JP2004077802A - ズームレンズ及びそれを有する光学機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】2群より成るズームレンズにおいて、各レンズ群の構成を適切に設定することによりレンズ系の小型化を図りつつ高い光学性能を有し、しかも比較的簡易な構成のズームレンズを得ること。
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群L1と負の屈折力の第2レンズ群L2を有し、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、第1レンズ群L1を、物体側から順に、正の第11レンズG11、負の第12レンズG12、正の第13レンズG13、正の第14レンズG14で構成し、第2レンズ群L2wp、物体側から順に、非球面を有する正の第21レンズG21、負の第22レンズG22で構成し、変倍比と第12レンズG12及び第22レンズG22の屈折率を適切に設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群L1と負の屈折力の第2レンズ群L2を有し、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、第1レンズ群L1を、物体側から順に、正の第11レンズG11、負の第12レンズG12、正の第13レンズG13、正の第14レンズG14で構成し、第2レンズ群L2wp、物体側から順に、非球面を有する正の第21レンズG21、負の第22レンズG22で構成し、変倍比と第12レンズG12及び第22レンズG22の屈折率を適切に設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子スチルカメラ、レンズシャッターカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に好適なズームレンズに関する。
【0002】
特に、比較的バックフォーカスが短く、高変倍でありながら簡易なレンズ構成で且つコンパクトなレンズシャッターカメラに好適なものである。
【0003】
【従来の技術】
近年、カメラの小型化、軽量化、低コスト化の要望が高まるにつれ、そこに搭載される撮影光学系にも光学性能を良好に維持したままで更に小型で軽量且つ低コストなものが要求されている。また、より広範な撮影条件に対応するために、同時にその撮影光学系は高い変倍比を持ったズームレンズであることも要求されている。
【0004】
一般に光学系の小型化を進め且つ高い変倍比を持たせるためには各レンズ群の屈折力を強めれば良いが、屈折力を強めると光学性能が劣化してくる。光学性能を良好に維持するためには所定枚数のレンズが必要となり、小型化が難しくなってくる。
【0005】
一方近年では非球面レンズの加工技術の発展に伴い、非球面レンズを多用しレンズ枚数を削減し、光学系の小型化を図ったズームレンズが種々提案されている。通常の球面レンズを非球面レンズに置き換えれば光学性能をより高くすることが可能であり、この光学性能の余裕分と、レンズ枚数の削減及び小型化に伴う性能劣化とを相殺することにより光学性能を維持しつつ小型化を図ることが考えられる。
【0006】
しかしながら、単に球面レンズを非球面レンズに置き換えただけでは小型化を十分に達成することが難しく、最適なレンズタイプ、レンズ形状等を設定する必要がある。
【0007】
また、非球面レンズは球面レンズに比べ製造が難しくなる為、いたずらに球面レンズを非球面レンズに置き換えてレンズの枚数の削減を行っても光学系全体での製造が容易にならずにコストが高くなってしまうこともある。そのため、非球面レンズの枚数を必要最小限に留め効率的に非球面の効果を得ることが望ましい。
【0008】
ズームレンズとして最も簡素であるレンズタイプとしては、2つのレンズ群より成り、双方のレンズ群の間隔を変えて変倍(ズーミング)を行う2群ズームレンズが知られている。
【0009】
この内、長いバックフォーカスを必要としないレンズシャッターカメラ用等のズームレンズとして、物体側より順に正の屈折力の第1レンズ群と負の屈折力の第2レンズ群から成り、2つのレンズ群の軸上空気間隔を変化させて変倍を行う2群ズームレンズが、従来より種々提案されている。
【0010】
例えば特開平8−304703号公報、特開2000−221396号公報では、物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群の2つのレンズ群で構成し、両レンズ群の間隔を変えて変倍する、変倍比2倍程度の小型のズームレンズが提案されている。
【0011】
また、例えば特開平7−306361号公報では、物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群の2つのレンズ群で構成し、両レンズ群の間隔を変えて変倍する、変倍比3倍程度の小型のズームレンズが提案されている。
【0012】
これらで提案されているズームレンズは、第1レンズ群を正、負、正又は負、正レンズの4つのレンズで構成し、第2レンズ群を正、負レンズの2つ又は負、正、負レンズの3つのレンズで構成してレンズ系全体の簡素化を図っている。
【0013】
また、例えば特開平7−225337号公報、特開平8−338946号公報では、物体側から順に正の屈折力を有し、負、正レンズの2枚構成の第1レンズ群、負の屈折力を有し、正、負レンズの2枚構成の第2レンズ群の2つのレンズ群で構成し、両レンズ群の間隔を変えて変倍する、変倍比2から3倍程度の小型のズームレンズが提案されている。
【0014】
また、本出願人は特開平9−211325号公報、特開平10−48523号公報において正の屈折力の第1レンズ群を正レンズ、負レンズ、非球面レンズ、正レンズ、負の屈折力の第2レンズ群を正レンズ、負レンズより構成し、非球面レンズを効果的に配置したことにより高い光学性能を有した小型の2群ズームレンズを実現している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特開平8−304703号公報、特開2000−221396号公報では比較的簡易な構成で高い光学性能を維持したズームレンズを提案しているが、光学系の中で一番大きな径を有し高重量の最終レンズに比較的高い屈折率の硝材を使用しており、製造の容易性や低コスト化という面でまだ検討の余地がある。また、変倍比も2倍程度のものであり、より広範な撮影条件に対応させるにはいたっていない。
【0016】
また特開平7−306361号公報では上記提案とほぼ同じ構成で変倍比3倍程度のズームレンズを実現しているが、やはり最終レンズに屈折率の高い硝材を使用しており、製造の容易性や低コスト化という面でまだ検討の余地が残っている。
