JP2005275289A - ハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤及び処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤及び処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低温低湿度環境に置かれても写真品質特性が維持され、かつ輸送時の揺れにも破損しにくい顆粒型固体処理剤及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 表面が平滑であるコア/シェル型の顆粒を主成分として構成されたことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。特に最外層が界面活性剤の層であるか、及び/又は最外層に隣接する層が平均分子量5000〜30000であるポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール・プロピレングリコールブロックの層である上記処理剤。

Description

本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤及びそれを用いる処理方法に関し、より具体的には保存安定性に優れた顆粒型固形処理剤及び処理方法に関する。
近年、一般ユーザーへの迅速サービスや写真店と現像所間の集配輸送の合理化のために写真店の店頭に設置して写真感光材料の処理を行うミニラボと称する自動現像処理機が急激に普及している。従来はミニラボ用処理剤として液体濃縮物が供給されてきたが、処理剤が液体であるがために、輸送時の規制、衝撃による容器破損の危険性、現像所における取扱上の不便、貯蔵スペースの制約などの問題があった。これらを解決するために、顆粒型処理剤(例えば特許文献1)などの固体処理剤や、固体処理剤を処理槽に直接添加する処理方法等が検討されている。これらの方法によれば、処理剤を固体で供給することが可能となり、上記の液体処理剤に係る問題は解決した。しかしながら、固体処理剤を経時保存した場合に、処理剤が吸湿して安定性が損なわれ、更に固体処理剤同士がくっついてしまういわゆる固結現象が発生するという新たな問題が生じている。特に、固体処理剤が吸湿性の高いアルカリ金属水酸化物やチオ硫酸塩を含有している場合には、固結が現像処理作業の支障となり、同時に写真の仕上がり品質にも悪影響を及ぼしていた。
固体処理剤の経時による固結を防止するため、特許文献2にはアルキル置換ヒドロキシルアミン含有組成物とアルカリ金属水酸化物を均一混合する方法、また、特許文献3には2層以上の層構造を有する顆粒剤及び錠剤が開示されている。しかし、高湿状態ではその効果は不十分であるため、一層の改良が求められた結果、特許文献4では、臨界相対湿度が70%以下の構成成分を内部核(コア)に存在させて、その表面を臨界相対湿度がより高い他の構成成分の被覆層(シェル)で覆うコア/シェル構造の顆粒状の固体処理剤が提案されている。さらに顆粒の表面をシリコーン化合物でコーティングする固結防止方法が特許文献5に開示されている。これらのコア/シェル型顆粒の固体処理剤の開発によって、現像作業室などの高湿度環境における保存中の固結を著しく改善されるに至ったが、新たに生じた問題として、これらの顆粒型固体処理剤を低温低湿度環境(例えば冬季)で保存すると、その処理剤を用いて処理した写真感光材料の品質特性の変動が増大すること及び処理剤の輸送中に顆粒の破損が多く見られることが認められた。とくにこのような保存環境で経時した処理剤で継続的に処理を続けた場合に写真品質特性の変動が懸著になる。したがって、高温多湿の保存や輸送だけでなく、低温低湿の保存や輸送においても処理済み感光材料の写真品質特性に悪影響を及ぼさない年間安定型固体処理剤が求められている。
この出願の発明に関連する前記の先行技術には、次の文献がある。
特開平2−109042号公報 特開平6−123947号公報 特開平5−93911号公報 特開2001−183780号公報 特開2002−196456号公報
従って、本発明は、顆粒型固体処理剤の低温低湿度環境での経時保存中や、輸送、取扱い中の品質特性維持に係る上記の問題を解決するために行なわれたものであって、本発明の具体的目的は、低温低湿度環境に置かれても写真品質特性が維持され、かつ輸送時の揺れにも破損しにくい顆粒型固体処理剤及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために、上記問題点の現象解析を進めた結果、顆粒の輸送中或いは使用に際しての摩擦帯電が関係していることを把握して、さらに鋭意検討を重ねた結果、その解決手段を見出すに至った。
すなわち、上記目的は下記の構成の本発明によって達成される。
(1)表面が平滑であるコア/シェル型の顆粒を主成分として構成されたことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
(2)少なくとも最外層と最外層に隣接する層がスプレーコーティングによって設けられたことを特徴とする上記(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
(3)最外層に隣接する層が平均分子量5000〜30000であるポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール・プロピレングリコールブロックの層であることを特徴とする上記(1)又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
(4)最外層が界面活性剤の層であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
(5)界面活性剤が4級アンモニウム塩及びスルホン酸塩から選択される界面活性剤であることを特徴とする上記(4)に記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤を用いることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
上記の本発明の特徴は、固体処理剤としてコアシェル型の顆粒を選択したことと、顆粒の表面を平滑面としたことにある。コアシェル型とすることにより、最外層を帯電耐性を付与することができて、その結果低温低湿度環境(例えば冬季)でも輸送時や使用時の振動等による粒子同士の衝突による衝撃破損が防止され、一方、粒子表面の面上を平滑化したことにより帯電しにくくなり、摩擦帯電が減少する結果、衝突の衝撃も少なくなることにより、本発明の効果が現れるものと考えている。
顆粒の表面を平滑面とするには、最外層をスプレーコートするのがよく、さらにシェル層が複数ある場合には、最外層に加えてその隣接層もスプレーコートすればさらに平滑度が向上する。また、帯電耐性の見地からは、最外層はカチオン、アニオン、ノニオン或いは両性の界面活性剤であることが好ましい。特に4級アンモニウム基又はスルホン酸基を有する界面活性剤で構成されていることが好ましい。
また、最外層に隣接する層は、平均分子量5000〜30000であるポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール・プロピレングリコールブロックの層であることが経時性の向上や低摩擦性にできる点で好ましい。その理由は不明であるが、上記ポリグリコール類の適度のHLBバランスが低湿耐性や帯電防止性などを付与しているものと推定している。
表面が平滑であるコア/シェル型の顆粒を主成分として構成されたことを特徴とする本発明のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤は、低温低湿度環境に置かれても写真品質特性が維持され、かつ輸送時の揺れにも破損しにくく、その保存期間を通じて得られる写真の品質特性は安定に維持される。
さらに固形処理剤の利用による写真廃液の低減、補充量の低減、処理剤の取扱いの容易化などの効果が得られる。
本発明は、任意のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤に適用することができる。すなわち、発色現像液や発色現像補充液用現像剤、漂白液や漂白補充液用漂白処理剤、定着液や定着補充液用定着処理剤、漂白定着や漂白定着補充液用処理剤、安定液用などのいずれの顆粒型固形処理剤にも適用できる。好ましいのは、発色現像液及び現像補充液用現像剤用の顆粒型固形処理剤への適用である。
