JP2004078133A - 電鋳による光コネクタ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多心フェルールなどの金属管の製造方法において、従来の全ての線材に通電して電鋳することを原因として、電鋳部の断面が楕円形になって加工が著しく難しくなることとや、孔位置が複数列に並んだ多心フェルールを製造しようとする時に、空洞部8を発生して製造不可能な問題を解決することを課題としている。
【解決手段】光コネクタ用多心フェルールなどの各種多心金属管の電鋳法による製造方法において、中心部の線材6aだけに通電しながら電鋳する手段を採用した。
【選択図】 図4
【解決手段】光コネクタ用多心フェルールなどの各種多心金属管の電鋳法による製造方法において、中心部の線材6aだけに通電しながら電鋳する手段を採用した。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ用のコネクタ、デバイス、モジュールなどに使用する多心フェルールやエンジン用噴射ポンプノズル、インクジェットプリンター用ノズルなどの寸法精度の高い細い多孔の開いた金属管の電鋳による製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば光ファイバ用のコネクタ、デバイス、モジュールなどに使用する丸型の多心フェルールは、図1に示すような断面構造で、ジルコニア製の二つの光ファイバ用の挿入孔2の開いたキャピラリ3をNC機械加工などで製造したSUSなどの金属部品4に圧入して製造されており、また角型の一般にMT型といわれる多心フェルールが主にプラスチック成形で製造されている。
【0003】
図1のジルコニアセラミック製の二心タイプのキャピラリ3は、まず樹脂とジルコニア粉末の混合物を原料に使用して射出成形してから、500℃程度で樹脂分を分解(脱脂)し、続いて1300℃程度で焼成した後、中心の二つの孔を作業者が高度な熟練技で磨きながら寸法出しをして製造しているが、数μm単位で精度が要求される孔径や孔位置を正確な寸法に仕上げることが極めて難しく、特にシングルモードタイプの場合には殆ど良品が得られず、実質的に技能者が熟練技で製造するのは不可能なレベルにあるのが現状であり、また二心タイプ以上の例えば四心、八心タイプなどの場合には、ジルコニアでは全く製造不可能であった。
【0004】
一方、本発明者が、特願2001−109269号に於いて金属またはプラスチックの複数本の線を母型に使用し電鋳によりニッケルなどの金属で製造した金属製多心フェルールの製造方法を提案している。
【0005】
当該特許においては、金属、プラスチックなどの2本以上の線材を張ったものを母型に使用し、電鋳してから当該線材を除去する多心フェルールの製造方法に於いて、電鋳用の陰極治具の線材の位置決めに、水平方向に固定した電気絶縁性板の複数個を、孔位置を一直線上に配して、当該電気絶縁性薄板の孔に線材を通す方法や、寸法精度の極めて高い電気絶縁性のV溝に線材を挟む方法で位置を決めして、電鋳する製造方法を提案しているが、当該方法で多心フェルールを製造する時に、二心タイプ程度までは問題は無いのであるが、四心またはそれ以上の場合の、例えば図2の五心タイプフェルールの場合に、通電性の複数の線材の全てに、同時に電流を流して電鋳することが原因となって、電鋳部5の断面が楕円形になり、丸型の多心フェルールの目標断面形状7を加工しようとする場合に、切削しろが大きくなって加工が著しく難しく、また五心タイプ以上になると楕円形状が更に横長となって丸型多心フェルールが実質的に製造不可能になるという問題があった。
【0006】
また、孔位置が複数列に並んだ多心フェルールを製造しようとする時に、例えば図3は、孔が四個ずつ三列に並んだものを当該方法で製造する場合に、前記同様、通電性の複数の線材6の全てに、同時に電流を流して電鋳することを原因として、空洞部8を発生して製造不可能な問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上に鑑み、線材6の二本以上の複数本を母型に使用し、電鋳後、当該線材を除去し、機械加工する多心フェルールなどの金属管の製造方法において、通電性の複数の線材6の全てに、同時に電流を流して電鋳することを原因として、電