JP2004074835A - 車両のフロアクロスメンバ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】衝突直後にピラー下部を侵入させることでピラー上部の倒れこみを抑制し、衝突後半にてピラーの侵入を抑制できる車両のフロアクロスメンバ構造を提供する。
【解決手段】車幅方向両側のセンタピラー間におけるフロントフロア1に車幅方向へ設ける車両のフロントフロアクロスメンバ構造において、フロントフロアクロスメンバ10は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bとロッカインナ2Aとの接続部分10Aと、からなり、接続部分10Aの断面耐力は、本体10Bの断面耐力よりも小さい。側突時に接続部分10Aが変形し、センタピラー下部が侵入し、センタピラーの変形を防止できる。乗員の安全が確保されると共に、センタピラーの補強が不要となり、車両の軽量化が達成できる。
【選択図】 図4
【解決手段】車幅方向両側のセンタピラー間におけるフロントフロア1に車幅方向へ設ける車両のフロントフロアクロスメンバ構造において、フロントフロアクロスメンバ10は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bとロッカインナ2Aとの接続部分10Aと、からなり、接続部分10Aの断面耐力は、本体10Bの断面耐力よりも小さい。側突時に接続部分10Aが変形し、センタピラー下部が侵入し、センタピラーの変形を防止できる。乗員の安全が確保されると共に、センタピラーの補強が不要となり、車両の軽量化が達成できる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車幅方向両側に配設されたピラー間において、車両のフロアに車幅方向に設けられるフロアクロスメンバ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両のフロアクロスメンバ構造のうち、最もよく使用されているフロントフロアクロスメンバ構造(以下、第1の従来例と呼ぶ)は、図8に示すように構成されている。
図8において、従来のフロントフロアクロスメンバ20は、フロントフロア1におけるロッカ2に立設された車幅方向両側のセンタピラー3間に配置されている。
図9は、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバの構造を示す外観図である。フロントフロアクロスメンバ20は、ロッカ2の車室側であるロッカインナ2Aに接続している。
【0003】
図10は、従来のフロントフロアクロスメンバと、車両の乗員の関係を示す図である。乗員9の左側にセンタピラー3が配設されている。センタピラー3は、センタピラー上部3Aとセンタピラー下部3Bとから構成されている。
フロントフロアクロスメンバ20は、側面衝突時(以下、側突時と呼ぶ)に、センタピラー下部3Bが車両の車幅方向の車室側に進入するのを防止し、乗員9を衝撃から保護する。
【0004】
図11は、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造の側突時の変化を示す斜視図である。
図11(A),図11(B),図11(C)は、それぞれ、側突後5ms(ミリ秒:10−3秒),20ms,50msの時間におけるフロントフロアクロスメンバ20とロッカ2の車室内側であるロッカインナ2Aの形状の変化を示している。ここで、50msまでが、所謂衝突直後と呼ばれる時間で、車体の側突による荷重が車体に徐々に加わり、おおよそ最大荷重に達する時間である。50ms以降は、衝突後半あるいは衝突現象の後半と呼ばれている。図に示すように、何れの場合においても、フロントフロアクロスメンバ20に変形は生じない。
【0005】
しかし、従来のフロントフロアクロスメンバ20は、側突時に、センタピラー下部3Bの車幅方向の車室側への侵入量を減少させるが、一方では、図12及び図13に示すようにセンタピラー上部3Aの折れや、センタピラー3の車幅方向の車室側への倒れこみが生じる。
【0006】
図12は、第1の従来例における側突時のセンタピラー上部3Aの折れを示す概略断面図である。図において、点線が側突前のセンタピラー3であり、実線が側突によりセンタピラー上部3Aが折れた状態を示している。この折損が生じる部位は、センタピラー3の所謂ベルトライン付近である。
側突によりフロントフロアクロスメンバ20に発生する断面力がピークに達した時点以降も、強度的に弱いセンタピラーの上部3Aが車室側に侵入し、乗員9の胸部に対する衝撃が増加する。このときの、センタピラー3のベルトライン付近の変形量は、図示するようにL1である。
【0007】
図13は、第1の従来例における側突時のセンタピラーの倒れこみを示す概略断面図である。図において、点線が側突前のセンタピラー3であり、実線が側突によりセンタピラー3が倒れこむ状態を示している。
この場合も、センタピラー上部3Aの折れと同様に、強度的に弱いセンタピラー3が車室側に侵入し、乗員9の胸部に対する衝撃が増加する。このときの、センタピラー3のベルトライン付近の変形量は、図示するようにL2である。
【0008】
このように、第1の従来例においては、側突時に車両側部から荷重が加えられたときに、フロントフロアクロスメンバ20は変形しない構造となっている。即ち、側突時に、センタピラー下部3Bの車室内側への侵入を抑える構造となっている。
従って、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ20においては、側突時にセンタピラー下部3Bがフロントフロアクロスメンバ20へ侵入しないが、センタピラー上部3Aの折れや、センタピラー3の倒れこみが発生する。
【0009】
第2の従来例は、例えば本発明者による特開平9−193837号公報に開示されている。このフロントフロアクロスメンバ構造は、センタピラーの補強を行わないで、側突時にセンタピラー部の車室内側への侵入量を抑制可能にするために、クロスメンバ本体にさらにサブクロスメンバを設けた構成を有している。
図14及び図15は、第2の従来例のフロントフロアクロスメンバの構造を示す斜視図及び断面図である。
サブクロスメンバ35は、図14に示すように、クロスメンバ本体31とロッカ部2の間に配設されている。
【0010】
図15に示すように、サブクロスメンバ35は、断面コ字形のサブクロスメンバ本体36と、芯部37とから構成されている。
サブクロスメンバ35は、終端部分にフランジ部(図示せず)が接続された断面コ字形のサブクロスメンバ本体36に、始端に壁面37Bが形成された断面コ字形に形成され、かつ終端部分にフランジ部(図示せず)が形成された芯部37を挿入させて構成されている。
【0011】
サブクロスメンバ35は、芯部37のフランジ部をロッカパネル2に溶接し、さらに、芯部37の上にサブクロスメンバ本体36を重ねている。このサブクロスメンバ本体36のフランジ部は、さらに芯部37のフランジ部へ溶接することにより固定されている。
