JP2004079403A - 高分子el素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、溶液の許容範囲が広く均一な膜面が得られるコーティング法を利用して、高分子発光媒体層を形成し、その高分子発光媒体層を簡便にパターニングすることを可能にし、電極取り出し部の形成や、文字や図形等のパターン状発光可能な高分子EL素子の製造を目的とする。
【解決手段】高分子EL素子の製造方法として、透光性基板上に、少なくとも透明導電層と高分子発光媒体層と対向電極を含む複数の層を有し、これらの層の一層または複数の層がパターニングされている高分子EL素子の製造工程において、パターニングしたい層を形成した後に、パターン状の粘着層、および剥離用フィルムを設ける工程、前記剥離用フィルムとともに粘着層と、粘着層の下にあるパターニングしたい層の一部を取り除く工程、を含む、高分子EL素子の製造方法とする。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜のエレクトロルミネッセンス現象を利用した有機薄膜EL素子、特に有機発光層が高分子蛍光体材料からなる高分子エレクトロルミネッセンス素子(以下、高分子EL素子とする)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、透光性基板上に透明導電層、有機発光媒体層、対向電極を順次積層した構造を有するもので、自発光型素子である。
【0003】
有機EL素子を構成する有機発光媒体層の典型的な例としては、正孔注入層に銅フタロシアニン、正孔輸送層にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、蛍光体層にトリス(8−キノリノール)アルミニウムをそれぞれ用いたものが挙げられる。これらの有機発光媒体層はいずれも低分子の化合物であり、各層は10〜100nm程度の厚みで抵抗加熱方式などの真空蒸着法などによって積層される。このため、低分子材料を用いる有機薄膜EL素子の製造のためには、複数の蒸着釜を連結した真空蒸着装置を必要とし、生産性が低く製造コストが高い。
【0004】
これに対し、有機発光媒体層として高分子材料を用いた高分子EL素子がある。高分子発光層を構成する蛍光体層としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾールなどの高分子中に低分子の蛍光色素を溶解させたものや、ポリフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリアルキルフルオレン誘導体(PAF)等の高分子蛍光体が用いられる。これら高分子材料は、溶液に可溶とすることでスピンコート、フレキソ印刷等の湿式法で製膜することができる。前述の低分子材料を用いた有機EL素子と比較して、大気圧下での成膜が可能であり設備コストが安い、という利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
有機発光媒体層(高分子発光媒体層)は、文字や図形等のパターン発光素子を作製する場合に、あるいは、電極の取り出し等のために、あるパターン状に形成する必要がある。有機発光媒体層として高分子材料を用いた場合、パターン状に形成するためにはインクジェット法や、グラビア、フレキソ等の印刷法を用いることができる。しかし、前者においては隔壁を作る必要があったり、ある程度の塗布面積がある場合にピンホールが生じたり、インクジェット特有の噴射跡が残り均一塗布面が得られない、といった問題があった。後者においては、均一な塗布面を得るために使用可能な溶剤の種類や粘度等が狭く限定されてしまう、といった問題があった。
一方、パターン状には形成できないが、スピンコート、ロールコート、ダイコート等のコーティング法では、印刷法に比べ使用できる溶液の範囲が広く、均一な高分子発光媒体層を形成できるという利点がある。
【0006】
パターン発光素子を作製するには、高分子発光媒体層をパターニングする方法以外に、透明導電層(陽極)あるいは対向電極(陰極)をパターニングする方法や、非発光部としたいところに絶縁層をパターン状に設ける方法がある。しかし透明導電層あるいは対向電極は、電極取り出しのための構造設計や、複雑な文字や図形等のパターン発光素子を作製するためには、複数の端子が必要になったりし、形成可能な発光パターンが限られてしまう。また、非発光部としたいところに絶縁層をパターニングして設ける方法は、EL素子の電極取り出し部分には、絶縁層等の不要な層があってはならないので利用することができない。
