JP2004077919A - レンズ鏡筒およびカメラシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】マウントの厚み調整や鏡筒本体に対する位置調整によるバックフォーカス調整が行われることにより、マウント上の電気接点と電気部品実装基板とを接続するのにフレキシブル配線基板が必要になる。
【解決手段】鏡筒本体18に取り付けられ、カメラに対して着脱可能なマウント部材3と、マウント部材により保持され、カメラとの電気的接続を行うための電気接点6と、鏡筒本体内に収容され、電気接点に電気的に接続された電気部品実装基板7と、電気部品実装基板をマウント部材に押圧するよう付勢する付勢部材17とを設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】鏡筒本体18に取り付けられ、カメラに対して着脱可能なマウント部材3と、マウント部材により保持され、カメラとの電気的接続を行うための電気接点6と、鏡筒本体内に収容され、電気接点に電気的に接続された電気部品実装基板7と、電気部品実装基板をマウント部材に押圧するよう付勢する付勢部材17とを設ける。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一眼レフカメラなどのカメラに着脱されるレンズ鏡筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一眼レフカメラ用の交換レンズの内部におけるマウント部の周辺には、電気部品実装基板が配置されており、オートフォーカスや絞り駆動を行う制御回路などが構成されている。そして、この制御回路は、マウント部に配置した電気的な接点を通じてカメラと電源の供給や通信を行っている。
【0003】
図8に、従来の交換レンズの内部における電気部品実装基板の配置の様子を示す。この図において、交換レンズ側の固定鏡筒102には、カメラ100に装着されるマウント101がビス108で固定されている。マウント101の内周には、樹脂製の接点ブロック103が固定保持されており、この接点ブロック103には、金属製の電気接点104が複数本インサート成形されている。
【0004】
交換レンズの内部に配置された電気部品実装基板105は、固定鏡筒102に位置決めされると共に、ビス106で固定鏡筒102に固定されている。電気部品実装基板105と電気接点104はフレキシブルプリント配線基板107を介して電気的に接続されている。
【0005】
図8に示すような交換レンズでは、撮影光学系を構成するレンズの製造ばらつき、光学調整ばらつき、機械部品の製造ばらつきなどから、個々の製品のバックフォーカスがばらつくことが知られている。従って、製品1つ1つに対してバックフォーカスを測定すると共に、バックフォーカスのずれ量を少なくするようにマウントの光軸方向の厚みを調整して光学系全体の位置を前後に調整することが行われる。
【0006】
図9にその典型的な例を示す。この例では、まず図9(a)に示すように、交換レンズ全体を組み上げた上で、一時的にマウント101を固定鏡筒102に取り付けた状態にして、バックフォーカスのずれ量を測定する。そして、測定結果に基づいて、正確なバックフォーカスになるようにマウント111の調整用切削領域112を切削加工することで、図9(b),(c)に示すように、マウント111の厚みを調整する。
【0007】
この調整用切削領域112は、量産する製品のバックフォーカスのばらつきをすべて調整可能にする程度に十分な厚みが確保されている。これにより、製品全長は、個々の製品によって変化してしまうが、バックフォーカスのずれを補正することが可能である。このような方法をマウント切削法と呼んでいる。
【0008】
また、図10に別の典型的な例を示す。この例では、マウント113と固定鏡筒102との間にスペーサ(ピントワッシャー)115を挟み込むことでバックフォーカスの調整を行う。この方法は、ピントワッシャー法と呼ばれている。
【0009】
この方法では、図10(a)に示すように、交換レンズ全体を組み上げた上で、一時的にマウント102を取り付けた状態にして、バックフォーカスのずれ量を測定する。そして、測定結果に基づいて、図10(b),(c)に示すように、正確なバックフォーカスになるようにマウント101と固定鏡筒102との間に適切な厚みのスペーサ115を挿入して、あるいはスペーサ115を挿入せずにバックフォーカスの調整を行う。
【0010】