鋳部5の断面が楕円形になると同時に、凹凸が大きく発生する現象があり、例えば丸型の光コネクタ用多心フェルールの目標断面形状7を加工しようとする場合に、切削しろが大きくなって加工が著しく難しく、また五心タイプ以上になると楕円形状が更に横長となって丸型多心フェルールの製造が実質的に不可能になることや、孔位置が複数列に並んだ多心フェルールを製造しようとする時に、空洞部8を発生して製造不可能な問題を解決することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、光コネクタ用多心フェルールなどの各種多心金属管の電鋳法による製造方法において、中心部に設けた通電性の線材6aだけに通電しながら電鋳する手段を採用した。
【0009】
【発明実施の形態】
本発明の実施の形態について更に詳しく説明すると、図4は本発明の電鋳装置一実施例であるが、電鋳液14中に円筒形のチタンバスケットの中にニッケル球を入れたプラス電極15を四隅に配置し、陰極治具9をこの四隅に配置したプラス電極15の中央に配し、空気撹拌ノズル16からのエアで撹拌しながら電鋳を実施するが、図4の陰極治具9は、五心タイプの実施例であるが、中心の線材6aにステンレス線を使用し、それ以外の線材6にフロロカーボン系の外径125.5μmモノフィラメント線を使用して、正確な位置と大きさの五心の孔の開いた電気絶縁性板10の孔に通してから、プラスチックやSUSなどの材質で製造した支板11の中央に孔の開いた電気絶縁性板10と同一形状の凹部12に電気絶縁性板10を嵌合させ、ステンレス製のバネ13の引掛け部に固定し、線材6、6aを引っ張って五本の線材が捩じれることなく平行で真っ直ぐになった状態にして、中心付近にある通電性線材6aだけに通電しながら電鋳を実施するが、その際には支板11の上下の間隔を多心フェルールなどの金属管の丁度一個分の長さより僅かに長い程度の間隔にする方法を採用することなどで、電気絶縁性板10と電鋳部5の接触部付近を完成した製品の作用面に使用することによって、良好な位置精度を得ることができる。
【0010】
正確な位置と大きさの多孔を開けた電気絶縁性板10は、プラスチック成形品やフォトレジスト加工のフォトエッチング法によって製造したシリコン板や特殊ドリルによってNC加工で多孔を開けた板などが使用でき、このうちプラスチック成形品を使用する方法が適性が高く、特に多量のフィーラーを混合したエポキシ樹脂、PPS樹脂、フェノール樹脂などの線膨脹係数の低い材質の採用が望ましい。
【0011】
本発明においては、陰極治具9にセットされている多数の線材6の中の中心付近の線材6aにSUS、リン青銅などの金属製の通電性のあるものを使用して、この中心の線材だけにマイナス電流を流すことを特徴としているが、中心付近に設けた線材6aについては、一本を使用するのが丸型金属管を製造する場合は適性が高いが、複数本であっても良く、中心以外の線材6の材質については、SUS、リン青銅などの通電性の金属であってもよいし、通電製のない樹脂製の線材6であってもよく、中心以外の線材に導電性の線材6を使用して電鋳する場合には、電鋳部が差支えない程度の多少の断面の楕円化が見られるが、これに樹脂製の線材6を使用する場合には、電鋳する際に樹脂製の線材6が電解析出作用に全く影響を及ぼさないことが原因で、より位置精度が良くなると同時に出来た電鋳品の断面形状が殆ど真円になることから本発明においては、丸型金属管を製造する場合には、最も適した方法といえる。
【0012】
電鋳部5の材質は、例えばニッケル又はその合金、鉄又はその合金、銅又はその合金、コバルト又はその合金、タングステン合金、微粒子分散金属などが採用可能であり、電鋳液14には、スルファミン酸ニツケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、スルファミン酸第一鉄、ホウフッ化第一鉄、ピロリン酸胴、硫酸銅、ホウフッ化銅、ケイフッ化銅、チタンフッ化銅、アルカノールスルフォン酸銅、硫酸コバルト、タングステン酸ナトリウムなどの水溶液を主成分とする水溶液、又は、これらの液に炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素、酸化ジルコニウム、チッ化ケイ素、アルミナ、ダイヤモンドなどの微粉末を分散させた液が使用され、これらのうち特にスルファミン酸ニッケルを主成分とする浴が、電鋳のやり易さ、硬度などの物性の多様性、化学的安定性、溶接の容易性、電鋳液の安全性などの面で適している。そして、電鋳液は、濾過精度0.1〜5μm程度のフィルターで高速濾過し、また加温して±3℃程度の適性温度範囲に温度コントロールすればよい。
