JP2004080651A - 投写用陰極線管及び投写型表示装置 - Google Patents

投写用陰極線管及び投写型表示装置 Download PDF

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高岸 敏哉
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Abstract

【課題】複数の電子ビームの走査速度をそれぞれ独立に変調できるようにする。
【解決手段】電子銃から上下の位置関係で出射された2本の電子ビーム19A,19Bを偏向ヨークの水平偏向磁界によって水平方向に偏向することにより、2本の電子ビーム19A,19Bの各々を蛍光面上で水平方向に走査する投写用陰極線管の構成として、2本の電子ビーム19A,19Bの各々を蛍光面上で水平方向に走査する際の走査速度を変調する速度変調磁界を発生し、かつ、速度変調磁界の磁界分布を6つのコイル24A〜24Fを用いて上下非対称の6極磁界とした速度変調コイル17を備える。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示画像の鮮鋭度を向上させるために電子ビームの水平方向の走査速度を変調する速度変調コイルを有する投写用陰極線管とこれを用いた投写型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、投写用陰極線管を用いた投写型表示装置(例えば、投写型テレビジョン装置)においては、赤色画像用、緑色画像用、青色画像用の3つの投写用陰極線管をスクリーンから所定距離だけ離れた位置に並べて配置し、それら3つの投写用陰極線管のフェースプレートに表示された再生画像をスクリーン上で重ね合わせることにより、各々の投写用陰極線管のフェースプレートに表示された再生画像よりも拡大された投写画像をスクリーンに表示する仕組みになっている。
【0003】
図9は投写型表示装置の要部の概略構成を示す説明図である。赤色画像用の投写用陰極線管41R、緑色画像用の投写用陰極線管41G、青色画像用の投写用陰極線管41Bには、それぞれパネル部フェースプレート42R,42G,42Bが設けられている。
【0004】
また、赤色画像用の投写用陰極線管41Rのパネル部フェースプレート42Rの近傍には、これと中心軸を一致させた状態で赤色画像用投写レンズ43Rが対向状態に配置されている。同様に、緑色画像用の投写用陰極線管41Gのパネル部フェースプレート42Gの近傍には、これと中心軸を一致させた状態で緑色画像用投写レンズ43Gが対向状態に配置され、青色画像用の投写用陰極線管41Bのパネル部フェースプレート42Bの近傍には、これと中心軸を一致させた状態で青色画像用投写レンズ43Bが対向状態に配置されている。映写スクリーン45は、その中心軸を、緑色画像用の投写用陰極線管41G及び緑色画像用投写レンズ43Gの各中心軸に一致させた状態で、緑色画像用投写レンズ43Gから所定の距離を隔てて対向状態に配置されている。
【0005】
図10は投写型表示装置に用いられる投写用陰極線管の構成例を示す断面図である。この投写用陰極線管48のガラス製のバルブは、パネル部49aと、このパネル部49aに接合されるファンネル部49bと、このファンネル部49bから一体に延出したネック部49cとからなり、ファンネル部49bのネック部に電子銃51が内蔵されている。パネル部49aは、その前面にフェースプレート49a−1を有している。フェースプレート49a−1の内側には、単色蛍光面49a−2と、メタルバックとなるアルミニウム蒸着膜50が形成されている。アルミニウム蒸着膜50は、必要に応じて形成されるものである。
【0006】
ファンネル部49bの外周には、主偏向ヨーク53が装着されるとともに、主偏向ヨーク53よりネック部49c側にはサブ偏向ヨーク54と速度変調コイル55が装着されている。サブ偏向ヨーク54は、上記図9に示す映写スクリーン45上に現れる3色の画像の光学的な歪みを調整(補正)するためのものである。速度変調コイル55は、電子ビームの水平方向の走査速度を変調することにより、映像の輪郭部分(明暗のメリハリ)を強調し、表示画像の鮮鋭度を向上させるためのものである。
