JP2004077731A - 写真処理廃液の処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】写真処理廃液の噴霧乾燥時に発生した亜硫酸ガス、アンモニアガスを含む排ガスを再利用し、簡易かつ低コストで処理する写真処理廃液の処理システムを提供する。
【解決手段】写真処理用自動現像装置から生じる写真処理廃液を噴霧乾燥装置を用いて不揮発成分を固体化して回収再利用する写真処理廃液の処理システムであって、噴霧乾燥に使用する空気を循環再使用する写真処理廃液の処理システム。
【選択図】 なし
【解決手段】写真処理用自動現像装置から生じる写真処理廃液を噴霧乾燥装置を用いて不揮発成分を固体化して回収再利用する写真処理廃液の処理システムであって、噴霧乾燥に使用する空気を循環再使用する写真処理廃液の処理システム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真処理用自動現像機から排出される廃液の再利用システムに関し、特に、写真処理廃液中の固形分を乾固して取り出し、蒸発させた水分を冷却手段で冷却して凝縮水として回収し、写真感光材料処理装置にて再利用するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーネガフィルムやカラーペーパーを用いる写真感光材料の処理システムは、現像液、漂白定着液、水洗液を用いるウエット処理であり、処理薬品の補充、廃液の処理などインクジェットプリンターやゼログラフィー等の他の方式に比較して煩わしい液の取扱があり取扱の利便性において劣る。
近年、処理薬品の補充については、固形写真薬品として錠剤を用いるコニカ(株)製のエコジェット(商品名)や、液体ながらユーザーが液に触れることが全く無い富士写真フィルム(株)製のNCシステム(商品名)などがあり、大きく改善されてきている。
【0003】
しかしながら、廃液処理については、減圧濃縮法で廃液を元の体積の1/3程度まで濃縮する装置がコニカ(株)からACR−40−3(商品名)として販売されているが、体積が少なくなっただけで煩わしい液の取扱はそのままであるうえ、粘度が高くなり悪臭も強くなって作業性は必ずしも良くはならない。
【0004】
特公平6−73662号公報に記載の発明は、廃液を蒸発させることにより濃縮または乾固し廃液量を減少することを目的としており、廃液中の水分を蒸発固化させることにより上記問題点を解決している。なお該公報には、写真処理廃液を乾固させるのに噴霧乾燥法を用い得ることが記載されている。
噴霧乾燥方法、とりわけ噴霧と加熱気体を並流で流す方法は、噴霧中に水が液として存在する時は高温で接触するが、乾燥が進行するに従い加熱空気も蒸発潜熱に奪われて温度が下がるうえ、瞬時に乾燥が終了するため、特に熱に弱い化学薬品やコーヒーや医薬品の乾燥に用いられる。また、写真感光材料の処理においては、近年迅速化と平行して処理剤や補充水の削減が図られており、さらには処理オペレーターの作業性向上のため処理剤だけでなく廃液の処理に付いてもドライ化がなされようとしている。
さらには、蒸発乾固した固形分を何らかの形で再利用する事が検討されているし(特開平10−288829号等)、水分を凝縮して得られた水を、写真感光材料処理装置の漂白定着槽や水洗槽に戻して再利用する事が可能な事も知られている(特公平6−73662号等)。
【0005】
しかしながら、噴霧乾燥については液滴の生成時には二流体ノズルに圧縮空気を使う必要があり、乾燥にも加熱空気を必要とする。この排気は量が多く、通常そのまま大気に放出されるか、臭気などがある場合はスクラバー等の排気処理装置にて無害化処理される。さもなくば活性炭、シリカゲル、イオン交換樹脂等の吸着剤にて脱臭無害化される。
【0006】
写真処理廃液を噴霧乾燥させた場合は、加熱により亜硫酸ガス、アンモニアガスが発生する。排ガスを凝縮器にて冷却し、含まれている水分を凝縮させると、排ガスと凝縮水との間の平衡関係により凝縮水にアンモニアや亜硫酸ガスが溶解するが、排ガス中にもアンモニアや亜硫酸ガスが残るため、この排ガスをそのまま大気中に放出すると臭気がひどい上、喉などをいためる原因となる。このため、先に述べた無害化が必要であるが、狭い写真の現像処理店にスクラバーを設置するのは困難であるし、吸着剤を用いれば、新たな廃棄物を生み出すことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、写真処理廃液の噴霧乾燥時に発生した亜硫酸ガス、アンモニアガスを含む排ガスを再利用し、簡易かつ低コストで処理する写真処理廃液の処理システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、噴霧乾燥する加熱空気は水分を取りさえすれば、アンモニアや亜硫酸ガスが混じっていても乾燥の妨げにはならないことを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)写真処理用自動現像装置から生じる写真処理廃液を噴霧乾燥装置を用いて不揮発成分を固体化して回収再利用する写真処理廃液の処理システムであって、噴霧乾燥に使用する空気を循環再使用することを特徴とする写真処理廃液の処理システム、および
(2)揮発成分を凝縮回収して再利用することを特徴とする(1)項に記載の写真処理廃液の処理システム
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、廃液処理における噴霧乾燥に使用する空気を循環再使用することを特徴とする。空気を循環再利用することにより、量の多い排気中の臭気成分をとる必要が無くなるか、あっても少量排気される空気の処理で済み、狭い写真の現像処理店にスクラバーを設置するのは不要になり、吸着剤を用いることによるコストアップを避け、新たな廃棄物を生み出すことも無くなる。
【0011】
本発明では、各処理槽から回収した廃液を固化させる。廃液固化手段としては、スプレードライヤー等の噴霧乾燥が用いられる。本発明には、公知の噴霧乾燥手段による廃液再生装置を適用することができ、噴霧乾燥装置としては、例えば、ビュッヒ(株)製スプレードライヤー装置B−191(商品名)や、特開2000−5647号、特開昭58−74101号公報等に記載のスプレードライヤー装置を用いることができる。
【0012】
本発明の写真処理廃液の処理システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の写真処理廃液の処理システムの好ましい一実施態様の全体図である。
写真処理後の廃液は廃液タンク1に貯留される。
噴霧乾燥装置において、スプレイ塔5の上部に2流体スプレーノズル3が取り付けられており、該2流体スプレーノズル3には廃液と空気との2つの流体が導入される。廃液は廃液タンク1からポンプ2によりスプレーノズル3に導入され、空気はコンプレッサー4から圧縮され導入される。スプレーノズル内は廃液側管および空気側管にわかれており、空気側管の内側に廃液側管が設けられた入れ子構造になっている。廃液側管には噴霧する液体が導入され、空気側管には圧縮空気が導入される。廃液側管内には液流量調節ニードルが設けられており、このニードルを移動させてノズル先端の口径を変化させることにより液流量が調節される。空気量の調節は空気量調整弁により行われる。
【0013】
スプレイ塔5には噴霧液滴を乾燥させるための乾燥空気を送り込む乾燥空気導入口7が設けられている。空気はヒーター8で加熱乾燥され乾燥空気導入口7からスプレイ塔5に送り込まれる。スプレイ塔5に隣接してサイクロン9が設けられ、サイクロン9により固化物と気体とを分離する。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られ、凝縮器12により気体と水とに分離される。
【0014】
次に、図1を参照しながら本発明の噴霧乾燥装置を用いた噴霧乾燥方法を説明する。
まず、スプレーノズル3に、廃液タンク1から廃液ポンプ2により液体を導入し、同時にコンプレッサー4により圧縮空気を導入する。液流量制御用ニードル6及び空気量調整弁(図示せず)を用いて、適当な噴霧角度となるように調節する。
スプレーノズル3から2流体を下方に噴射し、スプレイ塔5内に液体を上記の噴霧角度で噴霧する。スプレイ塔5内に噴霧された液体は、ヒーター8で加熱され乾燥空気導入口7から導入された乾燥空気により乾燥固化される。流体はサイクロン9に移動し、乾燥固化物と気体とに分離される。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られる。
【0015】
水蒸気の凝縮については、公知のいかなる方法であっても良いが、空冷コンデンサーによる方法、ヒートポンプによりエネルギーコストを削減しながら凝縮回収する方法、ペルチェ素子により液加熱と蒸気凝縮を同時にする方法などでもよく、適宜これらの組み合わせであっても良い。凝縮した水は、噴霧乾燥時に発生し溶解しているアンモニアを除去した後、漂白定着処理液(P2)又はリンス液(PS)に利用することができる。
凝縮器12により水分を除去した空気は循環再利用され、ヒーター8で加熱して再び噴霧乾燥に用いられる。
【0016】
回収固形物カートリッジ10に貯留された固化物は、固体処理剤として再利用するのが好ましい。ここで、固体処理剤とは、形状は粉体、顆粒、錠剤の如何を問わず固体状であって、現像、漂白、定着、又は漂白定着等の各処理工程に応じて製作され、各々の工程に必要な全ての成分を1種又は数種に分割して含有する固体処理薬品をいい、粉塵が飛散しないことと溶解速度が比較的迅速なことから顆粒状のものが好ましい。
本発明では、写真処理廃液を噴霧乾燥する前に脱銀処理をせず、固化した廃液を固体処理剤の一部として再利用するのが好ましいが、漂白、定着用又は漂白定着工程からの廃液に含まれる成分が現像工程に入ると写真の品質に悪影響を及ぼすことから漂白、定着、又は漂白定着等の各処理工程に用いる固体処理剤の一部として再利用するのが好ましい。脱銀処理をしないことを好ましいとした理由は、別途脱銀用の装置が必要となり、設置スペースを要しコスト高となるからである。ただし、銀イオンを除去せずに固体処理剤として100%再利用して写真処理を行うと、処理液中の銀イオン濃度が増加して感光材料の定着を抑制してしまう。したがって、廃液の再利用率は50〜90%が好ましく、60〜85%がより好ましい。ここで再利用率とは、写真廃液から得られる固化物の全量に対し、補充剤として再利用する固化物の量の割合をいい、次式で表される。
再利用率(%)={(写真廃液から得られる固化物から補充剤として使用した量(g))÷(写真廃液から得られる固化物の全量(g))}×100
【0017】
以下に、本発明のシステムにより好ましい態様として再生されるハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固体処理剤について詳細に説明する。かかる固体処理剤は、特開2001−183779号公報に記載されているような、保存安定性に優れ、かつコンパクトであり、保管及び取り扱い中の吸湿が低減できるものが好ましい。このような効果が得られる顆粒型固形処理剤は、コア/シェル構想を有する。コアである内部核の臨界相対湿度(処理剤と湿度平衡状態にある空気の相対湿度)が70%RH以下という、臨界相対湿度が低く、吸湿性の高い成分を含有する場合にとくに効果を発揮する。臨界相対湿度が70%RH以下の成分としては、アルカリ金属水酸化物、チオ硫酸塩、炭酸カリウム、硫酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩が挙げられる。臨界相対湿度60%RH以下の内部核を用いると、上記効果がより効果的に達成できる。また、実用的には臨界相対湿度が5%RH以上の内部核が用いられる。内部核がアルカリ金属水酸化物を含有する場合、アルカリ金属水酸化物が水酸化リチウムである場合に上記効果が顕著である。内部核がチオ硫酸塩である場合、チオ硫酸塩がアンモニウム塩又はナトリウム塩であることが好ましく、とくにアンモニウム塩である場合に上記効果が著しい。また、内部核が臨界相対湿度70%RH以下の成分を50質量%以上含有することが好ましく、60〜100質量%であると上記効果がとくに顕著である。なお、アルカリ金属水酸化物が結晶水を含む場合は結晶水もアルカリ金属水酸化物の質量に含むものとする。内部核は、上記吸湿性の高い成分を含有するが、これらの成分と他の吸湿性の低い成分とを混合しないことが好ましい。吸湿性成分と他の成分とを混合すると、混合組成物の臨界相対湿度は、組成物成分の単体の値よりも低下して、一層吸湿し易くなるためである。内部核の成分は、4種以下であることが好ましく、3種以下であることがより好ましく、2種以下、さらには単体であることが最も好ましい。
【0018】
内部核とそれを被覆する層からなる顆粒の粒子構造は、一般にコア/シェル構造と呼ばれる構造であるが、シェル層(被覆層)は、3層以上の多重層である。被覆層が単層又は2重層であってもコア/シェル構造であることによって、顆粒の吸湿性は抑制されて保存安定性は向上するが、2重層の顆粒に対して3層以上の多重層とすることによってその効果に顕著な差が生じることを利用していることが特徴点である。多重層とすることによって、顆粒を構成する成分化合物をさらに安定な群にふり分けて構成させることもできる。本発明の処理システムにより再生される固体処理剤において、顆粒は内部核の表面が3層以上の被覆層で覆われているが、3〜10層被覆することが好ましく、3〜5層被覆することが更に好ましい。被覆層の組成は、後述する処理剤構成成分によって構成されており、とくにアルカリ金属水酸化物やチオ硫酸塩を除いた処理剤構成成分からなることが好ましい。また、結着性、安定性、機械的強度などの諸観点から、処理剤構成成分以外に無機塩、水溶性ポリマー等の現像不活性物質を含有させることもできる。シェルである被覆層の臨界相対湿度は、内部核の臨界相対湿度よりも高いことが好ましい。被覆層の臨界相対湿度は70%RH以上であることがさらに好ましい。被覆層の総質量が内部核の質量に対して0.5倍以上であることが好ましい。より好ましくは0.5倍以上であり、1.0倍以上であることが特に好ましい。
【0019】
顆粒を構成する処理剤成分を、内部核すなわちコア成分と、被覆層成分すなわちシェル成分とに振り分ける振り分け方は、公知の化学的知見にしたがって、構成成分を▲1▼吸湿性化合物単独、又は吸湿性化合物及びその化合物と混合可能な少量の他の成分との混合組成物と、▲2▼互いに混合してもよい3群以上の他の成分からなる組成物群に別けて、▲1▼の単独成分又は組成物群を内部核に、▲2▼の単独成分又は混合組成物群を3層以上の被覆層とするという複合構造の顆粒設計指針にしたがって、さらに振り分け方の最適化を行って顆粒を製造する。
【0020】
本明細書において、球形顆粒とは粉体を球形に造粒した粒子を指す。球形とは、真球であっても、真球でなくてもよく、いわゆるペレット、丸薬、ビーズなどの名で一般的に呼ばれる粒子形状を含む。顆粒の平均粒径が0.5〜20mmであることが好ましく、1〜15mmであることが更に好ましく、2〜10mmであることが非常に好ましい。また、平均粒径が0.5mm以下の顆粒が、顆粒型固形処理剤の10質量%以下であると、上記効果が顕著であり、0〜5質量%であることがとくに好ましい。
【0021】
本発明のシステムにより再生される固体処理剤において、内部核の形状は球状、円柱状、角柱状、不定形などの様々な形状に造粒できる。内部核上への多成分の被覆のし易さからは球状が好ましく、内部核の製造のし易さからは不定形が好ましい。内部核の平均粒径が0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜4mmであることが更に好ましく、0.3〜3mmであることが非常に好ましい。また、被覆層のそれぞれの厚みは、0.01〜5mm、好ましくは0.05〜2.5mm、より好ましくは0.1〜1.5mmであり、顆粒の吸湿性低減と保存安定性向上作用は、各被覆層の厚みよりは3層以上という被覆層の数の寄与が大きいことが判っている。
【0022】
前記内部核の造粒、前記内部核上への被覆は、任意の各種造粒法によって行うことができる。各種造粒法は、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編)に記載されており、また例えば特開平4−221951号、同2−109043号公報などにも記載されている。その中でも好ましい方法として、下記に代表的造粒法を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
(1)転動造粒法(造粒ハンドブック p133)
回転ドラムあるいは回転皿などの回転容器内において原料粉体を転動(ころがし)させながら液(バインダー)を散布し、界面エネルギーを原動力に雪だるま式に凝集を進めて造粒する方法。
(2)圧縮型造粒法(造粒ハンドブック p199)
回転する2つのロール間で、粉体原料を圧縮し成形する操作によってロール表面にブリケットのポケットが刻まれた成形造粒を行うブリケッティングと称する方法及び表面平滑型で板状のフレークに成形し、その後このフレークを解砕するコンパクティングと称する方法。
(3)攪拌造粒法(造粒ハンドブック p379)
容器内に設けられた攪拌翼などを用い強制的に原料粉体に流動運動を与え、液を噴霧しつつ凝集造粒を行う方法。
【0024】
(4)押し出し造粒法(造粒ハンドブック p169)
原材料をダイやスクリーンの細孔から押し出して造粒する方法。押し出す機構にはスクリュー型、ロール型、ブレード型、自己成形型、ラム型などが用いられる。
(5)破砕型造粒法(造粒ハンドブック p349)
乾式法と湿式法がある。乾式法は前述の圧縮造粒法で得られたブリケットやコンパクトフレークなどを破砕して顆粒を得る方法。湿式法はあらかじめ粉体材料を加湿し、こねたものを破砕造粒する操作で、いずれの場合もハンマーによる衝撃、カッターなどによるせん断、凹凸歯型ロールや波型ロールなどを用いて圧縮破砕細分するものである。
(6)流動層造粒法(造粒ハンドブック p283)
下から吹き上げる流体中に粉体を浮遊懸濁させた状態に保ちながら、結合剤を噴霧して造粒する方法。この操作は流動化法という単位操作に属するが、これに転動、攪拌作用を併用させた流動層多機能型造粒機もある。
【0025】
(7)コーティング造粒法(造粒ハンドブック p409)
核に被覆物質やバインダーの溶液を噴霧した核表面に背負う粒子を付着させる造粒方法。回転ドラムで転動するパンコーティング、回転円板で転動する転動コーティング、空気流による流動層を形成する流動層コーティング、ローターの回転による遠心力とスリットエアーにより遊星運動をおこす遠心流動型コーティング等の種類がある。
(8)溶融造粒法(造粒ハンドブック p227)
溶融状態にある物質を噴射または板上滴下などにより細分化あるいはフレーク状にして、冷却凝固する方法。