【0007】
高分子発光媒体層を印刷法以外でパターニングする方法としては、特開2000−164353号公報に開示されている方法がある。これは、非発光部としたいところに離型層をパターン状に設け、その上に有機発光媒体層および陰極を積層し、さらに接着層を積層しサーマルヘッドで熱を加えることで、離型層の一部と、離型層と接着層に挟まれた有機発光媒体層および陰極と、を接着層に付着させて取りのぞく方法である。しかしこの場合、EL素子基板側に残存した離型層の一部が絶縁層であるために電極取り出し等に邪魔になってしまうという問題がある。また、陰極である金属薄膜部分を完全に覆う封止ができず、その部分からの水分の進入により素子劣化が進行してしまう恐れがある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶液の許容範囲が広く均一な膜面が得られるコーティング法を利用して、高分子発光媒体層を形成し、その高分子発光媒体層を簡便にパターニングすることを可能にし、電極取り出し部の形成や、文字や図形等のパターン状発光可能な高分子EL素子を製造することを目的とするものである。
【0009】
請求項1に係る第1の発明は、透光性基板上に、少なくとも透明導電層と高分子発光媒体層と対向電極を含む複数の層を有し、これらの層の一層または複数の層がパターニングされている高分子EL素子の製造工程において、
1.パターニングしたい層を形成した後に、パターン状の粘着層、および剥離用フィルムを設け、
2.前記剥離用フィルムとともに粘着層と、該粘着層の下にあるパターニングしたい層の一部を取り除く、
工程を含む、高分子EL素子の製造方法である。
【0010】
請求項2に係る第2の発明は、前記粘着層を、前記パターニングしたい層の上に、印刷法により積層して形成することを特徴とする、請求項1に記載の高分子EL素子の製造方法である。
【0011】
請求項3に係る第3の発明は、透光性基板上に、少なくとも透明導電層と高分子発光媒体層と対向電極を含む複数の層を有し、これらの層の一層または複数の層がパターニングされている高分子EL素子の製造工程において、
1.パターニングしたい層の上へ、パターン状の粘着層を印刷法によって設けた剥離用フィルムを、前記粘着層が重なるように張り合わせ、
2.前記剥離用フィルムとともに粘着層と、該粘着層の下にあるパターニングしたい層の一部を取り除く、
工程を含む、高分子EL素子の製造方法である。
【0012】
請求項4に係る第4の発明は、請求項1から3のいずれかのパターニング方法によってパターニングされたことを特徴とする高分子EL素子である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパターニング方法により高分子発光媒体層の一部をパターニングした場合の高分子EL素子の製造方法の一例を、図1及び2に基づいて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
また、必要に応じて本発明以外のエッチングやマスク蒸着等のパターニング方法と組み合わせて、より複雑なパターンを有する高分子EL素子とすることも可能である。
【0014】
本発明の製造方法の一例を、図2に従って簡単に説明する。
所定のパターンの透明導電層2が形成された透光性基板1に、高分子発光体層を構成する層の一つである正孔輸送層3をコーティング等の方法で形成する。これがパターニングしたい層である。次いで粘着層4aを印刷等の方法により非発光部としたいパターンに形成し、その上に剥離用フィルム5aを貼り合わせる(図2(a))。この剥離用フィルムが貼られた高分子EL素子フィルムに加熱工程を施すと、正孔輸送層3への粘着層4aの粘着を強めることができる。剥離用フィルム5aを剥離することで、パターニングされた粘着層4と、その下の正孔輸送層3が剥離用フィルムと一緒に取り除かれ、発光部となるパターンとして基板に正孔輸送層3が残される(図2(b))。続いて、やはり高分子発光体層を構成する層の一つである高分子蛍光体層6を、コーティング等の方法で形成する。前工程と同様にして、粘着層4bを非発光部のパターン状に形成し、その上に剥離用フィルム5bを貼り合わせた後(図2(c))、剥離用フィルム5bを剥離することで粘着層4bとそのしたの高分子蛍光体層6bを同時に取り除き、高分子蛍光体層6に対してパターニングを行う(図2(d))。続いて、陰極層7を形成して、高分子EL素子を作製する(図2(e))。