この状態で、サブクロスメンバ35を構成する芯部37の壁面37Bの位置よりも車幅方向内側の部分が空走部Aを構成する。空走部Aはクロスメンバ本体31の外面に部分的に重なって接触状態で連結すると共に、芯部37の壁面37Bはクロスメンバ本体31の壁面31Bから空走ストロークBだけ後退した位置を占めている。
【0012】
第2の従来例において、車両に側突が生じると、サブクロスメンバ35が空走することにより、センタピラー3の下部部分であるロッカ2及びフロントフロア1部分に衝突力が加わって変形して車室内側へ侵入し、センタピラーの上方部分3Aの車室内側への侵入量が減る。
さらに、衝突力が加わり、クロスメンバ本体31とサブクロスメンバ35の双方の壁面同士31B,37Bが衝突した時点で、空走が終了してクロスメンバ本体31に軸反力が生じる。クロスメンバ本体31に軸反力が生じる時間は、『クロスメンバの効果が発生する時間』とも呼ばれる。
この時点において衝突力が減衰し、その後のセンタピラーの上方部分3Aの車室内側への侵入も少なくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造においては、側突時のセンタピラー上部の折れや、センタピラーの倒れこみを防止するためには、センタピラーの追加補強が必要になり、車両の重量とコストが上昇するという課題がある。
【0014】
第2の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造においては、クロスメンバの効果が発生する時間は、サブクロスメンバの空走時間により制御可能であるが、それまでに発生するセンタピラー下部の車室内側への侵入量の制御ができないという課題がある。また、フロントフロアクロスメンバ構造は、サブクロスメンバを有しているので、その加工と組み立てのコストが増すという課題がある。
【0015】
本発明は、以上の点に鑑み、側突時に乗員に対する衝撃を緩和するために、車両の車幅方向両側のピラー下部に設けられるフロアクロスメンバ構造に関するもので、衝突直後にはピラー下部を車室内側へ侵入させることでピラー上部の倒れこみを抑制し、衝突後半ではピラーの車室内側への侵入量増加を抑制するようにした、フロアクロスメンバ構造を提供することを目的としており、特に、センタピラーの補強が不要となり、車両の軽量化が達成できる、車両のフロントフロアクロスメンバ構造を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明によれば、車幅方向両側のピラー間におけるフロアに車幅方向へ設けられる車両のフロアクロスメンバ構造において、フロアクロスメンバが、フロアクロスメンバ本体とこのフロアクロスメンバ本体をピラーの下部に配置されたロッカへ接続する接続部分とからなり、この接続部分の断面耐力を、フロアクロスメンバ本体の断面耐力よりも小さく設定したことにより達成される。
【0017】
本発明のフロントフロアクロスメンバ構造では、好ましくは、ピラーがセンタピラーであり、フロアクロスメンバがセンタピラー間におけるフロントフロアクロスメンバである。
【0018】
また、フロアクロスメンバのロッカへの接続部分は、好ましくは、ロッカ側の断面が小さく、かつ、フロアクロスメンバ本体側の断面が、この本体端部の断面と同じになるようなテーパー形状を有し、接続部分の断面形状がロッカ部に近づくに従い急激に変化している。
【0019】
フロアクロスメンバのロッカへの接続部分には、好ましくは、その終端寄りの稜線部に、切欠又は穴が設けられている。
【0020】
また、本発明のフロントフロアクロスメンバ構造にあっては、好ましくは、側突時に、フロアクロスメンバのロッカへの接続部分は少なくとも一部が変形するが、フロアクロスメンバ本体は変形しないように設定される。
【0021】
上記構成によれば、車両の側突時に、車幅方向内側に荷重が加えられると、フロアクロスメンバを構成する接続部分の断面耐力は、フロアクロスメンバ構造の本体の断面耐力よりも小さいので、衝突直後には、フロアクロスメンバのロッカインナ部との結合部付近、即ち、フロアクロスメンバ構造の接続部分の少なくとも一部に変形が起こり、ピラー下部を車室内側へ侵入させることで、ピラー上部の倒れこみを抑制する。
そして、衝突後半では、フロアクロスメンバ本体の断面耐力がその接続部分の断面耐力よりも大きいので、ピラーの車室内側への侵入量の増加を抑制する。
これにより、車両の側突時にピラー下部が車室内側に侵入し、ピラー上部の折れやピラーの倒れこみが防止されると共に、ピラーのベルトライン付近の変形が防止される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、実質的に同一の部材または同一の部分には同一の符号を付して説明する。
図1〜図3は、本発明のフロアクロスメンバ構造の実施形態の構成を示す図である。この実施の形態では、フロントフロアクロスメンバ構造を例にとって説明する。
図1において、フロントフロアクロスメンバ10は、車幅方向両側のセンタピラー3間におけるフロントフロア1に車幅方向へ設けられている。フロントフロアクロスメンバ10は、センタピラー3下部のロッカ2と結合している。
【0023】
図2は、本発明のフロントフロアクロスメンバの構成を示す斜視図である。フロントフロアクロスメンバ10の接続部分10Aは、フロントフロアクロスメンバ10の本体10Bの両端とロッカインナ2Aとの間に配設されている。
フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面形状はハット形である。また、フロントフロアクロスメンバ本体10Bのハット形断面の下端部に設けられるフランジ部(図示せず)は、フロントフロア1にスポット溶接されて固定されている。
さらに、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの端部は、ロッカインナ2Aとスポット溶接されて固定されている。
【0024】
本発明の実施形態によるフロントフロアクロスメンバ構造は、以下の点で、従来のフロントフロアクロスメンバ構造と異なる構成になっている。
図3は、図2のフロントフロアクロスメンバ10のロッカ部2との結合部の拡大図である。本発明のフロントフロアクロスメンバ10は、本体部10Bとロッカインナとの接続部分10Aが一体物として構成されている。
図示するように、フロントフロアクロスメンバの接続部10Aにおいて、フロントフロアクロスメンバ本体10B側の断面は、フロントフロアクロスメンバ本体部10Bの断面と同じである。
また、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aのロッカ2側の断面は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面よりも小さく形成されている。
