JP2004074250A - 熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを用いて、バッチ圧延に比べて高い生産性を有し、且つ高価な設備を用いることなく、先端部から尾端部にかけて板平坦度に優れた熱延鋼帯の製造方法を提供する。
【解決手段】通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法において、熱間長尺スラブを熱間圧延するに先立ち、10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行い、しかる後、熱間長尺スラブの熱間圧延を行なう。さらに、上記の型決め圧延において、10本以上の通常長さのスラブの内、最初の複数本のスラブは熱間長尺スラブより広幅のスラブを圧延し、次に1または2本のスラブは熱間長尺スラブと同幅のスラブを圧延し、しかる後、熱間長尺スラブの圧延を行なうことを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法において、熱間長尺スラブを熱間圧延するに先立ち、10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行い、しかる後、熱間長尺スラブの熱間圧延を行なう。さらに、上記の型決め圧延において、10本以上の通常長さのスラブの内、最初の複数本のスラブは熱間長尺スラブより広幅のスラブを圧延し、次に1または2本のスラブは熱間長尺スラブと同幅のスラブを圧延し、しかる後、熱間長尺スラブの圧延を行なうことを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、連続鋳造スラブからの薄鋼板(鋼帯)の製造は熱間圧延によって行なわれており、従来の熱延鋼帯の製造方法では、スラブを加熱炉で再加熱した後、粗圧延および仕上圧延によって所定の板厚とし、ランナウトテーブル上で所定温度まで冷却してからコイラーでコイル状に巻取っている。
【0003】
このような従来の圧延方式(以下、これを「バッチ圧延」という)では、熱延鋼帯の先端部が仕上圧延機群を出てからコイラーに巻付くまでの間、および熱延鋼帯の尾端部が仕上圧延機群を出てからコイラーに巻取られるまでの間が無張力状態となり、特に薄物鋼帯においては鋼帯先端部および尾端部がランナウトテーブル上で激しく波打つ現象が起こる。このため鋼帯先端部および尾端部は、その冷却が不十分となって材質不良部分となりやすく、製品歩留まりの低下を招いている。
【0004】
また、バッチ圧延では熱延鋼帯の最大長さは、圧延可能な最大スラブ寸法、すなわちスラブ厚と加熱炉装入可能スラブ長で規定されてしまう。さらに、上記のようにバッチ圧延ではランナウトテーブル上での鋼帯先尾端の走行が不安定であるため、例えば薄物材では鋼帯先端部の圧延速度を600mpm程度とし、鋼帯先端部がコイラーに巻付いてから加速して1000mpm以上の定常圧延速度とし、次いで鋼帯尾端部が仕上圧延機群を出る直前から再び減速する、いわゆる加速圧延を行なっている。そのため、鋼帯先端から尾端までを定常圧延速度で圧延するよりも鋼帯圧延時間が長くなり、その分生産効率が悪い。加えて、先行鋼帯の圧延と後行鋼帯の圧延間で圧延が行なわれない空転時間が生じ、このことが更に生産効率を悪くしている。
【0005】
このような従来の熱延鋼帯製造方法に対し、バッチ圧延の歩留まり上の問題の回避と高生産性の確保を目的とした提案がいくつかなされている。
【0006】
まず、特開昭59−92103号には、最大で転炉1チャージ分の連続鋳造を行ない、この連続鋳造スラブを大圧下圧延機にて粗バーに成形後、これを巻取って粗バーコイルとし、この粗バーコイルを巻戻して後段圧延機により仕上圧延を行なって所定の板厚とし、コイラーで巻取り中に切断する圧延方法が示されている(以下、これを「長尺スラブ圧延」という)。
【0007】
また、特開平11−77113号には、長尺スラブ圧延法として上記の大圧下圧延機の代わりに鍛造加工手段にて粗バーを成形し、この粗バーを仕上圧延機にて所定の板厚としてコイラーで巻取り中に切断する圧延方法が示されている。
【0008】
これらの方法では、長尺スラブと同一長さの鋼帯を得るために複数本分のバッチ圧延を行なう場合と比較して、鋼帯全長に対する先尾端部の材質不良部の割合を低減することが可能であり、かつバッチ圧延での加減速の繰り返しやバー間の空転時間を削減することにより高い生産性を確保することができる。
【0009】
