JP2004076208A - 炭素繊維前駆体束の製造方法 - Google Patents

炭素繊維前駆体束の製造方法 Download PDF

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Sunao Toba
鳥羽 直
Koji Matsumoto
松本 浩二
Yukio Izumi
和泉 幸男
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Abstract

【課題】本発明は、毛玉欠点の少ない高品位の炭素繊維前駆体束を湿式紡糸法を用いて高生産性で製造することができる炭素繊維前駆体束の製造方法を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の炭素繊維前駆体束の製造方法は、アクリロニトリル系繊維を湿式紡糸法により製造するに際して、凝固浴の凝固温度を38〜45℃とし、かつ、凝固張力を180〜240mg/フィラメントの範囲内に制御して紡糸することを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維、耐炎化繊維あるいは黒鉛繊維製造用のアクリロニトリル系前駆体束に関するものであり、特にラージトウと呼ばれる炭素繊維、耐炎化繊維の製造に好適な高品位な炭素繊維前駆体束を、それも高生産性で効率よく製造し得る炭素繊維前駆体束の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリル系繊維を前駆体とする炭素繊維および黒鉛繊維(以下一括して「炭素繊維」という)は、その優れた力学的性質により航空宇宙用途をはじめ、スポーツ、レジャー用途等の高性能複合材料の補強繊維素材として商業的に生産・販売されている。
【0003】
一方、市場においては、これらの複合材料の新たな用途の開発に当たり低価格であることが要求され、製造コストの低減を目的とした炭素繊維の大量生産技術の向上が期待されている。
【0004】
従来、アクリロニトリル系炭素繊維前駆体束(以下「炭素繊維前駆体束」という)の製造方法としては、炭素繊維の高強度・高弾性率の発現を損なわないため、炭素繊維前駆体束中に単繊維切れ・毛羽・毛玉等の混入を極小にすることが、重要であり、そのために1000〜10000H程度の低ホール数の口金を用いた乾式紡糸法および乾−湿式紡糸法が一般的に採用されている。
【0005】
また、炭素繊維の製造コストを低減する生産方法として、製糸工程において、炭素繊維前駆体を2本以上合糸し、耐炎化および炭化を実施することにより、20000〜30000フィラメントからなる炭素繊維を大量に得る方法が確立されている。
【0006】
しかしながら、前述の紡糸設備および紡糸方法によって得られる炭素繊維前駆体束は、衣料用等の紡糸設備と比較した場合、極端に低い生産能力となるため炭素繊維をより高価なものとしている。
【0007】
この問題に対して、工程通過速度を上昇させ、生産能力向上を図ることによる検討がなされているが、まだ不十分であり、速度上昇による急激な変形(延伸)により、単繊維切れ・毛羽・毛玉といった欠点の混入が多発するといった問題が発生していた。
【0008】
このような背景の下に、従来よりアクリロニトリル系衣料用繊維の製造に一般的に用いられている高生産性な紡糸法である湿式紡糸法を用いた多ホール口金による低コスト炭素繊維前駆体束の製造が検討されてきている。
【0009】
湿式紡糸法は、乾−湿式紡糸法に比べて凝固速度が速いことから、口金ホール数を高密度化することが可能であり、生産性の面で優位である。
【0010】
一般に30000フィラメント以上からなるラージトウと呼ばれる炭素繊維前駆体の製造方法として適してしている。
【0011】
しかしながら、湿式紡糸法はその凝固速度の速さおよび高密度化といった特性を持つ一方、得られる糸束はその特性に起因する毛玉・毛羽といった欠点が多い。 かかる欠点は、後の耐炎化繊維・炭素繊維の欠点となり、さらには該炭素繊維を用いたプリプレグの樹脂含浸塗布斑の原因となることから、湿式紡糸法を用いた高生産性と欠点数の減少との両立は大きな課題であった。
【0012】
かかる毛羽欠点に対して、高品位アクリルフィラメント束および炭素繊維前駆体の湿式紡糸法として、特許第3048448号および特開2001−348722号公報などが提案されている。かかる技術によれば、高品位を達成するものの、12000ホールの口金を使用して湿式紡糸を実施しており、一般に30000本以上からなるラージトウと呼ばれる炭素繊維前駆体束を製造するには合糸が必要となり、工程が複雑化する問題があった。
【0013】