【0007】
図11は従来の速度変調コイルの構成を示すもので、(a)はその側面模式図、(b)はその正面模式図である。図11において、電子銃51のカソードから放出された1本の電子ビーム59は、電子銃51の第1グリッド電極G1から第4グリッド電極G4を通してネック部49c内を進行する。速度変調コイル55は、サドル形状に巻かれた上下一対のコイル57,58によって構成されている。ここでは、陰極線管の中心軸(以下、管軸ともいう)に対して、コイル57,58が向かい合う方向(図の上下方向)を垂直方向とし、この垂直方向と直交する方向を水平方向とする。速度変調コイル55を構成するコイル57,58に速度変調を行うための電流、すなわち映像信号の輝度信号を2回微分して得られる波形の電流(以下、速度変調電流ともいう)を流すと、図11(b)の下向き矢印で示すように垂直方向に沿う2極の速度変調磁界が発生する。この速度変調磁界は、ネック部49c内を管軸方向に沿って移動する電子ビーム59に対して、水平方向の力(偏向力)を作用させる。そのため、電子ビーム59の水平方向の走査速度は、速度変調磁界によって作用する力に応じて変調される。このとき、電子ビーム59の水平方向の走査速度は、表示画面上で輝度が大きく変化するところ、例えば白部分(明るい部分)と黒部分(暗い部分)の境界において、輝度の高い側(白側)では走査速度が瞬間的に遅く、輝度の低い側(黒側)では走査速度が瞬間的に速くなるように変調される。こうして速度変調された電子ビーム59は、上記サブ偏向ヨーク54及び主偏向ヨーク53で所定方向に偏向された後、赤色、緑色、青色のいずれかの単色蛍光面49a−2に投射される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような投射型陰極線管48は1本の電子ビーム59を放射するものであるが、これ以外にも、表示画像の輝度を向上させるために複数の電子ビームを放射するものが考えられる。複数の電子ビームを放射するタイプ(マルチビームタイプとも呼ばれる)のものでは、例えば2本の電子ビームで蛍光面の同じ位置を走査すると、蛍光体の輝度の飽和によって2倍の明るさが得られない。そのため、2本の電子ビームの走査位置を例えば垂直方向に10H(水平走査線数)程度の間隔でずらすことにより、蛍光体の輝度の飽和を回避して2倍の明るさが得られるようにしている。このように走査位置をずらして複数の電子ビームを放射するタイプのものでは、例えば図12に示すように2本の電子ビーム59A,59Bが垂直方向(上下方向)の異なる位置でネック部49c内を進行することになる。
【0009】
一方、速度変調コイル55は、上側のコイル57と下側のコイル58によってほぼ斉一に近い2極の速度変調磁界を形成するため、上述のように垂直方向の異なる位置で2本の電子ビーム59A,59Bがネック部49c内を進行するとなると、2本の電子ビーム59A,59Bが速度変調磁界によって同様に速度変調されることになる。これに対して、各々の電子ビーム59A,59Bの走査位置は、蛍光体の輝度の飽和を避けるために垂直方向に10H程度の間隔をあけて設定され、これに対応して各々の電子ビーム59A,59Bの映像信号も互いに10H程度のタイミングをずらして設定されている。そのため、2極の速度変調磁界で2本の電子ビーム59A,59Bを同様に速度変調するものでは、一方の電子ビーム(例えば、上側の電子ビーム59A)の映像信号に適したタイミングで速度変調磁界を形成すると、他方の電子ビーム(例えば、下側の電子ビーム59B)の映像信号では速度変調磁界が不適切なタイミングで作用し、結果的に明暗縞などの発生によって画質の劣化を招いてしまう。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、複数の電子ビームの走査速度をそれぞれ独立に変調することが可能な投写用陰極線管とこれを用いた投写型表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る投写用陰極線管は、電子銃から上下の位置関係で出射された複数の電子ビームを偏向ヨークの水平偏向磁界によって水平方向に偏向することにより、複数の電子ビームの各々を蛍光面上で水平方向に走査する投写用陰極線管であって、複数の電子ビームの各々を蛍光面上で水平方向に走査する際の走査速度を変調する速度変調磁界を発生し、かつ、速度変調磁界の磁界分布を上下非対称の6極以上の多極磁界とした速度変調コイルを備えるものである。また、本発明に係る投写型表示装置は、上記構成の投写用陰極線管を用いて構成されるものである。
