JP4318151B2 - 鉄道車両及び鉄道車両用衝突エネルギー消費梁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、衝突時の衝撃エネルギー消費機能を備える鉄道車両及び鉄道車両用衝突エネルギー消費梁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両の衝突運動エネルギーを消費する従来の緩衝装置は、運転室前方下部に膨出状に配置したり(例:特開平7−186951号公報)、運転室すぐ後ろの台枠の部位に挿入したり(例:特開平10−226334号公報)している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
鉄道車両における従来の緩衝装置は、運転室近傍で衝突運動エネルギー消費を行う構造であり、運転室とは反対側の鉄道車両の端部や、一編成列車の運転室付き鉄道車両以外の他の鉄道車両における衝突運動エネルギー消費については何ら考慮されていない。また、衝突運動エネルギーの消費は台枠の高さのみでしか行われず、一編成列車の衝突時における隣接鉄道車両同士の台枠乗り上げ防止に十分な威力を発揮できない。
【0004】
また、鉄道車両の緩衝装置では、衝撃方向へ一列の開口が穿設されている衝突エネルギー消費梁が使用されるが、従来の衝突エネルギー消費梁では、衝撃時では、特定の1個の開口においてのみ圧縮変形して、その破断し、他の開口は圧縮変形しないまま残り、衝突エネルギー消費梁の機能が十分に発揮されないことがある。
【0005】
この発明の目的は、上述の問題点を克服する鉄道車両及び鉄道車両用衝突エネルギー消費梁を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の鉄道車両(10)は次のものを有している。
車体(11)の前後方向へ妻構体用フレーム(27)から所定距離、離されてかつ客室(13)に隣接して設けられる荷重受け枠(16)
妻構体用フレーム(27)と荷重受け枠(16)との間に設定される衝撃エネルギー消費域(17)
衝撃エネルギー消費域(17)の車体部分において前後方向へ水平に延びて両端をそれぞれ妻構体用フレーム(27)及び荷重受け枠(16)に結合する複数個の衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)
【0007】
衝撃エネルギー消費域(17)は、(a)鉄道車両(10)の片側のみに設けられている場合、及び(b)鉄道車両(10)の両側に設けられている場合があるとする。
【0008】
衝撃エネルギー消費域(17)における空間は、(a)衝撃エネルギー消費域専用の空間として鉄道車両(10)に付加される場合だけでなく、(b)例えば、鉄道車両(10)においてすでに洗面所、便所、出入り台等が配備される空間を衝撃エネルギー消費域(17)と兼用する場合もあるとする。(b)の場合では、洗面所等にいる人間を衝撃エネルギー消費域(17)作動時に保護するために、作動後の衝撃エネルギー消費域(17)の長さを、0とすることなく、所定長さを確保する。
【0009】
衝突時では、各衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)は、前後方向両側から妻構体用フレーム(27)と荷重受け枠(16)とにより縮小方向へ衝突荷重を受けて、前後方向長さを縮小し、その縮小に伴って、衝突運動エネルギーを消費する。これにより、客室(13)の衝突荷重は緩和される。このように、複数個の鉄道車両(10)を含む車体(11)では、各鉄道車両(10)において適切な衝突運動エネルギー消費を図り、客室(13)の乗客の安全性を向上できる。
【0010】
この発明の鉄道車両(10)によれば、妻構体用フレーム(27)は、下辺に沿って左右水平方向に延びる端梁(28)と、下端部において端梁(28)に結合し端梁(28)の両端部から起立する左右1対の隅柱(30)と、1対の隅柱(30)より左右方向内側に配置され下端部において端梁(28)に結合し端梁(28)から起立する衝突柱(24)とを有している。
【0011】
この発明の鉄道車両(10)によれば、衝突柱(24)は上端部において車体(11)の屋根部の高さに達し、衝撃エネルギー消費梁としての衝撃エネルギー消費用屋根梁(39)は、妻構体用フレーム側において衝突柱(24)の上端部に結合している。
【0012】
前後方向へ隣り関係にある鉄道車両同士では、衝突時に妻構体(15)同士が衝突し合っても、一方の鉄道車両(10)における台枠端としての端梁(28)は、他方の鉄道車両(10)における一対の衝突柱(24)と衝突して、他方の鉄道車両(10)の台枠(20)に乗り上げることが回避される。こうして、隣り関係の鉄道車両同士間で衝突時に起こり易い台枠(20)の乗り上げを有効に防止しつつ、衝突運動エネルギーの消費を効果的に実施できる。
【0013】
この発明の鉄道車両(10)によれば、衝突柱(24)は、端梁(28)より下へ延びる垂下部(23)を一体に有している。
【0014】
前後方向へ隣り関係の鉄道車両同士の一方の鉄道車両(10)の台枠(20)が、他方の鉄道車両(10)の台枠(20)の下へ潜り込もうとすると、衝突柱(24)の垂下部(23)に当接し、潜り込みを防止される。こうして、隣り関係の鉄道車両同士間で衝突時に起こり易い台枠(20)の潜り込みを有効に防止しつつ、衝突運動エネルギーの消費を効果的に実施できる。
