JP2004079100A - テープ状記録媒体及びその記録装置、再生装置並びに記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つのアジマストラックに複数ヘッドで記録する磁気記録再生装置において、タイミングATFサーボを行う目標を測定し、再生時に意図したトラックにタイミングATFサーボを可能とする。
【解決手段】ヘリカルスキャン方式のテープ状記録媒体にトラックを識別するトラック識別情報とトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とを単位データ構造内に挿入する。再生時に、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置と、ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までのトラッキング検出期間を計測し、これを予め設定された基準値と比較することで、テープ状記録媒体の相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、トラッキングサーボを実行する。トラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、オントラックさせる。
【選択図】 図14
【解決手段】ヘリカルスキャン方式のテープ状記録媒体にトラックを識別するトラック識別情報とトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とを単位データ構造内に挿入する。再生時に、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置と、ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までのトラッキング検出期間を計測し、これを予め設定された基準値と比較することで、テープ状記録媒体の相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、トラッキングサーボを実行する。トラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、オントラックさせる。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラッキングサーボ制御としていわゆるタイミングATFサーボ方式に対応するテープ状記録媒体、このテープ状記録媒体対してデータを記録する記録装置と、この記録装置により記録されたテープ状記録媒体からデータを再生する再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば磁気テープに対してデジタルオーディオデータを記録再生するデジタルオーディオテーププレーヤ(DATレコーダ/プレーヤ)や、同じく磁気テープを用いたDATシステムをコンピュータ用のデータのストレージシステムとして用いるようにし、コンピュータデータ記録再生を行うようにしたデジタルデータストレージ機器(DDS機器)が開発されている。
【0003】
これらの装置では回転ドラムに例えば90°のラップ角で磁気テープを巻装させた状態でテープを走行させるとともに、回転ドラムを回転させて、回転ドラム上の磁気ヘッドを用いてヘリカルスキャン方式で記録/再生走査を行うことで高密度記録を可能にしている。
【0004】
この場合、テープ上には例えば図17のように傾斜トラックTKA,TKBが形成される。傾斜トラックTKA,TKBはそれぞれ回転ドラムに搭載されたアジマス方向の異なる一対のヘッド(Aヘッド、Bヘッド)によって形成されるトラックであり、互いに逆アジマスとされるトラックである。
【0005】
ところで、再生時に磁気ヘッドはテープ上のトラックTKを正確にトレースしていかなければならないが、このトラッキング制御方式としては、例えばDDS再生装置ではいわゆるタイミングATF方式といわれるトラッキングサーボ制御動作が行われるようにされている。このタイミングATF方式は、回転ドラムの基準位相位置から、ヘッドがトラック上から所定の信号(タイミング検出信号)を検出するまでの時間(トラッキング検出期間)を計測し、その計測値を基準値と比較して、誤差分をサーボエラー情報とする。
【0006】
そしてそのサーボエラー情報により、テープ走行のためのキャプスタンモータの回転速度を制御することで、テープ走行速度に反映させる。つまりテープ走行速度を調整して、良好なトラッキング状態が得られるようにドラム回転速度とテープ走行速度との相対速度を調整するものである。
【0007】
例えば図18のようにあるトラックに対して磁気ヘッドの走査位置が図中TRA として示すライン(タイミング)に相当する位置状態となった際に、回転ドラムの位相位置が基準位置であるとする。ドラム回転中に基準位相位置となった時点では例えばドラムモータに配されているパルスジェネレータ(PG)からのパルス信号が発生されるように構成されていることで、回転ドラムが基準位相位置となったタイミングTRAを検出できる。その後、磁気ヘッドが磁気テープに当接し、トラックTKAに対する走査を行っていくと、トラック上の所定の位置PTTP で再生データとしてタイミング検出信号が検出される。このタイミング検出信号とは、データ内の同期信号やアドレスの検出に基づいて予め決められた位置PTTPにおいてパルスが得られるようにしたものとする。
【0008】
ここで図中▲1▼、▲2▼、▲3▼として、トラックTKAに対するトラッキング位相状態が異なる3種類の走査を示しているが、回転ドラムの基準位相位置(ラインTRA の位置)のタイミングから位置PTTPに達するタイミングまでの期間(トラッキング検出期間)は、▲1▼、▲2▼、▲3▼の走査時にはそれぞれt1,t2,t3として示すように異なる時間となる。
【0009】
トラッキング検出期間としては、磁気ヘッドがトラックTKに対して良好なトラッキング状態、即ち▲1▼のようにトラックTKAのセンターをトレースしていく状態にあるときに得られる時間t1が基準値として予め設定されており、したがって、トラッキングサーボ制御時に、▲1▼のような走査が行われトラッキング検出期間として時間t1が計測された場合は、計測値と基準値は一致する。すなわち、この場合、計測値と基準値の誤差はなく、良好なトラッキング状態が得られているとされることになる。一方、▲2▼又は▲3▼のようなトラッキング位相状態で走査が行われた場合、トラッキング検出期間の計測値はt2又はt3となり、基準値と比較して誤差が存在することになる。この場合はその誤差分だけトラッキングずれが生じていることになり、これをテープ走行速度に反映させることで、ジャストトラッキング状態に向かうサーボ制御を実行することができる。
【0010】
このようなタイミングATFサーボを実行するに当たっては、基準値を予め求めておかなければならないが、上述したようにこの基準値とは、ジャストトラッキング状態において回転ドラムの基準位相位置のタイミングからタイミング検出信号が得られるタイミングまでの時間値である。タイミング検出信号は例えばトラック上の所定のアドレスにおける同期信号の検出に基づいて発生されるため、その位置PTTPは各種テープの各トラックにおいて固定のものであるが、実際には各種の記録装置と再生装置での機械的誤差などにより、たとえ、一回の連続記録により形成される複数トラック間においても、位置ずれが生じることは避けられない。このため、DDS再生装置においてあるファイルデータを再生するような場合は、その再生データの読出実行に先立って、そのテープ(そのファイルデータトラック)における基準値を計測しなければならない。
【0011】
この基準値の計測には、トラックに対して各種のトラッキング位相状態での走査を実行させ、その各走査において計測されたトラッキング検出期間から例えば平均値を算出し、これを基準値とするような処理が行われる。例えば図19にそのイメージを示す。図示するようにトラックTKAに対して例えばTJ1〜TJ5のように異なる複数のトラッキング位相状態で走査を実行させ、それらの走査の際に計測された各トラッキング検出期間から平均値を算出すると、ほぼ図中のトラッキング位相状態TJ3近辺のトラッキング位相状態におけるトラッキング検出期間が得られる。これはほぼジャストトラッキング状態でのトラッキング検出期間と考えることができ、したがってこれを基準値とするようにされている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、DDS3やDDS4などのようにタイミングATF方式を採用したDDS機器では、回転ドラムに搭載されたアジマス方向の異なる一対の記録ヘッド(Aヘッド、Bヘッド)によって互いに逆アジマスとされるトラックを形成することにより、各アジマスのトラックがヘッドと1対1で対応するので、各トラックにおけるタイミングATFの目標タイミングが一意に決まる。
【0013】
しかしながら、タイミングATF方式を採用した記録再生装置において、+アジマスの記録ヘッドを2個、−アジマスの記録ヘッドを2個、合計4個磁気デッドで2種類のアジマス記録トラックを形成するようにした場合、+アジマスのトラックと−アジマスのトラックにおいてそれぞれ2個の目標タイミングが存在することになり、次のような不具合を生じる。
【0014】
2種類の同アジマスの目標が混在するために、目標の計測を行うことができない。
【0015】
目標を設定しても、どのヘッドで記録したトラックにオントラックするか分からないため、目標を測定したヘッドと違うヘッドで記録したトラックにオントラックすることがある。
【0016】
したがって、読み出し時にオフセットしてATFがかかるために、再生出力が低下する。
【0017】
書き繋ぎの助走で他方のヘッドで記録したトラックにオントラックすると、書き繋ぎ部分でのトラックの食いつぶし若しくは消し残りが発生する。
【0018】
本願発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、1つのアジマストラックに複数のヘッドで記録する磁気記録再生装置において、タイミングATFサーボを行う目標を測定できるようにし、また、再生時に意図したトラックにタイミングATFサーボを行うことができるようにすることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るテープ状記録媒体は、ヘリカルスキャン方式により当該テープ状記録媒体に記録されるトラックに対応する単位データ内において、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが記録されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る記録装置は、ヘリカルスキャン方式により、テープ状記録媒体に対してトラックごとに対応する所定のデータ単位によりデータを記録する記録装置であって、個々のトラックを識別することのできるトラック識別情報を生成するトラック識別情報生成手段と、記録時に記録するトラックがどのヘッドで記録しているかを示すヘッド番号情報を生成するヘッド番号情報生成手段と、上記単位データを形成する際に、各単位データが対応するトラック位置に応じて設定された内容のトラック識別情報とヘッド番号情報とを、単位データ構造内に挿入するようにされた単位データ形成手段とを備えていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る再生装置は、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に個々のトラックを識別するトラック識別情報と上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが単位データ構造内に挿入されて記録されたトラックからデータ再生を行う再生装置であって、上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせるトラッキングサーボ手段を備え、上記トラッキングサーボ手段は、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る記録再生装置は、個々のトラックを識別することのできるトラック識別情報を生成するトラック識別情報生成手段と、記録時に記録するトラックがどのヘッドで記録しているかを示すヘッド番号情報を生成するヘッド番号情報生成手段と、上記単位データを形成する際に、各単位データが対応するトラック位置に応じて設定された内容のトラック識別情報とヘッド番号情報とを、単位データ構造内に挿入するようにされた単位データ形成手段とを有し、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に個々のトラックを識別するトラック識別情報と上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とを単位データ構造内に挿入して、トラックごとに対応する所定のデータ単位によりデータを記録する記録系と、上記テープ状記録媒体のトラックからデータを再生を行う再生系からなり、上記再生系には、上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせるトラッキングサーボ手段を備え、上記トラッキングサーボ手段は、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、書き繋ぎ記録を行う際に、記録されるトラックの順番が素トリミング時と同じ記録ヘッドの順で記録されるように、再生時の上記トラッキングサーボ手段による再生ヘッドのオントラックを制御する書き繋ぎ記録制御手段を備えることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本発明は、例えば図1に示すような構成の記録再生装置に適用される。