(9)噴霧乾燥造粒法(造粒ハンドブック p249)
乾燥塔内の熱風気流中において、溶液、ペースト、懸濁液などを噴霧微粒化し、同時に水分を蒸発させて乾燥粒子とする造粒方法。
【0026】
(10)液相造粒法(造粒ハンドブック p439)
マイクロカプセルの製造方法として知られているカプセル造粒方法。界面重合法、液中硬化被膜法、エマルション法、内包物交換法、スプレードライング法等がある。
(11)真空凍結造粒法(造粒ハンドブック p469)
常温では粒形を維持できない湿潤材料を用い、凍結(冷却固化)状態を利用して粒状物をつくる方法。
【0027】
本発明では、内部核の造粒は前記のとおり噴霧乾燥造粒法で行うことが特に好ましい。また、内部核上への被覆は転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法で行うことが好ましく、遠心流動型コーティング機を用いたコーティング造粒法が上記効果を有効に発揮できて、特に好ましい。
【0028】
造粒された顆粒は、その表面に水溶性ポリマーをコーティングすることが好ましい。コーティングに用いられる水溶性ポリマーの種類に制限はなく、例えばゼラチン、ベクチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニールアルコール、変性ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリビニールピロリドン・ビニールアセテート共重合体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸塩、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、カラゲナン、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体等の合成、半合成及び天然水溶性高分子物質から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、中でもポリエチレングリコール、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アラビアガム、カラゲナンの1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
【0029】
水溶性ポリマーのコーティング量は、通常行われるコーティング量である限り格別の制約はないが、顆粒に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%が特に好ましい。水溶性ポリマーのコーティング方法にも任意の方法を格別の制約なく用いることができるが、前記の転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法、溶融造粒法又は噴霧乾燥造粒法を用いることが好ましい。中でも、転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法又は噴霧造粒法によって、顆粒表面に1〜50%濃度のポリマー水溶液をスプレーコーティングし、乾燥する方法が特に好ましい。
【0030】
次に、現像処理剤の組成及び形態について詳細に説明する。顆粒型処理剤は、処理剤を構成する異なる顆粒を混合することなく単独のパーツとして構成してもよく、複数種類の顆粒を混合して一つのパーツを構成してもよい。なお、ここでいうパーツとは、当業界で通常用いられ、かつ国際規格(ISO5989)でも定義されているように、処理剤を構成する部分構成処理剤を指しており、各パーツを一つの溶液に溶解することによって処理液が得られるように構成されている。
【0031】
本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤の容器は、袋、ボトルなどの形態であり、その包装材質は、紙、プラスチック、金属等いかなる材質でも用いることができる。環境への負荷の観点から、紙やプラスチックフィルムで作られた袋状やボトル状容器が好ましく、生分解性プラスチックを用いることが特に好ましい。生分解性プラスチックとしては、ヒドロキシブチレート・ヒドロキシバリレートポリマー、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸等を挙げることができる。また、各種の安定性の観点からはバリア性の包材が好ましい。特に酸素透過性が200mL/m2・24hrs・ハ゜スカル以下のプラスチック材料が好ましい。尚、酸素透過係数は「O2 パーミエイション オブ プラスチック コンティナー、モダーンパッキング(O2 permeation of plastic container, Modern Packing; N.J. Calyan, 1968)の12月号第143〜145頁に記載の方法により測定することができる。好ましいプラスチック材料としては、具体的には塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PES)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。酸素透過性を低減する目的で、PVDC、NY、PE、EVA、EVAL及びPETの使用が好ましい。
【0032】
顆粒型処理剤の具体的な包装形態としては、フィルム状、袋状あるいはボトル状に成形して使用される。バリア性フィルムで包装した固形写真処理剤とする場合、処理剤を湿気から保護するために、膜厚が10〜150μmのフィルムが好ましく、バリア包装材がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンフィルム、ポリエチレンで耐湿効果を持ち得るクラフト紙、蝋紙、耐湿性セロファン、グラシン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル系及びアルミニウムの如き金属箔、金属化ポリマーフィルムから選ばれる少なくとも一つ又はこれらを用いた複合材料が好ましく用いられる。
【0033】
例えば▲1▼ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレン、▲2▼塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体コートセロハン/低密度ポリエチレン、▲3▼ポリエチレンテレフタレート/塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体/低密度ポリエチレン、▲4▼ナイロン/低密度ポリエチレン、▲5▼低密度ポリエチレン/塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体/低密度ポリエチレン、▲6▼ナイロン/エパール/低密度ポリエチレン、▲7▼ポリエチレンテレフタレート/エパール/低密度ポリエチレン、▲8▼アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート等の複合材料よりなるハイバリア(高遮断)性フィルム包装材は水・ガス・光等の高遮断性、堅ろう性、フレキシブル性シール(加工)性等からしても特に好ましく用いられる。これ等ハイバリア性包材については機能性包装材料の新展開(東レリサーチセンター、1990年2月)等に記載されるものが使用できる。
【0034】
また、特開昭63−17453号に開示された低酸素透過性及び低水蒸気透過性の容器、特開平4−19655号、同4−230748号に開示された真空包装材料も好ましい容器材料として用いることが出来る。
【0035】
本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤は、一つの態様として、容器ごと自動現像機に装着して現像処理に供することも可能であり、その場合に好ましい容器の例は、密度が0.941〜0.969でメルトインデックスが0.3〜5.0g/10minの範囲の高密度ポリエチレン(以後HDPEと呼ぶ)を単一の構成樹脂として作られた容器である。より好ましい密度は0.951〜0.969であり、さらに好ましくは0.955〜0.965である。また、より好ましいメルトインデックスは0.3〜5.0であり、さらに好ましくは0.3〜4.0である。メルトインデックスは、ASTM D1238に規定された方法に従い、温度190℃において荷重2.16kgのもとで測定した値である。この容器は500〜1500μmの厚さにすることが好ましい。しかし、本発明のシステムにより再生される処理剤に用いる処理剤容器は、現像機装着に好都合な上記HDPE容器に限定されず、そのほかの、例えばポリエチレンテレフタレート(PET),ポリ塩化ビニル(PVC),低密度ポリエチレン(LDPE)などHDPE以外の凡用容器材料や、HDPEであっても上記の密度とメルトインデックスの範囲以外のものから作られた容器も用いることができる。
【0036】
以上で本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤の構造及び製造方法について説明したので、つぎに各処理剤の構成成分薬品について説明する。本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤は、漂白液、定着液、漂白定着液などの処理剤にも、またカラー写真感光材料用、黒白写真感光材料用のいずれの処理剤にも、あるいは撮影用、プリント用の処理剤のいずれにも適用できる。
【0037】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる脱銀過程の処理剤について説明する。はじめにカラー現像処理における漂白液用及び漂白定着液用の漂白剤について説明する。漂白液又は漂白定着液において用いられる漂白剤としては、公知の漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えばアミノポリカルボン酸類の錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素などが好ましい。
【0038】
これらのうち、鉄(III)の有機錯塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から特に好ましい。鉄(III)の有機錯塩を形成するために有用なアミノポリカルボン酸、またはそれらの塩を挙げると、生分解性のあるエチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、などを挙げることができる。これらの化合物はナトリウム、カリウム、チリウム又はアンモニウム塩のいずれでもよい。これらの化合物の中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸はその鉄(III)錯塩が写真性の良好なことから好ましい。これらの第2鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などとアミノポリカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を、第2鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましい。
【0039】
漂白剤の添加量は、調製した処理液の濃度が0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.03〜0.80モル/リットル、更に好ましくは0.05〜0.70モル/リットル、更に好ましくは0.07〜0.50モル/リットルとなるように定められる。
【0040】
漂白剤、漂白定着剤あるいは定着液には、種々の公知の有機酸(例えばグリコール酸、琥珀酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、スルホ琥珀酸など)、有機塩基(例えばイミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)あるいは、2−ピコリン酸を始めとする特開平9−211819号公報に記載の一般式(A−a)で表される化合物やコージ酸を始めとする同公報に記載の一般式(B−b)で表される化合物を含有することが好ましい。これら化合物の添加量は、調製した処理液の濃度が1リットル当たり0.005〜3.0モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.5モルとなるように定められる。
【0041】
つぎにカラー及び黒白処理用の定着剤(カラー用漂白定着剤の定着剤も含む)についてまとめて説明する。こられ漂白定着剤又は定着剤に使用される化合物は、公知の定着薬品、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。また、特開昭55−155354号公報に記載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができる。チオ硫酸塩特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。顆粒型処理剤から調製した定着液及び漂白定着液中の定着薬品の濃度は、調合液1リットルあたり0.3〜3モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜2.0モルの範囲である。
【0042】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる漂白定着剤及び定着剤の溶解時pH領域は、3〜8が好ましく、更には4〜8が特に好ましい。pHがこれより低いと脱銀性は向上するが、液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進される。逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、かつステインが発生し易くなる。本発明のシステムにより再生された顆粒剤から作られる漂白液のpH領域は8以下であり、2〜7が好ましく、2〜6が特に好ましい。pHがこれより低いと液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進され、逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、ステインが発生し易くなる。pHを調整するためには、必要に応じて前記した固体状の酸、及び前記した固体アルカリである水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び酸性又はアルカリ性緩衝剤等を添加することができる。
【0043】
また、漂白定着剤には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン等を含有させることができる。なお、蛍光増白剤は、前記したカラー現像剤に調製した現像液中の濃度が0.02〜1.0モル/リットルになるように含ませることもできる。漂白定着剤や定着剤は、保恒剤として亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、など)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、など)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム、など)等の亜硫酸イオン放出化合物や、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有するのが好ましい。これらの化合物は亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して約0.02〜1.0モル/リットル含有させることが好ましい。
【0044】
保恒剤としては、上記のほか、アスコルビン酸やカルボニル重亜硫酸付加物、あるいはカルボニル化合物等を添加しても良い。
【0045】
定着又は漂白定着を終了したのち水洗代替安定浴や画像安定化用安定浴が用いられることが多いが、これらの浴は、低濃度であって顆粒型の処理剤の効用は大きくないが、必要があれば顆粒化処理剤を製造することができる。安定浴処理剤には、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0046】
また、残存するマゼンタカプラーを不活性化して色素の褪色やステインの生成を防止するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ピルビンアルデヒドなどのアルセヒド類、米国特許第4,786,583号公報に記載のメチロール化合物やヘキサメヒレンテトラミン、特開平2−153348号公報に記載のヘキサヒドロトリアジン類、米国特許第4,921,779号公報に記載のホルムアルデヒド重亜硫酸付加物、欧州特許公開公報第504609号、同519190号などに記載のアゾリルメチルアミン類などを添加してもよい。更に、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることもできる。
【0047】
以上で、本発明のシステムにより再生した処理剤の構成成分について説明を終わり、次に、本発明のシステムにより再生された処理剤を用いる処理工程について述べる。本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる現像処理は、カラー写真感光材料の場合は、カラー現像工程、脱銀工程、水洗又は安定浴工程及び乾燥工程からなり、各工程間にはリンス工程、中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。脱銀工程は漂白定着液による一工程処理又は漂白工程と定着工程から成る二工程処理によって行われる。また、水洗工程に代わる水洗代替安定浴のほかに画像安定化を目的とする画像安定浴を水洗又は安定浴工程と乾燥工程の間に設けることもできる。黒白写真感光材料の場合は、現像工程、定着工程、水洗工程及び乾燥工程からなり、各工程間にはリンスを含む中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる処理方法は、迅速現像型、低補充型及び国際的に互換性のある標準型の処理方法のいずれでもよい。
【0048】
カラー及び黒白現像工程は、感光材料を現像液に浸漬する浸浴処理工程であり、現像液は構成成分を溶解状態で含んだアルカリ性の連続相の液体である。現像槽には現像液が、補充槽には現像補充液がそれぞれ調製されて用いられる。
【0049】
