JP2004074214A - ラミネート材とのピーリング強度を向上した金属圧延箔 - Google Patents

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Yoshihiro Koseki
小関 義弘
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Abstract

【課題】ラミネート材とのピーリング強度の優れた材料の表面粗さを最終圧延工程にて作り込んだ金属箔を提供することである。
【解決手段】最終圧延において圧延によって作り込まれた材料の表面粗さがRa:0.2〜0.6μm Rz:0.5〜1.2μm Ry:1.0〜2.0μmであり、ラミネート材との優れたピーリング強度を持つことを特徴とする金属箔。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
ポリイミド、ポリフィルム等のラミネート材を貼り合わせる圧延箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属圧延箔は板厚が薄いが、強度を有し、かつ屈曲性に優れるため、フレキシブル基盤等に多く使用されている。この場合、材料表面にポリイミド、ポリエチレン等の樹脂フィルムを張り付けて使用されるので、その樹脂フィルムとの接着性が重要になる。そのために、圧延箔に表面に金属の粒子を電気めっきで形成する粗化めっき処理が施されている。これは、箔の表面に凹凸を形成して、樹脂に金属の粒子を食い込ませて機械的な接着強度を得る、いわゆるアンカー効果で接着性を向上されるからである。また、電解脱脂又は酸洗等もフィルムとのピーリング強度の向上には有効な対応である。
【0003】
一方、圧延における表面の粗さの作り込みは最終圧延工程のロールによって行われるが、圧延においては表面粗さの粗いロールでの加工は大きな加工度がとれないため、生産性の面から粗さの細かいブライトロールで行われることが一般的である。また、これまでの加工では、大きな加工を受けた材料は加工硬化しており、表面粗さの粗いダルロールによる最終パスの圧延ではダルロールの目を転写することはできないとされてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はラミネート材とのピーリング強度の優れた材料の表面粗さを最終圧延工程にて作り込んだ金属箔を提供することである。
【課題を解決するための手段】
発明者らは、ラミネート材とのピーリング強度の優れた材料の表面粗さについて研究を重ねた結果、以下の発明を見出した。
【0005】
(1)最終圧延工程で作り込まれた表面粗さによってラミネート材との優れたピーリング強度を持つことを特徴とする金属箔。
【0006】
(2)最終圧延において圧延で作り込まれた材料の表面粗さがRa:0.2〜0.6μm Rz:0.5〜1.2μm Ry:1.0〜2.0μmであり、ラミネート材との優れたピーリング強度を持つことを特徴とする金属箔。
【0007】
(3)最終圧延後に材料表面にラミネート材とのピーリング強度を向上させる表面処理を施し、ラミネート材との優れたピーリング強度を持つことを特徴とする(1)或いは(2)記載の金属箔。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に発明の限定理由を説明する。
(1)金属箔の種類
金属箔の種類として純銅、銅合金、ステンレス鋼、高ニッケル鋼、純ニッケル、チタン等の金属箔について可能である。
【0009】
(2)板厚
板厚については、30μm以下とする。30μmを超える場合では従来技術でも製造が可能であるからである。
【0010】
(3)製造方法
最終圧延工程前までの製造方法は従来どおりであるが、最終圧延工程において以下の製造がなされるものである。
・製品板厚から製品板厚のプラス10%までは通常のブライトロールで一旦圧延する。通常のブライトロールとは研磨番手#240〜#500でロール表面を研磨して仕上げたものである。
・最終パスの圧延時に表面を荒らしたロール(ダルロール)を用いて圧延を行う。その際のダルロールの表面粗さはRa0.20〜0.60μmが良い。
・最終パスの圧下率は0〜10%とする。材料板厚が30μm以下の極薄の場合は、ダルロールを用いると材料と圧延ロールの間の摩擦係数が大きくなり、減肉しなくなるので、最終パスの圧下率を0%としたスキンパス圧延を行い、ロールの表面を材料表面に転写するのみとする。