【0015】
この発明の鉄道車両(10)によれば、衝撃エネルギー消費梁としての衝撃エネルギー消費用中梁(37)及び衝撃エネルギー消費用側梁(38)は端梁(28)の高さにおいて延び、衝撃エネルギー消費用中梁(37)は妻構体用フレーム側において端梁(28)の中間部に結合し、衝撃エネルギー消費用側梁(38)は、妻構体用フレーム側において端梁(28)の両端部に結合し、衝撃エネルギー消費用中梁(37)の強度は衝撃エネルギー消費用屋根梁(39)及び衝撃エネルギー消費用側梁(38)の強度より大きく設定されている。
【0016】
なお、本明細書で言う「強度」とは、材料破壊試験において荷重F−変位δ特性を調べたときに、特性線上のFの最大値Fmaxを言うものとする。
【0017】
1対の衝突柱(24)は、妻構体(15)において左右方向中央部に鉛直方向へ存在するので、他方の鉄道車両(10)との衝突の際には、他方の鉄道車両(10)の台枠(20)と衝突して、隅柱(30)より大きな衝突荷重を受ける。また、衝突柱(24)は、他方の鉄道車両(10)の台枠(20)との衝突を下端部に受けるので、衝突柱(24)の下端部の方が上端部より大きな衝突荷重を受ける。衝突柱(24)の衝突荷重は、端梁(28)を介して左右方向中央側の衝撃エネルギー消費用中梁(37)及び左右方向端側の衝撃エネルギー消費用側梁(38)へ伝達されるが、衝撃エネルギー消費用中梁(37)の衝突荷重は衝撃エネルギー消費用側梁(38)及び衝撃エネルギー消費用屋根梁(39)の衝突荷重より大きくなる。衝撃エネルギー消費用中梁(37)の強度が衝撃エネルギー消費用屋根梁(39)及び衝撃エネルギー消費用側梁(38)より大きいものに設定されることにより、衝撃エネルギー消費用中梁(37)、衝撃エネルギー消費用屋根梁(39)、及び衝撃エネルギー消費用側梁(38)の縮小は調和の取れたものとなり、衝撃エネルギー消費域(17)における衝撃エネルギー消費が適切に行われる。
【0018】
この発明の鉄道車両(10)によれば、一編成列車の中間の鉄道車両(10)における衝撃エネルギー消費域(17)の強度は、一編成列車の端側の鉄道車両(10)における衝撃エネルギー消費域(17)の強度より低く設定されている。
【0019】
衝突力は、一編成列車の前端から後方へ伝達され、伝達に伴い、減衰されて、後方の鉄道車両(10)程、衝突荷重は低下する。また、一編成列車は、進行方向の逆転に伴い、進行方向前側及び後ろ側が逆転し、さらに、後ろ側から他の一編成列車が衝突する場合もある。これらすべての状況に対処するために、一編成列車の中間部の鉄道車両(10)の衝撃エネルギー消費域(17)の強度を、一編成列車の端側の鉄道車両(10)の衝撃エネルギー消費域(17)の強度より小さく設定する。こうして、一編成列車全体として各鉄道車両(10)の衝撃エネルギー消費域(17)における衝突運動エネルギー消費が調和よく行われる。
【0020】
この発明の鉄道車両(10)によれば、連結器(21)が、妻構体用フレーム(27)より前後方向外側へ突出しつつ、車体(11)の台枠(20)に取付けられ、台枠(20)への連結器(21)の結合強度は、衝撃エネルギー消費域(17)の強度より小さく設定されている。
【0021】
台枠(20)への連結器(21)の連結強度は、台枠(20)へ連結器(21)を固定するビス等の剪断破壊力を適切に設定することにより調整できる。衝突時に連結器(21)が残っていると、連結器(21)は、妻構体(15)より出っ張っているので、衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)への衝突荷重伝達が不適切になる。衝突時では、連結器(21)が台枠(20)から脱落することにより、衝突力が妻構体用フレーム(27)へ適切に伝達され、衝撃エネルギー消費域(17)の衝突運動エネルギー消費が適切となる。
【0022】
この発明の鉄道車両(10)によれば、衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)は、筒壁に開口(49,50)を穿設されて衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)の両端範囲にわたり延びる筒体と、衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)内に収容されて筒体が最大強度のピークを越えた寸法まで縮小してから縮小開始してエネルギーを消費するバックアップ用エネルギー消費部材(53)とを有している。
【0023】
バックアップ用エネルギー消費部材(53)には、例えば、チューブ、ハニカム、発泡アルミニウムを含むものとする。各衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)における開口(49,50)の個数は、衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)の長手方向へ1個に限定されず、複数個であってもよいとする。また、複数個の開口(49,50)は、衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)の長手方向へ同一位置にあるもの同士が組とされ、これら組が、衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)の長手方向へ複数個、存在するようになっていてもよい。