現像処理される感光材料がカラーネガやカラーリバーサルフィルムなどのカラー撮影材料の場合、その処理温度は一般的には、30〜40℃であるが、迅速処理では、38〜65℃であり、好ましくは40〜55℃である。その現像処理時間は、一般的な処理では1〜8分であるが、迅速処理では、15〜195秒であり、好ましくは20〜150秒で行う。補充量は、感光材料1m2当たり標準現像では600ミリリットルであるが、低補充の処理では、30〜390ミリリットルであり、好ましくは50〜300ミリリットル、さらには80〜200ミリリットルで行うこともある。現像処理される感光材料がカラー印画紙などのカラープリント用材料の場合、その処理温度は一般的には、30〜40℃であるが、迅速処理では、38〜65℃である。その現像処理時間は、一般的な処理では30秒〜3分であるが、迅速処理では、5〜45秒であり、好ましくは5〜20秒で行う。補充量は、感光材料1m2当たり標準現像では161ミリリットルであるが、低補充の処理では、10〜150ミリリットルであり、好ましくは20〜100ミリリットル、さらには25〜80ミリリットルで行うこともある。黒白撮影材料及びプリント材料の現像工程の温度や処理時間は、上記のカラー現像と同じ範囲で行われる。
【0050】
カラー現像処理では現像工程に続いて脱銀処理工程に入り、漂白液及び漂白定着液による処理がなされる。漂白時間は、通常10秒〜6分30秒、好ましくは10秒〜4分30秒、とくに好ましくは、15秒から2分である。本発明による漂白定着処理は処理時間5〜240秒、好ましくは10〜60秒である。処理温度は25〜60℃、好ましくは30〜50℃である。また、補充量は感光材料1m2当たり10〜250ml、好ましくは10〜100ml、特に好ましくは15〜60mlである。黒白現像処理では現像工程に続いて定着液による処理がなされる。定着処理は処理時間5〜240秒、好ましくは10〜60秒である。処理温度は25〜60℃、好ましくは30〜50℃である。また、補充量は感光材料1m2当たり20〜250ml、好ましくは30〜100ml、特に好ましくは15〜60mlである。
【0051】
カラー写真感光材料では脱銀処理後に水洗又は安定浴処理を、また黒白写真感光材料では定着処理後、水洗処理をするのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジニアズ (Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers)第64巻、p.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で、求めることができる。通常多段向流方式における段数は3〜15が好ましく、特に3〜10が好ましい。
【0052】
多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じるので、その解決策として、前記したように防菌防黴剤を含有する安定浴が好ましい。
【0053】
水洗工程又は安定化工程の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には20〜50℃、好ましくは25〜45℃である。水洗及び/又は安定化工程に続いて乾燥が行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から、水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。以上で本発明のシステムにより再生された顆粒型処理剤を用いる現像処理方法について説明したので、次にその現像処理を行う現像処理装置について説明する。
【0054】
本発明にかかわる現像処理方法は、自動現像機を用いて行われる。以下に本発明に好ましく用いられる自動現像機について記述する。自動現像機の搬送の線速度は、5000mm/分以下であることが好ましい。より好ましくは200〜4500mm/分、特に好ましくは500〜3000mm/分である。本発明に関する処理液は、処理槽及び補充液槽で、液が空気と接触する面積(開口面積)はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、開口面積(cm2)を槽中の液体槽(cm3)で割った値を開口率とすると、開口率は0.01(cm−1)以下が好ましく、0.005以下がより好ましく、特に0.001以下が最も好ましい。
【0055】
また、空気との接触する面積を小さくする為に、処理槽および補充槽では液面に浮かぶ固体または液体の空気非接触手段を設けることが好ましい。具体的には、プラスチック製などの浮きを液面に浮かべる方法や、処理液と混ざらず、また化学反応を起こさない液体で覆うことが好ましい。液体の例としては、流動パラフィン、液状飽和炭化水素などが好ましい。
【0056】
本発明においては、迅速に処理を行うために、各処理液間を感光材料が移動する際の空中時間、即ちクロスオーバー時間は短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは7秒以下、更に好ましくは5秒以下である。上記の様な短時間のクロスオーバーを達成するため、シネ型の自動現像機を用いるのが好ましく、特にリーダー搬送方式が好ましい。このような方式は、富士写真フイルム(株)製自動現像機FP−560B(商品名)に用いられている。リーダーや感光材料の搬送手段としては、特開昭60−191257号、同60−191258号、同60−191259号の各公報に記載のベルト搬送方式が好ましい。また、クロスオーバー時間を短縮し、かつ処理液の混入を防止するために、混入防止板を取り付けたクロスオーバーラックの構造が好ましい。
【0057】
本発明に於ける各処理液には、処理液の蒸発分に相当する水を供給する、いわゆる蒸発補正を行うことが好ましい。特に、カラー現像液や漂白液あるいは漂白定着液において好ましい。このような水の補充を行う具体的方法としては、特に制限はないが、中でも特開平1−254959号や同1−254960号公報記載の漂白槽とは別のモニター水槽を設置し、モニター水槽内の水の蒸発量を求め、この水の蒸発量から漂白槽における水の蒸発量を算出し、この蒸発量に比例して漂白槽に水を補充する方法や液レベルセンサーやオーバーフローセンサーを用いた蒸発補正方法が好ましい。最も好ましい蒸発補正方法は、蒸発分に相当する水を予想して加えるもので、日本発明協会公開技報94−49925号1頁右欄26行目〜同3頁左欄28行目に記載されているように自動現像機の運転時間、停止時間及び温調時間の情報に基づいて予め求められた係数により計算された加水量を添加するものである。
【0058】
また、蒸発量を減少させる工夫も必要であり、開口面積を少なくしたり、排気ファンの風量を調節することが要求される。例えば、カラー現像液の好ましい開口率は前記した通りであるが、他の処理液においても同様に開口面積を低下させることが好ましい。蒸発量を減少させる手段として、特開平6−110171号記載の「処理槽の上部空間の湿度を80%RH以上に保持する」ことが特に好ましく、上記公報の図1、2記載の蒸発防止ラック及びローラー自動洗浄機構を有することが特に好ましい。温調時の結露防止のために排気ファンが通常取付けられている。また、感光材料の乾燥条件も処理液の蒸発に影響する。乾燥方式としては、セラミック温風ヒーターを用いるのが好ましく、供給風量としては毎分4〜20m3が好ましく、特に6〜10m3が好ましい。セラミック温風ヒーターの加熱防止用サーモスタットは、伝熱によって動作させる方式が好ましく、取付け位置は、放熱フィンや伝熱部を通じて風下または風上に取りつけるのが好ましい。乾燥温度は、処理される感光材料の含水量によって調整することが好ましく、APSフォーマット及び35mm幅のフィルムでは45〜55℃、ブローニーフィルムでは55〜65℃が最適である。処理液の補充に際しては補充ポンプが用いられるが、ベローズ式の補充ポンプが好ましい。また、補充精度を向上させる方法としては、ポンプ停止時の逆流を防止するため、補充ノズルへの送液チューブの径を細くしておくことが有効である。
【0059】
乾燥時間は5秒〜2分が好ましく、特に5秒〜60秒がより好ましい。以上、主として補充方式による連続処理について述べてきたが、現像工程及び後続工程も含めて一定量の処理液で補充を行わずに処理を行い、その後処理液の全量あるいは一部を新液に交換し再び処理を行う使い切り処理方式を用いることもできる。
【0060】
本発明のシステムにより再生された顆粒型処理剤は、単一または複数のパート構成の顆粒型組成物として直接現像機に供給してもよく、処理剤を溶解して補充液を調製して補充槽に蓄えて補充管理を行いながら、補充する態様でもよい。
【0061】
また、顆粒型処理剤入りのボトルをキャップを逆さにして現像機に装填してから、開栓して内容物(顆粒)を補充槽タンク内で投入して水で溶解する態様も好ましい。この溶解用水は水洗水補充タンクの水を用いることが好ましい。また、顆粒のまま直接処理槽に補充を行い、希釈率に見合った水を直接処理槽に補充しても良い。特に補充タンクを持たないコンパクトな現像機においてこの補充方式は好ましい。
【0062】
複数のパート構成の顆粒型処理剤についても同様で、現像機の補充槽上部に顆粒型の各パートを装填することにより、上記と同様に補充槽タンク内で自動的に水で溶解することができる。この水は水洗水補充タンクの水を用いることが好ましい。また各パート毎に顆粒のまま直接処理槽に補充を行い希釈率に見合った水を処理槽に直接補充しても良い。
【0063】
また、感光材料に塗布された磁気記録層へのゴミの付着を軽減するには、特開平6−289559号公報に記載の安定液が好ましく使用できる。本発明のシステムにより再生した顆粒型処理剤にも、発明協会公開技報、公技番号94−4992の第3頁右欄15行〜第4頁左欄32行に記載の処理仕様を好ましく適用できる。また、これに用いる現像機としては、上記公開技報の第3頁右欄の第22行〜28行に記載のフイルムプロセサーが好ましい。本発明のシステムにより再生した顆粒型処理剤を実用するに好ましい自動現像機、蒸発補正方式の具体例については、上記の公開技報の第5頁右欄11行から第7頁右欄最終行までに記載されている。
【0064】
つぎに、本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料について説明する。本発明に用いる感光材料は、発明の目的と背景に関連して前記したように写真市場で汎用されている撮影用カラー写真感光材料、カラー印画紙、撮影用黒白感光材料及び黒白印画紙であり、この感光材料は支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられている。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。
【0065】
撮影用の多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、独国特許第1,121,470号あるいは英国特許第923,045号に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、同62−206543号公報に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0066】
具体例として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。また特公昭55−34932号公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
【0067】
また特公昭49−15495号公報に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号公報に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置されていてもよい。また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
【0068】
色再現性を改良するために、米国特許第4,663,271号、同第4,705,744号、同第4,707,436号、特開昭62−160448号、同63−89850号公報の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL)を主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
【0069】
撮影用材料に用いられる好ましいハロゲン化銀は約30モル%以下のヨウ化銀を含む、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、もしくはヨウ塩臭化銀である。特に好ましいのは約2モル%から約10モル%までのヨウ化銀を含むヨウ臭化銀もしくはヨウ塩臭化銀である。
【0070】
写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。ハロゲン化銀の粒径は、それぞれの感光層に適した粒子が作られるので、広い範囲のものが用いられ、投影面積直径が0.1〜0.2μmの微粒子でも1.0〜10μmに至る大サイズ粒子でも用いられ、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。
【0071】
カラー感光材料には、非感光性微粒子ハロゲン化銀を使用することが好ましい。非感光性微粒子ハロゲン化銀とは、色素画像を得るための像様露光時においては感光せずに、その現像処理において実質的に現像されないハロゲン化銀微粒子であり、あらかじめカブラされていないほうが好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、臭化銀の含有率が0〜100モル%であり、必要に応じて塩化銀および/または沃化銀を含有してもよい。好ましくは沃化銀を0.5〜10モル%含有するものである。微粒子ハロゲン化銀は、平均粒径(投影面積の円相当直径の平均値)が0.01〜0.5μmが好ましく、0.02〜0.2μmがより好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、通常の感光性ハロゲン化銀と同様の方法で調製できる。ハロゲン化銀粒子の表面は、光学的に増感される必要はなく、また分光増感も不要である。ただし、これを塗布液に添加するのに先立ち、あらかじめトリアゾール系、アザインデン系、ベンゾチアゾリウム系、もしくはメルカプト系化合物または亜鉛化合物などの公知の安定剤を添加しておくことが好ましい。この微粒子ハロゲン化銀粒子含有層に、コロイド銀を含有させることができる。
【0072】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料の塗布銀量は、6.0g/m2以下が好ましく、4.5g/m2以下が最も好ましい。本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。T1/2は、発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、膜厚がその1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.Sci.Eng.),19巻、2,124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。また、膨潤率は150〜400%が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚により計算できる。
【0073】
一方、プリント作製用に好ましく用いられる写真乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、あるいは八面体のような規則的な結晶形の形状のもの、球状、板状などのような変則的な晶壁をもつ形状のもの、あるいはこれらの複合型の形状のものを用いることができる。平板粒子の厚み方向に垂直な1組の平行な面を主面という。本発明では{111}面を主面とした平板粒子や{100}面を主面とした平板粒子を含む写真乳剤を用いることが好ましい。{111}平板粒子形成に関しては、種々の晶相制御剤を用いる方法が開示されているが、たとえば、特開平2−32号公報に記載された化合物(化合物例1〜42)が好ましい。
【0074】
高塩化銀粒子とは塩化銀含有量が80モル%以上の粒子をいうが、95モル%以上が塩化銀であることが好ましい。本発明の粒子はコア部とコア部を取り巻くシェル部よりなる、いわゆるコア/シェル構造をしていることが好ましい。コア部は90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。コア部はさらに、ハロゲン組成の異なる二つ以上の部分からなっていてもよい。シェル部は全粒子体積の50%以下であることが好ましく、20%以下であることが特に好ましい。シェル部はヨウ塩化銀もしくは沃臭塩化銀であることが好ましい。シェル部は0.5〜13モル%のヨードを含有することが好ましく、1〜13モル%で含有することが特に好ましい。ヨウ化銀の全粒子中の含有量は5モル%以下が好ましく、1モル%以下が特に好ましい。臭化銀含有率もコア部よりもシェル部が高いことが好ましい。臭化銀含有率は20モル%以下が好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
【0075】
印画紙用感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子は平均粒子サイズ(体積換算球相当直径)に特に制限はないが、好ましくは0.1〜0.8μm、特に好ましくは0.1〜0.6μmである。平板粒子の円相当直径は好ましくは0.2〜1.0μmである。ここでハロゲン化銀粒子の直径とは、電子顕微鏡写真における粒子投影面積に等しい面積の円の直径をいう。また、厚みは0.2μm以下、好ましくは0.15μm以下、特に好ましくは0.12μm以下である。ハロゲン化銀粒子の粒子サイズの分布は、多分散でも単分散でもよいが、単分散であることがより好ましい。特に全投影面積の50%以上を占める平板粒子の円相当直径の変動係数が20%以下が好ましい。理想的には0%である。
【0076】
以下は、撮影用及びプリント作製のカラー感光材料の双方について記述する。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643 (1978年12月),22〜23頁,“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、および同No.18716 (1979年11月), 648頁、同No.307105 (1989年11月), 863〜865頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chimie et Phisique Photographiques, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。米国特許第3,574,628号、同第3,655,394号および英国特許第1,413,748号に記載された単分散乳剤も好ましい。