【0026】
この記録再生装置100は、図示しない外部のホストコンピュータと接続されてデータの授受を行うインターフェース部1に接続されたインデックス付加回路2、サブコード発生部8及びインデックス分離回路26を備える。上記インデックス付加回路2及びインデックス分離回路26には、誤り訂正部を介して、サブコード付加回路7及びサブコード分離回路22が接続されている。
【0027】
上記誤り訂正部は、C3エンコーダ3、C2エンコーダ4及びC1エンコーダ5、メモリ6、C1デコーダ23,C2デコーダ24及びC3デコーダ25からなる。
【0028】
上記サブコード発生部8は、上記サブコード付加回路7に接続されている。そして、このサブコード付加回路7は、ヘッダパリティ付加回路9、8/10変調回路10、同期信号付加回路11、マージン付加回路12を介して記録増幅器13に接続されている。上記記録増幅器13は、ロータリートランス14を介して回転ヘッドドラムHD内の記録ヘッド15に接続されている。
【0029】
また、上記ヘッドドラムHD内の再生ヘッド16は、ロータリートランス17を介して再生増幅器18に接続されている。上記再生増幅器18は、同期信号検出回路19、10−8復調部20及びヘッダパリティチェック回路21を介して上記サブコード分離回路22及びタイミング検出パルス生成回路27に接続されている。
【0030】
また、上記誤り訂正部及びサブコード分離回路22には、システムコントローラ31が接続されている。
【0031】
さらに、上記サブコード分離回路22及びシステムコントローラ31にはサーボ回路30が接続されている。
【0032】
そして、上記サーボ回路30には、回転ヘッドドラム50を回転させるドラムモータ33を駆動するドラムモータドライバ32が接続されているとともに、磁気テープ90を定速走行させるキャプスタンモータ35を駆動するキャプスタンモータドライバ34が接続されている。また、上記サーボ回路30には、回転ヘッドドラム50に取り付けられたドラムPG(パルスジェネレータ)36、ドラムFG(周波数ジェネレータ)37が増幅器38,39を介して接続されているとともに、キャプスタン28に取り付けられたキャプスタンFG(周波数ジェネレータ)40が増幅器41を介して接続されている。
【0033】
ここで、この記録再生装置100は、DDS,DDS2,及びDDS3よりも高密度記録を可能にしたフォーマットが採用されているDDS4に対応したものとし、図2〜図7を参照してDDS4方式のトラックフォーマットについて説明する。
【0034】
図2は磁気テープ90上において形成されるヘリカルスキャン方式のトラックを示したものである。各トラックは、+アジマスの記録ヘッド15A,15Cと−アジマスの記録ヘッド15B,15D記録ヘッドによりいわゆるアジマスベタ記録によりトラック幅TWのトラックとして形成されていく。隣接するトラック同志は互いに逆アジマストラックとされる。即ち、一方のアジマス方向とされるトラックTKA と他方のアジマス方向とされるトラックTKB が交互に形成される。再生時には+アジマスの再生ヘッド16A,16C及び−アジマスの再生ヘッド16B,16Dによりトラックが交互に走査される。再生ヘッド16A〜Dのヘッド幅HWはトラック幅TWよりも広い幅とされているが、いわゆるアジマス効果により、隣接トラックからのクロストークは防止される。
【0035】
DDSフォーマットにおいては一対の隣接するトラックTKA,TKBは1フレームと呼ばれ、22フレームが1グループと呼ばれる単位となる。そしてグループの後ろには1フレーム分のECCフレームが設けられる場合があり、ECCフレームが設けられたばあいには、23(=22+1)フレームにより1グループが形成されるものと見なされる。またECCフレームの後にアンブルフレームが設けられる。ただし、このアンブルフレームのフレーム数は規定されておらず、また設けられない場合もある。そして、ECCフレーム及びアンブルフレームによってテープ90上でグループの境界が規定されることになる。なお、各グループにおいて、グループ内の最後のフレームには一連のデータを区分するためのインデックス情報が付加される。上記グループは、DDS4フォーマットにおける最小記録単位とされる。したがって、ストリーミングといわれる1回の記録動作は、最小でグループごとに行われ得ることになる。
【0036】
1つのトラック内のデータフォーマットは図3に示される。1つのトラックは図3(a)のように両端にマージン領域が形成され、そのマージン領域に挟まれた領域がメインデータ領域とされる。メインデータ領域は、0〜95のフラグメントアドレスが与えられた96単位のフラグメントに分割されている。1フラグメントは133バイトで構成され、その内容は図3(b),(c)に示される。
【0037】
フラグメントアドレスが9〜86までとなる78単位の各フラグメントは、図3(b)のように、先頭に1バイトの同期信号領域が設けられ、所定のパルス形態となる同期信号が記録される。同期信号領域に続いて6バイトのアドレス及びサブコード領域が設けられる。ここには1バイトでフラグメントアドレスが記録され、また5バイトでサブコードが記録される。
【0038】
続いて2バイトがヘッダパリティ領域とされ、さらに続く112バイトがデータ領域とされている。このデータ領域に実際のデータが記録される。フラグメントの最後の12バイトはECC領域とされる。このECC領域にはいわゆるC1訂正符号が記録される。C1訂正符号はフラグメント内のデータに対するするエラー訂正符号となり、つまり訂正処理はフラグメント単位で完結することになる。
【0039】
フラグメントアドレスが0〜8及び87〜95までとなる18単位の各フラグメントは図3(c)に示されるが、図3(b)のフラグメントと同様に同期信号領域、アドレス/サブコード領域、ヘッダパリティ領域、及びECC領域が設けられる。ただし、図3(b)のフラグメントではデータ領域とされていた112バイトは、ECC領域とされ、C2訂正符号が記録される。C2訂正符号は、1トラック内で完結する訂正系列の符号となる。
【0040】
なお、訂正符号としてはさらにC3訂正符号が付加される。これは図3に示したECCフレームにおいて記録されることになる。このC3訂正符号は1グループ内で完結する訂正系列の符号となる。また、C1訂正符号、C3訂正符号によるエラー状況を確認すれば、1トラック内のどの部分でエラーが発生したかが確認できるが、C2訂正符号は1トラック内でインターリーブがかけられて記録されるため、C2訂正符号によるエラー状況からは1トラック内でのエラー発生位置は確認できない。
【0041】
テープのレイアウトは、図4に示すように、デバイス領域に続くシステム領域、データ領域及びEOD(End Of Data)領域からなる。
【0042】
すなわち、磁気テープの最初の部分には物理的にリーダーテープが先頭に位置しており、次にテープカセットのローディング/アンローディングを行う領域となるデバイス領域が設けられている。このデバイス領域の先頭が物理的テープの先頭位置PBOT(Phisycal Bigining of Tape)とされる。上記デバイス領域に続いては、パーティション#0に関してのリファレンス領域及びテープの使用履歴情報等が格納されるシステム領域(以下、リファレンス領域を含めてシステム領域という)が設けられて、以降にデータ領域が設けられる。システム領域の先頭が論理的テープの開始位置LBOT(Logical Bigining of Tape)とされる。
【0043】
このシステム領域には、リファレンス領域、ポジショントレランスバンドNO.1、システムプリアンブル、システムログ、システムポストアンブル、ポジショントレランスバンドNO.2、ベンダーグループプリアンブルが形成される。
【0044】
このようなシステム領域に続くデータ領域においては、最初にデータを作成して供給するベンダーに関する情報が示されるベンダーグループが設けられ、続いてグループ1〜グループ(n)として示すように複数連続して形成されていくことになる。そして最後のグループ(n)の後にアンブルフレームが配される。
【0045】
このようなデータ領域に続いて、パーティションのデータ領域の終了を示すEOD(End of Data)の領域が設けられる。パーティションが1つしか形成されない場合は、そのパーティション#0のEODの最後が、論理的テープの終了位置LEOT(Logical End of Tape)とされるが、N個のパーティションが形成されている例では、パーティション#0のEODに続いてオプショナルデバイス領域が形成される。上記した先頭位置PBOTからのデバイス領域は、パーティション#0に対応するロード/アンロードを行う領域となるが、パーティション#0の最後のオプショナルデバイス領域は、パーティション#1に対応するロード/アンロードを行う領域となる。テープの後端位置が物理的テープの最終位置PEOT(Phisycal End of Tape)とされる。
【0046】
ここで、ユーザデータが記録される上記データ領域はグループと呼ばれる40トラック(=20フレーム)を単位で記録される。このグループのレイアウトを図5に示す。
【0047】
すなわち、1グループ40トラックは、インターリーブされた偶数フレームで構成されるC3パリティ2バイトを含む20トラックと、インターリーブされた奇数フレームで構成されるC3パリティ2バイトを含む20トラックで構成される。1ラック当たりの容量は、128バイト×336ブロック×(58/64)×(48/56)=33408バイト/トラックである。また、1ブロック当たりの容量は、33408バイト×(40−4)トラック=1202688バイト/グループである。
【0048】
また、各トラックのレイアウトを図6に示す。1トラック336ブロックは、データ56バイトとそのC2パリティ4バイト×2からなるものを6つインターリーブさせてなる。
【0049】
1トラックのデータ部はブロックと呼ばれる集合体となっており、このブロックのレイアウトを図7に示す。すなわち、1ブロックは4バイトの同期情報、6バイトのID、2バイトのIDパリティ、奇数データと偶数データがインターリーブされた116バイトのデータとそのC1パリティ12バイトからなる。
【0050】
IDは、ブロック毎に存在し、図8に示すように、データ部6バイトとパリティ部2バイトとで構成される。データ部6バイトは、9ビットがブロックアドレス0〜335に使用され、39ビットがID情報、領域ID、ファイルマークカウント、グループカウント及びアブソリュートフレームカウントに使用される。
【0051】
トラックのID情報は、図9に示すように、16ブロックの多重書きが成されている。
【0052】
多重書きされるID情報は図10のように定義されている。
【0053】
そして、+アジマスの記録ヘッド15A,15Cと−アジマスの記録ヘッド15B,15D記録ヘッドによりいわゆるアジマスベタ記録により+アジマスのトラックと−アジマスのトラックを交互に順次形成するようにしたこの記録再生装置100では、各記録ヘッド15A〜15Dに対し[1]〜[4]のヘッド番号が割り当てられており、このヘッド番号が図10に示したID情報のブロック7に確保された領域に記録される。
【0054】
この記録再生装置100において、図示しない外部のホストコンピュータと接続されてデータの授受を行うインターフェース部1は、記録時にはホストコンピュータからのデータを受け取り、インデックス付加回路2及びサブコード発生部8に供給し、また、再生時には磁気テープ90から再生されたデータをホストコンピュータに出力する動作を行う。
【0055】
記録時において、インデックス付加回路2は、入力されたデータに対して上述した1グループ単位毎にインデックス情報を付加する処理を行う。インデックス情報が付加されたデータは、C3エンコーダ3、C2エンコーダ4、C1エンコーダ5においてそれぞれC3系列、C2系列、C1系列のエラー訂正符号が付加される。C3エンコーダ3、C2エンコーダ4、C1エンコーダ5のそれぞれは、メモリ6にデータを1グループとなるデータ単位毎に一時的に記憶して処理を行う。そしてC3エンコーダ3はトラック幅方向に対応するデータ列に対するエラー訂正符号C3を生成し、1グループのデータの最後のECCフレームのデータとして付加する。またC2エンコーダ4はトラック方向に対応するデータ列のエラー訂正符号C2を生成し、図3(c)に示したように0〜8フラグメント及び87〜95フラグメント内のエラー訂正符号C2とする。さらにC1エンコーダ5は、フラグメント単位のエラー訂正コードC1を発生させる。
【0056】
エラー訂正符号C1,C2,C3が付加されたデータはサブコード付加回路7に供給される。サブコード発生部8はインターフェース部1から供給されるデータに基づいて各種のサブコードデータやフラグメントアドレスを発生させ、サブコード付加回路7に供給する。発生されるサブコードとしては、例えばデータの区切りを示すセパレートカウンタ情報、記録数を示すレコードカウンタ情報、テープフォーマット上で定義された各領域を示すエリアID、フレーム番号、記録単位数を示すグループカウント情報、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報、チェックサムなどがあり、これらがサブコード発生部8においてフラグメントアドレスとともに発生されることになる。
【0057】
サブコード付加回路7ではこれらのサブコードとフラグメントアドレスを1フラグメント相当のデータ単位毎に付加していく。つまり図3(b),(c)におけるアドレス/サブコード領域に記録される情報が付加されることになる。