そして、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面形状は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの端部からフロントフロアクロスメンバ接続部分10Aのロッカインナ2A側の端部まで、連続的に、即ちテーパー状に小径になるように変化している。図示の例では、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面形状は、フロアクロスメンバ本体10Bの端部から接続部分10Aの下側が急峻な角度で細くなり、途中から細くなったままでロッカインナ2Aに接続されている。
フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの形状を、このようなテーパー形状とすることで、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力を、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力よりも低下させることができる。
【0025】
図4は、フロントフロアクロスメンバ構造の接続部の別の実施例である。図4は、図3と同様に、ロッカ部2とフロントフロアクロスメンバ10の拡大図である。図示するように、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aは、ロッカインナ2Aとの接続部の終端寄りの稜線部に切欠又は穴10Cを有している。
このように、フロントフロアクロスメンバ接続部分10Aのロッカインナ2Aに近い稜線部に切欠又は穴10Cを設けることで、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力を、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力よりも低下させることができる。
また、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力は、この稜線部に設ける切欠又は穴10Cの大きさと数などにより所望の値に設定することができる。
【0026】
このように、本発明のフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力よりも小さくなるように設定し、かつ、側突時を想定した荷重によりフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの少なくとも一部が、変形されるような断面耐力に設定する。
また、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力は、側突時を想定した荷重に対して変形しないように十分に大きくする。
本実施の形態にあっては、フロアクロスメンバ構造の特にフロントフロアクロスメンバ構造について説明したが、本発明のフロアクロスメンバ構造は、ワゴン車のように座席が3列以上であっても、所定のピラー部を補強するために配設される各フロアクロスメンバについては、上記の構造を適用できる。
【0027】
本発明の実施形態によるフロントフロアクロスメンバ10は、以上のように構成されており、側突時に車両側部から荷重が加えられてフロントフロアクロスメンバ10に作用すると、フロントフロアクロスメンバ10には、図5に示すような変形が発生する。
図5(A)は、側突後の5msの時間においてのフロントフロアクロスメンバ10とロッカ2の形状の変化を示している。
この時間においては、後述するが、フロントフロアクロスメンバ10に側突時の荷重が伝達されていないので、フロントフロアクロスメンバ10の変形は発生しない。
【0028】
次に、図5(B)は、側突後20msの時間におけるフロントフロアクロスメンバ10とロッカ2の形状を示している。
この時間領域では、図示するように、フロントフロアクロスメンバ10とロッカインナ2Aの結合部付近、即ちフロントフロアクロスメンバ10の接続部分10Aの変形が起こる。この衝突直後のおおよそ15msから50msの時間領域においては、フロントフロアクロスメンバ10のロッカインナ側との結合部付近の変形が進行する。
【0029】
最後に、図5(C)は、衝突直後の終了時である50msの時間におけるフロントフロアクロスメンバ10とロッカ2の形状を示している。フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形が、接続部分10Aに設けたシートブラケット結合部13で停止する。
このように、衝突直後に、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの少なくとも一部が変形することで、センタピラー下部3Bが車室内側に侵入し、センタピラー3の倒れこみが防止できる。
【0030】
さらに、衝突後の50ms以降の、即ち衝突後半においては、フロントフロアクロスメンバ本体10Bに、側突時の荷重が掛かるようになる。この時間領域では、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力は、側突時に加わる荷重に十分耐えるように強度を設定しているので、側突の荷重が加わっても変形しない。
【0031】
図6は、本発明のフロントフロアクロスメンバの入力荷重と衝突時間の関係を示す図である。横軸が、側突時からの衝突時間(ms)で、縦軸が入力荷重(任意目盛り)である。図中の実線が本発明の場合で、点線が第1の従来例であり、また、破線が第2の従来例を示す。
本発明のフロントフロアクロスメンバ構造によれば、図示するように、側突後の12ms程度の時間までは、フロントフロアクロスメンバ10には荷重が掛からない。
その後、おおよそ側突後の12msから50msが、衝突直後の時間領域である。この時間領域において、荷重は、ほぼ直線的に増加し、フロントフロアクロスメンバ10の接続部分10Aが変形し、センタピラー下部3Bが車室内側に侵入する。ここで、図の矢印(↑,↓)で示すように、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aを本発明のように構成することで、側突時にフロントフロアクロスメンバ10に加わる荷重による変形量、即ち、仕事量を制御することができる。
さらに、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形が終了する衝突時間、即ち衝突現象の最後である50msから60msにおいて、側突による荷重が最大荷重まで増加する。この荷重は、ほぼフロントフロアクロスメンバ本体10Bに掛かる。
【0032】
図6に示した第1の従来例においては、フロントフロアクロスメンバ20に掛かる荷重は、衝突直後の50msまでに最大荷重がほぼ直線的に一様に加わる。この場合には、図13で説明したように、フロントフロアクロスメンバ20は変形しない。
【0033】
また、図6に示した第2の従来例においては、側突時にサブクロスメンバ35の壁面17Bとクロスメンバ本体の壁面31B同士が衝突した以降に、クロスメンバ30に軸反力が生じる。このクロスメンバ本体30に軸反力が生じるまでの時間は、サブクロスメンバ35により制御できるが、センタピラー下部3Bの車室内部への侵入量の制御ができない。
