JP2004080266A - デバイス特性記述データ作成プログラム、および画像処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デバイスに依存しない色空間のデータから、デバイスに依存する色空間のデータを得るためのICCプロファイルを作成するときに、トナーの削減レベルを入力する(S111)。そのデータに基づいて、デバイスに依存しない色空間のデータから、色差が特定の範囲内であり、かつトナーの使用量が最小となるようにデバイスに依存する色空間のデータを求め、それによりICCプロファイルを作成する(S109)。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
この発明はデバイス特性記述データ作成プログラムおよび画像処理システムに関し、特に色材の使用量を減少させることができるデバイス特性記述データ作成プログラムおよび画像処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年発売されているカラープリンタの多くが、ICC(International Color Consortium)規格のカラーマッチングをサポートしている。これは、プリンタからは独立した色体系(たとえば、Lab色空間やXYZ色空間)と、プリンタに従属する色体系(たとえばCMYK色空間)とを対応付けるルックアップテーブル(ICCプロファイルともいう)を用いて、入力信号に対するトナーやインクの配合を決定するものである。
【0003】
当該ルックアップテーブルに記載されるデータは、装置に特有の色特性を記述するデータとなるため、「デバイス特性記述データ」と呼ばれる。
【0004】
図18は、デバイス特性記述データの作成処理を説明するためのフローチャートである。
【0005】
図18を参照して、ステップS501で、CMYKの各種データに基づいて、プリンタで複数の色の出力を含むカラーパッチを印刷する。ステップS503で、測色計などを用いることにより、印刷されたカラーパッチの測色が行なわれる。これにより、各カラーパッチのLab値が測定される。
【0006】
ステップS505において、印刷に用いられたCMYK値(理論データ)とLab値(測定データ)との対比表が作成される。この表の中の値は、予め決められたCMYK値に対するLabの測定値を記載するものである。ステップS509で、Lab値に対するCMYK値を求めるための対比表を作成する(対比表データの反転)。
【0007】
また、Lab値からCMYK値を求めるための対比表の作成において、そのデバイスの制限情報を入力する(ステップS507)。これは、たとえば定着能力を超えるほどのトナーが使用されるような対比表が作成されることを防ぐための情報である。ステップS511で、ステップS509で作成された対比表を含むデータがデバイス特性記述データとして出力される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ネットワーク対応のカラープリンタの普及が進んでおり、1台のプリンタを複数のユーザで共有するケースが多く見られる。また、一方でコスト対策や環境問題対応から、トナーの使用量を減らすべくトナー節約モードを持つプリンタも考えられている。
【0009】
レーザプリンタを例に挙げると、このようなトナー節約モードが選択されたときの処理として、以下のような動作をさせることが考えられる。
【0010】
(1) レーザによるスキャンを間引くことで、トナーの使用量を抑える。
(2) チャージのためのバイアス電位を低くし、プリント画像全体の色を薄くすることで、トナーの使用量を抑える。
【0011】
上述のように、トナー節約モードが設定された場合の処理は、処理速度の低下が生じたり、処理の負担が増えることを防ぐため、ハードウェア回路により行なわれる。したがって、どのトナーをどの程度減らすかをユーザがコントロールし難いという問題がある。
【0012】
特に、多くのユーザが1台のプリンタをネットワークで共有する場合には、すべてのユーザの要望を満たすことが難しい。
【0013】
この発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、色材の使用量を削減させることができ、かつ処理の負担が少ないデバイス特性記述データ作成プログラムおよび画像処理システムを提供することを目的としている。
【0014】
さらにこの発明は、ユーザの好みの色材使用量の削減を行なうことが可能な画像処理システムを提供することを目的としている。
【0015】
