JP2004076388A - トンネル工事における地盤改良工法および地盤改良装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トンネル掘削機1の後方に位置する既設セグメント14aから斜め前方にトンネル掘削機1側まで注入管50を伸ばし、その注入管50から地盤改良剤(薬剤)を注入するようにした。これにより、掘削機1のカッタ構造とは全く無関係に薬剤注入が行える。また、注入管50のトンネル中心線に対する斜めの角度θを大きくすることは容易なため、急曲線施工時に、上記角度θを直角方向に大きくすることで、カーブの内側にも適正に薬剤を注入できる。また、既設セグメント14aが位置する部分は、掘削機1から離れているため、広い作業スペースを確保できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル掘削機を用いたトンネル工事における地盤改良工法および地盤改良装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削機を用いたトンネル工事においては、地山が崩壊し易い土質の場合や急曲線施工を行う場合等には、切羽の崩落を防ぐため、掘削機の近傍前方の土砂を薬剤注入によって地盤改良を行う必要がある。ここで、地上から薬剤を注入できれば問題ないが、地上の交通確保の制約や大深度施工等の場合には地上から薬注できないため、掘削機内から薬剤注入しなければならない。掘削機内から薬剤を注入する地盤改良装置として、図13に示すものが知られている。
【0003】
図示するように、この地盤改良装置は、トンネル掘削機(シールド掘進機)の筒状のシールドフレームa内を前後に仕切る固定隔壁bに回転隔壁cを設け、回転隔壁cに傾斜中空管dを介してカッタeを取り付け、傾斜中空管d内に前方に薬剤を注入する注入器fを取り付けたものである。この地盤改良装置によれば、回転隔壁cをモータgで回転させることにより、注入器fがカッタeの回転中心軸廻りに円錐状に振れ回るため、薬剤を切羽の前面に広範囲に亘って注入できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記地盤改良装置は、その構成に回転隔壁cが必須であるため、回転隔壁cを有しないタイプのトンネル掘削機(例えば図1に示すタイプ等)には適用できないという問題があった。すなわち、図1のタイプは、固定隔壁の外周部に回転リングを軸支し、回転リングにドーム型のカッタを取り付けたものであるため、注入器fを取り付けるべき回転隔壁cが存在しない。このため、回転隔壁cに取り付けた注入器fを、回転隔壁cの回転に伴って円錐状に振れ回し、薬剤の注入範囲を広範囲とする上記地盤改良装置を適用できない。
【0005】
また、上記地盤改良装置は、図14に示すように、急曲線施工を行う場合、カーブの内側に薬剤を適正に注入し難いという問題があった。すなわち、急曲線施工時には、カーブの両側を所定の幅Lの範囲で地盤改良する必要があるが、注入器fのカッタ回転中心線に対する傾斜角度θを大きくすることが装置の機構上制限されるため、カーブの外側には所定の幅L内に薬剤を注入できるものの、カーブの内側には所定の幅L内に薬剤を注入できない。
【0006】
また、上記地盤改良装置は、図13に示すように、回転隔壁cに注入器fを取り付けているが、この付近にはカッタ室h内の土砂を坑内に搬送するための図示しない土砂搬送装置(スクリューコンベヤや送排泥管等)が配置されておりまたモータgも存在するため狭隘なスペースしか残されておらず、実際には取り付けが困難(小口径の場合には特に困難)である。また、狭隘なスペース内で作業員が薬注作業しなければならないため、作業効率が悪い。
【0007】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、掘削機のカッタ構造とは無関係に適用でき、急曲線施工時にカーブの内側にも適正に薬剤を注入でき、且つ広い作業スペースを確保できるトンネル工事における地盤改良工法および地盤改良装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明に係るトンネル工事における地盤改良工法は、トンネル掘削機の後方に位置する既設セグメントから斜め前方にトンネル掘削機側まで注入管を伸ばし、その注入管から地盤改良剤(薬剤)を注入するようにしたものである。
【0009】
