JP2004074016A - 排気ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸脱着処理した比較的低濃度(1000ppm以下)の塩化メチレンを主溶剤とする排気ガスを多量に、かつ、安価にしかも手軽に有害物質を生成することなく分解する方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも一種類のハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスを放電により分解処理することを特徴とする排気ガスの処理方法。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも一種類のハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスを放電により分解処理することを特徴とする排気ガスの処理方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスを放電により分解処理する排気ガスの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化メチレン等のハロゲンを有する溶剤は、写真用支持体の一つであるトリアセチルセルロースの溶剤として長年使用されてきた。特に塩化メチレンは、活性炭を用いた吸脱着による溶剤装置により回収されているが、大きな装置が必要であり、ランニングコストも高く更に排出濃度を更に下げることは極めて困難であった。また塩化メチレンのような塩素を含んだ溶剤は、燃焼処理するとダイオキシン等の有害物質の生成や燃焼炉を腐食させる等の問題があり実用性に乏しいのが現状である。また特開2001−170447には電子線を照射し分解する方法も考案されているが、処理能力が低く、特に塩化メチレン等の含有量が少なくほとんどが空気である排気ガスを多量に処理するには、多大なエネルギーが必要となり実用的でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、吸脱着処理した比較的低濃度(1000ppm以下)の塩化メチレンを主溶剤とする排気ガスを多量に、かつ、安価にしかも手軽に有害物質を生成することなく分解する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成される。
【0005】
1.少なくとも一種類のハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスを放電により分解処理することを特徴とする排気ガスの処理方法。
【0006】
2.ハロゲンを有する化合物が塩化メチレンであることを特徴とする上記1に記載の排気ガスの処理方法。
【0007】
3.塩化メチレンの濃度が1000ppm以下であることを特徴とする上記2に記載の排気ガスの処理方法。
【0008】
4.塩化メチレンの濃度が0.001〜500ppmであることを特徴とする上記3に記載の排気ガスの処理方法。
【0009】
5.排気ガスが、塩化メチレンの他に少なくともケトンまたはアルコールを含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の排気ガスの処理方法。
【0010】
6.ケトンまたはアルコールの濃度が0〜100ppmであることを特徴とする上記5に記載の排気ガスの処理方法。
【0011】
7.ケトンがアセトンであることを特徴とする上記5または6に記載の排気ガスの処理方法。
【0012】
8.アルコールがメタノール、エタノールまたはブタノールであることを特徴とする上記5または6に記載の排気ガスの処理方法。
【0013】
9.大気圧または大気圧近傍の圧力下において、電極の少なくとも一方の面が固体誘電体で被覆されている電極間に、高周波電圧を印加し放電させることを特徴とする上記1〜8のいずれか1項に記載の排気ガスの処理方法。
【0014】
10.固体誘電体が、比誘電率が6〜45の無機物であることを特徴とする上記9に記載の排気ガスの処理方法。
【0015】
11.電極が、冷却手段を有することを特徴とする上記9または10に記載の排気ガスの処理方法。
【0016】
12.高周波電圧がパルス状の電界であることを特徴とする上記9に記載の排気ガスの処理方法。
【0017】
13.パルス状の電界が、電圧立ち上がり時間100μs以下、電界強度10〜1000kV/cmであることを特徴とする上記12に記載の排気ガスの処理方法。
【0018】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明においてハロゲンを有する化合物とは、ハロゲン元素を有する溶剤をいい、クロロフォルム、塩化メチレン、塩化エチレン、臭化エチル、臭化メチレン、臭化エチレン等が挙げられる。以下、代表的な塩化メチレンを例として説明する。
【0019】
本発明者らは、塩化メチレンを含む排気ガスに放電することにより、塩化メチレンをほぼ完全に分解することを見出した。即ち、本発明は、濃度1000ppm以下、特に0.001〜500ppmの塩化メチレンを含有する排気ガスに、電界強度が10〜1000kV/cmの高周波電圧を印加し放電することにより、塩化メチレンを分解処理する排気ガスの処理方法である。また、本発明は、塩化メチレンの他に、濃度0〜100ppmのケトン及び/またはアルコールを含有する排気ガスに放電することにより、塩化メチレン等を分解処理する排気ガスの処理方法である。