【0013】
プラス電極15は、目的とする電鋳金属により異なっており、ニッケル、鉄、銅、コバルトなどから選定され、板状、球状のものを適宜使用する。球状のものを使用する場合は、チタン製のバスケットに入れ、ポリエステル製の布袋で覆って使用すればよい。そして線材6を中心にして4本のプラス電極15を配した構成となつている。
【0014】
そして空気撹拌ノズル16の孔から少量のエアーを吹き出して撹拌を実施する。ただし、この撹拌はエアー撹拌に限定されず、他にプロペラ、超音波、超振動などの撹拌が採用できる。
【0015】
中心の通電性の線材6aは、鉄またはその合金、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金などの金属線及び表面に導電性の付与したナイロン、ポリエステルなどのプラスチックなどから適宜選択使用可能であるが、引っ張り強度、通電性の良好なリン青銅が適性が高く、外径、真円度などの寸法精度が良好なものを使用するのか望ましい。
【0016】
中心以外の部分の線材6は、SUS、リン青銅などの通電性の金属であってもよいし、ナイロン、テフロン、ポリエステルなどの通電製のない樹脂製の線材6であっても良く、外径、真円度などの寸法精度が極めて良好のものを使用する。
【0017】
上記のような装置で電鋳を実施することになるが、電鋳は、直流電流を3〜8A/dm2程度の電流密度で実施し、所定の太さに成長させた後、電鋳槽から取り出してよく水洗した後乾燥させるが、本発明者が以前に出願している特願2000−104113号公報などに記載されている図5の平面図において陰極治具9とプラス電極15との間隔を同程度とし、陰極治具9の中心の導電性の線材6aを中心にして自転させながら電鋳を実施し、積算電流値が所定の値になった時点で、自動的に電鋳を中止する手段を採用することによって電鋳太さが均一となり、偏肉、曲りなどのないものが製造できることから望ましい方法である。
【0018】
また、例えば中央に125.5μmのリン青銅線を配し、その水平方向に125.5μmのフロロカーボン線を左右に各々二本づつ配置して、前記方法に従って電鋳を実施すると、従来の図2の断面構造の楕円と比較して、図6の断面図に示すように中心の通電性の線材6aを中心の成長するために出来た電鋳部5が真円に近いものとなり、その後の加工工程において、五本の線材6、6aを引き抜いて、中心の孔を利用した円筒研削法などを採用した機械加工を採用することによって径と位置の精度の良好な孔の開いた丸型の光ファイバ用多心フェルールを容易に製造可能となる。
【0019】
また、例えば図7に示すように中央に125.5μmのリン青銅の線材6aを配置し、水平方向に三列で四個づつの125.5μmのフロロカーボン線を配置して、前記方法に従って電鋳を実施すると、中心の通電性の線材6aを中心の成長するために出来た電鋳部5が真円に近いものとなり、その後の加工工程において、十三本の線材を全部引き抜いて、中心の孔を利用した円筒研削法などを採用した機械加工を採用することによって、従来の図3に示す空洞部8を発生することなく、孔の径と位置の精度の良好な丸型十三心の光ファイバ用多心フェルールを極めて容易に製造可能となる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、以上に示した方法により、以下に示す効果を奏する。線材6の二本以上の複数本を母型に使用し、電鋳後、当該線材を除去し、機械加工する光ファイバ用多心フェルールなどの金属管の製造方法において、中心部付近の通電性の線材6aだけに通電しながら電鋳する手段を採用したので、従来法の電鋳部5の断面が楕円形になると同時に凹凸が発生する現象があり、切削しろが著しく大きくなるなどで加工が著しく難しく、また五心タイプ以上になると楕円形状が更に横長となって丸型多心フェルールの製造が実質的に不可能なことや、孔位置が複数列に並んだ多心フェルールを製造しようとする時に、空洞部8を発生して製造不可能な問題を根本的に解決し、容易に製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来法に係る光コネクタ用二心フェルールの断面図と側面図である。