【0077】
また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明の処理システムが適用されうる感光材料に使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and Engineering)、第14巻 248〜257頁(1970年);米国特許第4,434,226号、同第4,414,310号、同第4,433,048号、同第4,439,520号および英国特許第2,112,157号公報に記載の方法により簡単に調製することができる。結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。
【0078】
上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740号公報に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542号公報に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
【0079】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRDNo.17643、同No.18716および同No.307105に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。本発明に用いるカラー写真感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。米国特許第4,082,553号公報に記載の粒子表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子、米国特許第4,626,498号、特開昭59−214852号公報に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロイド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ましい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とは、感光材料の未露光部および露光部を問わず、一様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子のことをいい、その調製法は、米国特許第4,626,498号、特開昭59−214852号公報に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては、塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用いることができる。カラー感光材料に使用できる写真用添加剤もRDに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
【0080】
【0081】
カラー感光材料には種々の色素形成カプラーを使用することができるが、以下のカプラーが特に好ましい。
イエローカプラー:欧州特許第502,424A号の式(I),(II)のいずれかで表わされるカプラー;欧州特許第513,496A号の式(1),(2)のいずれかで表わされるカプラー(特に18頁のY−28);欧州特許第568,037A号の請求項1の式(I)で表わされるカプラー;米国特許第5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表わされるカプラー;特開平4−274425号の段落0008の一般式(I)で表わされるカプラー;欧州特許第498,381A1号の40頁の請求項1に記載のカプラー(特に18頁のD−35);欧州特許第447,969A1号の4頁の式(Y)で表わされるカプラー(特にY−1(17頁),Y−54(41頁));米国特許第4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)のいずれかで表わされるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))。
【0082】
マゼンタカプラー:特開平3−39737号(L−57(11頁右下),L−68(12頁右下),L−77(13頁右下);欧州特許第456,257号のA−4 −63(134頁),A−4 −73,−75(139頁);欧州特許第486,965号のM−4,−6(26頁),M−7(27頁);欧州特許第571,959A号のM−45(19頁);特開平5−204106号の(M−1)(6頁);特開平4−362631号の段落0237のM−22。
シアンカプラー:特開平4−204843号のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345号のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号の請求項1の一般式(Ia)または(Ib)のいずれかで表わされるカプラー。
【0083】
ポリマーカプラー:特開平2−44345号のP−1,P−5(11頁)。発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,873B号、独国特許第3,234,533号公報に記載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を補正するためのカプラーは、欧州特許第456,257A1号の5頁に記載の式(CI),(CII),(CIII),(CIV)のいずれかで表わされるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該公報に記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁)、EX−1(249頁)、EX−7(251頁)、米国特許第4,833,069号に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8)、CC−13(カラム10)、米国特許第4,837,136号の(2)(カラム8)、国際公開WO92/11575の請求項1の式(A)で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0084】
写真性有用基を放出する化合物としては、例えば、欧州特許第378,236A1号の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV)のいずれかで表わされる現像抑制剤放出化合物、欧州特許第310,125A2号の5 頁の式(I),(I’)のいずれかで表わされる漂白促進剤放出化合物、米国特許第4,555,478号の請求項1に記載のLIG−Xで表わされるリガンド放出化合物、米国特許第4,749,641号のカラム3〜8の化合物1〜6記載のロイコ色素放出化合物、米国特許第4,774,181号の請求項1記載の蛍光色素放出化合物、米国特許第4,656,123号のカラム3の式(1)、(2)、(3)のいずれかで表わされる現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物、米国特許第4,857,447号の請求項1の式(I)で表わされる離脱して初めて色素となる基を放出する化合物などを含有させることができる。
【0085】
カプラー以外の添加剤としては、公知の油溶性有機化合物の分散媒、油溶性有機化合物の含浸用ラテックス、現像主薬酸化体スカベンジャー、ステイン防止剤、褪色防止剤、硬膜剤、現像抑制剤プレカーサー、安定剤、かぶり防止剤、化学増感剤、染料、色素の微結晶分散体、UV吸収剤などを含有させることができる。
【0086】
本発明のシステムにより再生した処理剤は、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラー印画紙、カラーポジフィルムのような種々のカラー感光材料の処理に適用することができる。また、特公平2−32615号、実公平3−39784号公報に記載されているレンズ付きフイルムユニットの処理への適用も同様に好適である。
【0087】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料に使用できる適当な支持体は、例えば、前述のRD.No.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄〜648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載されている。
【0088】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2〜20μmの親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好ましい。
【0089】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料には、磁気記録層を有していることが多い。磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
【0090】
カラープリント用のカラー印画紙などには、反射型支持体が用いられる。反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0091】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、蛍光増白剤は感光材料の親水性コロイド層中に分散してもよい。蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いる事ができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されないが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3重量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5重量%である。反射型支持体としては、透過型支持体、または上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。また、反射型支持体は、鏡面反射性または第2種拡散反応射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0092】
撮影用のカラー感光材料には、セルローストリアセテート及びポリエステル支持体が用いられるが、その詳細については、公開技報、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。ポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられる。この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50〜100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン 2,6−ナフタレートである。平均分子量の範囲は約5,000ないし200,000である。本発明のポリエステルのTgは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin(商品名)、日本化薬製のKayaset(商品名)等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0093】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料は、支持体と感光材料構成層を接着させるために、下塗り層を施したのち、あるいは直接に表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0094】
また本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料においては、帯電防止剤が好ましく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げることができる。帯電防止剤として最も好ましいものは、酸化亜鉛、二酸化珪素、二酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化マンガン、酸化バナジウムの中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が107 Ω・cm以下、より好ましくは105 Ω・cm以下である粒子サイズ0.001〜1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物(Sb,P,B,In,S,Si,Cなど)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。感光材料への含有量としては、5〜500mg/m2が好ましく特に好ましくは10〜350mg/m2である。導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物とバインダーの量の比は1/300〜100/1が好ましく、より好ましくは1/100〜100/5である。
【0095】
カラー感光材料には滑り性があることが好ましい。滑り剤含有層は感光層面、バック面ともに用いることが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は直径5mmのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃、60%RH)。この評価において相手材を感光層面に置き換えてもほぼ同レベルの値となる。使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。
【0096】
カラー感光材料にはマット剤が有ることが好ましい。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでもよいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好ましくは両者を併用することである。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1又は5/5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒径としては0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。又マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく例えばポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。
【0097】
以上、本発明の処理システムが適用されうるカラー感光材料について説明したが、本発明の処理システムが適用されうる撮影用及びプリント用などのポジ用黒白感光材料にも上記の撮影用及びプリント用カラー感光材料についての説明が発色に関連する部分を除いて実質的に当てはまる。
【0098】
つぎに、本発明のシステムにより再生された顆粒型固形処理剤を用いた現像処理によりプリントを作製するためのプリンターは、汎用のプリンターが用いられるが、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、筒便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0099】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極線管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採っても良く、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0100】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式に好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0101】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10−4秒以下、更に好ましくは10−6秒以下である。本発明に係わる処理を行った感光材料の無許可の複写を防止する目的で、感光材料にマイクロドットのパターンの潜像を与えることもできる。この方法については特開平9−226227号公報に記載されている。
【0102】
本発明に関する好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した公報に詳しく記載されている。また本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料を処理するには、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の処理システムは、空気を循環再利用して噴霧乾燥による廃液処理を行うため、排ガスをスクラバーや吸着剤などにより無害化する必要がなく簡易かつ低コストで廃液処理を行うことができるという優れた効果を奏することができる。また、本発明の処理システムにより固化した廃液は固体処理剤として再利用することができ、廃液中の水分は写真感光材料処理装置の漂白定着槽や水洗槽に戻して再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の写真処理廃液の処理システムの好ましい一実施態様の全体図である。
【符号の説明】
1 廃液タンク
3 スプレーノズル
4 コンプレッサー
5 スプレイ塔
6 液流量調節ニードル
8 ヒーター
9 サイクロン
10 回収固形物カートリッジ
12 凝縮器