この発明によれば、掘削機後方の既設セグメントから掘削機側まで注入管を斜め前方に伸ばして薬剤注入を行っているので、掘削機のカッタ構造とは全く無関係に薬剤注入が行える。すなわち、回転隔壁を備えないタイプの掘削機にも適用できる。また、注入管のトンネル中心線に対する斜めの角度を大きくすることは容易なため、急曲線施工を行う場合には、上記角度を直角方向に大きくすることで、カーブの内側にも適正に薬剤を注入できる。また、既設セグメントが位置する部分は、掘削機から離れているため、広い作業スペースを確保できる。
【0010】
また、第2の発明に係るトンネル工事における地盤改良装置は、トンネル掘削機の後方に位置する既設セグメントに、径方向外方に出没する出没部材を設け、該出没部材に、その突出時にセグメントの内側から外側に貫通されてトンネル掘削機側まで斜め前方に延伸される地盤改良剤用の注入管を設けたものである。
【0011】
この発明によれば、出没部材を既設セグメントの径方向外方に突出させ、その突出した出没部材に薬剤注入用の注入管を貫通させて掘削機側まで斜め前方に延伸しているので、出没部材を突出させた分だけ注入管のトンネル中心線に対する斜めの角度を小さくできる。よって、掘削機の近傍の土砂に薬剤を注入できる。
【0012】
また、上記出没部材は、トンネルの内外を連通する連通路が形成された首振り部材を有し、上記注入管は、この首振り部材の連通路に貫通されていてもよい。こうすれば、首振り部材の首振り角度を調節することで、注入管のトンネル中心線に対する斜めの角度を任意に変更できる。
【0013】
また、上記首振り部材の連通路は、上記出没部材を突出させる際に、側部地山の土砂を排土する排土通路を兼ねてもよい。こうすれば、出没部材に側部地山の土砂を排土するための排土通路を別途設ける必要はなく、装置の小型化・低コスト化に繋がる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を添付図面に基いて説明する。
【0015】
図1は本実施形態に係る地盤改良装置を備えたシールド掘進機の平断面図、図2は上記地盤改良装置の作動前の横断面図、図3は上記地盤改良装置の作動後の横断面図(図1のIII−III線断面図)である。
【0016】
図1に示すように、このシールド掘進機1(トンネル掘削機)は、シールドフレームを構成する筒状の前胴2と後胴3とが中折れジャッキ4を介して連結された所謂中折れシールドであり、急曲線施工に適している。但し、本実施形態に係る地盤改良装置は、掘進機1に取り付けられるものではないため、中折れシールドに限定されるものではなく、通常のシールド機にも適用可能である。
【0017】
前胴2には、内部を前後に仕切る固定隔壁5が設けられている。固定隔壁5の外周部には回転リング6が軸支され、回転リング6にはドーム型のカッタヘッド7が取り付けられている。そして、カッタヘッド7には、岩盤切削用のローラカッタおよびビット(図示せず)が取り付けられている。但し、本実施形態に係る地盤改良装置は、掘進機1に取り付けられるものではないため、このようなカッタに限定されるものではなく、カッタのタイプには無関係に適用可能である。
【0018】
回転リング6には、内歯ギヤ8が取り付けられている。内歯ギヤ8には、モータ9の回転軸に設けられたピニオン10が噛合されている。この構成によれば、モータ9を駆動することで、カッタヘッド7が回転し、ローラカッタおよびビットによって切羽(岩盤・硬質地盤等)が掘削される。掘削土砂は、一旦隔壁5の前方のカッタ室11に取り込まれ、スクリューコンベヤ12等の搬送装置によって坑内に移送される。
【0019】
後胴3の内周面には、推進ジャッキ13が周設されている。推進ジャッキ13は、既設セグメント14に反力を取って掘進機1を前進させるものである。セグメント14は、後胴3内に設けられた図示しないエレクタ(セグメント組立装置)によって、後胴3の内側にてリング状に組み立てられ、推進ジャッキ13によって相対的に後方に押し出される。また、後胴3の後端には、既設セグメント14との隙間を止水するテールシール15が設けられている。
【0020】
本実施形態に係る地盤改良装置20は、図1に示すように、上述のシールド掘進機1とは無関係に、特殊セグメント14aに取り付けられる。すなわち、所定の特殊セグメント14aには、地盤改良装置20の一部を成す出没部材21が、径方向外方に出没自在に装着されている。出没部材21は、図2、図3および図4にも示すように、フランジ22が設けられた外筒23と、外筒23にスライド自在に装着されたフランジ24付きの内筒25と、内筒25内を仕切る仕切部材26と、仕切部材26に首振り自在に取り付けられた首振り部材27とを有する。
【0021】