【図2】従来法に係る五心タイプの電鋳部の概略断面形状である。
【図3】従来法に係る十二心タイプの電鋳部の概略断面形状である。
【図4】本発明に係る多心タイプのフェルールを製造する場合の、電鋳装置の一例を示す側面構成図である。
【図5】本発明に係る他の電鋳装置の他の一実施例を示す平面構成図である。
【図6】本発明に係る電鋳法によって五心タイプの光コネクタ用丸型フェルールを製造する際の電鋳後の形状を示す断面図である。
【図7】本発明に係る電鋳法によって十三心タイプの光コネクタ用丸型フェルールを製造する際の電鋳後の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 多心フェルール 2 挿入孔
3 キャピラリ 4 金属部品
5 電鋳部 6 線材
6a 通電性線材 7 目標断面形状
8 空洞部 9 陰極治具
10 電気絶縁性板 11 支板
12 凹部 13 バネ電鋳液
14 電鋳液 15 プラス電極
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ用のコネクタ、デバイス、モジュールなどに使用する多心フェルールやエンジン用噴射ポンプノズル、インクジェットプリンター用ノズルなどの寸法精度の高い細い多孔の開いた金属管の電鋳による製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば光ファイバ用のコネクタ、デバイス、モジュールなどに使用する丸型の多心フェルールは、図1に示すような断面構造で、ジルコニア製の二つの光ファイバ用の挿入孔2の開いたキャピラリ3をNC機械加工などで製造したSUSなどの金属部品4に圧入して製造されており、また角型の一般にMT型といわれる多心フェルールが主にプラスチック成形で製造されている。
【0003】
図1のジルコニアセラミック製の二心タイプのキャピラリ3は、まず樹脂とジルコニア粉末の混合物を原料に使用して射出成形してから、500℃程度で樹脂分を分解(脱脂)し、続いて1300℃程度で焼成した後、中心の二つの孔を作業者が高度な熟練技で磨きながら寸法出しをして製造しているが、数μm単位で精度が要求される孔径や孔位置を正確な寸法に仕上げることが極めて難しく、特にシングルモードタイプの場合には殆ど良品が得られず、実質的に技能者が熟練技で製造するのは不可能なレベルにあるのが現状であり、また二心タイプ以上の例えば四心、八心タイプなどの場合には、ジルコニアでは全く製造不可能であった。
【0004】
一方、本発明者が、特願2001−109269号に於いて金属またはプラスチックの複数本の線を母型に使用し電鋳によりニッケルなどの金属で製造した金属製多心フェルールの製造方法を提案している。
【0005】
当該特許においては、金属、プラスチックなどの2本以上の線材を張ったものを母型に使用し、電鋳してから当該線材を除去する多心フェルールの製造方法に於いて、電鋳用の陰極治具の線材の位置決めに、水平方向に固定した電気絶縁性板の複数個を、孔位置を一直線上に配して、当該電気絶縁性薄板の孔に線材を通す方法や、寸法精度の極めて高い電気絶縁性のV溝に線材を挟む方法で位置を決めして、電鋳する製造方法を提案しているが、当該方法で多心フェルールを製造する時に、二心タイプ程度までは問題は無いのであるが、四心またはそれ以上の場合の、例えば図2の五心タイプフェルールの場合に、通電性の複数の線材の全てに、同時に電流を流して電鋳することが原因となって、電鋳部5の断面が楕円形になり、丸型の多心フェルールの目標断面形状7を加工しようとする場合に、切削しろが大きくなって加工が著しく難しく、また五心タイプ以上になると楕円形状が更に横長となって丸型多心フェルールが実質的に製造不可能になるという問題があった。
【0006】