【0020】
放電による排気ガスの分解機構については、以下のように考えられる。一般に、気体中に置いた2電極に電圧を加えると、電圧が低い状態では気体は非常によい絶縁体で微弱な電流(暗電流)しか流れないが、電極間の電場がある値以上になると陰極付近に生じた電子がその電場によって加速され、それが気体分子と衝突することによって分子を電離する。こうして生じた電子及びイオンも加速されて他の分子を電離するので、気体中の電子及びイオンはねずみ算式に増加する。さらに、イオンが陰極に衝突することによって二次電子が放出されるので、放電電流は飛躍的に増加し放電が持続する。このような連続的放電は、気体の圧力、電圧、電極の材質・形状等の諸条件によってその形態が異なり、グロー放電、アーク放電、火花放電、コロナ放電等とよばれている。
【0021】
電子及びイオンと衝突した他の分子は、イオン化のほか、高い電子状態への励起による分解、またはイオン分子反応等を起こして新しい生成物及び遊離基を生ずる。全体としての化学反応は主としてこれらの遊離基が関与する反応過程によるものと考えられる。荷電粒子の持つエネルギーは熱反応の場合に比べてきわめて高いため、通常の熱反応にみられない反応が可能であり、本発明の対象とするハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスの分解に適している。
【0022】
本発明における排気ガスの組成としては、少なくとも一種のハロゲンを有する化合物であれば特に制限はないが、特に塩化メチレンが好ましい。排気ガスの濃度は特に制限はないが、好ましくは1000ppm以下であり、更に好ましくは0.001〜500ppmである。
【0023】
本発明における排気ガスには、ケトン及び/またはアルコールが0〜100ppm含まれていても効果には支障がない。ケトンとしては、特に制限はないがアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。アルコールとしては、特に制限はないがメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。
【0024】
放電処理装置の電極には、金属母材上に固体誘電体を被覆したものであることが好ましい。
【0025】
金属母材としては、銀、白金、アルミニウム、鉄、チタン及びチタン合金等の金属のほか、ステンレスを用いることができる。ステンレスは加工し易く好ましく用いることができる。
【0026】
固体誘電体としては、無機材料であるケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等を用いることができる。この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすい。また、溶射法により気密性の高い高耐熱性のセラミックスを用いることも好ましい。セラミックスの材質としては、例えばアルミナ系、ジルコニア系、窒化珪素系、炭化珪素系のセラミックスが挙げられるが、中でもアルミナ系のセラミックスが好ましく、アルミナ系のセラミックスの中でも特にAl2O3を用いるのが好ましい。アルミナ系のセラミックスの厚みは1mm程度が好ましく、体積固有抵抗は108Ω・cm以上が好ましい。固体誘電体の比誘電率は6〜45の無機物であることが好ましい。
【0027】
セラミックスは、無機質材料で封孔処理されているのが好ましく、これにより電極の耐久性を向上させることができる。上記アルミナ系のセラミックスを被覆した上に、封孔剤である、ゾルゲル反応により硬化する珪素化合物(アルコキシシランが好ましい)を主原料とするゾルを塗布した後に、ゲル化させて硬化させることで、強固な3次元結合を形成させ均一な構造を有する珪素酸化物を形成することによって、セラミックスの封孔処理をすることができる。
【0028】
また、電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、断続的なパルス波であることが好ましい。
【0029】
本発明においては、大気圧及びその近傍で処理をおこなう大気圧プラズマ処理装置であることが好ましく、大気圧または大気圧近傍下とは、20〜110kPaの圧力下をいう。
【0030】
対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。上記電極間の距離は、電極の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ等を考慮して決定される。上記電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5〜2mmが好ましく、特に好ましくは1±0.5mmである。また、電極は冷却することが好ましい。
【0031】
