JP2004081149A - スピニングリールの釣り糸案内機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベールアーム34は、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材と、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材を連結するベール41と、第1ベール支持部材40に先端が固定された固定軸43と、固定軸43に支持されたラインローラ44と、固定軸43を覆う固定軸カバー46とを有している。ベール41は、棒状に形成された棒状部41aと、板状に形成された板状部41bとを有している。板状部41bは、一端が固定軸カバー46の釣り糸案内側及びその逆側と滑らかに連設し、他端が棒状部41aと滑らかに連設している。板状部41bは、スリット状に開口する溝部46aに挿入されており、プレス加工により断面が略三角形状に形成されている。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り糸案内機構、特に、第1及び第2ロータアームの先端に糸案内姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着され釣り糸をスプールに案内するスピニングリールの釣り糸案内機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
スピニングリールには釣り糸をスプールに案内する釣り糸案内機構が設けられている。釣り糸案内機構は、第1及び第2ロータアームの先端に装着され、ロータとともに回転し、かつ糸開放姿勢と糸案内姿勢との間で揺動自在に設けられている。この釣り糸案内機構は、第1及び第2ベール支持部材と、第1ベール支持部材の先端に一端が固定された固定軸と、固定軸の他端に固定された固定軸カバーと、固定軸カバーに一端が取り付けられたベールと、固定軸に支持されたラインローラとを備えている。ベールの一端は固定軸カバーに挿入固定されており、固定軸カバーとベールとの連結部には段差が生成されている。ベールの他端は第2ベール支持部材の先端に取り付けられている。
【0003】
このような釣り糸案内機構を有するスピニングリールでは、釣り糸をスプールに巻き取る際に、ベールを糸案内姿勢側に揺動させハンドルを回す。すると、釣り糸はベールに誘導されて固定軸カバーを介してラインローラの外周面に案内されて接触する。そして、釣り糸は、ラインローラに案内されて方向が変えられ、スプール外周に巻き取られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の釣り糸案内機構では、固定軸カバーとベールとの間に段差が生成されている。このため、ラインローラに案内された釣り糸が段差に引っ掛かり、釣り糸の滑らかな案内を阻害するとともに、固定軸カバーとベールとの間に釣り糸が巻きついて糸絡みが起こりやすくなる。
【0005】
本発明の課題は、スピニングリールの釣り糸案内機構において、糸絡みを防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールの釣り糸案内機構は、第1及び第2ロータアームの先端に糸案内姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着され釣り糸をスプールに案内するスピニングリールの釣り糸案内機構であって、第1及び第2ロータアームの先端にそれぞれ揺動自在に装着された第1及び第2ベール支持部材と、第1ベール支持部材に一端が固定された固定軸と、固定軸の他端に第1ベール支持部材と間隔を隔てて設けられ端部がスリット状に開口する溝部を有する固定軸カバーと、固定軸に回動自在に支持され周面に釣り糸を案内する案内部が形成されたラインローラと、スプールの周方向外方に湾曲して配置され釣り糸を固定軸カバーを介してラインローラに導くベールとを備えている。ベールは、一端部が第2ベール支持部材に固定され棒状に形成された棒状部と、他端部が固定軸カバーの釣り糸案内側と滑らかに連設するように溝部に挿入され棒状部と滑らかに連設するように板状に形成された板状部とを有している。
【0007】
この釣り糸案内機構では、ベールは滑らかに連設する棒状部及び板状部を有し、さらに板状部は固定軸カバーの釣り糸案内側と滑らかに連設している。ここでは、ベールは、固定軸カバーの釣り糸案内側と滑らかに連設するように形成されているので、固定軸カバーとベールとの間の段差がなく、固定軸カバーとベールとの間に釣り糸が引っ掛かりにくくなる。さらに、棒状部と板状部とは滑らかに連設するように形成されているので、棒状部と板状部との間にも段差がなく、糸絡みを防止することができる。
【0008】