【0034】
図5及び図6を用いて説明したように、本発明のフロントフロアクロスメンバ10によれば、そのロッカ部2との接続部分10Aを上述の構成とすることにより、衝突直後のおおよそ15msから50msの間にフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの少なくとも一部に変形が生じる。そして、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形が停止した後に、フロントフロアクロスメンバ本体10Bに全荷重が加わる。つまり、フロントフロアクロスメンバ本体10Bに荷重が印加される時間を遅らせることで、センタピラー上部3Aの倒れこみを防止し、センタピラー3のベルトライン部の補強無しに、センタピラー下部3Bの侵入量を減少させることができる。
【0035】
このように、本発明のフロントフロアクロスメンバ構造によれば、センタピラー下部3Bが車室内部へ侵入する量と、側突時の荷重がフロントフロアクロスメンバ本体10Bに作用するまでの時間は、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの急激に変化して細くなる断面形状や、その接続部の終端寄りの稜線部に設ける切欠又は穴10Cの大きさなどにより決まる断面耐力により制御することができる。
【0036】
次に、図7は、本発明のフロントフロアクロスメンバと、センタピラーの側突前後の変形を示す概略断面図である。
図において、点線が側突前のセンタピラー3であり、実線が側突後のセンタピラー3の変形を示している。L3は、側突後のセンタピラー下部3Bの車室内側への侵入量を示している。これは、図5及び図6で説明した側突後のおおよそ10msから50msまでの時間に生じるフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形量に概略相当する量である。
【0037】
また、図示するように、本発明のフロントフロアクロスメンバ10によれば、側突後のセンタピラー3のベルトライン付近の変形量は、L4となる。L4は、第1の従来例のセンタピラー上部3Aの折損やセンタピラー3の倒れこみが生じるベルトライン変形量L1及びL2に比べると非常に小さい。
【0038】
このように、本発明のフロントフロアクロスメンバ構造によれば、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形によりセンタピラー下部3Bが車室内側に侵入する。したがって、センタピラー上部3A及びセンタピラー下部3Bの変形が、従来例よりも著しく減少する。これにより、側突時のセンタピラー3のベルトライン付近の変形が防止できるので、乗員9の胸部に対する衝撃を防止でき、乗員9の安全を確保できる。また、側突時のセンタピラー変形による車体外観の見栄えの劣化も生じない。さらに、側突時のセンタピラー上部3Aの折れやセンタピラー3の倒れこみを抑圧するためのセンタピラー3の補強が不要となり、車両の軽量化を達成できると共に、コストが上昇しない。
【0039】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態では、主として、本発明のフロアクロスメンバ構造をフロントフロアに適用する例を中心に説明したが、本発明のフロアクロスメンバ構造を適用し得るのは、フロントフロアに限らず、車両の構造に応じて側突に対して変形の防止が必要なフロアの何れにも適用し得ることは勿論である。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、側突時のフロアクロスメンバの変形を制御して、ピラーの変形を防止できるようにした、極めて優れたフロントフロアクロスメンバ構造を提供することができる。
また、本発明のフロアクロスメンバ構造によれば、側突時にピラー上部の折れやピラーの倒れこみが防止され、特にセンタピラーの場合にはベルトライン付近の変形が防止されることにより乗員の安全を確保できる。
また、本発明のフロアクロスメンバ構造によれば、特にセンタピラーの補強無しに、側突時のセンタピラーの変形を防止できるので、車両の軽量化を達成できると共に、製造コストも低廉にできる。
さらに、本発明のフロアクロスメンバ構造によれば、側突時のセンタピラーのベルトライン付近の変形が防止できるので、センタピラー変形による車体外観の見栄えの劣化も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成による車両のフロントフロアクロスメンバ構造の斜視図である。
【図2】図1のフロントフロアクロスメンバ構造の拡大斜視図である。
【図3】図1のフロントフロアクロスメンバ構造におけるロッカ部との接続部を示す斜視図である。
【図4】本発明による車両のフロントフロアクロスメンバ構造の接続部の別の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明のフロントフロアクロスメンバ構造における側突時の変形を示す図である。
【図6】本発明のフロントフロアクロスメンバ構造の入力荷重と衝突時間の関係を示すグラフである。
【図7】本発明のフロントフロアクロスメンバ構造における側突時前後のフロントフロアクロスメンバ構造とセンタピラーの変形を示す概略図である。
【図8】第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造を示す斜視図である。
【図9】第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造の拡大図である。
【図10】従来のフロントフロアクロスメンバ構造と車両の乗員の関係を示す図である。
【図11】第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造の側突時の変化を示す斜視図である。
【図12】第1の従来例における側突時のセンタピラー上部の折れを示す概略断面図である。
【図13】第1の従来例における側突時のセンタピラーの倒れこみを示す概略断面図である。
【図14】第2の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造を示す斜視図である。
【図15】第2の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 フロントフロア
2 ロッカ
2A ロッカインナ
3 センタピラー
3A センタピラー上部
3B センタピラー下部
10 フロントフロアクロスメンバ
10A フロントフロアクロスメンバ本体
10B フロントフロアクロスメンバのロッカとの接続部分
10C フロントフロアクロスメンバの接続部分の穴
13 シートブラケット結合部