【0024】
筒体では、長手方向へ各開口(49,50)の範囲の強度が他の範囲より弱くなっており、衝突時では、各開口(49,50)の範囲が縮小し、衝撃エネルギーの消費が行われる。このような筒体の荷重−変位特性の最大強度は、通常は、フラットにならず、所定の変位でピークとなり、それ以上の変位増大に対して、減少する。バックアップ用エネルギー消費部材(53)は、筒体による衝突運動エネルギー荷重が適当に弱まって来てから、衝突運動エネルギー消費を行うことになるので、衝撃エネルギー消費域(17)全体の荷重−変位特性をフラット化することができる。
【0025】
この発明の鉄道車両(10)によれば、筒体内は、筒体の長手方向へ開口(49,50)と重複する所定範囲を両側から仕切り部材(52)により仕切られており、バックアップ用エネルギー消費部材(53)は、両仕切り部材(52)の内側範囲に筒体の長手方向へ所定の隙間を空けて、収容されている。
【0026】
開口(49,50)が筒体の端に寄せて穿設されているときは、一方の仕切り部材は、筒体の端が取付けられる被取付け部材であってもよい。
【0027】
筒体における開口(49,50)の範囲の縮小開始時では、バックアップ用エネルギー消費部材(53)の両端は、隙間の存在のために、両仕切り部材(52)から圧縮力を掛けられず、衝突運動エネルギー消費を行わない。筒体における開口(49,50)の範囲の縮小の進行に伴い、バックアップ用エネルギー消費部材(53)の両端は、両仕切り部材(52)に当接し、以降は、筒体における開口(49,50)の範囲の縮小の進行に伴って、仕切り部材(52)から長手方向へ縮小されて、衝突運動エネルギー消費を行うことになる。こうして、筒体による衝突運動エネルギー消費のピークに対してバックアップ用エネルギー消費部材(53)の作動開始時の衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)の長さを適切に設定できる。
【0028】
この発明の鉄道車両(10)によれば、バックアップ用エネルギー消費部材(53)は管体(53)から成り、長さの異なる複数個の管体(53)が両仕切り部材(52)の内側範囲に収容されている。
【0029】
管体(53)の荷重−変位特性の最大強度は、フラットにならず、ピーク後は、変位の増大に連れて、減少し続ける。長さの異なる管体(53)が両仕切り部材(52)の範囲に収容されることにより、各管体(53)が作動開始する時の衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)の長さが相互にずらされ、管体(53)全体としての荷重−変位特性の最大強度をフラット化できる。
【0030】
この発明の鉄道車両(10)は、衝突エネルギー消費梁(37)は前後方向へ延びる筒体(47)を備えている。筒体(47)は、その長手方向へ複数個の衝突エネルギー消費部分(60)を有している。各衝突エネルギー消費部分(60)は、筒体長手方向へ相互に対峙する仕切り部材(52)と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)より内側においてかつ筒体長手方向へ相互に同一位置で筒体(47)の周壁部位に穿設された複数個の開口(50)をもつ開口穿設範囲と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)の内側において筒体(47)内に収容され筒体長手方向への寸法が両仕切り部材(52)の対峙距離より短い軸状部材(53)とを有している。各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、0≦δ≦δ2までは開口穿設範囲のみが筒体長手方向へ縮小し、δ=δ2のときに、軸状部材(53)の両端が両仕切り部材(52)に当接し、δ=δ1(ただしδ1<δ2)のとき、Fは開口穿設範囲の最大強度F1maxであり、δ=δ2のとき、Fは、開口穿設範囲の荷重F12と軸状部材(53)の荷重F22との和F2(=F12+F22)であり、かつF2>F1maxとなるように、設定されている。複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F1maxが最大の衝突エネルギー消費部分(60)のF1maxは、複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F2が最小の衝突エネルギー消費部分(60)のF2より、小さく設定されている。
【0031】
この発明の鉄道車両(10)によれば、軸状部材(53)は、筒体長手方向への衝突エネルギーを消費する軸状エネルギー消費部材(53)とされている。各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、δ>δ2の範囲では、Fは、開口穿設範囲の荷重F1と軸状部材(53)の荷重F2との和Ftであり、Ftは、δが増大するに連れて、漸減するように設定されている。
【0032】