【0011】
(4)表面粗さ
上記のようにして製造された最終圧延後の材料表面粗さはRa:0.2〜0.6μm Rz:0.5〜1.2μm Ry:1.0〜2.0μmとする。表面粗さはJIS B 0601に記載された方法に準拠して、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)で評価されたものとする。Ra:0.2μm未満、Rz:0.5μm未満、Ry:1.0μm未満ではラミネート材とのピーリング強度が不足する。Ra:0.6μm、Rz:1.2μm、Ry:2.0μmを超えると、箔表面の粗さが粗すぎてラミネート材とのピーリング強度を逆に低下させるためである。また、3つの表面粗さで規定するのは、3つの粗さの指標に相関関係が見られないからである。
【0012】
(5)表面処理
ダルロールで圧延した金属箔表面にラミネート材とのピーリング強度を向上させる表面処理を施すことでさらに効果を向上させることができる。ピーリング強度を向上させる表面処理とは、酸洗処理や粗化めっき処理である。ダルロールで圧延した金属箔表面は通常のブライトロールで圧延した金属箔表面よりも表面積が広く、表面処理の効果が増すためである。
【0013】
【実施例】
実施例に用いた材料は銅合金の1つである洋白(C7521)である。インゴットを溶製し、熱間圧延後、冷間圧延、焼鈍を繰り返し、最終圧延を行う。ブライトロールとして研磨番手#240で研磨しまものを準備した。また、最終パス用ダルロールの表面粗さは、Ra0.25μmにした。
ブライトロールにて0.0102mmまで圧延した。その後、ダルロールにて0.010mmまで最終圧延を行った。
酸洗として硫酸10質量%および過酸化水素1質量%を含む水溶液に浸漬して表面の酸化層および防錆皮膜を除去した。粗化処理として銅の電解めっきを施した。
【0014】
表面粗さ:表面粗さは触針式表面粗さ計を用いて圧延方向に対して直角方向に測定した。測定条件はJIS B 0601に記載された方法に準拠して、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)で評価した。
【0015】
接着強度:接着強度は180゜ピール強度をJIS C 5016に記載された方法に準拠して実施した。 測定は引き剥がし導体幅を5.0mmとし、ポリイミドフィルム側を引張試験機側に固定して、導体である銅合金箔を180゜方向に曲げて、引張速度50mm/分で引き剥がした。
【0016】
【表1】
Figure 2004074214
【0017】
発明例No.1〜4についてはブライトロール−ダルロールによる圧延でRa:0.2〜0.6μm Rz:0.5〜1.2μm Ry:1.0〜2.0μmを満足する範囲に作りこむことができた。一方、比較例のNO.5、6においては粗さが発明例の約1/5であった。また、発明例No.1、2については表面処理を施さなかったが、比較例No.5に表面処理を施した比較例No.6と同等のピーリング強度が得られ、発明例No.1に表面処理を施した発明例No.3、4においてはそれ以上の強度が得られた。
【0018】
【発明の効果】
最終パスをダルロール圧延することにより、材料表面の粗さを従来のブライト圧延材と比較して約3〜6倍にすることができ、フィルムとのピーリング強度向上を実現することができ、最終圧延後に粗化処理、酸洗等を実施しない場合でも同等のピーリング強度を有することができ、コストダウンが可能となる。また、最終圧延後に粗化処理、酸洗等の表面処理を実施した場合、さらにピーリング強度の向上が可能である。

Claims (3)

  1. 最終圧延工程で作り込まれた表面粗さによってラミネート材との優れたピーリング強度を持つことを特徴とする金属箔。
  2. 最終圧延において圧延によって作り込まれた材料の表面粗さがRa:0.2〜0.6μm Rz:0.5〜1.2μm Ry:1.0〜2.0μmであり、ラミネート材との優れたピーリング強度を持つことを特徴とする金属箔。
  3. 最終圧延後に材料表面にラミネート材とのピーリング強度を向上させる表面処理を施し、ラミネート材との優れたピーリング強度を持つことを特徴とする請求項1或いは2記載の金属箔。
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