ここで、図8からも分るように、上記マウント切削法やピントワッシャー法でバックフォーカスを調整すると、マウント101と固定鏡筒102との光軸方向の相対的な位置関係がずれることになる。このため、固定鏡筒102に固定した電気部品実装基板105と電気接点104とをフレキシブルプリント配線基板107(またはリード線)で接続し、フレキシブルプリント配線基板107の屈曲状態を変化させることで電気的な接続を維持している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなマウント切削法やピントワッシャー法では、以下のような問題がある。
【0012】
第1に、製品ごとに電気部品実装基板105と電気接点104との間隔が一定でないために、フレキシブルプリント基板やリード線などの屈曲性を有する電気的中継部品が必要になってしまうため、コストアップにつながる。また、このような電気的中継部材の半田付け箇所の増加が作業工数の増加やコストアップにつながる。
【0013】
第2に、図9に示すように、マウント位置の調整量が大きい製品では、フレキシブルプリント配線基板107の屈曲状態が個々の製品ごとに大きく異なるので、フレキシブルプリント配線基板107の屈曲状態によっては電気部品実装基板105とフレキシブルプリント配線基板107との半田付け部123や電気接点104とフレキシブルプリント配線基板107の半田付け部124に応力集中によってクラックが発生するおそれがある。また、半田付け部123,124の信頼性が、調整後のマウント101の位置によって大きく異なるおそれもある。
【0014】
そこで本発明は、マウントの厚み調整や鏡筒本体に対する位置調整によるバックフォーカス調整が行われても、電気部品実装基板とマウントに保持された電気接点との電気的な接続を、低コストでかつ高い信頼性をもって維持できるようにしたレンズ鏡筒を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願発明のレンズ鏡筒は、鏡筒本体に取り付けられ、カメラに対して着脱可能なマウント部材と、マウント部材により保持され、カメラとの電気的接続を行うための電気接点と、鏡筒本体内に収容され、電気接点に電気的に接続された電気部品実装基板と、電気部品実装基板をマウント部材に押圧するよう付勢する付勢部材とを有する。
【0016】
これにより、マウント部材の厚みや固定鏡筒に対する光軸方向位置が製品ごとに異なっても、電気部品実装基板はマウント部材に押圧されており、これらの間隔は一定(0)であるため、電気部品実装基板とマウント部材に保持されている電気接点とは、それらの間に電気的中継部品を介在させることなく直接接続することが可能である。したがって、低コストありながら信頼性の高い電気的接続ができると共に、電気部品実装基板を安定して固定することが可能となる。
【0017】
なお、上記付勢部材は、光軸を挟んで電気部品実装基板と電気接点との接続位置の概ね反対側に配置するとよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態である一眼レフカメラ(フィルムカメラやデジタルカメラ)2と交換レンズ(レンズ鏡筒)1とにより構成されるカメラシステムを示す図である。この図1において、交換レンズ1にはマウント3が取り付けられており、このマウント3はカメラ2に設けられた不図示のマウントに対してバイヨネット結合による装着と取り外しとが可能である。
【0019】
図2および図3には、交換レンズ1のマウント3周辺の構成を詳細に示している。また、図4および図5には、交換レンズ1のマウント3側の部品配置等を分解して示している。なお、図2〜図5では、特に本実施形態の説明に不要な交換レンズの構成部品は省略している
図2〜図5において、マウント3の内周側には接点ブロック位置決め部3bが形成されており、この接点ブロック位置決め部3bには接点ブロック4が位置決めされ、ビス5により径方向からマウント3に固定されている。
【0020】
接点ブロック4は、樹脂により形成されており、内部には金属製の電気接点6が複数本インサート成形されている。電気接点5は、交換レンズ1をカメラ2に装着した状態において、カメラ2からの電源の供給や通信を行うために用いられる。
【0021】
電気接点6は光軸に略平行に引き出されており、その先端部において光軸に直交するように配置された電気部品実装基板7に半田付されている。
【0022】
電気部品実装基板7には、交換レンズ1の電気的な制御を行うマイクロコンピュータ8をはじめとして不図示の電気部品が実装されているとともに、配線パターンが形成されている。
【0023】
