかしながら、いずれもヨウ素特有の臭気はほとんど持たない。
【0021】
また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、哺乳動物における必須栄養素の一つであるヨウ素及び食品添加物として認可されているシクロデキストリンからなり、安全性が高い。
【0022】
また、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中に存在しているヨウ素によって、抗菌がなされる。このため、本発明のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いた場合には、発生する臭気を除去する効果に加えて、殺菌効果が得られる。エアーコンディショナーのドレインなどにおいては黴が発生しやすく、これが異臭の原因となる。本発明のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いた場合には、発生した臭気を除去するのみならず、臭気の原因である黴そのものを除去することが可能である。つまり、本発明のヨウ素−シクロデキストリンは、根源的な臭気の除去が可能である。
【0023】
本発明において、ヨウ素は、特に制限されるものではなく、市販品をそのまま使用してもよい。また、ヨウ素は、ヨウ化カリウムと重クロム酸カリウムとを加熱蒸留するなどの方法に従って合成されてもよい。
【0024】
本発明において、シクロデキストリンは、特に制限されるものではなく、市販品をそのまま使用してもよい。また、シクロデキストリンは、デンプンにBacillus macerans由来のアミラーゼを作用させることなどの公知の方法によって製造してもよい。なお、本明細書において、「シクロデキストリン」は、それぞれ6、7及び8個の環状α−(1→4)結合したD−グルコピラノース単位から構成されるα−、β−及びγ−シクロデキストリンを包含するのみならず、例えば、アルキル化(メチル化、エチル化、プロピル化、イソプロプル化、ブチル化など)、モノアセチル化、トリアセチル化、モノクロロトリアジニル化等の化学修飾体も含む。シクロデキストリンの市販品の具体例としては、CAVAMAX W6及びCAVAMAX W6 Pharmaとして市販されるα−シクロデキストリン;CAVAMAX W7及びCAVAMAX W7 PHARMAとして市販されるβ−シクロデキストリン;CAVAMAX W8、CAVAMAX W8 Food及びCAVAMAX W8 Pharmaとして市販されるγ−シクロデキストリン;CAVASOL W7 M、CAVASOL W7 M Pharma及びCAVASOL W7 M TLとして市販されるメチル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 HP及びCAVASOL W7 HP Pharmaとして市販されるヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 Aとして市販されるモノアセチル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 TAとして市販されるトリアセチル−β−シクロデキストリン;ならびにCAVASOL W7 MCTとして市販されるモノクロロトリアジニル−β−シクロデキストリンなどが挙げられる(シクロデキストリンの入手先は、いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社)。
【0025】
使用するシクロデキストリンは、用途・入手容易性などを考慮して選択すればよい。例えば、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を水に溶かし、水溶液として臭気を有する気体に散布する場合には、水溶性に優れるメチル−β−シクロデキストリン(MCDI)などのアルキル化β−シクロデキストリンを用いてヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を調製するとよい。また、固体のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いる場合には、β−シクロデキストリン(BCDI)を用いるとよい。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物内におけるヨウ素包接量の調整の容易さを考慮すると、β−シクロデキストリン及びこの化学修飾体が好ましい。安全性の観点からは、食品添加物として認可されているβ−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンならびにこれらの化学修飾体が好ましい。
【0026】
本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物におけるヨウ素含有量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物質量に対して、5〜35質量%、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは19〜25質量%である。上述の範囲でヨウ素が含まれていると、ヨウ素の本来の機能である抗菌・防黴効果とシクロデキストリンの本来の機能である消臭効果とが特に効果的に発現する。
【0027】
本発明において、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物の製造方法は、本発明で使用されるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物が製造できる方法であれば特に制限されるものではなく、公知の方法またはこれらの組み合わせが同様にして使用できる。例えば、特開昭51−88625号公報、特開昭51−100892号公報などに記載の方法;ヨウ素量とヨウ素溶解助剤(KIなど)量を所定範囲に調整して溶解し、これにシクロデキストリンを添加する方法;またはこれらの方法で製造されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物に、本発明によるヨウ素の含有量を上記範囲になるように、シクロデキストリンを添加する方法などが挙げられる。このうち、ヨウ素量とヨウ素溶解助剤(NaI、KIなど)量を所定範囲に調整して溶解し、これにシクロデキストリンを添加する方法においては、シクロデキストリン量を調整することによって、ヨウ素をシクロデキストリン内に包接される量を制御できる。かような方法を用いれば、19質量%を越えるヨウ素含量のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を得ることも可能である。しかもヨウ素含有率の高いヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、ヨウ素特有の臭気を持たない傾向がある。
【0028】
かようなヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する気体に散布することによって、臭気を除去する方法について、図1を参照しながら説明する。なお、図1に示す実施形態は、廃棄物周辺の気体中の臭気を除去する方法である。
【0029】
図1は、廃棄物周辺の気体の臭気を除去する、臭気除去装置101の概略図である。まず、廃棄物周辺の臭気を有する気体103が、臭気を有する気体を取り込む吸気部105を通じて、臭気除去装置内部に導入される。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107は、薬液タンク109に貯蔵される。薬液タンク109からは、ポンプ111を用いて、所望量のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107が取り出され、臭気除去装置101に供給される。臭気除去装置101にはヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気除去装置101の臭気を有する気体113に散布する液体散布部115が設けられている。液体散布部115から散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体によって、臭気除去装置101に供給された臭気を有する気体113中の臭気が除去される。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体は、排気部117を通じて、臭気除去装置101の外部へと排出される。臭気除去装置の経済性を高める上では、デミスター119を設けて、散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を回収するとよい。液化したヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、塔底から配管121を通じて薬液タンク109に送られ、リサイクルされる。