【0012】
上記構成の投写用陰極線管とこれを用いた投写型表示装置では、複数の電子ビームの各々を蛍光面上で水平方向に走査する際の走査速度を変調する速度変調磁界を速度変調コイルで発生するにあたって、速度変調磁界の磁界分布を上下非対称の6極以上の多極磁界とすることにより、従来における2極磁界に比較して磁束密度を調整する際の自由度が高くなる。そのため、複数の電子ビームのうち、第1の電子ビームには速度変調磁界を強く作用させ、第2の電子ビームには速度変調磁界を作用させないように、速度変調磁界の磁束密度分布を調整することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明が適用される投写型表示装置の構成例を概略的に示すもので、(a)はその正面図、(b)はその側断面図である。図示した投写型表示装置1の前面側には映写スクリーン2が設けられている。また、投写型表示装置1の背面側には映写スクリーン2と対向するように反射ミラー3が設けられている。反射ミラー3は、映写スクリーン2と緑色画像用投写レンズ5Gとの間にその中心軸を一致させた状態で配置されている。レンズカプラ6は、緑色画像用投写レンズ5G、青色画像用投写レンズ5B、赤色画像用投写レンズ5Rを物理的に結合保持するものである。
【0015】
緑色画像用投写レンズ5Gは、緑色画像用の投写用陰極線管7Gの後述するパネル部フェースプレート12a−1(図2参照)の近傍に、これと中心軸を一致させた状態で対向状態に配置される。また、青色画像用投写レンズ5Bは、青色画像用の投写用陰極線管7Bのパネル部フェースプレート12a−1の近傍に、これと中心軸を一致させた状態で対向状態に配置され、赤色画像用投写レンズ5Rは、赤色画像用の投写用陰極線管7Rのパネル部フェースプレート12a−1の近傍に、これと中心軸を一致させた状態で対向状態に配置される。
【0016】
この投写型表示装置1では、緑色画像用の投写用陰極線管7Gのパネル部フェースプレート12a−1に表示された緑色画像、青色画像用の投写用陰極線管7Bのパネル部フェースプレート12a−1に表示された青色画像、赤色画像用の投写用陰極線管7Rのパネル部フェースプレート12a−1に表示された赤色画像といった3つの画像が、それぞれレンズカプラ6によって結合保持された対応する3色の投写レンズ5G,5B,5Rを通して集光及び拡大される。拡大された画像は、反射ミラー3を介して映写スクリーン2上に投写される。これにより、映写スクリーン2には、緑色、青色、赤色の3色の画像を重ね合わせたカラー画像が表示される。
【0017】
図2は各画像色(緑色画像、青色画像、赤色画像)に対応する投写用陰極線管7G,7B,7Rの構成例を示す側断面図である。なお、各画像色の投写用陰極線管7G,7B,7Rは、それぞれ表示する画像の色に応じて蛍光体の色が異なるものの、それ以外の構成は同様である。投写用陰極線管(7G,7B,7R)のガラス製のバルブは、パネル部12aと、このパネル部12aにフリットシールで接合されるファンネル部12bと、このファンネル部12bから一体に延出したネック部12cとから構成されている。ネック部12cには電子銃13が内蔵されている。この電子銃13は2つのカソードを有し、各々のカソードから独立に電子ビームを放射するものとなっている。一方、パネル部12aは、その前面にフェースプレート12a−1を有している。フェースプレート12a−1の内面には、単色(緑色、青色又は赤色)の蛍光面12a−2と、メタルバックとなるアルミニウム蒸着膜14が形成されている。アルミニウム蒸着膜14は、必要に応じて形成されるものである。