【0017】
また前述の特開平7−225337号公報、特開平8−338946号公報では更に少枚数の構成で変倍比が2〜3倍程度のズームレンズを提案しているが、やはり光学系の中で一番大きな径を有している最終レンズに比較的高い屈折率の硝材を使用しており、更に少枚数化のために非球面レンズの硝材にも屈折率が非常に高いものを使用していて、光学系全体の製造の容易性及び低コスト化という観点ではやはり検討の余地がある。
【0018】
本発明は、各レンズ群のレンズ構成を適切に設定することにより、高変倍でありながらコンパクトで低コストなズームレンズの提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のズームレンズは、
物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群と負の屈折力の第2レンズ群を有し、該第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
該第1レンズ群は、物体側から順に、正の第11レンズ、負の第12レンズ、1枚以上の正レンズを有し、
該第2レンズ群は、物体側から順に、非球面を有する正の第21レンズ、負の第22レンズより成り、
広角端及び望遠端での全系の焦点距離を各々fw、ft、
該第12レンズ及び第22レンズの材質のd線における屈折率をそれぞれNd12、Nd22とするとき、
2.4 < ft/fw < 4.5
1.50 < Nd22 < 1.68
Nd22 < Nd12
なる条件を満足することを特徴としている。
【0020】
請求項2の発明は請求項1の発明において、
前記第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離を各々f1、f2とするとき、
0.5 < f1/fw < 0.9
0.4 <|f2|/fw < 0.8
なる条件を満足することを特徴としている。
【0021】
請求項3の発明は請求項1又は2の発明において、
前記第1レンズ群の1枚以上の正レンズは、正の第13レンズと正の第14レンズであることを特徴としている。
【0022】
請求項4の発明は請求項1、2又は3の発明において、
前記第21レンズは樹脂材料で成形された非球面を有するレンズであることを特徴としている。
【0023】
請求項5の発明は請求項1から4のいずれか1項の発明において、
前記第1レンズ群内の全ての正レンズの材料の屈折率が1.65以下であることを特徴としている。
【0024】
請求項6の発明は請求項3の発明において、
前記第11レンズは物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ、前記第12レンズは両レンズ面が凹面形状のレンズ、前記第13レンズは両レンズ面が凸面形状のレンズ、前記第21レンズは、レンズ中心付近の形状が像面側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ、前記第22レンズは像面側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズであることを特徴としている。
【0025】
請求項7の発明の光学機器は、
請求項1から6のいずれか1項のズームレンズを有し、該ズームレンズで対角線長2Yの有効画面内に像を形成する光学機器であって、望遠端における最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面との光軸上の距離をTDtとするとき、
0.8 < TDt/Y < 2.0
なる条件を満足することを特徴としている。
【0026】
請求項8の発明の光学機器は、請求項1から6のいずれか1項のズームレンズを有していることを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態1のズームレンズのレンズ断面図、図2、図3は本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の広角端、望遠端における収差図である。
【0028】
図4は本発明の実施形態2のズームレンズのレンズ断面図、図5、図6は本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の広角端、望遠端における収差図である。
【0029】
図7は本発明の実施形態3のズームレンズのレンズ断面図、図8、図9は本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の広角端、望遠端における収差図である。
【0030】
図10は本発明の実施形態4のズームレンズのレンズ断面図、図11、図12は本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の広角端、望遠端における収差図である。
【0031】
図13は本発明の実施形態5のズームレンズのレンズ断面図、図14、図15は本発明の実施形態5に対応する数値実施例5の広角端、望遠端における収差図である。
【0032】
図1、図4、図7、図10、図13のレンズ断面図において、L1は正の屈折力の第1レンズ群、L2は負の屈折力の第2レンズ群である。各実施形態では、両レンズ群の間隔を減少させつつ、双方のレンズ群を矢印の如く物体側へ移動させて広角端から望遠端への変倍(ズーミング)を行なっている。
【0033】
SPは絞りであり、第1レンズ群L1中に設けている。IPは像面であり、撮像素子やフィルム等が配置されている。
【0034】
収差図の球面収差において実線はd線、二点鎖線はg線、鎖線は正弦条件であり、収差図の非点収差において実線はサジタル光線、点線はメリディオナル光線を表し、収差図の倍率色収差において二点鎖線はg線を表す。Yは像高を表す。
【0035】
尚、広角端と望遠端とは変倍用レンズ群が機構上光軸上移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
【0036】
各実施形態では、広角端から望遠端への変倍に際しては第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が減少するように、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2を共に光軸上を物体側へ移動している。このように、ズームレンズを構成する2つのレンズ群L1、L2が共に光軸上を移動して変倍を行う構成とすることで、広角端での光学全長が短い光学系とすると同時に、携帯時にレンズ群を沈胴させるメカ構造にするコンパクトカメラ等において最適な形態としている。