【0030】
臭気除去装置のサイズは、臭気除去装置に求める処理能力に応じて決定される。廃棄物が一時的に置かれるゴミ溜めの臭気を除去する場合には、5〜100m3/min程度の小型の臭気除去装置で十分であろう。小型であるほど、占有面積が小さくなるため好ましい。場合によっては、複数の臭気除去装置を併用してもよい。
【0031】
吸気部105から導入される気体の供給量は、臭気除去装置の処理能力に応じて決定される。吸気部105を用いた気体の導入方法としては、送風機を用いた強制的な気体供給が考えられる。臭気除去装置の材質は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物や他の用いる化合物によって、侵食などが生じないように選択されるべきである。一般的には、臭気除去装置や配管の材質として、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどが用いられる。
【0032】
液体散布部115には、スプリンクラー、スプレーなどの各種公知の液体散布手段を用いうる。液体散布手段の設置数、種類および配置形態については、特に限定されるものではない。散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物が効率よく消臭するように、公知の技術的知見を用いて、設置数、種類および配置形態を決定すればよい。
【0033】
臭気除去装置を操業するにつれて、連続ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107が減少するが、その場合には、薬液タンク109に水および/またはヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を足せばよい。水および/またはヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、連続的に追加されても、または、一定量に減少した際に追加されてもよい。減少する液体の内、大部分は水分であるので、好ましくは、水位フロートを薬液タンク109に取り付けて、減少した液量だけ、水を補給する。水位フロートを取り付けて水を自動的に補給する形態を用いることで、臭気除去の作業性が向上する。
【0034】
散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を回収するためのデミスター119は、液体散布部115から排気部117までの間には少なくとも存在することが好ましい。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物のリサイクル効率を高める上では、吸気部105から液体散布部115までの間に存在することが好ましい。また、排気部117の近傍に、さらにデミスター119を配置して、リサイクル効率を高めてもよい(図示せず)。
【0035】
排気部117には、特に送風機などの気体排出手段を設けなくともよい。特段の手段を設けずとも、吸気部105における気体の導入速度に応じて、自然に気体は排出される。また、排気部117は1つにかぎられるものではなく、複数設けてもよいし、装置から大気中に放出される形態であってもよい。かような特別の排気部を設けない形態においても、気体が臭気除去装置から排出される部位は、本願でいう排気部の概念に包含される。
【0036】
本発明の臭気除去装置は、廃棄物(特に有機ゴミ)周辺の気体、各種工場で発生する気体中の臭気を除去するために用いられる。ホテルから生じる生ゴミ類など、各種規制によって廃棄物生産者が自主的に廃棄物の処理をすることが義務付けられている場合には、本発明の臭気除去方法は特に有効である。また、ホテルに限らず、様々な産業において、周辺住民からの苦情やカスタマーサービスを考えると、廃棄物から発生する臭気を抑制することが、強く求められる。したがって、本発明の臭気除去は、様々な臭気を発する要素が含まれる各種産業において、非常に有用である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、少量でも優れた臭気除去効果を有するため、ランニングコストの削減も図れる。ただし、本発明の臭気除去装置は、大規模な実施態様に限定されるわけではない。
【0037】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体は、液体の全質量に対して0.5〜30質量%のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むことが好ましい。0.5質量%未満であると、臭気除去が十分得られない恐れがある。一方、30質量%を超えると、薬液コストが上昇する。また、30質量%もあれば十分な臭気除去効果が得られる。
【0038】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物および溶媒が必須成分として含まれるが、これらの他にも必要に応じて他成分を含んでもよい。例えば、木酢液を含んでもよい。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物のみを、消臭成分として含む液体を用いて、臭気を除去してもよい。しかし、ヨウ素−シクロデキストリンは、材料単価が高く、ヨウ素−シクロデキストリンのみを用いた場合、消臭処理に必要なコストが嵩んでしまう。木酢液を含有させた場合、消臭効果を十分確保した上で、ヨウ素−シクロデキストリンの使用量を減少させうる。したがって、消臭処理に必要なコストを削減できる。また、木酢液を含む液体は、病害虫の忌避剤としての効果も有する。さらに、木酢液は芳しい芳香を放つため、木酢液の添加によって、マスキング効果が得られる。ここで、マスキング効果とは、一の化合物による芳香を、他の化合物の芳香によって、感覚上消し去る効果を意味する。市販の香水の大部分は、臭気の原因物質を除去または変質させるものではなく、より強い芳香を発することによって、臭気を感覚上消し去る。本願では、このような効果をマスキング効果と呼ぶ。なお、木酢液とは、製炭の際に窯から出る煙を蒸留させて得られる液体をいい、約200種類以上の天然成分が含まれる。木酢液はこのように天然成分由来であるため、安全性が高い。木酢液の含有量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体の全質量に対して0.5〜30質量%が好ましい。
【0039】
場合によっては、木酢液の代わりにまたは木酢液に加えて、ヨウ化水素(HI)を含んでいてもよい。ヨウ化水素を加えることによって、臭気除去効果を高めることができる。その上、ヨウ化水素を加えた場合、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物の使用量を減少させうる。ヨウ化水素を加えることによってヨウ素−シクロデキストリン包接化合物の使用量が減少する理由は、酸がヨウ素−シクロデキストリン包接化合物よりも先にアンモニアなどの臭気成分と反応するためであると考えられる。ただし、HIは強酸であるため、使用に際しては霧状のHIが動物周辺に流れないように留意する必要がある。
【0040】
例えば、メチル−β−シクロデキストリン(MCDI)をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物として用いる場合、液体の全質量に対して1質量%のヨウ化水素を加えることによって、同程度の効果を維持したまま、MCDIの使用量を約半分にまで削減することができる。ヨウ化水素の含有量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体の全質量に対して0.5〜5質量%程度がよい。
【0041】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体には、ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル等の防腐剤を加えてもよい。溶媒は、コストや後処理を考慮すると、水が好ましい。ただし、必要に応じて、他の溶媒を用いてもよいし、水と他の溶媒とを併用してもよい。