【0018】
ファンネル部12bの外周には、主偏向ヨーク15が装着されるとともに、主偏向ヨーク15よりネック部12c側にはコンバーゼンスヨーク兼用のサブ偏向ヨーク16と速度変調コイル17が装着されている。サブ偏向ヨーク16は、図1に示す映写スクリーン2上に現れる3色の画像の光学的な歪みを調整(補正)するためのものである。速度変調コイル17は、後述する速度変調装置の主要部となるもので、これはサブ偏向ヨーク16よりも電子銃13側に装着されている。速度変調装置は、速度変調コイル17と、この速度変調コイル17に速度変調電流を供給する電流供給回路(不図示)とを用いて構成されるものである。速度変調コイル17は、電子ビームを蛍光面上で水平方向に走査する際の走査速度(水平走査速度)を変調することにより、映像の輪郭部分(明暗のメリハリ)を強調し、表示画像の鮮鋭度を向上させるためのものである。これら主偏向ヨーク15、サブ偏向ヨーク16及び速度変調コイル17は一体化され、これによって磁束集束装置18が構成されている。
【0019】
一方、電子銃13は、垂直方向に位置をずらして配置された上下一対のカソード13A,13Bを有している。各々のカソード13A,13Bは独立に電子ビームを放出するものである。各々のカソード13A,13Bから放出された2本の電子ビームは、上下の位置関係、さらに詳しくは管軸に直交する垂直軸上で上下に位置がずれた状態で電子銃13から出射される。この電子銃13から出射された電子ビームは、速度変調コイル17で水平方向の走査速度が変調されるとともに、サブ偏向ヨーク16及び主偏向ヨーク15で所定方向に偏向された後、単色(緑色、青色又は赤色)の蛍光面12a−2に投射される。速度変調コイル17の構成については後段で詳しく説明する。
【0020】
図3は磁束集束装置18の側面拡大図である。磁束集束装置18は、主偏向ヨーク15、サブ偏向ヨーク16及び速度変調コイル17を一体化して構成されている。主偏向ヨーク15は、水平偏向コイル20と、垂直偏向コイル21と、偏向ヨークコア22と、セパレータ23とを用いて構成されている。水平偏向コイル20は、電子ビームを水平方向に偏向する水平偏向磁界を形成するもので、垂直偏向コイル21は、電子ビームを垂直方向に偏向する垂直偏向磁界を形成するものである。偏向ヨーク用コア22は、フェライト等の磁性体からなるもので、偏向コイル20,21を覆うように装着される。セパレータ23は、水平偏向コイル20と垂直偏向コイル21の間で電気的な絶縁作用をなすもので、このセパレータ23によって偏向コイル20,21と偏向ヨーク用コア22が一体に保持されている。また、セパレータ23は管軸方向で電子銃側に延出しており、この延出部分によりサブ偏向ヨーク16及び速度変調コイル17が保持されている。
【0021】
図4は蛍光面における2本の電子ビーム19A,19Bによる走査線の軌跡を説明する図である。図4において、上側の電子ビーム19Aは上述した上側のカソード13Aから放出されるもので、下側の電子ビーム19Bは、上述した下側のカソード13Bから放出されるものである。上側の電子ビーム19Aは、下側の電子ビーム19Bよりも少し遅れて(例えば垂直方向に2〜10H程度の間隔をあけて)蛍光面12a−2を走査する。ただし、水平方向では2本の電子ビーム19A,19Bの走査位置が完全に一致したものとなっている。この図4においては、2本の電子ビーム19A,19Bの走査位置が垂直方向に3Hずれた状態を示している。このように電子ビームの走査位置をずらす理由は、2本の電子ビーム19A,19Bで同時に蛍光面の同じ位置を走査すると蛍光体の輝度が飽和して2倍の明るさが得られず、各々の電子ビーム19A,19Bの走査位置を垂直方向に適度にずらすと2倍の明るさが得られるためである。
【0022】
