JP2004077586A - 感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】剥離紙または剥離背面処理を施さなくても、ブロッキングを起こさず、夏期長期間保管しても使用時にはスムーズに巻きほぐすことが出来、短時間の加熱により速やかにタックが発現して軽い力で容器への巻回貼付が可能であり、貼付後、容器から剥離する際に粘着剤が容器に残らず剥離でき、リサイクルの対象となる容器に好適な感熱性粘着ラベルを提供する。
【解決手段】プラスチックフィルムの表面に熱可塑性樹脂および固体可塑剤から成る感熱性粘着剤層が形成されて成り、容器の全周に巻いて且つその一部が重なり合う様にして貼付する感熱性粘着ラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の接着力が250g/25mm以上であり、ラベルが容器に直接接着する部分の接着力が40g/25mm以上で250g/25mm未満である感熱性粘着ラベル
【選択図】 なし
【解決手段】プラスチックフィルムの表面に熱可塑性樹脂および固体可塑剤から成る感熱性粘着剤層が形成されて成り、容器の全周に巻いて且つその一部が重なり合う様にして貼付する感熱性粘着ラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の接着力が250g/25mm以上であり、ラベルが容器に直接接着する部分の接着力が40g/25mm以上で250g/25mm未満である感熱性粘着ラベル
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器に関し、詳しくは、容器表面の全周に巻いて貼付する感熱性粘着ラベル、特に、ポリエステル製ボトル等のリサイクルの対象となる容器用に好適な感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱性ディレードタック粘着剤は、「接着便覧」(第12版・高分子刊行会発行)に記載されている様に、熱可塑性樹脂と固体可塑剤および粘着性付与剤を基本とした粘着剤である。この粘着剤は、常温では粘着性を持たず、加熱により固体可塑剤が溶融して粘着性を発現させることから、離型紙または背面離型処理を不要とすることが出来る。従って、低コストでゴミがでないため、ラベル用粘着剤として広く利用されている。
【0003】
従来、ラベル用の粘着剤は、輸送時、保存時にラベルが剥離することがない様に、接着性の強いものが使用されてきた。一方、近年、廃棄物の低減、資源の有効利用の点から使用後の容器をリサイクルすることが定着しつつある。ガラス瓶、ペットボトル等の各種の容器には、通常、内容物に関する表示、容器破損保護、意匠性の点からラベルが貼付されているが、容器のリサイクル化に伴い、これらのラベルは、一般の消費者が容易に容器から分離できることが要求される様になってきた。
【0004】
再剥離性の改善を目的として、水またはアルカリ水溶液中に浸漬することによりラベルを剥離する方法が知られており、特開2000−169815号公報、特開2001−98162号公報にはアルカリ剥離可能な感熱性粘着剤が、特開平11−35920号公報、特開2002−40950号公報には水で剥離可能な感熱性粘着剤が開示されている。しかしながら、アルカリ水溶液による剥離は一般家庭で行うには困難であり、水による剥離も時間と手間が掛かるため敬遠されている。従って、輸送、保存時にはラベルが剥離することがなく、リサイクル時には容器に糊残りすることなく手で容易にラベルを剥離することが可能な感熱性粘着ラベルが求められてきた。
【0005】
手で剥離可能な感熱性ラベルとしては、特開2001−42775号公報にエチレン−酢酸ビニル共重合体の溶剤系接着剤を使用した感熱性ラベルが開示されている。しかしながら、この感熱性ラベルは、耐ブロッキング性が充分ではなく、しかも、エチレン−酢酸ビニル共重合体単独では、加熱後の粘着性を保持する時間が非常に短く、実際の生産に適していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、剥離紙または剥離背面処理を施さなくても、ブロッキングを起こさず、夏期長期間保管しても使用時にはスムーズに巻きほぐすことが出来、短時間の加熱により速やかにタックが発現して軽い力で容器への巻回貼付が可能であり、貼付後、容器から剥離する際に粘着剤が容器に残らず剥離できる、リサイクルの対象となる容器に好適な感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、ラベル表面に形成される粘着剤層として接着力の異なる複数の粘着剤を使用したものとすることにより、使用時には充分な接着性を有し、リサイクル時には印刷インキや接着剤を残すことなく手で容易に剥離することが出来る感熱性粘着ラベルを発明するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の要旨は、プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面の少なくとも両端部に熱可塑性樹脂および固体可塑剤から成る感熱性粘着剤層が形成されて成り、容器の全周に巻いて且つその両端部が表裏で重なり合う様にして貼付する感熱性粘着ラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の接着力が250g/25mm以上であり、ラベルが容器に直接接着する部分の接着力が40g/25mm以上で250g/25mm未満であることを特徴とする感熱性粘着ラベルに存し、本発明の第2の要旨は、第1の要旨に係る感熱性粘着ラベルを貼付して成ることを特徴とする容器に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の感熱性粘着ラベル及び容器の説明図である。
【0010】
先ず、本発明の感熱性粘着ラベル(1)について説明する。本発明の感熱性粘着ラベル(1)は、プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面の少なくとも両端部(A)及び(B)に熱可塑性樹脂および固体可塑剤から成る感熱性粘着剤層が形成されて成り、容器(2)の全周に巻いて且つその両端部(A)及び(B)が表裏で重なり合う様にして貼付する感熱性粘着ラベルである。
【0011】