【0042】
なお、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中のヨウ素含有量、木酢液の添加などの、使用する薬液の態様については、本願を通じて共通する。このため、以下の本願発明の第二以降においては、薬液についての説明は省略する。
【0043】
本願発明の第二は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する繊維に散布することを特徴とする、繊維の臭気除去方法である。
【0044】
臭気発生源が、繊維中の化合物である場合には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する繊維に散布することが有効であり、利便性に優れる。散布方法については特に限定されないが、スプレーを用いて散布すると簡便である。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体は、異臭を発する繊維に直接吹き付けてよい。本発明のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、シクロデキストリンの作用によって繊維内部に存在する悪臭源を除去しうる。また、ヨウ素の作用によって、抗菌・殺菌・防黴効果が得られる。
【0045】
本願発明の第三は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに、エアーコンディショナーを通過する気体を挿通させる、室内空気の臭気除去方法である。
【0046】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを用いて、エアーコンディショナーで生じた臭気を除去する方法について、図2を参照しながら簡単に説明する。図2はエアーコンディショナー201の外観斜視図である。通常、エアーコンディショナーにおいては、室内の空気を吸気部203からエアーコンディショナー内部に導入し、熱交換によって空気を冷却または加熱し、排気部205から室内へ排出する。このとき、空気が挿通するように、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート207をエアーコンディショナー内部に配置することによって、エアーコンディショナーで室内温度の制御をしつつ、臭気を効果的に除去することが可能である。室内には様々な臭気が漂っており、現在のところ空気清浄機などを用いて臭気除去が図られている。この点、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを用いて、臭気を効果的に除去しうる本発明は、利便性が高いといえる。また、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、臭気除去効果に優れ、除菌・防黴効果も有するため、黴臭が発生しやすいエアーコンディショナーに適している。また、脱臭効果が薄れた場合には、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。さらに、液体成分が含まれないために液ダレなどが生じず、取り扱い性に優れる。液ダレが生じないことは、エアーコンディショナーへの適用を考慮した場合には、非常に重要である。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中には、ヨウ素が含まれる。このヨウ素によって、エアーコンディショナーにおいて頻繁に発生しがちな黴の発生が抑制されるため、室内に不快な臭いが漂わない。また、ヨウ素によって黴の発生が抑制されるため、エアーコンディショナーを頻繁に清掃しなくてもよい。
【0047】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート207が配置される部位は、図2に示す位置に限定されるものではなく、臭気を発する気体が挿通され、臭気除去が図れるのであれば、他の位置であってもよい。例えば、吸気部を小さくして、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート207の大きさを縮小してもよい。
【0048】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートの材質は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含浸させることができ、かつ、気体が挿通可能であれば特に限定されない。例えば、所望の大きさのシートに成形した不織布を用いることができる。
【0049】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを製造するには、まず、所定の濃度のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む溶液を調製する。次に、シートをこの溶液に含浸させて、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物をシート中に含ませる。最後に、シートから溶媒を揮発させて、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを完成させる。なお、かような方法以外の製法を用いてヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを製造しても勿論よく、本発明で規定する要件を満たす限り、本発明の技術的範囲に包含される。
【0050】
本発明の第四は、廃棄物周辺の臭気を有する気体を取り込む吸気部と、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を前記気体に散布する液体散布部と、前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体を排出する排気部と、を有することを特徴とする廃棄物周辺の臭気除去装置である。
【0051】
本発明の第四の実施態様としては、図1に示す臭気除去装置が挙げられる。本発明の第四の臭気除去装置を用いれば、廃棄物周辺の臭気を有する気体に脱臭効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を散布することによって、効果的な脱臭が図れる。詳細は、本発明の第一において説明したので、ここでは説明を省略する。
【0052】
本発明の第五は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気発生源に散布する、臭気除去スプレーである。
【0053】
本発明の第五の臭気除去スプレーを用いれば、優れた脱臭効果、抗菌効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を臭気発生源に散布することによって、効果的な脱臭が図れる。その上、スプレー形式であるため、手軽に取り扱うことができ、利便性が高い。臭気発生源は、臭気を有する部位であれば特に限定されず、気体、液体および固体を問わない。臭気発生源の具体例には、廃棄物周辺の気体、長年使用した繊維、トイレ内の空気、タバコを吸った後の室内空気などが含まれる。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物やこれの散布方法などについては、本発明の第一および第二で詳細に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0054】
本発明の第六は、エアーコンディショナーを通過する気体が挿通される、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む臭気除去シートである。
【0055】
本発明の第六の臭気除去シートを用いれば、臭気を有する気体をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに挿通させて、室内の臭気を除去することができる。かような実施形態においては、脱臭効果が薄れた場合に、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。詳細は、本発明の第三において説明したので、ここでは説明を省略する。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の効果を、実施例を用いて説明する。
【0057】
<実施例1>