【0037】
また、正の屈折力の第1レンズ群L1を物体側より順に正の屈折力で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第11レンズG11、負の屈折力で両レンズ面が凹面形状の第12レンズG12、正の屈折力で両レンズ面が凸面形状の第13レンズG13、正の屈折力を持ち両レンズ面が凸面形状の第14レンズG14で構成している。又、負の屈折力の第2レンズ群L2を、物体側より順に非球面を有し像側に凸面を向けたメニスカス形状の正の第21レンズG21、負の屈折力で像側に凸面を向けたメニスカス形状の第22レンズG22で構成している。
【0038】
なお、本実施形態において、「第iレンズ群」の呼称は、それが複数枚のレンズで構成される場合だけではなく、1枚のレンズのみで構成される場合にも用いるものとする。
【0039】
各実施形態のズームレンズは、ズームタイプとして最小構成である2群ズームタイプにおいて高い変倍比を得るために各レンズ群に強い屈折力を必要としている。そのため正の屈折力の第1レンズ群L1には正レンズを3枚配置して、十分な正の屈折力を確保すると共に収差の発生を抑える様に屈折力の分配をしている。また、負レンズを1枚配置することで、正の屈折力のレンズで発生する収差をキャンセルしている。
【0040】
一方、負の屈折力を有する第2レンズ群は、レンズ径が大きくなる傾向にあることから構成レンズ枚数が多いとレンズ重量が増大したりレンズコストが高くなるため、正、負レンズの2枚構成としている。そしてレンズ枚数を少なくしたことによる収差補正を容易に行なう為に、正の第21レンズに非球面を設けて収差補正を良好に行なっている。これにより光学性能を良好に維持しながらも構成レンズ枚数を少なくし、簡易な光学系を実現している。
【0041】
また各実施形態において、非球面を有する第21レンズを樹脂材料で成形している。
【0042】
各実施形態のズームレンズでは、第21レンズの持つ正の屈折力は比較的弱くすることが可能である。そのため材料の屈折率が小さい樹脂材料を使用しても面の曲率が強くなってしまうことが少ない。また、製造上の観点から考えると該非球面は研磨ではなく成形により作り出す方が望ましく、一般には成形によりレンズを作り出す材料としては硝子材料より樹脂材料の方が製造しやすく、コストも安い。よって、第21レンズを樹脂材料により成形している。
【0043】
また各実施形態において、第1レンズ群L1内の全ての正レンズの材料の屈折率が1.65以下としている。こうすることで、比較的安価で製造しやすい硝材で第1レンズ群L1を構成することが可能になり、光学系全体の製造を容易にし、光学系全体の低コスト化も実現している。また、この様に第1レンズ群L1内の全ての正レンズを低屈折率の材料で構成する為に、強い正の屈折力を持つ第1レンズ群L1の中で各正レンズに正の屈折力を均等に分配し、それにより極端に強い曲面を持たせずに光学系を構成し、収差補正上も有利な形態としている。
【0044】
各実施形態では非球面は第21レンズの物体側の面のみであるが、より収差補正能力を上げるために像面側の面にも配置しても良く、更には他のレンズに非球面を配置しても良い。特に第1レンズ群L1内に非球面を配置することで、より全ての変倍域で良好な性能を得ることができる。またその際には、非球面を含むレンズは樹脂材料により成形すると製造が容易で且つ低コスト化に有利な形態となる。
【0045】
そして各実施形態においては、広角端及び望遠端での全系の焦点距離を各々fw、ft、該第12レンズ及び第22レンズの材質のd線における屈折率をそれぞれNd12、Nd22、第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離を各々f1、f2とするとき、
2.4 < ft/fw < 4.5 ・・・(1)
1.50 < Nd22 < 1.68 ・・・(2)
Nd22 < Nd12 ・・・(3)
0.5 < f1/fw < 0.9 ・・・(4)
0.4 <|f2|/fw < 0.8 ・・・(5)
なる条件式のうち1以上を満足するようにしている。
【0046】
次に前述の各条件式の技術的意味について説明する。
【0047】
条件式(1)は変倍比を示す条件であり、下限を超えて変倍比が小さいとコンパクトカメラ用のズームレンズとしては変倍比が不十分である。又、上限を超えて大きいと各レンズ群に強い屈折力が必要となり収差補正が困難となり望ましくない。
【0048】
条件式(2)式は第2レンズ群L2の屈折力とレンズ構成の製造容易性とのバランスを取るための条件である。条件式(2)の下限を超えて第22レンズの材料の屈折率が小さいと負の屈折力を得るための面の曲率が強くなり加工が困難になると共に収差も多く発生し、収差補正が困難となる。また上限を超えて屈折率が大きくなるとレンズコストが高くなり望ましくない。特に第22レンズは各実施形態で一番大きい径のレンズであり、硝材の低コスト化によるレンズのコストダウン効果が他のレンズに比べて大きくなっている。
【0049】
条件式(3)式は像面特性を良好に維持するための条件である。この条件式(3)を外れる、即ち第12レンズの材料の屈折率が第22レンズの材料の屈折率より小さくなると、全系でのペッツバール和を小さくすることが困難になり、像面がアンダー傾向又はオーバー傾向に大きく倒れて補正が困難となるため望ましくない。特に各実施形態では負レンズは第12レンズと第22レンズのみであり且つ第22レンズは屈折率の小さい材料を使っているため、この条件を満たすことはより重要となる。
【0050】
条件式(4)は主に第1レンズ群L1の小型化と光学性能とのバランスを図るためのものである。条件式(4)の下限を越えて第1レンズ群L1の屈折力が強くなると、小型化には有利であるが特に第1レンズ群L1における広角端から望遠端にかけての球面収差の変動量が増大し、補正困難となるため望ましくない。上限を越えて第1レンズ群L1の屈折力が弱くなると、収差補正上は有利になるが第1レンズ群L1が大型化するため望ましくない。
【0051】
条件式(5)は主に第2レンズ群L2の小型化と光学性能とのバランスを図るためのものである。条件式(5)の下限を越えて第2レンズ群L2の屈折力が強くなると、第2レンズ群L2の変倍における移動量は減少するものの特に広角端における歪曲収差が悪化し補正困難となるため望ましくない。上限を越えて第2レンズ群L2の屈折力が弱くなると、第2レンズ群L2の変倍における移動量が増大し、 大型化するため良くない。
【0052】
尚、各実施形態において更に好ましくは条件式(1)、(2)、(4)、(5)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0053】