さらに、特開平4−89109号には、先行する粗バーの尾端と後行する粗バーの先端とを走間にて接合し、複数の接合された粗バーを連続的に仕上圧延して熱延鋼帯を得る圧延方法(以下、これを「連続熱間圧延方法」という)が示されている。この連続熱間圧延方法では、鋼帯先尾端部の非定常部は1本目の粗バーの先端部と連続接合された最後の粗バーの尾端部のみであり、それ以外では高速での定常圧延が可能となる。これにより、バッチ圧延に比べて歩留まりの向上と生産性の向上などを図ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭59−92103号の方法では、その実施例に示されているように、連続鋳造スラブの直送圧延による熱延鋼帯製造のみを対象としたものであり、連続鋳造設備以降に板幅を変更する手段を持たないため、基本的に同一幅の長時間圧延を行なうこととなる。熱間圧延では、高温のスラブ自体が持つ熱量と、材料の変形による加工発熱、圧延ロールと材料間の摩擦によって発生する摩擦熱などが圧延時に圧延ロールに伝導し、ヒートクラウンあるいはサーマルクラウンと呼ばれる圧延ロールの熱膨張が生ずる。通常、このヒートクラウンは圧延量とともに増加し、同一幅スラブの圧延を繰り返していくと通板部分のロール径が台形形状に膨張していく。その結果、圧延される材料の板幅中央部と板幅エッジ部での板厚差が生じ、それがもとで板幅中央部と板幅エッジ部の伸び差が面内の座屈限界を超え、中伸びと呼ばれる板平坦度不良が発生する。特開昭59−92103号では、特に仕上圧延での板平坦度の問題については言及されておらず、潜在的な問題点を有している。また、例えば連続鋳造にて段階的に広幅から狭幅に幅替えを行うことにより、見かけ上はヒートクラウンの影響を受けにくくなるが、連続鋳造での幅替え速度は非常に遅いため、長手方向にテーパ状の幅分布となることが不可避であり、連続鋳造の後工程でのエッジトリム代を増大させるなどの問題点がある。
【0011】
また、特開平4−89109号の連続熱間圧延方法でも、仕上圧延での板平坦度について潜在的な問題点を有している。連続熱間圧延方法では、接合される複数の粗バー接合部に生ずる張力差を一定値に抑える範囲での異幅スラブ材の接合は可能であり、広幅スラブから狭幅スラブに順次変更して接合していくことにより、ヒートクラウンによる板平坦度への影響を少なくすることは可能である。しかしながら、複数の粗バーの溶接接合による連続熱間圧延方法では、複数の粗バーを接合するために、各粗バー先尾端部のタング(舌形状)、フィッシュテール(魚の尻尾形状)などの平面形状不良部をクロップとして切り落とす必要があり、この部分の歩留まり落ちはバッチ圧延の場合と同じとなる。また、溶接接合部は熱影響により材質不良となってしまうため歩留まりロスとなる他、溶接が不十分な場合には仕上圧延機の圧延スタンド間にて破断し、ライン停止を余儀なくされ逆に生産能率を阻害する要因となることもある。また、連続熱間圧延方法では、粗圧延工程は通常のバッチ圧延と同じであり、接合以前の材料は異なる温度履歴を経るため粗バー間での温度差が生ずることが不可避であり、連続熱間圧延により同一サイズのコイルを複数製造しても、同一コイル内の粗バーでの温度差に相当した材質のばらつきが生ずるという問題点がある。
【0012】
さらに、特開平11−77113号の長尺スラブ圧延法でも、特開昭59−92103号の方法と同様に仕上圧延ロールにヒートクラウンが生じて、板平坦度不良が発生するという問題がある。
【0013】
これらの対策としては、長尺スラブ圧延方法、または連続熱間圧延方法において、走間でのクロス角度変更が可能なペアクロスミルを使用し、ワークロールをクロスした状態から長尺スラブの圧延を開始し、バー内にてクロス角を小さく変更していくことにより長時間の連続圧延中に成長していくヒートクラウン量を補償することも可能であるが、設備費が高価となる。また狭幅材に対して効果が小さいなどの問題がある。
【0014】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを用いて、バッチ圧延に比べて高い生産性を有し、且つ高価な設備を用いることなく、先端部から尾端部にかけて板平坦度に優れた熱延鋼帯の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の特徴は以下の通りである。
【0016】
(1)通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法において、熱間長尺スラブを熱間圧延するに先立ち、10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行い、しかる後、熱間長尺スラブの熱間圧延を行なうことを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0017】
(2)型決め圧延において、10本以上の通常長さのスラブの内、最初の複数本のスラブは熱間長尺スラブより広幅のスラブを圧延し、次に1または2本のスラブは熱間長尺スラブと同幅のスラブを圧延し、しかる後、熱間長尺スラブの圧延を行なうことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
図4は、本発明の熱延鋼帯の製造方法の実施に供する熱延鋼帯の製造ラインの一例を示す説明図である。
【0019】