約35m3の無換気の空間で、市販のタバコ2本をフィルター直近まで吸った。その後、直ちにメチル−β−シクロデキストリン(MCDI)の希釈液を市販のプラスチック霧吹きで150ml散布した。MCDIの質量に対するヨウ素の含有量は6質量%であった。MCDIの希釈液は、1gのMCDIを水1500mlで希釈したものであり、有効ヨウ素量は40ppmである。散布直後、30分経過後、60分経過後に、喫煙習慣を持たない4名の被験者(女性3名;男性1名)に臭いを嗅いでもらった。いずれの場合も、全員が無臭と感じた。
【0058】
<実施例2>
約20m3の無換気の空間で、4人が、10分程度で市販のタバコ各2本をフィルター直近まで吸った。その後、直ちにメチル−β−シクロデキストリン(MCDI)の希釈液を市販のプラスチック霧吹きで200ml散布した。MCDIの質量に対するヨウ素の含有量は6質量%であった。MCDIの希釈液は、1gのMCDIを水1500mlで希釈したものであり、有効ヨウ素量は40ppmである。散布直後、30分経過後、60分経過後に、10名の被験者に臭いを嗅いでもらった。10名の内訳は、女性5名、男性5名であり、10名のうち5名が喫煙習慣を持つものであった。散布直後には、2名が僅かなタバコ臭を感じたが、30分経過後、60分経過後においては、全員が無臭と感じた。
【0059】
【発明の効果】
本発明によって、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いて、効果的な臭気除去が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃棄物周辺の気体の臭気を除去する、臭気除去装置の概略図である。
【図2】エアーコンディショナーの外観斜視図である。
【符号の説明】
101…臭気除去装置、103…臭気を有する気体、105…吸気部、107…シクロデキストリン包接化合物を含む液体、109…薬液タンク、111…ポンプ、113…臭気を有する気体、115…液体散布部、117…排気部、119…デミスター、121…配管、201…エアーコンディショナー、203…吸気部、205…排気部、207…ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物周辺、生活環境中の気体や繊維中の臭気を除去する方法に関し、より詳しくは、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いて上記環境下の臭気を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
動物、生ごみなどの有機物からは、種々の臭気が発生するが、アンモニア、アルデヒド、硫化水素などに由来する臭気は、不快感を惹起させる。また、臭気の発生源がごみ処分場など大規模なものである場合には、周辺環境への影響も無視できない。従来、これらの臭気を除去するために、種々の化合物が用いられてきた。
【0003】
例えば、特開2001−87364号公報には、排水や汚泥から発生する臭気を除去するために、▲1▼過酸化物、▲2▼硫酸、塩酸または燐酸、▲3▼キレート剤からなる消臭剤が開示されている。しかしながら、硫酸などの酸を用いる場合、ヒトや動物にとって有害であり、継続的な使用は制限される。その上、酸化力が強すぎるため、機器類や金属を腐食させる弊害も発生する。
【0004】
一方、ヨウ素をβ−シクロデキストリンで包接したヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いた消臭剤が、例えば、特開昭51−88625号公報で報告されている。この公報には、β−シクロデキストリンと水溶化したヨウ素とを混合して、β−シクロデキストリンがヨウ素と最高で約等モル比で形成された包接体を消臭、抗菌剤に使用することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が目的とするところは、気体または繊維中の臭気を効果的に除去する方法を提供することである。また本発明が目的とするところは、気体または繊維中の臭気を効果的に除去する臭気除去装置および臭気除去スプレーを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、廃棄物周辺の気体に散布することを特徴とする、廃棄物周辺の臭気除去方法である。
【0007】
本発明の第一の臭気除去方法を用いれば、シクロデキストリンの本来の機能である消臭効果を用いて廃棄物周辺に漂う臭気を効果的に除去できる。その上、本発明の第一において用いられる、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、不安定で長期保存に適さないヨウ素が長期間安定した形態で存在できる上、ヨウ素の本来の機能である抗菌・防黴効果も高い。また、本発明の第一において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、特異の臭気や刺激性を発生させない。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。
【0008】
本発明の第二は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する繊維に散布することを特徴とする、繊維の臭気除去方法である。
【0009】
本発明の第二の臭気除去方法を用いれば、シクロデキストリンの本来の機能である消臭効果を用いて繊維中に存在する臭気を効果的に除去できる。その上、本発明の第二において用いられる、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、不安定で長期保存に適さないヨウ素が長期間安定した形態で存在できる上、ヨウ素の本来の機能である抗菌・防黴効果も高い。また、本発明の第二において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、特異の臭気や刺激性を発生させない。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。
【0010】
本発明の第三は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに、エアーコンディショナーを通過する気体を挿通させる、室内空気の臭気除去方法である。
【0011】
臭気を発する気体をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに挿通させて、臭気を除去することができる。かような実施形態においては、脱臭効果が薄れた場合に、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。また、液体成分が含まれないために液ダレなどが生じず、取り扱い性に優れる。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中には、ヨウ素が含まれる。このヨウ素によって、エアーコンディショナーにおいて頻繁に発生しがちな黴の発生が抑制されるため、室内に不快な臭いが漂わない。また、ヨウ素によって黴の発生が抑制されるため、エアーコンディショナーを頻繁に清掃しなくてもよい。
【0012】
本発明の第四は、廃棄物周辺の臭気を有する気体を取り込む吸気部と、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を前記気体に散布する液体散布部と、前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体を排出する排気部と、を有することを特徴とする廃棄物周辺の臭気除去装置である。
【0013】
本発明の第四の臭気除去装置を用いれば、廃棄物周辺の臭気を有する気体に脱臭効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を散布することによって、効果的な脱臭が図れる。かような臭気除去装置は、大量の臭気を発する気体を処理する上で効率的である。したがって、ホテルでの廃棄物など、大量の廃棄物が存在する領域において特に有益である。
【0014】
本発明の第五は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気発生源に散布する、臭気除去スプレーである。
【0015】
本発明の第五の臭気除去スプレーを用いれば、優れた脱臭効果、抗菌効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を臭気発生源に供給することによって、効果的な脱臭が図れる。その上、スプレー形式であるため、手軽に取り扱うことができ、利便性が高い。