さらにこの発明は、色材使用量に基づいてデバイス特性記述データを変更することが可能な画像処理システムを提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、デバイス特性記述データ作成プログラムは、所定の色材を用いて印刷されたパッチを測定することにより得られる測定データに基づいて、装置独立色と装置従属色とを関連付けるデバイス特性記述データを作成するようにコンピュータを動作させるプログラムであって、所定の装置独立色に対応した装置従属色を決定する際に、所定の装置独立色に対する色差が所定範囲内であり、かつ色材使用量ができるだけ少なくなる装置従属色を探索することを特徴とする。
【0017】
この発明に従うと、所定の装置独立色に対する色差が所定範囲内であり、かつ色材使用量ができるだけ少なくなる装置従属色が探索され、デバイス特性記述データが作成される。これにより、デバイス特性記述データを用いて色材の使用量の削減を行なうことができるため、処理の負担を少なくしながら色材使用量の削減を行なうことが可能なデバイス特性記述データ作成プログラムを提供することが可能となる。
【0018】
この発明の他の局面に従うと、画像処理システムは、同一の入力データに対して所定の色差範囲内で異なる色材使用量となるデータを出力するための、複数のデバイス特性記述データを記憶する記憶手段と、記憶された複数のデバイス特性記述データの1つを使用して入力データを出力データに変換する変換手段と、通常モードと、通常モードよりも色材使用量を削減する削減モードとを切換えるモード切換手段と、モード切換に応じて、変換手段で使用するデバイス特性記述データを切換えるデータ切換手段とを備える。
【0019】
この発明に従うと、複数のデバイス特性記述データが記憶され、モードの切換に応じて使用されるデバイス特性記述データが切換えられる。これにより、処理の負担を少なくしながら、色材使用量の削減を行なうことが可能な画像処理システムを提供することが可能となる。
【0020】
また、モードの切換えをユーザの入力に基づいて行なうようにすると、ユーザの好みに応じた色材使用量の削減を行なうことが可能な画像処理システムを提供することが可能となる。
【0021】
好ましくは画像処理システムは、色材使用量を入力する手段をさらに備え、モード切換手段は、入力された色材使用量に応じて自動的にモードを切換える。
【0022】
この発明に従うと、色材使用量の入力に基づいて自動的にモードが切換えられるため、ユーザにとって使い勝手のよい画像処理システムを提供することが可能となる。
【0023】
この発明の他の局面に従うと、画像処理システムは、デバイス特性記述データに基づいて入力データを出力データに変換する変換手段と、色材使用量を入力する入力手段と、入力された色材使用量に基づいて、デバイス特性記述データを変更する変更手段とを備える。
【0024】
この発明に従うと、色材使用量の入力に基づいてデバイス特性記述データが変更される。これにより、少ない処理負担で、色材使用量の入力に基づいて色材使用量を変更することが可能な画像処理システムを提供することが可能となる。
【0025】
好ましくは、変更手段は、入力された色材使用量に基づいて、使用量が多い色材の使用量が小さくなるように、デバイス特性記述データを変更する。
【0026】
この発明に従うと、使用量が多い色材の使用量が小さくなるようにデバイス特性記述データが変更されるため、よりユーザにとって使い勝手のよい画像処理システムを提供することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における画像処理システム、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムなどの構成について説明する。
【0028】
近年、多くのカラープリンタが、ICC規格のカラーマッチングをサポートしている。本実施の形態においては、このカラーマッチングの仕組みを利用してバラエティに富んだトナー節約モードをユーザに提供することとしている。
【0029】
[第1の実施の形態]
[ハードウェア構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像処理システム(画像処理装置)の構成を示すブロック図である。
【0030】
図を参照して、画像処理システムは、装置全体の制御を行なうCPU601と、プリンタ603と、ディスプレイ605と、ネットワークに接続された外部機器と通信を行なうためのLAN(Local Area Network)カード607(またはモデムカード)と、キーボードやマウスなどにより構成される入力装置609と、フレキシブルディスクドライブ611と、CD−ROMドライブ613と、ハードディスクドライブ615と、RAM617と、ROM619と、読取装置(スキャナ)621とを備えている。
【0031】