また、孔位置が複数列に並んだ多心フェルールを製造しようとする時に、例えば図3は、孔が四個ずつ三列に並んだものを当該方法で製造する場合に、前記同様、通電性の複数の線材6の全てに、同時に電流を流して電鋳することを原因として、空洞部8を発生して製造不可能な問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上に鑑み、線材6の二本以上の複数本を母型に使用し、電鋳後、当該線材を除去し、機械加工する多心フェルールなどの金属管の製造方法において、通電性の複数の線材6の全てに、同時に電流を流して電鋳することを原因として、電鋳部5の断面が楕円形になると同時に、凹凸が大きく発生する現象があり、例えば丸型の光コネクタ用多心フェルールの目標断面形状7を加工しようとする場合に、切削しろが大きくなって加工が著しく難しく、また五心タイプ以上になると楕円形状が更に横長となって丸型多心フェルールの製造が実質的に不可能になることや、孔位置が複数列に並んだ多心フェルールを製造しようとする時に、空洞部8を発生して製造不可能な問題を解決することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、光コネクタ用多心フェルールなどの各種多心金属管の電鋳法による製造方法において、中心部に設けた通電性の線材6aだけに通電しながら電鋳する手段を採用した。
【0009】
【発明実施の形態】
本発明の実施の形態について更に詳しく説明すると、図4は本発明の電鋳装置一実施例であるが、電鋳液14中に円筒形のチタンバスケットの中にニッケル球を入れたプラス電極15を四隅に配置し、陰極治具9をこの四隅に配置したプラス電極15の中央に配し、空気撹拌ノズル16からのエアで撹拌しながら電鋳を実施するが、図4の陰極治具9は、五心タイプの実施例であるが、中心の線材6aにステンレス線を使用し、それ以外の線材6にフロロカーボン系の外径125.5μmモノフィラメント線を使用して、正確な位置と大きさの五心の孔の開いた電気絶縁性板10の孔に通してから、プラスチックやSUSなどの材質で製造した支板11の中央に孔の開いた電気絶縁性板10と同一形状の凹部12に電気絶縁性板10を嵌合させ、ステンレス製のバネ13の引掛け部に固定し、線材6、6aを引っ張って五本の線材が捩じれることなく平行で真っ直ぐになった状態にして、中心付近にある通電性線材6aだけに通電しながら電鋳を実施するが、その際には支板11の上下の間隔を多心フェルールなどの金属管の丁度一個分の長さより僅かに長い程度の間隔にする方法を採用することなどで、電気絶縁性板10と電鋳部5の接触部付近を完成した製品の作用面に使用することによって、良好な位置精度を得ることができる。
【0010】
正確な位置と大きさの多孔を開けた電気絶縁性板10は、プラスチック成形品やフォトレジスト加工のフォトエッチング法によって製造したシリコン板や特殊ドリルによってNC加工で多孔を開けた板などが使用でき、このうちプラスチック成形品を使用する方法が適性が高く、特に多量のフィーラーを混合したエポキシ樹脂、PPS樹脂、フェノール樹脂などの線膨脹係数の低い材質の採用が望ましい。
【0011】
本発明においては、陰極治具9にセットされている多数の線材6の中の中心付近の線材6aにSUS、リン青銅などの金属製の通電性のあるものを使用して、この中心の線材だけにマイナス電流を流すことを特徴としているが、中心付近に設けた線材6aについては、一本を使用するのが丸型金属管を製造する場合は適性が高いが、複数本であっても良く、中心以外の線材6の材質については、SUS、リン青銅などの通電性の金属であってもよいし、通電製のない樹脂製の線材6であってもよく、中心以外の線材に導電性の線材6を使用して電鋳する場合には、電鋳部が差支えない程度の多少の断面の楕円化が見られるが、これに樹脂製の線材6を使用する場合には、電鋳する際に樹脂製の線材6が電解析出作用に全く影響を及ぼさないことが原因で、より位置精度が良くなると同時に出来た電鋳品の断面形状が殆ど真円になることから本発明においては、丸型金属管を製造する場合には、最も適した方法といえる。
【0012】