【0016】
本発明の第六は、エアーコンディショナーを通過する気体が挿通される、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む臭気除去シートである。
【0017】
本発明の第六の臭気除去シートを用いれば、臭気を有する気体をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに挿通させて、臭気を除去することができる。かような実施形態においては、脱臭効果が薄れた場合に、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。また、液体成分が含まれないために液ダレなどが生じず、取り扱い性に優れる。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中には、ヨウ素が含まれる。このヨウ素によって、エアーコンディショナーにおいて頻繁に発生しがちな黴の発生が抑制されるため、室内に不快な臭いが漂わない。また、ヨウ素によって黴の発生が抑制されるため、エアーコンディショナーを頻繁に清掃しなくてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
本発明の第一は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、廃棄物周辺の気体に散布することを特徴とする、廃棄物周辺の臭気除去方法である。
【0020】
まず、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物について説明する。本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、ヨウ素の包接量の保持および放出の制御が容易であり、ヨウ素及びシクロデキストリンの存在比を適宜調節することによって、ヨウ素による抗菌・防黴作用およびシクロデキストリンによる消臭作用を必要に応じて調整することができる。なお、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、シクロデキストリンの添加量を調整することで所望の包接量のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物が得られ、ヨウ素の包接量によって着色の程度に相違がある。しかしながら、いずれもヨウ素特有の臭気はほとんど持たない。
【0021】
また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、哺乳動物における必須栄養素の一つであるヨウ素及び食品添加物として認可されているシクロデキストリンからなり、安全性が高い。
【0022】
また、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中に存在しているヨウ素によって、抗菌がなされる。このため、本発明のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いた場合には、発生する臭気を除去する効果に加えて、殺菌効果が得られる。エアーコンディショナーのドレインなどにおいては黴が発生しやすく、これが異臭の原因となる。本発明のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いた場合には、発生した臭気を除去するのみならず、臭気の原因である黴そのものを除去することが可能である。つまり、本発明のヨウ素−シクロデキストリンは、根源的な臭気の除去が可能である。
【0023】
本発明において、ヨウ素は、特に制限されるものではなく、市販品をそのまま使用してもよい。また、ヨウ素は、ヨウ化カリウムと重クロム酸カリウムとを加熱蒸留するなどの方法に従って合成されてもよい。
【0024】
本発明において、シクロデキストリンは、特に制限されるものではなく、市販品をそのまま使用してもよい。また、シクロデキストリンは、デンプンにBacillus macerans由来のアミラーゼを作用させることなどの公知の方法によって製造してもよい。なお、本明細書において、「シクロデキストリン」は、それぞれ6、7及び8個の環状α−(1→4)結合したD−グルコピラノース単位から構成されるα−、β−及びγ−シクロデキストリンを包含するのみならず、例えば、アルキル化(メチル化、エチル化、プロピル化、イソプロプル化、ブチル化など)、モノアセチル化、トリアセチル化、モノクロロトリアジニル化等の化学修飾体も含む。シクロデキストリンの市販品の具体例としては、CAVAMAX W6及びCAVAMAX W6 Pharmaとして市販されるα−シクロデキストリン;CAVAMAX W7及びCAVAMAX W7 PHARMAとして市販されるβ−シクロデキストリン;CAVAMAX W8、CAVAMAX W8 Food及びCAVAMAX W8 Pharmaとして市販されるγ−シクロデキストリン;CAVASOL W7 M、CAVASOL W7 M Pharma及びCAVASOL W7 M TLとして市販されるメチル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 HP及びCAVASOL W7 HP Pharmaとして市販されるヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 Aとして市販されるモノアセチル−β−シクロデキストリン;CAVASOL W7 TAとして市販されるトリアセチル−β−シクロデキストリン;ならびにCAVASOL W7 MCTとして市販されるモノクロロトリアジニル−β−シクロデキストリンなどが挙げられる(シクロデキストリンの入手先は、いずれも、ワッカーケミカルズ イーストアジア株式会社)。
【0025】
使用するシクロデキストリンは、用途・入手容易性などを考慮して選択すればよい。例えば、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を水に溶かし、水溶液として臭気を有する気体に散布する場合には、水溶性に優れるメチル−β−シクロデキストリン(MCDI)などのアルキル化β−シクロデキストリンを用いてヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を調製するとよい。また、固体のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いる場合には、β−シクロデキストリン(BCDI)を用いるとよい。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物内におけるヨウ素包接量の調整の容易さを考慮すると、β−シクロデキストリン及びこの化学修飾体が好ましい。安全性の観点からは、食品添加物として認可されているβ−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンならびにこれらの化学修飾体が好ましい。
【0026】
本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物におけるヨウ素含有量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物質量に対して、5〜35質量%、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは19〜25質量%である。上述の範囲でヨウ素が含まれていると、ヨウ素の本来の機能である抗菌・防黴効果とシクロデキストリンの本来の機能である消臭効果とが特に効果的に発現する。
【0027】
本発明において、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物の製造方法は、本発明で使用されるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物が製造できる方法であれば特に制限されるものではなく、公知の方法またはこれらの組み合わせが同様にして使用できる。例えば、特開昭51−88625号公報、特開昭51−100892号公報などに記載の方法;ヨウ素量とヨウ素溶解助剤(KIなど)量を所定範囲に調整して溶解し、これにシクロデキストリンを添加する方法;またはこれらの方法で製造されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物に、本発明によるヨウ素の含有量を上記範囲になるように、シクロデキストリンを添加する方法などが挙げられる。このうち、ヨウ素量とヨウ素溶解助剤(NaI、KIなど)量を所定範囲に調整して溶解し、これにシクロデキストリンを添加する方法においては、シクロデキストリン量を調整することによって、ヨウ素をシクロデキストリン内に包接される量を制御できる。かような方法を用いれば、19質量%を越えるヨウ素含量のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を得ることも可能である。しかもヨウ素含有率の高いヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、ヨウ素特有の臭気を持たない傾向がある。