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車幅方向両側に配設されたピラー間において、車両のフロアに車幅方向に設けられるフロアクロスメンバ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両のフロアクロスメンバ構造のうち、最もよく使用されているフロントフロアクロスメンバ構造(以下、第1の従来例と呼ぶ)は、図8に示すように構成されている。
図8において、従来のフロントフロアクロスメンバ20は、フロントフロア1におけるロッカ2に立設された車幅方向両側のセンタピラー3間に配置されている。
図9は、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバの構造を示す外観図である。フロントフロアクロスメンバ20は、ロッカ2の車室側であるロッカインナ2Aに接続している。
【0003】
図10は、従来のフロントフロアクロスメンバと、車両の乗員の関係を示す図である。乗員9の左側にセンタピラー3が配設されている。センタピラー3は、センタピラー上部3Aとセンタピラー下部3Bとから構成されている。
フロントフロアクロスメンバ20は、側面衝突時(以下、側突時と呼ぶ)に、センタピラー下部3Bが車両の車幅方向の車室側に進入するのを防止し、乗員9を衝撃から保護する。
【0004】
図11は、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造の側突時の変化を示す斜視図である。
図11(A),図11(B),図11(C)は、それぞれ、側突後5ms(ミリ秒:10−3秒),20ms,50msの時間におけるフロントフロアクロスメンバ20とロッカ2の車室内側であるロッカインナ2Aの形状の変化を示している。ここで、50msまでが、所謂衝突直後と呼ばれる時間で、車体の側突による荷重が車体に徐々に加わり、おおよそ最大荷重に達する時間である。50ms以降は、衝突後半あるいは衝突現象の後半と呼ばれている。図に示すように、何れの場合においても、フロントフロアクロスメンバ20に変形は生じない。
【0005】
しかし、従来のフロントフロアクロスメンバ20は、側突時に、センタピラー下部3Bの車幅方向の車室側への侵入量を減少させるが、一方では、図12及び図13に示すようにセンタピラー上部3Aの折れや、センタピラー3の車幅方向の車室側への倒れこみが生じる。
【0006】
図12は、第1の従来例における側突時のセンタピラー上部3Aの折れを示す概略断面図である。図において、点線が側突前のセンタピラー3であり、実線が側突によりセンタピラー上部3Aが折れた状態を示している。この折損が生じる部位は、センタピラー3の所謂ベルトライン付近である。
側突によりフロントフロアクロスメンバ20に発生する断面力がピークに達した時点以降も、強度的に弱いセンタピラーの上部3Aが車室側に侵入し、乗員9の胸部に対する衝撃が増加する。このときの、センタピラー3のベルトライン付近の変形量は、図示するようにL1である。
【0007】
図13は、第1の従来例における側突時のセンタピラーの倒れこみを示す概略断面図である。図において、点線が側突前のセンタピラー3であり、実線が側突によりセンタピラー3が倒れこむ状態を示している。
この場合も、センタピラー上部3Aの折れと同様に、強度的に弱いセンタピラー3が車室側に侵入し、乗員9の胸部に対する衝撃が増加する。このときの、センタピラー3のベルトライン付近の変形量は、図示するようにL2である。
【0008】
このように、第1の従来例においては、側突時に車両側部から荷重が加えられたときに、フロントフロアクロスメンバ20は変形しない構造となっている。即ち、側突時に、センタピラー下部3Bの車室内側への侵入を抑える構造となっている。
従って、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ20においては、側突時にセンタピラー下部3Bがフロントフロアクロスメンバ20へ侵入しないが、センタピラー上部3Aの折れや、センタピラー3の倒れこみが発生する。
【0009】
第2の従来例は、例えば本発明者による特開平9−193837号公報に開示されている。このフロントフロアクロスメンバ構造は、センタピラーの補強を行わないで、側突時にセンタピラー部の車室内側への侵入量を抑制可能にするために、クロスメンバ本体にさらにサブクロスメンバを設けた構成を有している。
図14及び図15は、第2の従来例のフロントフロアクロスメンバの構造を示す斜視図及び断面図である。
サブクロスメンバ35は、図14に示すように、クロスメンバ本体31とロッカ部2の間に配設されている。
【0010】
図15に示すように、サブクロスメンバ35は、断面コ字形のサブクロスメンバ本体36と、芯部37とから構成されている。
サブクロスメンバ35は、終端部分にフランジ部(図示せず)が接続された断面コ字形のサブクロスメンバ本体36に、始端に壁面37Bが形成された断面コ字形に形成され、かつ終端部分にフランジ部(図示せず)が形成された芯部37を挿入させて構成されている。
【0011】
サブクロスメンバ35は、芯部37のフランジ部をロッカパネル2に溶接し、さらに、芯部37の上にサブクロスメンバ本体36を重ねている。このサブクロスメンバ本体36のフランジ部は、さらに芯部37のフランジ部へ溶接することにより固定されている。
この状態で、サブクロスメンバ35を構成する芯部37の壁面37Bの位置よりも車幅方向内側の部分が空走部Aを構成する。空走部Aはクロスメンバ本体31の外面に部分的に重なって接触状態で連結すると共に、芯部37の壁面37Bはクロスメンバ本体31の壁面31Bから空走ストロークBだけ後退した位置を占めている。
【0012】
第2の従来例において、車両に側突が生じると、サブクロスメンバ35が空走することにより、センタピラー3の下部部分であるロッカ2及びフロントフロア1部分に衝突力が加わって変形して車室内側へ侵入し、センタピラーの上方部分3Aの車室内側への侵入量が減る。
さらに、衝突力が加わり、クロスメンバ本体31とサブクロスメンバ35の双方の壁面同士31B,37Bが衝突した時点で、空走が終了してクロスメンバ本体31に軸反力が生じる。クロスメンバ本体31に軸反力が生じる時間は、『クロスメンバの効果が発生する時間』とも呼ばれる。
この時点において衝突力が減衰し、その後のセンタピラーの上方部分3Aの車室内側への侵入も少なくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造においては、側突時のセンタピラー上部の折れや、センタピラーの倒れこみを防止するためには、センタピラーの追加補強が必要になり、車両の重量とコストが上昇するという課題がある。
【0014】
第2の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造においては、クロスメンバの効果が発生する時間は、サブクロスメンバの空走時間により制御可能であるが、それまでに発生するセンタピラー下部の車室内側への侵入量の制御ができないという課題がある。また、フロントフロアクロスメンバ構造は、サブクロスメンバを有しているので、その加工と組み立てのコストが増すという課題がある。