本発明で使用する感熱性粘着剤とは、熱可塑性樹脂と固体可塑剤を必須成分とし室温では粘着性を持たず、加熱により固体可塑剤が溶融して熱可塑性樹脂を可塑化させることにより粘着性を発現させることが出来るディレードタック型の粘着剤をいう。
【0012】
上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタン等の樹脂が挙げられる。これらは単独または複数を組み合わせて使用される。また、上記の熱可塑性樹脂としては、樹脂粒子の内層と外層とが異なる所謂コアシェル型の樹脂(共重合体)を使用することが出来る。そして、内層と外層の組成、ガラス転移温度(Tg)、分子量などを変えることにより、粘着力、耐ブロッキング性などのバランスのとれた感熱性粘着剤を得ることが出来る。本発明で使用する感熱性粘着剤は、ガラス転移温度(Tg)が20℃未満、好ましくは0℃未満の熱可塑性樹脂のエマルジョンが使用される。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、コアシェル型の樹脂の場合は、コア部の値を意味する。
【0013】
上記のガラス転移温度(Tg)は、通常、示差走査熱量計(DSC)にて測定されるが、コアシェル型の樹脂の場合は、以下の計算式(1)(FOX式)から求められる値をいう。なお、この計算式(1)中のTgは絶対温度(K)で表し、明細書中の他の部分のTgは摂氏温度(℃)で表す。計算式(1)中の符号の意義は以下の表1に示す通りである。
【0014】
【数1】
1/Tg={W(a)/Tg(a)}+{W(b)/Tg(b)}+{W(c)/Tg(c)}+… ・・・(1)
【0015】
【表1】
【0016】
上記の固体可塑剤としては、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールプロパン、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸グリセリン、四安息香酸ペンタエリトリット、八酢酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシル、カテコールジパルミテート、カテコールジステアレート、カテコールジベンゾエート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等の化合物が挙げられる。
【0017】
上記の化合物の中では、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールプロパン、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸グリセリン、四安息香酸ペンタエリトリット等の融点が60℃〜120℃の安息香酸エステルが好ましく、特に好ましい化合物は、三安息香酸トリメチロールプロパン(融点88℃)と三安息香酸グリセリン(融点73℃)である。
【0018】
上記の固体可塑剤として使用される化合物は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター、ヘンシェルミキサー等の湿式または乾式の粉砕機により微粒化され水分散液として使用される。この場合、スチレン−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和塩、ポリビニルアルコール、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などを分散剤として使用することが出来る。この他、従来公知の方法で可塑剤をマイクロカプセル化して使用することも可能である。固体可塑剤の平均粒径は、通常1〜10μm、好ましくは1〜5μmである。
【0019】
上記の固体可塑剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、通常40〜300重量部、好ましくは80〜200重量部の割合で使用される。固体可塑剤の使用割合が40重量部未満の場合はブロッキングが生じ易くなり、300重量部を超える場合は接着力の低下が生じ易くなる。
【0020】
本発明で使用する感熱性粘着剤には、接着力を向上するために、粘着付与剤を添加することが出来る。粘着付与剤としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン誘導体樹脂などが挙げられるが、軟化点が80℃以上の粘着付与剤が好ましい。粘着付与剤の使用割合は、感熱性粘着剤(熱可塑性樹脂および固体可塑剤の合計量)100重量部に対し、通常100重量部以下、好ましくは5〜50重量部である。粘着付与剤の使用割合が100重量部を超える場合は接着力の低下が生じ易くなり、ブロッキングも生じ易くなる。
【0021】
本発明で使用する感熱性粘着剤には、本発明の目的を妨げない範囲でフィラー、ワックス等も添加することが可能である。フィラーとしては、例えば、酸化チタン、アルミナ、カオリン、タルク、シリカ等の無機物、ワックスとしては、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス等が挙げられる。更に、必要に応じ、顔料、硬膜剤、防腐剤、染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調節剤、消泡剤などの各種添加剤を添加することが出来る。
【0022】
本発明で使用するプラスチックフィルムは、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の樹脂から成る延伸または無延伸のフィルムが挙げられる。これらの中では、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルムが好ましく、2軸延伸されたポリプロピレンフィルムが特に好ましい。フィルムの厚さは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μmである。
【0023】