図5は本発明の実施形態で採用した速度変調コイルの構成と磁束密度分布を示すもので、(a)は速度変調コイルの側面図、(b)は速度変調コイルの断面図、(c)は磁束密度分布をそれぞれ示している。図5(a),(b)に示すように、速度変調コイル17は、6つのコイル24A〜24Fによって構成されている。これら6つのコイル24A〜24Fは、セパレータ23から延出した保持筒23Aの外周部に巻線されている。さらに詳述すると、コイル24Aは、垂直軸Yを中心に保持筒23Aの上部(頂部)に位置するように巻線され、コイル24B,24Cは、管軸Zを中心とした円周方向でコイル24Aの両側に位置するように巻線されている。コイル24B,24Cの各巻線中心位置は、円周方向で水平軸X上の位置よりも若干上側に寄っている。コイル24D,24Eは、水平軸Xよりも下側に位置するように巻線され、コイル24Fは、垂直軸Yを中心に保持筒23Aの下部に位置するように巻線されている。
【0023】
これにより、管軸Zを中心とした円周方向では、コイル24Aがコイル24B,24Cの間に配置され、コイル24Fがコイル24D,24Eの間に配置されている。また、コイル24Bは、コイル24Aとコイル24Dの間に配置され、コイル24Cは、コイル24Aとコイル24Eの間に配置されている。これら6つのコイル24A,24Fの巻線位置(巻線分布)は、垂直軸Yを基準にほぼ線対称な位置関係となっている。また、円周方向における各コイルの巻線範囲を比較すると、コイル24Aの巻線範囲はコイル24Fの巻線範囲よりも大きく設定され、コイル24B,24Cの巻線範囲はコイル24D,24Eの巻線範囲よりも大きく設定されている。
【0024】
さらに、上述した6つのコイル24A〜24Fは、速度変調コイル17に速度変調電流が流れたときに、円周方向で隣り合うコイルが異なる磁極を形成するように、それぞれ巻線方向が設定されている。すなわち、図5(b)に示すように、コイル24AがN極を形成するときは、これに隣り合うコイル24B,24CがそれぞれS極を形成する。また、コイル24Bに隣り合うコイル24Dと、コイル24Cに隣り合うコイル24Eは、それぞれN極を形成し、コイルL24D,24Eに隣り合うコイル24EはS極を形成する。各々のコイル24A〜24Fが形成する磁極の極性は、速度変調コイル17に流れる速度変調電流の向きに応じて変化(反転)する。また、上寄りに配置されたコイル24A〜24Cは、下寄りに配置されたコイル24D〜24Fよりも強い磁界を形成する。さらに、コイル24B,24Cは互いに同じ強さの磁極を形成し、コイル24D,24Eも互いに同じ強さの磁極を形成する。
【0025】
これにより、6つのコイル24A〜24Fからなる速度変調コイル17に速度変調電流を流した場合に形成される速度変調磁界は、陰極線管の中心軸方向(管軸方向)から見て、上下方向では非対称でかつ左右方向では対称な6極磁界(多極磁界)となっている。このような上下非対称の6極磁界を採用することにより、上側の電子ビーム19Aには速度偏向コイル17による速度変調磁界を強く作用させ、下側の電子ビーム19Bには速度変調磁界を作用させないように、垂直軸Y上での磁束密度分布を適宜調整することができる。
【0026】
具体的には、図5(c)に示すように、2本の電子ビーム19A,19Bが上下の位置関係で通過する垂直軸上(Y軸上)において、上側の電子ビーム19Aが通る位置で磁束密度が非常に高く、下側の電子ビーム19Bが通る位置では磁束密度がほぼゼロの状態が得られる。特に、速度変調磁界を上下非対称の6極磁界とした場合は、各磁極での磁力の強弱によって磁束密度を調整する際の自由度が高くなる。そのため、下側の電子ビーム19Bに作用する磁界が垂直軸上で互いに打ち消し合うように、各コイルの巻線状態(円周方向での巻線領域、巻線ターン数など)を調整することにより、電子ビーム19Bのビーム径全域にわたって磁束密度がほぼゼロのフラットな状態が得られる。
【0027】
したがって、速度変調コイル17が発生する速度変調磁界を上下非対称の6極磁界とした場合は、下側の電子ビーム19Bの走査速度を変調させることなく、上側の電子ビーム19Aの走査速度だけを変調させることができる。また、上記6つのコイル24A〜24Fの巻線位置を円周方向で180°ずらすことで、各々のコイルの位置関係を上下反転させた場合は、上側の電子ビーム19Aの走査速度を変調させることなく、下側の電子ビーム19Bの走査速度だけを変調させることができる。