【0015】
本発明は、以上の点に鑑み、側突時に乗員に対する衝撃を緩和するために、車両の車幅方向両側のピラー下部に設けられるフロアクロスメンバ構造に関するもので、衝突直後にはピラー下部を車室内側へ侵入させることでピラー上部の倒れこみを抑制し、衝突後半ではピラーの車室内側への侵入量増加を抑制するようにした、フロアクロスメンバ構造を提供することを目的としており、特に、センタピラーの補強が不要となり、車両の軽量化が達成できる、車両のフロントフロアクロスメンバ構造を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明によれば、車幅方向両側のピラー間におけるフロアに車幅方向へ設けられる車両のフロアクロスメンバ構造において、フロアクロスメンバが、フロアクロスメンバ本体とこのフロアクロスメンバ本体をピラーの下部に配置されたロッカへ接続する接続部分とからなり、この接続部分の断面耐力を、フロアクロスメンバ本体の断面耐力よりも小さく設定したことにより達成される。
【0017】
本発明のフロントフロアクロスメンバ構造では、好ましくは、ピラーがセンタピラーであり、フロアクロスメンバがセンタピラー間におけるフロントフロアクロスメンバである。
【0018】
また、フロアクロスメンバのロッカへの接続部分は、好ましくは、ロッカ側の断面が小さく、かつ、フロアクロスメンバ本体側の断面が、この本体端部の断面と同じになるようなテーパー形状を有し、接続部分の断面形状がロッカ部に近づくに従い急激に変化している。
【0019】
フロアクロスメンバのロッカへの接続部分には、好ましくは、その終端寄りの稜線部に、切欠又は穴が設けられている。
【0020】
また、本発明のフロントフロアクロスメンバ構造にあっては、好ましくは、側突時に、フロアクロスメンバのロッカへの接続部分は少なくとも一部が変形するが、フロアクロスメンバ本体は変形しないように設定される。
【0021】
上記構成によれば、車両の側突時に、車幅方向内側に荷重が加えられると、フロアクロスメンバを構成する接続部分の断面耐力は、フロアクロスメンバ構造の本体の断面耐力よりも小さいので、衝突直後には、フロアクロスメンバのロッカインナ部との結合部付近、即ち、フロアクロスメンバ構造の接続部分の少なくとも一部に変形が起こり、ピラー下部を車室内側へ侵入させることで、ピラー上部の倒れこみを抑制する。
そして、衝突後半では、フロアクロスメンバ本体の断面耐力がその接続部分の断面耐力よりも大きいので、ピラーの車室内側への侵入量の増加を抑制する。
これにより、車両の側突時にピラー下部が車室内側に侵入し、ピラー上部の折れやピラーの倒れこみが防止されると共に、ピラーのベルトライン付近の変形が防止される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、実質的に同一の部材または同一の部分には同一の符号を付して説明する。
図1〜図3は、本発明のフロアクロスメンバ構造の実施形態の構成を示す図である。この実施の形態では、フロントフロアクロスメンバ構造を例にとって説明する。
図1において、フロントフロアクロスメンバ10は、車幅方向両側のセンタピラー3間におけるフロントフロア1に車幅方向へ設けられている。フロントフロアクロスメンバ10は、センタピラー3下部のロッカ2と結合している。
【0023】
図2は、本発明のフロントフロアクロスメンバの構成を示す斜視図である。フロントフロアクロスメンバ10の接続部分10Aは、フロントフロアクロスメンバ10の本体10Bの両端とロッカインナ2Aとの間に配設されている。
フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面形状はハット形である。また、フロントフロアクロスメンバ本体10Bのハット形断面の下端部に設けられるフランジ部(図示せず)は、フロントフロア1にスポット溶接されて固定されている。
さらに、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの端部は、ロッカインナ2Aとスポット溶接されて固定されている。
【0024】
本発明の実施形態によるフロントフロアクロスメンバ構造は、以下の点で、従来のフロントフロアクロスメンバ構造と異なる構成になっている。
図3は、図2のフロントフロアクロスメンバ10のロッカ部2との結合部の拡大図である。本発明のフロントフロアクロスメンバ10は、本体部10Bとロッカインナとの接続部分10Aが一体物として構成されている。
図示するように、フロントフロアクロスメンバの接続部10Aにおいて、フロントフロアクロスメンバ本体10B側の断面は、フロントフロアクロスメンバ本体部10Bの断面と同じである。
また、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aのロッカ2側の断面は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面よりも小さく形成されている。
そして、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面形状は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの端部からフロントフロアクロスメンバ接続部分10Aのロッカインナ2A側の端部まで、連続的に、即ちテーパー状に小径になるように変化している。図示の例では、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面形状は、フロアクロスメンバ本体10Bの端部から接続部分10Aの下側が急峻な角度で細くなり、途中から細くなったままでロッカインナ2Aに接続されている。
フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの形状を、このようなテーパー形状とすることで、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力を、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力よりも低下させることができる。
【0025】
図4は、フロントフロアクロスメンバ構造の接続部の別の実施例である。図4は、図3と同様に、ロッカ部2とフロントフロアクロスメンバ10の拡大図である。図示するように、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aは、ロッカインナ2Aとの接続部の終端寄りの稜線部に切欠又は穴10Cを有している。
このように、フロントフロアクロスメンバ接続部分10Aのロッカインナ2Aに近い稜線部に切欠又は穴10Cを設けることで、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力を、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力よりも低下させることができる。