図4に示す製造ラインは、長尺スラブ8を鋳造する連続鋳造設備1と、長尺スラブ8を粗バーに減厚する粗圧延機群2と、この粗バーを中間にて巻取るコイルボックス3と、コイルボックス3から払い出された粗バーを所定の板厚の熱延鋼帯に減厚する仕上圧延機群4と、この熱延鋼帯を所定の強度に冷却して熱処理するためのランナウト冷却装置9と、この冷却された熱延鋼帯をコイル一本ずつに切断するシャー5と、切断された複数本のコイルを順次巻取る巻取機6からなる。
【0020】
図4の実施形態では、長尺スラブ8を粗バーに減厚する手段として圧延法を示したが、1パスで大圧下が加えられるプレス等の手段でもかまわない。
【0021】
本発明では、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法において、熱間長尺スラブを熱間圧延するに先立ち、10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行い、しかる後、熱間長尺スラブの熱間圧延を行なう。
【0022】
ここで、通常長さのスラブとは、長尺スラブより短く、且つ複数本のコイルに切断されない、通常の加熱炉に装入して加熱できる長さのスラブを意味する。通常長さのスラブの大きさは、加熱炉、コイラーの能力差によって一概には決められないが、おおよそ、長さが約6m〜約10m、幅が約700mm〜約2000mm、厚さが約200mm〜約300mmである。また、型決め圧延とは、圧延ロールのヒートクラウンの型を安定させるためのならし圧延を意味する。
【0023】
図1は、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを圧延した場合と、通常長さのスラブの圧延を一定ピッチにて繰り返した場合について、各々のヒートクラウンの成長挙動の例を示した図であり、長尺スラブの圧延では、圧延時間が長いことにより粗バーを圧延中に成長するヒートクラウン量が非常に大きくなる。なお、図中のヒートクラウン量は1/2直径分であり、以下のヒートクラウン量は全て同表示方法とする。このヒートクラウンは、圧延開始直後から急激に成長するが、その成長速度は圧延時間の経過とともに鈍化していく。これは、圧延時間の経過とともに、圧延ロールと圧延材の接触時に圧延ロールに入熱する熱量とロール冷却水による抜熱、周りに拡散していく熱量などが平衡状態に近づいていくためである。このヒートクラウンは、粗バーを順次溶接する連続熱間圧延でも同様となる。このように、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブの圧延では、粗バー内にて圧延時間に応じたヒートクラウンの大きな成長が不可避であるが、このヒートクラウンの成長挙動をうまく利用することにより、長尺スラブ材または順次溶接された粗バーの圧延においても先端部から尾端部に亘って板平坦度を乱すことなく圧延することが可能である。
【0024】
すなわち、図1に併せて示すように、本発明の10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行なうことにより、ヒートクウンの成長速度を安定させた状態とし、そこから長尺スラブ材の圧延を行なうことにより粗バーを圧延中に成長するヒートクラウン量を小さくすることが可能となる。
【0025】
さらに、本発明は、型決め圧延において、10本以上の通常長さのスラブの内、最初の複数本のスラブは熱間長尺スラブより広幅のスラブを圧延し、次に1または2本のスラブは熱間長尺スラブと同幅のスラブを圧延し、しかる後、熱間長尺スラブの圧延を行なうことにより、長尺スラブ材圧延時のヒートクラウン成長による板平坦度の悪化をより一層低減できる。
【0026】
この理由は以下のようである。鋼帯を製造する際の水平圧延において、板平坦度の悪化は以下に示す板クラウン比率変化(ΔCr/H)iと、形状不感帯bi と呼ばれる領域、すなわち圧延によって板クラウン比率変化が変化したとしても板内の残留応力として残っていて座屈を起こさない(平坦度不良を起こさない)領域で推定することが可能である。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
(1)式において、Hi−1、Hi はそれぞれ当該圧延スタンド入側、出側での板厚、Cri−1、Cri はそれぞれ当該圧延スタンド入側、出側での板クラウン量である。(2)式に示す形状不感帯biは、一般的に当該圧延スタンド出側板厚Hiと板幅Wiなどの関数で表現できることが知られており、圧延材が当該圧延スタンドにて平坦度不良をおこさないための条件は(3)式にて与えられる。
【0029】
【数3】
(3)式にて、板厚、板幅等は当該圧延スタンドにて固定であるため、平坦度不良を起こさないための条件は板クラウンの変化により決定される。当該圧延スタンド入側での板クラウン量Cri−1を固定して考えると、長尺スラブ材の先端部から尾端部に亘り平坦度不良を起こさないためには、先端部と尾端部での出側板クラウンCriの変化量を抑えることが必要であり、板クラウンに大きな影響を及ぼす圧延ロール形状、すなわち圧延ロールのヒートクラウンの成長量を抑えることが必要である。
【0030】