2.5 < ft/fw < 3.5 ・・・(1a)
1.55 < Nd22 < 1.65 ・・・(2a)
0.55 < f1/fw < 0.8 ・・・(4a)
0.45 <|f2|/fw < 0.7 ・・・(5a)
各実施形態に係るズームレンズを対角線長2Yの有効画面を持つカメラ、例えば撮像素子に形成するデジタルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ等に適用するときには、望遠端における最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面との光軸上の距離をTDtとするとき、
0.8 < TDt/Y < 2.0 ・・・(6)
なる条件式を満足している。
【0054】
条件式(6)は光学系のコンパクト化と光学性能のバランスを取るための条件である。下限を超えてレンズ系の光学長が小さいとレンズ枚数が極端に少なくなるか、各レンズの厚みが小さくなるため、十分な屈折力を確保するのが難しくなり、更に収差補正を良好に行なうのが難しくなり望ましくない。また上限を超えてレンズ系の光学長が大きくなると、レンズ沈胴時の長さが長くなりカメラの小型化が困難となると共にカメラの携帯性が悪くなるため望ましくない。
【0055】
更に好ましくは条件式(6)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0056】
0.9 < TDt/Y < 1.5 ・・・(6a)
次に各実施形態1〜5に各々対応する数値実施例1〜5の数値データを示す。各数値実施例においてiは物体側からの光学面の順序を示し、Riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径、Diは第i面と第i+1面との間の間隔、Niとνiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数を示す。fは焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角である。またkを離心率、B,C,D,Eを4次、6次、8次、10次の非球面係数とし、光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとするとき、非球面形状は、
x=(h2/R)/[1+[1−(1+k)(h/R)2]1/2]+Bh4+Ch6
+Dh8+Eh10
で表示される。但しRは曲率半径である。「e−0X」は「×10−X」を意味している。又、各数値実施例における上述した条件式との対応を表1に示す。
【0057】
【数1】
【0058】
【数2】
【0059】
【数3】
【0060】
【数4】
【0061】
【数5】
【0062】
【表1】
【0063】
次に本発明のズームレンズを撮影光学系として用いたカメラの実施形態を図16を用いて説明する。
【0064】
図16において、10はカメラ本体、11は本発明のズームレンズによって構成された撮影光学系、12はカメラ本体に内蔵されたストロボ、13は外部式ファインダー、14はシャッターボタンである。
【0065】
このように本発明のズームレンズをレンズシャッターカメラ等の光学機器に適用することにより、小型で高い光学性能を有する光学機器を実現している。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、高変倍でありながらコンパクトで低コストなズームレンズ及びそれを有する光学機器を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のレンズ断面図
【図2】本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の広角端における収差図
【図3】本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の望遠端における収差図
【図4】本発明の実施形態2のレンズ断面図
【図5】本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の広角端における収差図
【図6】本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の望遠端における収差図
【図7】本発明の実施形態3のレンズ断面図
【図8】本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の広角端における収差図
【図9】本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の望遠端における収差図
【図10】本発明の実施形態4のレンズ断面図
【図11】本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の広角端における収差図
【図12】本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の望遠端における収差図
【図13】本発明の実施形態5のレンズ断面図
【図14】本発明の実施形態5に対応する数値実施例5の広角端における収差図
【図15】本発明の実施形態5に対応する数値実施例5の望遠端における収差図
【図16】本発明の光学機器の要部概略図
【符号の説明】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
SP 絞り
IP 像面
d d線
g g線
S サジタル像面
M メリディオナル像面
Fno Fナンバー
Y 像高
【発明の属する技術分野】
本発明は電子スチルカメラ、レンズシャッターカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に好適なズームレンズに関する。
【0002】
特に、比較的バックフォーカスが短く、高変倍でありながら簡易なレンズ構成で且つコンパクトなレンズシャッターカメラに好適なものである。
【0003】
【従来の技術】
近年、カメラの小型化、軽量化、低コスト化の要望が高まるにつれ、そこに搭載される撮影光学系にも光学性能を良好に維持したままで更に小型で軽量且つ低コストなものが要求されている。また、より広範な撮影条件に対応するために、同時にその撮影光学系は高い変倍比を持ったズームレンズであることも要求されている。
【0004】
一般に光学系の小型化を進め且つ高い変倍比を持たせるためには各レンズ群の屈折力を強めれば良いが、屈折力を強めると光学性能が劣化してくる。光学性能を良好に維持するためには所定枚数のレンズが必要となり、小型化が難しくなってくる。
【0005】