発明2に係る釣り糸案内機構は、発明1の釣り糸案内機構において、板状部はプレス加工により形成されている。この場合、板状部をプレス加工することにより、形成が容易になる。
発明3に係る釣り糸案内機構は、発明1又は2の釣り糸案内機構において、板状部は断面が略三角形状に形成されている。この場合、棒状部と板状部とをより滑らかに連設できる。
【0009】
発明4に係る釣り糸案内機構は、発明1から3のいずれかの釣り糸案内機構において、板状部は中心部に切り欠き部が形成されている。この場合、ベールの軽量化を図ることができる。
発明5に係る釣り糸案内機構は、発明1から4のいずれかの釣り糸案内機構において、板状部は固定軸カバーの釣り糸案内側と逆側と滑らかに連設するように溝部に挿入されている。この場合、板状部を固定軸カバーの釣り糸案内側と逆側と滑らかに連設させることにより、意匠性を向上できる。
【0010】
発明6に係る釣り糸案内機構は、発明1から5のいずれかの釣り糸案内機構において、棒状部は円柱状の中実部材である。この場合、ベールの強度を高く維持できる。
発明7に係る釣り糸案内機構は、発明1から5のいずれかの釣り糸案内機構において、棒状部は円筒状の中空部材である。この場合、ベールを軽量化できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1及び図2に示すように、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを主に備えている。ロータ3はリール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。
【0012】
ハンドル1は、T字状の把手部1aと、先端に把手部1aが回転自在に装着されたL字状のクランクアーム1bとを有している。
リール本体2は、図1及び図2に示すように、側部に開口を有するリールボディ2aと、リールボディ2aから斜め上前方に一体で延びるT字状の竿取付脚2bとを有している。リールボディ2aは、図2に示すように、内部に機構装着用の空間を有しており、その空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6とが設けられている。
【0013】
スプール4は、図1及び図2に示すように、後述するロータ3の第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32の間に配置されており、このスプール4の中心部がスプール軸15の先端部にドラグ機構60(図2参照)を介して連結されている。
ロータ駆動機構5は、図2に示すように、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するマスターギア11と、このマスターギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ハンドル軸10の両端は軸受を介してリール本体2に回転自在に支持されている。ハンドル軸10の両端にはねじ方向及び径が異なる雌ねじ部がそれぞれ形成されており、両雌ねじ部にハンドル1が回転不能に装着可能である。
【0014】
ピニオンギア12は筒状に形成されており、ピニオンギア12の前部はロータ3の中心部を貫通しており、ナット33によりロータ3と固定されている。そして、ピニオンギア12の軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受を介してリール本体2に回転自在に支持されている。
オシレーティング機構6はスプール4を前後方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、図2に示すように、スプール軸15の略直下方に平行に配置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動するスライダ22と、螺軸21の先端に固定された中間ギア23とを有している。スライダ22にはスプール軸15の後端が回転不能に固定されている。中間ギア23はピニオンギア12に噛み合っている。
【0015】
ロータ3は、図2に示すように、ピニオンギア12に固定された円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32と、釣り糸をスプール4に案内するための釣り糸案内機構としてのベールアーム34とを有している。円筒部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは、たとえばアルミニウム合金製であり、一体成形されている。円筒部30の先端中心部分が前述したようにナット33によりピニオンギア12の先端部に回転不能に固定されている。
【0016】