プラスチックフィルム(支持体)への感熱性粘着剤の塗工は、常用されているエアーナイフコーター、ブレードナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗工装置の他、フレキソ、凸版、グラビア、オフセット等の各種印刷機を使用して行なうことが出来る。特にグラビア印刷による方法が好ましい。グラビア印刷法を使用した場合は、1台のグラビア印刷機で文字や絵柄の印刷に引き続いて感熱粘着剤を塗工することが出来、極めて効率的である。また、グラビア版のメッシュや版深度を適宜選択することにより、所望の厚さの感熱性粘着剤層を精度良く得ることが 出来ると共に、必要な部分(支持体(1)の両端部(A)及び(B))にのみ粘着剤層を塗工することも容易に出来る。文字や絵柄の印刷層は、擦れ防止の観点から支持体と感熱性粘着剤層との間に設けるのが好ましい。支持体に塗工または印刷した後の乾燥は、使用した固体可塑剤が融解しない温度範囲で行なわなければならない。乾燥手段としては、熱風乾燥の他、赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
【0024】
支持体(1)の一方の表面の両端部(A)及び(B)のみに感熱性粘着剤層を形成する場合、両端部(A)及び(B)のそれぞれの幅は、得られるラベルの全体長さにも依存するが、通常はラベルの全体長さの5〜30%である。縦10〜20cm、横20〜30cmの一般的なラベルの場合は1〜3cmである。感熱性粘着剤層の塗布量は、その組成や粘着対象となる包材の材質により異なるが、乾燥後の塗布量として、通常1〜50g/m2、好ましくは3〜20g/m2である。塗布量が余りにも少ないと接着性が不十分となり、余りにも多すぎる場合はコスト面で不利になる。
【0025】
使用時にはラベルが容器から脱落することがなく、かつ、ラベルを容器から剥離する際には粘着剤が容器に付着しない様にするためには、ラベル同士が重なり合う部分(図示した例では(B)に相当)の接着力を高くし、ラベルが容器に直接接着する部分(図示した例では(A)に相当)の接着力を低く設定する必要がある。そのため、本発明においては、ラベル同士が重なり合う部分の接着力を250g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上とし、ラベルが容器に直接接着する部分の接着力を40g/25mm以上で250g/25mm未満、好ましくは80〜200g/25mmになる様に調節する。なお、上記の接着力は23℃における測定値である。
【0026】
上記の構成は、例えば、異なる2種類の感熱性粘着剤層によって達成される。具体的には、カットされた1枚のラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の感熱性粘着剤層と、ラベルが容器に直接接着する部分の感熱性粘着剤層とに含有される熱可塑性樹脂を異ならせる。例えば、容器がポリエチレンテレフタレート(PET)である場合には、ラベル同士が重なり合う部分に接着力の強いアクリル系粘着剤を使用し、ラベルが容器に直接接着する部分にPETへの接着力の低いエチレン−酢酸ビニル系粘着剤を使用すればよい。この他にも、感熱性粘着剤の選択は、使用される容器とラベルの基材となるフィルムの材質によって適宜選択される。
【0027】
次に、本発明の容器(2)について説明する。本発明の容器は前記の感熱性粘着ラベル(1)を貼付して成ることを特徴とする。容器の素材は、特に限定はされず、ポリエステル、ポリプロピレンの様なプラスチック、アルミニウム、鉄などの金属、ガラス等、一般に市場に普及している素材が挙げられる。これらの中では、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート素材が好ましい。なお、粘着力を発現させるためのラベル加熱は、容器に巻く前に行なっても巻いた後に行なってもよい。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味する。また、コアシェル型の樹脂(共重合体)のTgを計算するために使用した各単量体の単独重合体のTg値を以下の表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
<熱可塑性樹脂の製造−1>
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水130部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部を仕込み、窒素雰囲気下で75℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム1部を添加した後に、メタクリル酸メチル40部、スチレン6部、アクリル酸n−ブチル6部、メタクリル酸8部、オクチルメルカプタン3部から成る単量体混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了から更に1時間同温度を維持した後、アンモニア水(28%)6部を滴下して反応系中和した。
【0031】
その後、t−ブチルハイドロパーオキサイド(70%水溶液)1部、ロンガリット0.5部を添加した後に、スチレン6部、アクリル酸n−ブチル108部、メタクリル酸メチル24部、メタクリル酸2部および脱イオン水60部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部の混合物を予めホモミキサーにより機械乳化したプレエマルジョンを2時間に亘って滴下した。滴下終了後、t−ブチルハイドロパーオキサイド(70%水溶液)0.2部、ロンガリット0.1部を添加し、更に80℃にて2時間反応を行った。その後、反応系内を冷却して重合を終了させ、固形分含量50%のアクリル系共重合体エマルジョン(a−1)を得た。この共重合体のコア部のTgは−28℃、シェル部のTgは87℃であった。
【0032】
<熱可塑性樹脂の製造−2>
上記の製造例−1において、2段目に滴下するモノマープレエマルジョンの組成を、スチレン6部、アクリル酸エチル108部、アクリル酸n−ブチル24部、メタクリル酸2部および脱イオン水60部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部に変更した以外は、製造例−1と同様にして、固形分含量51%のアクリル系共重合体エマルジョン(a−2)を得た。この共重合体のコア部のTgは−22℃、シェル部のTgは87℃であった。
【0033】
<固体可塑剤の分散液の調製>
固体可塑剤として三安息香酸グリセリド(融点73℃)を100部、分散剤としてアクリル酸系高分子分散剤40部(25%水溶液)及び水を均一に混合して濃度を50%とし、固体可塑剤の水分散液(b―1)を調製した。分散はボールミルを使用し、分散液の平均粒子径は3.1μm(メジアン径)であった。なお、平均粒子径の測定は、粒度分布測定装置(島津製作所製「SALD−2000」)を使用して測定した体積基準での粒子径である。