ここでは、7段の仕上圧延機群での圧延を想定し、実際には全ての圧延スタンドにてヒートクラウンが成長するが、当該圧延スタンド入側での板クラウン量Cri−1を一定と仮定する。まず、長尺スラブ圧延材の圧延を開始する1本または2本前までの通常長さのスラブ(型決め材)の板幅を長尺スラブ材幅より広くして圧延ロールへの入熱量を多くすることにより、より早くヒートクラウン形状を安定させることができる。
【0031】
図3は、この状態から型決め材より狭い幅の長尺スラブ材の圧延を行なった場合について、長尺スラブ先端部と尾端部におけるF7スタンドでのヒートクラウン形状を示した図である。長尺スラブ先端部ではこの長尺スラブ材幅よりも広いヒートクラウン形状であるため、実質的に板幅中央部と板幅エッジ部に相当する位置でのロール径差は非常に小さく、このロール形状が板に転写されるため先端部での板クラウン量は非常に小さくなる。しかしながら、長尺スラブ材の圧延を行なうことにより、熱バランスに従いヒートクラウン形状は長尺スラブ材の板幅に相当する幅に変化していくため、長尺スラブ材尾端部では板幅中央部と板幅エッジ部に相当する位置でのロール径差が大きくなる。すなわち、長尺スラブ材先端部と尾端部ではヒートクラウンの成長による板クラウン比率変化が異なることとなり、長尺スラブ材の先端部にて平坦度不良が発生していない場合においても、尾端部ほど中伸び形状と呼ばれる平坦度不良が生じやすくなる。
【0032】
これに対し、図2は長尺スラブ材の2本前からの型決め材の板幅を長尺スラブ材と同幅とした場合について、長尺スラブ材先端部と尾端部におけるF7スタンドでのヒートクラウン形状を示した図である。両者における板幅中央部と板幅エッジ部に相当する位置でのロール径差は非常に小さい、すなわち長尺スラブ材先端部と尾端部での板クラウン比率変化の差は小さく、一般的に長尺スラブ材の尾端部ほど発生しやすい中伸び形状の発生を防ぐことが可能となる。
【0033】
【実施例】
図4の設備列を用いて、連続鋳造機にて230mm厚さで、通常長さのスラブ約5本分に相当する長さ50mの熱間長尺スラブから熱延鋼帯を製造した。
【0034】
長尺スラブは、まず粗圧延機群にて40mm厚さの粗バーに減厚されてコイルボックスに巻取られる。次いで、コイルボックスから払い出された粗バーは7段よりなる仕上圧延機群にて1.2mm厚さの熱延鋼帯に減厚される。この時、最終の熱延鋼帯の長さは約9600mとなり、仕上圧延機群出側の速度を700mpmで一定と仮定すると、仕上圧延機群での圧延時間は約14分程度となる。
【0035】
【表1】
図5は、表1に示すA〜Cの圧延スケジュールにて長尺スラブを圧延した際の、F7スタンドにおける長尺スラブ先端部から尾端部にかけた板クラウン比率変化の推移と形状不感帯との関係を示した図である。圧延スケジュールAでは、型決め材を一切使用していないため、長尺スラブバー内でのヒートクラウン成長量が大きく、長尺スラブの尾端部にて板クラウン比率変化が形状不感帯から大きく外れて中伸び形状となってしまっている。また、圧延スケジュールBでは5本の通常長さスラブにて型決めを行なった後に長尺スラブの圧延を行なった場合であり、かつ長尺スラブの幅を急激に変更している。この場合も、やはり尾端部にて中伸び形状となってしまっている。5本の通常長さスラブの圧延では、十分にヒートクラウンが成長していないことに加え、広幅から狭幅に急激に変更したために同図で示したように板クラウン比率変化が大きいこととなる。これに対し、表1に示す本発明例である圧延スケジュールCによる型決め材パターンでの長尺スラブの圧延方法であり、8本の長尺スラブより幅広(1200mm)の通常長さのスラブにて型決めを行なうとともに、長尺スラブ圧延前の2本前と1本前のスラブ幅を長尺スラブと等しく(1000mm)している。長尺スラブの尾端部においても板クラウン比率変化は形状不感帯内に存在し、長尺スラブの先端から尾端にかけて平坦度に優れた熱延鋼帯が得られた。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による長尺スラブ材の圧延方法によれば、バッチ圧延に比べて高い生産性を有し、且つ長尺スラブの1本目から先端部から尾端部にわたり平坦度に優れた熱延鋼帯を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧延時間に対するヒートクラウンの成長量を示す説明図
【図2】長尺スラブの2本前からの型決め材の幅を長尺スラブと同幅とした場合の、長尺スラブ先端部と尾端部におけるヒートクラウン形状の一例を示す図
【図3】全ての型決め材の幅を長尺スラブより広くした場合の、長尺スラブ先端部と尾端部におけるヒートクラウン形状の一例を示す図
【図4】本発明の熱延鋼帯の製造方法の実施に供する熱延鋼帯の製造ラインの一例を示す説明図
【図5】長尺スラブ圧延時のF7スタンドにおける板クラウン比率変化を示す図
【符号の説明】
1 連続鋳造設備
2 粗圧延機群
3 コイルボックス
4 仕上圧延機群
5 シャー
6 巻取機
7 スラブ加熱炉