本発明の顆粒型固形処理剤は、表面が平滑であるコア/シェル型の顆粒を主成分として構成されている。「主成分として」とは、固体処理剤全量の少なくとも50質量%を閉めていることを指す。すなわち、表面平滑性コア/シェル型の顆粒以外の固形構成成分を少量含んでいてもよい。
コアシェル型の顆粒は、芯部を形成する核粒子(コア粒子とも呼ぶ)とその表面を覆う被覆層(シェル層とも呼ぶ)からなる複合構造粒子、更には、核粒子の表面を複数のシェル層で覆う多層構造粒子を指しており、本発明コアシェル型の顆粒は、最外シェル層の表面は平滑面である限りそのいずれをも包含する。本発明では、造粒工程でコア粒子の表面にシェル用処理薬品の層を形成させた一般的なコアシェル粒子のほかに、コアとシェルからなる内部構造を持たない均質な顆粒の表面にコーティングを施した表面処理顆粒も含んでいる。
本発明の顆粒型固形処理剤は、1種類の顆粒からなる単一構成の固形処理剤、複数の顆粒が混合された複合構成の固形処理剤のいずれであってもよい。好ましくは、後者すなわち複合構成の固形処理剤への適用である。複数種の顆粒により複合構成された固形処理剤に本発明を適用する場合には、構成顆粒のすべてが表面が平滑面である必要はないが、固体処理剤全量の少なくとも50質量%が、表面が平滑面であるコアシェル型顆粒である必要がある。求められる効果の程度に応じて、構成顆粒の中の酸化や着色を受け易い種類の顆粒にのみ平滑面付き表面保護層を設けてもよく、またすべての構成顆粒に表面保護層を設けてもよい。
図1〜図3を用いて、発色現像用顆粒型固形現像剤を例として平滑面を有する表面保護層を概念的に示す。図1は、比較のために示した本発明以外の発色現像用顆粒型固形現像剤の典型例の概略構成図である。図1において、アルカリ剤含有顆粒11と発色現像主薬含有顆粒12を混合して構成した固形現像剤であり、アルカリ剤含有顆粒11は吸湿性の高い成分をコア粒子や内側層に配した多層構成の顆粒であり、発色現像主薬含有顆粒12は内部構造を持たない顆粒である。アルカリ剤含有顆粒11の具体的構成は、多層構成層の芯側から水酸化ナトリウム層1(核粒子)、炭酸カリウム層2、p−トルエンスルホン酸ナトリウム・亜硫酸ナトリウム混合層3、蛍光増白剤層4、EDTA・2Na層5及びヒドロキシルアミン誘導体の最外層6から構成されている。一方、発色現像主薬含有顆粒12は発色現像主薬を水で湿らせて転動造粒した顆粒7である。顆粒7はコアシェル構造を有していない。図3は比較のために示した別の構成の発色現像用顆粒型固形現像剤の概略構成図であるが、図3の発色現像用顆粒型固形現像剤では、アルカリ剤含有顆粒31は図1のアルカリ剤含有顆粒11と同一の構成であり、発色現像主薬含有顆粒32は、図1と同じ発色現像主薬有顆粒7の表面に表面被覆層9を設けた発色現像用顆粒型固形現像剤32の例である。この表面被覆層は平滑面ではない。図2は、本発明の発色現像用顆粒型固形現像剤の例であって、アルカリ剤含有顆粒21は図1のアルカリ剤含有顆粒11と同一の構成であり、発色現像主薬含有顆粒22は図1と同じ発色現像主薬含有顆粒7の表面に表面被覆層8が設けられており、表面層8には平滑面が形成されている。図2は、説明のためのもので、本発明をこの構成に限定するものではない。
[表面保護層]
<平滑面>
本発明において「平滑面」は、顆粒同士が接触しても接触部分同士が面状を呈している表面を指している。
平面が、平滑面であるか否かは、顆粒表面を拡大して視覚的に観察すれば簡易に判定できるが、定量的には、本発明のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤では次のように平滑面を規定する。すなわち、「平滑面」とは「顆粒の粒子表面の50倍拡大面のミクロ濃度計走査(アパーチャー径0.5mmφ)による最大振幅波の波長が2mm以下である」ことを指している。好ましくは、「最大振幅波の波長が1.5mm以下である」。最大振幅波の波長が上記範囲よりも長ければ、すなわち粗面であれば、発明の効果は減少する。また、波長が短いことによる弊害は見出されてないのでその意味で波長の下限は規定できない。
顆粒表面の平滑性の上記規定への適合性を測定するには、粒子を反射顕微鏡(又は同等機能をもつ走査型電子顕微鏡など)で50倍に拡大して、表面保護層の拡大写真を作成する。次いでその粒子表面の50倍拡大面をミクロ濃度計で走査して一次元の濃度分布曲線を作成する。ミクロ濃度計のアパーチャー径0.5mmφかそれ以下が適当であり、感度と測定時間に支障がなければ径が小さい方(例えば0.3mmφ)が高精度が得られる。得られた濃度分布チャートを目視で観察し、濃度分布曲線の最大振幅波が波長が2mm以下であれば平滑面であると判定する。
以上に述べたことを図4に示したミクロ濃度計で走査した濃度分布パターンを周波数分解した単位波の模式図によって説明すると、図4(A)の濃度分布aは、最大振幅の濃度分布を示す濃度波形であり、濃度分布bは、濃度分布パタンaよりも振幅、波長ともに小さく50倍拡大のミクロトレースでは2mm以下の波長である。一方濃度分布パタンcは同様のトレースの波長が2mmを超えているが振幅は小さい。図4(B)の濃度分布dは、濃度分布パタンaと濃度分布パタンbを重畳した波形であって本発明でいう粗面の典型的濃度分布を示している。パタンaも粗面であるが、点接触部の広がり面積はパタンdより大きくなる。パタンcの接触部と非接触部の両方の面積が現れるので平滑面とはいえない。これに対してパタンbは、長波長パターンや大振幅パターンが重畳していなければ、実質的に全面で接触すると見られ、実質的に平面挙動をとる。
しかしながら、上記の定義にしたがって平滑面の測定を行なうことはやや煩雑であり、上記の拡大表面パターンの接触面と非接触面とが入り混じりの程度をA〜Eの5段階評価し、その評価段階見本を用意しておいて、粒子表面の顕微鏡拡大面を観察評価することも経験的評価手段として実際的である。
顆粒が発色現像主薬やヒドロキシルアミン又はその誘導体など含窒素化合物を含有する顆粒である場合には、含窒素化合物例えば現像主薬のN原子に着目したXPS(蛍光X線分析)の手法を利用することによって、簡便かつ経験的に顆粒の表面粗さを測定できる。すなわち粗面付与のコーティングを施す前の顆粒及びコーティング処理後の顆粒についてXPSによるN原子ピーク強度を求め、その比率[(コーティング後の顆粒のN原子ピーク強度)/(コーティング前の顆粒のN原子ピーク強度)]の百分率が0.1〜25%であれば平滑面であり、より好ましい平滑面は0.5〜20%である。
顆粒の粒径が25〜600μmで平滑面付与のコーティング剤の量が顆粒の3〜20質量%である場合には、XPSによって求めたN原子ピーク強度比が上記範囲にあるとその表面は上記平滑面の規定の範囲にあることが見出されている。
本発明では、固形処理剤が2種以上の顆粒の混合物である場合には、構成顆粒の少なくとも1種が平滑面の顆粒である。平滑面の顆粒の種類が多いほど固結や経時着色が防止され発明の効果が大きいが、製造コストなどとの兼合いで粗面化する顆粒の数と種類が選択される。混合顆粒処理剤では、発色現像主薬剤含有顆粒の表面を平滑面化する効果が大きい。
<表面保護層用材料>
平滑面形成が可能の表面保護層用材料としては、水溶性ポリマー、水溶性シリコーン化合物、ゾルゲル変換性シラノール誘導体、架橋性ポリマー組成物などを上げることができる。
本発明の顆粒は、その表面に水溶性ポリマーをコーティングすることが好ましい。コーティングに用いられる水溶性ポリマーの種類に制限はなく、例えばゼラチン、ベクチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニールアルコール、変性ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリビニールピロリドン・ビニールアセテート共重合体、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸塩、キサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、カラゲナン、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体等の合成、半合成及び天然水溶性高分子物質から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、中でもポリエチレングリコール、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アラビアガム、カラゲナンの1種又は2種以上を用いることが本発明においてより好ましい。