【0028】
かようなヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する気体に散布することによって、臭気を除去する方法について、図1を参照しながら説明する。なお、図1に示す実施形態は、廃棄物周辺の気体中の臭気を除去する方法である。
【0029】
図1は、廃棄物周辺の気体の臭気を除去する、臭気除去装置101の概略図である。まず、廃棄物周辺の臭気を有する気体103が、臭気を有する気体を取り込む吸気部105を通じて、臭気除去装置内部に導入される。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107は、薬液タンク109に貯蔵される。薬液タンク109からは、ポンプ111を用いて、所望量のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107が取り出され、臭気除去装置101に供給される。臭気除去装置101にはヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気除去装置101の臭気を有する気体113に散布する液体散布部115が設けられている。液体散布部115から散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体によって、臭気除去装置101に供給された臭気を有する気体113中の臭気が除去される。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体は、排気部117を通じて、臭気除去装置101の外部へと排出される。臭気除去装置の経済性を高める上では、デミスター119を設けて、散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を回収するとよい。液化したヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、塔底から配管121を通じて薬液タンク109に送られ、リサイクルされる。
【0030】
臭気除去装置のサイズは、臭気除去装置に求める処理能力に応じて決定される。廃棄物が一時的に置かれるゴミ溜めの臭気を除去する場合には、5〜100m3/min程度の小型の臭気除去装置で十分であろう。小型であるほど、占有面積が小さくなるため好ましい。場合によっては、複数の臭気除去装置を併用してもよい。
【0031】
吸気部105から導入される気体の供給量は、臭気除去装置の処理能力に応じて決定される。吸気部105を用いた気体の導入方法としては、送風機を用いた強制的な気体供給が考えられる。臭気除去装置の材質は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物や他の用いる化合物によって、侵食などが生じないように選択されるべきである。一般的には、臭気除去装置や配管の材質として、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどが用いられる。
【0032】
液体散布部115には、スプリンクラー、スプレーなどの各種公知の液体散布手段を用いうる。液体散布手段の設置数、種類および配置形態については、特に限定されるものではない。散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物が効率よく消臭するように、公知の技術的知見を用いて、設置数、種類および配置形態を決定すればよい。
【0033】
臭気除去装置を操業するにつれて、連続ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体107が減少するが、その場合には、薬液タンク109に水および/またはヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を足せばよい。水および/またはヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、連続的に追加されても、または、一定量に減少した際に追加されてもよい。減少する液体の内、大部分は水分であるので、好ましくは、水位フロートを薬液タンク109に取り付けて、減少した液量だけ、水を補給する。水位フロートを取り付けて水を自動的に補給する形態を用いることで、臭気除去の作業性が向上する。
【0034】
散布されたヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を回収するためのデミスター119は、液体散布部115から排気部117までの間には少なくとも存在することが好ましい。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物のリサイクル効率を高める上では、吸気部105から液体散布部115までの間に存在することが好ましい。また、排気部117の近傍に、さらにデミスター119を配置して、リサイクル効率を高めてもよい(図示せず)。
【0035】
排気部117には、特に送風機などの気体排出手段を設けなくともよい。特段の手段を設けずとも、吸気部105における気体の導入速度に応じて、自然に気体は排出される。また、排気部117は1つにかぎられるものではなく、複数設けてもよいし、装置から大気中に放出される形態であってもよい。かような特別の排気部を設けない形態においても、気体が臭気除去装置から排出される部位は、本願でいう排気部の概念に包含される。
【0036】
本発明の臭気除去装置は、廃棄物(特に有機ゴミ)周辺の気体、各種工場で発生する気体中の臭気を除去するために用いられる。ホテルから生じる生ゴミ類など、各種規制によって廃棄物生産者が自主的に廃棄物の処理をすることが義務付けられている場合には、本発明の臭気除去方法は特に有効である。また、ホテルに限らず、様々な産業において、周辺住民からの苦情やカスタマーサービスを考えると、廃棄物から発生する臭気を抑制することが、強く求められる。したがって、本発明の臭気除去は、様々な臭気を発する要素が含まれる各種産業において、非常に有用である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、少量でも優れた臭気除去効果を有するため、ランニングコストの削減も図れる。ただし、本発明の臭気除去装置は、大規模な実施態様に限定されるわけではない。
【0037】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体は、液体の全質量に対して0.5〜30質量%のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むことが好ましい。0.5質量%未満であると、臭気除去が十分得られない恐れがある。一方、30質量%を超えると、薬液コストが上昇する。また、30質量%もあれば十分な臭気除去効果が得られる。
【0038】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物および溶媒が必須成分として含まれるが、これらの他にも必要に応じて他成分を含んでもよい。例えば、木酢液を含んでもよい。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物のみを、消臭成分として含む液体を用いて、臭気を除去してもよい。しかし、ヨウ素−シクロデキストリンは、材料単価が高く、ヨウ素−シクロデキストリンのみを用いた場合、消臭処理に必要なコストが嵩んでしまう。木酢液を含有させた場合、消臭効果を十分確保した上で、ヨウ素−シクロデキストリンの使用量を減少させうる。したがって、消臭処理に必要なコストを削減できる。また、木酢液を含む液体は、病害虫の忌避剤としての効果も有する。さらに、木酢液は芳しい芳香を放つため、木酢液の添加によって、マスキング効果が得られる。ここで、マスキング効果とは、一の化合物による芳香を、他の化合物の芳香によって、感覚上消し去る効果を意味する。市販の香水の大部分は、臭気の原因物質を除去または変質させるものではなく、より強い芳香を発することによって、臭気を感覚上消し去る。本願では、このような効果をマスキング効果と呼ぶ。なお、木酢液とは、製炭の際に窯から出る煙を蒸留させて得られる液体をいい、約200種類以上の天然成分が含まれる。木酢液はこのように天然成分由来であるため、安全性が高い。木酢液の含有量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体の全質量に対して0.5〜30質量%が好ましい。