後述するフローチャートに示される、CPU(コンピュータ)601を駆動させるためのプログラムは、フレキシブルディスクFやCD−ROM613aなどの記録媒体に記録することができる。このプログラムは、記録媒体からRAMその他の記録媒体に送られ、記録される。なお、プログラムはハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供するようにしてもよい。また、インターネットなどのネットワークを介して外部のサイトなどによりそのようなプログラムをコンピュータなどの装置にダウンロードして実行させるようにしてもよい。
【0032】
図2は、図1のプリンタ603のハードウェア構成を示すブロック図である。図を参照して、プリンタ603は、装置全体の制御を行なうCPU201と、プリントを行なうためのプリントエンジン203と、ユーザからの入力を受付ける入力パネル205と、表示を行なうための表示部207と、外部より画像データを入力するためのインターフェイス209と、データを一時保存するRAM211と、プログラムや定数などを記録するROM213と、プリントエンジン203のCMYKそれぞれのトナーの残量を検出するトナー量センサ203aとから構成される。
【0033】
また、本発明をネットワークに接続されたコンピュータやプリンタなどにより実施することも可能である。
【0034】
図3は、ネットワークにより構成された本発明の実施の形態の1つにおける画像処理システムの構成を示す図である。
【0035】
画像処理システムは、CPUを中心として構成され、システム全体を制御する制御装置1と、画像あるいは文字などを表示し、操作のための各種表示などを行なうディスプレイ2と、各種入力、指示操作などを行なうためのキーボード3およびマウス4と、画像データまたは画像編集により作成された図面などを出力するためのプリンタ603とから構成され、それぞれの機器は、ネットワークにより接続される。
【0036】
[ソフトウェア構成]
図4は、図1〜3の画像処理システムにおけるデータの流れを示す図である。
【0037】
図を参照して、画像処理システムの記録装置に記録されたアプリケーション101から、プリンタドライバ103に対して画像データが送られる。そして、色変換処理が行なわれた後、プリンタドライバ103からプリンタ603に対して画像データが送られる。
【0038】
図5は、図4のプリンタドライバ103のより詳しい構成を示す図である。
図を参照して、アプリケーション101の出力はRGBデータ103aである。このデータに対して、プリンタドライバ103内に含まれる色変換エンジン103bにより色変換処理(カラーマッチング)が行なわれ、CMYKデータ103cが作成される。CMYKデータ103cは、プリンタ603へ送られ、ここでプリントが行なわれる。
【0039】
また、色変換エンジン103bにおける色変換処理においては、プリンタ603の特性に合わせたデバイス特性記述データ103dが参照される。
【0040】
なお、この実施の形態においては、デバイス特性記述データ103dとして、業界で一般的に用いられているICCプロファイルを用いることとしているが、他の種類の色変換を行なうためのデータをデバイス特性記述データ103dとして用いてもよい。また、色変換エンジン103bの調整に関しては、ICCプロファイルの規格に従ったものであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0041】
図6は、本実施の形態におけるデバイス特性記述データ103dの作成処理を示す図である。
【0042】
図を参照して、ステップS1において、CMYKの各種データに基づいて、プリンタ603で複数の色の出力を含むカラーパッチを印刷する。ステップS2で、測色計などを用いることにより、印刷されたカラーパッチの測色が行なわれる。これにより、各カラーパッチのLab値が測定される。
【0043】
ステップS3において、CMYK各種データに対応したLab測定値の対応表が作成される。
【0044】
ステップS4において、ステップS3で作成された対応表に基づいて、全色空間に対して、所定のLabデータに対応したCMYKデータの探索表が作成される。
【0045】
ステップS5において、ステップS4で作成された探索表が、Lab値に対応したCMYKのルックアップテーブルの形に整形され、これがデバイス特性記述データとされ、処理を終了する。
【0046】
また、ステップS4における詳細な処理として、図6の右部分のステップS4−1からステップS4−6に渡る処理が行なわれる。
【0047】
すなわちステップS4−1において、Lab色空間における探索すべき1点の特定が行なわれる。ステップS4−2において、Labデータの特定が行なわれ、ステップS4−3で、ステップS3で作成された対応表が参照され、特定されたLabデータに近い値を持つLab値が1つ選択される。そして、選択されたLab値に対応するCMYKデータを取り囲むCMYKデータから最小立方体が作成され、その立方体の中でS4−2で特定されたLabデータに対応するCMYKデータが探索される。
【0048】