排気ガスの処理温度は、10〜80℃が好ましく、15〜60℃が更に好ましく、20〜50℃が最も好ましい。排気ガスの処理は、バッチ式でも連続式でも問題ないが、大量の排気ガスを処理するのには連続式が好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の排気ガス処理装置及び処理方法について、以下にその実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【0033】
図1は本発明の排気ガス処理装置のフローを示す図である。塩化メチレン等を含有する排気ガスが活性炭等を充填した吸着処理装置1に導入され、排気ガスの吸着処理が行われる。吸着処理後に残存する塩化メチレン等を含有する吸着処理後のガスが、除湿機2を経て放電処理装置3に導入され、ガスはプラズマとなって分解される。
【0034】
塩化メチレン等の分解したガスの除去、及び塩化メチレン等の排気ガス濃度が高いときに発生する未分解ガスの除去または減少のために、分解処理後のガスを水、アルカリ溶液接触装置4で水、アルカリ溶液と向流接触して洗浄した後に大気中に放出する。
【0035】
図2は、本発明に係る放電処理装置の概略図である。放電処理装置3は、放電処理容器31、電極32、33、電圧印加手段34、ガス供給口36、ガス排出口37及び電極温度調節手段(図示せず)から構成され、一対の電極32と33の間で排気ガスを放電処理するものである。電極33はアース電極で、電極32は高周波電源35に接続されている印加電極である。排気ガスは、流量制御してガス給気口36より放電処理容器31内に入れ、電圧印加手段34で、高周波電源35により電極32に電圧を印加し、電極33との間で放電しプラズマを発生させる。次に放電処理が行われた排気ガスをガス排出口37より排出するようにする。電極温度調節手段を用いて温度を調節した媒体を送液ポンプで電極32と33に送り、電極の内側から温度を調節する。媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
実施例1
図2に示す放電処理装置3を用いて排気ガスを処理した。放電処理装置のサイズは、電極間間隙2mmで幅500mm、放電処理長100mmである。電極の表面は比誘電率が10のアルミナ系セラミックスの固体誘電体で被覆した。ハイデン研究所製インパルス高周波電源を用いて、繰り返し周波数20kHz、電圧立ち上がり時間1μsecに設定し電圧の印加を行った。また、このときの放電出力は2kWであった。この装置に、塩化メチレンを100ppm含有する空気(排気ガス)を10、50、100、500L/minの流量で供給し、放電処理後、排出した。
【0038】
比較用の排気ガス処理例として、電子線照射装置を用いて排気ガスを処理した。電子線照射処理装置の照射室のサイズは、高さ10mm、幅500mm、処理長さ100mmである。電子線照射量は16kGyである。この装置に、上記放電処理と同様の排気ガスを供給し電子線照射処理した。
【0039】
放電または電子線照射処理後の排気ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで残留塩化メチレンと分解生成物として可能性のある有害なホスゲンの発生量を測定した。残留塩化メチレン量から塩化メチレンの分解率(%)を求めた。その結果を表1に示す。なお、ホスゲンの発生量はいずれも0.1ppm以下であった。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例2
図2に示す放電処理装置3を用いて実施例1と同様にして排気ガスを処理した。ただし、排気ガス組成、排気ガス供給量及びパルス状電界強度を表2のように変更した。
【0042】
放電処理後の排気ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで排気ガス組成とホスゲンの発生量を測定した。放電処理前の排気ガス組成と残留排気ガス組成から分解率(%)を求めた。その結果を表2に示す。なお、ホスゲンの発生量はいずれも0.1ppm以下であった。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
吸脱着処理した比較的低濃度(1000ppm以下)の塩化メチレンを主溶剤とする排気ガスを多量に、かつ、安価にしかも手軽に有害物質を生成することなく分解する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガス処理装置のフローを示す図である。
【図2】本発明に係る放電処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1 吸着処理装置
2 除湿機
3 放電処理装置