また、電気部品実装基板7は、交換レンズ1内のアクチュエータ(レンズを光軸方向に駆動して変倍やフォーカシングを行ったり絞りを駆動したりするモータ等)やセンサ(レンズや絞りの位置を検出するセンサ等)等と電気的な接続を行うためにコネクタ9,10,11,12が実装されており、これらコネクタ9,10,11,12にはフレキシブルプリント配線基板13,14,15,16が接続される。
【0024】
本実施形態においては、電気部品実装基板7は、マウント3に一体的に固定され、マウント3が取り付けられる固定鏡筒(鏡筒本体)18と電気部品実装基板7との位置関係はマウント3の調整(バックフォーカス調整)により変化する。従って、固定鏡筒18側から引き出されたフレキシブルプリント配線基板13,14,15,16は、電気部品実装基板7と接続される部分の屈曲状態が変化することが可能なように適度なたるみを有している。また、この屈曲形状が変化しても、組込作業等に支障がないようになっている。
【0025】
固定鏡筒18における、光軸を挟んで接点ブロック4とは概ね反対側には、付勢ゴム17を保持するためのゴム搭載部18aが設けられている。ゴム搭載部18aに付勢ゴム17を保持させることで、付勢ゴム17は電気部品実装基板7と固定鏡筒18との間に配置されることになる。
【0026】
マウント3が固定鏡筒18に不図示のビスで固定されると、付勢ゴム17が適度に弾性変形することになり、付勢ゴム17の付勢力(弾性力)によってマウント3に形成された基板受け部3aに電気部品実装基板7が押圧接触する。従って、電気部品実装基板7のがたつきが防止される。
【0027】
次に、マウント3の調整方法について説明する。図6(a)において、調整用マウント19は、バックフォーカスの測定および調整を行うための工具として用いられ、電気部品実装基板7を搭載しない状態で固定鏡筒18に調整用マウント19を仮固定している。
【0028】
この状態において、バックフォーカス測定工具を用いて精密にその値を測定する。図6(b)に示すマウント3は、製品取り付け用のマウントである。このマウント3の初期の厚みは、マウント端面の切削によるバックフォーカス調整を可能とするよう十分な寸法を有している。
【0029】
そして、調整用マウント19を用いたバックフォーカスの測定結果に基づいて端面を切削加工したのが図6(c)に示すマウント3である。このマウント3は、最も削られた状態でも必要なマウント強度等の信頼性が得られるようになっている。
【0030】
図6(d)には、付勢ゴム17および電気部品実装基板7を組み込んだ状態を示しており、切削加工を施した調整済みのマウント3を固定鏡筒18に固定した状態を示している。
【0031】
この状態で、付勢ゴム17は適度に弾性変形して電気部品実装基板7をマウント3側の基板受け部3aに押し付けている。これにより、電気部品実装基板7は交換レンズ内でがたつかないように支持される。
【0032】
付勢ゴム17は、前述したように、光軸を挟んで電気接点6と電気部品実装基板7との半田付け位置とは概ね反対側の位置に配置されている。これは、付勢ゴム17の付勢力が半田付け部に加わることで半田付け部にクラックなどの不良が生じないようにするためである。従って、半田付け部に対して最も離れた位置に付勢ゴム17による付勢力を与える構成となっている。
【0033】
図7(a),(b)には、マウント3の厚みが最小(マウント切削量が最大)の場合と最大(マウント切削量が最小)の場合とをそれぞれ示している。付勢ゴム17の付勢力は、マウント調整量によって異なることになるが、過不足なく付勢力が維持されるように設定されている。
【0034】
なお、電気部品実装基板7の付勢ゴム17との接触部(付勢力の印可部)には、電気部品が実装されず、電気配線パターンも形成されていない。
【0035】
本実施形態によれば、マウント3に対して電気部品実装基板7が押圧されているため、マウント3と電気部品実装基板7との間隔は必ず0である。したがって、製品ごとにマウント3の厚みが調整により異なっても、マウント3に接点ブロック4を介して保持されている電気接点6と電気部品実装基板7との間に従来のようにフレキシブルプリント基板を介在させる必要がなく、電気接点6と電気部品実装基板7とを直接、半田付け接続することができる。
【0036】
したがって、低コストありながら、電気接点6と電気部品実装基板7との信頼性の高い電気的接続ができるとともに、電気部品実装基板7を安定して固定することができる。
【0037】
なお、本実施形態においては、付勢部材としてゴムを用いているが、同様な付勢力を発生するものであれば、コイルばね、板ばね、スポンジなど様々ななものを付勢部材として用いることができる。但し、電気部品実装基板7に接触する部材であるため、絶縁材料で形成するか絶縁対策が必要である。
【0038】