【0058】
続いてヘッダパリティ付加回路9では、図3(b),(c)におけるヘッダパリティ領域に記録されるCRCコードが付加される。このCRCコードはサブコードとフラグメントアドレスについてのエラー検出のための2バイトのパリティコードとされる。
【0059】
続いて8/10変調回路10では入力されたデータを1バイト単位で8ビットを10ビットに変換する、いわゆる8/10変調処理が行われ、その変調信号に対して同期信号付加回路11で同期信号が付加される。この同期信号とは、図3(b),(c)で示したフラグメントの先頭1バイトの同期信号である。
【0060】
さらにマージン付加回路12では、図3(a)に示したようにトラックの両端となるマージン領域に相当するデータを付加し、この段階で図2のトラックフォーマットに従った記録データ列が生成されることになる。このように生成された記録データは記録増幅器13に供給される。
【0061】
記録増幅器13で増幅された信号はロータリートランス14を介して回転ヘッドドラムHD内の記録ヘッド15に供給され、記録ヘッド15により走行されている磁気テープ90に対する磁気記録動作が行われる。磁気テープ90はテープカセット91内に収納され、記録/再生時にはテープカセット91から磁気テープ90が引き出されて(ローディング)回転ヘッドドラム50に巻装されることになる。そしてキャプスタン28とピンチローラ29によって挟接された状態でキャプスタン28が定速回転されることで、磁気テープ90は定速走行される。
【0062】
この記録再生装置100における記録時及び再生時の動作のイメージを図11に示す。テープカセット91から引き出された磁気テープ90は、ガイドピン51,52,53により、回転ヘッドドラム50に対して高さ方向に傾斜した状態で約90°の区間で巻きつけられながら、キャプスタン28とピンチローラ29によって定速で走行する。また回転ヘッドドラム50はこの磁気テープ90に摺接しながら回転されることで、記録ヘッド15による記録動作により、磁気テープ90には図2に示したようなヘリカルスキャン方式による記録トラックが形成されていく。
【0063】
なお、図1では1つの記録ヘッド15及び1つの再生ヘッド16を示しているのみであるが、実際にはアジマスベタ記録方式が採用されており、図11に示すように、+アジマスの記録ヘッド15A,15C及び記録ヘッド15B,15Dがそれぞれ180°対向するように90°の中心角をもって回転ヘッドドラム50の周面上に配置されているとともに、+アジマスの再生ヘッド16A,16C及び再生ヘッド16B,16Dがそれぞれ180°対向するように90°の中心角をもって回転ヘッドドラム50の周面上に配置されている。そして記録時には+アジマスの記録ヘッド15A,15Cと−アジマスの記録ヘッド15B,15Dが交互に磁気テープ90と摺接することになるため、図3のようにアジマス角度の異なるトラックTKA とトラックTKB が交互に形成されていく。
【0064】
再生時には、図11のように回転ヘッドドラム50に巻きつけられた磁気テープ90が走行されるとともに回転ヘッドドラム50が回転されることで、+アジマスの再生ヘッド16A,16C及び−アジマスの再生ヘッド16B,16Dが交互に記録トラックをトレースしていき、記録されたデータが読み出される。
【0065】
そして、再生ヘッド16(16A,16B,16C,16D)で読み出された信号は図1のようにロータリートランス17を介して再生増幅器18に供給される。なお、実際には記録用のロータリートランス14、再生用のロータリートランス18はそれぞれ1つしか示していないが、ロータリートランス14は図11の記録ヘッド15A,15B,15C,15Dに対応して設けられ、またロータリートランス18も再生ヘッド16A,16B,16C,16Dに対応して設けられることになる。
【0066】
再生増幅器18で増幅された信号は同期信号検出回路19に供給され、同期信号の検出処理が行われる。そして内部のPLL回路により検出した同期信号に同期した再生クロックが生成され、その再生クロックにより再生増幅器18で増幅された信号(RF信号)を2値化する。
【0067】
2値化されたデータに対しては10−8復調部20で記録時の8−10変調に対するデコード動作が行われ、8ビット単位のデータに戻される。8ビット単位のデータに復調された再生データはヘッダパリティチェック回路21で図3(b),(c)に示した2バイトのヘッダパリティを用いてサブコード及びフラグメントアドレスのパリティチェックが行われる。ヘッダパリティチェック回路21では、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報のチェックも行われる。
パリティチェックを終えたデータはサブコード分離回路22及びタイミング検出パルス生成回路27に供給される。
【0068】
サブコード分離回路22ではフラグメントアドレス及びサブコードデータを抽出し、システムコントローラ31に供給する。またフラグメントアドレス及びサブコードデータ以外の実際のデータはC1デコーダ23,C2デコーダ24、C3デコーダ25に送られる。C1デコーダ23,C2デコーダ24、C3デコーダ25では、それぞれC1系列、C2系列、C3系列でのエラー訂正処理が行われる。C1デコーダ23,C2デコーダ24、C3デコーダ25のそれぞれは、メモリ6にデータを1グループ単位毎に一時的に記憶して処理を行う。そしてC1デコーダ23は、フラグメント単位でエラー訂正コードC1に基づいて訂正処理を行い、またC2デコーダ24はトラック方向に対応するデータ列のエラー訂正符号C2を用いて訂正処理を行う。さらにC3デコーダ25は、エラー訂正符号C3を用いてフラグメント単位のエラー訂正処理を行う。
【0069】
エラー訂正処理が完了したデータはインデックス分離回路26においてインデックス情報が分離されインターフェース部1に送られる。そしてインターフェース部1から外部のホストコンピュータに出力されることになる。
【0070】
システムコントローラ31は装置全体を制御するマイクロコンピュータによって形成される。即ち記録時/再生時の信号処理動作、テープ走行動作、回転ヘッドドラム50の回転動作等の制御を行う。またサーボ回路30は、システムコントローラ31からの指示に基づいて実際にテープ走行動作、回転ヘッドドラム50の回転動作を実行させることになる。なお、サーボ回路30はマイクロコンピュータで形成でき、またシステムコントローラ31としてのマイクロコンピュータの機能による回路系としてシステムコントローラ31と一体化してもよい。
【0071】
回転ヘッドドラム50の回転動作はドラムモータ33によって実行される。また回転ヘッドドラム50にはドラムPG(パルスジェネレータ)36、ドラムFG(周波数ジェネレータ)37が取り付けられており、このドラムPG36からのパルスが増幅器38を介してサーボ回路30に供給される。またドラムFG37からのパルスは増幅器39を介してサーボ回路30に供給される。サーボ回路30はドラムPG36、ドラムFG37からのパルスに応じてスイッチングパルスを生成し、また回転位相情報を検出することができる。スイッチングパルスとは、いわゆるAアジマスヘッドとBアジマスヘッドとのそれぞれに対応する処理の切り換えの基準となる信号である。
【0072】
サーボ回路30は回転ヘッドドラム50の定速回転駆動に関しての制御としては、ドラムPG36若しくはドラムFG37からのパルスにより回転数を検出し、これを基準回転数と比較することで回転エラー情報を得る。そして回転エラー情報に応じてドラムモータドライバ32からドラムモータ33に印加する駆動信号を調整することで回転ヘッドドラム50を定速回転させる。
【0073】
また、キャプスタン28の回転数を制御することで、いわゆるトラッキングサーボを行うことになる。そして、トラッキングサーボ方式として、タイミングATF方式が採用されている。キャプスタン28はキャプスタンモータ35によって回転駆動される。またキャプスタン28にはキャプスタンFG(周波数ジェネレータ)40が取り付けられており、このキャプスタンFG40からのパルスが増幅器41を介してサーボ回路30に供給される。
【0074】
キャプスタン28を定速回転させるためには、サーボ回路30はキャプスタンFG40からのパルスによりキャプスタン28の回転数を検出し、これを基準回転数と比較することで回転エラー情報を得る。そして回転エラー情報に応じてキャプスタンモータドライバ34からキャプスタンモータ35に印加する駆動信号を調整することで定速回転を行う。
【0075】
そしてさらにトラッキングサーボを実行するために、サーボ回路30は、スイッチングパルスから検出できる回転ヘッドドラム50の基準位相位置タイミングと、タイミング検出パルス生成回路27から供給されるタイミング検出パルスTTPとを監視し、その期間をトラッキング検出期間として計測する。そして、トラッキング検出期間の計測値と予め設定しておいた基準値を比較することで、トラッキング誤差情報を得、それに基づいてキャプスタンモータドライバ34からキャプスタンモータ35に印加する駆動信号を調整し、キャプスタン28の回転速度を増減することでトラッキングサーボを行う。
【0076】
ここで、この記録再生装置100におけるタイミングATFについて、図12乃至図14を参照して説明する。
【0077】
記録されたテープを再生するときに、特定のIDをヘッドが通過する時間は、ヘッドがトラックのトレースする位置によって変わってくる。このようなテープに対して、順方向又は逆方向に×0.9倍速などで走行すると、図12に示すようなタイミングパルスが得られる。このタイミングパルスA,B,C,Dのセンター値を目標タイミングとしてサーボをかけると、再生ヘッドがトラック中心を走行することが知られている。また、1倍速以外の速度で走行しながら、タイミングパルスを振ってセンター値を計測することをTTPターゲットの測定という。
【0078】
同アジマスに対して複数のヘッドで記録されたテープに対してTTPターゲットの測定を行う場合の例を図13に示す。+アジマスはチャンネルCH1、CH3で記録されているものとし、ブロックNのIDが記録される高さはヘッドのマウント精度などの影響でずれてくる。このテープに対し、例えば再生ヘッドR1でTTP計測をすると、2つのずれた高さのIDが読めるので、測定したTTPのセンター値をとっても目標値とならない値が計測される。
【0079】
この記録再生装置100では、記録時にヘッド番号をID情報に記録しておくことにより、TTP計測時にはヘッド番号が[1]のときに目標タイミングパルスを出すようにタイミング検出パルス生成回路27が設定されている。逆方向×0.4などで計測を行うと、図14に示すように、CH1の記録ヘッドで記録したトラックのパルスA,Cのみ出力される。これにより、CH1で記録されたトラックに対する目標タイミングを測定することができる。
【0080】
上記原理に従って、再生時には、IDDT1のパルスのみを出力することにより、再生ヘッドR1を記録ヘッドW1で記録されたトラックにオントラックさせることができる。
【0081】
また、書き繋ぎを行うときは、記録するヘッドが順番に一定になるようにする。
【0082】
すなわち、+アジマスの記録ヘッドW1,W3、−アジマスの記録ヘッドW2,W4を有するこの記録再生装置100において、
W1−W2−W3−W4−W1−W2−W3−W4−W1−
と記録されている状態で、最後から4番目のW2の後に書き繋ぎを行う場合、
元の記録W1−W2−W3−W4−W1−W2に対する新しい記録としては、
新しい記録(1)W1−W2−W3−W4
新しい記録(2)W3−W4−W1−W2
の2種類が考えられるが、新しい記録(1)W1−W2−W3−W4を書き繋いでしまうと、書き繋ぎの部分W1−W2−W1−W2で、再生ヘッドR1が記録ヘッドW1で記録されていたトラックにオントラックしていたのが記録ヘッドW3で記録されたトラックに突然オントラックすることになり、このとき、目標タイミングが記録ヘッドW1,W3で全く値が異なるとタイミングATFが外れてしまい、目標の再計測が必要になるので、元の記録W1−W2−W3−W4−W1−W2に対して新しい記録(1)W1−W2−W3−W4を書き繋いで記録するヘッドが順番に一定になるようにする。
【0083】
ここで、タイミングATF動作のための回路系の構成を図15に示す。タイミングATF動作を含めたキャプスタンサーボのための回路系としては、サーボ回路30内にタイミングATF処理部61、基準値レジスタ68、スイッチングパルス生成部62、フリーランニングカウンタ63、サーボスイッチ64、キャプスタン基準速度発生部65、減算器66、速度サーボ信号生成部67が設けられる。
【0084】
トラッキングサーボをオフとしてキャプスタン28を定速回転駆動する場合には、システムコントローラ31から供給されるサーボオン/オフ制御信号TSON/OFFによりサーボスイッチ64がオフとされる。この場合、キャプスタン基準速度発生部65から、キャプスタン28の回転速度として設定したい速度に応じた信号が発生され、それがそのまま目標速度信号CVとされて速度サーボ信号生成部67に供給される。また速度サーボ信号生成部67にはキャプスタンFG40からのFGパルスFGC、即ちキャプスタン28の回転速度の応じた周波数となるパルスが供給されており、速度サーボ信号生成部67はこのFGパルスFGCから現在のキャプスタン28の回転速度を検出する。
【0085】