一方近年では非球面レンズの加工技術の発展に伴い、非球面レンズを多用しレンズ枚数を削減し、光学系の小型化を図ったズームレンズが種々提案されている。通常の球面レンズを非球面レンズに置き換えれば光学性能をより高くすることが可能であり、この光学性能の余裕分と、レンズ枚数の削減及び小型化に伴う性能劣化とを相殺することにより光学性能を維持しつつ小型化を図ることが考えられる。
【0006】
しかしながら、単に球面レンズを非球面レンズに置き換えただけでは小型化を十分に達成することが難しく、最適なレンズタイプ、レンズ形状等を設定する必要がある。
【0007】
また、非球面レンズは球面レンズに比べ製造が難しくなる為、いたずらに球面レンズを非球面レンズに置き換えてレンズの枚数の削減を行っても光学系全体での製造が容易にならずにコストが高くなってしまうこともある。そのため、非球面レンズの枚数を必要最小限に留め効率的に非球面の効果を得ることが望ましい。
【0008】
ズームレンズとして最も簡素であるレンズタイプとしては、2つのレンズ群より成り、双方のレンズ群の間隔を変えて変倍(ズーミング)を行う2群ズームレンズが知られている。
【0009】
この内、長いバックフォーカスを必要としないレンズシャッターカメラ用等のズームレンズとして、物体側より順に正の屈折力の第1レンズ群と負の屈折力の第2レンズ群から成り、2つのレンズ群の軸上空気間隔を変化させて変倍を行う2群ズームレンズが、従来より種々提案されている。
【0010】
例えば特開平8−304703号公報、特開2000−221396号公報では、物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群の2つのレンズ群で構成し、両レンズ群の間隔を変えて変倍する、変倍比2倍程度の小型のズームレンズが提案されている。
【0011】
また、例えば特開平7−306361号公報では、物体側から順に正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群の2つのレンズ群で構成し、両レンズ群の間隔を変えて変倍する、変倍比3倍程度の小型のズームレンズが提案されている。
【0012】
これらで提案されているズームレンズは、第1レンズ群を正、負、正又は負、正レンズの4つのレンズで構成し、第2レンズ群を正、負レンズの2つ又は負、正、負レンズの3つのレンズで構成してレンズ系全体の簡素化を図っている。
【0013】
また、例えば特開平7−225337号公報、特開平8−338946号公報では、物体側から順に正の屈折力を有し、負、正レンズの2枚構成の第1レンズ群、負の屈折力を有し、正、負レンズの2枚構成の第2レンズ群の2つのレンズ群で構成し、両レンズ群の間隔を変えて変倍する、変倍比2から3倍程度の小型のズームレンズが提案されている。
【0014】
また、本出願人は特開平9−211325号公報、特開平10−48523号公報において正の屈折力の第1レンズ群を正レンズ、負レンズ、非球面レンズ、正レンズ、負の屈折力の第2レンズ群を正レンズ、負レンズより構成し、非球面レンズを効果的に配置したことにより高い光学性能を有した小型の2群ズームレンズを実現している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特開平8−304703号公報、特開2000−221396号公報では比較的簡易な構成で高い光学性能を維持したズームレンズを提案しているが、光学系の中で一番大きな径を有し高重量の最終レンズに比較的高い屈折率の硝材を使用しており、製造の容易性や低コスト化という面でまだ検討の余地がある。また、変倍比も2倍程度のものであり、より広範な撮影条件に対応させるにはいたっていない。
【0016】
また特開平7−306361号公報では上記提案とほぼ同じ構成で変倍比3倍程度のズームレンズを実現しているが、やはり最終レンズに屈折率の高い硝材を使用しており、製造の容易性や低コスト化という面でまだ検討の余地が残っている。
【0017】
また前述の特開平7−225337号公報、特開平8−338946号公報では更に少枚数の構成で変倍比が2〜3倍程度のズームレンズを提案しているが、やはり光学系の中で一番大きな径を有している最終レンズに比較的高い屈折率の硝材を使用しており、更に少枚数化のために非球面レンズの硝材にも屈折率が非常に高いものを使用していて、光学系全体の製造の容易性及び低コスト化という観点ではやはり検討の余地がある。
【0018】
本発明は、各レンズ群のレンズ構成を適切に設定することにより、高変倍でありながらコンパクトで低コストなズームレンズの提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のズームレンズは、
物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群と負の屈折力の第2レンズ群を有し、該第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
該第1レンズ群は、物体側から順に、正の第11レンズ、負の第12レンズ、1枚以上の正レンズを有し、
該第2レンズ群は、物体側から順に、非球面を有する正の第21レンズ、負の第22レンズより成り、
広角端及び望遠端での全系の焦点距離を各々fw、ft、
該第12レンズ及び第22レンズの材質のd線における屈折率をそれぞれNd12、Nd22とするとき、
2.4 < ft/fw < 4.5
1.50 < Nd22 < 1.68
Nd22 < Nd12
なる条件を満足することを特徴としている。
【0020】
請求項2の発明は請求項1の発明において、
前記第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離を各々f1、f2とするとき、
0.5 < f1/fw < 0.9
0.4 <|f2|/fw < 0.8
なる条件を満足することを特徴としている。
【0021】
請求項3の発明は請求項1又は2の発明において、
前記第1レンズ群の1枚以上の正レンズは、正の第13レンズと正の第14レンズであることを特徴としている。
【0022】
請求項4の発明は請求項1、2又は3の発明において、
前記第21レンズは樹脂材料で成形された非球面を有するレンズであることを特徴としている。
【0023】
請求項5の発明は請求項1から4のいずれか1項の発明において、
前記第1レンズ群内の全ての正レンズの材料の屈折率が1.65以下であることを特徴としている。
【0024】
請求項6の発明は請求項3の発明において、