また、本実施形態のマウント3は、金属製ではなく樹脂製である。これは、マウント3に電気部品実装基板7が接触するために、絶縁性の高い樹脂製のマウントが望ましいためである。
【0039】
また、本実施形態では、マウント切削法によりバックフォーカス調整を行う場合について説明したが、ピントワッシャー法を用いてバックフォーカス調整を行う場合にも本発明を適用することができる。
【0040】
また、本発明は、本実施形態のようなフィルム又はデジタル一眼レフカメラ以外に、ビデオカメラ等、他のレンズ交換式カメラに装着可能なレンズ鏡筒に適用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マウントの厚み調整や鏡筒本体に対する光軸位置調整等によるバックフォーカス調整が行われても、電気接点と電気部品実装基板との間に従来のようにフレキシブルプリント基板を介在させる必要がなく、電気接点と電気部品実装基板との電気的な接続を低コストでかつ高い信頼性をもって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるカメラシステムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すカメラシステムを構成する交換レンズのマウント周辺の構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す交換レンズのマウント周辺の構成を示す分解断面図である。
【図4】図2に示す交換レンズのマウント周辺の構成をマウント側から見て示す分解斜視図である。
【図5】図2に示す交換レンズのマウント周辺の構成を固定鏡筒側から見て示す分解斜視図である。
【図6】上記実施形態におけるマウント(バックフォーカス)調整の手順を示す図である。
【図7】上記実施形態におけるマウント(バックフォーカス)調整後の部品配置を示す図である。
【図8】従来の交換レンズにおけるマウント周辺の構成を示す図である。
【図9】従来の交換レンズにおけるマウント切削法によるマウント調整の様子を示す図である。
【図10】従来の交換レンズにおけるピントワッシャー法によるマウント調整の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 交換レンズ
2 カメラ本体
3 マウント
4 接点ブロック
6 電気接点
7 電気部品実装基板
17 付勢ゴム
18 固定鏡筒
【発明の属する技術分野】
本発明は、一眼レフカメラなどのカメラに着脱されるレンズ鏡筒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一眼レフカメラ用の交換レンズの内部におけるマウント部の周辺には、電気部品実装基板が配置されており、オートフォーカスや絞り駆動を行う制御回路などが構成されている。そして、この制御回路は、マウント部に配置した電気的な接点を通じてカメラと電源の供給や通信を行っている。
【0003】
図8に、従来の交換レンズの内部における電気部品実装基板の配置の様子を示す。この図において、交換レンズ側の固定鏡筒102には、カメラ100に装着されるマウント101がビス108で固定されている。マウント101の内周には、樹脂製の接点ブロック103が固定保持されており、この接点ブロック103には、金属製の電気接点104が複数本インサート成形されている。
【0004】
交換レンズの内部に配置された電気部品実装基板105は、固定鏡筒102に位置決めされると共に、ビス106で固定鏡筒102に固定されている。電気部品実装基板105と電気接点104はフレキシブルプリント配線基板107を介して電気的に接続されている。
【0005】
図8に示すような交換レンズでは、撮影光学系を構成するレンズの製造ばらつき、光学調整ばらつき、機械部品の製造ばらつきなどから、個々の製品のバックフォーカスがばらつくことが知られている。従って、製品1つ1つに対してバックフォーカスを測定すると共に、バックフォーカスのずれ量を少なくするようにマウントの光軸方向の厚みを調整して光学系全体の位置を前後に調整することが行われる。
【0006】
図9にその典型的な例を示す。この例では、まず図9(a)に示すように、交換レンズ全体を組み上げた上で、一時的にマウント101を固定鏡筒102に取り付けた状態にして、バックフォーカスのずれ量を測定する。そして、測定結果に基づいて、正確なバックフォーカスになるようにマウント111の調整用切削領域112を切削加工することで、図9(b),(c)に示すように、マウント111の厚みを調整する。
【0007】