水溶性ポリマーの量は、表面保護層として通常行われる量である限り格別の制約はないが、顆粒に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%が特に好ましい。水溶性ポリマーを設ける方法にも公知の方法を格別の制約なく用いることができるが、後述する転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法又はコーティング造粒法を用いることが好ましい。中でも、コーティング造粒法によって、顆粒表面に1〜50%濃度のポリマーを水を結合剤として塗設し、乾燥する方法が特に好ましい。
表面保護層用材料として、水溶性シリコーン化合物を用いる場合、水溶性シリコーン化合物として、水溶性又は水分散性のポリシロキサン化合物が選ばれる。好ましいポリシロキサン化合物は、特開2002−196456号公報の段落[0008]の一般式(I)に示された水溶性シリコーン化合物であり、より好ましくは同公報段落[0038]のアルキルシロキサン繰返しユニットから構成される水溶性シリコーン化合物であり、具体例としては同公報段落[0042]〜[0049]に挙げられた化合物I-1〜I-49である。
表面保護層即ち最外層用の材料としては上記ポリマーのほかに、特に、種々の界面活性剤も好ましい。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
より好ましい界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルオキシスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、テロラブチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
なかでも、特に上記した中の4級アンモニウム基を有する界面活性剤、スルホン基を有する界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が好ましく使用される。
界面活性剤の含有量は、顆粒の全量に対して0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%が特に好ましい。また、その顆粒表面への付与方法は、前記した水溶性ポリマーを表面保護層として付与する方法と同じである。特にスプレーコートが好ましい。
<平滑面化の方法>
表面保護層の平滑面化の方法としては、上記した平滑面の規定に沿う平滑面を形成できる方法であれば特に制約はないが、コーティング造粒法が好ましい。
転動造粒法によって粗面を形成させるには、表面層形成原料を溶解させた溶液を、顆粒表面に噴霧しながら表面層を形成させる。
<表面層に隣接する層>
本発明において好ましい顆粒の形態は、平滑な最外層に隣接してポリアルキレングリコールの層を設ける態様である。この層を設けることによって低湿度環境下での顆粒の経時性の向上や摩擦帯電性の低下が行われる。好ましいポリアルキレングリコールは、平均分子量5000〜30000であるポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・プロピレングリコールブロックコポリマー及びそれらの混合組成物である。また、その中でも臨界相対湿度が30蚊ら0%、特に40〜90%のものが好ましい。
この表面隣接層の塗布量は、顆粒に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%が特により好ましい。水溶性ポリマーを設ける方法にも公知の方法を格別の制約なく用いることができるが、スプレーコートが簡易であって好ましい。また、後述する転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法又はコーティング造粒法を用いることもできる。
[顆粒]
顆粒は、単一成分で単一構造の顆粒、2種以上の成分を混合した複合組成で単一構造の顆粒、コア/シェル構造の顆粒、シェル層が重層されている多層構造(これもコア/シェル構造の一形態)の顆粒のいずれであってもよい。コア/シェル構造の顆粒の場合は、構成成分中比較的吸湿性の成分をコアすなわち内部核に含ませて、吸湿性が低い成分をシェル層とするのがよい。シェル層が2層以上からなる場合は、外側層を吸湿性が低い構成とする場合の方が好ましい。
コア/シェル構造の顆粒において、コア層に振り分けるのが適当な比較的吸湿性の高い成分は、多くは臨界相対湿度が70%RH以下の成分であり、例えば発色現像液用顆粒型処理剤の成分としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、硫酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸カリウムなど、定着能を有する処理液用顆粒型処理剤の成分としては、チオ硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩が挙げられる。本発明において臨界相対湿度が70%RH以下の内部核のときには吸湿性が高いので、本発明の方法がより効果的である。また、実用的には、臨界相対湿度が50%RH以上の内部核が用いられる。
本発明において、内部核がアルカリ金属水酸化物を含有する場合、アルカリ金属水酸化物が水酸化リチウムである場合に本発明の効果が顕著である。本発明において、内部核がチオ硫酸塩である場合、チオ硫酸塩がアンモニウム塩又はナトリウム塩である場合に効果が大きく、とくにアンモニウム塩である場合に本発明の効果が著しい。また、本発明において、内部核が臨界相対湿度が70%RH以下の成分を50質量%以上含有する場合に発明の効果が大きく、60〜100質量%であると本発明の効果がとくに顕著である。
本発明の内部核とそれを被覆する層からなる顆粒の粒子構造は、一般にコア/シェル構造と呼ばれる構造であるが、シェル層は、複数の層の多重層であってもよい。その場合には、構成成分をさらに安定な群にふり分けて構成させることができる。本発明において、顆粒は内部核の表面が1層以上の被覆層で覆われているが、2〜10層被覆することが好ましく、2〜5層被覆することが更に好ましい。被覆層の組成は、有機酸(複数の被覆層からなるときは少なくともその1層に)と後述する他の処理剤構成成分によって構成されており、とくにアルカリ金属水酸化物やチオ硫酸塩を除いた処理剤構成成分からなることが好ましい。また、結着性、安定性、機械的強度などの諸観点から、処理剤構成成分以外に無機塩、水溶性ポリマー等の現像不活性物質を含有させることもできる。本発明において、シェルである被覆層の臨界相対湿度は内部核の臨界相対湿度よりも高いことが好ましい。被覆層の臨界相対湿度は70%RH以上であることがさらに好ましい。本発明において、被覆層の総質量が内部核の質量に対して0.5倍以上であることが好ましい。より好ましくは0.8倍以上であり、1.0倍以上であることが特に好ましい。
顆粒を構成する処理剤成分を、内部核すなわちコア成分と、被覆層成分すなわちシェル成分とに振り分ける振り分け方は、公知の化学的知見にしたがって、構成成分を(1)吸湿性化合物単独、又は吸湿性化合物及びその化合物と混合可能な少量の他の成分との混合組成物と、(2)互いに混合してもよい一つまたは複数の他の成分からなる組成物群に別けて、(1)の単独成分又は組成物群を内部核に、(2)の単独成分又は混合組成物群を1層以上の被覆層とし、本発明に係る有機酸は被覆層の側に含めるという複合構造の顆粒設計指針にしたがって、さらに振り分け方の最適化を行って顆粒を製造する。
本発明において、顆粒の形状は球状、円柱状、角柱状、不定形などの様々な形状に造粒できる。単一組成の顆粒の場合、造粒のし易さからは球状又は不定形が好ましい。また、コア/シェル構造の顆粒の場合、内部核は内部核上への多成分の被覆のし易さからは球状が好ましく、内部核の製造のし易さからは不定形が好ましく、いずれであっても好ましい。本発明において顆粒の平均粒径が0.1〜5mmであることが好ましく、0.2〜4mmであることが更に好ましく、0.3〜3mmであることが非常に好ましい。