4 水、アルカリ溶液接触装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスを放電により分解処理する排気ガスの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化メチレン等のハロゲンを有する溶剤は、写真用支持体の一つであるトリアセチルセルロースの溶剤として長年使用されてきた。特に塩化メチレンは、活性炭を用いた吸脱着による溶剤装置により回収されているが、大きな装置が必要であり、ランニングコストも高く更に排出濃度を更に下げることは極めて困難であった。また塩化メチレンのような塩素を含んだ溶剤は、燃焼処理するとダイオキシン等の有害物質の生成や燃焼炉を腐食させる等の問題があり実用性に乏しいのが現状である。また特開2001−170447には電子線を照射し分解する方法も考案されているが、処理能力が低く、特に塩化メチレン等の含有量が少なくほとんどが空気である排気ガスを多量に処理するには、多大なエネルギーが必要となり実用的でない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、吸脱着処理した比較的低濃度(1000ppm以下)の塩化メチレンを主溶剤とする排気ガスを多量に、かつ、安価にしかも手軽に有害物質を生成することなく分解する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成される。
【0005】
1.少なくとも一種類のハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスを放電により分解処理することを特徴とする排気ガスの処理方法。
【0006】
2.ハロゲンを有する化合物が塩化メチレンであることを特徴とする上記1に記載の排気ガスの処理方法。
【0007】
3.塩化メチレンの濃度が1000ppm以下であることを特徴とする上記2に記載の排気ガスの処理方法。
【0008】
4.塩化メチレンの濃度が0.001〜500ppmであることを特徴とする上記3に記載の排気ガスの処理方法。
【0009】
5.排気ガスが、塩化メチレンの他に少なくともケトンまたはアルコールを含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の排気ガスの処理方法。
【0010】
6.ケトンまたはアルコールの濃度が0〜100ppmであることを特徴とする上記5に記載の排気ガスの処理方法。
【0011】
7.ケトンがアセトンであることを特徴とする上記5または6に記載の排気ガスの処理方法。
【0012】
8.アルコールがメタノール、エタノールまたはブタノールであることを特徴とする上記5または6に記載の排気ガスの処理方法。
【0013】
9.大気圧または大気圧近傍の圧力下において、電極の少なくとも一方の面が固体誘電体で被覆されている電極間に、高周波電圧を印加し放電させることを特徴とする上記1〜8のいずれか1項に記載の排気ガスの処理方法。
【0014】
10.固体誘電体が、比誘電率が6〜45の無機物であることを特徴とする上記9に記載の排気ガスの処理方法。
【0015】
11.電極が、冷却手段を有することを特徴とする上記9または10に記載の排気ガスの処理方法。
【0016】
12.高周波電圧がパルス状の電界であることを特徴とする上記9に記載の排気ガスの処理方法。
【0017】
13.パルス状の電界が、電圧立ち上がり時間100μs以下、電界強度10〜1000kV/cmであることを特徴とする上記12に記載の排気ガスの処理方法。
【0018】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明においてハロゲンを有する化合物とは、ハロゲン元素を有する溶剤をいい、クロロフォルム、塩化メチレン、塩化エチレン、臭化エチル、臭化メチレン、臭化エチレン等が挙げられる。以下、代表的な塩化メチレンを例として説明する。
【0019】
本発明者らは、塩化メチレンを含む排気ガスに放電することにより、塩化メチレンをほぼ完全に分解することを見出した。即ち、本発明は、濃度1000ppm以下、特に0.001〜500ppmの塩化メチレンを含有する排気ガスに、電界強度が10〜1000kV/cmの高周波電圧を印加し放電することにより、塩化メチレンを分解処理する排気ガスの処理方法である。また、本発明は、塩化メチレンの他に、濃度0〜100ppmのケトン及び/またはアルコールを含有する排気ガスに放電することにより、塩化メチレン等を分解処理する排気ガスの処理方法である。
【0020】
放電による排気ガスの分解機構については、以下のように考えられる。一般に、気体中に置いた2電極に電圧を加えると、電圧が低い状態では気体は非常によい絶縁体で微弱な電流(暗電流)しか流れないが、電極間の電場がある値以上になると陰極付近に生じた電子がその電場によって加速され、それが気体分子と衝突することによって分子を電離する。こうして生じた電子及びイオンも加速されて他の分子を電離するので、気体中の電子及びイオンはねずみ算式に増加する。さらに、イオンが陰極に衝突することによって二次電子が放出されるので、放電電流は飛躍的に増加し放電が持続する。このような連続的放電は、気体の圧力、電圧、電極の材質・形状等の諸条件によってその形態が異なり、グロー放電、アーク放電、火花放電、コロナ放電等とよばれている。
【0021】
電子及びイオンと衝突した他の分子は、イオン化のほか、高い電子状態への励起による分解、またはイオン分子反応等を起こして新しい生成物及び遊離基を生ずる。全体としての化学反応は主としてこれらの遊離基が関与する反応過程によるものと考えられる。荷電粒子の持つエネルギーは熱反応の場合に比べてきわめて高いため、通常の熱反応にみられない反応が可能であり、本発明の対象とするハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスの分解に適している。