ステップS4−4で補完を行なうことで、ステップS4−2で特定されたLabに対するCMYKデータを複数作成し、色リストとする。
【0049】
ステップS4−5で、色リストの中から所定の条件を満足する色が選択されることで、ステップS4−6でCMYKの値が決定される。
【0050】
なお、ステップS4−1〜4−6での処理は、必要なLabデータのすべてに対して行なわれる。
【0051】
図7は、図6のステップS4−5での処理について説明するための図である。従来、Lab値に対するCMYK値を選ぶときに、最も似通った色を選ぶ必要性から、色差が最小という制約条件により自動的に選択を行なっていた。
【0052】
しかしながら、本実施の形態においては、色差が最小という制約条件を外し、色差が所定の範囲内であり、かつCMYKのトナーの使用量が最小となることを制約条件としてCMYK値を選択するようにしている。すなわち、本実施の形態においては、トナーの使用量をセーブするようにデバイス特性記述データが作成される。
【0053】
一般に、従来のトナー節約モードでは、一律に色を削ったり、バイアス電圧を変更させることで画一的にトナーの節約を行なうようにハードウェアが構成されていた。その結果、当該モードが選択されることで大きく色が変わったりすることがあった。また、トナー節約モードを搭載するためには、ハードウェアに何らかの変更を加える必要があった。しかしながら、本実施の形態においては、ハードウェアに何ら手を加えることなく、ユーザが任意に色差の範囲を調節することでトナーの節約の程度を変更することができる画像処理システムを提供することができる。
【0054】
なお、本実施の形態における「CMYKのトナー使用量を最小とする」という制約条件を、CMYK全般としてのトナー使用量を最小にするように設定してもよいし、CMYKのいずれかの特定の色のトナーの使用量が最小となるように設定してもよい。また、使用量を小さくしたいトナーに優先順位をつけてもよい。
【0055】
このような設定は、図8に示されるような画面を表示し、ユーザからの入力を受付けることで行なうことができる。
【0056】
また、図18のステップS507で示されたデバイスの制限情報を制約条件に付加してもよい。
【0057】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2実施の形態における画像処理システムによるデバイス特性記述データ103dの作成手順を示すフローチャートである。
【0058】
図を参照して、ステップS101〜S105での処理は、図18におけるステップS501〜S505での処理と同じであるため、ここでの説明は繰返さない。また、図9におけるステップS107およびS115での処理も、図18におけるステップS507およびステップS511での処理と同じであるため、ここでの説明は繰返さない。
【0059】
図9においては、ステップS109において対比表のデータの反転処理が行なわれるが、このときステップS109でデバイスの制限情報が入力されるとともに、ステップS111で図10に示されるような画面が表示され、ユーザからトナーの削減レベルが入力される。この情報によって、色合わせ精度とトナーの削減量との重み付けが変更される。すなわち、ユーザは色合わせ精度とトナーの削減量とのどちらををどれだけ優先させるか決定することができる。また、ステップS113では、ステップS109で作成された対比表データを使って実際に色変換を行ない、プレビューを表示することでユーザに対し確認を求める。図示しないユーザ入力によって、ステップS117でフィードバックを行ない、必要であれば対比表データの反転において再計算を行なう。
【0060】
データは、最終的にはステップS115で、プリンタなどのデバイスが読込むことができるICCプロファイルなどの形式で出力される。また、本実施の形態においては、ここでICCプロファイルの規格に従い、データ形式の独自タグを利用して、ステップS105で得られた測定データに関する対比表をICCプロファイルに埋込むものとする。こうすることで、必要に応じて将来、再度トナー削減レベルを変化させて対比表の作成を行なうことが可能となる。
【0061】
このようにして、本実施の形態においては、ステップS111でトナー削減レベルを入力し、それに基づいてデバイス特性記述データを作成することができるため、ユーザの好みに応じたトナーの削減レベルでデバイス特性記述データを作成することが可能となる。
【0062】
また、ユーザに対してプレビューを出力し、確認を行うことで、ユーザの所望する色が出力されないなどといったトラブルが生じることを極力防ぐことができる。
【0063】
なお、ステップS111におけるトナーの削減レベルはトナー量センサ203a(図2)の出力に基づいて自動的に決定するようにしてもよい。すなわち、トナーの残量が少なくなるごとに、削減レベルを大きくし、トナーの消費を少なくするものである。
【0064】