本発明において、単一組成の顆粒の造粒、コア/シェル構造の顆粒の内部核の造粒及び内部核上への被覆層を付設する造粒は、公知の各種造粒法によって行うことができる。それら本発明に適用できる各種造粒法は、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編)に記載されており、また例えば特開平4−221951号、同2−109043号公報などにも記載されている。その中でも好ましい方法として、下記に代表的造粒法を挙げるが、これらに限定されるものではない。
(1)転動造粒法(造粒ハンドブック p133)
回転ドラムあるいは回転皿などの回転容器内において原料粉体を転動(ころがし)させながら液(バインダー)を散布し、界面エネルギーを原動力に雪だるま式に凝集を進めて造粒する方法。
(2)圧縮型造粒法(造粒ハンドブック p199)
回転する2つのロール間で、粉体原料を圧縮し成形する操作によってロール表面にブリケットのポケットが刻まれた成形造粒を行うブリケッティングと称する方法及び表面平滑型で板状のフレークに成形し、その後このフレークを解砕するコンパクティングと称する方法。
(3)攪拌造粒法(造粒ハンドブック p379)
容器内に設けられた攪拌翼などを用い強制的に原料粉体に流動運動を与え、液を噴霧しつつ凝集造粒を行う方法。
(4)押し出し造粒法(造粒ハンドブック p169)
原材料をダイやスクリーンの細孔から押し出して造粒する方法。押し出す機構にはスクリュー型、ロール型、ブレード型、自己成形型、ラム型などが用いられる。
(5)破砕型造粒法(造粒ハンドブック p349)
乾式法と湿式法がある。乾式法は前述の圧縮造粒法で得られたブリケットやコンパクトフレークなどを破砕して顆粒を得る方法。湿式法はあらかじめ粉体材料を加湿し、こねたものを破砕造粒する操作で、いずれの場合もハンマーによる衝撃、カッターなどによるせん断、凹凸歯型ロールや波型ロールなどを用いて圧縮破砕細分するものである。
(6)流動層造粒法(造粒ハンドブック p283)
下から吹き上げる流体中に粉体を浮遊懸濁させた状態に保ちながら、結合剤を噴霧して造粒する方法。この操作は流動化法という単位操作に属するが、これに転動、攪拌作用を併用させた流動層多機能型造粒機もある。
(7)コーティング造粒法(造粒ハンドブック p409)
核に被覆物質やバインダーの溶液を噴霧した核表面に小粒子を付着させる造粒方法。回転ドラムで転動するパンコーティング、回転円板で転動する転動コーティング、空気流による流動層を形成する流動層コーティング、ローターの回転による遠心力とスリットエアーにより遊星運動をおこす遠心流動型コーティング等の種類がある。
(8)溶融造粒法(造粒ハンドブック p227)
溶融状態にある物質を噴射または板上滴下などにより細分化あるいはフレーク状にして、冷却凝固する方法。
(9)噴霧乾燥造粒法(造粒ハンドブック p249)
乾燥塔内の熱風気流中において、溶液、ペースト、懸濁液などを噴霧微粒化し、同時に水分を蒸発させて乾燥粒子とする造粒方法。
(10)液相造粒法(造粒ハンドブック p439)
マイクロカプセルの製造方法として知られているカプセル造粒方法。界面重合法、液中硬化被膜法、エマルション法、内包物交換法、スプレードライング法等がある。
(11)真空凍結造粒法(造粒ハンドブック p469)
常温では粒形を維持できない湿潤材料を用い、凍結(冷却固化)状態を利用して粒状物をつくる方法。
本発明では、内部核の造粒は転動型造粒法で行うことが好ましい。また、内部核上への被覆はコーティング造粒法で行うことが好ましく、回転ドラムを用いたパンコーティング造粒法が、本発明の効果を有効に発揮できて、特に好ましい。
本発明に使用される顆粒型処理剤の容器は、袋、ボトルなどの形態であり、その包装材質は、紙、プラスチック、金属等いかなる材質でも用いることができる。環境への負荷の観点から、紙やプラスチックフィルムで作られた袋状やボトル状容器が好ましい。また、各種の安定性の観点からはバリア性の包材が好ましい。特に酸素透過性が200 mL/m2・24hrs ・ハ゜スカル以下のプラスチック材料が好ましい。尚、酸素透過係数は「O2 パーミエイション オブ プラスチック コンティナー、モダーンパッキング(O2 permiation of plastic container, Modern Packing; N.J. Calyan, 1968)の12月号第143〜145頁に記載の方法により測定することができる。好ましいプラスチック材料としては、具体的には塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PES)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。本発明では、酸素透過性を低減する目的で、PVDC、NY、PE、EVA、EVAL及びPETの使用が好ましい。
顆粒型処理剤の具体的な包装形態としては、フィルム状、袋状あるいはボトル状に成形して使用される。バリア性フィルムで包装した固形写真処理剤とする場合、処理剤を湿気から保護するために、膜厚が10〜150μmのフィルムが好ましく、バリア包装材がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンフィルム、ポリエチレンで耐湿効果を持ち得るクラフト紙、蝋紙、耐湿性セロファン、グラシン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル系及びアルミニウムの如き金属箔、金属化ポリマーフィルムから選ばれる少なくとも一つ又はこれらを用いた複合材料が好ましく用いられる。
例えば(a)ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレン、(b)塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体コートセロハン/低密度ポリエチレン、(c)ポリエチレンテレフタレート/塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体/低密度ポリエチレン、(d)ナイロン/低密度ポリエチレン、(e)低密度ポリエチレン/塩化ビニリデン−マレイン酸共重合体/低密度ポリエチレン、(f)ナイロン/エパール/低密度ポリエチレン、(g)ポリエチレンテレフタレート/エパール/低密度ポリエチレン、(h)アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート等の複合材料よりなるハイバリア(高遮断)性フィルム包装材は水・ガス・光等の高遮断性、堅ろう性、フレキシブル性シール(加工)性等からしても特に好ましく用いられる。これ等ハイバリア性包材については機能性包装材料の新展開(東レリサーチセンター、1990年2月)等に記載されるものが使用できる。
また、特開昭63-17453に開示された低酸素透過性及び低水蒸気透過性の容器、特開平4-19655 、同4-230748開示された真空包装材料も好ましい容器材料として用いることが出来る。
本発明の顆粒型処理剤は、一つの態様として、容器ごと自動現像機に装着して現像処理に供することも可能であり、その場合に好ましい容器の例は、密度が0.941〜0.969でメルトインデックスが0.3〜5.0g/10minの範囲の高密度ポリエチレン(以後HDPEと呼ぶ) を単一の構成樹脂として作られた容器である。より好ましい密度は0.951〜0.969であり、さらに好ましくは0.955〜0.965である。また、より好ましいメルトインデックスは0.3〜5.0であり、さらに好ましくは0.3〜4.0である。メルトインデックスは、ASTM D1238に規定された方法に従い、温度190°Cにおいて荷重2.16kgのもとで測定した値である。この容器は 500〜1500μmの厚さにすることが好ましい。しかし、本発明に用いる処理剤容器は、現像機装着に好都合な上記HDPE容器に限定されず、そのほかの、例えばポリエチレンテレフタレート(PET),ポリ塩化ビニル(PVC),低密度ポリエチレン(LDPE)などHDPE以外の凡用容器材料や、HDPEであっても上記の密度とメルトインデックスの範囲以外のものから作られた容器も用いることができる。
[処理工程]
次に、本発明の処理剤を用いる処理工程について述べる。本発明が適用される現像処理は、カラー現像工程、脱銀工程、水洗又は安定浴工程及び乾燥工程からなり、各工程間にはリンス工程、中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。脱銀工程は漂白定着液によって行われる。また、水洗工程に代わる水洗代替安定浴のほかに画像安定化を目的とする画像安定浴を水洗又は安定浴工程と乾燥工程の間に設けることもできる。黒白写真感光材料の場合は、現像工程、定着工程、水洗工程及び乾燥工程からなり、各工程間にはリンスを含む中間水洗工程、中和工程などの補助的な工程を挿入することもできる。本発明における処理方法は、迅速現像型、低補充型及び国際的に互換性のある標準型の処理方法のいずれでもよい。