【0039】
場合によっては、木酢液の代わりにまたは木酢液に加えて、ヨウ化水素(HI)を含んでいてもよい。ヨウ化水素を加えることによって、臭気除去効果を高めることができる。その上、ヨウ化水素を加えた場合、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物の使用量を減少させうる。ヨウ化水素を加えることによってヨウ素−シクロデキストリン包接化合物の使用量が減少する理由は、酸がヨウ素−シクロデキストリン包接化合物よりも先にアンモニアなどの臭気成分と反応するためであると考えられる。ただし、HIは強酸であるため、使用に際しては霧状のHIが動物周辺に流れないように留意する必要がある。
【0040】
例えば、メチル−β−シクロデキストリン(MCDI)をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物として用いる場合、液体の全質量に対して1質量%のヨウ化水素を加えることによって、同程度の効果を維持したまま、MCDIの使用量を約半分にまで削減することができる。ヨウ化水素の含有量は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体の全質量に対して0.5〜5質量%程度がよい。
【0041】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体には、ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル等の防腐剤を加えてもよい。溶媒は、コストや後処理を考慮すると、水が好ましい。ただし、必要に応じて、他の溶媒を用いてもよいし、水と他の溶媒とを併用してもよい。
【0042】
なお、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中のヨウ素含有量、木酢液の添加などの、使用する薬液の態様については、本願を通じて共通する。このため、以下の本願発明の第二以降においては、薬液についての説明は省略する。
【0043】
本願発明の第二は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する繊維に散布することを特徴とする、繊維の臭気除去方法である。
【0044】
臭気発生源が、繊維中の化合物である場合には、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する繊維に散布することが有効であり、利便性に優れる。散布方法については特に限定されないが、スプレーを用いて散布すると簡便である。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体は、異臭を発する繊維に直接吹き付けてよい。本発明のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、シクロデキストリンの作用によって繊維内部に存在する悪臭源を除去しうる。また、ヨウ素の作用によって、抗菌・殺菌・防黴効果が得られる。
【0045】
本願発明の第三は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに、エアーコンディショナーを通過する気体を挿通させる、室内空気の臭気除去方法である。
【0046】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを用いて、エアーコンディショナーで生じた臭気を除去する方法について、図2を参照しながら簡単に説明する。図2はエアーコンディショナー201の外観斜視図である。通常、エアーコンディショナーにおいては、室内の空気を吸気部203からエアーコンディショナー内部に導入し、熱交換によって空気を冷却または加熱し、排気部205から室内へ排出する。このとき、空気が挿通するように、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート207をエアーコンディショナー内部に配置することによって、エアーコンディショナーで室内温度の制御をしつつ、臭気を効果的に除去することが可能である。室内には様々な臭気が漂っており、現在のところ空気清浄機などを用いて臭気除去が図られている。この点、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを用いて、臭気を効果的に除去しうる本発明は、利便性が高いといえる。また、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、臭気除去効果に優れ、除菌・防黴効果も有するため、黴臭が発生しやすいエアーコンディショナーに適している。また、脱臭効果が薄れた場合には、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。さらに、液体成分が含まれないために液ダレなどが生じず、取り扱い性に優れる。液ダレが生じないことは、エアーコンディショナーへの適用を考慮した場合には、非常に重要である。さらに、アンモニアなどの塩基性成分だけでなく、有機酸などの酸性成分を除去することも可能である。また、本発明において用いられるヨウ素−シクロデキストリン包接化合物中には、ヨウ素が含まれる。このヨウ素によって、エアーコンディショナーにおいて頻繁に発生しがちな黴の発生が抑制されるため、室内に不快な臭いが漂わない。また、ヨウ素によって黴の発生が抑制されるため、エアーコンディショナーを頻繁に清掃しなくてもよい。
【0047】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート207が配置される部位は、図2に示す位置に限定されるものではなく、臭気を発する気体が挿通され、臭気除去が図れるのであれば、他の位置であってもよい。例えば、吸気部を小さくして、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート207の大きさを縮小してもよい。
【0048】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートの材質は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含浸させることができ、かつ、気体が挿通可能であれば特に限定されない。例えば、所望の大きさのシートに成形した不織布を用いることができる。
【0049】
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを製造するには、まず、所定の濃度のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む溶液を調製する。次に、シートをこの溶液に含浸させて、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物をシート中に含ませる。最後に、シートから溶媒を揮発させて、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを完成させる。なお、かような方法以外の製法を用いてヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートを製造しても勿論よく、本発明で規定する要件を満たす限り、本発明の技術的範囲に包含される。
【0050】
本発明の第四は、廃棄物周辺の臭気を有する気体を取り込む吸気部と、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を前記気体に散布する液体散布部と、前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体を排出する排気部と、を有することを特徴とする廃棄物周辺の臭気除去装置である。
【0051】