【0022】
本発明における排気ガスの組成としては、少なくとも一種のハロゲンを有する化合物であれば特に制限はないが、特に塩化メチレンが好ましい。排気ガスの濃度は特に制限はないが、好ましくは1000ppm以下であり、更に好ましくは0.001〜500ppmである。
【0023】
本発明における排気ガスには、ケトン及び/またはアルコールが0〜100ppm含まれていても効果には支障がない。ケトンとしては、特に制限はないがアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。アルコールとしては、特に制限はないがメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。
【0024】
放電処理装置の電極には、金属母材上に固体誘電体を被覆したものであることが好ましい。
【0025】
金属母材としては、銀、白金、アルミニウム、鉄、チタン及びチタン合金等の金属のほか、ステンレスを用いることができる。ステンレスは加工し易く好ましく用いることができる。
【0026】
固体誘電体としては、無機材料であるケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等を用いることができる。この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすい。また、溶射法により気密性の高い高耐熱性のセラミックスを用いることも好ましい。セラミックスの材質としては、例えばアルミナ系、ジルコニア系、窒化珪素系、炭化珪素系のセラミックスが挙げられるが、中でもアルミナ系のセラミックスが好ましく、アルミナ系のセラミックスの中でも特にAl2O3を用いるのが好ましい。アルミナ系のセラミックスの厚みは1mm程度が好ましく、体積固有抵抗は108Ω・cm以上が好ましい。固体誘電体の比誘電率は6〜45の無機物であることが好ましい。
【0027】
セラミックスは、無機質材料で封孔処理されているのが好ましく、これにより電極の耐久性を向上させることができる。上記アルミナ系のセラミックスを被覆した上に、封孔剤である、ゾルゲル反応により硬化する珪素化合物(アルコキシシランが好ましい)を主原料とするゾルを塗布した後に、ゲル化させて硬化させることで、強固な3次元結合を形成させ均一な構造を有する珪素酸化物を形成することによって、セラミックスの封孔処理をすることができる。
【0028】
また、電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、断続的なパルス波であることが好ましい。
【0029】
本発明においては、大気圧及びその近傍で処理をおこなう大気圧プラズマ処理装置であることが好ましく、大気圧または大気圧近傍下とは、20〜110kPaの圧力下をいう。
【0030】
対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。上記電極間の距離は、電極の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ等を考慮して決定される。上記電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5〜2mmが好ましく、特に好ましくは1±0.5mmである。また、電極は冷却することが好ましい。
【0031】
排気ガスの処理温度は、10〜80℃が好ましく、15〜60℃が更に好ましく、20〜50℃が最も好ましい。排気ガスの処理は、バッチ式でも連続式でも問題ないが、大量の排気ガスを処理するのには連続式が好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の排気ガス処理装置及び処理方法について、以下にその実施の形態を図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【0033】
図1は本発明の排気ガス処理装置のフローを示す図である。塩化メチレン等を含有する排気ガスが活性炭等を充填した吸着処理装置1に導入され、排気ガスの吸着処理が行われる。吸着処理後に残存する塩化メチレン等を含有する吸着処理後のガスが、除湿機2を経て放電処理装置3に導入され、ガスはプラズマとなって分解される。
【0034】
塩化メチレン等の分解したガスの除去、及び塩化メチレン等の排気ガス濃度が高いときに発生する未分解ガスの除去または減少のために、分解処理後のガスを水、アルカリ溶液接触装置4で水、アルカリ溶液と向流接触して洗浄した後に大気中に放出する。
【0035】
図2は、本発明に係る放電処理装置の概略図である。放電処理装置3は、放電処理容器31、電極32、33、電圧印加手段34、ガス供給口36、ガス排出口37及び電極温度調節手段(図示せず)から構成され、一対の電極32と33の間で排気ガスを放電処理するものである。電極33はアース電極で、電極32は高周波電源35に接続されている印加電極である。排気ガスは、流量制御してガス給気口36より放電処理容器31内に入れ、電圧印加手段34で、高周波電源35により電極32に電圧を印加し、電極33との間で放電しプラズマを発生させる。次に放電処理が行われた排気ガスをガス排出口37より排出するようにする。電極温度調節手段を用いて温度を調節した媒体を送液ポンプで電極32と33に送り、電極の内側から温度を調節する。媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