【0034】
上記と同様にして、固体可塑剤として三安息香酸トリメチロールプロパン(融点88℃)を使用し、固形分含有量50%の固体可塑剤の水分散液(b−2)を得た。分散液の平均粒子径は4.0μmであった。
【0035】
<感熱性粘着剤の調製>
上記の製造例により得られたアクリル系共重合体エマルジョン(a−1、a−2)、市販のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(a−3)(Tg:−18℃)、固体可塑剤分散液(b−1、b−2)及び粘着付与樹脂エマルジョン(c)(軟化点100℃のロジンエステルエマルジョン)を以下の表3に示す固形分比で混合し、感熱性粘着剤を調製した。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例1
厚さ50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムに、1つのラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分(図示した例では(B)に相当)にアクリル系感熱性粘着剤(A−1)を、ラベルが容器に直接接着する部分(図示した例では(A)に相当)にエチレン−酢酸ビニル系感熱性粘着剤(A−3)を乾燥後の塗布厚さが共に7μmとなる様にグラビア印刷にて塗工、乾燥し、感熱性粘着ラベルを作成した。なお、ラベルのサイズは、縦10cm、横30cmであり、両端部における粘着剤の塗布幅(図示した例では(A)及び(B)に相当する部分)は2.5cmとした。
【0038】
実施例2
実施例1において、ラベル同士が重なり合う部分にアクリル系感熱性粘着剤(A−2)を塗工した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。
【0039】
比較例1
実施例1において、ラベル同士が重なり合う部分、ラベルが容器に直接接着する部分ともにアクリル系感熱粘着剤(A−1)を塗工した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。
【0040】
比較例2
実施例1において、ラベル同士が重なり合う部分、ラベルが容器に直接接着する部分ともにエチレン酢酸ビニル系感熱性粘着剤(A−3)を塗工した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。
【0041】
比較例3
実施例1において、粘着剤として、固体可塑剤を添加しない熱可塑性樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。すなわち、ラベル同士が重なり合う部分にアクリル系共重合体(a−1)、ラベルが容器に直接接着する部分にエチレン酢酸ビニル系共重合体(a−3)を塗工した。
【0042】
次に、以下に記載する方法を使用し、上記方法により作成された感熱性粘着ラベルを評価した。その結果を後記の表6に示す。
【0043】
(1)耐ブロッキング性:ラベルを粘着剤塗工面(図示した例では(B)の粘着剤塗工面)と粘着剤非塗工面(図示した例では(A)の粘着剤非塗工面)とが重なる様に合わせ、更に、その上に0.5kg/cm2の荷重を乗せ、40℃・24時間保管した。その後、ラベルを手で剥離して以下の表4に示す基準で評価した。
【0044】
【表4】
5:全く抵抗無く剥離できる。
4:かすかに音がして、軽い力で剥離できる。
3:やや剥離時に抵抗があるが、実用上問題のないレベルである。
2:一部がブロッキングしている。
1:ブロッキングして完全に接着している。
【0045】
(2)加熱時タック:ラベルを90℃で3秒間加熱した後、粘着剤面を指で触れ表面のタックを以下の表5に示す基準で評価した。
【0046】
【表5】
○:十分なタックが発現している。
△:タック発現しているが弱い。
×:タックが感じられない。
【0047】
(3)ラベル表面への接着力:ラベル同士が重なる部分(図示した例では(A)及び(B)に相当する部分:幅2.5cm)を切り取り、粘着剤塗工面((B)の粘着剤塗工面)を90℃で10秒間加熱後、JIS Z 0237に規定する180度剥離法に準じて接着力を測定した。すなわち、温度23℃、湿度60%の条件下において、粘着剤非塗工面((A)の粘着剤非塗工面)に粘着剤塗工面((B)の粘着剤塗工面)を貼り、2Kgのゴムローラーを一往復して圧着した。圧着後に、300mm/minの引張速度で、試験板に対する180度剥離接着力を測定した(接着力をg/25mmで表す)。
【0048】
(4) PETシート表面への接着力:ラベルが容器に直接接着する部分(図示した例では(A)に相当する部分:幅2.5cm)を切り取り、90℃、10秒加熱後、ポリエチレンテレフタレートシート上に貼り付け、上記と同様にして接着力を測定した。この試験において上記のPET表面は容器の表面を想定して使用されている。
【0049】
(5)再剥離性試験:容器への接着力を評価したサンプルのポリエチレンテレフタレートシート上に残された粘着剤の有無を目視にて評価した。シート上に粘着剤が残っていない物を良好(○)、粘着剤が残っている物を不可(×)とした。
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、剥離紙または剥離背面処理を施さなくても、ブロッキングを起こさず、夏期長期間保管しても使用時にはスムーズに巻きほぐすことが出来、短時間の加熱により速やかにタックが発現して軽い力で容器への巻回貼付が可能であり、貼付後、容器から剥離する際に粘着剤が容器に残らず剥離でき、リサイクルの対象となる容器に好適な感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の感熱性粘着ラベル及び容器の説明図
【符号の説明】
1:ラベル
2:容器
【産業上の利用分野】