【0015】
本発明における透光性基板1としては、ガラス基板やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチック製のフィルムを用いれば、巻き取りにより高分子EL素子の製造が可能となり、安価に素子を提供することができる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等を用いることができる。また、透明導電層を成膜しない側にセラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等の他のガスバリア性フィルムを積層しても良い。
【0016】
透明導電層2としては、インジウムと錫の複合酸化物(以下ITOという)を用いることができ、前記基板上に蒸着またはスパッタリング法により製膜することができる。また、オクチル酸インジウムやアセトンインジウムなどの前駆体を基材上に塗布後、熱分解により酸化物を形成する塗布熱分解法等により形成することもできる。あるいは、アルミニウム、金、銀等の金属が半透明状に蒸着されたものを用いることができる。あるいはポリアニリン等の有機半導体も用いることができる。
【0017】
上記、透明導電層が積層されたガラスまたはプラスチック基材は、本発明のために特別に製造する必要はなく、導電層の抵抗率や光線透過率に合わせて市販の基材を用いることができる。
【0018】
透明導電層は、必要に応じてエッチングによりパターニングを行ったり、UV処理、プラズマ処理などにより表面の活性化を行ってもよい。
【0019】
本発明の高分子EL素子を構成する高分子発光媒体層は、高分子蛍光体層のみからなるものでもよく、さらに正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層などの層を複数積層してなるものでも、これらの性質を併せ持つ層を含んでなるものであってもよいが、ここでは絶縁層等の、最終的に透明導電層と対向電極の間に挟持された単数または複数の層をまとめて高分子発光媒体層と呼ぶこととし、例えば図1の例では透明導電層2とその対向電極である陰極層7との間に挟持された、正孔輸送層3と高分子蛍光体層6が高分子発光媒体層にあたる。
【0020】
高分子発光媒体層を構成する正孔輸送層3に用いる正孔輸送材料としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等広く知られた高分子材料を用いることができる。
これらの正孔輸送材料は、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等の単独または混合溶媒に溶解または分散させ、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート等のコーティング法等により塗布できる。特にロールコート、ダイコートにより製膜することが、プラスチックフィルム基板へ薄膜の形成を、巻き取りにより大量生産することができるため好ましい。必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調製剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。膜厚は、50〜200nmの範囲であるとよい。
【0021】
次いで正孔輸送層3の上に粘着層4を設ける。次いで積層される剥離用フィルムと正孔輸送材料に接着し、剥離用フィルムを剥離したときに所定のパターンが得られるような接着可能な粘着力を有する粘着剤から任意に選択することができる。ここで粘着層4に用いられる材料としては、ゴム系、アクリル系、シリコン系等が挙げられる。
【0022】
粘着層4は、続く剥離作業により正孔輸送層3が所定のパターンに剥離されるようなパターン状に設ければよい。また、粘着層4をパターン状に設けるパターニング方法に制限は特にないが、印刷法を用いた方法が作業工程が少なくより好ましい。なお、粘着層の厚さとしては特に制限がないが、剥離用フィルムを設けた時に、上に粘着層の設けられていない正孔輸送層部分と剥離用フィルムが接着し、パターニング後に基板上に残る正孔輸送層3aの表面を傷つけることを防ぐことができる厚さに設けることが好ましい.