そして速度サーボ信号生成部67はFGパルスFGCから検出できる現在の回転速度と、目標とすべき回転速度を示す目標速度信号CVとを比較し、その誤差をキャプスタンサーボ信号SCPとしてキャプスタンモータドライバ34に供給する。キャプスタンモータドライバ34は例えば3相駆動信号によりキャプスタンモータ35を駆動し、キャプスタン28を回転させるが、キャプスタンサーボ信号SCPに応じてモータ駆動電圧をコントロールすることで、キャプスタン28はキャプスタン基準速度発生部65から発生させた目標速度信号CVに収束していくように定速回転サーボが実行されることになる。
【0086】
したがって、キャプスタン基準速度発生部65から発生させる目標速度信号CVを、通常の記録/再生時のテープ走行速度(1倍速)とすれば、キャプスタン28は1倍速の速度で定速回転され、また目標速度信号CVを、2倍速とすれば、キャプスタン28は2倍速の速度で定速回転される。即ち、キャプスタン基準速度発生部65から発生させる目標速度信号CVを変化させることで、テープ走行速度を可変させることができる。キャプスタン基準速度発生部65で発生させる目標速度信号CVはそのときの動作状態に応じてシステムコントローラ31が制御すればよい。例えば再生時には1倍速、テープ早送り再生時にはx倍速というように可変することができる。
【0087】
再生時においてトラッキング制御を行う場合は、サーボスイッチ64がオンとされる。そしてタイミングATF処理部61がトラッキング誤差を検出し、その誤差を減算器66でキャプスタン基準速度発生部65で発生させる値から減算することで、目標速度信号CVが生成される。即ちこの場合目標速度信号CVは所定速度(例えば1倍速)を中心としてトラッキング誤差に応じて増減されることになる。したがってテープ走行速度はトラッキング状態に応じて所定速度を中心に加速/減速され、これによってジャストトラッキング状態に収束される。トラッキングが安定しているときは、トラッキング誤差はほぼゼロとなるため、テープ走行はほぼ所定速度で継続することになる。
【0088】
タイミングATF処理部61のトラッキング誤差の検出処理としては、タイミング検出パルス生成回路27からのタイミング検出パルスTTPと、スイッチングパルス生成部62で生成されるスイッチングパルスSWPと、基準値レジスタ68にて保持されている基準値とに基づいて行う。
【0089】
ここで、基準値レジスタ68にて保持されているタイミングATFサーボのための基準値は、後述する本実施の形態としての基準値測定動作によって、ストリーミング記録領域ごとに対応して測定した基準値が、そのストリーミング記録領域との対応付けがされて保持されているものとされる。また、ストリーミング記録領域ごとに対応する基準値としては、1フレームを形成する互いに逆アジマスのトラックTKA,TKBごとの2つの基準値があるものとされる。基準値レジスタ68に対する基準値は、システムコントローラ31が基準値計測動作により算出した値をストリーミング記録領域ごとに対応させてセットするようにされる。また再生時においてトラッキング制御を行うのに際しては、システムコントローラ31が現在再生中とされるストリーミング記録領域を識別し、この識別されたストリーミング記録領域に対応させて、基準値レジスタ68から出力すべき基準値を変更するようにされる。
【0090】
タイミング検出パルス生成回路27は、図1に示したようにヘッダパリティチェック回路21からの、ヘッダパリティチェックが終了したデータからタイミング検出パルスTTPを生成する。タイミング検出パルスTTPとは、トラッキング位相状態計測のための信号であり、図18において位置PTTPとして示したトラック上の特定の位置から検出されるパルスのことである。
【0091】
タイミング検出パルス生成回路27では、上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、このトラックから読み出されるデータのうち、同期信号領域、アドレス/サブコード領域、ヘッダパリティ領域から検出されるデータ、つまりフラグメントのヘッダデータに基づいてタイミング検出パルスTTPを生成する。例えばフラグメントアドレスによりトラック上の特定の位置(図18における位置PTTP)としてのフラグメントを検出したら、そのヘッダデータ検出に応じてタイミング検出パルスTTPを出力する。
【0092】
図16(d)はトラックTKA1,TKB1,TKA2,TKB2から読み出されるRF信号のイメージを、また、図16(e)はタイミング検出パルス生成回路27が発生するタイミング検出パルスTTPを示す。この図から分かるように、各トラックの再生走査期間においてトラック上のある特定位置PTTP の再生走査に応じたタイミングでタイミング検出パルスTTPが出力されることがわかる。
【0093】
一方、図16(a)はドラムFG37から発生されるFGパルスFGD、図16(b)はドラムPG36から発生されるPGパルスPGDの例を示している。FGパルスFGD,PGパルスPGDのいづれも回転ヘッドドラム50の回転速度に応じた周波数のパルスとなり、またPGパルスPGDは、回転ヘッドドラム50の特定の回転位相位置に対応して発生されるものとなる。
【0094】
スイッチングパルス生成部62は、FGパルスFGD,PGパルスPGDを用いて図16(c)のスイッチングパルスSWPを生成する。例えばPGパルスPGDが検出された次のタイミングとなるFGパルスFGDの立上りを基準とし、それに所定の遅延時間DLを与えたタイミングが、スイッチングパルスSWPの立下りとなるようにスイッチングパルスSWPを生成する。スイッチングパルスSWPは信号処理についてのA1・A2チャンネル(再生ヘッド16A,16C)/B1・B2チャンネル(再生ヘッド16B,16D)の切り換え基準となる信号となり、図15には示していないが、このスイッチングパルスSWPは、他の各種必要回路系にも供給される。
【0095】
スイッチングパルスSWPが『L』レベルの期間は再生ヘッド16A,16Cからの再生データに関する処理期間となり、この期間においてトラックTKA1,TKA2に対する再生ヘッド16A,16Cによる走査が行われ、図16(d)のようにトラックTKA1,TKA2からのデータ読出(RF(A1),RF(A2))が行われる。一方、スイッチングパルスSWPが『H』レベルの期間は再生ヘッド16B,16Dからの再生データに関する処理期間となり、この期間においてトラックTKB1,TKB2に対する再生ヘッド16B、16Dによる走査が行われ、図16(d)のようにトラックTKB1,TKB2からのデータ読出(RF(B1),RF(B2))が行われる。
【0096】
タイミングATF処理部61では、スイッチングパルスSWPの立下りタイミングをトラックTKA1,TKA2に関するタイミングATF動作の基準となる回転ドラムの基準位相位置とする。そして、タイミングTRA1,TRA2からタイミング検出パルスTTPが入力されるまでの期間TDT(A1),TDT(A2)を、計測する。つまり、回転ドラムの基準位相位置から、ヘッドがトラック上から所定の信号(タイミング検出パルスTTP)を検出するまでの時間(トラッキング検出期間)を計測することになる。
【0097】
この計測動作にはフリーランニングカウンタ63が用いられる。例えばスイッチングパルスSWPの立下りタイミングTRA1,TRA2でフリーランニングカウンタ63のカウント値をラッチし、またタイミング検出パルスTTPの入力タイミングでフリーランニングカウンタ63のカウント値をラッチする。そして、この2つのカウント値で減算処理することでトラッキング検出期間としての計測値が得られる。そしてこのように求められた計測値を、基準値レジスタ68から現在出力されている基準値、即ち現在再生中とされるストリーミング記録領域におけるトラックTKA1,TKA2 用の基準値と比較して、誤差分をトラックTKA 1,TKA2に関するサーボエラー情報とする。
【0098】
またトラックTKB1,TKB2に関してはスイッチングパルスSWPの立上りタイミングをタイミングATF動作の基準となる回転ドラムの基準位相位置のタイミングTRB1,TRB2 とする。そして、タイミングTRB1,TRB2からタイミング検出パルスTTPが入力されるまでの期間TDT(B1),TDT(B2)を同様にフリーランニングカウンタ63を用いて計測する。そしてこのように求められた計測値を、基準値レジスタ68から出力されている、現在再生中とされるストリーミング記録領域におけるトラックトラックTKB1,TKB2用の基準値と比較して、誤差分をトラックTKB1,TKB2に関するサーボエラー情報とする。
【0099】
このようにして得られたサーボエラー情報を減算器66に入力し、目標速度信号CVに反映させてキャプスタン28の回転速度を制御することで、良好なトラッキング状態が得られるようにドラム回転速度とテープ走行速度との相対速度が調整される。
【0100】
すなわち、この記録再生装置100におけるサーボ回路30では、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行する。そして、単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせる。
【0101】
なお、上記実施の形態はDDS4フォーマットに則った場合としたが、タイミングATF方式を採る記録再生装置であれば、本発明の適用が可能である。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に記録されるトラックに対応する単位データ内において、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが記録されているようにしたことによって、1つのアジマストラックに複数のヘッドで記録する磁気記録再生装置において、タイミングATFサーボを行うたための目標の測定が可能となり、また、再生時に意図したトラックにタイミングATFサーボを行うことができる。さらに、書き繋ぎ記録を行う際に、記録されるトラックの順番をストリーミング時と同じ記録ヘッドの順で記録されるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した記録再生装置のブロック図である。
【図2】上記記録再生装置においてテープ上に形成されるトラックの模式図である。
【図3】トラックフォーマットを模式的に示す図である。
【図4】テープのレイアウトを模式的に示す図である。
【図5】グループのレイアウトを模式的に示す図である。
【図6】各トラックのレイアウトを模式的に示す図である。
【図7】1トラックのデータ部を構成するブロックのレイアウトを模式的に示す図である。
【図8】IDは、ブロック毎に存在するIDの構成を示す図である。
【図9】トラックのID情報の多重書きの状態を模式的に示す図である。
【図10】このヘッド番号が記録されるID情報のブロックを模式的に示す図である。
【図11】上記記録再生装置の回転ヘッドドラムの説明図である。
【図12】2アジマス2ヘッドの記録再生装置におけるタイミングATFの説明図である。
【図13】2アジマス4ヘッドの記録再生装置におけるタイミングATFの説明図である。
【図14】上記記録再生装置における実際のタイミングATFの説明図である。
【図15】上記記録再生装置のキャプスタンサーボ系のブロック図である。
【図16】上記記録再生装置のキャプスタンサーボ系の動作の説明図である。
【図17】ヘリカルスキャン方式のトラックの説明図である。
【図18】タイミングATF動作の説明図である。
【図19】タイミングATFのための基準値設定動作の説明図である。
【符号の説明】
1 インターフェース部、2 インデックス付加回路、3 C3エンコーダ、4 C2エンコーダ、5 C1エンコーダ、6 メモリ、7 サブコード付加回路、8 サブコード発生部、9 ヘッダパリティ付加回路、10 8/10変調回路、11 同期信号付加回路、12 マージン付加回路、13 記録増幅器、14,17 ロータリートランス、15,15A,15B 記録ヘッド、16,16A,16B 再生ヘッド、18 再生増幅器、19 同期信号検出回路、20 10/8復調回路、21 ヘッダパリティチェック回路、22 サブコード分離回路、23 C1デコーダ、24 C2デコーダ、25 C3デコーダ、26 インデックス分離回路、27 タイミング検出パルス生成回路、28 キャプスタン、29 ピンチローラ、30 サーボ回路、31 システムコントローラ、32 ドラムモータドライバ、33 ドラムモータ、34 キャプスタンモータドライバ、35 キャプスタンモータ、36 ドラムPG、37 ドラムFG、38,39,41 増幅器、40 キャプスタンFG、50 回転ヘッドドラム、61 タイミングATF処理部、62 スイッチングパルス生成部、63フリーランニングカウンタ、64 サーボスイッチ、65 キャプスタン基準速度発生部、66 減算器、67 速度サーボ信号生成部、68 基準値レジスタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラッキングサーボ制御としていわゆるタイミングATFサーボ方式に対応するテープ状記録媒体、このテープ状記録媒体対してデータを記録する記録装置と、この記録装置により記録されたテープ状記録媒体からデータを再生する再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば磁気テープに対してデジタルオーディオデータを記録再生するデジタルオーディオテーププレーヤ(DATレコーダ/プレーヤ)や、同じく磁気テープを用いたDATシステムをコンピュータ用のデータのストレージシステムとして用いるようにし、コンピュータデータ記録再生を行うようにしたデジタルデータストレージ機器(DDS機器)が開発されている。
【0003】
これらの装置では回転ドラムに例えば90°のラップ角で磁気テープを巻装させた状態でテープを走行させるとともに、回転ドラムを回転させて、回転ドラム上の磁気ヘッドを用いてヘリカルスキャン方式で記録/再生走査を行うことで高密度記録を可能にしている。