また、特開平7−70812号公報では、アクリロニトリル系重合体の重合成分組成を低コスト化および最適化し、湿式紡糸法における毛羽の発生を減じ、高強度・高弾性炭素繊維を得る方法が提案されている。しかしながら、その前駆体束の生産能力は2000〜12000ホールの口金を使用しており、最終速度は70〜80m/分であるので、例えば、衣料用繊維束の製造工程(特開2000−328347号公報;湿式紡糸口金35000H)を比較した場合、安価な重合体を使用しているにもかかわらず、その口金ホール数に起因する生産能力低下が顕著であり、その低コスト化は満足できるものとは言えなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、毛玉欠点の少ない高品位の炭素繊維前駆体束を湿式紡糸法を用いて高生産性で製造することができる炭素繊維前駆体束の製造方法を提供せんとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維前駆体束の製造方法は、アクリロニトリル系繊維を湿式紡糸法により製造するに際して、凝固浴の凝固温度を38〜45℃とし、かつ、凝固張力を180〜240mg/フィラメントの範囲内に制御して紡糸することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり毛玉欠点の少ない高品位の炭素繊維前駆体束を湿式紡糸法を用いて高生産性で製造することができる炭素繊維前駆体束の製造方法について、鋭意検討し、かかる炭素繊維前駆体欠点の発生原因が、延伸工程以前にあることに着目し、湿熱延伸前の凝固繊維束特性と、湿熱延伸後の炭素繊維前駆体束との毛玉欠点の発生現象の関係を解析し、該凝固繊維束の特性を制御することにより、かかる課題を解決することができることを究明したものである。
【0017】
すなわち、アクリロニトリル系繊維を湿式紡糸法により製造するに際して、凝固浴の凝固温度を38〜45℃とし、かつ、凝固張力を180〜240mg/フィラメントの範囲内に制御して紡糸することにより、見事に、かかる課題を解決することができることを究明したものである。
【0018】
本発明の湿式紡糸法における凝固浴の凝固温度は、38〜45℃であることが必須の要件である。この温度が、38℃未満であると、アクリロニトリル系重合体と凝固浴液との温度差が大きくなりすぎて、凝固速度が上昇し、そのため口金近傍の凝固糸が急激に収縮し、凝固張力が増加する結果を招くこととなる。そのため、同一速度で引き取りを実施すると、凝固浴中での延伸が過度に行われることとなり、凝固繊維束の引張伸度が低下する。
その結果、凝固繊維束の延伸余裕率が低下し、湿熱延伸時に単繊維の破断を生じるため、これらが毛玉欠点となる。
【0019】
また、凝固温度が45℃を超えると、凝固張力が減少するので、凝固繊維束の引張伸度が上昇するが、凝固糸表面の平滑性が増加する。この表面形態は延伸後の単糸にも維持されるため、単糸間同士の接触面積が増加し、後の耐炎化・炭化工程といった高温処理時に糸束の単糸間の接着が多発するため、得られる炭素繊維のストランド強度が低下する傾向がある。
【0020】
本発明の湿式紡糸法における凝固浴中での凝固張力は、180〜240mg/フィラメントの範囲内に制御することが必須である。すなわち、かかる凝固張力が、180mg/フィラメント未満の状態で紡糸すると、凝固浴内で凝固繊維束がさばけてしまい、均一引き取りがしにくくなるため、口金近傍での単糸間の接着が発生し易くなる。また、逆に凝固張力が、240mg/フィラメントを越えると、凝固浴中での延伸が過度に行われ、凝固繊維束の引張伸度が低下する。
【0021】
その結果、凝固繊維束の延伸余裕率が低下し、湿熱延伸時に単繊維の破断を生じるため、これらが毛玉欠点となる。
【0022】
すなわち凝固温度と凝固張力の間には強い関係が有るものの、本発明の凝固条件の範囲を満たしたうえで得られる凝固糸を得ることが、後の毛玉欠点発生に大きな影響を及ぼす。
【0023】
ここでいう毛玉欠点とは、炭素繊維前駆体に100〜10000Hzの振動を加えることにより1.5〜2.0ktex/cmの幅になるまで開繊し、糸速度3m/分以下の速度で100m以上連続して観察し、炭素繊維前駆体束の片方の面に存在する2mm以上の大きさの毛玉を目視またはレーザー遮光法等公知の欠点検査法でカウントし、その値に2倍を乗じ表面および裏面の換算値とし、炭素繊維前駆体100mあたりに換算したものをいう。
【0024】
かかる毛玉欠点は、後の耐炎化・炭化を施した耐炎化繊維・炭素繊維にもほぼ同一の大きさの毛玉欠点として残るものであり、さらにこの毛玉欠点を多く有する炭素繊維をプリプレグ用途に使用した場合、その毛玉欠点部分は樹脂含浸斑・塗布斑の原因となる。
【0025】
本発明に用いられる炭素繊維前駆体用重合体としては、アクリロニトリル系重合体が好ましく使用され、たとえば90モル%以上のアクリロニトリルおよびこれと共重合可能な10モル%以下の他の単量体(コモノマー)1種類以上からなる重合体が使用される。ここにおいて、コモノマーとして例えば、アクリル酸、メタアクリル酸およびそのエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、およびビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸またはこれらの塩類などの酸性コモノマーおよびイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、などのカルボキシル基を側鎖に有するコモノマーが使用される。
【0026】
緻密な凝固糸を得るためにはある程度以上の重合体濃度を有するジメチルスルホキシド溶液を使用することが好ましく、本発明の重合体濃度としては15重量%以上、さらに炭素繊維前駆体束の製造コストを安価にするためには20重量%以上が好ましい。
【0027】