図2においては正孔輸送層3及び高分子蛍光体層6について、それぞれ、本発明の方法でパターニングを行っているが、ここでは図示されていないものの高分子発光媒体層に含まれる可能性のある電子輸送層などの層や、陰極層の上に粘着層4及び剥離用フィルム5を設け剥離除去することで、その下の層すなわち他の発光媒体層や陰極層のパターニングを行うことができる。さらに、図3に示すように複数の層を同時にパターニングすることもできる。
【0023】
剥離用フィルム5は前記粘着層4に十分に接着するものであれば特に制限はなく、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン等の薄膜のプラスチックフィルムを用いることができる。これらはラミネート法により基板上に形成され粘着層4と密着し、続いて剥離フィルムを剥離した時に、粘着層およびその下に積層されていた正孔輸送層3bが所定のパターンに取り除かれる(図2(1)及び(2))。また、正孔輸送層3を設けてから剥離用フィルム5を設けるまでの工程の間に加熱工程を設けると、粘着層4と、当該粘着層4と隣接するパターニングされる層(ここでは正孔輸送層3)との接着力が向上し、正孔輸送層3bがより効率良く剥離されやすくなる。
【0024】
粘着層4および剥離用フィルム5は、前述のように粘着層4をまず高分子発光媒体層のうちパターニングしたい層の上に部分的に形成し、続いて剥離用フィルム5を設けるという方法ではなく、あらかじめ剥離用フィルム5に粘着層4をパターン状に設け、これを、粘着層4側がパターニングしたい任意の層の上に来るようにラミネートするという方法をとってもよい。
【0025】
高分子発光媒体層を構成する高分子蛍光体層6に用いる高分子蛍光体としては、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系等の蛍光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に溶解させたものや、ポリアリールビニレン系やポリフルオレン系等の高分子蛍光体を用いることができる。
【0026】
これらの高分子蛍光体は、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等の単独または混合溶媒に溶解し、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート等のコーティング法等により塗布できる。特にロールコート、ダイコートにより製膜することが、プラスチックフィルム基板へ薄膜の形成を、巻き取りにより大量生産することができるため好ましい。
また、高分子蛍光体層には必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調製剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。膜厚は、単層または図2(b)のように正孔輸送層と2層構造等の複数層積層する場合においても、合わせて1000nm以下であり、好ましくは合わせて50〜150nmである。
【0027】
高分子蛍光体層6をパターニングするために、前述の正孔輸送層の場合と同様に、粘着層4bを所定のパターン状に形成し剥離用フィルム5bを設ける(図2(d))。続いて剥離される時に粘着層およびその下に積層されていた高分子蛍光体層6bが所定のパターンに取り除かれる(図2(e))。
【0028】
対向電極である陰極層7としてはMg,Al,Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体と接する界面にLiやLiF等の化合物を1nm程度はさんで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いる。または、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数の低い金属と安定な金属との合金系、例えばMgAg,AlLi,CuLi等の合金が使用できる。陰極の形成方法は材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム法、スパッタリング法を用いることができる。陰極(層)の厚さは、10nm〜1000nm程度が望ましい。
【0029】
引き続き、高分子EL素子を長持ちさせるために外部からの酸素・水分の進入を防ぐ封止工程をおこなう。封止方法としては、乾燥剤を入れ金属缶やガラス板で封止する方法等があるが、例えば図2(6)のように接着層8と封止板9を用いると薄型のEL素子を作製することができる。接着層8に用いる接着剤としては、上に積層する封止板9が長期保存によってはがれないような接着能を持つものであれば何を用いてもよく、例えば熱硬化型のエポキシ接着剤等を用いることができる。また、接着層8には乾燥剤を混入させてもよい。封止板9としては、ガラス板やアルミ箔等の膜厚が薄いものを用いることができる。