【0028】
その結果、2つの電子ビーム19A,19Bの各々に対応する2つの速度変調コイル17、すなわち6つのコイル24A〜24Fの巻線位置を円周方向で互いに180°ずらした2つの速度変調コイル17を用いることにより、2本の電子ビーム19A,19Bの走査速度をそれぞれ独立に変調することが可能となる。よって、電子ビーム19Aの映像信号に同期した速度変調電流を一方の速度変調コイル17に供給するとともに、電子ビーム19Bの映像信号に同期した速度変調電流を他方の速度変調コイル17に供給することにより、各々の電子ビーム19A,19Bの走査速度をそれぞれ適切なタイミングで変調することができる。したがって、表示画像の画質を劣化させることなく、輝度の向上と鮮鋭度の向上を同時に実現することが可能となる。
【0029】
また、2つの速度変調コイル17を用いる場合に、それら2つの速度変調コイルを管軸方向の同じ位置に巻線すると、コイル同士が重なって磁気的に結合した状態となる。そのため、2つの速度変調コイル17の間で磁気結合による誘導が起こる。実際の動作時には、一方の速度変調コイルに速度変調電流を供給したときに、磁気結合による誘導によって他方の速度変調コイルに電流が流れる現象、すなわちクロストークが問題となる。このクロストークは、各々の電子ビーム19A,19Bの走査速度を独立に変調する際の妨げとなる。
【0030】
そこで本実施形態においては、図6(a)に示すように、上側の電子ビーム19Aの水平方向の走査速度を変調する第1の速度変調コイル17−1と、下側の電子ビーム19Bの水平方向の走査速度を変調する第2の速度変調コイル17−2を、互いにコイルの巻線位置が重ならないよう、管軸Z方向に位置をずらして配置することとした。
【0031】
第1の速度変調コイル17−1は、図6(b)に示す6つのコイル24A−1〜24F−1によって構成されるもので、第2の速度変調コイル17−2は、図6(c)に示す6つのコイル24A−2〜24F−2によって構成されるものである。第1の速度変調コイル17−1と第2の速度変調コイル17−2では、6つのコイルの巻線位置が円周方向で180°ずれたものとなっている。
【0032】
このように管軸Z方向に位置をずらして2つの速度変調コイル17−1,17−2を配置(巻線)することにより、コイル同士が磁気的に結合することがないため、実動作時でのクロストークの発生を回避することができる。したがって、2つの電子ビーム19A,19Bの走査速度を精度良く変調することができる。
【0033】
なお、上記実施形態においては、6つのコイルによって速度変調コイルを構成することにより、速度変調磁界を上下非対称の6極磁界としたが、本発明はこれに限らず、例えば図7に示すように、円周方向に配置した8つのコイル25A〜25Hによって速度変調コイルを構成することにより、速度変調磁界を上下非対称の8極磁界とすることも可能であり、また図示はしないが上下非対称の10極磁界とすることも可能である。すなわち、本願発明においては、速度変調磁界として上下非対称の6極以上の多極磁界を採用することにより、垂直軸上での磁界の相互作用によって図5(c)のような磁束密度分布を得ることができる。また、上下非対称の6極磁界は、例えば図5(b)におけるコイル24Fを無くして、そこを仮想的な磁極として存在させることにより、5つのコイルを用いて形成することも可能である。
【0034】
図8は速度変調磁界を上下非対称の6極磁界とした場合と8極磁界とした場合に得られた磁束密度分布のシミュレーション結果を示すものである。この図8からも分かるように、複数の電子ビームが上下の位置関係で配置されるY軸上では、一方の電子ビーム(例えば上側の電子ビーム19A)の通過位置(0.0005目盛り付近)で磁束密度が高くなっているのに対し、他方の電子ビーム(例えば下側の電子ビーム19B)の通過位置(−0.005目盛り付近)で磁束密度がほぼゼロのフラットな状態が得られている。
【0035】