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真処理用自動現像機から排出される廃液の再利用システムに関し、特に、写真処理廃液中の固形分を乾固して取り出し、蒸発させた水分を冷却手段で冷却して凝縮水として回収し、写真感光材料処理装置にて再利用するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーネガフィルムやカラーペーパーを用いる写真感光材料の処理システムは、現像液、漂白定着液、水洗液を用いるウエット処理であり、処理薬品の補充、廃液の処理などインクジェットプリンターやゼログラフィー等の他の方式に比較して煩わしい液の取扱があり取扱の利便性において劣る。
近年、処理薬品の補充については、固形写真薬品として錠剤を用いるコニカ(株)製のエコジェット(商品名)や、液体ながらユーザーが液に触れることが全く無い富士写真フィルム(株)製のNCシステム(商品名)などがあり、大きく改善されてきている。
【0003】
しかしながら、廃液処理については、減圧濃縮法で廃液を元の体積の1/3程度まで濃縮する装置がコニカ(株)からACR−40−3(商品名)として販売されているが、体積が少なくなっただけで煩わしい液の取扱はそのままであるうえ、粘度が高くなり悪臭も強くなって作業性は必ずしも良くはならない。
【0004】
特公平6−73662号公報に記載の発明は、廃液を蒸発させることにより濃縮または乾固し廃液量を減少することを目的としており、廃液中の水分を蒸発固化させることにより上記問題点を解決している。なお該公報には、写真処理廃液を乾固させるのに噴霧乾燥法を用い得ることが記載されている。
噴霧乾燥方法、とりわけ噴霧と加熱気体を並流で流す方法は、噴霧中に水が液として存在する時は高温で接触するが、乾燥が進行するに従い加熱空気も蒸発潜熱に奪われて温度が下がるうえ、瞬時に乾燥が終了するため、特に熱に弱い化学薬品やコーヒーや医薬品の乾燥に用いられる。また、写真感光材料の処理においては、近年迅速化と平行して処理剤や補充水の削減が図られており、さらには処理オペレーターの作業性向上のため処理剤だけでなく廃液の処理に付いてもドライ化がなされようとしている。
さらには、蒸発乾固した固形分を何らかの形で再利用する事が検討されているし(特開平10−288829号等)、水分を凝縮して得られた水を、写真感光材料処理装置の漂白定着槽や水洗槽に戻して再利用する事が可能な事も知られている(特公平6−73662号等)。
【0005】
しかしながら、噴霧乾燥については液滴の生成時には二流体ノズルに圧縮空気を使う必要があり、乾燥にも加熱空気を必要とする。この排気は量が多く、通常そのまま大気に放出されるか、臭気などがある場合はスクラバー等の排気処理装置にて無害化処理される。さもなくば活性炭、シリカゲル、イオン交換樹脂等の吸着剤にて脱臭無害化される。
【0006】
写真処理廃液を噴霧乾燥させた場合は、加熱により亜硫酸ガス、アンモニアガスが発生する。排ガスを凝縮器にて冷却し、含まれている水分を凝縮させると、排ガスと凝縮水との間の平衡関係により凝縮水にアンモニアや亜硫酸ガスが溶解するが、排ガス中にもアンモニアや亜硫酸ガスが残るため、この排ガスをそのまま大気中に放出すると臭気がひどい上、喉などをいためる原因となる。このため、先に述べた無害化が必要であるが、狭い写真の現像処理店にスクラバーを設置するのは困難であるし、吸着剤を用いれば、新たな廃棄物を生み出すことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、写真処理廃液の噴霧乾燥時に発生した亜硫酸ガス、アンモニアガスを含む排ガスを再利用し、簡易かつ低コストで処理する写真処理廃液の処理システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、噴霧乾燥する加熱空気は水分を取りさえすれば、アンモニアや亜硫酸ガスが混じっていても乾燥の妨げにはならないことを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)写真処理用自動現像装置から生じる写真処理廃液を噴霧乾燥装置を用いて不揮発成分を固体化して回収再利用する写真処理廃液の処理システムであって、噴霧乾燥に使用する空気を循環再使用することを特徴とする写真処理廃液の処理システム、および
(2)揮発成分を凝縮回収して再利用することを特徴とする(1)項に記載の写真処理廃液の処理システム
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、廃液処理における噴霧乾燥に使用する空気を循環再使用することを特徴とする。空気を循環再利用することにより、量の多い排気中の臭気成分をとる必要が無くなるか、あっても少量排気される空気の処理で済み、狭い写真の現像処理店にスクラバーを設置するのは不要になり、吸着剤を用いることによるコストアップを避け、新たな廃棄物を生み出すことも無くなる。
【0011】
本発明では、各処理槽から回収した廃液を固化させる。廃液固化手段としては、スプレードライヤー等の噴霧乾燥が用いられる。本発明には、公知の噴霧乾燥手段による廃液再生装置を適用することができ、噴霧乾燥装置としては、例えば、ビュッヒ(株)製スプレードライヤー装置B−191(商品名)や、特開2000−5647号、特開昭58−74101号公報等に記載のスプレードライヤー装置を用いることができる。
【0012】
本発明の写真処理廃液の処理システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の写真処理廃液の処理システムの好ましい一実施態様の全体図である。
写真処理後の廃液は廃液タンク1に貯留される。
噴霧乾燥装置において、スプレイ塔5の上部に2流体スプレーノズル3が取り付けられており、該2流体スプレーノズル3には廃液と空気との2つの流体が導入される。廃液は廃液タンク1からポンプ2によりスプレーノズル3に導入され、空気はコンプレッサー4から圧縮され導入される。スプレーノズル内は廃液側管および空気側管にわかれており、空気側管の内側に廃液側管が設けられた入れ子構造になっている。廃液側管には噴霧する液体が導入され、空気側管には圧縮空気が導入される。廃液側管内には液流量調節ニードルが設けられており、このニードルを移動させてノズル先端の口径を変化させることにより液流量が調節される。空気量の調節は空気量調整弁により行われる。
【0013】
スプレイ塔5には噴霧液滴を乾燥させるための乾燥空気を送り込む乾燥空気導入口7が設けられている。空気はヒーター8で加熱乾燥され乾燥空気導入口7からスプレイ塔5に送り込まれる。スプレイ塔5に隣接してサイクロン9が設けられ、サイクロン9により固化物と気体とを分離する。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られ、凝縮器12により気体と水とに分離される。
【0014】
次に、図1を参照しながら本発明の噴霧乾燥装置を用いた噴霧乾燥方法を説明する。
まず、スプレーノズル3に、廃液タンク1から廃液ポンプ2により液体を導入し、同時にコンプレッサー4により圧縮空気を導入する。液流量制御用ニードル6及び空気量調整弁(図示せず)を用いて、適当な噴霧角度となるように調節する。
スプレーノズル3から2流体を下方に噴射し、スプレイ塔5内に液体を上記の噴霧角度で噴霧する。スプレイ塔5内に噴霧された液体は、ヒーター8で加熱され乾燥空気導入口7から導入された乾燥空気により乾燥固化される。流体はサイクロン9に移動し、乾燥固化物と気体とに分離される。分離された固化物は回収固形物カートリッジ10に貯留され、水蒸気を含んだ気体は吸引ブロワー11により凝縮器12に送られる。
【0015】
水蒸気の凝縮については、公知のいかなる方法であっても良いが、空冷コンデンサーによる方法、ヒートポンプによりエネルギーコストを削減しながら凝縮回収する方法、ペルチェ素子により液加熱と蒸気凝縮を同時にする方法などでもよく、適宜これらの組み合わせであっても良い。凝縮した水は、噴霧乾燥時に発生し溶解しているアンモニアを除去した後、漂白定着処理液(P2)又はリンス液(PS)に利用することができる。
凝縮器12により水分を除去した空気は循環再利用され、ヒーター8で加熱して再び噴霧乾燥に用いられる。
【0016】
回収固形物カートリッジ10に貯留された固化物は、固体処理剤として再利用するのが好ましい。ここで、固体処理剤とは、形状は粉体、顆粒、錠剤の如何を問わず固体状であって、現像、漂白、定着、又は漂白定着等の各処理工程に応じて製作され、各々の工程に必要な全ての成分を1種又は数種に分割して含有する固体処理薬品をいい、粉塵が飛散しないことと溶解速度が比較的迅速なことから顆粒状のものが好ましい。
本発明では、写真処理廃液を噴霧乾燥する前に脱銀処理をせず、固化した廃液を固体処理剤の一部として再利用するのが好ましいが、漂白、定着用又は漂白定着工程からの廃液に含まれる成分が現像工程に入ると写真の品質に悪影響を及ぼすことから漂白、定着、又は漂白定着等の各処理工程に用いる固体処理剤の一部として再利用するのが好ましい。脱銀処理をしないことを好ましいとした理由は、別途脱銀用の装置が必要となり、設置スペースを要しコスト高となるからである。ただし、銀イオンを除去せずに固体処理剤として100%再利用して写真処理を行うと、処理液中の銀イオン濃度が増加して感光材料の定着を抑制してしまう。したがって、廃液の再利用率は50〜90%が好ましく、60〜85%がより好ましい。ここで再利用率とは、写真廃液から得られる固化物の全量に対し、補充剤として再利用する固化物の量の割合をいい、次式で表される。
再利用率(%)={(写真廃液から得られる固化物から補充剤として使用した量(g))÷(写真廃液から得られる固化物の全量(g))}×100
【0017】
以下に、本発明のシステムにより好ましい態様として再生されるハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固体処理剤について詳細に説明する。かかる固体処理剤は、特開2001−183779号公報に記載されているような、保存安定性に優れ、かつコンパクトであり、保管及び取り扱い中の吸湿が低減できるものが好ましい。このような効果が得られる顆粒型固形処理剤は、コア/シェル構想を有する。コアである内部核の臨界相対湿度(処理剤と湿度平衡状態にある空気の相対湿度)が70%RH以下という、臨界相対湿度が低く、吸湿性の高い成分を含有する場合にとくに効果を発揮する。臨界相対湿度が70%RH以下の成分としては、アルカリ金属水酸化物、チオ硫酸塩、炭酸カリウム、硫酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩が挙げられる。臨界相対湿度60%RH以下の内部核を用いると、上記効果がより効果的に達成できる。また、実用的には臨界相対湿度が5%RH以上の内部核が用いられる。内部核がアルカリ金属水酸化物を含有する場合、アルカリ金属水酸化物が水酸化リチウムである場合に上記効果が顕著である。内部核がチオ硫酸塩である場合、チオ硫酸塩がアンモニウム塩又はナトリウム塩であることが好ましく、とくにアンモニウム塩である場合に上記効果が著しい。また、内部核が臨界相対湿度70%RH以下の成分を50質量%以上含有することが好ましく、60〜100質量%であると上記効果がとくに顕著である。なお、アルカリ金属水酸化物が結晶水を含む場合は結晶水もアルカリ金属水酸化物の質量に含むものとする。内部核は、上記吸湿性の高い成分を含有するが、これらの成分と他の吸湿性の低い成分とを混合しないことが好ましい。吸湿性成分と他の成分とを混合すると、混合組成物の臨界相対湿度は、組成物成分の単体の値よりも低下して、一層吸湿し易くなるためである。内部核の成分は、4種以下であることが好ましく、3種以下であることがより好ましく、2種以下、さらには単体であることが最も好ましい。
【0018】
内部核とそれを被覆する層からなる顆粒の粒子構造は、一般にコア/シェル構造と呼ばれる構造であるが、シェル層(被覆層)は、3層以上の多重層である。被覆層が単層又は2重層であってもコア/シェル構造であることによって、顆粒の吸湿性は抑制されて保存安定性は向上するが、2重層の顆粒に対して3層以上の多重層とすることによってその効果に顕著な差が生じることを利用していることが特徴点である。多重層とすることによって、顆粒を構成する成分化合物をさらに安定な群にふり分けて構成させることもできる。本発明の処理システムにより再生される固体処理剤において、顆粒は内部核の表面が3層以上の被覆層で覆われているが、3〜10層被覆することが好ましく、3〜5層被覆することが更に好ましい。被覆層の組成は、後述する処理剤構成成分によって構成されており、とくにアルカリ金属水酸化物やチオ硫酸塩を除いた処理剤構成成分からなることが好ましい。また、結着性、安定性、機械的強度などの諸観点から、処理剤構成成分以外に無機塩、水溶性ポリマー等の現像不活性物質を含有させることもできる。シェルである被覆層の臨界相対湿度は、内部核の臨界相対湿度よりも高いことが好ましい。被覆層の臨界相対湿度は70%RH以上であることがさらに好ましい。被覆層の総質量が内部核の質量に対して0.5倍以上であることが好ましい。より好ましくは0.5倍以上であり、1.0倍以上であることが特に好ましい。
【0019】
顆粒を構成する処理剤成分を、内部核すなわちコア成分と、被覆層成分すなわちシェル成分とに振り分ける振り分け方は、公知の化学的知見にしたがって、構成成分を▲1▼吸湿性化合物単独、又は吸湿性化合物及びその化合物と混合可能な少量の他の成分との混合組成物と、▲2▼互いに混合してもよい3群以上の他の成分からなる組成物群に別けて、▲1▼の単独成分又は組成物群を内部核に、▲2▼の単独成分又は混合組成物群を3層以上の被覆層とするという複合構造の顆粒設計指針にしたがって、さらに振り分け方の最適化を行って顆粒を製造する。
【0020】
本明細書において、球形顆粒とは粉体を球形に造粒した粒子を指す。球形とは、真球であっても、真球でなくてもよく、いわゆるペレット、丸薬、ビーズなどの名で一般的に呼ばれる粒子形状を含む。顆粒の平均粒径が0.5〜20mmであることが好ましく、1〜15mmであることが更に好ましく、2〜10mmであることが非常に好ましい。また、平均粒径が0.5mm以下の顆粒が、顆粒型固形処理剤の10質量%以下であると、上記効果が顕著であり、0〜5質量%であることがとくに好ましい。
【0021】
本発明のシステムにより再生される固体処理剤において、内部核の形状は球状、円柱状、角柱状、不定形などの様々な形状に造粒できる。内部核上への多成分の被覆のし易さからは球状が好ましく、内部核の製造のし易さからは不定形が好ましい。内部核の平均粒径が0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜4mmであることが更に好ましく、0.3〜3mmであることが非常に好ましい。また、被覆層のそれぞれの厚みは、0.01〜5mm、好ましくは0.05〜2.5mm、より好ましくは0.1〜1.5mmであり、顆粒の吸湿性低減と保存安定性向上作用は、各被覆層の厚みよりは3層以上という被覆層の数の寄与が大きいことが判っている。
【0022】
前記内部核の造粒、前記内部核上への被覆は、任意の各種造粒法によって行うことができる。各種造粒法は、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編)に記載されており、また例えば特開平4−221951号、同2−109043号公報などにも記載されている。その中でも好ましい方法として、下記に代表的造粒法を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
(1)転動造粒法(造粒ハンドブック p133)
回転ドラムあるいは回転皿などの回転容器内において原料粉体を転動(ころがし)させながら液(バインダー)を散布し、界面エネルギーを原動力に雪だるま式に凝集を進めて造粒する方法。
(2)圧縮型造粒法(造粒ハンドブック p199)
回転する2つのロール間で、粉体原料を圧縮し成形する操作によってロール表面にブリケットのポケットが刻まれた成形造粒を行うブリケッティングと称する方法及び表面平滑型で板状のフレークに成形し、その後このフレークを解砕するコンパクティングと称する方法。
(3)攪拌造粒法(造粒ハンドブック p379)
容器内に設けられた攪拌翼などを用い強制的に原料粉体に流動運動を与え、液を噴霧しつつ凝集造粒を行う方法。
【0024】
(4)押し出し造粒法(造粒ハンドブック p169)
原材料をダイやスクリーンの細孔から押し出して造粒する方法。押し出す機構にはスクリュー型、ロール型、ブレード型、自己成形型、ラム型などが用いられる。
(5)破砕型造粒法(造粒ハンドブック p349)
乾式法と湿式法がある。乾式法は前述の圧縮造粒法で得られたブリケットやコンパクトフレークなどを破砕して顆粒を得る方法。湿式法はあらかじめ粉体材料を加湿し、こねたものを破砕造粒する操作で、いずれの場合もハンマーによる衝撃、カッターなどによるせん断、凹凸歯型ロールや波型ロールなどを用いて圧縮破砕細分するものである。
(6)流動層造粒法(造粒ハンドブック p283)
下から吹き上げる流体中に粉体を浮遊懸濁させた状態に保ちながら、結合剤を噴霧して造粒する方法。この操作は流動化法という単位操作に属するが、これに転動、攪拌作用を併用させた流動層多機能型造粒機もある。
【0025】
(7)コーティング造粒法(造粒ハンドブック p409)
核に被覆物質やバインダーの溶液を噴霧した核表面に背負う粒子を付着させる造粒方法。回転ドラムで転動するパンコーティング、回転円板で転動する転動コーティング、空気流による流動層を形成する流動層コーティング、ローターの回転による遠心力とスリットエアーにより遊星運動をおこす遠心流動型コーティング等の種類がある。
(8)溶融造粒法(造粒ハンドブック p227)
溶融状態にある物質を噴射または板上滴下などにより細分化あるいはフレーク状にして、冷却凝固する方法。
(9)噴霧乾燥造粒法(造粒ハンドブック p249)
乾燥塔内の熱風気流中において、溶液、ペースト、懸濁液などを噴霧微粒化し、同時に水分を蒸発させて乾燥粒子とする造粒方法。
【0026】
(10)液相造粒法(造粒ハンドブック p439)
マイクロカプセルの製造方法として知られているカプセル造粒方法。界面重合法、液中硬化被膜法、エマルション法、内包物交換法、スプレードライング法等がある。
(11)真空凍結造粒法(造粒ハンドブック p469)
常温では粒形を維持できない湿潤材料を用い、凍結(冷却固化)状態を利用して粒状物をつくる方法。
【0027】
本発明では、内部核の造粒は前記のとおり噴霧乾燥造粒法で行うことが特に好ましい。また、内部核上への被覆は転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法で行うことが好ましく、遠心流動型コーティング機を用いたコーティング造粒法が上記効果を有効に発揮できて、特に好ましい。
【0028】