この発明の衝突エネルギー消費梁(37)は、鉄道車両(10)の前後方向へ延びる筒体(47)を備えている。筒体(47)は、その長手方向へ複数個の衝突エネルギー消費部分(60)を有している。各衝突エネルギー消費部分(60)は、筒体長手方向へ相互に対峙する仕切り部材(52)と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)より内側においてかつ筒体長手方向へ相互に同一位置で筒体(47)の周壁部位に穿設された複数個の開口(50)をもつ開口穿設範囲と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)の内側において筒体(47)内に収容され筒体長手方向への寸法が両仕切り部材(52)の対峙距離より短い軸状部材(53)とを有している。各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、0≦δ≦δ2までは開口穿設範囲のみが筒体長手方向へ縮小し、δ=δ2のときに、軸状部材(53)の両端が両仕切り部材(52)に当接し、δ=δ1(ただしδ1<δ2)のとき、Fは開口穿設範囲の最大強度F1maxであり、δ=δ2のとき、Fは、開口穿設範囲の荷重F12と軸状部材(53)の荷重F22との和F2(=F12+F22)であり、かつF2>F1maxとなるように、設定されている。複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F1maxが最大の衝突エネルギー消費部分(60)のF1maxは、複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F2が最小の衝突エネルギー消費部分(60)のF2より、小さく設定されている。
【0033】
開口(50)の形状は、筒体の長手方向へ長い長孔形状に限定されず、円形等、他の形状を含む。同一組の開口(50)の個数は、2個に限定されず、3個以上であってもよいとする。
【0034】
ここで、説明の便宜上、衝突エネルギー消費梁(37)がもつ衝突エネルギー消費部分(60)の個数をn(nは2以上の整数)とし、n個の衝突エネルギー消費部分(60)において、筒体長手方向への強度の小さい開口穿設範囲をもつ衝突エネルギー消費部分(60)から、順番に第1の衝突エネルギー消費部分(60)、第2の衝突エネルギー消費部分(60)、・・・、第nの衝突エネルギー消費部分(60)と名付ける。鉄道車両(10)の衝突時では、衝突エネルギー消費梁(37)に鉄道車両(10)の前後方向、すなわち筒体長手方向の衝撃が作用する。これにより、最初に、第1の衝突エネルギー消費部分(60)において、筒体長手方向への開口穿設範囲の縮小が始まり、その開口穿設範囲がδ2だけ筒体長手方向へ縮小すると、第1の衝突エネルギー消費部分(60)における軸状部材(53)が両端において仕切り部材(52)に当接する。第1の衝突エネルギー消費部分(60)が筒体長手方向へδ2だけ縮小したときの第1の衝突エネルギー消費部分(60)のFは、F12+F22となって、まだ、開口穿設範囲を筒体長手方向へ縮小されていない他のどの衝突エネルギー消費部分(60)のFより大きいので、筒体長手方向への縮小は休止する。こうして、第1の衝突エネルギー消費部分(60)、第2の衝突エネルギー消費部分(60)、・・・、第nの衝突エネルギー消費部分(60)の順番で、各衝突エネルギー消費部分(60)における軸状部材(53)の両端が仕切り部材(52)に当接するまで、筒体長手方向へ縮小する。このように、衝突エネルギー消費梁(37)の各開口穿設範囲の筒体長手方向強度に製造上等に因る不均衡があっても、全部の衝突エネルギー消費部分(60)において開口穿設範囲の筒体長手方向縮小を起こして、開口穿設範囲を有効に利用できる。なお、軸状部材(53)及び仕切り部材(52)を省略すると、第1の衝突エネルギー消費部分(60)の開口穿設範囲が、破断限界まで縮小して、ついには、破断し、それによって、衝突エネルギー消費梁(37)の衝突エネルギー消費が終了してしまい、第2の衝突エネルギー消費部分(60)以降の開口穿設範囲における衝突エネルギー消費を発揮することができない問題がある。なお、δ2は、各衝突エネルギー消費部分(60)において、開口穿設範囲に破断が生じる前に、軸状部材(53)の両端が仕切り部材(52)に当接するように、設定してある。
【0035】
この発明の鉄道車両用衝突エネルギー消費梁(37)によれば、軸状部材(53)は、筒体長手方向への衝突エネルギーを消費する軸状エネルギー消費部材(53)とされている。各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、δ>δ2の範囲では、Fは、開口穿設範囲の荷重F1と軸状部材(53)の荷重F2との和Ftであり、Ftは、δが増大するに連れて、漸減するように設定されている。
【0036】