この調整用切削領域112は、量産する製品のバックフォーカスのばらつきをすべて調整可能にする程度に十分な厚みが確保されている。これにより、製品全長は、個々の製品によって変化してしまうが、バックフォーカスのずれを補正することが可能である。このような方法をマウント切削法と呼んでいる。
【0008】
また、図10に別の典型的な例を示す。この例では、マウント113と固定鏡筒102との間にスペーサ(ピントワッシャー)115を挟み込むことでバックフォーカスの調整を行う。この方法は、ピントワッシャー法と呼ばれている。
【0009】
この方法では、図10(a)に示すように、交換レンズ全体を組み上げた上で、一時的にマウント102を取り付けた状態にして、バックフォーカスのずれ量を測定する。そして、測定結果に基づいて、図10(b),(c)に示すように、正確なバックフォーカスになるようにマウント101と固定鏡筒102との間に適切な厚みのスペーサ115を挿入して、あるいはスペーサ115を挿入せずにバックフォーカスの調整を行う。
【0010】
ここで、図8からも分るように、上記マウント切削法やピントワッシャー法でバックフォーカスを調整すると、マウント101と固定鏡筒102との光軸方向の相対的な位置関係がずれることになる。このため、固定鏡筒102に固定した電気部品実装基板105と電気接点104とをフレキシブルプリント配線基板107(またはリード線)で接続し、フレキシブルプリント配線基板107の屈曲状態を変化させることで電気的な接続を維持している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなマウント切削法やピントワッシャー法では、以下のような問題がある。
【0012】
第1に、製品ごとに電気部品実装基板105と電気接点104との間隔が一定でないために、フレキシブルプリント基板やリード線などの屈曲性を有する電気的中継部品が必要になってしまうため、コストアップにつながる。また、このような電気的中継部材の半田付け箇所の増加が作業工数の増加やコストアップにつながる。
【0013】
第2に、図9に示すように、マウント位置の調整量が大きい製品では、フレキシブルプリント配線基板107の屈曲状態が個々の製品ごとに大きく異なるので、フレキシブルプリント配線基板107の屈曲状態によっては電気部品実装基板105とフレキシブルプリント配線基板107との半田付け部123や電気接点104とフレキシブルプリント配線基板107の半田付け部124に応力集中によってクラックが発生するおそれがある。また、半田付け部123,124の信頼性が、調整後のマウント101の位置によって大きく異なるおそれもある。
【0014】
そこで本発明は、マウントの厚み調整や鏡筒本体に対する位置調整によるバックフォーカス調整が行われても、電気部品実装基板とマウントに保持された電気接点との電気的な接続を、低コストでかつ高い信頼性をもって維持できるようにしたレンズ鏡筒を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願発明のレンズ鏡筒は、鏡筒本体に取り付けられ、カメラに対して着脱可能なマウント部材と、マウント部材により保持され、カメラとの電気的接続を行うための電気接点と、鏡筒本体内に収容され、電気接点に電気的に接続された電気部品実装基板と、電気部品実装基板をマウント部材に押圧するよう付勢する付勢部材とを有する。
【0016】
これにより、マウント部材の厚みや固定鏡筒に対する光軸方向位置が製品ごとに異なっても、電気部品実装基板はマウント部材に押圧されており、これらの間隔は一定(0)であるため、電気部品実装基板とマウント部材に保持されている電気接点とは、それらの間に電気的中継部品を介在させることなく直接接続することが可能である。したがって、低コストありながら信頼性の高い電気的接続ができると共に、電気部品実装基板を安定して固定することが可能となる。
【0017】
なお、上記付勢部材は、光軸を挟んで電気部品実装基板と電気接点との接続位置の概ね反対側に配置するとよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態である一眼レフカメラ(フィルムカメラやデジタルカメラ)2と交換レンズ(レンズ鏡筒)1とにより構成されるカメラシステムを示す図である。この図1において、交換レンズ1にはマウント3が取り付けられており、このマウント3はカメラ2に設けられた不図示のマウントに対してバイヨネット結合による装着と取り外しとが可能である。
【0019】
図2および図3には、交換レンズ1のマウント3周辺の構成を詳細に示している。また、図4および図5には、交換レンズ1のマウント3側の部品配置等を分解して示している。なお、図2〜図5では、特に本実施形態の説明に不要な交換レンズの構成部品は省略している