造粒された顆粒は、その表面に水溶性ポリマーをコーティングすることが好ましい。コーティングに用いられる水溶性ポリマーの種類に制限はなく、例えばゼラチン、ベクチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニールアルコール、変性ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリビニールピロリドン・ビニールアセテート共重合体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸塩、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、カラゲナン、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体等の合成、半合成及び天然水溶性高分子物質から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、中でもポリエチレングリコール、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アラビアガム、カラゲナンの1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
【0029】
水溶性ポリマーのコーティング量は、通常行われるコーティング量である限り格別の制約はないが、顆粒に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%が特に好ましい。水溶性ポリマーのコーティング方法にも任意の方法を格別の制約なく用いることができるが、前記の転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法、溶融造粒法又は噴霧乾燥造粒法を用いることが好ましい。中でも、転動造粒法、流動層造粒法、コーティング造粒法又は噴霧造粒法によって、顆粒表面に1〜50%濃度のポリマー水溶液をスプレーコーティングし、乾燥する方法が特に好ましい。
【0030】
次に、現像処理剤の組成及び形態について詳細に説明する。顆粒型処理剤は、処理剤を構成する異なる顆粒を混合することなく単独のパーツとして構成してもよく、複数種類の顆粒を混合して一つのパーツを構成してもよい。なお、ここでいうパーツとは、当業界で通常用いられ、かつ国際規格(ISO5989)でも定義されているように、処理剤を構成する部分構成処理剤を指しており、各パーツを一つの溶液に溶解することによって処理液が得られるように構成されている。
【0031】
本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤の容器は、袋、ボトルなどの形態であり、その包装材質は、紙、プラスチック、金属等いかなる材質でも用いることができる。環境への負荷の観点から、紙やプラスチックフィルムで作られた袋状やボトル状容器が好ましく、生分解性プラスチックを用いることが特に好ましい。生分解性プラスチックとしては、ヒドロキシブチレート・ヒドロキシバリレートポリマー、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸等を挙げることができる。また、各種の安定性の観点からはバリア性の包材が好ましい。特に酸素透過性が200mL/m2・24hrs・ハ゜スカル以下のプラスチック材料が好ましい。尚、酸素透過係数は「O2 パーミエイション オブ プラスチック コンティナー、モダーンパッキング(O2 permeation of plastic container, Modern Packing; N.J. Calyan, 1968)の12月号第143〜145頁に記載の方法により測定することができる。好ましいプラスチック材料としては、具体的には塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PES)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。酸素透過性を低減する目的で、PVDC、NY、PE、EVA、EVAL及びPETの使用が好ましい。
【0032】
顆粒型処理剤の具体的な包装形態としては、フィルム状、袋状あるいはボトル状に成形して使用される。バリア性フィルムで包装した固形写真処理剤とする場合、処理剤を湿気から保護するために、膜厚が10〜150μmのフィルムが好ましく、バリア包装材がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンフィルム、ポリエチレンで耐湿効果を持ち得るクラフト紙、蝋紙、耐湿性セロファン、グラシン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル系及びアルミニウムの如き金属箔、金属化ポリマーフィルムから選ばれる少なくとも一つ又はこれらを用いた複合材料が好ましく用いられる。
【0033】
例えば▲1▼ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレン、▲2▼塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体コートセロハン/低密度ポリエチレン、▲3▼ポリエチレンテレフタレート/塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体/低密度ポリエチレン、▲4▼ナイロン/低密度ポリエチレン、▲5▼低密度ポリエチレン/塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体/低密度ポリエチレン、▲6▼ナイロン/エパール/低密度ポリエチレン、▲7▼ポリエチレンテレフタレート/エパール/低密度ポリエチレン、▲8▼アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート等の複合材料よりなるハイバリア(高遮断)性フィルム包装材は水・ガス・光等の高遮断性、堅ろう性、フレキシブル性シール(加工)性等からしても特に好ましく用いられる。これ等ハイバリア性包材については機能性包装材料の新展開(東レリサーチセンター、1990年2月)等に記載されるものが使用できる。
【0034】
また、特開昭63−17453号に開示された低酸素透過性及び低水蒸気透過性の容器、特開平4−19655号、同4−230748号に開示された真空包装材料も好ましい容器材料として用いることが出来る。
【0035】
本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤は、一つの態様として、容器ごと自動現像機に装着して現像処理に供することも可能であり、その場合に好ましい容器の例は、密度が0.941〜0.969でメルトインデックスが0.3〜5.0g/10minの範囲の高密度ポリエチレン(以後HDPEと呼ぶ)を単一の構成樹脂として作られた容器である。より好ましい密度は0.951〜0.969であり、さらに好ましくは0.955〜0.965である。また、より好ましいメルトインデックスは0.3〜5.0であり、さらに好ましくは0.3〜4.0である。メルトインデックスは、ASTM D1238に規定された方法に従い、温度190℃において荷重2.16kgのもとで測定した値である。この容器は500〜1500μmの厚さにすることが好ましい。しかし、本発明のシステムにより再生される処理剤に用いる処理剤容器は、現像機装着に好都合な上記HDPE容器に限定されず、そのほかの、例えばポリエチレンテレフタレート(PET),ポリ塩化ビニル(PVC),低密度ポリエチレン(LDPE)などHDPE以外の凡用容器材料や、HDPEであっても上記の密度とメルトインデックスの範囲以外のものから作られた容器も用いることができる。
【0036】
以上で本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤の構造及び製造方法について説明したので、つぎに各処理剤の構成成分薬品について説明する。本発明のシステムにより再生される顆粒型処理剤は、漂白液、定着液、漂白定着液などの処理剤にも、またカラー写真感光材料用、黒白写真感光材料用のいずれの処理剤にも、あるいは撮影用、プリント用の処理剤のいずれにも適用できる。
【0037】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる脱銀過程の処理剤について説明する。はじめにカラー現像処理における漂白液用及び漂白定着液用の漂白剤について説明する。漂白液又は漂白定着液において用いられる漂白剤としては、公知の漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III)の有機錯塩(例えばアミノポリカルボン酸類の錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素などが好ましい。
【0038】
これらのうち、鉄(III)の有機錯塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から特に好ましい。鉄(III)の有機錯塩を形成するために有用なアミノポリカルボン酸、またはそれらの塩を挙げると、生分解性のあるエチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、などを挙げることができる。これらの化合物はナトリウム、カリウム、チリウム又はアンモニウム塩のいずれでもよい。これらの化合物の中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸はその鉄(III)錯塩が写真性の良好なことから好ましい。これらの第2鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などとアミノポリカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を、第2鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましい。
【0039】
漂白剤の添加量は、調製した処理液の濃度が0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.03〜0.80モル/リットル、更に好ましくは0.05〜0.70モル/リットル、更に好ましくは0.07〜0.50モル/リットルとなるように定められる。
【0040】
漂白剤、漂白定着剤あるいは定着液には、種々の公知の有機酸(例えばグリコール酸、琥珀酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、スルホ琥珀酸など)、有機塩基(例えばイミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)あるいは、2−ピコリン酸を始めとする特開平9−211819号公報に記載の一般式(A−a)で表される化合物やコージ酸を始めとする同公報に記載の一般式(B−b)で表される化合物を含有することが好ましい。これら化合物の添加量は、調製した処理液の濃度が1リットル当たり0.005〜3.0モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.5モルとなるように定められる。
【0041】
つぎにカラー及び黒白処理用の定着剤(カラー用漂白定着剤の定着剤も含む)についてまとめて説明する。こられ漂白定着剤又は定着剤に使用される化合物は、公知の定着薬品、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。また、特開昭55−155354号公報に記載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができる。チオ硫酸塩特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。顆粒型処理剤から調製した定着液及び漂白定着液中の定着薬品の濃度は、調合液1リットルあたり0.3〜3モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜2.0モルの範囲である。
【0042】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる漂白定着剤及び定着剤の溶解時pH領域は、3〜8が好ましく、更には4〜8が特に好ましい。pHがこれより低いと脱銀性は向上するが、液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進される。逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、かつステインが発生し易くなる。本発明のシステムにより再生された顆粒剤から作られる漂白液のpH領域は8以下であり、2〜7が好ましく、2〜6が特に好ましい。pHがこれより低いと液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進され、逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、ステインが発生し易くなる。pHを調整するためには、必要に応じて前記した固体状の酸、及び前記した固体アルカリである水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び酸性又はアルカリ性緩衝剤等を添加することができる。
【0043】
また、漂白定着剤には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン等を含有させることができる。なお、蛍光増白剤は、前記したカラー現像剤に調製した現像液中の濃度が0.02〜1.0モル/リットルになるように含ませることもできる。漂白定着剤や定着剤は、保恒剤として亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、など)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、など)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム、など)等の亜硫酸イオン放出化合物や、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有するのが好ましい。これらの化合物は亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して約0.02〜1.0モル/リットル含有させることが好ましい。
【0044】
保恒剤としては、上記のほか、アスコルビン酸やカルボニル重亜硫酸付加物、あるいはカルボニル化合物等を添加しても良い。
【0045】
定着又は漂白定着を終了したのち水洗代替安定浴や画像安定化用安定浴が用いられることが多いが、これらの浴は、低濃度であって顆粒型の処理剤の効用は大きくないが、必要があれば顆粒化処理剤を製造することができる。安定浴処理剤には、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0046】
また、残存するマゼンタカプラーを不活性化して色素の褪色やステインの生成を防止するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ピルビンアルデヒドなどのアルセヒド類、米国特許第4,786,583号公報に記載のメチロール化合物やヘキサメヒレンテトラミン、特開平2−153348号公報に記載のヘキサヒドロトリアジン類、米国特許第4,921,779号公報に記載のホルムアルデヒド重亜硫酸付加物、欧州特許公開公報第504609号、同519190号などに記載のアゾリルメチルアミン類などを添加してもよい。更に、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることもできる。
【0047】
以上で、本発明のシステムにより再生した処理剤の構成成分について説明を終わり、次に、本発明のシステムにより再生された処理剤を用いる処理工程について述べる。本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる現像処理は、カラー写真感光材料の場合は、カラー現像工程、脱銀工程、水洗又は安定浴工程及び乾燥工程からなり、各工程間にはリンス工程、中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。脱銀工程は漂白定着液による一工程処理又は漂白工程と定着工程から成る二工程処理によって行われる。また、水洗工程に代わる水洗代替安定浴のほかに画像安定化を目的とする画像安定浴を水洗又は安定浴工程と乾燥工程の間に設けることもできる。黒白写真感光材料の場合は、現像工程、定着工程、水洗工程及び乾燥工程からなり、各工程間にはリンスを含む中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる処理方法は、迅速現像型、低補充型及び国際的に互換性のある標準型の処理方法のいずれでもよい。
【0048】
カラー及び黒白現像工程は、感光材料を現像液に浸漬する浸浴処理工程であり、現像液は構成成分を溶解状態で含んだアルカリ性の連続相の液体である。現像槽には現像液が、補充槽には現像補充液がそれぞれ調製されて用いられる。
【0049】
現像処理される感光材料がカラーネガやカラーリバーサルフィルムなどのカラー撮影材料の場合、その処理温度は一般的には、30〜40℃であるが、迅速処理では、38〜65℃であり、好ましくは40〜55℃である。その現像処理時間は、一般的な処理では1〜8分であるが、迅速処理では、15〜195秒であり、好ましくは20〜150秒で行う。補充量は、感光材料1m2当たり標準現像では600ミリリットルであるが、低補充の処理では、30〜390ミリリットルであり、好ましくは50〜300ミリリットル、さらには80〜200ミリリットルで行うこともある。現像処理される感光材料がカラー印画紙などのカラープリント用材料の場合、その処理温度は一般的には、30〜40℃であるが、迅速処理では、38〜65℃である。その現像処理時間は、一般的な処理では30秒〜3分であるが、迅速処理では、5〜45秒であり、好ましくは5〜20秒で行う。補充量は、感光材料1m2当たり標準現像では161ミリリットルであるが、低補充の処理では、10〜150ミリリットルであり、好ましくは20〜100ミリリットル、さらには25〜80ミリリットルで行うこともある。黒白撮影材料及びプリント材料の現像工程の温度や処理時間は、上記のカラー現像と同じ範囲で行われる。
【0050】