かかる重合体溶液は、凝固浴液に吐出されるまでに、公知のプレスフィルター、焼結フィルターなどでコンタミ類を極力除くことが好ましく、これらの目開きが20μ以上であると後の口金孔の詰まりにつながるため、その目開きは5μ以下が必要である。
【0028】
溶液の運搬、移液を考えた場合、粘度を低下させることが好ましいため重合体温度は60℃以上、より好ましくは70℃〜80℃の範囲が好適であり、その温度における粘度は220ポイズ±20である。
を得る。
【0029】
かかるアクリルニトリル系重合体は、好ましくは1.3〜1.5、より好ましくは1.35〜1.45の範囲にある極限粘度〔η〕を有するもので構成されたものを使用するのが、前駆耐繊維束の緻密性と生産性のバランスの上からよい。すなわち、極限粘度〔η〕が1.3未満では、耐炎化時に単糸間接着が増加し、低強度の炭素繊維しか得られない。一方、極限粘度〔η〕が1.5を超えると、延伸性が低下し、生産性良く製造することができにくくなるばかりか、延伸後の毛玉欠点発生の原因を作り易くなる。
【0030】
また、本発明の湿式紡糸に使用される凝固浴の濃度としては、50〜57重量%からなる有機もしくは無機水溶液であることが好ましい。凝固濃度が57重量%を超えると、凝固速度が低下し、口金近傍での単糸間の接着が発生し易くなるし、また逆に、凝固浴濃度が50重量%をしたまわる場合は、凝固速度が大幅に上昇するため、糸緻密性が低下するばかりか凝固張力が上昇する傾向がでてくる。かかる凝固浴としては、ジメチルスルホキシド水溶液が繊維特性の上から好ましく使用される。
【0031】
本発明において使用される口金は、40000ホール以上70000ホール以下、より好ましくは45000ホール以上70000ホール以下である。すなわち、70000ホールを越えると、焼成工程での糸切れが多発するのみならず、凝固段階での内外構造差による斑により生じた凝固温度および張力斑により、凝固糸伸度斑が生じ、延伸時の毛玉欠点多発の原因を作る傾向がでてくる。
【0032】
該口金の分割形状は、湿式紡糸に一般に用いられる矩形や花弁形などの形状のものを使用することができ、限定されるものではない。
【0033】
かくして得られた凝固糸束は少なくとも5倍、好ましくは5〜5.5倍延伸するのが好ましい。5.5倍を超えると、過度な延伸により単糸が切断され、毛玉欠点が多発する。また、延伸倍率が5倍を下まわると、生産能力が低下する傾向がある。
【0034】
かかる延伸は1段で実施すると、糸全体が均一昇温される前に延伸されるため、糸中心部の単糸切れが発生する傾向があり、したがって、70℃以上の浴温度で、かつ、2段以上の多段で徐々に湿熱延伸するのが好ましい。
【0035】
かかる延伸は、浴中で延伸されるが、かかる浴中延伸時には、糸束が交絡しない程度にガイド類等で糸幅を規制することが好ましい。洗浄後の繊維は公知の方法により油剤処理をおこなうが、かかる油剤としてはアミノシリコン系界面活性剤が好ましく使用される。
【0036】
かかる油剤処理後、乾燥緻密化が行われる。かかる乾燥緻密化の温度は、繊維のガラス転移温度を超えた温度で行う必要があるが、好ましくは100〜200℃程度の温度で、より好ましくはサクションドラムまたは加熱ローラによる方法が好ましいく採用される。
【0037】
かかる乾燥緻密化や油剤処理・弛緩などを必要に応じて施した後に、50〜70m/分の速度で、公知の方法にてワインダー等に巻き取りまたはケンスなどに受け入れ、目的とする炭素繊維用前駆体束が得られる。
【0038】
かくして、得られる本発明の炭素繊維用前駆体束は、高生産性で効率よく製造することができる上に、高品位かつ高強度の炭素繊維を製造するのに好適であり、もちろん、航空宇宙用途をはじめ、スポーツ、レジャー用途等の高性能複合材料の補強繊維素材として有用な炭素繊維、耐炎化繊維あるいは黒鉛繊維製造用として、好適に使用されるものである。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の物理特性や測定値は、以下の方法に基づくものである。
「凝固繊維束の引張伸度」:
凝固繊維束を採取後、速やかに温度23℃、湿度60%の雰囲気中 においてTOYO BALDWIN社製 TENSILON/UTM−III−500テンシロン試験機を用いて、試料長50mm、引張速度500mm/分でによる引張試験を実施し、公知の方法で得られたN=10の平均値を示した。
「延伸後繊維束の引張伸度」:
延伸後繊維束を採取後速やかに温度23℃、湿度60%の雰囲気中において TOYO BALDWIN社製 TENSILON/UTM−III−500テンシロン試験機を用いて、試料長50mm、引張速度100mm/分でテンシロンによる引張試験を実施し、公知の方法で得られたN=10の平均値を示した。
「炭素繊維前駆体束の欠点検査方法」:
公知のプリプレグ用途の100〜10000Hzの振動開繊装置を用いて1.5〜2.0ktex/cmの範囲になるまで開繊し、糸速度3m/分以下の速度100m連続観察を実施し、糸束表面に存在する2mm以上の毛玉を目視またはレーザー遮光法等公知の欠点検査法でカウントした数値を示した。
「炭素繊維束の欠点検査方法」:
前項の欠点検査方法に従い、開繊装置を用い、0.8〜1.1Ktex/cmになるように開繊し、同様に測定した数値を示した。
【0040】
実施例1