電鋳部5の材質は、例えばニッケル又はその合金、鉄又はその合金、銅又はその合金、コバルト又はその合金、タングステン合金、微粒子分散金属などが採用可能であり、電鋳液14には、スルファミン酸ニツケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、スルファミン酸第一鉄、ホウフッ化第一鉄、ピロリン酸胴、硫酸銅、ホウフッ化銅、ケイフッ化銅、チタンフッ化銅、アルカノールスルフォン酸銅、硫酸コバルト、タングステン酸ナトリウムなどの水溶液を主成分とする水溶液、又は、これらの液に炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素、酸化ジルコニウム、チッ化ケイ素、アルミナ、ダイヤモンドなどの微粉末を分散させた液が使用され、これらのうち特にスルファミン酸ニッケルを主成分とする浴が、電鋳のやり易さ、硬度などの物性の多様性、化学的安定性、溶接の容易性、電鋳液の安全性などの面で適している。そして、電鋳液は、濾過精度0.1〜5μm程度のフィルターで高速濾過し、また加温して±3℃程度の適性温度範囲に温度コントロールすればよい。
【0013】
プラス電極15は、目的とする電鋳金属により異なっており、ニッケル、鉄、銅、コバルトなどから選定され、板状、球状のものを適宜使用する。球状のものを使用する場合は、チタン製のバスケットに入れ、ポリエステル製の布袋で覆って使用すればよい。そして線材6を中心にして4本のプラス電極15を配した構成となつている。
【0014】
そして空気撹拌ノズル16の孔から少量のエアーを吹き出して撹拌を実施する。ただし、この撹拌はエアー撹拌に限定されず、他にプロペラ、超音波、超振動などの撹拌が採用できる。
【0015】
中心の通電性の線材6aは、鉄またはその合金、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金などの金属線及び表面に導電性の付与したナイロン、ポリエステルなどのプラスチックなどから適宜選択使用可能であるが、引っ張り強度、通電性の良好なリン青銅が適性が高く、外径、真円度などの寸法精度が良好なものを使用するのか望ましい。
【0016】
中心以外の部分の線材6は、SUS、リン青銅などの通電性の金属であってもよいし、ナイロン、テフロン、ポリエステルなどの通電製のない樹脂製の線材6であっても良く、外径、真円度などの寸法精度が極めて良好のものを使用する。
【0017】
上記のような装置で電鋳を実施することになるが、電鋳は、直流電流を3〜8A/dm2程度の電流密度で実施し、所定の太さに成長させた後、電鋳槽から取り出してよく水洗した後乾燥させるが、本発明者が以前に出願している特願2000−104113号公報などに記載されている図5の平面図において陰極治具9とプラス電極15との間隔を同程度とし、陰極治具9の中心の導電性の線材6aを中心にして自転させながら電鋳を実施し、積算電流値が所定の値になった時点で、自動的に電鋳を中止する手段を採用することによって電鋳太さが均一となり、偏肉、曲りなどのないものが製造できることから望ましい方法である。
【0018】
また、例えば中央に125.5μmのリン青銅線を配し、その水平方向に125.5μmのフロロカーボン線を左右に各々二本づつ配置して、前記方法に従って電鋳を実施すると、従来の図2の断面構造の楕円と比較して、図6の断面図に示すように中心の通電性の線材6aを中心の成長するために出来た電鋳部5が真円に近いものとなり、その後の加工工程において、五本の線材6、6aを引き抜いて、中心の孔を利用した円筒研削法などを採用した機械加工を採用することによって径と位置の精度の良好な孔の開いた丸型の光ファイバ用多心フェルールを容易に製造可能となる。
【0019】
また、例えば図7に示すように中央に125.5μmのリン青銅の線材6aを配置し、水平方向に三列で四個づつの125.5μmのフロロカーボン線を配置して、前記方法に従って電鋳を実施すると、中心の通電性の線材6aを中心の成長するために出来た電鋳部5が真円に近いものとなり、その後の加工工程において、十三本の線材を全部引き抜いて、中心の孔を利用した円筒研削法などを採用した機械加工を採用することによって、従来の図3に示す空洞部8を発生することなく、孔の径と位置の精度の良好な丸型十三心の光ファイバ用多心フェルールを極めて容易に製造可能となる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、以上に示した方法により、以下に示す効果を奏する。線材6の二本以上の複数本を母型に使用し、電鋳後、当該線材を除去し、機械加工する光ファイバ用多心フェルールなどの金属管の製造方法において、中心部付近の通電性の線材6aだけに通電しながら電鋳する手段を採用したので、従来法の電鋳部5の断面が楕円形になると同時に凹凸が発生する現象があり、切削しろが著しく大きくなるなどで加工が著しく難しく、また五心タイプ以上になると楕円形状が更に横長となって丸型多心フェルールの製造が実質的に不可能なことや、孔位置が複数列に並んだ多心フェルールを製造しようとする時に、空洞部8を発生して製造不可能な問題を根本的に解決し、容易に製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来法に係る光コネクタ用二心フェルールの断面図と側面図である。