本発明は、感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器に関し、詳しくは、容器表面の全周に巻いて貼付する感熱性粘着ラベル、特に、ポリエステル製ボトル等のリサイクルの対象となる容器用に好適な感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱性ディレードタック粘着剤は、「接着便覧」(第12版・高分子刊行会発行)に記載されている様に、熱可塑性樹脂と固体可塑剤および粘着性付与剤を基本とした粘着剤である。この粘着剤は、常温では粘着性を持たず、加熱により固体可塑剤が溶融して粘着性を発現させることから、離型紙または背面離型処理を不要とすることが出来る。従って、低コストでゴミがでないため、ラベル用粘着剤として広く利用されている。
【0003】
従来、ラベル用の粘着剤は、輸送時、保存時にラベルが剥離することがない様に、接着性の強いものが使用されてきた。一方、近年、廃棄物の低減、資源の有効利用の点から使用後の容器をリサイクルすることが定着しつつある。ガラス瓶、ペットボトル等の各種の容器には、通常、内容物に関する表示、容器破損保護、意匠性の点からラベルが貼付されているが、容器のリサイクル化に伴い、これらのラベルは、一般の消費者が容易に容器から分離できることが要求される様になってきた。
【0004】
再剥離性の改善を目的として、水またはアルカリ水溶液中に浸漬することによりラベルを剥離する方法が知られており、特開2000−169815号公報、特開2001−98162号公報にはアルカリ剥離可能な感熱性粘着剤が、特開平11−35920号公報、特開2002−40950号公報には水で剥離可能な感熱性粘着剤が開示されている。しかしながら、アルカリ水溶液による剥離は一般家庭で行うには困難であり、水による剥離も時間と手間が掛かるため敬遠されている。従って、輸送、保存時にはラベルが剥離することがなく、リサイクル時には容器に糊残りすることなく手で容易にラベルを剥離することが可能な感熱性粘着ラベルが求められてきた。
【0005】
手で剥離可能な感熱性ラベルとしては、特開2001−42775号公報にエチレン−酢酸ビニル共重合体の溶剤系接着剤を使用した感熱性ラベルが開示されている。しかしながら、この感熱性ラベルは、耐ブロッキング性が充分ではなく、しかも、エチレン−酢酸ビニル共重合体単独では、加熱後の粘着性を保持する時間が非常に短く、実際の生産に適していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、剥離紙または剥離背面処理を施さなくても、ブロッキングを起こさず、夏期長期間保管しても使用時にはスムーズに巻きほぐすことが出来、短時間の加熱により速やかにタックが発現して軽い力で容器への巻回貼付が可能であり、貼付後、容器から剥離する際に粘着剤が容器に残らず剥離できる、リサイクルの対象となる容器に好適な感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、ラベル表面に形成される粘着剤層として接着力の異なる複数の粘着剤を使用したものとすることにより、使用時には充分な接着性を有し、リサイクル時には印刷インキや接着剤を残すことなく手で容易に剥離することが出来る感熱性粘着ラベルを発明するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の要旨は、プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面の少なくとも両端部に熱可塑性樹脂および固体可塑剤から成る感熱性粘着剤層が形成されて成り、容器の全周に巻いて且つその両端部が表裏で重なり合う様にして貼付する感熱性粘着ラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の接着力が250g/25mm以上であり、ラベルが容器に直接接着する部分の接着力が40g/25mm以上で250g/25mm未満であることを特徴とする感熱性粘着ラベルに存し、本発明の第2の要旨は、第1の要旨に係る感熱性粘着ラベルを貼付して成ることを特徴とする容器に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の感熱性粘着ラベル及び容器の説明図である。
【0010】
先ず、本発明の感熱性粘着ラベル(1)について説明する。本発明の感熱性粘着ラベル(1)は、プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面の少なくとも両端部(A)及び(B)に熱可塑性樹脂および固体可塑剤から成る感熱性粘着剤層が形成されて成り、容器(2)の全周に巻いて且つその両端部(A)及び(B)が表裏で重なり合う様にして貼付する感熱性粘着ラベルである。
【0011】
本発明で使用する感熱性粘着剤とは、熱可塑性樹脂と固体可塑剤を必須成分とし室温では粘着性を持たず、加熱により固体可塑剤が溶融して熱可塑性樹脂を可塑化させることにより粘着性を発現させることが出来るディレードタック型の粘着剤をいう。
【0012】
上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタン等の樹脂が挙げられる。これらは単独または複数を組み合わせて使用される。また、上記の熱可塑性樹脂としては、樹脂粒子の内層と外層とが異なる所謂コアシェル型の樹脂(共重合体)を使用することが出来る。そして、内層と外層の組成、ガラス転移温度(Tg)、分子量などを変えることにより、粘着力、耐ブロッキング性などのバランスのとれた感熱性粘着剤を得ることが出来る。本発明で使用する感熱性粘着剤は、ガラス転移温度(Tg)が20℃未満、好ましくは0℃未満の熱可塑性樹脂のエマルジョンが使用される。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、コアシェル型の樹脂の場合は、コア部の値を意味する。
【0013】
上記のガラス転移温度(Tg)は、通常、示差走査熱量計(DSC)にて測定されるが、コアシェル型の樹脂の場合は、以下の計算式(1)(FOX式)から求められる値をいう。なお、この計算式(1)中のTgは絶対温度(K)で表し、明細書中の他の部分のTgは摂氏温度(℃)で表す。計算式(1)中の符号の意義は以下の表1に示す通りである。
【0014】
【数1】
1/Tg={W(a)/Tg(a)}+{W(b)/Tg(b)}+{W(c)/Tg(c)}+… ・・・(1)
【0015】
【表1】
【0016】