【0030】
以上、図1及び図2に基づいて正孔輸送層3および高分子蛍光体層6を本発明による方法でパターニングして、図1の高分子EL素子を作製する方法を説明したが、同様の方法で高分子発光媒体層に含まれるその他の層や、陰極層7のパターニングをすることもできる。つまり、陰極層を設けた後に、前述の方法で、粘着層を所定のパターン状に形成し剥離用フィルムを張り合わせこれを剥離除去することで、パターニングすることが可能である。
【0031】
剥離用フィルムは、高分子EL素子基板上に設けた後剥離除去をするまでは、保護フィルムとしての役割もなすことができる。たとえば、作成中の高分子EL素子基板に剥離用フィルムを貼り合わせた後であれば、次の作業工程までのあいだに前記高分子EL素子基板フィルムの巻き取りを行っても、剥離用フィルムの存在により高分子発光媒体層あるいは陰極層表面などが傷つくのを防ぐ事ができる。
【0032】
本発明における高分子EL素子の高分子発光媒体層は、図1及び図2で示す正孔輸送層と高分子蛍光体層の2層構造に限らず、高分子蛍光体層のみの単層構造であったり電荷輸送層等を設けた多層構造であってもよい。多層構造の場合は任意の層を本発明の方法でパターニングすればよい。複数層をパターニングする場合は所定のパターンが得られれば、上記(1)粘着層と剥離用フィルムを設ける工程、と(2)剥離用フィルムを剥離する工程、を繰り返し、パターニングをおこなっても良い。また、本発明のパターニング方法では一層ずつのパターニングが前提であるが、複数の高分子発光媒体層は一度にパターニングすることも可能である。
【0033】
本発明による方法で高分子発光媒体層または陰極を剥離し、パターニングする場合、剥離能をあげるために剥離したい層の粘着層とは反対側に易剥離層を設けてもよい。この易剥離層は電極の取り出し部でなければ、剥離用フィルムによりパターニングした後に、高分子EL素子の基板側に残ってもよく、易剥離層にUV吸収剤や乾燥剤を混入させておくことで、素子の劣化を防ぐことのできる効果のある層として利用することが可能である。
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
【実施例】
〈実施例1〉
実施例1における高分子EL素子を以下図3に従って説明する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板と、その表面に設けられた、所定のパターンにエッチングされたITOをそれぞれ透光性基板1、透明導電層2とした。その表面にUV/O3処理を施し、正孔輸送層3として、下記化学式(1)で表されるポリビニルカルバゾール(PVK)を厚み0.1μmの層となるよう、ロールコート法により形成した。更に、高分子蛍光体層6として、下記化学式(2)で表されるMEH−PPVをトルエンに1.5wt%溶解させた溶液を用いて、ロールコート法でコーティングし膜厚0.1μmの層を形成した。続いて、粘着層4aとしてシリコーン樹脂をグラビア法により厚み1μmで所定のパターンに印刷した。これに剥離用フィルム5aとしてポリプロピレンフィルム16をラミネートした(図3(a))。この剥離用フィルム5aがラミネートされた高分子EL素子フィルムを90℃オーブンによる加熱工程を通した後に、剥離用フィルム5aを剥離除去することで、パターニングされた粘着層4aの下に積層されていた高分子蛍光体層6bおよび正孔輸送層3bも同時に取り除かれ、所定のパターニングがおこなえた(図3(b))。最後に対向電極である陰極層7としてフッ化リチウム、アルミニウムを真空蒸着により0.5nm、200nm形成し、図3(c)で示す高分子EL素子を作製した。
【0036】
【化1】
Figure 2004079403
【0037】
【化2】
Figure 2004079403
【0038】
得られた高分子EL素子は、輝度は8Vで80cd/m2、輝度ムラは±5%であった。
【0039】
〈実施例2〉
