JP2004073948A - 被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法および角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法 - Google Patents

被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法および角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被塗装物の角部分に対して、充分な膜厚を効率的に形成できる塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】被塗装物の角部分に対して塗料を塗布する方法であって、2つに分岐したアーム、上記アームの各々の先端に備えられ、互いに接触していない2つのローラー部を有し、上記ローラー部の上端部分が塗布する際に変形しない材質からなるローラー塗装具を用い、上記2つのローラー部によって上記角部分を挟み込んで上記ローラー部を転動させ、上記ローラー部の上端部分によって塗料を塗布することを特徴とする被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法。
被塗装物の角部分に対して、ローラー塗装具によって塗料を塗布した後、上記角部分から連続する面部分に対して塗料を塗布することによって塗膜を形成することを特徴とする角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法および角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料に要求される機能の一つとして、得られる塗膜による被塗装物の保護が挙げられる。特に、建築物、橋梁等の被塗装物では、その保護機能として高い防錆性が要求される。このような機能を発現するためには、充分な膜厚が必要であることが知られている。
【0003】
ところが、角部分と呼ばれる出隅部分では、塗布された塗料が重力によって留まりにくかったり、硬化乾燥時に溶剤が蒸発して体積減少することによって、充分な膜厚を確保できなくなる場合がある。先に挙げた建築物や橋梁等は、この角部分を多く持つ被塗装物であるため、このような角部分で充分な膜厚を確保できない場合には、この部分を起点として錆が発生する恐れが高い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被塗装物の角部分に対して、充分な膜厚を効率的に形成できる塗膜形成方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被塗装物の角部分に対して塗料を塗布する方法であって、2つに分岐したアーム、上記アームの各々の先端に備えられ、互いに接触していない2つのローラー部を有し、上記ローラー部の上端部分が塗布する際に変形しない材質からなるローラー塗装具を用い、上記2つのローラー部によって上記角部分を挟み込んで上記ローラー部を転動させ、上記ローラー部の上端部分によって塗料を塗布することを特徴とする被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法である。ここで、2つのローラー部の最近接部位の間隔は、1〜10mmであることが好ましい。また、前記2つのローラー部は、例えば、上端部分が塗布する際に変形しない材質からなる芯部を有するローラーブラシであってもよく、その際、2つのローラーブラシのブラシ部分の毛丈は、10mm以下であることが好ましい。
また、用いられる塗料は、20℃におけるチキソトロピック係数が1.3〜6.0であることが好ましく、円筒型回転粘度計によって測定される、20℃、回転数6rpmにおける粘度は10〜100Pa・sであることが好ましい。
【0006】
また、本発明は、上記記載の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法に用いられることを特徴とするローラー塗装具である。
【0007】
さらに、本発明は、被塗装物の角部分に対して、2つに分岐したアーム、上記アームの各々の先端に備えられ、互いに接触していない2つのローラー部を有し、上記ローラー部の上端部分が塗布する際に変形しない材質からなるローラー塗装具を用い、上記2つのローラー部によって上記角部分を挟み込んで上記ローラー部を転動させ、上記ローラー部の上端部分によって塗料を塗布した後、上記角部分から連続する面部分に対して塗料を塗布することによって塗膜を形成することを特徴とする角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法は、被塗装物の角部分に対して塗料を塗布する方法であって、2つに分岐したアーム、上記アームの各々の先端に備えられ、互いに接触していない2つのローラー部を有し、上記ローラー部の上端部分が塗布する際に変形しない材質からなるローラー塗装具を用い、上記2つのローラー部によって上記角部分を挟み込んで上記ローラー部を転動させ、上記ローラー部の上端部分によって塗料を塗布することを特徴とするものである。