8 長尺スラブ
9 ランナウト冷却装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、連続鋳造スラブからの薄鋼板(鋼帯)の製造は熱間圧延によって行なわれており、従来の熱延鋼帯の製造方法では、スラブを加熱炉で再加熱した後、粗圧延および仕上圧延によって所定の板厚とし、ランナウトテーブル上で所定温度まで冷却してからコイラーでコイル状に巻取っている。
【0003】
このような従来の圧延方式(以下、これを「バッチ圧延」という)では、熱延鋼帯の先端部が仕上圧延機群を出てからコイラーに巻付くまでの間、および熱延鋼帯の尾端部が仕上圧延機群を出てからコイラーに巻取られるまでの間が無張力状態となり、特に薄物鋼帯においては鋼帯先端部および尾端部がランナウトテーブル上で激しく波打つ現象が起こる。このため鋼帯先端部および尾端部は、その冷却が不十分となって材質不良部分となりやすく、製品歩留まりの低下を招いている。
【0004】
また、バッチ圧延では熱延鋼帯の最大長さは、圧延可能な最大スラブ寸法、すなわちスラブ厚と加熱炉装入可能スラブ長で規定されてしまう。さらに、上記のようにバッチ圧延ではランナウトテーブル上での鋼帯先尾端の走行が不安定であるため、例えば薄物材では鋼帯先端部の圧延速度を600mpm程度とし、鋼帯先端部がコイラーに巻付いてから加速して1000mpm以上の定常圧延速度とし、次いで鋼帯尾端部が仕上圧延機群を出る直前から再び減速する、いわゆる加速圧延を行なっている。そのため、鋼帯先端から尾端までを定常圧延速度で圧延するよりも鋼帯圧延時間が長くなり、その分生産効率が悪い。加えて、先行鋼帯の圧延と後行鋼帯の圧延間で圧延が行なわれない空転時間が生じ、このことが更に生産効率を悪くしている。
【0005】
このような従来の熱延鋼帯製造方法に対し、バッチ圧延の歩留まり上の問題の回避と高生産性の確保を目的とした提案がいくつかなされている。
【0006】
まず、特開昭59−92103号には、最大で転炉1チャージ分の連続鋳造を行ない、この連続鋳造スラブを大圧下圧延機にて粗バーに成形後、これを巻取って粗バーコイルとし、この粗バーコイルを巻戻して後段圧延機により仕上圧延を行なって所定の板厚とし、コイラーで巻取り中に切断する圧延方法が示されている(以下、これを「長尺スラブ圧延」という)。
【0007】
また、特開平11−77113号には、長尺スラブ圧延法として上記の大圧下圧延機の代わりに鍛造加工手段にて粗バーを成形し、この粗バーを仕上圧延機にて所定の板厚としてコイラーで巻取り中に切断する圧延方法が示されている。
【0008】
これらの方法では、長尺スラブと同一長さの鋼帯を得るために複数本分のバッチ圧延を行なう場合と比較して、鋼帯全長に対する先尾端部の材質不良部の割合を低減することが可能であり、かつバッチ圧延での加減速の繰り返しやバー間の空転時間を削減することにより高い生産性を確保することができる。
【0009】
さらに、特開平4−89109号には、先行する粗バーの尾端と後行する粗バーの先端とを走間にて接合し、複数の接合された粗バーを連続的に仕上圧延して熱延鋼帯を得る圧延方法(以下、これを「連続熱間圧延方法」という)が示されている。この連続熱間圧延方法では、鋼帯先尾端部の非定常部は1本目の粗バーの先端部と連続接合された最後の粗バーの尾端部のみであり、それ以外では高速での定常圧延が可能となる。これにより、バッチ圧延に比べて歩留まりの向上と生産性の向上などを図ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭59−92103号の方法では、その実施例に示されているように、連続鋳造スラブの直送圧延による熱延鋼帯製造のみを対象としたものであり、連続鋳造設備以降に板幅を変更する手段を持たないため、基本的に同一幅の長時間圧延を行なうこととなる。熱間圧延では、高温のスラブ自体が持つ熱量と、材料の変形による加工発熱、圧延ロールと材料間の摩擦によって発生する摩擦熱などが圧延時に圧延ロールに伝導し、ヒートクラウンあるいはサーマルクラウンと呼ばれる圧延ロールの熱膨張が生ずる。通常、このヒートクラウンは圧延量とともに増加し、同一幅スラブの圧延を繰り返していくと通板部分のロール径が台形形状に膨張していく。その結果、圧延される材料の板幅中央部と板幅エッジ部での板厚差が生じ、それがもとで板幅中央部と板幅エッジ部の伸び差が面内の座屈限界を超え、中伸びと呼ばれる板平坦度不良が発生する。特開昭59−92103号では、特に仕上圧延での板平坦度の問題については言及されておらず、潜在的な問題点を有している。また、例えば連続鋳造にて段階的に広幅から狭幅に幅替えを行うことにより、見かけ上はヒートクラウンの影響を受けにくくなるが、連続鋳造での幅替え速度は非常に遅いため、長手方向にテーパ状の幅分布となることが不可避であり、連続鋳造の後工程でのエッジトリム代を増大させるなどの問題点がある。
【0011】