実施例2における高分子EL素子を以下図4に従って説明する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板と、その表面に設けられた、所定のパターンにエッチングされたITOをそれぞれ透光性基板1、透明導電層2とした。その表面にUV/O3処理を施し、正孔輸送層3として、下記化学式(3)で表されるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸の1wt%分散型水溶液(以下PEDOT/PSSという)を用いてダイコートにより厚み0.1μmの層を形成した。この上に、実施例1と同様に粘着層4aとしてシリコーン樹脂をグラビア印刷法により厚み1μmで所定のパターンに印刷し、剥離用フィルム5aとしてポリプロピレンフィルム20をラミネートした(図4(a))。この剥離用フィルム5aがラミネートされた高分子EL素子フィルムを90℃オーブンによる加熱工程を通した後に、剥離用フィルム5aを剥離除去することで正孔輸送層3の所定のパターニングがおこなえた(図4(b))。更に、高分子蛍光体層6として、MEH−PPVをトルエンに1.5wt%溶解させた溶液を用いて、ロールコート法によりコーティングし膜厚0.1μmの層を形成した。正孔輸送層3のパターニングと同様に、粘着層4bをグラビア印刷し、剥離用フィルム5bをラミネートした後(図4(c))、加熱工程を通し、剥離用フィルム5bを剥離することで高分子蛍光体層6のパターニングがおこなえた(図4(d))。最後に対向電極である陰極層7としてフッ化リチウム、アルミニウムを真空蒸着により0.5nm、200nm形成して、高分子EL素子を作製した(図4(e))。
【0040】
【化3】
Figure 2004079403
【0041】
得られた高分子EL素子は、輝度は8Vで100cd/m2、輝度ムラは±5%であった。
【0042】
〈比較例1〉
実施例2において、正孔輸送層と高分子蛍光体層について、実施例2と同じ溶液を用い、インクジェット法でパターニングしたこと以外は、同様にして同じ構造の高分子EL素子を作製した。
【0043】
得られた高分子EL素子は、高分子発光媒体層にピンホールがあり、その箇所でITOと陰極が接触したために、電圧を印加するとショートしてしまい、発光しなかった。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、均一な膜面が得られるコーティング法により塗布した高分子発光媒体層を、粘着層と剥離フィルムを使用することで所定のパターニングをすることができ、文字や図形等のパターンの均一発光をする高分子EL素子の作製が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で製造された高分子EL素子の断面図である。
【図2】本発明の高分子EL素子の製造方法の一例を示した説明図である。
【図3】実施例1の高分子EL素子の製造方法を示した説明図である。
【図4】実施例2の高分子EL素子の製造方法を示した説明図である。
【符号の説明】
1 …透光性基板
2 …透明導電層
3 …正孔輸送層
3a…(基板上に残った)正孔輸送層
3b…(基板から取り除かれた)正孔輸送層
4 …粘着層
4a…(1回目のパターニングを行った)粘着層
4b…(2回目のパターニングを行った)粘着層
5 …剥離用フィルム
5a…(1回目のパターニングを行った)剥離用フィルム
5b…(2回目のパターニングを行った)剥離用フィルム
6 …高分子蛍光体層
6a…(基板上に残った)高分子蛍光体層
6b…(基板から取り除かれた)高分子蛍光体層
7 …陰極
8 …接着層
9 …封止板

Claims (4)

  1. 透光性基板上に、少なくとも透明導電層と高分子発光媒体層と対向電極を含む複数の層を有し、これらの層の一層または複数の層がパターニングされている高分子EL素子の製造工程において、
    1.パターニングしたい層を形成した後に、パターン状の粘着層、および剥離用フィルムを設け、
    2.前記剥離用フィルムとともに粘着層と、該粘着層の下にあるパターニングしたい層の一部を取り除く、
    工程を含む、高分子EL素子の製造方法。
  2. 前記粘着層を、前記パターニングしたい層の上に、印刷法により積層して形成することを特徴とする、請求項1に記載の高分子EL素子の製造方法。
  3. 透光性基板上に、少なくとも透明導電層と高分子発光媒体層と対向電極を含む複数の層を有し、これらの層の一層または複数の層がパターニングされている高分子EL素子の製造工程において、
    1.パターニングしたい層の上へ、パターン状の粘着層を印刷法によって設けた剥離用フィルムを、前記粘着層が重なるように張り合わせ、
    2.前記剥離用フィルムとともに粘着層と、該粘着層の下にあるパターニングしたい層の一部を取り除く、
    工程を含む、高分子EL素子の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかのパターニング方法によってパターニングされたことを特徴とする高分子EL素子。
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