全部の衝突エネルギー消費部分(60)において、軸状部材(53)の両端が仕切り部材(52)に当接するまでの筒体長手方向への開口穿設範囲の縮小が終了すると、次は、各衝突エネルギー消費部分(60)において、軸状部材(53)及び開口穿設範囲が一緒に筒体長手方向へ縮小開始する。軸状部材(53)の縮小による衝突エネルギーの消費はδ≧δ2の範囲における開口穿設範囲の衝突エネルギーの低減分を補う。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は鉄道車両10の端部の側面図である。車体11内は、隔壁14により、客室13と、客室13に隣接して車体11内の端に配置される端空間12とに仕切られている。客室13は、車体11内の大部分を占め、乗客の腰掛ける座席を収容している空間であり、端空間12は、洗面所や便所等が配置されている空間である。妻構体15は車体11の端面部を構成し、荷重受け枠16は、内側に隔壁14を包囲しつつ、車体11の周部を構成する。破壊域17は、鉄道車両10の前後方向へ妻構体15と荷重受け枠16との間に形成され、端空間12とほとんど重複している。台枠20は車体11の下面を画定し、連結器21は、ビス等により基端部を台枠20の下部へ結合し、先端部を妻構体15の外面から車体11の前後方向へ突出させている。
【0038】
車体11の前後方向へ、破壊域17の強度は、客室13を囲っている車体11の部分の強度より適当に小さく設定される。また、台枠20への連結器21の結合強度は、台枠20へ連結器21を結合しているビス(図示せず)の破壊時の剪断力により決まる。この結合強度は、破壊域17の前後方向強度より適当に小さく設定される。破壊域17付きの鉄道車両10が連結器21を介して相互に連結されて、連結された複数個の鉄道車両10により一編成列車が編成される。
【0039】
図2は図1の鉄道車両10を妻構体15側から見た図である。渡り口25は、連結器21を介して連結される相手方の鉄道車両との間の移動のために、妻構体15に形成され、1対の衝突柱24は、妻構体15の要素であり、渡り口25の左右の縁を画定するとともに、台枠20より下側に延びて連結器21より下側に達する垂下部23を有し、鉛直方向へ延びて、上端は車体11の屋根に達している。幌22は、渡り口25を囲う寸法とされ、端縁を妻構体15の衝突柱24の隆起縁に取付けられて、隣りの鉄道車両との連絡通路の周囲を囲うようになっている。
【0040】
図3は破壊域17を画定している構体のフレーム構造を示している。妻構体15は妻構体用フレーム27を含み、妻構体用フレーム27は、台枠20の高さにおいて左右方向へ妻構体15の幅一杯に水平に延びる端梁28と、下端部において端梁28に結合しつつ端梁28よりさらに下方へ突出し妻構体15の上辺まで延びる1対の衝突柱24と、端梁28の両端に下端を結合し鉛直方向上方へ延びる1対の隅柱30とを有している。荷重受け枠16は、左右方向へ水平に延びる下辺部32及び上辺部33と、下辺部32及び上辺部33の両端間においてほぽ鉛直方向へ延びている1対の側辺部34とを有している。かもい31は、1対の衝突柱24の間を左右方向へ水平に延び、両端部を1対の衝突柱24に結合し、渡り口25の上辺を画定している。1対の中梁37は、左右方向へ1対の渡り口25より左右方向内側の範囲において前後方向へ水平に延び、両端をそれぞれ端梁28及び下辺部32へ結合している。1対の側梁38は、前後方向へ水平に延びて、両端をそれぞれ端梁28及び下辺部32の端部へ結合している。1対の屋根梁39は、前後方向へ水平に延び、両端をそれぞれ衝突柱24の上端部及び上辺部33に結合している。
【0041】
長手方向の平均強度(平均強度Faは、前に定義したFmax、及び定数ηを用いると、Fa=η・Fmaxと定義される。なお、ηは高々、約2/3である。)について例示すると、例えば、中梁37の平均強度は0.55MN、側梁38の平均強度は、0.3MN、屋根梁39の平均強度は0.44MNであり、平均強度の大きい順(=強度の大きい順)に、中梁37、屋根梁39、及び側梁38となる。
【0042】
図4は一編成列車の衝突時の隣り関係の鉄道車両10の衝突状態を示している。例えば一編成列車の前部に衝突事故が起きると、その衝突荷重が一編成列車の前方の鉄道車両10から後方の鉄道車両10へ順次伝達される。妻構体15を対峙させている隣り関係の鉄道車両10同士では、前後方向の強度の関係から連結器21が脱落してから、対峙する妻構体15同士が衝突し、一方の鉄道車両10の台枠20と他方の鉄道車両10の衝突柱24とが相互に衝突し、この衝突力は、破壊域17へ伝達されて、破壊域17において衝突運動エネルギーの消費が行われる。衝突柱24は、上端から垂下部23の下端まで鉛直方向へ十分な長さを有しているとともに、この衝突力に対して十分な耐力をもっているので、一方の鉄道車両10の台枠20が他方の鉄道車両10の衝突柱24へ衝突して、それ以上の前後方向相対変位を阻止され、隣り関係の鉄道車両同士の台枠20が、相手方の台枠20への乗り上げたり、潜り込んだりするのを防止される。なお、図4の41は、両鉄道車両10の衝突柱24における剪断力作用範囲である。
【0043】
衝突柱24は、相手方の鉄道車両10の台枠20との衝突により、特に下端部において大きな衝突荷重を受ける。衝突柱24への衝突荷重は、衝突柱24の上端部から屋根梁39へ伝達されるとともに、端梁28を介して中梁37及び側梁38へ伝達される。これにより、中梁37、側梁38、屋根梁39が、前後方向両側からそれぞれ妻構体用フレーム27及び荷重受け枠16から前後方向圧縮力を受け、前後方向寸法を縮小する変形を行い、衝突運動エネルギーを消費する。これにより、客室13内の衝突荷重は緩和され、客室13内の乗客の安全が確保される。また、破壊域17には、洗面所等が配備されており、衝突時の中梁37、側梁38、及び屋根梁39の縦寸寸法縮小は、洗面所等にいるかもしれない人の生存空間を確保できる程度に抑えられるように、設定される。
【0044】