また、特開平4−89109号の連続熱間圧延方法でも、仕上圧延での板平坦度について潜在的な問題点を有している。連続熱間圧延方法では、接合される複数の粗バー接合部に生ずる張力差を一定値に抑える範囲での異幅スラブ材の接合は可能であり、広幅スラブから狭幅スラブに順次変更して接合していくことにより、ヒートクラウンによる板平坦度への影響を少なくすることは可能である。しかしながら、複数の粗バーの溶接接合による連続熱間圧延方法では、複数の粗バーを接合するために、各粗バー先尾端部のタング(舌形状)、フィッシュテール(魚の尻尾形状)などの平面形状不良部をクロップとして切り落とす必要があり、この部分の歩留まり落ちはバッチ圧延の場合と同じとなる。また、溶接接合部は熱影響により材質不良となってしまうため歩留まりロスとなる他、溶接が不十分な場合には仕上圧延機の圧延スタンド間にて破断し、ライン停止を余儀なくされ逆に生産能率を阻害する要因となることもある。また、連続熱間圧延方法では、粗圧延工程は通常のバッチ圧延と同じであり、接合以前の材料は異なる温度履歴を経るため粗バー間での温度差が生ずることが不可避であり、連続熱間圧延により同一サイズのコイルを複数製造しても、同一コイル内の粗バーでの温度差に相当した材質のばらつきが生ずるという問題点がある。
【0012】
さらに、特開平11−77113号の長尺スラブ圧延法でも、特開昭59−92103号の方法と同様に仕上圧延ロールにヒートクラウンが生じて、板平坦度不良が発生するという問題がある。
【0013】
これらの対策としては、長尺スラブ圧延方法、または連続熱間圧延方法において、走間でのクロス角度変更が可能なペアクロスミルを使用し、ワークロールをクロスした状態から長尺スラブの圧延を開始し、バー内にてクロス角を小さく変更していくことにより長時間の連続圧延中に成長していくヒートクラウン量を補償することも可能であるが、設備費が高価となる。また狭幅材に対して効果が小さいなどの問題がある。
【0014】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを用いて、バッチ圧延に比べて高い生産性を有し、且つ高価な設備を用いることなく、先端部から尾端部にかけて板平坦度に優れた熱延鋼帯の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の特徴は以下の通りである。
【0016】
(1)通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法において、熱間長尺スラブを熱間圧延するに先立ち、10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行い、しかる後、熱間長尺スラブの熱間圧延を行なうことを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0017】
(2)型決め圧延において、10本以上の通常長さのスラブの内、最初の複数本のスラブは熱間長尺スラブより広幅のスラブを圧延し、次に1または2本のスラブは熱間長尺スラブと同幅のスラブを圧延し、しかる後、熱間長尺スラブの圧延を行なうことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
図4は、本発明の熱延鋼帯の製造方法の実施に供する熱延鋼帯の製造ラインの一例を示す説明図である。
【0019】
図4に示す製造ラインは、長尺スラブ8を鋳造する連続鋳造設備1と、長尺スラブ8を粗バーに減厚する粗圧延機群2と、この粗バーを中間にて巻取るコイルボックス3と、コイルボックス3から払い出された粗バーを所定の板厚の熱延鋼帯に減厚する仕上圧延機群4と、この熱延鋼帯を所定の強度に冷却して熱処理するためのランナウト冷却装置9と、この冷却された熱延鋼帯をコイル一本ずつに切断するシャー5と、切断された複数本のコイルを順次巻取る巻取機6からなる。
【0020】
図4の実施形態では、長尺スラブ8を粗バーに減厚する手段として圧延法を示したが、1パスで大圧下が加えられるプレス等の手段でもかまわない。
【0021】
本発明では、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法において、熱間長尺スラブを熱間圧延するに先立ち、10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行い、しかる後、熱間長尺スラブの熱間圧延を行なう。
【0022】
ここで、通常長さのスラブとは、長尺スラブより短く、且つ複数本のコイルに切断されない、通常の加熱炉に装入して加熱できる長さのスラブを意味する。通常長さのスラブの大きさは、加熱炉、コイラーの能力差によって一概には決められないが、おおよそ、長さが約6m〜約10m、幅が約700mm〜約2000mm、厚さが約200mm〜約300mmである。また、型決め圧延とは、圧延ロールのヒートクラウンの型を安定させるためのならし圧延を意味する。
【0023】