アクリロニトリル99.7mol%、イタコン酸0.3mol%からなる〔η〕1.35のアクリロニトリル系共重合体をDMSOに溶解し、紡糸原液(重合体濃度21%、原液温度70℃、220poise/70℃)を調製した。この紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数48000ホール/錘を用いて、45℃の54.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。得られた延伸糸束の引張伸度を表1に示した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約145℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.5dtex、48000フィラメントからなる7.2Ktexの繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0041】
実施例2
実施例1で得られた紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数48000ホール/錘を用いて、38℃の54.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度と凝固張力を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約145℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.5dtex、48000フィラメントからなる7.2Ktexの繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0042】
実施例3
実施例1で得られた紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数48000ホール/錘を用いて、45℃の54.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度と凝固張力を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。得られた延伸糸の引張伸度を表1に示した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約145℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.7dtex、48000フィラメントからなる8.1Ktexの繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0043】
比較例1
実施例1で得られた紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数48000ホール/錘の口金を用いて、25℃の54.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度と凝固張力を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。得られた延伸糸束の引張伸度を表1に示した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約145℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.5dtex、48000フィラメントからなる7.2Ktexの繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0044】
比較例2
実施例1で得られた紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数48000ホール/錘の口金を用いて、32℃の54.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度と凝固張力を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。得られた延伸糸の引張伸度を表1に示した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約145℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.5dtex、48000フィラメントからなる7.2Ktexの繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0045】
比較例3
実施例1で得られた紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数48000ホール/錘の口金を用いて、60℃の54.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度と凝固張力を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。得られた延伸糸の引張伸度を表1に示した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約145℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.5dtex、48000フィラメントからなる7.2Ktexの繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0046】