カラー現像工程は、感光材料を現像液に浸漬する浸浴処理工程であり、現像液は構成成分を溶解状態で含んだアルカリ性の連続相の液体である。現像槽には現像液が、補充槽には現像補充液がそれぞれ調製されて用いられる。
[写真処理液]
本発明の固形処理組成物から調製される漂白定着液や漂白定着補充液を含めて写真処理に用いられる写真処理液について説明を加えておく。
写真処理液にはカラー処理液、黒白処理液、製版作業に伴う減力液、現像処理タンク洗浄液などがあり、黒白現像液、カラー現像液、定着液、漂白液、漂白定着液、画像安定化液などが挙げられる。
カラー現像液は、通常、芳香族第一級アミンカラー現像主薬を主成分として含有する。それは主にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例はN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕アニリン、N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリンである。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩である。該芳香族第一級アミン現像主薬の含有量は現像液1リットル当り約0.5g〜約10gの範囲である。
また黒白現像液(カラー反転処理の第1現像)中には、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン、N−メチル−p−アミノフェノール及びその硫酸塩、ヒドロキノン及びそのスルホン酸塩などが含まれている。
カラー及び黒白現像液には保恒剤として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩や、カルボニル亜硫酸付加物を含有するのが普通で、これらの含有量は現像液1リットル当たりカラー現像液では5g以下、多くは3g以下(無添加も含む)、黒白現像液では0g〜50gである。
カラー現像液中には、保恒剤として種々のヒドロキシルアミン類を含んでいる。ヒドロキシルアミン類は置換又は無置換いずれも用いられる。置換体としてはヒドロキシアルミン類の窒素原子が低級アルキル基によって置換されているもの、とくに2個のアルキル基(例えば炭素数1〜3)によって置換されたN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミン類が挙げられる。またN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミンとトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンの組合せも用いられる。ヒドロキシルアミン類の含有量は現像液1リットル当り0〜5gである。
カラー及び黒白現像液は、pH9〜12である。上記pHを保持するためには、各種緩衝剤が用いられる。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシン塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、溶解性やpH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤が多く用いられる。該緩衝剤の現像液への添加量は通常現像液1リットル当たり0.1モル〜1モルである。
その他、現像液中にはカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤として、或いは現像液の安定性向上のために各種キレート剤が添加される。その代表例としてニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ−N,N,N−トリメリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等を挙げることができる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用されることもある。
現像液は、各種の現像促進剤を含有する。現像促進剤としては、チオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、p−アミノフェノール類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドラジン類、メソイオン型化合物、チオン型化合物、イミダゾール類等である。
多くのカラーペーパー用カラー現像液は、上記のカラー現像主薬、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、炭酸塩、硬水軟化剤などと共にアルキレングリコール類やベンジルアルコール類を含んでいる。一方カラーネガ用現像液、カラーポジ用現像液、一部のカラーペーパー用現像液は、これらのアルコール類を含んでいない。
また、現像液中には、カブリ防止の目的で、臭素イオンを含有することが多いが、塩化銀を主体とする感光材料に対しては臭素イオンを含まない現像液を用いることもある。その他、無機カブリ防止剤としてNaClやKClなどの塩素イオンを与える化合物を含有していることがある。また各種有機カブリ防止剤を含有していていることも多い。有機カブリ防止剤としては、例えば、アデニン類、ベンズイミダゾール類、ベンズトリアゾール類及びテトラゾール類を含有していてせよい。これらのカブリ防止剤の含有量は現像液1リットル当り0.010g〜2gである。これらのカブリ防止剤は処理中に感光材料中から溶出し、現像液中に蓄積するものも含まれる。特に本発明において上記したような臭素イオンや塩素イオン等の総ハロゲンイオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上であるような廃液においても有効に処理することができる。特に臭素イオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上の場合に有効である。
また、現像液中には、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、脂肪酸カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を含有している。
本発明に係る処理では現像処理の後に漂白定着処理が行なわれる。漂白定着液用の漂白剤について説明する。
漂白定着液において用いられる漂白剤としては、公知の漂白剤も用いることができるが、特に鉄(III) の有機錯塩(例えばアミノポリカルボン酸類の錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素などが好ましい。
これらのうち、鉄(III) の有機錯塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から特に好ましい。鉄(III) の有機錯塩を形成するために有用なアミノポリカルボン酸、またはそれらの塩を挙げると、生分解性のあるエチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、などを挙げることができる。これらの化合物はナトリウム、カリウム、チリウム又はアンモニウム塩のいずれでもよい。これらの化合物の中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、βーアラニンジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸はその鉄(III)錯塩が写真性の良好なことから好ましい。これらの第2鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用してもよいし、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などとアミノポリカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第2鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましい。