図2〜図5において、マウント3の内周側には接点ブロック位置決め部3bが形成されており、この接点ブロック位置決め部3bには接点ブロック4が位置決めされ、ビス5により径方向からマウント3に固定されている。
【0020】
接点ブロック4は、樹脂により形成されており、内部には金属製の電気接点6が複数本インサート成形されている。電気接点5は、交換レンズ1をカメラ2に装着した状態において、カメラ2からの電源の供給や通信を行うために用いられる。
【0021】
電気接点6は光軸に略平行に引き出されており、その先端部において光軸に直交するように配置された電気部品実装基板7に半田付されている。
【0022】
電気部品実装基板7には、交換レンズ1の電気的な制御を行うマイクロコンピュータ8をはじめとして不図示の電気部品が実装されているとともに、配線パターンが形成されている。
【0023】
また、電気部品実装基板7は、交換レンズ1内のアクチュエータ(レンズを光軸方向に駆動して変倍やフォーカシングを行ったり絞りを駆動したりするモータ等)やセンサ(レンズや絞りの位置を検出するセンサ等)等と電気的な接続を行うためにコネクタ9,10,11,12が実装されており、これらコネクタ9,10,11,12にはフレキシブルプリント配線基板13,14,15,16が接続される。
【0024】
本実施形態においては、電気部品実装基板7は、マウント3に一体的に固定され、マウント3が取り付けられる固定鏡筒(鏡筒本体)18と電気部品実装基板7との位置関係はマウント3の調整(バックフォーカス調整)により変化する。従って、固定鏡筒18側から引き出されたフレキシブルプリント配線基板13,14,15,16は、電気部品実装基板7と接続される部分の屈曲状態が変化することが可能なように適度なたるみを有している。また、この屈曲形状が変化しても、組込作業等に支障がないようになっている。
【0025】
固定鏡筒18における、光軸を挟んで接点ブロック4とは概ね反対側には、付勢ゴム17を保持するためのゴム搭載部18aが設けられている。ゴム搭載部18aに付勢ゴム17を保持させることで、付勢ゴム17は電気部品実装基板7と固定鏡筒18との間に配置されることになる。
【0026】
マウント3が固定鏡筒18に不図示のビスで固定されると、付勢ゴム17が適度に弾性変形することになり、付勢ゴム17の付勢力(弾性力)によってマウント3に形成された基板受け部3aに電気部品実装基板7が押圧接触する。従って、電気部品実装基板7のがたつきが防止される。
【0027】
次に、マウント3の調整方法について説明する。図6(a)において、調整用マウント19は、バックフォーカスの測定および調整を行うための工具として用いられ、電気部品実装基板7を搭載しない状態で固定鏡筒18に調整用マウント19を仮固定している。
【0028】
この状態において、バックフォーカス測定工具を用いて精密にその値を測定する。図6(b)に示すマウント3は、製品取り付け用のマウントである。このマウント3の初期の厚みは、マウント端面の切削によるバックフォーカス調整を可能とするよう十分な寸法を有している。
【0029】
そして、調整用マウント19を用いたバックフォーカスの測定結果に基づいて端面を切削加工したのが図6(c)に示すマウント3である。このマウント3は、最も削られた状態でも必要なマウント強度等の信頼性が得られるようになっている。
【0030】
図6(d)には、付勢ゴム17および電気部品実装基板7を組み込んだ状態を示しており、切削加工を施した調整済みのマウント3を固定鏡筒18に固定した状態を示している。
【0031】
この状態で、付勢ゴム17は適度に弾性変形して電気部品実装基板7をマウント3側の基板受け部3aに押し付けている。これにより、電気部品実装基板7は交換レンズ内でがたつかないように支持される。
【0032】
付勢ゴム17は、前述したように、光軸を挟んで電気接点6と電気部品実装基板7との半田付け位置とは概ね反対側の位置に配置されている。これは、付勢ゴム17の付勢力が半田付け部に加わることで半田付け部にクラックなどの不良が生じないようにするためである。従って、半田付け部に対して最も離れた位置に付勢ゴム17による付勢力を与える構成となっている。
【0033】
図7(a),(b)には、マウント3の厚みが最小(マウント切削量が最大)の場合と最大(マウント切削量が最小)の場合とをそれぞれ示している。付勢ゴム17の付勢力は、マウント調整量によって異なることになるが、過不足なく付勢力が維持されるように設定されている。
【0034】
なお、電気部品実装基板7の付勢ゴム17との接触部(付勢力の印可部)には、電気部品が実装されず、電気配線パターンも形成されていない。