また、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力は、この稜線部に設ける切欠又は穴10Cの大きさと数などにより所望の値に設定することができる。
【0026】
このように、本発明のフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの断面耐力は、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力よりも小さくなるように設定し、かつ、側突時を想定した荷重によりフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの少なくとも一部が、変形されるような断面耐力に設定する。
また、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力は、側突時を想定した荷重に対して変形しないように十分に大きくする。
本実施の形態にあっては、フロアクロスメンバ構造の特にフロントフロアクロスメンバ構造について説明したが、本発明のフロアクロスメンバ構造は、ワゴン車のように座席が3列以上であっても、所定のピラー部を補強するために配設される各フロアクロスメンバについては、上記の構造を適用できる。
【0027】
本発明の実施形態によるフロントフロアクロスメンバ10は、以上のように構成されており、側突時に車両側部から荷重が加えられてフロントフロアクロスメンバ10に作用すると、フロントフロアクロスメンバ10には、図5に示すような変形が発生する。
図5(A)は、側突後の5msの時間においてのフロントフロアクロスメンバ10とロッカ2の形状の変化を示している。
この時間においては、後述するが、フロントフロアクロスメンバ10に側突時の荷重が伝達されていないので、フロントフロアクロスメンバ10の変形は発生しない。
【0028】
次に、図5(B)は、側突後20msの時間におけるフロントフロアクロスメンバ10とロッカ2の形状を示している。
この時間領域では、図示するように、フロントフロアクロスメンバ10とロッカインナ2Aの結合部付近、即ちフロントフロアクロスメンバ10の接続部分10Aの変形が起こる。この衝突直後のおおよそ15msから50msの時間領域においては、フロントフロアクロスメンバ10のロッカインナ側との結合部付近の変形が進行する。
【0029】
最後に、図5(C)は、衝突直後の終了時である50msの時間におけるフロントフロアクロスメンバ10とロッカ2の形状を示している。フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形が、接続部分10Aに設けたシートブラケット結合部13で停止する。
このように、衝突直後に、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの少なくとも一部が変形することで、センタピラー下部3Bが車室内側に侵入し、センタピラー3の倒れこみが防止できる。
【0030】
さらに、衝突後の50ms以降の、即ち衝突後半においては、フロントフロアクロスメンバ本体10Bに、側突時の荷重が掛かるようになる。この時間領域では、フロントフロアクロスメンバ本体10Bの断面耐力は、側突時に加わる荷重に十分耐えるように強度を設定しているので、側突の荷重が加わっても変形しない。
【0031】
図6は、本発明のフロントフロアクロスメンバの入力荷重と衝突時間の関係を示す図である。横軸が、側突時からの衝突時間(ms)で、縦軸が入力荷重(任意目盛り)である。図中の実線が本発明の場合で、点線が第1の従来例であり、また、破線が第2の従来例を示す。
本発明のフロントフロアクロスメンバ構造によれば、図示するように、側突後の12ms程度の時間までは、フロントフロアクロスメンバ10には荷重が掛からない。
その後、おおよそ側突後の12msから50msが、衝突直後の時間領域である。この時間領域において、荷重は、ほぼ直線的に増加し、フロントフロアクロスメンバ10の接続部分10Aが変形し、センタピラー下部3Bが車室内側に侵入する。ここで、図の矢印(↑,↓)で示すように、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aを本発明のように構成することで、側突時にフロントフロアクロスメンバ10に加わる荷重による変形量、即ち、仕事量を制御することができる。
さらに、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形が終了する衝突時間、即ち衝突現象の最後である50msから60msにおいて、側突による荷重が最大荷重まで増加する。この荷重は、ほぼフロントフロアクロスメンバ本体10Bに掛かる。
【0032】
図6に示した第1の従来例においては、フロントフロアクロスメンバ20に掛かる荷重は、衝突直後の50msまでに最大荷重がほぼ直線的に一様に加わる。この場合には、図13で説明したように、フロントフロアクロスメンバ20は変形しない。
【0033】
また、図6に示した第2の従来例においては、側突時にサブクロスメンバ35の壁面17Bとクロスメンバ本体の壁面31B同士が衝突した以降に、クロスメンバ30に軸反力が生じる。このクロスメンバ本体30に軸反力が生じるまでの時間は、サブクロスメンバ35により制御できるが、センタピラー下部3Bの車室内部への侵入量の制御ができない。
【0034】
図5及び図6を用いて説明したように、本発明のフロントフロアクロスメンバ10によれば、そのロッカ部2との接続部分10Aを上述の構成とすることにより、衝突直後のおおよそ15msから50msの間にフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの少なくとも一部に変形が生じる。そして、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形が停止した後に、フロントフロアクロスメンバ本体10Bに全荷重が加わる。つまり、フロントフロアクロスメンバ本体10Bに荷重が印加される時間を遅らせることで、センタピラー上部3Aの倒れこみを防止し、センタピラー3のベルトライン部の補強無しに、センタピラー下部3Bの侵入量を減少させることができる。
【0035】
このように、本発明のフロントフロアクロスメンバ構造によれば、センタピラー下部3Bが車室内部へ侵入する量と、側突時の荷重がフロントフロアクロスメンバ本体10Bに作用するまでの時間は、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの急激に変化して細くなる断面形状や、その接続部の終端寄りの稜線部に設ける切欠又は穴10Cの大きさなどにより決まる断面耐力により制御することができる。
【0036】
次に、図7は、本発明のフロントフロアクロスメンバと、センタピラーの側突前後の変形を示す概略断面図である。