前記第11レンズは物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ、前記第12レンズは両レンズ面が凹面形状のレンズ、前記第13レンズは両レンズ面が凸面形状のレンズ、前記第21レンズは、レンズ中心付近の形状が像面側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ、前記第22レンズは像面側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズであることを特徴としている。
【0025】
請求項7の発明の光学機器は、
請求項1から6のいずれか1項のズームレンズを有し、該ズームレンズで対角線長2Yの有効画面内に像を形成する光学機器であって、望遠端における最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面との光軸上の距離をTDtとするとき、
0.8 < TDt/Y < 2.0
なる条件を満足することを特徴としている。
【0026】
請求項8の発明の光学機器は、請求項1から6のいずれか1項のズームレンズを有していることを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態1のズームレンズのレンズ断面図、図2、図3は本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の広角端、望遠端における収差図である。
【0028】
図4は本発明の実施形態2のズームレンズのレンズ断面図、図5、図6は本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の広角端、望遠端における収差図である。
【0029】
図7は本発明の実施形態3のズームレンズのレンズ断面図、図8、図9は本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の広角端、望遠端における収差図である。
【0030】
図10は本発明の実施形態4のズームレンズのレンズ断面図、図11、図12は本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の広角端、望遠端における収差図である。
【0031】
図13は本発明の実施形態5のズームレンズのレンズ断面図、図14、図15は本発明の実施形態5に対応する数値実施例5の広角端、望遠端における収差図である。
【0032】
図1、図4、図7、図10、図13のレンズ断面図において、L1は正の屈折力の第1レンズ群、L2は負の屈折力の第2レンズ群である。各実施形態では、両レンズ群の間隔を減少させつつ、双方のレンズ群を矢印の如く物体側へ移動させて広角端から望遠端への変倍(ズーミング)を行なっている。
【0033】
SPは絞りであり、第1レンズ群L1中に設けている。IPは像面であり、撮像素子やフィルム等が配置されている。
【0034】
収差図の球面収差において実線はd線、二点鎖線はg線、鎖線は正弦条件であり、収差図の非点収差において実線はサジタル光線、点線はメリディオナル光線を表し、収差図の倍率色収差において二点鎖線はg線を表す。Yは像高を表す。
【0035】
尚、広角端と望遠端とは変倍用レンズ群が機構上光軸上移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
【0036】
各実施形態では、広角端から望遠端への変倍に際しては第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が減少するように、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2を共に光軸上を物体側へ移動している。このように、ズームレンズを構成する2つのレンズ群L1、L2が共に光軸上を移動して変倍を行う構成とすることで、広角端での光学全長が短い光学系とすると同時に、携帯時にレンズ群を沈胴させるメカ構造にするコンパクトカメラ等において最適な形態としている。
【0037】
また、正の屈折力の第1レンズ群L1を物体側より順に正の屈折力で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第11レンズG11、負の屈折力で両レンズ面が凹面形状の第12レンズG12、正の屈折力で両レンズ面が凸面形状の第13レンズG13、正の屈折力を持ち両レンズ面が凸面形状の第14レンズG14で構成している。又、負の屈折力の第2レンズ群L2を、物体側より順に非球面を有し像側に凸面を向けたメニスカス形状の正の第21レンズG21、負の屈折力で像側に凸面を向けたメニスカス形状の第22レンズG22で構成している。
【0038】
なお、本実施形態において、「第iレンズ群」の呼称は、それが複数枚のレンズで構成される場合だけではなく、1枚のレンズのみで構成される場合にも用いるものとする。
【0039】
各実施形態のズームレンズは、ズームタイプとして最小構成である2群ズームタイプにおいて高い変倍比を得るために各レンズ群に強い屈折力を必要としている。そのため正の屈折力の第1レンズ群L1には正レンズを3枚配置して、十分な正の屈折力を確保すると共に収差の発生を抑える様に屈折力の分配をしている。また、負レンズを1枚配置することで、正の屈折力のレンズで発生する収差をキャンセルしている。
【0040】
一方、負の屈折力を有する第2レンズ群は、レンズ径が大きくなる傾向にあることから構成レンズ枚数が多いとレンズ重量が増大したりレンズコストが高くなるため、正、負レンズの2枚構成としている。そしてレンズ枚数を少なくしたことによる収差補正を容易に行なう為に、正の第21レンズに非球面を設けて収差補正を良好に行なっている。これにより光学性能を良好に維持しながらも構成レンズ枚数を少なくし、簡易な光学系を実現している。
【0041】
また各実施形態において、非球面を有する第21レンズを樹脂材料で成形している。
【0042】
各実施形態のズームレンズでは、第21レンズの持つ正の屈折力は比較的弱くすることが可能である。そのため材料の屈折率が小さい樹脂材料を使用しても面の曲率が強くなってしまうことが少ない。また、製造上の観点から考えると該非球面は研磨ではなく成形により作り出す方が望ましく、一般には成形によりレンズを作り出す材料としては硝子材料より樹脂材料の方が製造しやすく、コストも安い。よって、第21レンズを樹脂材料により成形している。
【0043】
また各実施形態において、第1レンズ群L1内の全ての正レンズの材料の屈折率が1.65以下としている。こうすることで、比較的安価で製造しやすい硝材で第1レンズ群L1を構成することが可能になり、光学系全体の製造を容易にし、光学系全体の低コスト化も実現している。また、この様に第1レンズ群L1内の全ての正レンズを低屈折率の材料で構成する為に、強い正の屈折力を持つ第1レンズ群L1の中で各正レンズに正の屈折力を均等に分配し、それにより極端に強い曲面を持たせずに光学系を構成し、収差補正上も有利な形態としている。