図5、図6、及び図7は中梁37の縦方向所定範囲の平面図、側面図、及び横断面図である。なお、中梁37の縦方向は鉄道車両10の前後方向に一致する。中梁37は、上下左右に上壁部44、下壁部45、及び1対の側壁部46を有し、これらの壁部により鉄道車両10の左右水平方向へ長い矩形の中空空間を内部に画定している。中梁37は、縦方向の同一の所定範囲において、上壁部44及び下壁部45では長孔49を、また、両側壁部46では長孔50を穿設されている。長孔49,50は、中梁37の長手方向へ長くなっている。長孔49,50が穿設される縦方向範囲は、中梁37において、複数個存在し、鉄道車両10の衝突時では、縦方向へ押し潰されて、衝撃エネルギーを消費する。隔壁52は、長孔49,50を内側に含む中梁37の縦方向範囲を区画するように、中梁37内に固定される。上段に3個、及び下段に2個の計5個のチューブ53は、上段のチューブ53と下段のチューブ53とが左右水平方向へ交互に並ぶように、中梁37内の両隔壁52の間の空間に収容される。相互に対峙する隔壁52の一方には、円柱状隆起部54が、チューブ53の配列と同一になるように、形成され、各チューブ53の端部は、各円柱状隆起部54に嵌合して、接着により固定されている。各チューブ53の長さは、等しく設定され、かつ両隔壁52の距離より少し短くなっている。
【0045】
なお、側梁38及び屋根梁39の構造については、図示していないが、中梁37とは、縦寸法以外の寸法が異なるのみで、筒壁に、長孔を穿設されたり、対峙する隔壁52により筒体内を仕切って、両隔壁52の間に複数本のチューブ53を配置したりする構造は中梁37と同一である。
【0046】
図8は中梁37の所定の衝突エネルギー消費部分60(図9)における荷重F−変位δの特性を示したグラフである。荷重F及び変位δは、中梁37の縦方向の荷重及び変位であり、C1は中梁37の長孔49,50の押し潰れに因る特性、C2はチューブ53の縦方向押し潰れに因る特性、CtはC1及びC2の合計の特性である。以降、中梁37の縦方向において長孔49,50の穿設されている部分を適宜、「長孔穿設範囲」と呼ぶことにする。中梁37は、縦方向へ荷重を受けると、長孔49,50が中梁37の縦方向へ押し潰されて、変位δを増大させる。長孔49,50の押し潰れによる荷重は、δ=δ1においてピークF1maxとなり、δがδ1を越えて増大すると、荷重Fは低下する。中梁37内の両隔壁52の間のチューブ53の縦方向寸法は、両隔壁52の距離よりδ2だけ短く、δ=δ2となると、チューブ53の先端が先端側の隔壁52に当接して、チューブ53は両端において両隔壁52に当接した状態となる。δ=δ2のときの長孔49,50の縦方向部分の強度F12及びチューブ53の縦方向強度F22とすると、衝突エネルギー消費部分60全体の強度はF2となる。F2>F1maxである。δ≧δ2となると、長孔穿設範囲と複数本のチューブ53とが同時に縦方向へ押し潰されて行き、衝突荷重を消費する。これにより、中梁37全体では、δ≧δ2の範囲では、チューブ53の押し潰れに因る荷重が加わり、中梁37全体のF−δ特性はCtのようになる。
【0047】
図5〜図7では、各チューブ53の長さが等しく設定されているが、相互に相違させておけば、図8において、δ2の相違するC2が複数個、存在することにより、Ctをさらにフラット化することができる。
【0048】
図9は衝突エネルギー消費部分60を縦方向へ2個備える中梁37についてその衝突エネルギー消費過程を(a)〜(c)の順番で示している。図5〜図7を参照して、中梁37について行った説明と一部重複しつつ、図9の中梁37の主要点について、説明する、この中梁37では、両側壁部46の長孔50は必ず設けられるが、上壁部44及び下壁部45では長孔49(図5〜図7)は設けられていても、省略されていてもよいとする。中梁37において長孔50が穿設されている長手方向範囲(以下、長手方向とは中梁37の長手方向と定義する。)を「長孔穿設範囲」と呼ぶことにする。各衝突エネルギー消費部分60は、中梁37の縦方向へ両隔壁52を含む範囲とし、1対の隔壁52の外、長孔穿設範囲、及びチューブ53を備える。1対の隔壁52は、長手方向へ長孔穿設範囲を内側に含みつつ、相互に対峙し、間に中梁37の内部空間(以下、相互に対峙する両隔壁52により仕切られる内部空間「仕切り空間」と言う。)を仕切って、中梁37内に強固に固定されている。長手方向への1対の隔壁52の距離L2は、長孔穿設範囲の長手方向寸法L1に等しいか、又はわずかに長い距離となる(L2≧L1)。チューブ53は、各仕切り空間内に少なくとも1個、配設される。長手方向へのチューブ53の長さは、各仕切り空間内のチューブ53の配設個数が1個の場合も複数個の場合も、L3に等しくされ、L2−L3=d(dは図9に図示されている。)とし、d>所定値d1>0する。d1は、長孔穿設範囲が、その縮小により破断するときの長手方向への長さである。
【0049】