【0009】
本発明は、被塗装物全体に対して塗布するものではなく、わずか幅1〜10mm程度の角部分に対してのみ塗布して塗膜を形成する方法であり、また、塗布するために用いられる部分が、通常そのような用途として用いられることはないローラー部の上端部分であるということを特徴とする。
【0010】
上記2つに分岐したアームは固定されたものではなく、アームの角度調節が可能なものであってもよい。このようにすることで2つに分岐したアームの角度を調節して、後述の2つのローラー部の上端部分のなす角度、または、2つのローラー部のなす角度を調節することができる。上記角度は被塗装物の角部分の角度と同等の角度であり、具体的には、角部分の角度に対して−10〜+10度程度である。
【0011】
上記ローラー部はその上端部分が塗布する際に変形しない材質からなるものである。さらに、角部分に充分な膜厚を形成するという観点から、塗料を保持できる程度にヌレ性があり、また、吸収しすぎない材質であることが好ましい。このような材質としては特に限定されず、例えば、金属、木材、プラスチック等を挙げることができる。また、表面形状についても特に限定されないが、深い孔部を有しないことが好ましい。
【0012】
上記2つのローラー部の最近接部位の間隔は、1〜10mmであることが好ましい。上記範囲外であると、角部分に充分な塗膜を形成することができない恐れがある。
【0013】
また、上記ローラー部は上記上端部分が上記材質からなる芯部を有するローラーブラシであってもよい。上記ローラーブラシとしては特に限定されず、具体的には、市販され、一般に用いられている塗料浸潤ローラーを挙げることができる。ブラシ部分の毛の材質としては特に限定されず、天然毛、人工毛、混毛等の毛を挙げることができる。上記ブラシ部分の毛丈は、得られる塗膜の膜厚の観点から、上限10mmであることが好ましい。上記毛丈が10mmを超えると余分に塗料が付着し、経済的ではない。また、角部分を含めた全体の部分に塗料を塗布する際、膜厚管理が困難になる恐れがある。
【0014】
なお、ローラー部が上記ローラーブラシである場合、上記上端部分は上記ブラシ部分から0.5〜10mm程度露出していることが好ましい。0.5mm未満である場合、角部分に充分な塗膜を形成することができない恐れがある。また、10mmを超える場合、塗布作業性が低下する恐れがある。
【0015】
以下、図面に従って上記ローラー塗装具および角部分に対する塗膜形成方法を詳細に説明する。図1は上記ローラー塗装具の一例を示す全体図である。
【0016】
2は分岐したアーム3と接合したハンドル部分である。このハンドル部分の他方には握り柄(図省略)が備えられている。分岐したアーム3の各々の先端には、ローラーブラシ4および5が備えられている。ローラーブラシ4および5は上端部分がプラスチックからなる芯部を有し、3mm程度ブラシ部分より露出した上端部分6および7を持つものである。上記ブラシ部分の材質は混毛であり、毛丈は1mmである。
【0017】
図2は図1のローラー塗装具を正面から見た図である。2つのローラーブラシは互いに接触しておらず、その最近接部位はブラシ部分であり、その間隔は3mmである。
【0018】
図3は図1のローラー塗装具を用いて角部分に対して塗布する際のローラー塗装具および被塗装物の関係図である。
【0019】
本発明の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法は、握り柄(図省略)を握持し、塗料をローラーブラシ4および5、および、ローラーブラシの上端部分6および7を塗料に充分に浸潤させた後、ローラーブラシ4および5に付着した余分な塗料をしごき落として、ローラーブラシ4および5によって被塗装物の角部分を挟み込むようにしてローラーブラシ4および5を転動させて角部分の方向に沿って塗料の塗布を行うものである。この場合、ローラーブラシに付着した塗料をしごき落とした後も、ローラーブラシの上端部分6および7に塗料が保持されていて、ここから、被塗装物の角部分へ塗布される。
なお、ローラーブラシ4および5に付着した余分の塗料をしごき落とすことは必ずしも必要ではないが、角部分以外の部分にも塗料を塗布する場合、全体の膜厚管理の観点から、行うことが好ましい。
【0020】