【0035】
本実施形態によれば、マウント3に対して電気部品実装基板7が押圧されているため、マウント3と電気部品実装基板7との間隔は必ず0である。したがって、製品ごとにマウント3の厚みが調整により異なっても、マウント3に接点ブロック4を介して保持されている電気接点6と電気部品実装基板7との間に従来のようにフレキシブルプリント基板を介在させる必要がなく、電気接点6と電気部品実装基板7とを直接、半田付け接続することができる。
【0036】
したがって、低コストありながら、電気接点6と電気部品実装基板7との信頼性の高い電気的接続ができるとともに、電気部品実装基板7を安定して固定することができる。
【0037】
なお、本実施形態においては、付勢部材としてゴムを用いているが、同様な付勢力を発生するものであれば、コイルばね、板ばね、スポンジなど様々ななものを付勢部材として用いることができる。但し、電気部品実装基板7に接触する部材であるため、絶縁材料で形成するか絶縁対策が必要である。
【0038】
また、本実施形態のマウント3は、金属製ではなく樹脂製である。これは、マウント3に電気部品実装基板7が接触するために、絶縁性の高い樹脂製のマウントが望ましいためである。
【0039】
また、本実施形態では、マウント切削法によりバックフォーカス調整を行う場合について説明したが、ピントワッシャー法を用いてバックフォーカス調整を行う場合にも本発明を適用することができる。
【0040】
また、本発明は、本実施形態のようなフィルム又はデジタル一眼レフカメラ以外に、ビデオカメラ等、他のレンズ交換式カメラに装着可能なレンズ鏡筒に適用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マウントの厚み調整や鏡筒本体に対する光軸位置調整等によるバックフォーカス調整が行われても、電気接点と電気部品実装基板との間に従来のようにフレキシブルプリント基板を介在させる必要がなく、電気接点と電気部品実装基板との電気的な接続を低コストでかつ高い信頼性をもって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるカメラシステムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すカメラシステムを構成する交換レンズのマウント周辺の構成を示す断面図である。
【図3】図2に示す交換レンズのマウント周辺の構成を示す分解断面図である。
【図4】図2に示す交換レンズのマウント周辺の構成をマウント側から見て示す分解斜視図である。
【図5】図2に示す交換レンズのマウント周辺の構成を固定鏡筒側から見て示す分解斜視図である。
【図6】上記実施形態におけるマウント(バックフォーカス)調整の手順を示す図である。
【図7】上記実施形態におけるマウント(バックフォーカス)調整後の部品配置を示す図である。
【図8】従来の交換レンズにおけるマウント周辺の構成を示す図である。
【図9】従来の交換レンズにおけるマウント切削法によるマウント調整の様子を示す図である。
【図10】従来の交換レンズにおけるピントワッシャー法によるマウント調整の様子を示す図である。
【符号の説明】
1 交換レンズ
2 カメラ本体
3 マウント
4 接点ブロック
6 電気接点
7 電気部品実装基板
17 付勢ゴム
18 固定鏡筒
Claims (5)
- 鏡筒本体に取り付けられ、カメラに対して着脱可能なマウント部材と、
前記マウント部材により保持され、前記カメラとの電気的接続を行うための電気接点と、
前記鏡筒本体内に収容され、前記電気接点に電気的に接続された電気部品実装基板と、
前記電気部品実装基板を前記マウント部材に押圧するよう付勢する付勢部材とを有することを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記付勢部材は、前記鏡筒本体と前記電気部品実装基板との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 前記電気接点が前記電気部品実装基板に直接接続されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 前記付勢部材は、光軸を挟んで前記電気部品実装基板と前記電気接点との接続位置の概ね反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒と、このレンズ鏡筒の着脱が可能なカメラとを有することを特徴とするカメラシステム。
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