上記の固体可塑剤としては、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールプロパン、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸グリセリン、四安息香酸ペンタエリトリット、八酢酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシル、カテコールジパルミテート、カテコールジステアレート、カテコールジベンゾエート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等の化合物が挙げられる。
【0017】
上記の化合物の中では、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールプロパン、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸グリセリン、四安息香酸ペンタエリトリット等の融点が60℃〜120℃の安息香酸エステルが好ましく、特に好ましい化合物は、三安息香酸トリメチロールプロパン(融点88℃)と三安息香酸グリセリン(融点73℃)である。
【0018】
上記の固体可塑剤として使用される化合物は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター、ヘンシェルミキサー等の湿式または乾式の粉砕機により微粒化され水分散液として使用される。この場合、スチレン−マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和塩、ポリビニルアルコール、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などを分散剤として使用することが出来る。この他、従来公知の方法で可塑剤をマイクロカプセル化して使用することも可能である。固体可塑剤の平均粒径は、通常1〜10μm、好ましくは1〜5μmである。
【0019】
上記の固体可塑剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、通常40〜300重量部、好ましくは80〜200重量部の割合で使用される。固体可塑剤の使用割合が40重量部未満の場合はブロッキングが生じ易くなり、300重量部を超える場合は接着力の低下が生じ易くなる。
【0020】
本発明で使用する感熱性粘着剤には、接着力を向上するために、粘着付与剤を添加することが出来る。粘着付与剤としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン誘導体樹脂などが挙げられるが、軟化点が80℃以上の粘着付与剤が好ましい。粘着付与剤の使用割合は、感熱性粘着剤(熱可塑性樹脂および固体可塑剤の合計量)100重量部に対し、通常100重量部以下、好ましくは5〜50重量部である。粘着付与剤の使用割合が100重量部を超える場合は接着力の低下が生じ易くなり、ブロッキングも生じ易くなる。
【0021】
本発明で使用する感熱性粘着剤には、本発明の目的を妨げない範囲でフィラー、ワックス等も添加することが可能である。フィラーとしては、例えば、酸化チタン、アルミナ、カオリン、タルク、シリカ等の無機物、ワックスとしては、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス等が挙げられる。更に、必要に応じ、顔料、硬膜剤、防腐剤、染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調節剤、消泡剤などの各種添加剤を添加することが出来る。
【0022】
本発明で使用するプラスチックフィルムは、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の樹脂から成る延伸または無延伸のフィルムが挙げられる。これらの中では、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルムが好ましく、2軸延伸されたポリプロピレンフィルムが特に好ましい。フィルムの厚さは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μmである。
【0023】
プラスチックフィルム(支持体)への感熱性粘着剤の塗工は、常用されているエアーナイフコーター、ブレードナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗工装置の他、フレキソ、凸版、グラビア、オフセット等の各種印刷機を使用して行なうことが出来る。特にグラビア印刷による方法が好ましい。グラビア印刷法を使用した場合は、1台のグラビア印刷機で文字や絵柄の印刷に引き続いて感熱粘着剤を塗工することが出来、極めて効率的である。また、グラビア版のメッシュや版深度を適宜選択することにより、所望の厚さの感熱性粘着剤層を精度良く得ることが 出来ると共に、必要な部分(支持体(1)の両端部(A)及び(B))にのみ粘着剤層を塗工することも容易に出来る。文字や絵柄の印刷層は、擦れ防止の観点から支持体と感熱性粘着剤層との間に設けるのが好ましい。支持体に塗工または印刷した後の乾燥は、使用した固体可塑剤が融解しない温度範囲で行なわなければならない。乾燥手段としては、熱風乾燥の他、赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
【0024】
支持体(1)の一方の表面の両端部(A)及び(B)のみに感熱性粘着剤層を形成する場合、両端部(A)及び(B)のそれぞれの幅は、得られるラベルの全体長さにも依存するが、通常はラベルの全体長さの5〜30%である。縦10〜20cm、横20〜30cmの一般的なラベルの場合は1〜3cmである。感熱性粘着剤層の塗布量は、その組成や粘着対象となる包材の材質により異なるが、乾燥後の塗布量として、通常1〜50g/m2、好ましくは3〜20g/m2である。塗布量が余りにも少ないと接着性が不十分となり、余りにも多すぎる場合はコスト面で不利になる。
【0025】
使用時にはラベルが容器から脱落することがなく、かつ、ラベルを容器から剥離する際には粘着剤が容器に付着しない様にするためには、ラベル同士が重なり合う部分(図示した例では(B)に相当)の接着力を高くし、ラベルが容器に直接接着する部分(図示した例では(A)に相当)の接着力を低く設定する必要がある。そのため、本発明においては、ラベル同士が重なり合う部分の接着力を250g/25mm以上、好ましくは300g/25mm以上とし、ラベルが容器に直接接着する部分の接着力を40g/25mm以上で250g/25mm未満、好ましくは80〜200g/25mmになる様に調節する。なお、上記の接着力は23℃における測定値である。