本発明の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法において用いられる塗料としては特に限定されず、常温硬化型塗料、常温乾燥型塗料、熱硬化型塗料、熱可塑型塗料等様々なものを挙げることができる。角部分における充分な膜厚確保の観点から、上記塗料の20℃におけるチキソトロピック係数が1.3〜6.0であるものが好ましく、3.0〜6.0であることがさらに好ましい。上記チキソトロピック係数は、20℃での円筒型回転粘度計の6rpmにおける粘度と60rpmにおける粘度の比によって求めることができる。上記円筒型回転粘度計としては、例えば、東京計器社製形式BM等のB型粘度計を挙げることができる。また、同様に角部分における充分な膜厚確保の観点から、円筒型回転粘度計によって測定される、20℃、回転数6rpmにおける粘度は10〜100Pa・sであるものが好ましい。
【0021】
本発明において用いられる被塗装物としては特に限定されず、建築物、橋梁、船舶等、角部分を有する様々なものを挙げることができる。
【0022】
また、本発明の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法において用いられるローラー塗装具は、上述の塗膜形成方法において用いられるものを挙げることができる。
【0023】
さらに、本発明の角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法は、被塗装物の角部分に対して、2つに分岐したアーム、上記アームの各々の先端に備えられ、互いに接触していない2つのローラー部を有し、上記ローラー部の上端部分が上記角部分の角度と同等の角度をなし、かつ、塗布する際に変形しない材質からなるローラー塗装具を用い、上記ローラー部の上端部分によって塗料を塗布した後、上記角部分から連続する面部分に対して塗料を塗布することによって塗膜を形成することを特徴とするものである。
【0024】
上記塗料としては特に限定されず、具体的には、先に述べた塗料を挙げることができる。
【0025】
本発明の角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法の第1の工程は、2つに分岐したアーム、上記アームの各々の先端に備えられ、互いに接触していない2つのローラー部を有し、上記ローラー部の上端部分が上記角部分の角度と同等の角度をなし、かつ、塗布する際に変形しない材質からなるローラー塗装具を用い、上記ローラー部の上端部分によって、被塗装物の角部分に対して塗料を塗布する工程である。
【0026】
上記ローラー塗装具は上述のローラー塗装具を挙げることができる。さらに、この第1の工程としては、具体的には、先に述べた被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法を挙げることができる。
【0027】
本発明の角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法の第2の工程は、上記第1の工程の後、上記角部分から連続する面部分に対して塗料を塗布する工程である。上記面部分に対して塗料を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装等を挙げることができる。この時、上記面部分だけでなく、角部分を含めた被塗装物全体に対して塗布してよい。
【0028】
このようにして被塗装物上に形成された塗膜は角部分の膜厚が充分であり、被塗装物の保護を充分に行うことができる。
【0029】
【実施例】
実施例
90度の角部分を有する鋼材を被塗装物とした。ローラーブラシ4および5ののなす角度が100度、ブラシ部分の毛丈が1mm、上端部分がプラスチック製でありブラシ部分より3mm露出していて、かつ、2つのローラーブラシの最近接部位の間隔を3mmとした図1のローラー塗装具を用いて、NOA100(日本ペイント社製変性エポキシ樹脂系塗料、商品名、下地隠蔽規定膜厚120μm)を、2つのローラーブラシ4および5によって被塗装物の角部分を挟み込むようにして転動させ、角部分の方向に沿って塗布した。さらに、鋼材の全体にエアレススプレーにて、NOA100を塗布した後、16時間乾燥させて、鋼材の角部分には乾燥膜厚160μm、面部分には乾燥膜厚120μmの塗膜を得た。得られた角部分について目視にて確認したところ、鋼材が透けて見える部分はなかった。
【0030】
なお、上記NOA100の、20℃での円筒型回転粘度計の6rpmにおける粘度はと60rpmにおける粘度は、東京計器社製形式BM(円筒型回転粘度計)を用いて各々28.8Pa・s、6Pa・sであり、チキソトロピック係数は4.8であった。
【0031】
比較例