また、トナー削減レベルは、すべてのトナーを対象とした1つのレベルとして設定するようにしてもよいし、CMYKのトナーのそれぞれに対してのトナー削減レベルを設定するようにしてもよい。
【0065】
[第3の実施の形態]
図11は、本発明の第3の実施の形態における画像処理システムによるデバイス特性記述データ103dの作成手順を示すフローチャートである。
【0066】
図を参照して、本実施の形態における処理は基本的には図9に示されるフローチャートの処理と同じであるが、色材節約モード用のデバイス特性記述データを作成する際に、現状のプリンタの色材消費量の情報をトナー量センサ203a(図2)などにより入力し、その情報から、最も残り少ないトナーの消費が少なくなるデバイス特性記述データを作成することを特徴としている。
【0067】
具体的には、図11のステップS112では、消費量を抑えたいトナーをトナー量センサ203aの入力に基づき特定する。これに基づき、ステップS109では指定されたトナーの消費が少なくなるようにデバイス特性記述データが作成される。
【0068】
たとえば図3に示されるシステムでは、制御装置1に記録されたデバイス特性記述データ作成プログラムが、SNMPプロトコルを使ってネットワークに接続されたプリンタ603と通信を行ない、MIB情報を利用してトナー残留を取得し、予め定められたしきい値と比較の上で、使用量を減らすべきトナーを自動的に指定することで図11のステップS112の処理を実現することができる。
【0069】
また、ステップS112でのトナーの特定は、上述のようにセンサの出力に基づいて自動的に行ってもよいが、ユーザの手動で行うようにしてもよい。図12は、使用量を減らすべきトナーの手動による入力画面を示す図である。
【0070】
[第4の実施の形態]
図13は、第4の実施の形態における画像処理システムでのデータの流れを示す図である。なお、この図は第1の実施の形態における図5に対応している。
【0071】
本実施の形態においてはデバイス特性記述データを作成する際に、ICC規格に従って、そのデバイス特性記述データにトナー節約モードを示すタグを埋込んでおく。そして、デバイス特性記述データを読込むプリンタドライバ103で当該タグの検出処理を行う。トナー節約モードを示すタグが検出された場合、トナー節約モードでプリント可能であることを示す表示を行ない、ユーザにトナー節約モードを使用するかどうかの選択肢を提供する。
【0072】
具体的には図13を参照して、色変換エンジン103bの判定部103eにおいてトナー節約モードを示すタグが存在するかを調べることで、トナー節約モードであるかどうかの判断を行ない、YESである場合にはユーザに対して表示を行ない、ユーザにトナー節約モードを使用するかどうかの選択肢を提供する。これにより、ユーザはトナー節約モードを適宜選択することができ、トナー節約モードで印刷中であることを常に意識することができる。また、環境問題対策などとして、組織的にトナー節約に取組んでいる場合、第三者が容易にそれをチェックすることができるという効果もある。
【0073】
勿論、デバイス特性記述データを読込むドライバがプリンタ本体にある場合も、プリンタに設けられたLEDの点灯やLCDなどで同様の表示を行なうことができる。
【0074】
[第5の実施の形態]
ネットワークに接続されたプリンタを複数のユーザで使用する場合において、ネットワーク上に複数のユーザグループがある場合、それぞれのグループごとに、画像の品質とトナー消費に関する優先順位の要望が異なる場合がある。
【0075】
たとえば、1つのフロアにAおよびBの2つのグループが存在する場合を想定する。Aは広報活動に従事するグループであり、プリンタへの要求は、例えばコーポレートカラーがブルーであるとして、ブルーを多用した印刷をきれいに行なうことであるものとする。このようなグループが作成した印刷物は、社外に配布することも多く、画質が重視される傾向にある。一方、Bは総務グループであり、社内へ配布する資料の作成が主なプリンタの用途であり、画質に対する要求も高くないものとする。また、グループBではカラーよりもモノクロ印刷の割合が高いものとする。
【0076】
本実施の形態においては、グループAで使用されるプリンタドライバのデバイス特性記述データとして、画質優先の設定が行なわれる。一方グループBのデバイス特性記述データには、グループAで多く消費されると予想されるシアントナーの使用量を抑えた、トナーの節約重視の設定が行なわれる。
【0077】
このようにして、複数のグループで画質かトナーの節約かに優先順位を設け、各々のグループに適切なトナー節約の重みを配分することで、業務に支障を与えることなくトナーの消費を抑えることができる。また、トナーの交換時期が各色材ごとにばらばらになることを防ぐことができるため、トナー交換作業を一度ですますことができるという効果もある。
【0078】