【0026】
上記の構成は、例えば、異なる2種類の感熱性粘着剤層によって達成される。具体的には、カットされた1枚のラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の感熱性粘着剤層と、ラベルが容器に直接接着する部分の感熱性粘着剤層とに含有される熱可塑性樹脂を異ならせる。例えば、容器がポリエチレンテレフタレート(PET)である場合には、ラベル同士が重なり合う部分に接着力の強いアクリル系粘着剤を使用し、ラベルが容器に直接接着する部分にPETへの接着力の低いエチレン−酢酸ビニル系粘着剤を使用すればよい。この他にも、感熱性粘着剤の選択は、使用される容器とラベルの基材となるフィルムの材質によって適宜選択される。
【0027】
次に、本発明の容器(2)について説明する。本発明の容器は前記の感熱性粘着ラベル(1)を貼付して成ることを特徴とする。容器の素材は、特に限定はされず、ポリエステル、ポリプロピレンの様なプラスチック、アルミニウム、鉄などの金属、ガラス等、一般に市場に普及している素材が挙げられる。これらの中では、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート素材が好ましい。なお、粘着力を発現させるためのラベル加熱は、容器に巻く前に行なっても巻いた後に行なってもよい。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味する。また、コアシェル型の樹脂(共重合体)のTgを計算するために使用した各単量体の単独重合体のTg値を以下の表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
<熱可塑性樹脂の製造−1>
攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素導入管を備えたフラスコに、脱イオン水130部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部を仕込み、窒素雰囲気下で75℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム1部を添加した後に、メタクリル酸メチル40部、スチレン6部、アクリル酸n−ブチル6部、メタクリル酸8部、オクチルメルカプタン3部から成る単量体混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了から更に1時間同温度を維持した後、アンモニア水(28%)6部を滴下して反応系中和した。
【0031】
その後、t−ブチルハイドロパーオキサイド(70%水溶液)1部、ロンガリット0.5部を添加した後に、スチレン6部、アクリル酸n−ブチル108部、メタクリル酸メチル24部、メタクリル酸2部および脱イオン水60部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部の混合物を予めホモミキサーにより機械乳化したプレエマルジョンを2時間に亘って滴下した。滴下終了後、t−ブチルハイドロパーオキサイド(70%水溶液)0.2部、ロンガリット0.1部を添加し、更に80℃にて2時間反応を行った。その後、反応系内を冷却して重合を終了させ、固形分含量50%のアクリル系共重合体エマルジョン(a−1)を得た。この共重合体のコア部のTgは−28℃、シェル部のTgは87℃であった。
【0032】
<熱可塑性樹脂の製造−2>
上記の製造例−1において、2段目に滴下するモノマープレエマルジョンの組成を、スチレン6部、アクリル酸エチル108部、アクリル酸n−ブチル24部、メタクリル酸2部および脱イオン水60部、スルホコハク酸系界面活性剤(有効成分40%)2.5部に変更した以外は、製造例−1と同様にして、固形分含量51%のアクリル系共重合体エマルジョン(a−2)を得た。この共重合体のコア部のTgは−22℃、シェル部のTgは87℃であった。
【0033】
<固体可塑剤の分散液の調製>
固体可塑剤として三安息香酸グリセリド(融点73℃)を100部、分散剤としてアクリル酸系高分子分散剤40部(25%水溶液)及び水を均一に混合して濃度を50%とし、固体可塑剤の水分散液(b―1)を調製した。分散はボールミルを使用し、分散液の平均粒子径は3.1μm(メジアン径)であった。なお、平均粒子径の測定は、粒度分布測定装置(島津製作所製「SALD−2000」)を使用して測定した体積基準での粒子径である。
【0034】
上記と同様にして、固体可塑剤として三安息香酸トリメチロールプロパン(融点88℃)を使用し、固形分含有量50%の固体可塑剤の水分散液(b−2)を得た。分散液の平均粒子径は4.0μmであった。
【0035】
<感熱性粘着剤の調製>
上記の製造例により得られたアクリル系共重合体エマルジョン(a−1、a−2)、市販のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(a−3)(Tg:−18℃)、固体可塑剤分散液(b−1、b−2)及び粘着付与樹脂エマルジョン(c)(軟化点100℃のロジンエステルエマルジョン)を以下の表3に示す固形分比で混合し、感熱性粘着剤を調製した。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例1
厚さ50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムに、1つのラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分(図示した例では(B)に相当)にアクリル系感熱性粘着剤(A−1)を、ラベルが容器に直接接着する部分(図示した例では(A)に相当)にエチレン−酢酸ビニル系感熱性粘着剤(A−3)を乾燥後の塗布厚さが共に7μmとなる様にグラビア印刷にて塗工、乾燥し、感熱性粘着ラベルを作成した。なお、ラベルのサイズは、縦10cm、横30cmであり、両端部における粘着剤の塗布幅(図示した例では(A)及び(B)に相当する部分)は2.5cmとした。
【0038】
実施例2
実施例1において、ラベル同士が重なり合う部分にアクリル系感熱性粘着剤(A−2)を塗工した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。