【0004】
この場合、テープ上には例えば図17のように傾斜トラックTKA,TKBが形成される。傾斜トラックTKA,TKBはそれぞれ回転ドラムに搭載されたアジマス方向の異なる一対のヘッド(Aヘッド、Bヘッド)によって形成されるトラックであり、互いに逆アジマスとされるトラックである。
【0005】
ところで、再生時に磁気ヘッドはテープ上のトラックTKを正確にトレースしていかなければならないが、このトラッキング制御方式としては、例えばDDS再生装置ではいわゆるタイミングATF方式といわれるトラッキングサーボ制御動作が行われるようにされている。このタイミングATF方式は、回転ドラムの基準位相位置から、ヘッドがトラック上から所定の信号(タイミング検出信号)を検出するまでの時間(トラッキング検出期間)を計測し、その計測値を基準値と比較して、誤差分をサーボエラー情報とする。
【0006】
そしてそのサーボエラー情報により、テープ走行のためのキャプスタンモータの回転速度を制御することで、テープ走行速度に反映させる。つまりテープ走行速度を調整して、良好なトラッキング状態が得られるようにドラム回転速度とテープ走行速度との相対速度を調整するものである。
【0007】
例えば図18のようにあるトラックに対して磁気ヘッドの走査位置が図中TRA として示すライン(タイミング)に相当する位置状態となった際に、回転ドラムの位相位置が基準位置であるとする。ドラム回転中に基準位相位置となった時点では例えばドラムモータに配されているパルスジェネレータ(PG)からのパルス信号が発生されるように構成されていることで、回転ドラムが基準位相位置となったタイミングTRAを検出できる。その後、磁気ヘッドが磁気テープに当接し、トラックTKAに対する走査を行っていくと、トラック上の所定の位置PTTP で再生データとしてタイミング検出信号が検出される。このタイミング検出信号とは、データ内の同期信号やアドレスの検出に基づいて予め決められた位置PTTPにおいてパルスが得られるようにしたものとする。
【0008】
ここで図中▲1▼、▲2▼、▲3▼として、トラックTKAに対するトラッキング位相状態が異なる3種類の走査を示しているが、回転ドラムの基準位相位置(ラインTRA の位置)のタイミングから位置PTTPに達するタイミングまでの期間(トラッキング検出期間)は、▲1▼、▲2▼、▲3▼の走査時にはそれぞれt1,t2,t3として示すように異なる時間となる。
【0009】
トラッキング検出期間としては、磁気ヘッドがトラックTKに対して良好なトラッキング状態、即ち▲1▼のようにトラックTKAのセンターをトレースしていく状態にあるときに得られる時間t1が基準値として予め設定されており、したがって、トラッキングサーボ制御時に、▲1▼のような走査が行われトラッキング検出期間として時間t1が計測された場合は、計測値と基準値は一致する。すなわち、この場合、計測値と基準値の誤差はなく、良好なトラッキング状態が得られているとされることになる。一方、▲2▼又は▲3▼のようなトラッキング位相状態で走査が行われた場合、トラッキング検出期間の計測値はt2又はt3となり、基準値と比較して誤差が存在することになる。この場合はその誤差分だけトラッキングずれが生じていることになり、これをテープ走行速度に反映させることで、ジャストトラッキング状態に向かうサーボ制御を実行することができる。
【0010】
このようなタイミングATFサーボを実行するに当たっては、基準値を予め求めておかなければならないが、上述したようにこの基準値とは、ジャストトラッキング状態において回転ドラムの基準位相位置のタイミングからタイミング検出信号が得られるタイミングまでの時間値である。タイミング検出信号は例えばトラック上の所定のアドレスにおける同期信号の検出に基づいて発生されるため、その位置PTTPは各種テープの各トラックにおいて固定のものであるが、実際には各種の記録装置と再生装置での機械的誤差などにより、たとえ、一回の連続記録により形成される複数トラック間においても、位置ずれが生じることは避けられない。このため、DDS再生装置においてあるファイルデータを再生するような場合は、その再生データの読出実行に先立って、そのテープ(そのファイルデータトラック)における基準値を計測しなければならない。
【0011】
この基準値の計測には、トラックに対して各種のトラッキング位相状態での走査を実行させ、その各走査において計測されたトラッキング検出期間から例えば平均値を算出し、これを基準値とするような処理が行われる。例えば図19にそのイメージを示す。図示するようにトラックTKAに対して例えばTJ1〜TJ5のように異なる複数のトラッキング位相状態で走査を実行させ、それらの走査の際に計測された各トラッキング検出期間から平均値を算出すると、ほぼ図中のトラッキング位相状態TJ3近辺のトラッキング位相状態におけるトラッキング検出期間が得られる。これはほぼジャストトラッキング状態でのトラッキング検出期間と考えることができ、したがってこれを基準値とするようにされている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、DDS3やDDS4などのようにタイミングATF方式を採用したDDS機器では、回転ドラムに搭載されたアジマス方向の異なる一対の記録ヘッド(Aヘッド、Bヘッド)によって互いに逆アジマスとされるトラックを形成することにより、各アジマスのトラックがヘッドと1対1で対応するので、各トラックにおけるタイミングATFの目標タイミングが一意に決まる。
【0013】
しかしながら、タイミングATF方式を採用した記録再生装置において、+アジマスの記録ヘッドを2個、−アジマスの記録ヘッドを2個、合計4個磁気デッドで2種類のアジマス記録トラックを形成するようにした場合、+アジマスのトラックと−アジマスのトラックにおいてそれぞれ2個の目標タイミングが存在することになり、次のような不具合を生じる。
【0014】
2種類の同アジマスの目標が混在するために、目標の計測を行うことができない。
【0015】
目標を設定しても、どのヘッドで記録したトラックにオントラックするか分からないため、目標を測定したヘッドと違うヘッドで記録したトラックにオントラックすることがある。
【0016】
したがって、読み出し時にオフセットしてATFがかかるために、再生出力が低下する。
【0017】
書き繋ぎの助走で他方のヘッドで記録したトラックにオントラックすると、書き繋ぎ部分でのトラックの食いつぶし若しくは消し残りが発生する。
【0018】
本願発明の目的は、上述の如き従来の問題点に鑑み、1つのアジマストラックに複数のヘッドで記録する磁気記録再生装置において、タイミングATFサーボを行う目標を測定できるようにし、また、再生時に意図したトラックにタイミングATFサーボを行うことができるようにすることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るテープ状記録媒体は、ヘリカルスキャン方式により当該テープ状記録媒体に記録されるトラックに対応する単位データ内において、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが記録されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る記録装置は、ヘリカルスキャン方式により、テープ状記録媒体に対してトラックごとに対応する所定のデータ単位によりデータを記録する記録装置であって、個々のトラックを識別することのできるトラック識別情報を生成するトラック識別情報生成手段と、記録時に記録するトラックがどのヘッドで記録しているかを示すヘッド番号情報を生成するヘッド番号情報生成手段と、上記単位データを形成する際に、各単位データが対応するトラック位置に応じて設定された内容のトラック識別情報とヘッド番号情報とを、単位データ構造内に挿入するようにされた単位データ形成手段とを備えていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る再生装置は、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に個々のトラックを識別するトラック識別情報と上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが単位データ構造内に挿入されて記録されたトラックからデータ再生を行う再生装置であって、上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせるトラッキングサーボ手段を備え、上記トラッキングサーボ手段は、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行することを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る記録再生装置は、個々のトラックを識別することのできるトラック識別情報を生成するトラック識別情報生成手段と、記録時に記録するトラックがどのヘッドで記録しているかを示すヘッド番号情報を生成するヘッド番号情報生成手段と、上記単位データを形成する際に、各単位データが対応するトラック位置に応じて設定された内容のトラック識別情報とヘッド番号情報とを、単位データ構造内に挿入するようにされた単位データ形成手段とを有し、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に個々のトラックを識別するトラック識別情報と上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とを単位データ構造内に挿入して、トラックごとに対応する所定のデータ単位によりデータを記録する記録系と、上記テープ状記録媒体のトラックからデータを再生を行う再生系からなり、上記再生系には、上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせるトラッキングサーボ手段を備え、上記トラッキングサーボ手段は、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、書き繋ぎ記録を行う際に、記録されるトラックの順番が素トリミング時と同じ記録ヘッドの順で記録されるように、再生時の上記トラッキングサーボ手段による再生ヘッドのオントラックを制御する書き繋ぎ記録制御手段を備えることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本発明は、例えば図1に示すような構成の記録再生装置に適用される。
【0026】
この記録再生装置100は、図示しない外部のホストコンピュータと接続されてデータの授受を行うインターフェース部1に接続されたインデックス付加回路2、サブコード発生部8及びインデックス分離回路26を備える。上記インデックス付加回路2及びインデックス分離回路26には、誤り訂正部を介して、サブコード付加回路7及びサブコード分離回路22が接続されている。
【0027】
上記誤り訂正部は、C3エンコーダ3、C2エンコーダ4及びC1エンコーダ5、メモリ6、C1デコーダ23,C2デコーダ24及びC3デコーダ25からなる。
【0028】
上記サブコード発生部8は、上記サブコード付加回路7に接続されている。そして、このサブコード付加回路7は、ヘッダパリティ付加回路9、8/10変調回路10、同期信号付加回路11、マージン付加回路12を介して記録増幅器13に接続されている。上記記録増幅器13は、ロータリートランス14を介して回転ヘッドドラムHD内の記録ヘッド15に接続されている。
【0029】
また、上記ヘッドドラムHD内の再生ヘッド16は、ロータリートランス17を介して再生増幅器18に接続されている。上記再生増幅器18は、同期信号検出回路19、10−8復調部20及びヘッダパリティチェック回路21を介して上記サブコード分離回路22及びタイミング検出パルス生成回路27に接続されている。
【0030】
また、上記誤り訂正部及びサブコード分離回路22には、システムコントローラ31が接続されている。
【0031】
さらに、上記サブコード分離回路22及びシステムコントローラ31にはサーボ回路30が接続されている。
【0032】
そして、上記サーボ回路30には、回転ヘッドドラム50を回転させるドラムモータ33を駆動するドラムモータドライバ32が接続されているとともに、磁気テープ90を定速走行させるキャプスタンモータ35を駆動するキャプスタンモータドライバ34が接続されている。また、上記サーボ回路30には、回転ヘッドドラム50に取り付けられたドラムPG(パルスジェネレータ)36、ドラムFG(周波数ジェネレータ)37が増幅器38,39を介して接続されているとともに、キャプスタン28に取り付けられたキャプスタンFG(周波数ジェネレータ)40が増幅器41を介して接続されている。
【0033】
ここで、この記録再生装置100は、DDS,DDS2,及びDDS3よりも高密度記録を可能にしたフォーマットが採用されているDDS4に対応したものとし、図2〜図7を参照してDDS4方式のトラックフォーマットについて説明する。
【0034】
図2は磁気テープ90上において形成されるヘリカルスキャン方式のトラックを示したものである。各トラックは、+アジマスの記録ヘッド15A,15Cと−アジマスの記録ヘッド15B,15D記録ヘッドによりいわゆるアジマスベタ記録によりトラック幅TWのトラックとして形成されていく。隣接するトラック同志は互いに逆アジマストラックとされる。即ち、一方のアジマス方向とされるトラックTKA と他方のアジマス方向とされるトラックTKB が交互に形成される。再生時には+アジマスの再生ヘッド16A,16C及び−アジマスの再生ヘッド16B,16Dによりトラックが交互に走査される。再生ヘッド16A〜Dのヘッド幅HWはトラック幅TWよりも広い幅とされているが、いわゆるアジマス効果により、隣接トラックからのクロストークは防止される。