中梁37は、鉄道車両10の衝突前では、図9の(a)の状態にある。鉄道車両10の衝突に伴い、中梁37は、長手方向へ衝撃を受ける。中梁37への衝撃の初期過程では、複数個の衝突エネルギー消費部分60の内、F1maxの最も小さい衝突エネルギー消費部分60の長孔穿設範囲(図9では、2個の衝突エネルギー消費部分60の内、右側のもの。)が長手方向へ圧縮される。この衝突エネルギー消費部分60の長孔穿設範囲が長手方向へd(dは図8のδ2に対応する。)だけ圧縮されると、図9の(b)のように、内部のチューブ53の両端が両側の隔壁52に当接し、最初に長手方向へ圧縮された長孔穿設範囲の長手方向寸法縮小量はdに留まる。この後、次にF1maxの小さい衝突エネルギー消費部分60の長孔穿設範囲(図9では、2個の衝突エネルギー消費部分60の内、左側のもの。)が長手方向へ圧縮され、図9の(c)のように、左側の長孔穿設範囲は、内部の長孔50が両側の隔壁52に当接するまで、長手方向へdだけ圧縮され、中梁37全体の長手方向寸法圧縮量は2dとなる。図9の(c)以降は、図示は省略しているが、各衝突エネルギー消費部分60において、チューブ53及び長孔穿設範囲が一緒に長手方向へ圧縮されていき、衝突エネルギーを消費する。
【0050】
図10は図9の中梁37に対して隔壁52及びチューブ53を省略した中梁60についてその衝突エネルギー消費過程を(a)〜(c)の順番で示している。中梁60は、隔壁52及びチューブ53を内部に有していないので、図10の(b)までは、図9の(b)と同じであるが、次の長手方向寸法dの圧縮状態としての図10の(c)では、F1maxの小さい方の長孔穿設範囲がそのまま長手方向圧縮を続け、他の長孔穿設範囲には長手方向圧縮が起こらない。通常の中梁60では、最初に長手方向寸法を縮小した長孔穿設範囲においてのみ、長手方向寸法の縮小が続いて、切断に至り、他の長孔穿設範囲における衝突エネルギー消費を行われないまま、衝突エネルギー消費を終了してしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉄道車両の端部の側面図である。
【図2】図1の鉄道車両を妻構体側から見た図である。
【図3】破壊域を画定している構体のフレーム構造を示す図である。
【図4】一編成列車の衝突時の隣り関係の鉄道車両の衝突状態を示す図である。
【図5】中梁の縦方向所定範囲の平面図である。
【図6】中梁の縦方向所定範囲の側面図である。
【図7】中梁の縦方向所定範囲の横断面図である。
【図8】中梁の所定の衝突エネルギー消費部分における荷重F−変位δの特性を示したグラフである。
【図9】2個の縦方向部位において長孔の組が穿設されている中梁についてその衝突エネルギー消費過程を(a)〜(c)の順番で示巣である。
【図10】図9の中梁に対して隔壁及びチューブを省略した中梁についてその衝突エネルギー消費過程を(a)〜(c)の順番で示す図である。
【符号の説明】
10 鉄道車両
11 車体
13 客室
15 妻構体
16 荷重受け枠
17 破壊域(衝撃エネルギー消費域)
20 台枠
21 連結器
23 垂下部
24 衝突柱
27 妻構体用フレーム
28 端梁
30 隅柱
37 中梁(衝撃エネルギー消費梁、衝撃エネルギー消費用中梁、衝突エネルギー消費梁、鉄道車両用衝突エネルギー消費梁)
38 側梁(衝撃エネルギー消費梁、衝撃エネルギー消費用側梁)
39 屋根梁(衝撃エネルギー消費梁、衝撃エネルギー消費用屋根梁)
49,50 長孔(開口)
52 隔壁(仕切り部材)
53 チューブ(バックアップ用エネルギー消費部材管体、軸状エネルギー消費部材、軸状部材)
60 衝突エネルギー消費部分
Claims (10)
- 車体(11)の前後方向へ妻構体用フレーム(27)から所定距離、離されてかつ客室(13)に隣接して設けられる荷重受け枠(16)、
前記妻構体用フレーム(27)と前記荷重受け枠(16)との間に設定される衝撃エネルギー消費域(17)、及び
前記衝撃エネルギー消費域(17)の車体部分において前後方向へ水平に延びて両端をそれぞれ前記妻構体用フレーム(27)及び前記荷重受け枠(16)に結合する複数個の衝撃エネルギー消費梁(37,38,39)、
を有し、
前記衝突エネルギー消費梁(37,38,39)は前後方向へ延びる筒体(47)を備え、
前記筒体(47)は、その長手方向へ複数個の衝突エネルギー消費部分(60)を有し、
各衝突エネルギー消費部分(60)は、筒体長手方向へ相互に対峙する仕切り部材(52)と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)より内側においてかつ筒体長手方向へ相互に同一位置で前記筒体(47)の周壁部位に穿設された複数個の開口(50)をもつ開口穿設範囲と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)の内側において前記筒体(47)内に収容され筒体長手方向への寸法が両仕切り部材(52)の対峙距離より短い軸状部材(53)とを有し、
各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、0≦δ≦δ2までは開口穿設範囲のみが筒体長手方向へ縮小し、δ=δ2のときに、前記軸状部材(53)の両端が両仕切り部材(52)に当接し、δ=δ1(ただしδ1<δ2)のとき、Fは前記開口穿設範囲の最大強度F1maxであり、δ=δ2のとき、Fは、開口穿設範囲の荷重F12と軸状部材(53)の荷重F22との和F2(=F12+F22)であり、かつF2>F1maxとなるように、設定され、