なお、本実施の形態の場合、各グループに配布するデバイス特性記述データを単独でメンテナンスすると全体のトナー消費のバランスが崩れるため、ICCの独自タグの規定などに沿って、互いに関連付けを行ない管理することが望ましい。また、プリンタ自体がICCプロファイルを解釈する場合(PSプリンタなど)は、プリンタ内部でICCプロファイルの管理を行なうことが望ましい。一方、プリンタ自身がプロファイルを解釈しない場合はプリンタサーバなどでICCプロファイルの管理を行なうことが望ましい。
【0079】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態における画像処理システムにおいては、プリンタ内で複数のデバイス特性記述データを保持し、トナー量センサによるトナー残量の出力に基づいて、自動的にデバイス特性記述データを切換えて使用する。すなわち、残量の少ないトナーの使用量が少なくなるようにデバイス特性記述データを切換えることで、トナーの節約が行なわれる。
【0080】
具体的には、トナーの残量が予め定められた値以下となった場合において、プリンタコントローラの設定が「自動トナー節約モードON」の場合、デバイス特性記述データの独自タグ内に記載された色測定データを用いて、残り少なくなったトナーの使用量を減らす設定でデバイス特性記述データが再計算される。これにより、特定のトナーの消費量を減らすことができる。また、再計算をトナーの残量が少なくなったときに行うのではなく、予め複数のデバイス特性記述データを装置に記録させておいて、所望のものを選ぶようにしてもよい。
【0081】
図14は、第6の実施の形態における画像処理システムでトナーの残量が少ないことがセンサにより検出されたときの処理を示す図である。
【0082】
図を参照して、ステップS301でトナーの残量が少ないと検出された場合には、ステップS303で自動節約モードが設定されているかが判定される。YESであれば、ステップS305でトナーの残量が少ない色材を特定し、ステップS307でデバイス特性記述データの再計算(または記録された複数のデバイス特性記述データからの選択)を行なう。
【0083】
そして、ステップS311でそのデバイス特性記述データを色変換エンジンにセットし、ステップS309でユーザに対してトナーが少なくなり、トナー節約モードが選択された旨の通知を行なった後、通常の動作を行なう。
【0084】
一方、ステップS303でNOであれば、ステップS309においてユーザに対してトナーの残量が少なくなった旨の通知を行ない、通常の動作を行なう。
【0085】
図15および図16は、本実施の形態で使用される画像処理システムでのデバイス特性記述データの作成処理を示すフローチャートであり、図6のフローチャートに対応する図である。
【0086】
図15を参照して、ステップS1〜S5での処理は、図6と同様であるためここでの処理を繰返さない。
【0087】
図15においては、ステップS5での処理の後、ステップS7でルックアップテーブルとγテーブルとにより構成されるルックアップ項目データが作成される。その後、ステップS8で基本ヘッダ項目(IDとコード番号)が作成される。ここで、各種の識別コードが生成されることとなる。
【0088】
ステップS9において、独自タグ項目が作成される。これは、具体的にはステップS2、S3で得られた測定データを整形してバイナリデータを生成するものである。これにより測定データを書込む準備が行なわれる。そして、ステップS10でファイルへ各データの書出が行なわれ、ここでの処理を終了する。
【0089】
本実施の形態においてはICCプロファイルにステップS2、S3で作成される対応表が記録されるため、再計算としてステップS4からの処理をいつでも実行することができる。これにより、必要な特性を有するプロファイルをいつでも作成することが可能となる。
【0090】
[第7の実施の形態]
図17は、本発明の第7の実施の形態におけるプリンタの構成を示すブロック図である。
【0091】
図を参照して、プリンタはそのコントローラとして、画像データ(RGB)を入力してハーフトーン処理を行なうハーフトーン処理部301と、プロファイルを用い、入力データをCMYKデータへ変換する変換部303と、プロファイルを選択するプロファイル選択部305と、プロファイルを複数記憶するプロファイル記憶部306と、装置に設定されているモードを判定するモード判定部308と、センサからトナーの残留データを入力するトナー残留データ入力部311と、トナー残留データに基づいて後述する節約モード2用プロファイルを修正するプロファイル修正部309とを備えている。
【0092】
また、プリンタは変換部303の出力である印字データ(CMYK)に基づいてプリントを行うエンジン313を備えている。
【0093】