本発明の第四の実施態様としては、図1に示す臭気除去装置が挙げられる。本発明の第四の臭気除去装置を用いれば、廃棄物周辺の臭気を有する気体に脱臭効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を散布することによって、効果的な脱臭が図れる。詳細は、本発明の第一において説明したので、ここでは説明を省略する。
【0052】
本発明の第五は、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気発生源に散布する、臭気除去スプレーである。
【0053】
本発明の第五の臭気除去スプレーを用いれば、優れた脱臭効果、抗菌効果を有するヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を臭気発生源に散布することによって、効果的な脱臭が図れる。その上、スプレー形式であるため、手軽に取り扱うことができ、利便性が高い。臭気発生源は、臭気を有する部位であれば特に限定されず、気体、液体および固体を問わない。臭気発生源の具体例には、廃棄物周辺の気体、長年使用した繊維、トイレ内の空気、タバコを吸った後の室内空気などが含まれる。ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物やこれの散布方法などについては、本発明の第一および第二で詳細に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0054】
本発明の第六は、エアーコンディショナーを通過する気体が挿通される、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む臭気除去シートである。
【0055】
本発明の第六の臭気除去シートを用いれば、臭気を有する気体をヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに挿通させて、室内の臭気を除去することができる。かような実施形態においては、脱臭効果が薄れた場合に、シートを交換するだけで容易に脱臭効果の回復が図れるため、利便性が高い。詳細は、本発明の第三において説明したので、ここでは説明を省略する。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の効果を、実施例を用いて説明する。
【0057】
<実施例1>
約35m3の無換気の空間で、市販のタバコ2本をフィルター直近まで吸った。その後、直ちにメチル−β−シクロデキストリン(MCDI)の希釈液を市販のプラスチック霧吹きで150ml散布した。MCDIの質量に対するヨウ素の含有量は6質量%であった。MCDIの希釈液は、1gのMCDIを水1500mlで希釈したものであり、有効ヨウ素量は40ppmである。散布直後、30分経過後、60分経過後に、喫煙習慣を持たない4名の被験者(女性3名;男性1名)に臭いを嗅いでもらった。いずれの場合も、全員が無臭と感じた。
【0058】
<実施例2>
約20m3の無換気の空間で、4人が、10分程度で市販のタバコ各2本をフィルター直近まで吸った。その後、直ちにメチル−β−シクロデキストリン(MCDI)の希釈液を市販のプラスチック霧吹きで200ml散布した。MCDIの質量に対するヨウ素の含有量は6質量%であった。MCDIの希釈液は、1gのMCDIを水1500mlで希釈したものであり、有効ヨウ素量は40ppmである。散布直後、30分経過後、60分経過後に、10名の被験者に臭いを嗅いでもらった。10名の内訳は、女性5名、男性5名であり、10名のうち5名が喫煙習慣を持つものであった。散布直後には、2名が僅かなタバコ臭を感じたが、30分経過後、60分経過後においては、全員が無臭と感じた。
【0059】
【発明の効果】
本発明によって、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を用いて、効果的な臭気除去が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃棄物周辺の気体の臭気を除去する、臭気除去装置の概略図である。
【図2】エアーコンディショナーの外観斜視図である。
【符号の説明】
101…臭気除去装置、103…臭気を有する気体、105…吸気部、107…シクロデキストリン包接化合物を含む液体、109…薬液タンク、111…ポンプ、113…臭気を有する気体、115…液体散布部、117…排気部、119…デミスター、121…配管、201…エアーコンディショナー、203…吸気部、205…排気部、207…ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシート
Claims (12)
- ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、廃棄物周辺の気体に散布することを特徴とする、廃棄物周辺の臭気除去方法。
- 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体は、廃棄物周辺の気体が取り込まれた液体散布手段において散布されることを特徴とする請求項1に記載の臭気除去方法。
- ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気を発する繊維に散布することを特徴とする、繊維の臭気除去方法。
- 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体は、液体の全質量に対して2〜50質量%のヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の臭気除去方法。
- 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体は、さらに木酢液を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の臭気除去方法。
- ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含むシートに、エアーコンディショナーを通過する気体を挿通させる、室内空気の臭気除去方法。
- 前記シートは不織布であることを特徴とする請求項6に記載の臭気除去方法。
- 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物は、化合物質量に対して5〜35質量%のヨウ素を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の臭気除去方法。
- 前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物に含まれるシクロデキストリンは、β−シクロデキストリンまたはアルキル化β−シクロデキストリンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の臭気除去方法。
- 臭気を有する気体を取り込む吸気部と、
ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を前記気体に散布する液体散布部と、
前記ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物によって臭気が除去された気体を排出する排気部と、
を有することを特徴とする廃棄物周辺の臭気除去装置。 - ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む液体を、臭気発生源に散布する、臭気除去スプレー。
- エアーコンディショナーを通過する気体が挿通される、ヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を含む臭気除去シート。
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JP2009045341A (ja) * | 2007-08-22 | 2009-03-05 | Daikin Ind Ltd | ストリーマ放電装置及び空気処理装置 |
JP2012165964A (ja) * | 2011-02-16 | 2012-09-06 | Kuraray Trading Kk | 空気中の煙およびヤニの捕捉装置 |
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- 2002-08-23 JP JP2002243315A patent/JP2004081289A/ja active Pending
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