【0044】
各実施形態では非球面は第21レンズの物体側の面のみであるが、より収差補正能力を上げるために像面側の面にも配置しても良く、更には他のレンズに非球面を配置しても良い。特に第1レンズ群L1内に非球面を配置することで、より全ての変倍域で良好な性能を得ることができる。またその際には、非球面を含むレンズは樹脂材料により成形すると製造が容易で且つ低コスト化に有利な形態となる。
【0045】
そして各実施形態においては、広角端及び望遠端での全系の焦点距離を各々fw、ft、該第12レンズ及び第22レンズの材質のd線における屈折率をそれぞれNd12、Nd22、第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離を各々f1、f2とするとき、
2.4 < ft/fw < 4.5 ・・・(1)
1.50 < Nd22 < 1.68 ・・・(2)
Nd22 < Nd12 ・・・(3)
0.5 < f1/fw < 0.9 ・・・(4)
0.4 <|f2|/fw < 0.8 ・・・(5)
なる条件式のうち1以上を満足するようにしている。
【0046】
次に前述の各条件式の技術的意味について説明する。
【0047】
条件式(1)は変倍比を示す条件であり、下限を超えて変倍比が小さいとコンパクトカメラ用のズームレンズとしては変倍比が不十分である。又、上限を超えて大きいと各レンズ群に強い屈折力が必要となり収差補正が困難となり望ましくない。
【0048】
条件式(2)式は第2レンズ群L2の屈折力とレンズ構成の製造容易性とのバランスを取るための条件である。条件式(2)の下限を超えて第22レンズの材料の屈折率が小さいと負の屈折力を得るための面の曲率が強くなり加工が困難になると共に収差も多く発生し、収差補正が困難となる。また上限を超えて屈折率が大きくなるとレンズコストが高くなり望ましくない。特に第22レンズは各実施形態で一番大きい径のレンズであり、硝材の低コスト化によるレンズのコストダウン効果が他のレンズに比べて大きくなっている。
【0049】
条件式(3)式は像面特性を良好に維持するための条件である。この条件式(3)を外れる、即ち第12レンズの材料の屈折率が第22レンズの材料の屈折率より小さくなると、全系でのペッツバール和を小さくすることが困難になり、像面がアンダー傾向又はオーバー傾向に大きく倒れて補正が困難となるため望ましくない。特に各実施形態では負レンズは第12レンズと第22レンズのみであり且つ第22レンズは屈折率の小さい材料を使っているため、この条件を満たすことはより重要となる。
【0050】
条件式(4)は主に第1レンズ群L1の小型化と光学性能とのバランスを図るためのものである。条件式(4)の下限を越えて第1レンズ群L1の屈折力が強くなると、小型化には有利であるが特に第1レンズ群L1における広角端から望遠端にかけての球面収差の変動量が増大し、補正困難となるため望ましくない。上限を越えて第1レンズ群L1の屈折力が弱くなると、収差補正上は有利になるが第1レンズ群L1が大型化するため望ましくない。
【0051】
条件式(5)は主に第2レンズ群L2の小型化と光学性能とのバランスを図るためのものである。条件式(5)の下限を越えて第2レンズ群L2の屈折力が強くなると、第2レンズ群L2の変倍における移動量は減少するものの特に広角端における歪曲収差が悪化し補正困難となるため望ましくない。上限を越えて第2レンズ群L2の屈折力が弱くなると、第2レンズ群L2の変倍における移動量が増大し、 大型化するため良くない。
【0052】
尚、各実施形態において更に好ましくは条件式(1)、(2)、(4)、(5)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0053】
2.5 < ft/fw < 3.5 ・・・(1a)
1.55 < Nd22 < 1.65 ・・・(2a)
0.55 < f1/fw < 0.8 ・・・(4a)
0.45 <|f2|/fw < 0.7 ・・・(5a)
各実施形態に係るズームレンズを対角線長2Yの有効画面を持つカメラ、例えば撮像素子に形成するデジタルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ等に適用するときには、望遠端における最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面との光軸上の距離をTDtとするとき、
0.8 < TDt/Y < 2.0 ・・・(6)
なる条件式を満足している。
【0054】
条件式(6)は光学系のコンパクト化と光学性能のバランスを取るための条件である。下限を超えてレンズ系の光学長が小さいとレンズ枚数が極端に少なくなるか、各レンズの厚みが小さくなるため、十分な屈折力を確保するのが難しくなり、更に収差補正を良好に行なうのが難しくなり望ましくない。また上限を超えてレンズ系の光学長が大きくなると、レンズ沈胴時の長さが長くなりカメラの小型化が困難となると共にカメラの携帯性が悪くなるため望ましくない。
【0055】
更に好ましくは条件式(6)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0056】
0.9 < TDt/Y < 1.5 ・・・(6a)
次に各実施形態1〜5に各々対応する数値実施例1〜5の数値データを示す。各数値実施例においてiは物体側からの光学面の順序を示し、Riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径、Diは第i面と第i+1面との間の間隔、Niとνiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数を示す。fは焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角である。またkを離心率、B,C,D,Eを4次、6次、8次、10次の非球面係数とし、光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとするとき、非球面形状は、
x=(h2/R)/[1+[1−(1+k)(h/R)2]1/2]+Bh4+Ch6
+Dh8+Eh10
で表示される。但しRは曲率半径である。「e−0X」は「×10−X」を意味している。又、各数値実施例における上述した条件式との対応を表1に示す。
【0057】
【数1】
【0058】
【数2】
【0059】
【数3】
【0060】
【数4】
【0061】
【数5】
【0062】
【表1】
【0063】