【0035】
DDSフォーマットにおいては一対の隣接するトラックTKA,TKBは1フレームと呼ばれ、22フレームが1グループと呼ばれる単位となる。そしてグループの後ろには1フレーム分のECCフレームが設けられる場合があり、ECCフレームが設けられたばあいには、23(=22+1)フレームにより1グループが形成されるものと見なされる。またECCフレームの後にアンブルフレームが設けられる。ただし、このアンブルフレームのフレーム数は規定されておらず、また設けられない場合もある。そして、ECCフレーム及びアンブルフレームによってテープ90上でグループの境界が規定されることになる。なお、各グループにおいて、グループ内の最後のフレームには一連のデータを区分するためのインデックス情報が付加される。上記グループは、DDS4フォーマットにおける最小記録単位とされる。したがって、ストリーミングといわれる1回の記録動作は、最小でグループごとに行われ得ることになる。
【0036】
1つのトラック内のデータフォーマットは図3に示される。1つのトラックは図3(a)のように両端にマージン領域が形成され、そのマージン領域に挟まれた領域がメインデータ領域とされる。メインデータ領域は、0〜95のフラグメントアドレスが与えられた96単位のフラグメントに分割されている。1フラグメントは133バイトで構成され、その内容は図3(b),(c)に示される。
【0037】
フラグメントアドレスが9〜86までとなる78単位の各フラグメントは、図3(b)のように、先頭に1バイトの同期信号領域が設けられ、所定のパルス形態となる同期信号が記録される。同期信号領域に続いて6バイトのアドレス及びサブコード領域が設けられる。ここには1バイトでフラグメントアドレスが記録され、また5バイトでサブコードが記録される。
【0038】
続いて2バイトがヘッダパリティ領域とされ、さらに続く112バイトがデータ領域とされている。このデータ領域に実際のデータが記録される。フラグメントの最後の12バイトはECC領域とされる。このECC領域にはいわゆるC1訂正符号が記録される。C1訂正符号はフラグメント内のデータに対するするエラー訂正符号となり、つまり訂正処理はフラグメント単位で完結することになる。
【0039】
フラグメントアドレスが0〜8及び87〜95までとなる18単位の各フラグメントは図3(c)に示されるが、図3(b)のフラグメントと同様に同期信号領域、アドレス/サブコード領域、ヘッダパリティ領域、及びECC領域が設けられる。ただし、図3(b)のフラグメントではデータ領域とされていた112バイトは、ECC領域とされ、C2訂正符号が記録される。C2訂正符号は、1トラック内で完結する訂正系列の符号となる。
【0040】
なお、訂正符号としてはさらにC3訂正符号が付加される。これは図3に示したECCフレームにおいて記録されることになる。このC3訂正符号は1グループ内で完結する訂正系列の符号となる。また、C1訂正符号、C3訂正符号によるエラー状況を確認すれば、1トラック内のどの部分でエラーが発生したかが確認できるが、C2訂正符号は1トラック内でインターリーブがかけられて記録されるため、C2訂正符号によるエラー状況からは1トラック内でのエラー発生位置は確認できない。
【0041】
テープのレイアウトは、図4に示すように、デバイス領域に続くシステム領域、データ領域及びEOD(End Of Data)領域からなる。
【0042】
すなわち、磁気テープの最初の部分には物理的にリーダーテープが先頭に位置しており、次にテープカセットのローディング/アンローディングを行う領域となるデバイス領域が設けられている。このデバイス領域の先頭が物理的テープの先頭位置PBOT(Phisycal Bigining of Tape)とされる。上記デバイス領域に続いては、パーティション#0に関してのリファレンス領域及びテープの使用履歴情報等が格納されるシステム領域(以下、リファレンス領域を含めてシステム領域という)が設けられて、以降にデータ領域が設けられる。システム領域の先頭が論理的テープの開始位置LBOT(Logical Bigining of Tape)とされる。
【0043】
このシステム領域には、リファレンス領域、ポジショントレランスバンドNO.1、システムプリアンブル、システムログ、システムポストアンブル、ポジショントレランスバンドNO.2、ベンダーグループプリアンブルが形成される。
【0044】
このようなシステム領域に続くデータ領域においては、最初にデータを作成して供給するベンダーに関する情報が示されるベンダーグループが設けられ、続いてグループ1〜グループ(n)として示すように複数連続して形成されていくことになる。そして最後のグループ(n)の後にアンブルフレームが配される。
【0045】
このようなデータ領域に続いて、パーティションのデータ領域の終了を示すEOD(End of Data)の領域が設けられる。パーティションが1つしか形成されない場合は、そのパーティション#0のEODの最後が、論理的テープの終了位置LEOT(Logical End of Tape)とされるが、N個のパーティションが形成されている例では、パーティション#0のEODに続いてオプショナルデバイス領域が形成される。上記した先頭位置PBOTからのデバイス領域は、パーティション#0に対応するロード/アンロードを行う領域となるが、パーティション#0の最後のオプショナルデバイス領域は、パーティション#1に対応するロード/アンロードを行う領域となる。テープの後端位置が物理的テープの最終位置PEOT(Phisycal End of Tape)とされる。
【0046】
ここで、ユーザデータが記録される上記データ領域はグループと呼ばれる40トラック(=20フレーム)を単位で記録される。このグループのレイアウトを図5に示す。
【0047】
すなわち、1グループ40トラックは、インターリーブされた偶数フレームで構成されるC3パリティ2バイトを含む20トラックと、インターリーブされた奇数フレームで構成されるC3パリティ2バイトを含む20トラックで構成される。1ラック当たりの容量は、128バイト×336ブロック×(58/64)×(48/56)=33408バイト/トラックである。また、1ブロック当たりの容量は、33408バイト×(40−4)トラック=1202688バイト/グループである。
【0048】
また、各トラックのレイアウトを図6に示す。1トラック336ブロックは、データ56バイトとそのC2パリティ4バイト×2からなるものを6つインターリーブさせてなる。
【0049】
1トラックのデータ部はブロックと呼ばれる集合体となっており、このブロックのレイアウトを図7に示す。すなわち、1ブロックは4バイトの同期情報、6バイトのID、2バイトのIDパリティ、奇数データと偶数データがインターリーブされた116バイトのデータとそのC1パリティ12バイトからなる。
【0050】
IDは、ブロック毎に存在し、図8に示すように、データ部6バイトとパリティ部2バイトとで構成される。データ部6バイトは、9ビットがブロックアドレス0〜335に使用され、39ビットがID情報、領域ID、ファイルマークカウント、グループカウント及びアブソリュートフレームカウントに使用される。
【0051】
トラックのID情報は、図9に示すように、16ブロックの多重書きが成されている。
【0052】
多重書きされるID情報は図10のように定義されている。
【0053】
そして、+アジマスの記録ヘッド15A,15Cと−アジマスの記録ヘッド15B,15D記録ヘッドによりいわゆるアジマスベタ記録により+アジマスのトラックと−アジマスのトラックを交互に順次形成するようにしたこの記録再生装置100では、各記録ヘッド15A〜15Dに対し[1]〜[4]のヘッド番号が割り当てられており、このヘッド番号が図10に示したID情報のブロック7に確保された領域に記録される。
【0054】
この記録再生装置100において、図示しない外部のホストコンピュータと接続されてデータの授受を行うインターフェース部1は、記録時にはホストコンピュータからのデータを受け取り、インデックス付加回路2及びサブコード発生部8に供給し、また、再生時には磁気テープ90から再生されたデータをホストコンピュータに出力する動作を行う。
【0055】
記録時において、インデックス付加回路2は、入力されたデータに対して上述した1グループ単位毎にインデックス情報を付加する処理を行う。インデックス情報が付加されたデータは、C3エンコーダ3、C2エンコーダ4、C1エンコーダ5においてそれぞれC3系列、C2系列、C1系列のエラー訂正符号が付加される。C3エンコーダ3、C2エンコーダ4、C1エンコーダ5のそれぞれは、メモリ6にデータを1グループとなるデータ単位毎に一時的に記憶して処理を行う。そしてC3エンコーダ3はトラック幅方向に対応するデータ列に対するエラー訂正符号C3を生成し、1グループのデータの最後のECCフレームのデータとして付加する。またC2エンコーダ4はトラック方向に対応するデータ列のエラー訂正符号C2を生成し、図3(c)に示したように0〜8フラグメント及び87〜95フラグメント内のエラー訂正符号C2とする。さらにC1エンコーダ5は、フラグメント単位のエラー訂正コードC1を発生させる。
【0056】
エラー訂正符号C1,C2,C3が付加されたデータはサブコード付加回路7に供給される。サブコード発生部8はインターフェース部1から供給されるデータに基づいて各種のサブコードデータやフラグメントアドレスを発生させ、サブコード付加回路7に供給する。発生されるサブコードとしては、例えばデータの区切りを示すセパレートカウンタ情報、記録数を示すレコードカウンタ情報、テープフォーマット上で定義された各領域を示すエリアID、フレーム番号、記録単位数を示すグループカウント情報、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報、チェックサムなどがあり、これらがサブコード発生部8においてフラグメントアドレスとともに発生されることになる。
【0057】
サブコード付加回路7ではこれらのサブコードとフラグメントアドレスを1フラグメント相当のデータ単位毎に付加していく。つまり図3(b),(c)におけるアドレス/サブコード領域に記録される情報が付加されることになる。
【0058】
続いてヘッダパリティ付加回路9では、図3(b),(c)におけるヘッダパリティ領域に記録されるCRCコードが付加される。このCRCコードはサブコードとフラグメントアドレスについてのエラー検出のための2バイトのパリティコードとされる。
【0059】
続いて8/10変調回路10では入力されたデータを1バイト単位で8ビットを10ビットに変換する、いわゆる8/10変調処理が行われ、その変調信号に対して同期信号付加回路11で同期信号が付加される。この同期信号とは、図3(b),(c)で示したフラグメントの先頭1バイトの同期信号である。
【0060】
さらにマージン付加回路12では、図3(a)に示したようにトラックの両端となるマージン領域に相当するデータを付加し、この段階で図2のトラックフォーマットに従った記録データ列が生成されることになる。このように生成された記録データは記録増幅器13に供給される。
【0061】
記録増幅器13で増幅された信号はロータリートランス14を介して回転ヘッドドラムHD内の記録ヘッド15に供給され、記録ヘッド15により走行されている磁気テープ90に対する磁気記録動作が行われる。磁気テープ90はテープカセット91内に収納され、記録/再生時にはテープカセット91から磁気テープ90が引き出されて(ローディング)回転ヘッドドラム50に巻装されることになる。そしてキャプスタン28とピンチローラ29によって挟接された状態でキャプスタン28が定速回転されることで、磁気テープ90は定速走行される。
【0062】
この記録再生装置100における記録時及び再生時の動作のイメージを図11に示す。テープカセット91から引き出された磁気テープ90は、ガイドピン51,52,53により、回転ヘッドドラム50に対して高さ方向に傾斜した状態で約90°の区間で巻きつけられながら、キャプスタン28とピンチローラ29によって定速で走行する。また回転ヘッドドラム50はこの磁気テープ90に摺接しながら回転されることで、記録ヘッド15による記録動作により、磁気テープ90には図2に示したようなヘリカルスキャン方式による記録トラックが形成されていく。
【0063】
なお、図1では1つの記録ヘッド15及び1つの再生ヘッド16を示しているのみであるが、実際にはアジマスベタ記録方式が採用されており、図11に示すように、+アジマスの記録ヘッド15A,15C及び記録ヘッド15B,15Dがそれぞれ180°対向するように90°の中心角をもって回転ヘッドドラム50の周面上に配置されているとともに、+アジマスの再生ヘッド16A,16C及び再生ヘッド16B,16Dがそれぞれ180°対向するように90°の中心角をもって回転ヘッドドラム50の周面上に配置されている。そして記録時には+アジマスの記録ヘッド15A,15Cと−アジマスの記録ヘッド15B,15Dが交互に磁気テープ90と摺接することになるため、図3のようにアジマス角度の異なるトラックTKA とトラックTKB が交互に形成されていく。
【0064】
再生時には、図11のように回転ヘッドドラム50に巻きつけられた磁気テープ90が走行されるとともに回転ヘッドドラム50が回転されることで、+アジマスの再生ヘッド16A,16C及び−アジマスの再生ヘッド16B,16Dが交互に記録トラックをトレースしていき、記録されたデータが読み出される。
【0065】