図において、点線が側突前のセンタピラー3であり、実線が側突後のセンタピラー3の変形を示している。L3は、側突後のセンタピラー下部3Bの車室内側への侵入量を示している。これは、図5及び図6で説明した側突後のおおよそ10msから50msまでの時間に生じるフロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形量に概略相当する量である。
【0037】
また、図示するように、本発明のフロントフロアクロスメンバ10によれば、側突後のセンタピラー3のベルトライン付近の変形量は、L4となる。L4は、第1の従来例のセンタピラー上部3Aの折損やセンタピラー3の倒れこみが生じるベルトライン変形量L1及びL2に比べると非常に小さい。
【0038】
このように、本発明のフロントフロアクロスメンバ構造によれば、フロントフロアクロスメンバの接続部分10Aの変形によりセンタピラー下部3Bが車室内側に侵入する。したがって、センタピラー上部3A及びセンタピラー下部3Bの変形が、従来例よりも著しく減少する。これにより、側突時のセンタピラー3のベルトライン付近の変形が防止できるので、乗員9の胸部に対する衝撃を防止でき、乗員9の安全を確保できる。また、側突時のセンタピラー変形による車体外観の見栄えの劣化も生じない。さらに、側突時のセンタピラー上部3Aの折れやセンタピラー3の倒れこみを抑圧するためのセンタピラー3の補強が不要となり、車両の軽量化を達成できると共に、コストが上昇しない。
【0039】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、上記実施の形態では、主として、本発明のフロアクロスメンバ構造をフロントフロアに適用する例を中心に説明したが、本発明のフロアクロスメンバ構造を適用し得るのは、フロントフロアに限らず、車両の構造に応じて側突に対して変形の防止が必要なフロアの何れにも適用し得ることは勿論である。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、側突時のフロアクロスメンバの変形を制御して、ピラーの変形を防止できるようにした、極めて優れたフロントフロアクロスメンバ構造を提供することができる。
また、本発明のフロアクロスメンバ構造によれば、側突時にピラー上部の折れやピラーの倒れこみが防止され、特にセンタピラーの場合にはベルトライン付近の変形が防止されることにより乗員の安全を確保できる。
また、本発明のフロアクロスメンバ構造によれば、特にセンタピラーの補強無しに、側突時のセンタピラーの変形を防止できるので、車両の軽量化を達成できると共に、製造コストも低廉にできる。
さらに、本発明のフロアクロスメンバ構造によれば、側突時のセンタピラーのベルトライン付近の変形が防止できるので、センタピラー変形による車体外観の見栄えの劣化も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成による車両のフロントフロアクロスメンバ構造の斜視図である。
【図2】図1のフロントフロアクロスメンバ構造の拡大斜視図である。
【図3】図1のフロントフロアクロスメンバ構造におけるロッカ部との接続部を示す斜視図である。
【図4】本発明による車両のフロントフロアクロスメンバ構造の接続部の別の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明のフロントフロアクロスメンバ構造における側突時の変形を示す図である。
【図6】本発明のフロントフロアクロスメンバ構造の入力荷重と衝突時間の関係を示すグラフである。
【図7】本発明のフロントフロアクロスメンバ構造における側突時前後のフロントフロアクロスメンバ構造とセンタピラーの変形を示す概略図である。
【図8】第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造を示す斜視図である。
【図9】第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造の拡大図である。
【図10】従来のフロントフロアクロスメンバ構造と車両の乗員の関係を示す図である。
【図11】第1の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造の側突時の変化を示す斜視図である。
【図12】第1の従来例における側突時のセンタピラー上部の折れを示す概略断面図である。
【図13】第1の従来例における側突時のセンタピラーの倒れこみを示す概略断面図である。
【図14】第2の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造を示す斜視図である。
【図15】第2の従来例のフロントフロアクロスメンバ構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 フロントフロア
2 ロッカ
2A ロッカインナ
3 センタピラー
3A センタピラー上部
3B センタピラー下部
10 フロントフロアクロスメンバ
10A フロントフロアクロスメンバ本体
10B フロントフロアクロスメンバのロッカとの接続部分
10C フロントフロアクロスメンバの接続部分の穴
13 シートブラケット結合部
Claims (5)
- 車幅方向両側のピラー間におけるフロアに車幅方向へ設けられる車両のフロアクロスメンバ構造において、
上記フロアクロスメンバが、フロアクロスメンバ本体とこのフロアクロスメンバ本体を上記ピラーの下部に配置されたロッカへ接続する接続部分とからなり、上記接続部分の断面耐力を、上記フロアクロスメンバ本体の断面耐力よりも小さく設定したことを特徴とする、車両のフロアクロスメンバ構造。 - 前記ピラーがセンタピラーであり、前記フロアクロスメンバが上記センタピラー間におけるフロントフロアクロスメンバであることを特徴とする、請求項1に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。
- 前記フロアクロスメンバのロッカへの前記接続部分は、前記ロッカ側の断面が小さく、かつ、前記フロアクロスメンバ本体側の断面が、前記本体端部の断面と同じになるようなテーパー形状を有し、上記接続部分の断面形状が上記ロッカ部に近づくに従い急激に変化していることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。
- 前記接続部分の終端寄りの稜線部に、穴が設けられたことを特徴とする、請求項1または2に記載の車両のフロアクロスメンバ構造。
- 前記フロアクロスメンバのロッカへの接続部分は側突時に少なくとも一部が変形するが、前記フロアクロスメンバ本体は変形しないようにしたことを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の車両のフロントフロアクロスメンバ構造。
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