首振り部材27は、球体28と、球体28に設けられたロッド体29と、球体28およびロッド体29に貫通形成された連通路30と、連通路30を開閉する弁体31とを有する。他方、仕切部材26には、トンネル内外を連通させて球面座32が形成されている。そして、その球面座32に首振り部材27の球体28が装着され、首振り部材27が首振り自在となっている。また、これにより連通路30がトンネルの内外を連通する。
【0022】
かかる出没部材21は、図2および図3に示すように、その外筒23が特殊セグメント14aに開口された装着穴33にスライド自在に装着されており、外筒23が装着穴33に対してスライドし、内筒25が外筒23に対してスライドすることにより、セグメント14aの外周面から径方向外方に出没するようになっている。このとき、各フランジ22、24が突出位置を規制するストッパとなる。
【0023】
また、装着穴33の内周面には、外筒23との間を止水するシール(図示せず)が設けられ、外筒23の内周面には、内筒25との間を止水するシール(図示せず)が設けられている。なお、装着穴33は、セグメント14aにボルト等によって取り付けられた穴ブロック34に設けられている。
【0024】
出没部材21の詳細を図4乃至図6を用いて説明する。
【0025】
外筒23には、図4に示すようにその先端がセグメント14aの外周面と略面一の状態のとき装着穴33の側面に覆われる位置で、且つ図5に示すように先端がセグメント14aの外周側に突出されたとき側部地山に晒される位置に、外穴35が形成されている。また、外筒23には、図6に示すように首振り部材27が回動されたとき、首振り部材27が嵌るU字型の外溝36が形成されている。
【0026】
他方、内筒25には、図5に示すようにその先端がセグメント14aの外周側に突出されたとき、外筒23の外穴35と連通する位置に、内穴37が形成されている。また、内筒23には、このとき外筒23の外溝36と重なる位置に、U字型の内溝38が形成されている。よって、図6に示すように、首振り部材27は、重なった内溝38および外溝36に嵌ることになる。
【0027】
内穴37と内溝38とは、内筒25内に斜めに配置された仕切部材26により仕切られており、内穴37は坑外に位置し、内溝38は坑内に位置する。ここで、図4に示すように、内筒25および外筒23が引き込まれているとき、内穴37の一部が外穴35にラップしているため、側部地山の土砂水が内穴37を通って外穴35まで浸入するものの、このとき外穴35は装着穴33の側面で覆われているため、側部地山の土砂水が坑内に浸入することはない。
【0028】
また、図5および図6に示すように、上記内溝38および外溝36の近傍には、首振り部材27が回動して内溝38および外溝36に係合するとき、その首振り部材27との干渉を避けるため、着脱ブロック39が着脱自在に取り付けられている。着脱ブロック39は、図4から図5にかけて外筒23をガイドする機能を発揮するが、最初から省略することも可能である。
【0029】
かかる出没部材21は、通常時には、図2および図4に示すように、内筒25のフランジ24と外筒23のフランジ22とを貫通して穴ブロック34にネジ込まれる段付きボルト40等のスペーサによって、内筒25および外筒23の先端がセグメント14aの外周面と略面一となった状態に固定されている。そして、この段付きボルト40は、図3および図5に示すように、内筒25および外筒23がセグメント14aの外周面から突出されるときには取り外される。
【0030】
上記内筒25および外筒23は、図1乃至図3に示す押出装置41によって、図2の状態から図3に示すようにセグメント14aの外周側に押し出される。押出装置41は、トンネルの底部に移動可能に着座される基台42と、基台42からトンネルの中心方向(上方)に延出された支持柱43と、支持柱43に略トンネル中心に配置されたピン44を介して回転自在に取り付けられた回転ブロック45と、回転ブロック45にトンネル径方向にスライド移動可能に装着された旋回アーム46とを備えている。
【0031】
旋回アーム46の一端には、図2および図3に示すように内筒25のフランジ24に当接される押当て部47が設けられ、旋回アーム46の他端には、図1に示すように押出すべき内筒25と180度反対側に位置する内筒25を前後に跨ぐように形成された分岐体48が設けられている。分岐体48は、図1に示すようにトンネルの前後方向にY字型に形成されたY字材が図2および図3に示すように二段に配置されて成り、各Y字材の先端には、セグメント14に当接するジャッキ49が設けられている。
【0032】