漂白剤の添加量は、調製した処理液の濃度が0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.03〜0.80モル/リットル、更に好ましくは0.05〜0.70モル/リットル、更に好ましくは0.07〜0.50モル/リットルとなるように定められる。固形漂白定着組成物は、上記漂白剤濃度の漂白定着液又は漂白定着補充液が得られるように設計されている。
漂白定着液には、種々の公知の有機酸(例えばグリコール酸、琥珀酸、マレイン酸、マロン酸、クエン酸、スルホ琥珀酸など)、有機塩基(例えばイミダゾール、ジメチルイミダゾールなど)あるいは、2−ピコリン酸を始めとする特開平9−211819号公報に記載の一般式(A−a)で表される化合物やコージ酸を始めとする同公報に記載の一般式(B−b)で表される化合物を含有することが好ましい。これら化合物の添加量は、調製した処理液の濃度が1リットル当たり0.005〜3.0モルが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.5モルとなるように定められる。いうまでもなく固形漂白定着組成物は、上記濃度の漂白定着液又は漂白定着補充液が得られるように設計されている。
本発明に係る固形漂白定着組成物は、定着剤としてはチオ硫酸塩を必ずしも含有する必要はなく、むしろチオ硫酸塩を含有しなければ、漂白定着液中に濁りや沈澱の生成が軽減されて好都合でもある。
漂白定着剤に一般式(I)以外の定着剤を使用する場合には、定着剤としては、公知の定着薬品、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。また、特開昭55−155354号公報に記載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができる。本発明においては、チオ硫酸塩特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。錠剤又は顆粒型処理剤から調製した定着液及び漂白定着液中の定着薬品の濃度は、調合液1リットルあたり0.3〜3モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜2.0モルの範囲である。固形漂白定着組成物は、上記濃度の漂白定着液又は漂白定着補充液が得られるように設計されている。
本発明の漂白定着剤の溶解時pH領域は、3〜8が好ましく、更には4〜8が特に好ましい。pHがこれより低いと脱銀性は向上するが、液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進される。逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、かつステインが発生し易くなる。本発明の顆粒剤から作られる漂白液のpH領域は8以下であり、2〜7が好ましく、2〜6が特に好ましい。pHがこれより低いと液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進され、逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、ステインが発生し易くなる。pHを調整するためには、必要に応じて前記した固体状の酸、及び前記した固体アルカリである水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び酸性又はアルカリ性緩衝剤等を添加することができる。
また、漂白定着剤には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン等を含有させることができる。なお、蛍光増白剤は、前記したカラー現像剤に調製した現像液中の濃度が0.02〜1.0 モル/リットルになるように含ませることもできる。漂白定着剤や定着剤は、保恒剤として亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、など)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、など)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム、など)等の亜硫酸イオン放出化合物や、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有するのが好ましい。これらの化合物は亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して約0.02〜1.0 モル/リットル含有させることが好ましい。
保恒剤としては、上記のほか、アスコルビン酸やカルボニル重亜硫酸付加物、あるいはカルボニル化合物等を添加しても良い。
漂白定着を終了したのち水洗代替安定浴や画像安定化用安定浴が用いられることが多いが、これらの浴は、低濃度であって顆粒型の処理剤の効用は大きくはないが、必要があれば顆粒化処理剤を製造することができる。安定浴処理剤には、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
更に、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることもできる。
[適用される感光材料]
つぎに、本発明に用いる感光材料について説明する。本発明に用いる感光材料は、発明の目的と背景に関連して前記したように写真市場で汎用されている撮影用カラー写真感光材料、カラー印画紙、撮影用黒白感光材料及び黒白印画紙であり、この感光材料は支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられている。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。
撮影用の多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE 1,121,470あるいはGB 923,045に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57-112751 号、同62- 200350号、同62-206541 号、62-206543 号公報に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
また特公昭49-15495に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59-202464 に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
色再現性を改良するために、US 4,663,271、同 4,705,744、同 4,707,436、特開昭62-160448 、同63- 89850 の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL) を主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
プリント用の感光材料は、一般に反射支持体を使用し、支持体から遠い側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置されることが多い。ハロゲン化銀乳剤としては塩化銀、高塩化銀の塩臭化銀粒子の立方晶乳剤が用いられる。
本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643 (1978年12月), 22 〜23頁, "I. 乳剤製造(Emulsion preparation and types)"、および同No.18716 (1979年11月),648頁、同No.307105(1989年11月),863 〜865 頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chimie et Phisique Photographiques, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。US 3,574,628、同 3,655,394およびGB 1,413,748に記載された単分散乳剤も好ましい。
カラー感光材料に使用できる写真用添加剤もRDに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD3071051.