図1は、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを圧延した場合と、通常長さのスラブの圧延を一定ピッチにて繰り返した場合について、各々のヒートクラウンの成長挙動の例を示した図であり、長尺スラブの圧延では、圧延時間が長いことにより粗バーを圧延中に成長するヒートクラウン量が非常に大きくなる。なお、図中のヒートクラウン量は1/2直径分であり、以下のヒートクラウン量は全て同表示方法とする。このヒートクラウンは、圧延開始直後から急激に成長するが、その成長速度は圧延時間の経過とともに鈍化していく。これは、圧延時間の経過とともに、圧延ロールと圧延材の接触時に圧延ロールに入熱する熱量とロール冷却水による抜熱、周りに拡散していく熱量などが平衡状態に近づいていくためである。このヒートクラウンは、粗バーを順次溶接する連続熱間圧延でも同様となる。このように、通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブの圧延では、粗バー内にて圧延時間に応じたヒートクラウンの大きな成長が不可避であるが、このヒートクラウンの成長挙動をうまく利用することにより、長尺スラブ材または順次溶接された粗バーの圧延においても先端部から尾端部に亘って板平坦度を乱すことなく圧延することが可能である。
【0024】
すなわち、図1に併せて示すように、本発明の10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行なうことにより、ヒートクウンの成長速度を安定させた状態とし、そこから長尺スラブ材の圧延を行なうことにより粗バーを圧延中に成長するヒートクラウン量を小さくすることが可能となる。
【0025】
さらに、本発明は、型決め圧延において、10本以上の通常長さのスラブの内、最初の複数本のスラブは熱間長尺スラブより広幅のスラブを圧延し、次に1または2本のスラブは熱間長尺スラブと同幅のスラブを圧延し、しかる後、熱間長尺スラブの圧延を行なうことにより、長尺スラブ材圧延時のヒートクラウン成長による板平坦度の悪化をより一層低減できる。
【0026】
この理由は以下のようである。鋼帯を製造する際の水平圧延において、板平坦度の悪化は以下に示す板クラウン比率変化(ΔCr/H)iと、形状不感帯bi と呼ばれる領域、すなわち圧延によって板クラウン比率変化が変化したとしても板内の残留応力として残っていて座屈を起こさない(平坦度不良を起こさない)領域で推定することが可能である。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
(1)式において、Hi−1、Hi はそれぞれ当該圧延スタンド入側、出側での板厚、Cri−1、Cri はそれぞれ当該圧延スタンド入側、出側での板クラウン量である。(2)式に示す形状不感帯biは、一般的に当該圧延スタンド出側板厚Hiと板幅Wiなどの関数で表現できることが知られており、圧延材が当該圧延スタンドにて平坦度不良をおこさないための条件は(3)式にて与えられる。
【0029】
【数3】
(3)式にて、板厚、板幅等は当該圧延スタンドにて固定であるため、平坦度不良を起こさないための条件は板クラウンの変化により決定される。当該圧延スタンド入側での板クラウン量Cri−1を固定して考えると、長尺スラブ材の先端部から尾端部に亘り平坦度不良を起こさないためには、先端部と尾端部での出側板クラウンCriの変化量を抑えることが必要であり、板クラウンに大きな影響を及ぼす圧延ロール形状、すなわち圧延ロールのヒートクラウンの成長量を抑えることが必要である。
【0030】
ここでは、7段の仕上圧延機群での圧延を想定し、実際には全ての圧延スタンドにてヒートクラウンが成長するが、当該圧延スタンド入側での板クラウン量Cri−1を一定と仮定する。まず、長尺スラブ圧延材の圧延を開始する1本または2本前までの通常長さのスラブ(型決め材)の板幅を長尺スラブ材幅より広くして圧延ロールへの入熱量を多くすることにより、より早くヒートクラウン形状を安定させることができる。
【0031】
図3は、この状態から型決め材より狭い幅の長尺スラブ材の圧延を行なった場合について、長尺スラブ先端部と尾端部におけるF7スタンドでのヒートクラウン形状を示した図である。長尺スラブ先端部ではこの長尺スラブ材幅よりも広いヒートクラウン形状であるため、実質的に板幅中央部と板幅エッジ部に相当する位置でのロール径差は非常に小さく、このロール形状が板に転写されるため先端部での板クラウン量は非常に小さくなる。しかしながら、長尺スラブ材の圧延を行なうことにより、熱バランスに従いヒートクラウン形状は長尺スラブ材の板幅に相当する幅に変化していくため、長尺スラブ材尾端部では板幅中央部と板幅エッジ部に相当する位置でのロール径差が大きくなる。すなわち、長尺スラブ材先端部と尾端部ではヒートクラウンの成長による板クラウン比率変化が異なることとなり、長尺スラブ材の先端部にて平坦度不良が発生していない場合においても、尾端部ほど中伸び形状と呼ばれる平坦度不良が生じやすくなる。
【0032】