実施例4
実施例1で得られた紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数70000ホール/錘の口金を用いて、45℃の55.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度と凝固張力を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。得られた延伸糸の引張伸度を表1に示した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約165℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.5dtex、70000フィラメントの10.5Ktexからなる繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0047】
比較例4
実施例1で得られた紡糸原液を孔径φ0.055mm、孔数70000ホール/錘を用いて、32℃の55.5%ジメチルスルホキシド水溶液に湿式紡糸した。得られた凝固繊維束の引張伸度と凝固張力を表1に示す。この凝固糸を湿熱条件下で5倍延伸した。得られた延伸糸の引張伸度を表1に示した。洗浄・脱溶媒を実施したのち、アミノシリコン系油剤に浸漬し、約165℃のサクションドラムにて乾燥緻密化を行うことにより単繊維繊度が1.5dtex、70000フィラメントからなる10.5Ktexの繊維束を得た。得られた繊維束を欠点検査方法に従い測定しその欠点数を表1に示した。
【0048】
実施例5
実施例1〜3、比較例1〜3で得られたアクリロニトリル系前駆体束を空気中230℃の熱風循環式耐炎化炉にて11%の伸張を付与しながら250分間処理し、耐炎化繊維となし、引き続き、該繊維を窒素雰囲気下、最高温度600℃、伸張率5%にて、2分間低温熱処理し、さらに、同雰囲気下で最高温度が1200℃の高温熱処理炉にて、−4%の伸張のもとで2分間処理した。得られた炭素繊維のストランド強度、欠点数を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 2004076208
【0050】
実施例1のものは、比較例1、2のものに比して、CF強度を維持したまま、欠点数およびCF欠点数が激減していることがわかる。
【0051】
実施例2のものは、比較例1、2のものに比して、凝固温度および凝固張力を変更しても、CF強度を維持したまま、実施例1と同様に欠点数が少ないことがわかる。
【0052】
実施例3のものは、比較例1、2のものに比して、繊度変更をしても、CF強度を維持したまま、実施例1と同様に欠点数が少ないことがわかる。
【0053】
実施例4のものは、比較例1、2のものに比して、フィラメント数を変更しても、CF強度を維持したまま、実施例1と同様に欠点数が少ないことがわかる。
【0054】
なお、比較例3、4のものは、欠点数が少ないものの、凝固温度および凝固張力が本発明の範囲外であるため、CF強度の低いものしか提供できなかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、高品位かつ高強度の炭素繊維を製造するのに好適なアクリロニトリル系前駆体繊維束を高生産性で効率よく製造することができる。

Claims (4)

  1. アクリロニトリル系繊維を湿式紡糸法により製造するに際して、凝固浴の凝固温度を38〜45℃とし、かつ、凝固張力を180〜240mg/フィラメントの範囲内に制御して紡糸することを特徴とする炭素繊維前駆体束の製造方法。
  2. 該湿式紡糸法において、使用する紡糸原液が、極限粘度〔η〕が1.3〜1.5の範囲にあるアクリルニトリル系重合体で構成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維前駆体束の製造方法。
  3. 該凝固浴濃度が、50〜57重量%からなるジメチルスルホキシド水溶液中に該凝固浴中40000ホール以上70000ホール以下の口金を紡糸するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体束の製造方法。
  4. 該湿式紡糸法において、得られた凝固糸を少なくとも5倍に湿熱延伸することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体束の製造方法。
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WO2015133514A1 (ja) * 2014-03-06 2015-09-11 東レ株式会社 炭素繊維およびその製造方法
WO2023140212A1 (ja) * 2022-01-24 2023-07-27 東レ株式会社 炭素繊維束

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