化学増感剤 23頁 648 頁右欄 866頁
感度上昇剤 648 頁右欄
分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄 866 〜868 頁
強色増感剤 〜649 頁右欄
増 白 剤 24頁 647 頁右欄 868頁
光吸収剤、 25 〜26頁 649 頁右欄 873頁
フィルター、染料、 〜650 頁左欄
紫外線吸収剤
バインダー 26頁 651 頁左欄 873 〜874 頁
可塑剤、 27頁 650 頁右欄 876頁
潤滑剤
塗布助剤、 26 〜27頁 650 頁右欄 875 〜876 頁
表面活性剤
スタチツク防止剤 27頁 650 頁右欄 876 〜877 頁
マツト剤 878 〜879 頁。
つぎに、本発明の固形処理剤を用いた現像処理によりプリントを作製するためのプリンターは、汎用のプリンターが用いられるが、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、筒便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極線管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採っても良く、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
本発明に用いる感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式に好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。
従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10-4秒以下、更に好ましくは10-6秒以下である。本発明に係わる処理を行った感光材料の無許可の複写を防止する目的で、感光材料にマイクロドットのパターンの潜像を与えることもできる。この方法については特開平9−226227号公報に記載されている。
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した特許に詳しく記載されている。また本発明の感光材料を処理するには、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではない。
下記に示すカラー現像剤の構成成分を用い、下記方法にて顆粒型固形処理剤を作成した。
<カラー現像剤を構成する成分化合物>
成分A 水酸化ナトリウム(直径1mmの粒径顆粒) 780g
成分B 炭酸カリウム 1600g
成分C 亜硫酸ナトリウム 10g
成分D p−トルエンスルホン酸ナトリウム 900g
成分E トリアジニルジアミンスチルベン系蛍光増白剤 580g
(昭和化学(株)製ハッコールFWA−SF)
成分F エチレンジアミン四酢酸第二ナトリウム 310g
成分G ジナトリウムーN,N−ビス(スルホナートエチル)
ヒドロキシルアミン 760g
成分H 4,5−ジヒドロキシベンゼンー1,2−ジスルホン酸
二ナトリウム 30g
成分I N−メチルーN(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−
アミノ−4−アミノアニリン・3/2硫酸・1水塩 1080g
造粒物1a:
成分B〜Hを市販のハンマーミルを用いて、平均粒径20μm以下になるまでそれぞれ粉砕した。粉砕した成分C,D及びG,Hを充分混合した。次に成分Aの球形顆粒を内部核とし、遠心流動型コーティング造粒機にて結合剤として水を噴霧しながら内部核表面上に成分Bを被覆した。次に、同様にして成分Bの被覆層の表面上に成分C,Dを被覆した。次に、同様にして成分C,Dの被覆層の表面上に成分Eを被覆した。次に、同様にして成分Eの被覆層の表面上に成分Fを被覆した。次に、同様にして成分Fの被覆層の表面上に成分G,Hを被覆した。乾燥し、平均粒径2mmのコア/シェル型球形顆粒が得られ、造粒物1aとした。
造粒物2a〜3a:
遠心流動型コーティング造粒機にて結合剤として水を噴霧しながら上記造粒物1aの表面上に表1に記載の化合物(平均粒径50μm)を被覆し、乾燥した。コーティング量は造粒物に対して1.0質量%ととした。
造粒物4a〜5a:
水:エタノール=1:1の溶液に表1に記載の化合物を濃度10質量%となる量を添加した溶液を作成した。コーティング装置ハイコーターを用い、上記溶液を上記造粒物1aの表面にスプレーコーティングした後、乾燥した。コーティング量は造粒物に対して1.0質量%(固形物基準)ととした。
造粒物6a〜7a:
水:エタノール=1:1の溶液にPEG6000(市販品)を濃度10質量%となる量を添加した溶液を作成した。コーティング装置ハイコーターを用い、上記PEG6000溶液を上記造粒物1aの表面にスプレーコーティングした後、乾燥した。コーティング量は造粒物に対して1.0質量%ととした。その後、造粒物4a〜5aと同様のスプレーコーティングを行った。
造粒物1b:
成分Iを市販のハンマーミルを用いて、平均粒径20μm以下になるまで粉砕し、粉砕した成分Iを攪拌造粒機にて結合剤として水を噴霧しながら、平均粒径2mmの球形顆粒に造粒し、乾燥し、造粒物1bとした。
造粒物2b〜3b:
遠心流動型コーティング造粒機にて結合剤として水を噴霧しながら上記造粒物1bの表面上に表1に記載の化合物(平均粒径50μm)を被覆し、乾燥した。コーティング量は造粒物に対して1.0質量%ととした。
造粒物4b〜5b:
水:エタノール=1:1の溶液に表1に記載の化合物を濃度10質量%となる量を添加した溶液を作成した。コーティング装置ハイコーターを用い、上記溶液を上記造粒物1bの表面にスプレーコーティングした後、乾燥した。コーティング量は造粒物に対して1.0質量%ととした。
造粒物6b〜7b:
水:エタノール=1:1の溶液にPEG6000(市販品)を濃度10質量%となる量を添加した溶液を作成した。コーティング装置ハイコーターを用い、上記PEG6000溶液を上記造粒物1bの表面にスプレーコーティングした後、乾燥した。コーティング量は造粒物に対して1.0質量%ととした。その後、造粒物4b〜5bと同様のスプレーコーティングを行った。
上記の造粒物の各試料を明細書中に前記したXPS測定によって平滑面度を求めたところ、窒素原子のピーク強度は下記の通りであった。アルカリパートはコーティング前の最外層がヒドロキシルアミン誘導体層、発色現像主薬パートはコーティング前の最外層がp−フェニレンジアミン誘導体層であるので、XPS法による粗面度測定が可能である。
1a:100%, 2a: 53%, 3a: 45%,
4a: 19%, 5a: 11%, 6a: 5%, 7a: 3%
1b:100%, 2b: 48%, 3b: 42%,
4b: 15%, 5b: 10%, 6b: 3%, 7b: 2%
造粒物4a〜7a、4b〜7bの窒素原子のピーク強度は、平滑面化処理前の強度に対していずれも0.1〜25%の範囲であり、平滑面と判定された。これ以外は粗面であった。
<試験方法及び試験結果>
上記造粒物1a〜7a、1b〜7bを、それぞれポリエチレンボトルに1kg収納し、開放した状態で温度10℃、相対湿度20%の室内に1週間放置させた。その後、密栓し、XYZの3方向で、振幅10mm、各30分振動させる。再び、上記室内にて容器を開封し、10秒間逆さまにした後、容器に残留する顆粒の量を下記算出式にて評価した。