前記複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F1maxが最大の衝突エネルギー消費部分(60)のF1maxは、前記複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F2が最小の衝突エネルギー消費部分(60)のF2より、小さく設定されていることを特徴とする鉄道車両。 - 前記軸状部材(53)は、筒体長手方向への衝突エネルギーを消費する軸状エネルギー消費部材(53)とされ、
各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、δ>δ2の範囲では、Fは、開口穿設範囲の荷重F1と軸状部材(53)の荷重F2との和Ftであり、Ftは、δが増大するに連れて、漸減するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。 - 前記妻構体用フレーム(27)は、下辺に沿って左右水平方向に延びる端梁(28)と、下端部において前記端梁(28)に結合し前記端梁(28)の両端部から起立する左右1対の隅柱(30)と、前記1対の隅柱(30)より左右方向内側に配置され下端部において前記端梁(28)に結合し前記端梁(28)から起立する衝突柱(24)とを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両。
- 前記衝突柱(24)は上端部において前記車体(11)の屋根部の高さに達し、前記衝撃エネルギー消費梁としての衝撃エネルギー消費用屋根梁(39)は、妻構体用フレーム側において前記衝突柱(24)の上端部に結合していることを特徴とする請求項3記載の鉄道車両。
- 前記衝突柱(24)は、前記端梁(28)より下へ延びる垂下部(23)を一体に有していることを特徴とする請求項3又は4記載の鉄道車両。
- 前記衝撃エネルギー消費梁としての衝撃エネルギー消費用中梁(37)及び衝撃エネルギー消費用側梁(38)は前記端梁(28)の高さにおいて延び、前記衝撃エネルギー消費用中梁(37)は妻構体用フレーム側において前記端梁(28)の中間部に結合し、前記衝撃エネルギー消費用側梁(38)は、妻構体用フレーム側において前記端梁(28)の両端部に結合し、衝撃エネルギー消費用中梁(37)の強度は前記衝撃エネルギー消費用屋根梁(39)及び前記衝撃エネルギー消費用側梁(38)の強度より大きく設定されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の鉄道車両。
- 一編成列車の中間の鉄道車両(10)における前記衝撃エネルギー消費域(17)の強度は、前記一編成列車の端側の鉄道車両(10)における前記衝撃エネルギー消費域(17)の強度より低く設定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鉄道車両。
- 連結器(21)が、前記妻構体用フレーム(27)より前後方向外側へ突出しつつ、車体(11)の台枠(20)に取付けられ、前記台枠(20)への前記連結器(21)の結合強度は、前記衝撃エネルギー消費域(17)の強度より小さく設定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の鉄道車両。
- 鉄道車両(10)の前後方向へ延びる筒体(47)を備え、
前記筒体(47)は、その長手方向へ複数個の衝突エネルギー消費部分(60)を有し、
各衝突エネルギー消費部分(60)は、筒体長手方向へ相互に対峙する仕切り部材(52)と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)より内側においてかつ筒体長手方向へ相互に同一位置で前記筒体(47)の周壁部位に穿設された複数個の開口(50)をもつ開口穿設範囲と、筒体長手方向へ両仕切り部材(52)の内側において前記筒体(47)内に収容され筒体長手方向への寸法が両仕切り部材(52)の対峙距離より短い軸状部材(53)とを有し、
各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、0≦δ≦δ2までは開口穿設範囲のみが筒体長手方向へ縮小し、δ=δ2のときに、前記軸状部材(53)の両端が両仕切り部材(52)に当接し、δ=δ1(ただしδ1<δ2)のとき、Fは前記開口穿設範囲の最大強度F1maxであり、δ=δ2のとき、Fは、開口穿設範囲の荷重F12と軸状部材(53)の荷重F22との和F2(=F12+F22)であり、かつF2>F1maxとなるように、設定され、
前記複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F1maxが最大の衝突エネルギー消費部分(60)のF1maxは、前記複数個の衝突エネルギー消費部分(60)の内、F2が最小の衝突エネルギー消費部分(60)のF2より、小さく設定されていることを特徴とする鉄道車両用衝突エネルギー消費梁。 - 前記軸状部材(53)は、筒体長手方向への衝突エネルギーを消費する軸状エネルギー消費部材(53)とされ、
各衝突エネルギー消費部分(60)における筒体長手方向への荷重F−変位δは、δ>δ2の範囲では、Fは、開口穿設範囲の荷重F1と軸状部材(53)の荷重F2との和Ftであり、Ftは、δが増大するに連れて、漸減するように設定されていることを特徴とする請求項9記載の鉄道車両用衝突エネルギー消費梁。
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