カラー現像処理では現像工程に続いて脱銀処理工程に入り、漂白液及び漂白定着液による処理がなされる。漂白時間は、通常10秒〜6分30秒、好ましくは10秒〜4分30秒、とくに好ましくは、15秒から2分である。本発明による漂白定着処理は処理時間5〜240秒、好ましくは10〜60秒である。処理温度は25〜60℃、好ましくは30〜50℃である。また、補充量は感光材料1m2当たり10〜250ml、好ましくは10〜100ml、特に好ましくは15〜60mlである。黒白現像処理では現像工程に続いて定着液による処理がなされる。定着処理は処理時間5〜240秒、好ましくは10〜60秒である。処理温度は25〜60℃、好ましくは30〜50℃である。また、補充量は感光材料1m2当たり20〜250ml、好ましくは30〜100ml、特に好ましくは15〜60mlである。
【0051】
カラー写真感光材料では脱銀処理後に水洗又は安定浴処理を、また黒白写真感光材料では定着処理後、水洗処理をするのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジニアズ (Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers)第64巻、p.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で、求めることができる。通常多段向流方式における段数は3〜15が好ましく、特に3〜10が好ましい。
【0052】
多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じるので、その解決策として、前記したように防菌防黴剤を含有する安定浴が好ましい。
【0053】
水洗工程又は安定化工程の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には20〜50℃、好ましくは25〜45℃である。水洗及び/又は安定化工程に続いて乾燥が行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から、水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。以上で本発明のシステムにより再生された顆粒型処理剤を用いる現像処理方法について説明したので、次にその現像処理を行う現像処理装置について説明する。
【0054】
本発明にかかわる現像処理方法は、自動現像機を用いて行われる。以下に本発明に好ましく用いられる自動現像機について記述する。自動現像機の搬送の線速度は、5000mm/分以下であることが好ましい。より好ましくは200〜4500mm/分、特に好ましくは500〜3000mm/分である。本発明に関する処理液は、処理槽及び補充液槽で、液が空気と接触する面積(開口面積)はできるだけ小さい方が好ましい。例えば、開口面積(cm2)を槽中の液体槽(cm3)で割った値を開口率とすると、開口率は0.01(cm−1)以下が好ましく、0.005以下がより好ましく、特に0.001以下が最も好ましい。
【0055】
また、空気との接触する面積を小さくする為に、処理槽および補充槽では液面に浮かぶ固体または液体の空気非接触手段を設けることが好ましい。具体的には、プラスチック製などの浮きを液面に浮かべる方法や、処理液と混ざらず、また化学反応を起こさない液体で覆うことが好ましい。液体の例としては、流動パラフィン、液状飽和炭化水素などが好ましい。
【0056】
本発明においては、迅速に処理を行うために、各処理液間を感光材料が移動する際の空中時間、即ちクロスオーバー時間は短い程良く、好ましくは10秒以下、より好ましくは7秒以下、更に好ましくは5秒以下である。上記の様な短時間のクロスオーバーを達成するため、シネ型の自動現像機を用いるのが好ましく、特にリーダー搬送方式が好ましい。このような方式は、富士写真フイルム(株)製自動現像機FP−560B(商品名)に用いられている。リーダーや感光材料の搬送手段としては、特開昭60−191257号、同60−191258号、同60−191259号の各公報に記載のベルト搬送方式が好ましい。また、クロスオーバー時間を短縮し、かつ処理液の混入を防止するために、混入防止板を取り付けたクロスオーバーラックの構造が好ましい。
【0057】
本発明に於ける各処理液には、処理液の蒸発分に相当する水を供給する、いわゆる蒸発補正を行うことが好ましい。特に、カラー現像液や漂白液あるいは漂白定着液において好ましい。このような水の補充を行う具体的方法としては、特に制限はないが、中でも特開平1−254959号や同1−254960号公報記載の漂白槽とは別のモニター水槽を設置し、モニター水槽内の水の蒸発量を求め、この水の蒸発量から漂白槽における水の蒸発量を算出し、この蒸発量に比例して漂白槽に水を補充する方法や液レベルセンサーやオーバーフローセンサーを用いた蒸発補正方法が好ましい。最も好ましい蒸発補正方法は、蒸発分に相当する水を予想して加えるもので、日本発明協会公開技報94−49925号1頁右欄26行目〜同3頁左欄28行目に記載されているように自動現像機の運転時間、停止時間及び温調時間の情報に基づいて予め求められた係数により計算された加水量を添加するものである。
【0058】
また、蒸発量を減少させる工夫も必要であり、開口面積を少なくしたり、排気ファンの風量を調節することが要求される。例えば、カラー現像液の好ましい開口率は前記した通りであるが、他の処理液においても同様に開口面積を低下させることが好ましい。蒸発量を減少させる手段として、特開平6−110171号記載の「処理槽の上部空間の湿度を80%RH以上に保持する」ことが特に好ましく、上記公報の図1、2記載の蒸発防止ラック及びローラー自動洗浄機構を有することが特に好ましい。温調時の結露防止のために排気ファンが通常取付けられている。また、感光材料の乾燥条件も処理液の蒸発に影響する。乾燥方式としては、セラミック温風ヒーターを用いるのが好ましく、供給風量としては毎分4〜20m3が好ましく、特に6〜10m3が好ましい。セラミック温風ヒーターの加熱防止用サーモスタットは、伝熱によって動作させる方式が好ましく、取付け位置は、放熱フィンや伝熱部を通じて風下または風上に取りつけるのが好ましい。乾燥温度は、処理される感光材料の含水量によって調整することが好ましく、APSフォーマット及び35mm幅のフィルムでは45〜55℃、ブローニーフィルムでは55〜65℃が最適である。処理液の補充に際しては補充ポンプが用いられるが、ベローズ式の補充ポンプが好ましい。また、補充精度を向上させる方法としては、ポンプ停止時の逆流を防止するため、補充ノズルへの送液チューブの径を細くしておくことが有効である。
【0059】
乾燥時間は5秒〜2分が好ましく、特に5秒〜60秒がより好ましい。以上、主として補充方式による連続処理について述べてきたが、現像工程及び後続工程も含めて一定量の処理液で補充を行わずに処理を行い、その後処理液の全量あるいは一部を新液に交換し再び処理を行う使い切り処理方式を用いることもできる。
【0060】
本発明のシステムにより再生された顆粒型処理剤は、単一または複数のパート構成の顆粒型組成物として直接現像機に供給してもよく、処理剤を溶解して補充液を調製して補充槽に蓄えて補充管理を行いながら、補充する態様でもよい。
【0061】
また、顆粒型処理剤入りのボトルをキャップを逆さにして現像機に装填してから、開栓して内容物(顆粒)を補充槽タンク内で投入して水で溶解する態様も好ましい。この溶解用水は水洗水補充タンクの水を用いることが好ましい。また、顆粒のまま直接処理槽に補充を行い、希釈率に見合った水を直接処理槽に補充しても良い。特に補充タンクを持たないコンパクトな現像機においてこの補充方式は好ましい。
【0062】
複数のパート構成の顆粒型処理剤についても同様で、現像機の補充槽上部に顆粒型の各パートを装填することにより、上記と同様に補充槽タンク内で自動的に水で溶解することができる。この水は水洗水補充タンクの水を用いることが好ましい。また各パート毎に顆粒のまま直接処理槽に補充を行い希釈率に見合った水を処理槽に直接補充しても良い。
【0063】
また、感光材料に塗布された磁気記録層へのゴミの付着を軽減するには、特開平6−289559号公報に記載の安定液が好ましく使用できる。本発明のシステムにより再生した顆粒型処理剤にも、発明協会公開技報、公技番号94−4992の第3頁右欄15行〜第4頁左欄32行に記載の処理仕様を好ましく適用できる。また、これに用いる現像機としては、上記公開技報の第3頁右欄の第22行〜28行に記載のフイルムプロセサーが好ましい。本発明のシステムにより再生した顆粒型処理剤を実用するに好ましい自動現像機、蒸発補正方式の具体例については、上記の公開技報の第5頁右欄11行から第7頁右欄最終行までに記載されている。
【0064】
つぎに、本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料について説明する。本発明に用いる感光材料は、発明の目的と背景に関連して前記したように写真市場で汎用されている撮影用カラー写真感光材料、カラー印画紙、撮影用黒白感光材料及び黒白印画紙であり、この感光材料は支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられている。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。
【0065】
撮影用の多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、独国特許第1,121,470号あるいは英国特許第923,045号に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、同62−206543号公報に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0066】
具体例として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。また特公昭55−34932号公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
【0067】
また特公昭49−15495号公報に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号公報に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置されていてもよい。また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
【0068】
色再現性を改良するために、米国特許第4,663,271号、同第4,705,744号、同第4,707,436号、特開昭62−160448号、同63−89850号公報の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL)を主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
【0069】
撮影用材料に用いられる好ましいハロゲン化銀は約30モル%以下のヨウ化銀を含む、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、もしくはヨウ塩臭化銀である。特に好ましいのは約2モル%から約10モル%までのヨウ化銀を含むヨウ臭化銀もしくはヨウ塩臭化銀である。
【0070】
写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。ハロゲン化銀の粒径は、それぞれの感光層に適した粒子が作られるので、広い範囲のものが用いられ、投影面積直径が0.1〜0.2μmの微粒子でも1.0〜10μmに至る大サイズ粒子でも用いられ、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。
【0071】
カラー感光材料には、非感光性微粒子ハロゲン化銀を使用することが好ましい。非感光性微粒子ハロゲン化銀とは、色素画像を得るための像様露光時においては感光せずに、その現像処理において実質的に現像されないハロゲン化銀微粒子であり、あらかじめカブラされていないほうが好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、臭化銀の含有率が0〜100モル%であり、必要に応じて塩化銀および/または沃化銀を含有してもよい。好ましくは沃化銀を0.5〜10モル%含有するものである。微粒子ハロゲン化銀は、平均粒径(投影面積の円相当直径の平均値)が0.01〜0.5μmが好ましく、0.02〜0.2μmがより好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、通常の感光性ハロゲン化銀と同様の方法で調製できる。ハロゲン化銀粒子の表面は、光学的に増感される必要はなく、また分光増感も不要である。ただし、これを塗布液に添加するのに先立ち、あらかじめトリアゾール系、アザインデン系、ベンゾチアゾリウム系、もしくはメルカプト系化合物または亜鉛化合物などの公知の安定剤を添加しておくことが好ましい。この微粒子ハロゲン化銀粒子含有層に、コロイド銀を含有させることができる。
【0072】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料の塗布銀量は、6.0g/m2以下が好ましく、4.5g/m2以下が最も好ましい。本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。T1/2は、発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、膜厚がその1/2に到達するまでの時間と定義する。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.Sci.Eng.),19巻、2,124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。また、膨潤率は150〜400%が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚により計算できる。
【0073】
一方、プリント作製用に好ましく用いられる写真乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、あるいは八面体のような規則的な結晶形の形状のもの、球状、板状などのような変則的な晶壁をもつ形状のもの、あるいはこれらの複合型の形状のものを用いることができる。平板粒子の厚み方向に垂直な1組の平行な面を主面という。本発明では{111}面を主面とした平板粒子や{100}面を主面とした平板粒子を含む写真乳剤を用いることが好ましい。{111}平板粒子形成に関しては、種々の晶相制御剤を用いる方法が開示されているが、たとえば、特開平2−32号公報に記載された化合物(化合物例1〜42)が好ましい。
【0074】
高塩化銀粒子とは塩化銀含有量が80モル%以上の粒子をいうが、95モル%以上が塩化銀であることが好ましい。本発明の粒子はコア部とコア部を取り巻くシェル部よりなる、いわゆるコア/シェル構造をしていることが好ましい。コア部は90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。コア部はさらに、ハロゲン組成の異なる二つ以上の部分からなっていてもよい。シェル部は全粒子体積の50%以下であることが好ましく、20%以下であることが特に好ましい。シェル部はヨウ塩化銀もしくは沃臭塩化銀であることが好ましい。シェル部は0.5〜13モル%のヨードを含有することが好ましく、1〜13モル%で含有することが特に好ましい。ヨウ化銀の全粒子中の含有量は5モル%以下が好ましく、1モル%以下が特に好ましい。臭化銀含有率もコア部よりもシェル部が高いことが好ましい。臭化銀含有率は20モル%以下が好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
【0075】
印画紙用感光材料に用いられるハロゲン化銀粒子は平均粒子サイズ(体積換算球相当直径)に特に制限はないが、好ましくは0.1〜0.8μm、特に好ましくは0.1〜0.6μmである。平板粒子の円相当直径は好ましくは0.2〜1.0μmである。ここでハロゲン化銀粒子の直径とは、電子顕微鏡写真における粒子投影面積に等しい面積の円の直径をいう。また、厚みは0.2μm以下、好ましくは0.15μm以下、特に好ましくは0.12μm以下である。ハロゲン化銀粒子の粒子サイズの分布は、多分散でも単分散でもよいが、単分散であることがより好ましい。特に全投影面積の50%以上を占める平板粒子の円相当直径の変動係数が20%以下が好ましい。理想的には0%である。
【0076】
以下は、撮影用及びプリント作製のカラー感光材料の双方について記述する。本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643 (1978年12月),22〜23頁,“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、および同No.18716 (1979年11月), 648頁、同No.307105 (1989年11月), 863〜865頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chimie et Phisique Photographiques, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。米国特許第3,574,628号、同第3,655,394号および英国特許第1,413,748号に記載された単分散乳剤も好ましい。
【0077】
また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明の処理システムが適用されうる感光材料に使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and Engineering)、第14巻 248〜257頁(1970年);米国特許第4,434,226号、同第4,414,310号、同第4,433,048号、同第4,439,520号および英国特許第2,112,157号公報に記載の方法により簡単に調製することができる。結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。
【0078】
上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭63−264740号公報に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭59−133542号公報に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3〜40nmが好ましく、5〜20nmが特に好ましい。