(残留率)={(顆粒取り出し後の重量)−(空容器の重量)}/(投入した顆粒量)×100
上記結果を表1に示す。
Figure 2005275289
本発明例の現像剤試料4a〜7a、4b〜7bはいずれも容器に残留しないか、残留しても軽度であり、顆粒表面が平滑面でない比較試料1a〜3a、1b〜3bに対して顕著に優れた経時安定性が示された。したがって、本発明に係る平滑化した顆粒を用いることによって固形処理剤の容器への残存防止できることが明らかである。
中でも現像剤試料6a、7a、6b、7bの残留量は顕著に減少しており、本発明に係るアルキレングリコール類の被覆層を設けて更に界面活性剤の最外層を設けることが効果的であることが示された。
〔実施例2〕
(1)カラーペーパー試料の作製
原紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料(101)を作製した。各写真構成用の塗布液の調製及び塗布方法は、特開2003−98616号の実施例2の試料(G−28)と同じ調製方法と塗布方法に従った。
(2)カラーペーパーへの露光及び処理条件
市販のカラーネガフィルムであるフジカラー Venus400(富士写真フイルム(株)製、商品名)で、屋外晴天の中景に人物を撮影し、処理機として富士写真フイルム(株)製自動現像機FP−563SC、カラーネガフイルム処理処方CN−16Sとその処理剤(いずれも富士写真フイルム(株)製、商品名)を用いて現像処理を行った。
富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタプロセサー フロンティア340Eを用いて、現像処理されたカラーネガフイルムの画像情報を読み取り、レーザー露光ユニットで試料101に露光を施し、以下に示す処理工程及び処理液でランニング処理(現像液の累積補充量が、そのタンク容量の3倍になるまで)を行った。
尚、フロンティア340Eは、下記処理工程で処理できるよう タンクとラックを改造し、顆粒補充剤を直接処理タンクに添加するロータリーフィーダー方式の補充装置を増設し、水を処理タンクに添加する補充装置を増設する改造を行った。
また、カラー現像の補充剤は実施例1の造粒物2aと造粒物2bの混合物(質量比4:1)と造粒物4aと造粒物4bの混合物質量比4:1)を使用し、それぞれの現像補充剤に対して漂白定着の補充剤は特開2002−196456号の実施例2の造粒物7を用いた。
処理工程 温 度 時 間 補充液*
(顆粒剤) 水
カラー現像 45℃ 15秒 4.5g 40ml
漂白定着 40℃ 15秒 8g 28ml
リンス 1 40℃ 5秒 −
リンス 2 40℃ 5秒 −
リンス 3 40℃ 5秒 −
リンス 4 40℃ 8秒 − 150ml
乾 燥 80℃ 10秒
* 補充量は感光材料1m 2 あたりの量で表す。
** 水洗過程は4タンクで 4から 1への向流方式とした。
*** 廃液は、各工程からのオーバフロー液を 一つのタンクに纏めて貯留させた。
各処理液の組成は以下の通りである。
[カラー現像液]
陽イオン交換水 800ml
エチレンジアミン四酢酸塩 2.5g
塩化カリウム 10.0g
臭化カリウム 0.04g
亜硫酸ナトリウム 0.1g
蛍光増白剤 Hakkol FWA-SF(昭和化学(株)製) 12.0g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 12.0g
炭酸カリウム 33.0g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)
ヒドロキシルアミン 7.6g
N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル
−4−アミノアニリン・3/2硫酸・1水塩 7.8g
水を加えて 1000ml
pH(25℃/水酸化カリウム及び硫酸で調整) 10.20
[漂白定着液]
水 600ml
チオ硫酸アンモニウム(75%) 110ml
亜硫酸アンモニウム 40.0g
エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム 50.0g
エチレンジアミン四酢酸 5.0g
コハク酸 20.0g
水を加えて 1000ml
pH(25℃:硝酸及びアンモニア水で調整) 6.0
[リンス液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g
脱イオン水(導電率 5μs/cm以下) 1000ml
pH 6.5
(3)試験結果
カラー現像補充剤として、比較例の固形現像処理剤試料(造粒物2aと造粒物2bの混合物)を用いたランニングテストでは、ペーパーの白地が悪化し、フィルターに汚れが詰まった。これは現像主薬含有顆粒の酸化劣化による着色ステインと不溶解物の生成によるものである。
これに対し、カラー現像補充剤として本発明例の固形現像処理剤試料(造粒物4aと造粒物4bの混合物)を用いたランニングテストでは、全期間を通して、顆粒補充剤の固結などの補充トラブルもなく、処理済みカラーペーパーの画像品質も良好な結果が維持された。
本発明以外の発色現像用顆粒型固形現像剤の典型例の概略構成図である。 本発明の発色現像用顆粒型固形現像剤の典型例の概略構成図である。 別の比較用の発色現像用顆粒型固形現像剤の概略構成図である 粗面をミクロ濃度計で走査した濃度分布パターンを周波数分解した構成単位波群の模式図
符号の説明
1.水酸化ナトリウム層
2.炭酸カリウム層
3.p−トルエンスルホン酸ナトリウム・亜硫酸ナトリウム混合層
4.蛍光増白剤層
5.EDTA・2Na層
6.ヒドロキシルアミン誘導体層
7.発色現像主薬含有顆粒
8.表面被覆層
9.表面被覆層
11.アルカリ剤含有顆粒
12.発色現像主薬含有顆粒
21.アルカリ剤含有顆粒
22.発色現像用顆粒型固形現像剤
31.アルカリ剤含有顆粒
32.発色現像主薬含有顆粒

Claims (6)

  1. 表面が平滑であるコア/シェル型の顆粒を主成分として構成されたことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
  2. 少なくとも最外層と最外層に隣接する層がスプレーコーティングによって設けられたことを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
  3. 最外層に隣接する層が平均分子量5000〜30000であるポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール・プロピレングリコールブロックの層であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
  4. 最外層が界面活性剤の層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
  5. 界面活性剤が4級アンモニウム塩及びスルホン酸塩から選択される界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用顆粒型固形処理剤を用いることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
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