プロファイル記憶部306は、複数のプロファイルを記憶する。ここでは3つのプロファイルである標準モード用プロファイル、節約モード1用プロファイル、および節約モード2用プロファイルが記録されるものとする。
【0094】
プロファイル選択部305は、プロファイル記憶部306と適宜交信して必要なプロファイルを選択する。
【0095】
ユーザは、トナーを節約しない標準モード、予め決められた条件でトナーを節約する節約モード1、およびトナー残量に基づいて残量の少ないトナーの使用量が少なくなるようにプロファイルを修正する節約モード2を入力パネルなどにより選択することが可能である。この選択に基づき、モード判定部308は設定されているモードを判定する。
【0096】
モード設定をプリンタ側で行なう場合には、プリンタの操作パネル上に3つのモードの選択キーが設けられる。一方、モード設定をパソコンなどのドライバ上で行なう場合は、ドライバの設定画面で3つのモードが選択可能とされる。
【0097】
プロファイル選択部305は、トナー節約モードであるかどうかの情報に基づいて、最適なプロファイルを選択し、変換部303に対して出力する。
【0098】
プロファイル修正部309は、トナー残量データに基づいて、残量の少ないトナーの使用量が少なくなるように、節約モード2用のプロファイルを修正する。
【0099】
本実施の形態によると、ユーザはトナー節約と画質のニーズに合わせて所望のプロファイルを選択し、所望の設定でプリンタを動作させることが可能となる。
【0100】
なお、本実施の形態においてはプリンタ本体のコントローラにプロファイル選択機能などを設けさせているが、プリンタに接続されているパソコン上のドライバに同様の機能を持たせるようにしてもよい。すなわち、ICCプロファイルなどのデバイス特性記述データは、ユーザのパーソナルコンピュータなどに記憶させ、そこで色変換処理を行なうようにしてもよいし、プリンタ側に記憶させ、そこで色変換処理を行なうようにしてもよい。
【0101】
また、ネットワーク環境においては、データの送信元のIPアドレスに基づいて、プリンタ側でそのIPアドレスに対応するデバイス特性記述データを選んで処理を行なうようにしてもよい。
【0102】
また、本発明の他の実施の形態として以下の構成が可能である。
(1) 所定の色材を用いて印刷されたパッチを測定することにより得られる測定データに基づいて、装置独立色と装置従属色とを関連付けるデバイス特性記述データを作成するデバイス特性記述データ作成方法において、
所定の装置独立色に対応した装置従属色を決定する際に、所定の装置独立色に対する色差が所定範囲内であり、かつ色材使用量ができるだけ少なくなる装置従属色を探索することを特徴とする、デバイス特性記述データ作成方法。
【0103】
(2) 同一の入力データに対して所定の色差範囲内で異なる色材使用量となるデータを出力するための、複数のデバイス特性記述データの1つを使用して入力データを出力データに変換する変換ステップと、
通常モードと、前記通常モードよりも色材使用量を削減する削減モードとを切換えるモード切換ステップと、
前記モード切換に応じて、前記変換ステップで使用するデバイス特性記述データを切換えるデータ切換ステップとを備えた、画像処理方法。
【0104】
(3) デバイス特性記述データに基づいて入力データを出力データに変換する変換ステップと、
色材使用量を入力する入力ステップと、
入力された色材使用量に基づいて、前記デバイス特性記述データを変更する変更ステップとを備えた、画像処理方法。
【0105】
(4) 所定の色材を用いて印刷されたパッチを測定することにより得られる測定データに基づいて、装置独立色と装置従属色とを関連付けるデバイス特性記述データを作成するデバイス特性記述データ作成装置において、
所定の装置独立色に対応した装置従属色を決定する際に、所定の装置独立色に対する色差が所定範囲内であり、かつ色材使用量ができるだけ少なくなる装置従属色を探索することを特徴とする、デバイス特性記述データ作成装置。
【0106】
(5) 同一の入力データに対して所定の色差範囲内で異なる色材使用量となるデータを出力するための、複数のデバイス特性記述データの1つを使用して入力データを出力データに変換する変換ステップと、
通常モードと、前記通常モードよりも色材使用量を削減する削減モードとを切換えるモード切換ステップと、
前記モード切換に応じて、前記変換ステップで使用するデバイス特性記述データを切換えるデータ切換ステップとをコンピュータに実行させるための、画像処理プログラム。
【0107】
(6) デバイス特性記述データに基づいて入力データを出力データに変換する変換ステップと、
色材使用量を入力する入力ステップと、
入力された色材使用量に基づいて、前記デバイス特性記述データを変更する変更ステップとをコンピュータに実行させるための、画像処理プログラム。
【0108】
(7) 上記画像処理プログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体。