この構成によれば、図2の状態からジャッキ49を伸ばすことで、図3に示すように、旋回アーム46が回転ブロック45に対して移動し、内筒25および外筒23が押当て部47に押されて突出する。その後、ジャッキ49を収縮させ、旋回アーム46の回転ブロック45に対する相対位置を図2の状態に戻し、旋回アーム46をピン44廻りに適宜回動させることで、同様にして別の内筒25および外筒23を突出させることができる。なお、旋回アーム46の回動時、分岐体48が各内筒25(出没部材21)を前後に跨ぐように形成されているため、旋回アーム46の回動が阻害されることはない。
【0033】
以上の構成からなる本実施形態の作用を述べる。
【0034】
上記シールド掘進機1を用いたトンネル工事においては、地山の土質や急曲線施工等の一定のケースでは、切羽の崩落を防ぐため、掘進機1の近傍前方の土砂を薬剤注入によって地盤改良を行う必要がある。この場合、先ず、図1に示すように、上記出没部材21を装備した特殊セグメント14aを、シールド掘進機1に対して所定距離後方に離れた地点に配置する。この配置は次のようにして行う。
【0035】
最初に、後胴3の内方にて、装着穴33が開けられた特殊セグメント14aをエレクタによってリング状に組み立てる。次に、各セグメント14aの装着穴33に外筒23を挿入し、外筒23に内筒25を挿入する。内筒25には、仕切部材26が取り付けられており、仕切部材26には、首振り部材27が取り付けられている。そして、図2および図4に示すように、内筒25と外筒23とを、段付きボルト40によって特殊セグメント14aに固定する。これにより、装着穴33の部分の止水が完了する。その後、かかる特殊セグメント14aを推進ジャッキ13によって後方に送り出し、図1の位置とする。
【0036】
次に、図1および図2に示すようにトンネル内に押出装置41をセットし、図2に示す段付きボルト40を取り外す。そして、図3に示すように、押出装置41のジャッキ49によって内筒25および外筒23を押し出す。これにより、内筒25および外筒23は、図4に示すようにその先端がセグメント14aの外周面と略面一の状態から、図5に示すように先端がセグメント14aの外周面から突出した状態となる。
【0037】
ここで、図4から図5にかけて首振り部材27の弁体31を開いておけば、側部地山の土砂が首振り部材27の内部に形成された連通路30を通って坑内に排土される。このとき連通路30は排土通路として機能する。こうすれば、仕切部材26に側部地山の土砂を排土するための排土通路を別途設ける必要はなく、装置の小型化・低コスト化に繋がる。排土後、弁体31を閉じる。
【0038】
なお、内筒25および外筒23を図4から図5のように突出させるに先立って、上記弁体31を開いて坑内から側部地山へ水や作泥剤等を噴射し、突出させる部分の土砂を流動化してもよい。このとき連通路30は注水路として機能する。こうすれば、側部地山が流動化するためその排土性が向上し、押出装置41のジャッキ49の作動力の負担が小さくなる。
【0039】
こうして、内筒25および外筒23を突出させたとき、図5に示すように、外穴35と内穴37とが重なり、外溝36と内溝38とが重なる。その後、着脱ブロック39を取り外し、図6に示すように首振り部材27を回動させ、首振り部材27のロッド体29をラップした外溝36および内溝38に係合させ、首振り部材27の球体に開口された連通路30の出口をラップした内穴37および外穴35に対向させる。
【0040】
このとき、首振り部材27を支持する仕切部材26が、図4の位置から径方向外方に突出されているので、その突出分だけ首振り部材27の回動支点が側部地山側にずれることになり、首振り部材27のロッド体29が外溝36および内溝38に嵌り込むこととも相俟って、首振り部材27のトンネル中心線に対する斜めの角度θ(図1参照)を小さくできる。
【0041】
その後、弁体31を開き、図7に示すように、首振り部材27の連通路30に注入管50を挿入し、外筒23の外穴35と内筒25の内穴35とを通して斜め前方に延伸する。ここで、既述のように首振り部材27のトンネル中心線に対する斜めの角度θを小さくできるので、注入管50のトンネルの軸線に対する薬注角度θ(図1参照)も小さくできる。
【0042】
注入管50の側部地山への挿入・延伸は、公知のパーカッションドリルやミゼットドリル等によってなされる。パーカッションドリルは、注入管50の根元を把持して軸方向に振動させながら注入管50を地山に貫入させるものであり、ミゼットドリルは、注入管50の根元を把持して軸廻りに回転させながら注入管50を地山に貫入するものである。またいずれのドリルも、所定長さの注入管50を継ぎ足して延伸するようになっている。
【0043】