実施例1
図2に示す放電処理装置3を用いて排気ガスを処理した。放電処理装置のサイズは、電極間間隙2mmで幅500mm、放電処理長100mmである。電極の表面は比誘電率が10のアルミナ系セラミックスの固体誘電体で被覆した。ハイデン研究所製インパルス高周波電源を用いて、繰り返し周波数20kHz、電圧立ち上がり時間1μsecに設定し電圧の印加を行った。また、このときの放電出力は2kWであった。この装置に、塩化メチレンを100ppm含有する空気(排気ガス)を10、50、100、500L/minの流量で供給し、放電処理後、排出した。
【0038】
比較用の排気ガス処理例として、電子線照射装置を用いて排気ガスを処理した。電子線照射処理装置の照射室のサイズは、高さ10mm、幅500mm、処理長さ100mmである。電子線照射量は16kGyである。この装置に、上記放電処理と同様の排気ガスを供給し電子線照射処理した。
【0039】
放電または電子線照射処理後の排気ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで残留塩化メチレンと分解生成物として可能性のある有害なホスゲンの発生量を測定した。残留塩化メチレン量から塩化メチレンの分解率(%)を求めた。その結果を表1に示す。なお、ホスゲンの発生量はいずれも0.1ppm以下であった。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例2
図2に示す放電処理装置3を用いて実施例1と同様にして排気ガスを処理した。ただし、排気ガス組成、排気ガス供給量及びパルス状電界強度を表2のように変更した。
【0042】
放電処理後の排気ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーで排気ガス組成とホスゲンの発生量を測定した。放電処理前の排気ガス組成と残留排気ガス組成から分解率(%)を求めた。その結果を表2に示す。なお、ホスゲンの発生量はいずれも0.1ppm以下であった。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
吸脱着処理した比較的低濃度(1000ppm以下)の塩化メチレンを主溶剤とする排気ガスを多量に、かつ、安価にしかも手軽に有害物質を生成することなく分解する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガス処理装置のフローを示す図である。
【図2】本発明に係る放電処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1 吸着処理装置
2 除湿機
3 放電処理装置
4 水、アルカリ溶液接触装置
Claims (13)
- 少なくとも一種類のハロゲンを有する化合物を含有する排気ガスを放電により分解処理することを特徴とする排気ガスの処理方法。
- ハロゲンを有する化合物が塩化メチレンであることを特徴とする請求項1に記載の排気ガスの処理方法。
- 塩化メチレンの濃度が1000ppm以下であることを特徴とする請求項2に記載の排気ガスの処理方法。
- 塩化メチレンの濃度が0.001〜500ppmであることを特徴とする請求項3に記載の排気ガスの処理方法。
- 排気ガスが、塩化メチレンの他に少なくともケトンまたはアルコールを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気ガスの処理方法。
- ケトンまたはアルコールの濃度が0〜100ppmであることを特徴とする請求項5に記載の排気ガスの処理方法。
- ケトンがアセトンであることを特徴とする請求項5または6に記載の排気ガスの処理方法。
- アルコールがメタノール、エタノールまたはブタノールであることを特徴とする請求項5または6に記載の排気ガスの処理方法。
- 大気圧または大気圧近傍の圧力下において、電極の少なくとも一方の面が固体誘電体で被覆されている電極間に、高周波電圧を印加し放電させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の排気ガスの処理方法。
- 固体誘電体が、比誘電率が6〜45の無機物であることを特徴とする請求項9に記載の排気ガスの処理方法。
- 電極が、冷却手段を有することを特徴とする請求項9または10に記載の排気ガスの処理方法。
- 高周波電圧がパルス状の電界であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の排気ガスの処理方法。
- パルス状の電界が、電圧立ち上がり時間100μs以下、電界強度10〜1000kV/cmであることを特徴とする請求項12に記載の排気ガスの処理方法。
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