また、上記実施形態においては、セパレータ23から延出した保持筒23Aに複数のコイルを巻線して速度偏向コイルを構成するものとしたが、これ以外にも、例えばポリイミドフィルム等を基材としたフレキシブル基板に渦巻き状の導体パターンによって複数のコイルを形成し、このコイル付きのフレキシブル基板をネック部に巻き付けて速度変調コイルを構成するものとしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、速度変調コイルが発生する速度変調磁界の磁界分布を上下非対称の6極以上の多極磁界とすることにより、磁束密度を調整する際の自由度が高くなるため、その磁束密度分布を適宜調整することにより、複数の電子ビームの走査速度を独立に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される投写型表示装置の構成例を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る投写用陰極線管の構成例を示す側断面図である。
【図3】磁束集束装置の側面拡大図である。
【図4】蛍光面における2本の電子ビームによる走査線の軌跡を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態で採用した速度変調コイルの構成と磁束密度分布を示す図である。
【図6】複数の速度変調コイルを用いた場合のコイル配置状態を説明する図である。
【図7】速度変調磁界を8極磁界とした場合の速度変調コイルの構成例を示す断面図である。
【図8】速度変調磁界を上下非対称の6極磁界とした場合と8極磁界とした場合に得られた磁束密度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】投写型表示装置の要部の概略構成を示す説明図である。
【図10】投写型表示装置に用いられる投写用陰極線管の構成例を示す断面図である。
【図11】従来の速度変調コイルの構成を示す図である。
【図12】2本の電子ビームの走査速度を2極の速度変調磁界で変調するときの状態を示す図である。
【符号の説明】
1…投写型表示装置、7G,7B,7R…投写用陰極線管、13…電子銃、12a−2…蛍光面、15…主偏向ヨーク、17,17−1,17−2…速度変調コイル、19A,19B…電子ビーム、24A〜24F,24A−1〜24F−1,24A−2〜24F−2,25A〜25H…コイル

Claims (4)

  1. 電子銃から上下の位置関係で出射された複数の電子ビームを偏向ヨークの水平偏向磁界によって水平方向に偏向することにより、前記複数の電子ビームの各々を蛍光面上で水平方向に走査する投写用陰極線管であって、
    前記複数の電子ビームの各々を蛍光面上で水平方向に走査する際の走査速度を変調する速度変調磁界を発生し、かつ、前記速度変調磁界の磁界分布を上下非対称の6極以上の多極磁界とした速度変調コイルを備える
    ことを特徴とする投写用陰極線管。
  2. 前記複数の電子ビームの各々に対応する複数の速度変調コイルを備えるとともに、前記複数の速度変調コイルを陰極線管の中心軸方向に位置をずらして配置してなる
    ことを特徴とする請求項1記載の投写用陰極線管。
  3. 電子銃から上下の位置関係で出射された複数の電子ビームを偏向ヨークの水平偏向磁界によって水平方向に偏向することにより、前記複数の電子ビームの各々を蛍光面上で水平方向に走査する投写用陰極線管を用いた投写型表示装置であって、
    前記投写用陰極線管は、前記複数の電子ビームの各々を蛍光面上で水平方向に走査する際の走査速度を変調する速度変調磁界を発生し、かつ、前記速度変調磁界の磁界分布を上下非対称の6極以上の多極磁界とした速度変調コイルを備える
    ことを特徴とする投写型表示装置。
  4. 前記投写用陰極線管は、前記複数の電子ビームの各々に対応する複数の速度変調コイルを備えるとともに、前記複数の速度変調コイルを陰極線管の中心軸方向に位置をずらして配置してなる
    ことを特徴とする請求項3記載の投写型表示装置。
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