これらのドリルによって、図9に示すように、注入管50をシールド掘進機1の前方まで延伸したならば、注入管50を引き抜きつつ地盤改良剤(コンクリート等)を噴射し、地山に円柱状の地盤改良域51を生成する。このように掘進機1後方の既設の特殊セグメント14a(図1〜図3参照)から掘進機1側まで注入管50を斜め前方に伸ばして薬剤注入を行っているので、掘進機1のカッタ構造とは全く無関係に薬剤注入が行える。すなわち、回転隔壁を備えないタイプの掘削機にも適用でき、あらゆる土質に対応できる。
【0044】
また、既述のように、首振り部材27の回動中心(球体28の位置)が図4の位置から外側に移動され、首振り部材27が外溝36および内溝38に嵌り込むため、注入管50のトンネルの軸線に対する薬注角度θを小さくでき、掘進機1の近傍の土砂に薬剤を注入できる。よって、掘進機1の近傍の地山を地盤改良できる。また、上記薬注角度θを変更することで薬注による地盤改良域51を変更できる。また、セグメント14aが位置する部分は、掘進機1から離れているため、広い作業スペースを確保できる。よって、小口径の掘進機1でも実現でき、薬注のための作業性・安全性が向上する。
【0045】
そして、以上の作業を図2および図3に示す同一リングの全ての外筒出没部材21について行い、図10に示すように、円柱状の地盤改良域51をシールド掘進機1の左右上方を囲むように門型に生成する。その後、図9に示すように、シールド掘進機1を所定距離前進させ、より前方に同様に配置した特殊セグメント14aから、同じ手順によって薬剤を門型に注入し、円柱状の地盤改良域52を生成する。このとき、図10に示すように、前に行った薬注域と位相をずらして薬注することが好ましい。
【0046】
このような薬注作業後、図8に示すように、特殊セグメント14aの前後のセグメント14等からテールボイド(シールドフレーム3と既設セグメント14との間)およびその近傍の側部地山に固化剤54(コンクリート等)を充填する。そして、固化剤54が固化した後に装着穴33から外筒23およびその内側の部材25、26、27等を抜き取り、装着穴33に蓋53を嵌め込み固定する。これにより、出没部材21(内筒25、外筒23、仕切部材26、首振り部材27等)を再利用することができる。
【0047】
また、図9に示すように、上記シールド掘進機1を用いて急曲線施工をする場合には、カーブの左右両側を所定の幅Lの範囲で地盤改良する必要があり、カーブ内側の薬注角度θを掘進に伴って徐々に大きくする必要があるが、この角度θを大きくする変更は容易である。何故なら、薬注角度θを小さくすることは薬注管50をセグメント14の内外に貫通させる都合上なかなか困難であるが(図1参照)、薬注角度θを大きくすることは図4乃至図7に示す内穴37および外穴35を側部地山側に延びた長穴としたり内外筒23、25の先端まで切れ込ませた溝状とすることで容易に大きくできるからである。よって、本実施形態では、図9に示すように、急曲線施工をする場合に、カーブの左右両側を所定の幅Lの範囲で確実に地盤改良できる。
【0048】
本発明の別の実施形態を図11および図12に示す。
【0049】
図示するように、この実施形態は、出没部材21の構造のみが前実施形態と異なっており、その他は前実施形態と同様の構成であるので、変更された出没部材21aのみを説明し、その他の部分の説明は省略する。
【0050】
図11に示すように、所定の特殊セグメント14aには、地盤改良装置の一部を成す出没部材21aが、径方向外方に出没自在に装着されている。出没部材21aは、フランジ70が設けられた筒体71と、筒体71内を仕切る仕切部材72と、仕切部材72に首振り自在に取り付けられた首振り部材73とを有する。
【0051】
首振り部材73は、球体74と、球体74に設けられたロッド体75と、球体74およびロッド体75に貫通形成された連通路と、連通路を開閉する弁体76とを有する。他方、仕切部材72には、トンネル内外を連通させて球面座が形成されている。そして、その球面座に首振り部材73の球体74が装着され、首振り部材73が首振り自在となっている。また、これにより連通路がトンネルの内外を連通する。
【0052】
他方、特殊セグメント14aには、その内外を連通する装着穴77が形成されており、装着穴77には、フランジ78付きのガイド筒79が固設されている。このガイド筒79には、上記筒体71がスライド自在に装着されている。各フランジ70、78は、筒体71がガイド筒79に対してスライドするとき、ストッパとなる。また、ガイド筒79の内周面には、筒体71との間を止水するシール(図示せず)が設けられている。
【0053】
筒体71には、図11に示すようその先端がセグメント14aの外周面と略面一の状態のときガイド筒79の内周面に覆われる位置で、且つ図12に示すように先端がセグメント14aの外周側に突出されたとき側部地山に晒される位置に、穴80が形成されている。また、筒体71には、図12に示すように首振り部材73が回動されたとき、首振り部材73が嵌るU字型の内溝(長穴)81が形成されている。