ベールアーム34は、第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32の先端に、糸案内姿勢と糸開放姿勢との間で揺動自在に装着されている。ベールアーム34は、第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32の先端にそれぞれ揺動自在に装着された第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42を有している。第1ベール支持部材40は第1ロータアーム31の外側に揺動自在に装着され、第2ベール支持部材42は第2ロータアーム32の内側に揺動自在に装着されている。ベールアーム34は、図3から図6に示すように、第1ベール支持部材40及び第2ベール支持部材42を連結するベール41と、第1ベール支持部材40に先端が固定された固定軸43(図5及び図6参照)と、固定軸43に支持されたラインローラ44と、固定軸43を覆う固定軸カバー46とをさらに有している。
【0017】
第1ベール支持部材40は、図4から図6に示すように、第1ロータアーム31に揺動自在に装着されたアーム部40aと、アーム部40aの先端に一体成形されたリング状の装着部40bとを有している。装着部40bには段付きの貫通孔40c(図5及び図6参照)が形成されており、貫通孔40cには固定軸43を第1ベール支持部材40に固定するための固定ボルト52が貫通している。
【0018】
ベール41は、図3に示すように、第2ベール支持部材42及び固定軸カバー46に両端が固定された棒状のステンレス合金製部材であり、スプール4の周方向外方に凸に湾曲して配置されている。ベール41は、ベールアーム34が糸開放姿勢から糸案内姿勢に復帰したときに釣り糸を固定軸カバー46を介してラインローラ44に導くためのものである。
【0019】
ベール41は、図4から図6に示すように、棒状に形成された棒状部41aと、板状に形成された板状部41bとを有している。板状部41bは、一端が固定軸カバー46の釣り糸案内側及びその逆側と滑らかに連設し、他端が棒状部41aと滑らかに連設している。棒状部41aは円柱状の中実部材である。板状部41bは、図5に示すように、プレス加工により、断面が略三角形状に形成されている。また、板状部41bには、図5及び図6に示すように、中心部に切り欠き部41cが形成されている。
【0020】
固定軸43は、図5及び図6に示すように、固定軸カバー46と一体で切削加工により形成された部材である。固定軸43は、固定軸カバー46と一体の基端から第1ベール支持部材40に向かって延びており、先端が固定ボルト52により固定されている。
ラインローラ44は、図5及び図6に示すように、外周面に釣り糸を案内する溝が形成された筒状の案内部44aと、案内部44aの内周側に軸方向に間隔を隔てて配置された2つの転がり軸受44b、44cとを有している。案内部44aは、この2つの軸受44b、44cを介して固定軸43に回動自在に支持されている。
【0021】
固定軸カバー46は、図5及び図6に示すように、固定軸43の基端に第1ベール支持部材40の装着部40bと間隔を隔てて設けられている。固定軸カバー46は、端部がスリット状に開口する溝部46aを有する略円錐台形状のアルミニウム合金製の部材である。固定軸カバー46の溝部46aには、固定軸カバー46の釣り糸案内側及びその逆側と滑らかに連設するようにベール41の板状部41bが挿入されている。板状部41bは、先端部が固定軸カバー46の溝部46aの端部と間隔をあけて挿入され、かしめピン46bによって固定されている。かしめピン46bは、固定軸カバー46及び板状部41bを貫通しており、その両端部がかしめられている。
【0022】
次に、リールの操作及び動作について詳細に説明する。
キャスティング時には、ロータ3を逆転禁止状態にして、手でベールアーム34を持ってベールアーム34を糸開放姿勢に反転させる。ベールアーム34が糸開放姿勢に倒れた状態では、スプール4からの釣り糸を容易に繰り出すことが可能である。
【0023】
キャスティング後に、ベールアーム34を糸開放姿勢に維持したままの状態で、ハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、ロータ駆動機構5によりロータ3が糸巻き取り方向に回転する。ロータ3が糸巻き取り方向に回転すると、ベールアーム34が糸巻き取り姿勢に復帰する。このとき、さらにハンドル1を糸巻き取り方向に回転させると、釣り糸はベール41から固定軸カバー46を介してラインローラ44に導出され、スプール4に巻き取られる。
【0024】