【0039】
比較例1
実施例1において、ラベル同士が重なり合う部分、ラベルが容器に直接接着する部分ともにアクリル系感熱粘着剤(A−1)を塗工した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。
【0040】
比較例2
実施例1において、ラベル同士が重なり合う部分、ラベルが容器に直接接着する部分ともにエチレン酢酸ビニル系感熱性粘着剤(A−3)を塗工した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。
【0041】
比較例3
実施例1において、粘着剤として、固体可塑剤を添加しない熱可塑性樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱性ラベルを作成した。すなわち、ラベル同士が重なり合う部分にアクリル系共重合体(a−1)、ラベルが容器に直接接着する部分にエチレン酢酸ビニル系共重合体(a−3)を塗工した。
【0042】
次に、以下に記載する方法を使用し、上記方法により作成された感熱性粘着ラベルを評価した。その結果を後記の表6に示す。
【0043】
(1)耐ブロッキング性:ラベルを粘着剤塗工面(図示した例では(B)の粘着剤塗工面)と粘着剤非塗工面(図示した例では(A)の粘着剤非塗工面)とが重なる様に合わせ、更に、その上に0.5kg/cm2の荷重を乗せ、40℃・24時間保管した。その後、ラベルを手で剥離して以下の表4に示す基準で評価した。
【0044】
【表4】
5:全く抵抗無く剥離できる。
4:かすかに音がして、軽い力で剥離できる。
3:やや剥離時に抵抗があるが、実用上問題のないレベルである。
2:一部がブロッキングしている。
1:ブロッキングして完全に接着している。
【0045】
(2)加熱時タック:ラベルを90℃で3秒間加熱した後、粘着剤面を指で触れ表面のタックを以下の表5に示す基準で評価した。
【0046】
【表5】
○:十分なタックが発現している。
△:タック発現しているが弱い。
×:タックが感じられない。
【0047】
(3)ラベル表面への接着力:ラベル同士が重なる部分(図示した例では(A)及び(B)に相当する部分:幅2.5cm)を切り取り、粘着剤塗工面((B)の粘着剤塗工面)を90℃で10秒間加熱後、JIS Z 0237に規定する180度剥離法に準じて接着力を測定した。すなわち、温度23℃、湿度60%の条件下において、粘着剤非塗工面((A)の粘着剤非塗工面)に粘着剤塗工面((B)の粘着剤塗工面)を貼り、2Kgのゴムローラーを一往復して圧着した。圧着後に、300mm/minの引張速度で、試験板に対する180度剥離接着力を測定した(接着力をg/25mmで表す)。
【0048】
(4) PETシート表面への接着力:ラベルが容器に直接接着する部分(図示した例では(A)に相当する部分:幅2.5cm)を切り取り、90℃、10秒加熱後、ポリエチレンテレフタレートシート上に貼り付け、上記と同様にして接着力を測定した。この試験において上記のPET表面は容器の表面を想定して使用されている。
【0049】
(5)再剥離性試験:容器への接着力を評価したサンプルのポリエチレンテレフタレートシート上に残された粘着剤の有無を目視にて評価した。シート上に粘着剤が残っていない物を良好(○)、粘着剤が残っている物を不可(×)とした。
【0050】
【表6】
【0051】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、剥離紙または剥離背面処理を施さなくても、ブロッキングを起こさず、夏期長期間保管しても使用時にはスムーズに巻きほぐすことが出来、短時間の加熱により速やかにタックが発現して軽い力で容器への巻回貼付が可能であり、貼付後、容器から剥離する際に粘着剤が容器に残らず剥離でき、リサイクルの対象となる容器に好適な感熱性粘着ラベル及びそれを貼付した容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の感熱性粘着ラベル及び容器の説明図
【符号の説明】
1:ラベル
2:容器
Claims (8)
- プラスチックフィルムの少なくとも一方の表面の少なくとも両端部に熱可塑性樹脂および固体可塑剤から成る感熱性粘着剤層が形成されて成り、容器の全周に巻いて且つその両端部が表裏で重なり合う様にして貼付する感熱性粘着ラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の接着力が250g/25mm以上であり、ラベルが容器に直接接着する部分の接着力が40g/25mm以上で250g/25mm未満であることを特徴とする感熱性粘着ラベル。
- 感熱性粘着剤層に含まれる固体可塑剤が融点60℃〜120℃の安息香酸エステルである請求項1に記載の感熱性ラベル。
- 感熱性粘着ラベルのプラスチックフィルムがポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルムから選ばれる一種であり、容器の素材がポリエステルである請求項1又は2に記載の感熱性粘着ラベル。
- プラスチックフィルムと感熱性粘着剤層との間に印刷層を設けて成る請求項1〜3の何れかに記載の感熱性粘着ラベル。
- 感熱性粘着剤層がグラビア印刷にて形成された層である請求項1〜4の何れかに記載の感熱性粘着ラベル。
- カットされた1枚のラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の感熱性粘着剤層と、ラベルが容器に直接接着する部分の感熱性粘着剤層とが異なる熱可塑性樹脂を含有する請求項1〜5の何れかに記載の感熱性粘着ラベル。
- カットされた1枚のラベルにおいて、ラベル同士が重なり合う部分の感熱性粘着剤の熱可塑性樹脂がアクリル系共重合体から成り、ラベルが容器に直接接着する部分の感熱性粘着剤の熱可塑性樹脂がエチレン−酢酸ビニル系共重合体から成る請求項1〜6の何れかに記載の感熱性粘着ラベル。
- 請求項1〜7の何れかに記載の感熱性粘着ラベルを貼付して成ることを特徴とする容器。
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-
2002
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