図1のローラー塗装具の代わりに刷毛を用い、NOA100の代わりにエポタールNB−20F(日本ペイント社製変性エポキシ樹脂系塗料、商品名、下地隠蔽規定膜厚120μm)を鋼材の角部分に塗布した。さらに、鋼材の全体にエアレススプレーにて、エポタールNB−20Fを塗布した後、16時間乾燥させて、鋼材の角部分には乾燥膜厚40μm、面部分には乾燥膜厚120μmの塗膜を得た。角部分のについて目視にて確認したところ、乾燥膜厚が40μmであったため鋼材が透けて見えた。そのため、塗布のインターバルを16時間としてさらに2回塗布して下地隠蔽規定膜厚である120μmを確保した。得られた角部分の塗膜を目視にて確認したところ、鋼材が透けて見える部分はなかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法は、2つのローラー部の上端部分が塗布する際に変形しない材質からなるローラー塗装具によって、角部分を挟み込んで塗料を塗布することを特徴とするため、角部分に対して充分な膜厚を効率的に形成することができる。さらに、ローラー部を市販のローラーブラシとすることができるので、経済的である。
【0033】
また、本発明の角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法は、被塗装物の角部分に対して、上述のローラー塗装具によって塗料を塗布した後、角部分から連続する面部分に対して塗料を塗布するので、被塗装物の角部分および面部分に対して充分な膜厚を効率的に形成することができる。
【0034】
このようにして得られる塗膜は、膜厚が充分であるので、被塗装物に対して高い保護機能を発現することができ、建築物、橋梁、船舶等、高い防錆性が要求される分野において有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられるローラー塗装具の一例である。
【図2】図1に示したローラー塗装具の正面図である。
【図3】図1のローラー塗装具を用いて角部分に対して塗布する際のローラー塗装具および被塗装物の関係図である。
【符号の説明】
1      ローラー塗装具
2      ハンドル部分
3      分岐したアーム
4、5  ローラーブラシ
6、7 ローラーブラシの上端部分
8      被塗装物

Claims (8)

  1. 被塗装物の角部分に対して塗料を塗布する方法であって、
    2つに分岐したアーム、
    前記アームの各々の先端に備えられ、互いに接触していない2つのローラー部を有し、
    前記ローラー部の上端部分が塗布する際に変形しない材質からなる
    ローラー塗装具を用い、前記2つのローラー部によって前記角部分を挟み込んで前記ローラー部を転動させ、前記ローラー部の上端部分によって塗料を塗布することを特徴とする被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法。
  2. 前記2つのローラー部の最近接部位の間隔は、1〜10mmである請求項1に記載の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法。
  3. 前記2つのローラー部は、上端部分が塗布する際に変形しない材質からなる芯部を有するローラーブラシである請求項1または2に記載の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法。
  4. 前記2つのローラーブラシのブラシ部分の毛丈は、10mm以下である請求項3に記載の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法。
  5. 前記塗料は、20℃におけるチキソトロピック係数が1.3〜6.0である請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法。
  6. 前記塗料は、円筒型回転粘度計によって測定される、20℃、回転数6rpmにおける粘度は10〜100Pa・sである請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法。
  7. 請求項1〜6に記載の被塗装物の角部分に対する塗膜形成方法に用いられることを特徴とするローラー塗装具。
  8. 被塗装物の角部分に対して、
    2つに分岐したアーム、
    前記アームの各々の先端に備えられ、
    互いに接触していない2つのローラー部を有し、
    前記ローラー部の上端部分が塗布する際に変形しない材質からなる
    ローラー塗装具を用い、前記2つのローラー部によって前記角部分を挟み込んで前記ローラー部を転動させ、前記ローラー部の上端部分によって塗料を塗布した後、前記角部分から連続する面部分に対して塗料を塗布することによって塗膜を形成することを特徴とする角部分を有する被塗装物に対する塗膜形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010513083A (ja) * 2006-12-20 2010-04-30 クルニアワン,スリャ より自然な木目を木材表面に形成する方法および装置
CN108272216A (zh) * 2018-03-08 2018-07-13 苏州市吴中区双龙油漆涂料有限公司 一种粉刷装置

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