このスピニングリールでは、ベール41は、棒状に形成された棒状部41aと、固定軸カバー46の溝部46aに挿入され棒状部41aと滑らかに連設するように板状に形成された板状部41bとを有している。ここでは、ベール41は、固定軸カバー46の釣り糸案内側と滑らかに連設するように形成されているので、固定軸カバー46とベール41との間の段差がなく、固定軸カバー46とベール41との間に釣り糸が引っ掛かりにくくなる。さらに、棒状部41aと板状部41bとは滑らかに連設するように形成されているので、棒状部41aと板状部41bとの間にも段差がなく、糸絡みを防止することができる。
【0025】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、フロントドラグ型のスピニングリールを例に説明したが、リアドラグ型のスピニングリールやドラグを有さないスピニングリールやレバードラグ型のスピニングリール等の任意のスピニングリールに本発明を適用できる。
【0026】
(b) 前記実施形態では、固定軸43と固定軸カバー46とは一体成形されていたが、固定軸43と固定軸カバー46とを別体で形成してもよい。
(c) 前記実施形態では、棒状部41aは円柱状の中実部材であったが、これに限定されるものではなく、円筒状の中空部材であってもよい。この場合、ベール41を軽量化できる。
【0027】
(d) 前記実施形態では、板状部41bは、断面が略三角形状に形成されていたが、これに限定されるものではなく、固定軸カバー46の釣り糸案内側及び棒状部41aとそれぞれ滑らかに連設するように形成さていれば、任意の形状に形成できる。また、板状部41bは、中心部に切り欠き部41cが形成されていたが、切り欠き部41cを設けない構成にしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、スピニングリールの釣り糸案内機構において、ベールは、固定軸カバーの釣り糸案内側と滑らかに連設するように形成され、かつ棒状部と板状部とが滑らかに連設するように形成されているので、糸絡みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの右側面図。
【図2】前記スピニングリールの左側面断面図。
【図3】前記スピニングリールの正面図。
【図4】ベールアームの要部斜視図。
【図5】ベールアームの要部断面図。
【図6】ベールアームの断面図。
【符号の説明】
4 スプール
31 第1ロータアーム
32 第2ロータアーム
34 ベールアーム
40 第1ベール支持部材
42 第2ベール支持部材
41 ベール
41a 棒状部
41b 板状部
41c 切り欠き部
43 固定軸
44 ラインローラ
46 固定軸カバー
46a 溝部
Claims (7)
- 第1及び第2ロータアームの先端に糸案内姿勢と糸開放姿勢とに揺動自在に装着され、釣り糸をスプールに案内するスピニングリールの釣り糸案内機構であって、
前記第1及び第2ロータアームの先端にそれぞれ揺動自在に装着された第1及び第2ベール支持部材と、
前記第1ベール支持部材に一端が固定された固定軸と、
前記固定軸の他端に前記第1ベール支持部材と間隔を隔てて設けられ、端部がスリット状に開口する溝部を有する固定軸カバーと、
前記固定軸に回動自在に支持され、周面に前記釣り糸を案内する案内部が形成されたラインローラと、
一端部が前記第2ベール支持部材に固定され棒状に形成された棒状部と、他端部が前記固定軸カバーの前記釣り糸案内側と滑らかに連設するように前記溝部に挿入され前記棒状部と滑らかに連設するように板状に形成された板状部とを有し、前記スプールの周方向外方に湾曲して配置され前記釣り糸を前記固定軸カバーを介して前記ラインローラに導くベールと、
を備えたスピニングリールの釣り糸案内機構。 - 前記板状部はプレス加工により形成されている、請求項1に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
- 前記板状部は断面が略三角形状に形成されている、請求項1又は2に記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
- 前記板状部は中心部に切り欠き部が形成されている、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
- 前記板状部は前記固定軸カバーの前記釣り糸案内側と逆側と滑らかに連設するように前記溝部に挿入されている、請求項1から4のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
- 前記棒状部は円柱状の中実部材である、請求項1から5のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
- 前記棒状部は円筒状の中空部材である、請求項1から5のいずれかに記載のスピニングリールの釣り糸案内機構。
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