次に本発明のズームレンズを撮影光学系として用いたカメラの実施形態を図16を用いて説明する。
【0064】
図16において、10はカメラ本体、11は本発明のズームレンズによって構成された撮影光学系、12はカメラ本体に内蔵されたストロボ、13は外部式ファインダー、14はシャッターボタンである。
【0065】
このように本発明のズームレンズをレンズシャッターカメラ等の光学機器に適用することにより、小型で高い光学性能を有する光学機器を実現している。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、高変倍でありながらコンパクトで低コストなズームレンズ及びそれを有する光学機器を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のレンズ断面図
【図2】本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の広角端における収差図
【図3】本発明の実施形態1に対応する数値実施例1の望遠端における収差図
【図4】本発明の実施形態2のレンズ断面図
【図5】本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の広角端における収差図
【図6】本発明の実施形態2に対応する数値実施例2の望遠端における収差図
【図7】本発明の実施形態3のレンズ断面図
【図8】本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の広角端における収差図
【図9】本発明の実施形態3に対応する数値実施例3の望遠端における収差図
【図10】本発明の実施形態4のレンズ断面図
【図11】本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の広角端における収差図
【図12】本発明の実施形態4に対応する数値実施例4の望遠端における収差図
【図13】本発明の実施形態5のレンズ断面図
【図14】本発明の実施形態5に対応する数値実施例5の広角端における収差図
【図15】本発明の実施形態5に対応する数値実施例5の望遠端における収差図
【図16】本発明の光学機器の要部概略図
【符号の説明】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
SP 絞り
IP 像面
d d線
g g線
S サジタル像面
M メリディオナル像面
Fno Fナンバー
Y 像高
Claims (8)
- 物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群と負の屈折力の第2レンズ群を有し、該第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を変化させてズーミングを行うズームレンズにおいて、
該第1レンズ群は、物体側から順に、正の第11レンズ、負の第12レンズ、1枚以上の正レンズを有し、
該第2レンズ群は、物体側から順に、非球面を有する正の第21レンズ、負の第22レンズより成り、
広角端及び望遠端での全系の焦点距離を各々fw、ft、
該第12レンズ及び第22レンズを構成する材料のd線における屈折率をそれぞれNd12、Nd22とするとき、
2.4 < ft/fw < 4.5
1.50 < Nd22 < 1.68
Nd22 < Nd12
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。 - 前記第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離を各々f1、f2とするとき、
0.5 < f1/fw < 0.9
0.4 <|f2|/fw < 0.8
なる条件を満足することを特徴とする請求項1のズームレンズ。 - 前記第1レンズ群の1枚以上の正レンズは、正の第13レンズと正の第14レンズであることを特徴とする請求項1又は2のズームレンズ。
- 前記第21レンズは樹脂材料で成形された非球面を有するレンズであることを特徴とする請求項1、2又は3のズームレンズ。
- 前記第1レンズ群内の全ての正レンズの材料の屈折率が1.65以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
- 前記第11レンズは物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ、前記第12レンズは両レンズ面が凹面形状のレンズ、前記第13レンズは両レンズ面が凸面形状のレンズ、前記第21レンズは、レンズ中心付近の形状が像面側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ、前記第22レンズは像面側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズであることを特徴とする請求項3のズームレンズ。
- 請求項1から6のいずれか1項のズームレンズを有し、該ズームレンズで対角線長2Yの有効画面内に像を形成する光学機器であって、望遠端における最も物体側のレンズ面と最も像側のレンズ面との光軸上の距離をTDtとするとき、
0.8 < TDt/Y < 2.0
なる条件を満足することを特徴とする光学機器。 - 請求項1から6のいずれか1項のズームレンズを有していることを特徴とする光学機器。
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Cited By (3)
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JP2015121786A (ja) * | 2013-12-20 | 2015-07-02 | 玉晶光電股▲ふん▼有限公司 | 光学撮像系 |
KR101803869B1 (ko) * | 2016-05-25 | 2017-12-04 | 엘지이노텍 주식회사 | 렌즈모듈 |
WO2022000604A1 (zh) * | 2020-06-30 | 2022-01-06 | 诚瑞光学(常州)股份有限公司 | 遮光板及镜头模组 |
-
2002
- 2002-08-19 JP JP2002238098A patent/JP2004077802A/ja active Pending
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WO2022000604A1 (zh) * | 2020-06-30 | 2022-01-06 | 诚瑞光学(常州)股份有限公司 | 遮光板及镜头模组 |
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