【図2】従来法に係る五心タイプの電鋳部の概略断面形状である。
【図3】従来法に係る十二心タイプの電鋳部の概略断面形状である。
【図4】本発明に係る多心タイプのフェルールを製造する場合の、電鋳装置の一例を示す側面構成図である。
【図5】本発明に係る他の電鋳装置の他の一実施例を示す平面構成図である。
【図6】本発明に係る電鋳法によって五心タイプの光コネクタ用丸型フェルールを製造する際の電鋳後の形状を示す断面図である。
【図7】本発明に係る電鋳法によって十三心タイプの光コネクタ用丸型フェルールを製造する際の電鋳後の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 多心フェルール 2 挿入孔
3 キャピラリ 4 金属部品
5 電鋳部 6 線材
6a 通電性線材 7 目標断面形状
8 空洞部 9 陰極治具
10 電気絶縁性板 11 支板
12 凹部 13 バネ電鋳液
14 電鋳液 15 プラス電極
Claims (7)
- 金属、プラスチックなどの2本以上の線材6を張ったものを母型に使用し、電鋳してから当該線材6を除去する金属管の製造方法に於いて、複数個の孔が正確な径と位置で開いている同一形状の電気絶縁性板10の複数個を、孔位置を一直線上に配して、当該電気絶縁性板10の複数の孔に線材6を捩じれることなく平行に一直線状に通して成る陰極治具9を電鋳液中に浸漬し、中心付近に配置して設けた通電性の線材6aにマイナス通電して電鋳することを特徴とする光ファイバ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法。
- 中心の線材6a以外の線材6に不良導体のプラスチック線を使用することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法。
- 中心の線材6a以外の線材6に金属線を使用することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法。
- 一個分の多心金属管の長さより僅かに長い間隔に電気絶縁性板10を配置することを特徴とする請求項1、2、3記載の光ファイバ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法。
- 電鋳部5と電気絶縁性板10との接触面付近を完成した多心金属管の作用部として使用することを特徴とする請求項1、2、3記載の光ファイバ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法。
- 中心の線材6aによる孔を利用して、円筒研削法によって加工することを特徴とする請求項1、2、3、4、5記載の光ファイバ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法。
- 陰極治具9の中心の線材6aと陽極との間隔をほぼ同距離にして、陰極治具9の線材6aをほぼ中心にして回転しながら電鋳し、積算電流によって太さ管理することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6記載の光ファイバ用多心フェルールなどの多心金属管の製造方法。
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JPWO2006135057A1 (ja) * | 2005-06-17 | 2009-01-08 | 株式会社ルス・コム | Ni電鋳製超微細管及びNi電鋳製超微細リング並びにこれらの用途 |
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