【0079】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRDNo.17643、同No.18716および同No.307105に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。本発明に用いるカラー写真感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。米国特許第4,082,553号公報に記載の粒子表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子、米国特許第4,626,498号、特開昭59−214852号公報に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロイド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ましい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とは、感光材料の未露光部および露光部を問わず、一様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子のことをいい、その調製法は、米国特許第4,626,498号、特開昭59−214852号公報に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては、塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用いることができる。カラー感光材料に使用できる写真用添加剤もRDに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
【0080】
【0081】
カラー感光材料には種々の色素形成カプラーを使用することができるが、以下のカプラーが特に好ましい。
イエローカプラー:欧州特許第502,424A号の式(I),(II)のいずれかで表わされるカプラー;欧州特許第513,496A号の式(1),(2)のいずれかで表わされるカプラー(特に18頁のY−28);欧州特許第568,037A号の請求項1の式(I)で表わされるカプラー;米国特許第5,066,576号のカラム1の45〜55行の一般式(I)で表わされるカプラー;特開平4−274425号の段落0008の一般式(I)で表わされるカプラー;欧州特許第498,381A1号の40頁の請求項1に記載のカプラー(特に18頁のD−35);欧州特許第447,969A1号の4頁の式(Y)で表わされるカプラー(特にY−1(17頁),Y−54(41頁));米国特許第4,476,219号のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)のいずれかで表わされるカプラー(特にII−17,19(カラム17),II−24(カラム19))。
【0082】
マゼンタカプラー:特開平3−39737号(L−57(11頁右下),L−68(12頁右下),L−77(13頁右下);欧州特許第456,257号のA−4 −63(134頁),A−4 −73,−75(139頁);欧州特許第486,965号のM−4,−6(26頁),M−7(27頁);欧州特許第571,959A号のM−45(19頁);特開平5−204106号の(M−1)(6頁);特開平4−362631号の段落0237のM−22。
シアンカプラー:特開平4−204843号のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14〜16頁);特開平4−43345号のC−7,10(35頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42〜43頁);特開平6−67385号の請求項1の一般式(Ia)または(Ib)のいずれかで表わされるカプラー。
【0083】
ポリマーカプラー:特開平2−44345号のP−1,P−5(11頁)。発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,873B号、独国特許第3,234,533号公報に記載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を補正するためのカプラーは、欧州特許第456,257A1号の5頁に記載の式(CI),(CII),(CIII),(CIV)のいずれかで表わされるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該公報に記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202頁)、EX−1(249頁)、EX−7(251頁)、米国特許第4,833,069号に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9(カラム8)、CC−13(カラム10)、米国特許第4,837,136号の(2)(カラム8)、国際公開WO92/11575の請求項1の式(A)で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0084】
写真性有用基を放出する化合物としては、例えば、欧州特許第378,236A1号の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV)のいずれかで表わされる現像抑制剤放出化合物、欧州特許第310,125A2号の5 頁の式(I),(I’)のいずれかで表わされる漂白促進剤放出化合物、米国特許第4,555,478号の請求項1に記載のLIG−Xで表わされるリガンド放出化合物、米国特許第4,749,641号のカラム3〜8の化合物1〜6記載のロイコ色素放出化合物、米国特許第4,774,181号の請求項1記載の蛍光色素放出化合物、米国特許第4,656,123号のカラム3の式(1)、(2)、(3)のいずれかで表わされる現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物、米国特許第4,857,447号の請求項1の式(I)で表わされる離脱して初めて色素となる基を放出する化合物などを含有させることができる。
【0085】
カプラー以外の添加剤としては、公知の油溶性有機化合物の分散媒、油溶性有機化合物の含浸用ラテックス、現像主薬酸化体スカベンジャー、ステイン防止剤、褪色防止剤、硬膜剤、現像抑制剤プレカーサー、安定剤、かぶり防止剤、化学増感剤、染料、色素の微結晶分散体、UV吸収剤などを含有させることができる。
【0086】
本発明のシステムにより再生した処理剤は、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラー印画紙、カラーポジフィルムのような種々のカラー感光材料の処理に適用することができる。また、特公平2−32615号、実公平3−39784号公報に記載されているレンズ付きフイルムユニットの処理への適用も同様に好適である。
【0087】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料に使用できる適当な支持体は、例えば、前述のRD.No.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄〜648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載されている。
【0088】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2〜20μmの親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好ましい。
【0089】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できるカラー感光材料には、磁気記録層を有していることが多い。磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
【0090】
カラープリント用のカラー印画紙などには、反射型支持体が用いられる。反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0091】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、蛍光増白剤は感光材料の親水性コロイド層中に分散してもよい。蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いる事ができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されないが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3重量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5重量%である。反射型支持体としては、透過型支持体、または上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。また、反射型支持体は、鏡面反射性または第2種拡散反応射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0092】
撮影用のカラー感光材料には、セルローストリアセテート及びポリエステル支持体が用いられるが、その詳細については、公開技報、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。ポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられる。この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50〜100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン 2,6−ナフタレートである。平均分子量の範囲は約5,000ないし200,000である。本発明のポリエステルのTgは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin(商品名)、日本化薬製のKayaset(商品名)等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0093】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料は、支持体と感光材料構成層を接着させるために、下塗り層を施したのち、あるいは直接に表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0094】
また本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料においては、帯電防止剤が好ましく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げることができる。帯電防止剤として最も好ましいものは、酸化亜鉛、二酸化珪素、二酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化マンガン、酸化バナジウムの中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が107 Ω・cm以下、より好ましくは105 Ω・cm以下である粒子サイズ0.001〜1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物(Sb,P,B,In,S,Si,Cなど)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。感光材料への含有量としては、5〜500mg/m2が好ましく特に好ましくは10〜350mg/m2である。導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物とバインダーの量の比は1/300〜100/1が好ましく、より好ましくは1/100〜100/5である。
【0095】
カラー感光材料には滑り性があることが好ましい。滑り剤含有層は感光層面、バック面ともに用いることが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は直径5mmのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃、60%RH)。この評価において相手材を感光層面に置き換えてもほぼ同レベルの値となる。使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。
【0096】
カラー感光材料にはマット剤が有ることが好ましい。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでもよいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好ましくは両者を併用することである。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1又は5/5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒径としては0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。又マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく例えばポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。
【0097】
以上、本発明の処理システムが適用されうるカラー感光材料について説明したが、本発明の処理システムが適用されうる撮影用及びプリント用などのポジ用黒白感光材料にも上記の撮影用及びプリント用カラー感光材料についての説明が発色に関連する部分を除いて実質的に当てはまる。
【0098】
つぎに、本発明のシステムにより再生された顆粒型固形処理剤を用いた現像処理によりプリントを作製するためのプリンターは、汎用のプリンターが用いられるが、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、筒便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0099】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極線管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採っても良く、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0100】
本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式に好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0101】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10−4秒以下、更に好ましくは10−6秒以下である。本発明に係わる処理を行った感光材料の無許可の複写を防止する目的で、感光材料にマイクロドットのパターンの潜像を与えることもできる。この方法については特開平9−226227号公報に記載されている。
【0102】
本発明に関する好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した公報に詳しく記載されている。また本発明のシステムにより再生した処理剤が適用できる感光材料を処理するには、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の処理システムは、空気を循環再利用して噴霧乾燥による廃液処理を行うため、排ガスをスクラバーや吸着剤などにより無害化する必要がなく簡易かつ低コストで廃液処理を行うことができるという優れた効果を奏することができる。また、本発明の処理システムにより固化した廃液は固体処理剤として再利用することができ、廃液中の水分は写真感光材料処理装置の漂白定着槽や水洗槽に戻して再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の写真処理廃液の処理システムの好ましい一実施態様の全体図である。
【符号の説明】
1 廃液タンク
3 スプレーノズル
4 コンプレッサー
5 スプレイ塔
6 液流量調節ニードル
8 ヒーター
9 サイクロン
10 回収固形物カートリッジ
12 凝縮器
Claims (2)
- 写真処理用自動現像装置から生じる写真処理廃液を噴霧乾燥装置を用いて不揮発成分を固体化して回収再利用する写真処理廃液の処理システムであって、噴霧乾燥に使用する空気を循環再使用することを特徴とする写真処理廃液の処理システム。
- 揮発成分を凝縮回収して再利用することを特徴とする請求項1記載の写真処理廃液の処理システム。
Priority Applications (1)
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JP2002237071A JP2004077731A (ja) | 2002-08-15 | 2002-08-15 | 写真処理廃液の処理システム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009093604A1 (ja) * | 2008-01-24 | 2009-07-30 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | 有機ナノチューブ製造方法および製造装置 |
-
2002
- 2002-08-15 JP JP2002237071A patent/JP2004077731A/ja active Pending
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JPWO2009093604A1 (ja) * | 2008-01-24 | 2011-05-26 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 有機ナノチューブ製造方法および製造装置 |
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