そして、再生ヘッド16(16A,16B,16C,16D)で読み出された信号は図1のようにロータリートランス17を介して再生増幅器18に供給される。なお、実際には記録用のロータリートランス14、再生用のロータリートランス18はそれぞれ1つしか示していないが、ロータリートランス14は図11の記録ヘッド15A,15B,15C,15Dに対応して設けられ、またロータリートランス18も再生ヘッド16A,16B,16C,16Dに対応して設けられることになる。
【0066】
再生増幅器18で増幅された信号は同期信号検出回路19に供給され、同期信号の検出処理が行われる。そして内部のPLL回路により検出した同期信号に同期した再生クロックが生成され、その再生クロックにより再生増幅器18で増幅された信号(RF信号)を2値化する。
【0067】
2値化されたデータに対しては10−8復調部20で記録時の8−10変調に対するデコード動作が行われ、8ビット単位のデータに戻される。8ビット単位のデータに復調された再生データはヘッダパリティチェック回路21で図3(b),(c)に示した2バイトのヘッダパリティを用いてサブコード及びフラグメントアドレスのパリティチェックが行われる。ヘッダパリティチェック回路21では、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報のチェックも行われる。
パリティチェックを終えたデータはサブコード分離回路22及びタイミング検出パルス生成回路27に供給される。
【0068】
サブコード分離回路22ではフラグメントアドレス及びサブコードデータを抽出し、システムコントローラ31に供給する。またフラグメントアドレス及びサブコードデータ以外の実際のデータはC1デコーダ23,C2デコーダ24、C3デコーダ25に送られる。C1デコーダ23,C2デコーダ24、C3デコーダ25では、それぞれC1系列、C2系列、C3系列でのエラー訂正処理が行われる。C1デコーダ23,C2デコーダ24、C3デコーダ25のそれぞれは、メモリ6にデータを1グループ単位毎に一時的に記憶して処理を行う。そしてC1デコーダ23は、フラグメント単位でエラー訂正コードC1に基づいて訂正処理を行い、またC2デコーダ24はトラック方向に対応するデータ列のエラー訂正符号C2を用いて訂正処理を行う。さらにC3デコーダ25は、エラー訂正符号C3を用いてフラグメント単位のエラー訂正処理を行う。
【0069】
エラー訂正処理が完了したデータはインデックス分離回路26においてインデックス情報が分離されインターフェース部1に送られる。そしてインターフェース部1から外部のホストコンピュータに出力されることになる。
【0070】
システムコントローラ31は装置全体を制御するマイクロコンピュータによって形成される。即ち記録時/再生時の信号処理動作、テープ走行動作、回転ヘッドドラム50の回転動作等の制御を行う。またサーボ回路30は、システムコントローラ31からの指示に基づいて実際にテープ走行動作、回転ヘッドドラム50の回転動作を実行させることになる。なお、サーボ回路30はマイクロコンピュータで形成でき、またシステムコントローラ31としてのマイクロコンピュータの機能による回路系としてシステムコントローラ31と一体化してもよい。
【0071】
回転ヘッドドラム50の回転動作はドラムモータ33によって実行される。また回転ヘッドドラム50にはドラムPG(パルスジェネレータ)36、ドラムFG(周波数ジェネレータ)37が取り付けられており、このドラムPG36からのパルスが増幅器38を介してサーボ回路30に供給される。またドラムFG37からのパルスは増幅器39を介してサーボ回路30に供給される。サーボ回路30はドラムPG36、ドラムFG37からのパルスに応じてスイッチングパルスを生成し、また回転位相情報を検出することができる。スイッチングパルスとは、いわゆるAアジマスヘッドとBアジマスヘッドとのそれぞれに対応する処理の切り換えの基準となる信号である。
【0072】
サーボ回路30は回転ヘッドドラム50の定速回転駆動に関しての制御としては、ドラムPG36若しくはドラムFG37からのパルスにより回転数を検出し、これを基準回転数と比較することで回転エラー情報を得る。そして回転エラー情報に応じてドラムモータドライバ32からドラムモータ33に印加する駆動信号を調整することで回転ヘッドドラム50を定速回転させる。
【0073】
また、キャプスタン28の回転数を制御することで、いわゆるトラッキングサーボを行うことになる。そして、トラッキングサーボ方式として、タイミングATF方式が採用されている。キャプスタン28はキャプスタンモータ35によって回転駆動される。またキャプスタン28にはキャプスタンFG(周波数ジェネレータ)40が取り付けられており、このキャプスタンFG40からのパルスが増幅器41を介してサーボ回路30に供給される。
【0074】
キャプスタン28を定速回転させるためには、サーボ回路30はキャプスタンFG40からのパルスによりキャプスタン28の回転数を検出し、これを基準回転数と比較することで回転エラー情報を得る。そして回転エラー情報に応じてキャプスタンモータドライバ34からキャプスタンモータ35に印加する駆動信号を調整することで定速回転を行う。
【0075】
そしてさらにトラッキングサーボを実行するために、サーボ回路30は、スイッチングパルスから検出できる回転ヘッドドラム50の基準位相位置タイミングと、タイミング検出パルス生成回路27から供給されるタイミング検出パルスTTPとを監視し、その期間をトラッキング検出期間として計測する。そして、トラッキング検出期間の計測値と予め設定しておいた基準値を比較することで、トラッキング誤差情報を得、それに基づいてキャプスタンモータドライバ34からキャプスタンモータ35に印加する駆動信号を調整し、キャプスタン28の回転速度を増減することでトラッキングサーボを行う。
【0076】
ここで、この記録再生装置100におけるタイミングATFについて、図12乃至図14を参照して説明する。
【0077】
記録されたテープを再生するときに、特定のIDをヘッドが通過する時間は、ヘッドがトラックのトレースする位置によって変わってくる。このようなテープに対して、順方向又は逆方向に×0.9倍速などで走行すると、図12に示すようなタイミングパルスが得られる。このタイミングパルスA,B,C,Dのセンター値を目標タイミングとしてサーボをかけると、再生ヘッドがトラック中心を走行することが知られている。また、1倍速以外の速度で走行しながら、タイミングパルスを振ってセンター値を計測することをTTPターゲットの測定という。
【0078】
同アジマスに対して複数のヘッドで記録されたテープに対してTTPターゲットの測定を行う場合の例を図13に示す。+アジマスはチャンネルCH1、CH3で記録されているものとし、ブロックNのIDが記録される高さはヘッドのマウント精度などの影響でずれてくる。このテープに対し、例えば再生ヘッドR1でTTP計測をすると、2つのずれた高さのIDが読めるので、測定したTTPのセンター値をとっても目標値とならない値が計測される。
【0079】
この記録再生装置100では、記録時にヘッド番号をID情報に記録しておくことにより、TTP計測時にはヘッド番号が[1]のときに目標タイミングパルスを出すようにタイミング検出パルス生成回路27が設定されている。逆方向×0.4などで計測を行うと、図14に示すように、CH1の記録ヘッドで記録したトラックのパルスA,Cのみ出力される。これにより、CH1で記録されたトラックに対する目標タイミングを測定することができる。
【0080】
上記原理に従って、再生時には、IDDT1のパルスのみを出力することにより、再生ヘッドR1を記録ヘッドW1で記録されたトラックにオントラックさせることができる。
【0081】
また、書き繋ぎを行うときは、記録するヘッドが順番に一定になるようにする。
【0082】
すなわち、+アジマスの記録ヘッドW1,W3、−アジマスの記録ヘッドW2,W4を有するこの記録再生装置100において、
W1−W2−W3−W4−W1−W2−W3−W4−W1−
と記録されている状態で、最後から4番目のW2の後に書き繋ぎを行う場合、
元の記録W1−W2−W3−W4−W1−W2に対する新しい記録としては、
新しい記録(1)W1−W2−W3−W4
新しい記録(2)W3−W4−W1−W2
の2種類が考えられるが、新しい記録(1)W1−W2−W3−W4を書き繋いでしまうと、書き繋ぎの部分W1−W2−W1−W2で、再生ヘッドR1が記録ヘッドW1で記録されていたトラックにオントラックしていたのが記録ヘッドW3で記録されたトラックに突然オントラックすることになり、このとき、目標タイミングが記録ヘッドW1,W3で全く値が異なるとタイミングATFが外れてしまい、目標の再計測が必要になるので、元の記録W1−W2−W3−W4−W1−W2に対して新しい記録(1)W1−W2−W3−W4を書き繋いで記録するヘッドが順番に一定になるようにする。
【0083】
ここで、タイミングATF動作のための回路系の構成を図15に示す。タイミングATF動作を含めたキャプスタンサーボのための回路系としては、サーボ回路30内にタイミングATF処理部61、基準値レジスタ68、スイッチングパルス生成部62、フリーランニングカウンタ63、サーボスイッチ64、キャプスタン基準速度発生部65、減算器66、速度サーボ信号生成部67が設けられる。
【0084】
トラッキングサーボをオフとしてキャプスタン28を定速回転駆動する場合には、システムコントローラ31から供給されるサーボオン/オフ制御信号TSON/OFFによりサーボスイッチ64がオフとされる。この場合、キャプスタン基準速度発生部65から、キャプスタン28の回転速度として設定したい速度に応じた信号が発生され、それがそのまま目標速度信号CVとされて速度サーボ信号生成部67に供給される。また速度サーボ信号生成部67にはキャプスタンFG40からのFGパルスFGC、即ちキャプスタン28の回転速度の応じた周波数となるパルスが供給されており、速度サーボ信号生成部67はこのFGパルスFGCから現在のキャプスタン28の回転速度を検出する。
【0085】
そして速度サーボ信号生成部67はFGパルスFGCから検出できる現在の回転速度と、目標とすべき回転速度を示す目標速度信号CVとを比較し、その誤差をキャプスタンサーボ信号SCPとしてキャプスタンモータドライバ34に供給する。キャプスタンモータドライバ34は例えば3相駆動信号によりキャプスタンモータ35を駆動し、キャプスタン28を回転させるが、キャプスタンサーボ信号SCPに応じてモータ駆動電圧をコントロールすることで、キャプスタン28はキャプスタン基準速度発生部65から発生させた目標速度信号CVに収束していくように定速回転サーボが実行されることになる。
【0086】
したがって、キャプスタン基準速度発生部65から発生させる目標速度信号CVを、通常の記録/再生時のテープ走行速度(1倍速)とすれば、キャプスタン28は1倍速の速度で定速回転され、また目標速度信号CVを、2倍速とすれば、キャプスタン28は2倍速の速度で定速回転される。即ち、キャプスタン基準速度発生部65から発生させる目標速度信号CVを変化させることで、テープ走行速度を可変させることができる。キャプスタン基準速度発生部65で発生させる目標速度信号CVはそのときの動作状態に応じてシステムコントローラ31が制御すればよい。例えば再生時には1倍速、テープ早送り再生時にはx倍速というように可変することができる。
【0087】
再生時においてトラッキング制御を行う場合は、サーボスイッチ64がオンとされる。そしてタイミングATF処理部61がトラッキング誤差を検出し、その誤差を減算器66でキャプスタン基準速度発生部65で発生させる値から減算することで、目標速度信号CVが生成される。即ちこの場合目標速度信号CVは所定速度(例えば1倍速)を中心としてトラッキング誤差に応じて増減されることになる。したがってテープ走行速度はトラッキング状態に応じて所定速度を中心に加速/減速され、これによってジャストトラッキング状態に収束される。トラッキングが安定しているときは、トラッキング誤差はほぼゼロとなるため、テープ走行はほぼ所定速度で継続することになる。
【0088】
タイミングATF処理部61のトラッキング誤差の検出処理としては、タイミング検出パルス生成回路27からのタイミング検出パルスTTPと、スイッチングパルス生成部62で生成されるスイッチングパルスSWPと、基準値レジスタ68にて保持されている基準値とに基づいて行う。
【0089】
ここで、基準値レジスタ68にて保持されているタイミングATFサーボのための基準値は、後述する本実施の形態としての基準値測定動作によって、ストリーミング記録領域ごとに対応して測定した基準値が、そのストリーミング記録領域との対応付けがされて保持されているものとされる。また、ストリーミング記録領域ごとに対応する基準値としては、1フレームを形成する互いに逆アジマスのトラックTKA,TKBごとの2つの基準値があるものとされる。基準値レジスタ68に対する基準値は、システムコントローラ31が基準値計測動作により算出した値をストリーミング記録領域ごとに対応させてセットするようにされる。また再生時においてトラッキング制御を行うのに際しては、システムコントローラ31が現在再生中とされるストリーミング記録領域を識別し、この識別されたストリーミング記録領域に対応させて、基準値レジスタ68から出力すべき基準値を変更するようにされる。
【0090】
タイミング検出パルス生成回路27は、図1に示したようにヘッダパリティチェック回路21からの、ヘッダパリティチェックが終了したデータからタイミング検出パルスTTPを生成する。タイミング検出パルスTTPとは、トラッキング位相状態計測のための信号であり、図18において位置PTTPとして示したトラック上の特定の位置から検出されるパルスのことである。