【0109】
(8) なお、上記(1)において、前記装置従属色の探索は、色材使用量が最小になる装置従属色を探索することが望ましい。
【0110】
(9) なお、上記(1)において、所定の装置独立色に対応した装置従属色の決定を繰返し行なえるように、パッチを測定することにより得られる測定データをデバイス特性記述データ内に記述しておくことが望ましい。
【0111】
(10) なお、上記(1)において、デバイス特性データが前記探索により作成されたものであることを示す情報をデバイス特性記述データ内に埋込んでおくことが望ましい。
【0112】
(11) なお、上記(1)において、複数の色材のうちの任意の色材の指定を受け、装置従属色の探索は、指定された色材の使用量ができるだけ少なくなる装置従属色を探索することが望ましい。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のプリンタ603の構成を示すブロック図である。
【図3】ネットワークにより構成された画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図1〜3の画像処理システムにおけるデータの流れを示すブロック図である。
【図5】図4のプリンタドライバ103のより詳しい構成を示す図である。
【図6】本実施の形態における画像処理システムによるICCプロファイルの作成手順を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS4−5での処理を示す図である。
【図8】使用量を小さくしたいトナーの設定画面を示す図である。
【図9】第2の実施の形態における画像処理システムでのICCプロファイル作成処理を示すフローチャートである。
【図10】ユーザからのトナーの削減レベルの入力画面を示す図である。
【図11】第3の実施の形態における画像処理システムでのICCプロファイル作成処理を示すフローチャートである。
【図12】使用量を減らすべきトナーの手動による入力画面を示す図である。
【図13】第4の実施の形態における画像処理システムで実行される処理を示す図である。
【図14】第6の実施の形態における画像処理システムで実行される処理を示す図である。
【図15】第6の実施の形態における画像処理システムでのICCプロファイル作成処理を示すフローチャートである。
【図16】図15に続くフローチャートである。
【図17】第7の実施の形態におけるプリンタの構成を示すブロック図である。
【図18】従来技術におけるデバイス特性記述データの作成処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101 アプリケーション、103 プリンタドライバ、103a Lab(またはRGB)データ、103b 色変換エンジン、103c CMYKデータ、103d デバイス特性記述データ、601 CPU、603 プリンタ、605 ディスプレイ、609 入力装置、617 RAM、621 読取装置。
Claims (5)
- 所定の色材を用いて印刷されたパッチを測定することにより得られる測定データに基づいて、装置独立色と装置従属色とを関連付けるデバイス特性記述データを作成するようにコンピュータを動作させる、デバイス特性記述データ作成プログラムにおいて、
所定の装置独立色に対応した装置従属色を決定する際に、所定の装置独立色に対する色差が所定範囲内であり、かつ色材使用量ができるだけ少なくなる装置従属色を探索することを特徴とする、デバイス特性記述データ作成プログラム。 - 同一の入力データに対して所定の色差範囲内で異なる色材使用量となるデータを出力するための、複数のデバイス特性記述データを記憶する記憶手段と、
前記記憶された複数のデバイス特性記述データの1つを使用して入力データを出力データに変換する変換手段と、
通常モードと、前記通常モードよりも色材使用量を削減する削減モードとを切換えるモード切換手段と、
前記モード切換に応じて、前記変換手段で使用するデバイス特性記述データを切換えるデータ切換手段とを備えた、画像処理システム。 - 色材使用量を入力する手段をさらに備え、
前記モード切換手段は、入力された色材使用量に応じて自動的にモードを切換える、請求項2に記載の画像処理システム。 - デバイス特性記述データに基づいて入力データを出力データに変換する変換手段と、
色材使用量を入力する入力手段と、
入力された色材使用量に基づいて、前記デバイス特性記述データを変更する変更手段とを備えた、画像処理システム。 - 前記変更手段は、前記入力された色材使用量に基づいて、使用量が多い色材の使用量が小さくなるように、前記デバイス特性記述データを変更する、請求項4に記載の画像処理システム。
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