これに対し、図2は長尺スラブ材の2本前からの型決め材の板幅を長尺スラブ材と同幅とした場合について、長尺スラブ材先端部と尾端部におけるF7スタンドでのヒートクラウン形状を示した図である。両者における板幅中央部と板幅エッジ部に相当する位置でのロール径差は非常に小さい、すなわち長尺スラブ材先端部と尾端部での板クラウン比率変化の差は小さく、一般的に長尺スラブ材の尾端部ほど発生しやすい中伸び形状の発生を防ぐことが可能となる。
【0033】
【実施例】
図4の設備列を用いて、連続鋳造機にて230mm厚さで、通常長さのスラブ約5本分に相当する長さ50mの熱間長尺スラブから熱延鋼帯を製造した。
【0034】
長尺スラブは、まず粗圧延機群にて40mm厚さの粗バーに減厚されてコイルボックスに巻取られる。次いで、コイルボックスから払い出された粗バーは7段よりなる仕上圧延機群にて1.2mm厚さの熱延鋼帯に減厚される。この時、最終の熱延鋼帯の長さは約9600mとなり、仕上圧延機群出側の速度を700mpmで一定と仮定すると、仕上圧延機群での圧延時間は約14分程度となる。
【0035】
【表1】
図5は、表1に示すA〜Cの圧延スケジュールにて長尺スラブを圧延した際の、F7スタンドにおける長尺スラブ先端部から尾端部にかけた板クラウン比率変化の推移と形状不感帯との関係を示した図である。圧延スケジュールAでは、型決め材を一切使用していないため、長尺スラブバー内でのヒートクラウン成長量が大きく、長尺スラブの尾端部にて板クラウン比率変化が形状不感帯から大きく外れて中伸び形状となってしまっている。また、圧延スケジュールBでは5本の通常長さスラブにて型決めを行なった後に長尺スラブの圧延を行なった場合であり、かつ長尺スラブの幅を急激に変更している。この場合も、やはり尾端部にて中伸び形状となってしまっている。5本の通常長さスラブの圧延では、十分にヒートクラウンが成長していないことに加え、広幅から狭幅に急激に変更したために同図で示したように板クラウン比率変化が大きいこととなる。これに対し、表1に示す本発明例である圧延スケジュールCによる型決め材パターンでの長尺スラブの圧延方法であり、8本の長尺スラブより幅広(1200mm)の通常長さのスラブにて型決めを行なうとともに、長尺スラブ圧延前の2本前と1本前のスラブ幅を長尺スラブと等しく(1000mm)している。長尺スラブの尾端部においても板クラウン比率変化は形状不感帯内に存在し、長尺スラブの先端から尾端にかけて平坦度に優れた熱延鋼帯が得られた。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による長尺スラブ材の圧延方法によれば、バッチ圧延に比べて高い生産性を有し、且つ長尺スラブの1本目から先端部から尾端部にわたり平坦度に優れた熱延鋼帯を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧延時間に対するヒートクラウンの成長量を示す説明図
【図2】長尺スラブの2本前からの型決め材の幅を長尺スラブと同幅とした場合の、長尺スラブ先端部と尾端部におけるヒートクラウン形状の一例を示す図
【図3】全ての型決め材の幅を長尺スラブより広くした場合の、長尺スラブ先端部と尾端部におけるヒートクラウン形状の一例を示す図
【図4】本発明の熱延鋼帯の製造方法の実施に供する熱延鋼帯の製造ラインの一例を示す説明図
【図5】長尺スラブ圧延時のF7スタンドにおける板クラウン比率変化を示す図
【符号の説明】
1 連続鋳造設備
2 粗圧延機群
3 コイルボックス
4 仕上圧延機群
5 シャー
6 巻取機
7 スラブ加熱炉
8 長尺スラブ
9 ランナウト冷却装置
Claims (2)
- 通常長さのスラブ複数本分に相当する熱間長尺スラブを熱間圧延して熱延鋼帯とし、該熱延鋼帯を切断後複数本のコイルに巻取る熱延鋼帯の製造方法において、熱間長尺スラブを熱間圧延するに先立ち、10本以上の通常長さのスラブによる型決め圧延を行い、しかる後、熱間長尺スラブの熱間圧延を行なうことを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
- 型決め圧延において、10本以上の通常長さのスラブの内、最初の複数本のスラブは熱間長尺スラブより広幅のスラブを圧延し、次に1または2本のスラブは熱間長尺スラブと同幅のスラブを圧延し、しかる後、熱間長尺スラブの圧延を行なうことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002240656A JP2004074250A (ja) | 2002-08-21 | 2002-08-21 | 熱延鋼帯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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2002
- 2002-08-21 JP JP2002240656A patent/JP2004074250A/ja active Pending
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