【0091】
タイミング検出パルス生成回路27では、上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、このトラックから読み出されるデータのうち、同期信号領域、アドレス/サブコード領域、ヘッダパリティ領域から検出されるデータ、つまりフラグメントのヘッダデータに基づいてタイミング検出パルスTTPを生成する。例えばフラグメントアドレスによりトラック上の特定の位置(図18における位置PTTP)としてのフラグメントを検出したら、そのヘッダデータ検出に応じてタイミング検出パルスTTPを出力する。
【0092】
図16(d)はトラックTKA1,TKB1,TKA2,TKB2から読み出されるRF信号のイメージを、また、図16(e)はタイミング検出パルス生成回路27が発生するタイミング検出パルスTTPを示す。この図から分かるように、各トラックの再生走査期間においてトラック上のある特定位置PTTP の再生走査に応じたタイミングでタイミング検出パルスTTPが出力されることがわかる。
【0093】
一方、図16(a)はドラムFG37から発生されるFGパルスFGD、図16(b)はドラムPG36から発生されるPGパルスPGDの例を示している。FGパルスFGD,PGパルスPGDのいづれも回転ヘッドドラム50の回転速度に応じた周波数のパルスとなり、またPGパルスPGDは、回転ヘッドドラム50の特定の回転位相位置に対応して発生されるものとなる。
【0094】
スイッチングパルス生成部62は、FGパルスFGD,PGパルスPGDを用いて図16(c)のスイッチングパルスSWPを生成する。例えばPGパルスPGDが検出された次のタイミングとなるFGパルスFGDの立上りを基準とし、それに所定の遅延時間DLを与えたタイミングが、スイッチングパルスSWPの立下りとなるようにスイッチングパルスSWPを生成する。スイッチングパルスSWPは信号処理についてのA1・A2チャンネル(再生ヘッド16A,16C)/B1・B2チャンネル(再生ヘッド16B,16D)の切り換え基準となる信号となり、図15には示していないが、このスイッチングパルスSWPは、他の各種必要回路系にも供給される。
【0095】
スイッチングパルスSWPが『L』レベルの期間は再生ヘッド16A,16Cからの再生データに関する処理期間となり、この期間においてトラックTKA1,TKA2に対する再生ヘッド16A,16Cによる走査が行われ、図16(d)のようにトラックTKA1,TKA2からのデータ読出(RF(A1),RF(A2))が行われる。一方、スイッチングパルスSWPが『H』レベルの期間は再生ヘッド16B,16Dからの再生データに関する処理期間となり、この期間においてトラックTKB1,TKB2に対する再生ヘッド16B、16Dによる走査が行われ、図16(d)のようにトラックTKB1,TKB2からのデータ読出(RF(B1),RF(B2))が行われる。
【0096】
タイミングATF処理部61では、スイッチングパルスSWPの立下りタイミングをトラックTKA1,TKA2に関するタイミングATF動作の基準となる回転ドラムの基準位相位置とする。そして、タイミングTRA1,TRA2からタイミング検出パルスTTPが入力されるまでの期間TDT(A1),TDT(A2)を、計測する。つまり、回転ドラムの基準位相位置から、ヘッドがトラック上から所定の信号(タイミング検出パルスTTP)を検出するまでの時間(トラッキング検出期間)を計測することになる。
【0097】
この計測動作にはフリーランニングカウンタ63が用いられる。例えばスイッチングパルスSWPの立下りタイミングTRA1,TRA2でフリーランニングカウンタ63のカウント値をラッチし、またタイミング検出パルスTTPの入力タイミングでフリーランニングカウンタ63のカウント値をラッチする。そして、この2つのカウント値で減算処理することでトラッキング検出期間としての計測値が得られる。そしてこのように求められた計測値を、基準値レジスタ68から現在出力されている基準値、即ち現在再生中とされるストリーミング記録領域におけるトラックTKA1,TKA2 用の基準値と比較して、誤差分をトラックTKA 1,TKA2に関するサーボエラー情報とする。
【0098】
またトラックTKB1,TKB2に関してはスイッチングパルスSWPの立上りタイミングをタイミングATF動作の基準となる回転ドラムの基準位相位置のタイミングTRB1,TRB2 とする。そして、タイミングTRB1,TRB2からタイミング検出パルスTTPが入力されるまでの期間TDT(B1),TDT(B2)を同様にフリーランニングカウンタ63を用いて計測する。そしてこのように求められた計測値を、基準値レジスタ68から出力されている、現在再生中とされるストリーミング記録領域におけるトラックトラックTKB1,TKB2用の基準値と比較して、誤差分をトラックTKB1,TKB2に関するサーボエラー情報とする。
【0099】
このようにして得られたサーボエラー情報を減算器66に入力し、目標速度信号CVに反映させてキャプスタン28の回転速度を制御することで、良好なトラッキング状態が得られるようにドラム回転速度とテープ走行速度との相対速度が調整される。
【0100】
すなわち、この記録再生装置100におけるサーボ回路30では、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行する。そして、単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせる。
【0101】
なお、上記実施の形態はDDS4フォーマットに則った場合としたが、タイミングATF方式を採る記録再生装置であれば、本発明の適用が可能である。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に記録されるトラックに対応する単位データ内において、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが記録されているようにしたことによって、1つのアジマストラックに複数のヘッドで記録する磁気記録再生装置において、タイミングATFサーボを行うたための目標の測定が可能となり、また、再生時に意図したトラックにタイミングATFサーボを行うことができる。さらに、書き繋ぎ記録を行う際に、記録されるトラックの順番をストリーミング時と同じ記録ヘッドの順で記録されるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した記録再生装置のブロック図である。
【図2】上記記録再生装置においてテープ上に形成されるトラックの模式図である。
【図3】トラックフォーマットを模式的に示す図である。
【図4】テープのレイアウトを模式的に示す図である。
【図5】グループのレイアウトを模式的に示す図である。
【図6】各トラックのレイアウトを模式的に示す図である。
【図7】1トラックのデータ部を構成するブロックのレイアウトを模式的に示す図である。
【図8】IDは、ブロック毎に存在するIDの構成を示す図である。
【図9】トラックのID情報の多重書きの状態を模式的に示す図である。
【図10】このヘッド番号が記録されるID情報のブロックを模式的に示す図である。
【図11】上記記録再生装置の回転ヘッドドラムの説明図である。
【図12】2アジマス2ヘッドの記録再生装置におけるタイミングATFの説明図である。
【図13】2アジマス4ヘッドの記録再生装置におけるタイミングATFの説明図である。
【図14】上記記録再生装置における実際のタイミングATFの説明図である。
【図15】上記記録再生装置のキャプスタンサーボ系のブロック図である。
【図16】上記記録再生装置のキャプスタンサーボ系の動作の説明図である。
【図17】ヘリカルスキャン方式のトラックの説明図である。
【図18】タイミングATF動作の説明図である。
【図19】タイミングATFのための基準値設定動作の説明図である。
【符号の説明】
1 インターフェース部、2 インデックス付加回路、3 C3エンコーダ、4 C2エンコーダ、5 C1エンコーダ、6 メモリ、7 サブコード付加回路、8 サブコード発生部、9 ヘッダパリティ付加回路、10 8/10変調回路、11 同期信号付加回路、12 マージン付加回路、13 記録増幅器、14,17 ロータリートランス、15,15A,15B 記録ヘッド、16,16A,16B 再生ヘッド、18 再生増幅器、19 同期信号検出回路、20 10/8復調回路、21 ヘッダパリティチェック回路、22 サブコード分離回路、23 C1デコーダ、24 C2デコーダ、25 C3デコーダ、26 インデックス分離回路、27 タイミング検出パルス生成回路、28 キャプスタン、29 ピンチローラ、30 サーボ回路、31 システムコントローラ、32 ドラムモータドライバ、33 ドラムモータ、34 キャプスタンモータドライバ、35 キャプスタンモータ、36 ドラムPG、37 ドラムFG、38,39,41 増幅器、40 キャプスタンFG、50 回転ヘッドドラム、61 タイミングATF処理部、62 スイッチングパルス生成部、63フリーランニングカウンタ、64 サーボスイッチ、65 キャプスタン基準速度発生部、66 減算器、67 速度サーボ信号生成部、68 基準値レジスタ
Claims (5)
- ヘリカルスキャン方式により当該テープ状記録媒体に記録されるトラックに対応する単位データ内において、個々のトラックを識別するトラック識別情報と、上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが記録されていることを特徴とするテープ状記録媒体。
- ヘリカルスキャン方式により、テープ状記録媒体に対してトラックごとに対応する所定のデータ単位によりデータを記録する記録装置であって、
個々のトラックを識別することのできるトラック識別情報を生成するトラック識別情報生成手段と、
記録時に記録するトラックがどのヘッドで記録しているかを示すヘッド番号情報を生成するヘッド番号情報生成手段と、
上記単位データを形成する際に、各単位データが対応するトラック位置に応じて設定された内容のトラック識別情報とヘッド番号情報とを、単位データ構造内に挿入するようにされた単位データ形成手段と
を備えていることを特徴とする記録装置。 - ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に個々のトラックを識別するトラック識別情報と上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とが単位データ構造内に挿入されて記録されたトラックからデータ再生を行う再生装置であって、
上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせるトラッキングサーボ手段を備え、
上記トラッキングサーボ手段は、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行することを特徴とする再生装置。 - 個々のトラックを識別することのできるトラック識別情報を生成するトラック識別情報生成手段と、記録時に記録するトラックがどのヘッドで記録しているかを示すヘッド番号情報を生成するヘッド番号情報生成手段と、上記単位データを形成する際に、各単位データが対応するトラック位置に応じて設定された内容のトラック識別情報とヘッド番号情報とを、単位データ構造内に挿入するようにされた単位データ形成手段とを有し、ヘリカルスキャン方式によりテープ状記録媒体に個々のトラックを識別するトラック識別情報と上記個々のトラックがどのヘッドで記録されたかを識別するヘッド番号情報とを単位データ構造内に挿入して、トラックごとに対応する所定のデータ単位によりデータを記録する記録系と、
上記テープ状記録媒体のトラックからデータを再生を行う再生系からなり、
上記再生系には、上記単位データ構造内に挿入されて記録されているトラック識別情報とヘッド番号情報に基づいて、特定のヘッド番号と一致するヘッド番号情報が得られるトラックを特定し、特定のトラックを記録したヘッドに対応する再生ヘッドをオントラックさせるトラッキングサーボ手段を備え、
上記トラッキングサーボ手段は、回転ドラムが1回転周期内の基準位相位置となる時点から前記ヘッドがトラック上の所定位置の再生を行う時点までとなるトラッキング検出期間を計測し、このトラッキング検出期間の計測値を、予め計測により設定されたトラッキング検出期間の基準値と比較することで、テープ状記録媒体の走行速度と回転ドラムの回転速度との相対速度に対するサーボ制御信号を生成し、このサーボ制御信号に基づいてトラッキングサーボ制御を実行することを特徴とする記録再生装置。 - 書き繋ぎ記録を行う際に、記録されるトラックの順番がストリーミング時と同じ記録ヘッドの順で記録されるように、再生時の上記トラッキングサーボ手段による再生ヘッドのオントラックを制御する書き繋ぎ記録制御手段を備えることを特徴とする請求項4記載の記録再生装置。
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JP2002239729A JP2004079100A (ja) | 2002-08-20 | 2002-08-20 | テープ状記録媒体及びその記録装置、再生装置並びに記録再生装置 |
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2002
- 2002-08-20 JP JP2002239729A patent/JP2004079100A/ja active Pending
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