【0054】
他方、ガイド筒79には、図12に示すように筒体71がセグメント14aの外周側に突出されたとき、筒体71の外穴80が臨む位置に、注入管82との干渉を避けるためスロープ状に窪まされた凹部83が形成されている。また、ガイド筒79には、このとき内溝81と重なる位置に、U字型の外溝84が形成されている。よって、図12に示すように、回動する首振り部材73は、重なった内溝81および外溝84に嵌ることになる。
【0055】
内穴80と内溝81とは、筒体71内に斜めに配置された仕切部材72により仕切られており、内穴80は坑外に位置し、内溝81は坑内に位置する。ここで、図11に示すように、筒体71が引き込まれているとき、内穴80がガイド筒79の内周面で覆われているため、側部地山の土砂水が坑内に浸入することはない。
【0056】
上記筒体71は、通常時には、図11に示すように、筒体71のフランジ70とガイド筒79のフランジ78とにネジ込まれる段付きボルト85等のスペーサによって、筒体71の先端がセグメント14aの外周面と略面一となった状態に固定されている。そして、この段付きボルト85は、図12に示すように、筒体71がセグメント14aの外周面から突出されるときには取り外される。
【0057】
この実施形態においても、前実施形態と同様の作用効果を奏する。また、出没部材21aの構造が簡素となるため、低コストとなる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るトンネル工事における地盤改良工法および地盤改良装置によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)掘削機のカッタ構造に拘わらず、即ちあらゆる土質に対して、掘削機近傍の地山を広範囲で地盤改良できる。
(2)急曲線施工を行う場合にカーブの内側に適正に地盤改良できる。
(3)広い作業スペースを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る地盤改良装置を備えたシールド掘進機の平断面図である。
【図2】上記地盤改良装置の作動前の横断面図である。
【図3】上記地盤改良装置の作動後の横断面図(図1のIII−III線断面図)である。
【図4】上記地盤改良装置の作動工程を示す平断面図である。
【図5】上記地盤改良装置の作動工程を示す平断面図である。
【図6】上記地盤改良装置の作動工程を示す平断面図である。
【図7】上記地盤改良装置の作動工程を示す平断面図である。
【図8】上記地盤改良装置の作動工程を示す平断面図である。
【図9】上記地盤改良装置による急曲線施工時の薬注域を示す平断面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】本発明の別の実施形態を示す説明図(作動前)であり、図11(a)は平断面図、図11(b)は横断面図である。
【図12】本発明の別の実施形態を示す説明図(作動後)であり、図11(a)は平断面図、図11(b)は横断面図である。
【図13】従来の地盤改良装置を備えたシールド掘進機の平断面図である。
【図14】上記地盤改良装置による急曲線施工時の薬注域を示す平断面図である。
【符号の説明】
1 トンネル掘削機(シールド掘進機)
14a 既設セグメントとしての特殊セグメント
21 出没部材
27 首振り部材
30 連通路
50 注入管
θ 薬注角度
Claims (4)
- トンネル掘削機の後方に位置する既設セグメントから斜め前方にトンネル掘削機側まで注入管を伸ばし、その注入管から地盤改良剤を注入するようにしたことを特徴とするトンネル工事における地盤改良工法。
- トンネル掘削機の後方に位置する既設セグメントに、径方向外方に出没する出没部材を設け、該出没部材に、その突出時にセグメントの内側から外側に貫通されてトンネル掘削機側まで斜め前方に延伸される地盤改良剤用の注入管を設けたことを特徴とするトンネル工事における地盤改良装置。
- 上記出没部材は、トンネルの内外を連通する連通路が形成された首振り部材を有し、上記注入管は、この首振り部材の連通路に貫通された請求項2記載のトンネル工事における地盤改良装置。
- 上記首振り部材の連通路は、上記出没部材を突出させる際に、側部地山の土砂を排土する排土通路を兼ねる請求項3記載のトンネル工事における地盤改良装置。
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